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【発明の名称】 PC製品成形用型枠およびその成形用型枠を用いたPC製品の製造方法およびPC製品
【発明者】 【氏名】森 一

【氏名】堀井 秀治

【氏名】脇坂 達也

【氏名】上村 泰邦

【氏名】関 宗正

【氏名】吉岡 研三

【氏名】古屋 則之

【氏名】増田 安彦

【要約】 【課題】内型枠の直線部の成形面の幅長を可変として、1つの内型枠で寸法の異なる多種類のPC製品に対応させる。

【解決手段】PC製品成形用型枠10の内型枠12を、コーナ部と直線部とに分割してコーナ部型枠16と直線部型枠18とによって構成する。コーナ部型枠16と直線部型枠18の重合部分を薄板状に形成し、この薄板部分を摺動自在に密接して重合する。この重合量を可変可能で、その変化位置に保持可能なターンバックル20等の様な可変機構19を設け、この可変機構19を調整することにより内型枠12の各辺の長さを可変とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 内型枠を外型枠内に所定間隔を設けて配置し、これら内外型枠間にコンクリートを打設してPC製品を成形する成形用型枠において、上記内型枠を、コーナ部と直線部とに分割してコーナ部型枠と直線部型枠とによって構成し、これら両型枠の重合する部分を薄板状に形成し、この薄板部分を摺動自在に密接して重合するとともに、この重合量を可変調節して内型枠の各辺の長さを所望値に設定保持する可変機構を設けたことを特徴とするPC製品成形用型枠。
【請求項2】 上記可変機構が、上記コーナ部を挟んで隣設される上記直線部型枠間に跨って配置される長さ調整可能な支保治具であることを特徴とする請求項1に記載のPC製品成形用型枠。
【請求項3】 上記コーナ部型枠の内側にガイド部材を取り付け、このガイド部材の両端部に上記直線部型枠の端部を嵌合する係合部を形成したことを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載のPC製品成形用型枠。
【請求項4】 上記直線部型枠に幅の異なる複数種類を用意し、この幅の異なる直線部型枠の選択と、該直線部型枠と上記コーナ部型枠との重合量の調節とにより、任意の縦横比の大きさの内型枠とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のPC製品成形用型枠。
【請求項5】 上記内型枠における直線部型枠のコンクリート打設面に凹凸模様を形成したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のPC製品成形用型枠。
【請求項6】 コーナ部と直線部とを分割して、互いに重合されるコーナ部型枠と直線部型枠とによって内型枠を構成し、これらコーナ部型枠と直線部型枠との重合量を大きくした状態でPC製品の剪断補強筋内に配置し、この状態でコーナ部型枠と直線部型枠とを重合量が小さくなる方向に相対移動して、上記剪断補強筋の内側いっぱいに内型枠を拡大し、外側に剪断補強筋が取り付けられた内型枠を、外型枠内に所定間隔を設けて配置し、これら内外型枠間の隙間にコンクリートを打設するとともに、所定期間養生し、コンクリートが所定の強度に硬化した後に、コーナ部型枠と直線部型枠とを重合量が大きくなる方向に相対移動して脱型することを特徴とする成形用型枠を用いたPC製品の製造方法。
【請求項7】 コーナ部と直線部とに分割されて互いに重合されるコーナ部型枠と直線部型枠とからなる内型枠を用い、これらコーナ部型枠と直線部型枠との重合量を大きくした状態でその外側に所定間隔で閉鎖型の剪断補強筋を遊嵌配置し、この状態でコーナ部型枠と直線部型枠とを重合量が小さくなる方向に相対移動して、上記剪断補強筋の内側いっぱいに内型枠を拡大して、該内型枠の外側に剪断補強筋を密着固定し、該内型枠を外型枠内に所定間隔を設けて配置して、これら内外型枠間の隙間にコンクリートを打設するとともに、所定期間養生し、コンクリートが所定の強度に硬化した後に、コーナ部型枠と直線部型枠とを重合量が大きくなる方向に相対移動することにより脱型形成され、上記剪断補強筋を保持するための補助筋を有さないことを特徴とするPC製品。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内外型枠間の隙間にコンクリートを打設してPC製品を成形するにあたって、内型枠の各辺の長さを可変として寸法の異なる各種PC製品を成形できるようにしたPC製品成形用型枠およびその成形用型枠を用いたPC製品の製造方法およびこの製造方法により作製されるPC製品に関する。
