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【発明の名称】 射出成形装置
【発明者】 【氏名】河原 和夫
【氏名】三浦 昭人
【氏名】麻山 聡
【氏名】澁谷 嘉久
【課題】従来の射出成形装置は、耐熱性のある金属材からなるブッシュ部27を使用するものであるため、熱伝導性が高く、従って、ノズル28がブッシュ部27に当接した際、加熱状態にあるノズル28がブッシュ部27によって、熱が奪われて冷えて、溶融した合成樹脂の温度を大きく低下させるという問題があると共に、これによって、成形精度を悪くするという問題がある。

【解決手段】本発明の射出成形装置は、金型1に熱伝導率の低い断熱性部材7を設けて、この断熱性部材7にノズル8を当接させるようにしたため、従来に比して、ノズル8の熱の逃げを少なくできて、溶融した合成樹脂の温度低下を防止できると共に、成形精度の高い射出成形装置を提供できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 樹脂通路を有する金型と、樹脂通路を有し、移動可能なノズルとを備え、前記金型の前記ノズルの当接部に、樹脂通路を有し、熱伝導率が低い材料で構成された断熱性部材を設けたことを特徴とする射出成形装置。
【請求項2】 前記断熱性部材をセラミック材で形成したことを特徴とする請求項1記載の射出成形装置。
【請求項3】 前記金型は、別体に形成された少なくとも第1と第2の部材を有し、前記断熱性部材を前記第1と第2の部材間で挟持して取り付けたことを特徴とする請求項2記載の射出成形装置。
【請求項4】 前記ノズル側に位置する前記第1の部材は、大開口部と小開口部からなる断面が凸型をなした貫通孔を有し、前記断熱性部材は、台座部と、該台座部から突出する突部を有して断面が凸型をなし、前記断熱性部材の前記突部を前記貫通孔の小開口部に位置させると共に、前記台座部を前記貫通孔の大開口部に位置させ、前記台座部の裏面を前記第2の部材で支持した状態で、前記断熱性部材を前記第1と第2の部材で挟持し、前記断熱性部材の前記突部に前記ノズルを当接させるようにしたことを特徴とする請求項3記載の射出成形装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、種々の成形加工を行う射出成形装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の射出成形装置を図2に基づいて説明すると、成形を行う金型21は、金属材からなり、台座部を構成する第1の部材22と、金属材からなり、第1の部材22に取り付けられた上型を構成する第2の部材23と、金属材からなり、第2の部材23に重ね合わされる下型を構成する第3の部材24と、金属材からなり、第3の部材24を取り付ける台座部を構成する第4の部材25を有する。また、上、下金型である第2、第3の部材23、24間には、成型品を形成するための空洞部26が設けられている。
【0003】また、金型21は、耐摩耗性に優れると共に、熱伝導率が比較的高いた金属材、例えば、SKD61(熱伝導率が0.068cal/cm.sec℃)、或いはS45C(熱伝導率が0.120cal/cm.sec℃)からなるブッシュ部27を有し、このブッシュ部27は、大径部27aと小径部27bとを有して、断面が凸型に形成されると共に、中心部に樹脂通路27cを有している。そして、このブッシュ部27は、第1と第2の部材22、23に強嵌合して取り付けられ、樹脂通路27cを空洞部26に臨ませると共に、大径部26aを第1の部材22の前面部に位置させた状態となっている。
【0004】また、耐摩耗性の金属材からなるノズル28は、その中心部に樹脂通路28aを有し、このノズル28は、金型21に対して移動可能に配置されており、ノズル28の先端部は、ブッシュ部27の大径部27aに接離するようになり、当接した際は、ノズル28の樹脂通路28aがブッシュ部27の樹脂通路27cと合致して、樹脂通路28aからの溶融した合成樹脂を、樹脂通路27cを通して空洞部26に注入するようになっている。
【0005】そして、このような射出成形装置による成型方法は、先ず、金型21のブッシュ部27に、加熱状態にあるノズル28の先端部を当接させて、樹脂通路28aを樹脂通路27cに合わせる。次いで、溶融した合成樹脂を樹脂通路28a、27cに通して空洞部26に注入した後、ノズル28を金型21から遠ざけて、ノズル28を次の金型21に当接させ、上記と同様な動作を繰り返すことにより成形を行うようになっている。このように、ノズル28と、ノズル28が当接するブッシュ部27は、互いに摩耗が生じることから耐摩耗性の優れた金属材で形成されいるが、この耐摩耗性の優れた金属材は、熱伝導性が高く、従って、特に、ノズル28がブッシュ部27に当接した際、加熱状態にあるノズル28がブッシュ部27によって、熱が奪われて冷え、このため、溶融した合成樹脂の温度を大きく低下させるものであった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の射出成形装置は、耐熱性のある金属材からなるブッシュ部27を使用するものであるため、熱伝導性が高く、従って、ノズル28がブッシュ部27に当接した際、加熱状態にあるノズル28がブッシュ部27によって、熱が奪われて冷えて、溶融した合成樹脂の温度を大きく低下させるという問題があると共に、これによって、成形精度を悪くするという問題がある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するための第1の解決手段として、樹脂通路を有する金型と、樹脂通路を有し、移動可能なノズルとを備え、前記金型の前記ノズルの当接部に、樹脂通路を有し、熱伝導率が低い材料で構成された断熱性部材を設けた構成とした。また、第2の解決手段として、前記断熱性部材をセラミック材で形成した構成とした。