【0002】
【従来の技術】近年では建築資材として各種PC(プレキャストコンクリート)製品が多く用いられる。例えば、これらPC製品としては断面中空矩形状の柱型枠や断面コ字状の梁型枠等があり、これら型枠を現場で設置して配筋および後打ちコンクリートを施すことにより、PC型枠と一体化したRC柱およびRC梁として構築することができる。このようなPC型枠の製造は成形用型枠を用いて行われるが、例えば中空のPC柱型枠の製造は、特公平7−49694号公報(Int.Cl.E04C 3/34)に開示されるように遠心コンクリート成形機を用いて、成形用型枠を回転させながら行う方法や、特許登録第2675724号公報(Int.Cl.B28B 7/18)に開示されるように加振機を用いて型枠を加振させながら行う方法が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかる従来のPC製品の製造方法では、いずれも予め所定寸法に形成された成形用型枠を用いて当該型枠を回転若しくは加振させながら内部のコンクリートを締め固めて硬化させるようにしているが、遠心力や振動に耐え得る強度をもたせて成形用型枠を作製しなければならず、当該型枠の作製コストが高くなる。また、1つの成形用型枠では単一寸法のPC製品のみしか製造することができず、若干の寸法調節も行えず、よって寸法の異なる他のPC製品の成形用として転用することができない。従って、寸法の若干異なる相似形のPC製品を製造する場合にあっても、それぞれに個別の成形用型枠を作製する必要があり、延いては多数の成形用型枠を用意しなければならず、製造するPC製品の製品単価の高騰が余儀なくされてしまうという課題があった。また、遠心成形用の回転装置や加振装置が必要であり、これらの装置の制約から、大きなPC製品を製造するには実際上において限界があった。
【0004】また、従来のPC製品にあっては、その内部に多数の剪断補強筋を埋設するにあたって、個々の剪断補強筋を補助筋に結束してこれを介して相互に繋いで形状保持させておく必要があり、建物構造上においては不要な鉄筋類を用いなければならず、材料費が余分にかかるだけでなく、組立の手間も要し、それだけ製作費用が嵩むという問題もあった。
【0005】本発明はかかる従来の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、内型枠の成形面の幅長さを可変として、1つの内型枠で寸法の異なる多種類のPC製品に対応し得、製品単価の可及的な低減化が図れるPC製品成形用型枠およびその成形用型枠を用いたPC製品の製造方法並びにPC製品を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するための本発明の手段を以下請求項毎に述べる。
【0007】■請求項1に示すPC製品成形用型枠は、内型枠を外型枠内に所定間隔を設けて配置し、これら内外型枠間にコンクリートを打設してPC製品を成形する成形用型枠において、上記内型枠を、コーナ部と直線部とに分割してコーナ部型枠と直線部型枠とによって構成し、これら両型枠の重合する部分を薄板状に形成し、この薄板部分を摺動自在に密接して重合するとともに、この重合量を可変調節して内型枠の各辺の長さを所望値に設定保持する可変機構を設けたことを特徴とする。
【0008】■請求項2に示すPC製品成形用型枠は、上記可変機構が、上記コーナ部を挟んで隣設される上記直線部型枠間に跨って配置される長さ調整可能な支保治具であることを特徴とする。
【0009】■請求項3に示すPC製品成形用型枠は、上記コーナ部型枠の内側にガイド部材を取り付け、このガイド部材の両端部に上記直線部型枠の端部を嵌合する係合部を形成したことを特徴とする。
【0010】■請求項4に示すPC製品成形用型枠にあっては、上記直線部型枠に幅の異なる複数種類を用意し、この幅の異なる直線部型枠の選択と、該直線部型枠と上記コーナ部型枠との重合量の調節とにより、任意の縦横比の大きさの内型枠に形成することを特徴とする。
【0011】■請求項5に示すPC製品成形用型枠にあっては、上記内型枠における直線部型枠のコンクリート打設面に凹凸模様を形成したことを特徴とする。
【0012】■請求項6に示す成形用型枠を用いたPC製品の製造方法にあっては、コーナ部と直線部とを分割して、互いに重合されるコーナ部型枠と直線部型枠とによって内型枠を構成し、これらコーナ部型枠と直線部型枠との重合量を大きくした状態でPC製品の剪断補強筋内に配置し、この状態でコーナ部型枠と直線部型枠とを重合量が小さくなる方向に相対移動して、上記剪断補強筋の内側いっぱいに内型枠を拡大し、外側に剪断補強筋が取り付けられた内型枠を、外型枠内に所定間隔を設けて配置し、これら内外型枠間の隙間にコンクリートを打設するとともに、所定期間養生し、コンクリートが所定の強度に硬化した後に、コーナ部型枠と直線部型枠とを重合量が大きくなる方向に相対移動して脱型することを特徴とする。
【0013】■請求項7に示すPC製品にあっては、コーナ部と直線部とに分割されて互いに重合されるコーナ部型枠と直線部型枠とからなる内型枠を用い、これらコーナ部型枠と直線部型枠との重合量を大きくした状態でその外側に所定間隔で閉鎖型の剪断補強筋を遊嵌配置し、この状態でコーナ部型枠と直線部型枠とを重合量が小さくなる方向に相対移動して、上記剪断補強筋の内側いっぱいに内型枠を拡大して、該内型枠の外側に剪断補強筋を密着固定し、該内型枠を外型枠内に所定間隔を設けて配置して、これら内外型枠間の隙間にコンクリートを打設するとともに、所定期間養生し、コンクリートが所定の強度に硬化した後に、コーナ部型枠と直線部型枠とを重合量が大きくなる方向に相対移動することにより脱型形成され、上記剪断補強筋を保持するための補助筋を有さないことを特徴とする。
【0014】以下本発明の作用を請求項毎に述べる。
【0015】■請求項1のPC製品成形用型枠では、内型枠をコーナ部型枠と直線部型枠とによって構成し、これら両型枠の薄板状に形成した一方を他方の成形面に重合して、この重合量を可変機構によって調整変更可能とするとともに、その変化させた位置で保持するようにしたので、この重合量を多くしたり少なくしたりすることにより、内型枠の辺の長さを簡単に変化させて設定することができる。つまり、上記重合量を多くすることにより内型枠の辺の長さを短くし、この内型枠を小型にすることができる一方、上記重合量を少なくすることにより内型枠の辺の長さを長くし、内型枠を大型とすることができる。従って、大きさの異なる複数種類のPC製品を成形する場合に、このPC製品の大きさに合わせて上記内型枠の辺長を調整しておき、この調整した内型枠をこれに対応した外型枠にセットしてコンクリートを打設することにより、複数種類の大きさのPC製品を1つの内型枠によって成形することができる。
【0016】■請求項2のPC製品成形用型枠では、上記可変機構を、上記コーナ部を挟んで隣設される上記直線部型枠間に跨って配置されるターンバックル等の長さ調整可能な支保治具で構成したので、この支保治具の長さに応じて隣設される直線部型枠間の距離を確定し、延いては、これら直線部型枠と上記コーナ部型枠との重合量を調整することができる。このため、この支保治具を上記重合量に応じてこれの全体長を決定しておくことにより、内型枠の各辺の長さを簡単かつ正確に目的の長さに設定することができ、精度の高い内型枠を得ることができる。
【0017】■請求項3のPC製品成形用型枠では、上記コーナ部型枠の内側に取り付けたガイド部材によって、このコーナ部型枠の折曲部分の強度を増大できることにより、このコーナ部型枠の薄肉化が可能となって軽量化を図ることができる。また、上記ガイド部材の両端部に上記直線部型枠の端部を嵌合する係合部を形成したので、この係合部に直線部型枠の端部をガイドできるため、コーナ部型枠と直線部型枠との重合量を調整する際の相対移動を容易にできるとともに、これら両型枠の分離を防止できる。