また、第3の解決手段として、前記金型は、別体に形成された少なくとも第1と第2の部材を有し、前記断熱性部材を前記第1と第2の部材間で挟持して取り付けた構成とした。また、第4の解決手段として、前記ノズル側に位置する前記第1の部材は、大開口部と小開口部からなる断面が凸型をなした貫通孔を有し、前記断熱性部材は、台座部と、該台座部から突出する突部を有して断面が凸型をなし、前記断熱性部材の前記突部を前記貫通孔の小開口部に位置させると共に、前記台座部を前記貫通孔の大開口部に位置させ、前記台座部の裏面を前記第2の部材で支持した状態で、前記断熱性部材を前記第1と第2の部材で挟持し、前記断熱性部材の前記突部に前記ノズルを当接させるようにした構成とした。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の射出成形装置を図1に基づいて説明すると、図1は本発明の射出成形装置の第1実施例を示す断面図であって、成形を行う金型1は、金属材からなり、台座部を構成すると共に、大開口部2aと小開口部2bからなる断面が凸型をなした貫通孔2cを有する第1の部材2と、金属材からなり、第1の部材2に取り付けられて上型を構成すると共に、樹脂通路3aを有する第2の部材3と、金属材からなり、第2の部材3に重ね合わされて下型を構成する第3の部材4と、金属材からなり、第3の部材4を取り付ける台座部を構成する第4の部材5を有する。また、上、下金型である第2、第3の部材3、4間には、成型品を形成するための空洞部6が設けられている。
【0009】また、金型1は、セラミック材、例えば、ジルコニア(熱伝導率が0.014cal/cm.sec℃)、或いはマイカ系セラミック(熱伝導率が0.004cal/cm.sec℃)からなり、ブッシュ部を構成する断熱性部材7を有し、そして、セラミック材は耐摩耗性に優れると共に、熱伝導率が低く、断熱作用を有している。また、この断熱性部材7は、大径を有する台座部7aと、台座部7aから突出し、台座部7aとによって断面が凸型をなした小径の突部7bと、突部7bの前面に設けられた円弧状部7cと、台座部7aと突部7bの中心部を貫通して設けられた樹脂通路7dを有している。
【0010】そして、この断熱性部材7は、第1の部材2の後方から突部7bを貫通孔2cに挿入して、突部7bを小開口部2bに位置すると共に、台座部7aを大開口部2aに位置して、貫通孔2cに嵌合されている。そして、第1の部材2に嵌合された断熱性部材7は、台座部7aの裏面を第2の部材3に当接して支持し、樹脂通路7dを第2部材3の樹脂通路3aに合致させた状態で、第1と第2の部材2、3間で台座部7aが挟持されて取り付けられたいる。また、第2の部材3は、樹脂通路3aを空洞部26に臨ませた状態で、第3の部材4に結合されている。
【0011】また、耐摩耗性の金属材からなるノズル8は、その中心部に樹脂通路8aを有し、このノズル8は、金型1に対して移動可能に配置されており、ノズル8の先端部は、断熱性部材7の突部7bに接離するようになり、当接した際は、ノズル8の樹脂通路8aが断熱性部材7の樹脂通路7dと合致して、樹脂通路8aからの溶融した合成樹脂を、樹脂通路7dを通して空洞部6に注入するようになっている。
【0012】そして、このような射出成形装置による成型方法は、先ず、金型1の断熱性部材7の突部7bに、加熱状態にあるノズル8の先端部を当接させて、樹脂通路8aを樹脂通路7dに合わせる。次いで、溶融した合成樹脂を樹脂通路8a、7dに通して空洞部6に注入した後、ノズル8を金型1から遠ざけて、ノズル8を次の金型1に当接させ、上記と同様な動作を繰り返すことにより成形を行うようになっている。このような工程において、ノズル8が当接する断熱性部材7は、耐摩耗性に優れ、熱伝導率の低い材料であるセラミック材で形成されているため、両者間での摩耗が少なく、長寿命であると共に、ノズル8が断熱性部材7に当接した際、加熱状態にあるノズル8の熱は、断熱性部材7によって断熱されて、熱の逃げが少なく、このため、溶融した合成樹脂の温度の低下を防止できる。
【0013】また、図2は、本発明の射出成形装置の第2実施例を示し、この実施例は、断熱性部材7の台座部7aを、ネジ9によって第2の部材3に取り付けると共に、断熱性部材7の樹脂通路7dを空洞部6まで導出し、円弧状部7cにノズル8を接離させるようにしたものである。
【0014】
【発明の効果】本発明の射出成形装置は、金型1に熱伝導率の低い断熱性部材7を設けて、この断熱性部材7にノズル8を当接させるようにしたため、従来に比して、ノズル8の熱の逃げを少なくできて、溶融した合成樹脂の温度変化を少なくできると共に、成形精度の高い射出成形装置を提供できる。また、金型1に断熱性部材7を設けることにより、ノズル8が当接した際の断熱性部材7の破損を少なくでき、長寿命の射出成形装置を提供できる。また、断熱性部材7をセラミック材で形成することにより、耐摩耗性にも優れ、長寿命の射出成形装置を提供できる。また、断熱性部材7が第1と第2の部材2、3間で挟持されているため、その支持が安定、強固となり、セラミック材からなる断熱性部材7にノズル8が当接した際の断熱性部材7の破損を少なくできる。また、断熱性部材7の台座部7aを第1の部材2の大開口部2aに位置させ、台座部7aの裏面を第2の部材3に支持させた状態で、断熱性部材7を第1と第2の部材2、3間で挟持したため、セラミック材からなる断熱性部材7の取付をより強硬にでき、セラミック材からなる断熱性部材7にノズル8が当接した際の断熱性部材7の破損の一層少ない射出成形装置を提供できる。
【出願人】 【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプス電気株式会社
【出願日】 平成10年11月30日(1998.11.30)
【代理人】
【公開番号】 特開2000−158491(P2000−158491A)
【公開日】 平成12年6月13日(2000.6.13)
【出願番号】 特願平10−338923