【0018】■請求項4に示すPC製品成形用型枠では、幅の異なる上記直線部型枠を複数種類用意しておき、この幅の異なる直線部型枠の選択と、当該直線部型枠と上記コーナ部型枠との重合量の調節との双方で、内型枠の大きさを調整するようにしたので、幅の異なる直線部型枠を適宜交換することにより内型枠の寸法を大きく変化させることができるとともに、上記縦横比を変えて長方形断面にすることもでき、かつ重合量の変化により内型枠の寸法を微調整することができる。
【0019】■請求項5のPC製品成形用型枠では、上記内型枠における直線部型枠のコンクリート打設面に凹凸模様を形成するので、成形されるPC製品の内面に凹凸模様が形成されることになり、当該PC製品の内部に打設される後打ちコンクリートとの結着性を向上させることができる。
【0020】■請求項6の成形用型枠を用いたPC製品の製造方法では、コーナ部と直線部とを分割して、互いに重合されるコーナ部型枠と直線部型枠とによって内型枠を構成し、これらコーナ部型枠と直線部型枠との重合量を大きくした状態、つまり内型枠を小さくした状態でPC製品の剪断補強筋内に配置し、剪断補強筋を所定の間隔で配置し、この状態でコーナ部型枠と直線部型枠とを重合量が小さくなる方向に移動して、上記剪断補強筋の内側いっぱいに内型枠を拡大する。従って、このように内型枠の外側が剪断補強筋で拘束されることにより、製造しようとするPC製品の大きさに合わせて内型枠の拡大量を簡単に調整することができる。そして、内型枠の外側に剪断補強筋が取り付けられた状態で、この内型枠を外型枠内に所定間隔を設けて配置し、次いでこれら内外型枠間の隙間にコンクリートを打設して所定期間養生し、コンクリートが所定の強度に硬化した後に脱型することにより、上記剪断補強筋が埋設されたPC製品を得ることができる。このとき、内型枠はその大きさを簡単に変えられるので、1つの内型枠で複数種類のPC製品に対応させることができ、型枠の数を削減して安価なPC製品を提供することができる。
【0021】■請求項7のPC製品にあっては、コーナ部と直線部とに分割されて互いに重合されるコーナ部型枠と直線部型枠とからなる内型枠を用い、これらコーナ部型枠と直線部型枠との重合量を大きくした状態でその外側に所定間隔で閉鎖型の剪断補強筋を遊嵌配置し、この状態でコーナ部型枠と直線部型枠とを重合量が小さくなる方向に相対移動して、上記剪断補強筋の内側いっぱいに内型枠を拡大して、該内型枠の外側に剪断補強筋を密着させて固定係止し、該内型枠を外型枠内に所定間隔を設けて配置して、これら内外型枠間の隙間にコンクリートを打設して形成されるから、上記剪断補強筋を保持するための補助筋を設ける必要がなく、またコンクリートが所定の強度に硬化した後に、コーナ部型枠と直線部型枠とを重合量が大きくなる方向に相対移動することにより容易に脱型して形成し得るから、材料費と組立手間とを省いて建物構造上において不要な鉄筋を一切用いていない廉価なPC製品が得られ、品質管理も容易になる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。図1から図5は本発明のPC製品成形用型枠およびその成形用型枠を用いたPC製品の製造方法の一実施形態を示し、図1は左右で切断位置を異ならせた型枠の断面図、図2は内型枠のコーナ部型枠を示し、(a)は片側端部の正面図、(b)は(a)中A−A線断面図、図3は内型枠の直線部型枠を示し、(a)は片側端部の平面図、(b)は(a)中B−B線断面図,(c)は(a)中C−C線断面図、図4は上下で型枠の大きさを異ならせた型枠の断面図、図5は内型枠のコーナ部分の拡大断面図である。
【0023】即ち、本実施形態のPC製品成形用型枠10は図1に示すように、内型枠12と外型枠14とを備え、内型枠12は断面矩形の筒体状に形成されるとともに、外型枠14は内方に所定間隔をもって該内型枠12を内包する断面コ字状に形成される。そして、上記外型枠14をその開口側を上方に向け、その内部に所定間隔をもって内型枠12をその軸心を水平に横置きにセットし、これら内外型枠12,14間の隙間に高流動コンクリートを打設してPC製品としてのPC柱型枠が製作されるようになっている。
【0024】ここで、本発明のPC製品成形用型枠10の基本構成は、上記内型枠12を、コーナ部と直線部とに分割してコーナ部型枠16と直線部型枠18とによって構成し、これら両型枠16,18の重合部分を薄板状に形成し、この薄板部分を摺動自在に密接して重合するとともに、この重合量を可変可能で、また変化位置に保持可能な可変機構19を設け、この可変機構19を調整することにより内型枠12の各辺の長さを任意の所望値に設定するようにしている。
【0025】上記可変機構19としては、上記コーナ部を挟んで隣設される上記直線部型枠18,18間に跨って配置される長さ調整が可能で圧縮にも強い支保治具が用いられ、具体的には本実施例ではターンバックル20を使用している。
【0026】上記コーナ部型枠16は、図2に示すように薄板状の鉄板をL字状に折曲して構成され、このL形のコーナ部型枠16の内側には適宜間隔をもって補強リブ22が固設されるとともに、このコーナ部型枠16の両端部にはガイド部材23が固設される。上記ガイド部材23の両側端部には、図1に示したように上記直線部型枠18の端部を嵌合する切れ込み状の係合部23aが形成される。尚、同図は左側半分と右側半分との断面位置が異なるため、ターンバックル20と補強リブ22とが右側上下に2箇所、ガイド部材23が左側上下に2箇所設けられているが、これら補強リブ22およびターンバックル20,ガイド部材23は内型枠12の四隅にそれぞれ設けられることは言うまでもない。また、上記コーナ部型枠16および上記直線部型枠18は、成形しようとするPC型枠の長さに応じた長さに形成される。
【0027】一方、上記直線部型枠18は、図3に示すように端太パイプ24の片面に、薄板状の鉄または木製等の平板26が張り合わされることにより構成される。端太パイプ24は断面矩形状の角形パイプで、平行な2本の主骨部24a間に適宜間隔をもって補強部24bが結合されて全体的に梯子状に構成され、上記平板26に作用する打設コンクリートの圧力を受けて、この平板26が変形するのを防止するようになっている。そして、上記コーナ部型枠16の両側部分は、上記直線部型枠18の平板26の両側部の外側に摺動可能に密接重合される。また、上記平板26の外側面、つまりコンクリートの打設面に凹凸模様を形成しておくことにより、成形されるPC製品の内面に凹凸模様が形成されるため、当該PC製品の内側に打設される後打ちコンクリートとの付着性を向上させることができる。上記直線部型枠18は、幅の異なる大きさのものが複数種類用意され、この幅が異なる直線部型枠18を適宜に選択して交換することによっても、内型枠12の大きさが調整されるようになっている。つまり、幅の小さな直線部型枠18を用いた場合は図4中上半分の状態となり、幅の大きな直線部型枠18を用いた場合は同図中下半分の状態となる。よって任意な縦横比の矩形断面にでき容易に長方形とすることもできる。また、このように直線部型枠18の幅変化で内型枠12の辺を変化させることができ、そして、このように変化させた状態で直線部型枠18とコーナ部型枠16との重合量を変化させることにより、各辺の大きさを多少の範囲で微調整を行うことができる。
【0028】上記ターンバックル20は、図5にも示すように上記コーナ部を挟んで隣設される直線部型枠18間に跨って配置され、このターンバックル20によって隣設される直線部型枠18間の距離を精度良く調整することができる。また、該ターンバックル20のねじ軸20aの先端部には、上記端太パイプ24の角部に係止されるようにY字状の取付け部20bが設けられている。
【0029】そして、かかる構成になる内型枠12を用いてPC柱型枠を製作するには、成形しようとするPC型枠の大きさに応じて直線部型枠18を用い、この直線部型枠18とコーナ部型枠16との重合量を大きくした状態、つまり、内型枠12の辺を短縮した状態で、上記PC型枠に埋設される多数の鉄板フープやフープ筋並びにスタラップ筋等の剪断補強筋30内に配置する。即ち、矩形の筒状を呈する内型枠12を縮径した状態でその外周部に長手方向に沿わせて適宜間隔をあけて上記多数のフープ筋や鉄板フープ等の剪断補強筋30を遊嵌させ、この状態でコーナ部型枠16と直線部型枠18とを重合量が小さくなる方向、つまり、内型枠12の辺を延長する方向に移動して拡径し、上記剪断補強筋30の内側いっぱいに内型枠12を拡大してその外側に多数の剪断補強筋30を個々に密着させて固定係止する。
【0030】そして、内型枠12の外側に剪断補強筋30を取り付けた状態で、この内型枠12を外型枠14内に所定間隔δを設けて配置し、コンクリート打設時のコンクリート圧により、内型枠全体が移動するのを阻止するために、内型枠を外型枠に適宜手段で固定する。次いで、これら内外型枠12,14間の隙間δに上方から高流動コンクリートを、内型枠12の上方に所定厚さが形成されるように打設するとともに、所定期間養生し、この高流動コンクリートが所定の強度に硬化した後に、コーナ部型枠16と直線部型枠18とを重合量が大きくなる方向に相対移動して脱型する。
【0031】また、本実施形態では内型枠12の下側と外型枠14の底面との間の中央部に、PC柱型枠の壁接続用の連続スリットを形成するため、長さ方向に沿って一対の仕切り板32,32を配置し、これら仕切り板32,32間に高流動コンクリートが進入しないようになっている。また、上記仕切り板32,32によって、内型枠12を所定の間隔δを設けて支持するようになっている。また、型枠内に高流動コンクリートを打設する際、上記仕切り板32,32間には発泡スチロール等の詰め物を充填しておくことが望ましい。更に、上記コンクリートとしては高流動コンクリートが用いられるので、型枠内の形状に沿ってくまなく行き渡らせることができ、形状精度を良好に形成し得るようになっている。
【0032】従って、本実施形態のPC製品成形用型枠10にあっては、内型枠12を構成するコーナ部型枠16と直線部型枠18との重合量を変化させることにより、内型枠12の各辺の長さを微調整することができ、かつ、幅の異なる上記直線部型枠18を交換することにより、各辺の長さを大きく変化させることができる。従って、製作しようとするPC型枠のサイズに合わせて上記内型枠12の大きさを変化させて設定調節することにより、1つの内型枠12で複数種類のPC型枠を容易に製作することができ、製品単価を可及的に下げることができる。
【0033】また、本実施形態では上記内型枠12の各辺の長さを調整する場合、上述したように予め製作しようとするPC型枠のサイズに応じた幅の直線部型枠18を選択して取り付けておき、そして、コーナ部型枠16と直線部型枠18との重合量を大きく、つまり内型枠12の各辺を小さくした状態でPC型枠に埋設される多数の剪断補強筋30内に配置する。そして、ターンバックル20を回転してコーナ部型枠16と直線部型枠18とを重合量が小さくなる方向に移動し、上記剪断補強筋30の内側いっぱいに内型枠12を拡大する。従って、このように内型枠12の外側が多数の剪断補強筋30で拘束されることにより、製造しようとするPC型枠の大きさに合わせて内型枠12の拡大量を簡単に調整することができる。また逆に、多数の剪断補強筋30は個々に内型枠12に密着して所定の位置に係合保持されるから、これら多数の剪断補強筋30は、PC製品内に埋設するにあたって従来のように補助筋を介してこれに結束して相互に繋いで形状保持させておく必要がなく、よって建物構造上において不要な鉄筋類を一切用いずに済む。
【0034】そして、剪断補強筋30の内側に内型枠12が嵌め込まれた状態で、この内型枠12を外型枠14内に、下側中央部を仕切り板32,32で支持させつつ所定間隔を設けて配置するとともに、図外の主筋を配置する。次いで、これら内外型枠12,14間の隙間δに上方から高流動性のコンクリートを打設した後、所定期間養生する。そして、コンクリートが所定の強度に硬化した後に内外型枠12,14から離脱させて脱型することにより、内外型枠12,14間の空間部形状に相応したPC柱製品を得ることができる。尚、外型枠14はPC型枠のサイズに応じて予め複数種類が用意されることになる。
【0035】ところで、本実施形態では上記内外型枠12,14を薄板状に形成して、一方を他方の成形面に重合し、この重合量をターンバックル20によって可変としたので、この重合量を多くしたり少なくしたりすることにより、内型枠12の各辺の長さを簡単かつ高精度をもって変化させることができる。つまり、上記重合量を多くすることにより内型枠12の各辺の長さを短くして、この内型枠12を小型にすることができる一方、上記重合量を少なくすることにより内型枠12の各辺の長さを長くして、内型枠12を大型とすることができる。
【0036】また、本実施形態では内型枠12のコーナ部を挟んで隣設される上記直線部型枠18間に跨ってターンバックル20を配置し、このターンバックル20の全体長さに応じて隣設される直線部型枠18間の距離を確定し、延いては、これら直線部型枠18と上記コーナ部型枠16との重合量を調整することができる。このため、このターンバックル20を上記重合量に応じて回転して、これの全体長を決定しておくことにより、内型枠12の各辺の長さを簡単かつ正確に目的の長さに設定することができ、精度の高い内型枠を得ることができる。
【0037】更に、上記コーナ部型枠16は、内側に取り付けた補強リブ22及びガイド部材23によってこのコーナ部型枠16の折曲部分の強度を増大できることにより、コーナ部型枠16の薄肉化が可能となって軽量化を図ることができる。また、上記ガイド部材23の両端部に上記直線部型枠18の端部を嵌合する係合部23aを形成したので、この係合部23aに直線部型枠18の端部をガイドできるため、コーナ部型枠16と直線部型枠18との重合量を調整する際の相対移動を容易にできる。また、上記係合部23aによってコーナ部型枠16と直線部型枠18とを係止して、これら両型枠の分離を防止できるため、内型枠12の組み立てが著しく容易になる。
【0038】また、上記実施形態では、筒体状の内型枠12の軸芯の方向を水平方向に配して横置き配置する例を示したが、図6,図7に示すように、当該内型枠12の軸芯Lの方向を鉛直方向に向けて縦置きに配設して成形するようにしても良い。この場合には、外型枠14は環状の筒体に形成し、コンクリートベッド36上に設置する。
【0039】このように、前記内型枠12の軸芯Lを鉛直方向に指向させて縦置き配置するように構成すると、作業時に占有する作業面積を小さくすることができ、限られた作業エリアで複数のPC製品を同時に製造することが可能になり、生産効率の向上が図れる。
【0040】また、PC製品としてのPC柱型枠に壁接続用の連続スリットを形成するために、その長さ方向に沿って一対の仕切り板32,32を配置してこれら仕切り板32,32間に高流動コンクリートが進入しないようにするにあたっても、この縦置き配置であれば、当該仕切板32がコンクリート打設の邪魔になることはなく、よって仕切り板32は任意の面に配設することができ、図示するように各面にそれぞれに一対ずつ仕切り板32を設けて、連続スリットをPC柱型枠の4面に形成することも容易に行い得る。また、コンクリートを打設するにあたっても、上方の開口部からだけでなく、コンクリート圧送ポンプなどを用いて下部から充填させることもできる。
【0041】ところで、本実施形態ではPC製品として断面矩形状のPC型枠を製作する場合を開示したが、これに限ることなく他のPC製品、例えば梁用等の断面コ字状のPC製品を製作する場合にあっても、本発明の内型枠構造および製造方法を適用して、高流動コンクリートの打設量を調節して容易に製造することができる。即ち、図8に示すように辺の長さが可変となった上記内型枠12を、1つのコ字型PC製品に対応した外型枠14aに配置して、1度のコンクリート打設工程で1個のコ字型PC製品を製造するようにしてもよい。この場合にあっても上記内型枠12は辺の長さが調節可能であるため型枠の転用性を備えることになる。ここで当然ながら、上記内型枠12の外周には環状の拘束筋30が配置されて、製造されるコ字型PC製品の内側面には当該拘束筋が埋設されてコ字部の両端から突出することになるが、当該コ字型PC製品を梁用あるいは柱の被覆用として用いる場合等において、その突出する拘束筋30が邪魔になるときにはその突出部分を切除しても良い。
【0042】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明のPC製品成形用型枠およびその成形用型枠を用いたPC製品の製造方法にあっては、以下に述べるような優れた効果を奏する。
【0043】■請求項1のPC製品成形用型枠では、内型枠をコーナ部型枠と直線部型枠とによって構成し、これら両型枠の薄板状に形成した一方を他方の成形面に重合して、この重合量を可変機構によって可変可能とするとともにその変化させた位置に保持可能にしたので、この重合量を多くしたり少なくしたりして、内型枠の辺の長さを簡単に変化させて所望の大きさに設定調節することができる。従って、1つの内型枠で複数種類のPC製品を製作することができるため、内型枠の共用化を達成してPC製品の単価を可及的に低減することができる。
【0044】■請求項2のPC製品成形用型枠では、上記可変機構を、上記コーナ部を挟んで隣設される上記直線部型枠間に跨って配置されるターンバックル等の様な支保治具で構成したので、この支保治具の長さに応じて隣設される直線部型枠間の距離を確定し、延いては、これら直線部型枠と上記コーナ部型枠との重合量を調整することができるため、内型枠の各辺の長さを簡単かつ正確に目的の長さに設定することができ、精度の高い内型枠を得ることができる。
【0045】■請求項3のPC製品成形用型枠では、上記コーナ部型枠の内側にガイド部材を取り付け、このガイド部材の両端部に上記直線部型枠の端部を嵌合する係合部を形成したので、ガイド部材によってコーナ部型枠の折曲部分の強度を増大でき、このコーナ部型枠の薄肉化が可能となって軽量化を図ることができる。また、上記ガイド部材の係合部に直線部型枠の端部をガイドできるため、コーナ部型枠と直線部型枠との重合量を調整する際の相対移動を容易にできるとともに、これら両型枠の分離を防止して内型枠の組み立てを容易にできる。
【0046】■請求項4に示すPC製品成形用型枠では、幅の異なる上記直線部型枠を複数種類用意し、この幅の異なる直線部型枠の選択と、当該直線部型枠と上記コーナ部型枠との重合量調節とによって、内型枠の大きさを所望の寸法に設定調整するようにしたので、幅の異なる直線部型枠の交換により内型枠の寸法を大きく変化させることができ、正方形断面のみならず、長方形断面にもすることができるとともに、上記重合量の変化により内型枠の寸法を微調整することができ、より幅広い寸法に対応させることができる。
【0047】■請求項5のPC製品成形用型枠では、上記内型枠における直線部型枠のコンクリート打設面に凹凸模様を形成するので、成形されるPC製品の内面に凹凸模様が形成されることになり、当該PC製品の内部に打設される後打ちコンクリートとの結着性を向上させることができる。
【0048】■請求項6の成形用型枠を用いたPC製品の製造方法では、コーナ部と直線部とを分割して、互いに重合されるコーナ部型枠と直線部型枠とによって内型枠を構成し、内型枠を小さくした状態でPC製品の剪断補強筋内に配置し、この状態で剪断補強筋の内側いっぱいに内型枠を拡大するようにしたので、内型枠の外側が剪断補強筋で拘束されるため、製造しようとするPC製品の大きさに合わせて内型枠の各辺の調整を簡単にすることができる。そして、内型枠に剪断補強筋が取り付けられた状態で、この内型枠を外型枠内に所定間隔を設けて配置し、これら内外型枠間の隙間にコンクリートを打設することにより、上記剪断補強筋が埋設されたPC製品を得ることができる。このとき、内型枠はその大きさを簡単に変えられるので、1つの内型枠で複数種類のPC製品に対応させることができ、型枠の数を削減して安価なPC製品を提供することができる。
【0049】■請求項7のPC製品にあっては、コーナ部と直線部とに分割されて互いに重合されるコーナ部型枠と直線部型枠とからなる内型枠を用い、これらコーナ部型枠と直線部型枠との重合量を大きくした状態でその外側に所定間隔で閉鎖型の剪断補強筋を遊嵌配置し、この状態でコーナ部型枠と直線部型枠とを重合量が小さくなる方向に相対移動して、上記剪断補強筋の内側いっぱいに内型枠を拡大して、該内型枠の外側に剪断補強筋を密着させて固定係止し、該内型枠を外型枠内に所定間隔を設けて配置して、これら内外型枠間の隙間にコンクリートを打設して形成されるから、上記剪断補強筋を保持するための補助筋を設ける必要がなく、またコンクリートが所定の強度に硬化した後に、コーナ部型枠と直線部型枠とを重合量が大きくなる方向に相対移動することにより容易に脱型して形成し得るから、材料費と組立手間とを省いて建物構造上において不要な鉄筋を一切用いていない廉価なPC製品が得られ、品質管理も容易になる。
【出願人】 【識別番号】591222706
【氏名又は名称】株式会社ショックベトン・ジャパン
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
【出願日】 平成10年9月30日(1998.9.30)
【代理人】 【識別番号】100071283
【弁理士】
【氏名又は名称】一色 健輔 (外2名)
【公開番号】 特開2000−6132(P2000−6132A)
【公開日】 平成12年1月11日(2000.1.11)
【出願番号】 特願平10−278133