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【発明の名称】 ワーク搬送ロボットの教示装置
【発明者】 【氏名】野村 真

【要約】 【課題】ワーク搬送ロボットの教示を容易かつ短時間に行うことができる。

【解決手段】ワーク搬送ロボットRはx軸(走行軸)上にロボット本体を走行移動させ、旋回軸3、第1軸4、第2軸5を回転させることによりハンドHを旋回軸3に対して伸縮動作させることができる。ハンドH上にはガラス基板等のワークWが載置され、走行動作と伸縮動作とを組み合わせ制御することによってワークWをカセット20から他のカセットに搬送する。このワーク搬送ロボットRに対する教示を行う場合、まずハンドHの位置Pと方向のみを初期教示し、正規姿勢指示ボタンの押下によって各軸を駆動制御して正規姿勢に移動させる。これにより、初期教示状態における旋回軸3の中心x1はx2に移動し、P点と旋回軸3の中心との距離はr1からr2となり、ハンドHの位置と方向とを維持したまま、ワーク搬送ロボットRのアクセス方向がハンドHの初期教示の方向に一致した正規姿勢に自動的に教示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも走行軸、旋回軸およびハンド手首軸を有してハンドの位置制御を行い、該ハンド上に載置されるワークの搬送制御を行うワーク搬送ロボットの教示装置において、初期教示された前記ハンドの位置および方向を含めた前記ワーク搬送ロボットの初期姿勢を検出する検出手段と、前記ハンドの位置および方向を維持した前記ワーク搬送ロボットの正規姿勢位置を演算する演算手段と、前記正規姿勢位置をもとに少なくとも前記走行軸、旋回軸およびハンド手首軸を駆動させて前記ワーク搬送ロボットを正規姿勢に移動させる駆動制御手段と、前記駆動制御手段による駆動開始を指示する駆動指示手段とを具備したことを特徴とするワーク搬送ロボットの教示装置。
【請求項2】 前記ワーク搬送ロボットは、クリーンルーム内で教示され、該クリーンルーム内で前記ワークを搬送制御することを特徴とする請求項1に記載のワーク搬送ロボットの教示装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ワーク搬送ロボットの教示装置に関し、特に冗長自由度をもつワーク搬送ロボットを正規姿勢に迅速に教示することができるワーク搬送ロボットの教示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、ガラス基板やウェハ等のワークをクリーンルーム内でワーク搬送ロボットを用いて所定のカセットから取り出し、他のカセット等に収納させるワーク搬送システムがある。このワーク搬送ロボットは教示処理によって指示された所定の搬送制御を行う。
【0003】例えば、図5(a)は、ワーク搬送ロボットR1によってカセット50に格納されたワークW1を取り出す状態を示しており、ワークW1は、ハンドH2上に載置され、旋回軸43を左回転、第1軸44を右回転、第2軸45を左回転させてハンドHを旋回軸方向に縮めることによってカセット50から取り出される。この際、ハンドH2は、旋回軸43と第2軸45とを結ぶ直線上を移動する。その後、ハンドH2上に載置されたワークW1がカセット50の外に移動した段階でロボット本体41を走行軸48上で移動させて他のカセットの前面まで移動させ、ハンドH2を伸長させることによって他のカセット内に収納する。この場合におけるハンドH2のカセット50に対する方向づけは、旋回角43を回転させることによって行われる。
【0004】ここで、ワーク搬送ロボットR1に教示する際、図5(b)に示すようにカセット50におけるワークW1の取り出し方向が旋回軸43の中心から外れた方向にある場合、ハンドH2は第2軸45と旋回軸43の中心とを結ぶ線上を移動する軌跡を描くため、ハンドH2は、カセット50の内壁に当接し、ハンドH2上のワークW1に位置ずれが生じ、最悪の場合、ワークW1が破損してしまう。このため、ワーク搬送ロボットR1に対する教示は、図5(a)に示すように、カセット50におけるワークW1の取り出し方向が第2軸45と旋回軸43の中心とを結ぶ直線上にある正規姿勢として教示しなければならない。
【0005】特に、カセット50とワークW1との間の間隙dは数ミリ程度の余裕しかなく、ワーク搬送ロボットR1に対する教示には非常に高い精度が要求される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述したようにワーク搬送ロボットを用いてワークの搬送制御を行う場合、まず教示を行わなければならないが、カセットの取り出し、あるいは収納方向(以下、「アクセス方向」という。)とハンドの伸縮方向とを一致させる教示は、図5に示すような冗長自由度をもったワーク搬送ロボットに対して行う場合、多大な労力と時間がかかるという問題点があった。
【0007】なぜなら、教示者は、図5においてハンドH2をカセット50近傍の所定位置に設定してこの所定位置を維持させることと、ワーク搬送ロボットR1自体が正規姿勢にあることとの両方を確認し、調整する必要があり、各軸の微動調整の繰り返しとなるからである。端的に言えば、教示者は、やや遠方にある所定位置に設定したハンドH2の位置が変化しないように気を付けながら、手前にあるロボット本体41を走行軸上で移動し、旋回軸43等の軸を回転させて正規姿勢を取る調整をしなければならないからである。
【0008】しかも、最終的なハンドH2の位置を維持したワーク搬送ロボットR1の正規姿勢を得るまでの教示時間が長くなり、例えばロボット本体41を走行軸48上で繰り返し駆動させることになるため、ギヤやボールスクリュー等の発塵量を増大させ、クリーンルーム内のクリーン度を低下させるという問題点があった。
【0009】そこで、本発明はかかる問題点を除去し、ワーク搬送ロボットの教示を容易かつ短時間に行うことができるワーク搬送ロボットの教示装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段および効果】第1の発明は、少なくとも走行軸、旋回軸およびハンド手首軸を有してハンドの位置制御を行い、該ハンド上に載置されるワークの搬送制御を行うワーク搬送ロボットの教示装置において、初期教示された前記ハンドの位置および方向を含めた前記ワーク搬送ロボットの初期姿勢を検出する検出手段と、前記ハンドの位置および方向を維持した前記ワーク搬送ロボットの正規姿勢位置を演算する演算手段と、前記正規姿勢位置をもとに少なくとも前記走行軸、旋回軸およびハンド手首軸を駆動させて前記ワーク搬送ロボットを正規姿勢に移動させる駆動制御手段と、前記駆動制御手段による駆動開始を指示する駆動指示手段とを具備したことを特徴とする。
【0011】第1の発明では、初期教示されたハンドの位置および方向を維持したワーク搬送ロボットの正規姿勢を自動的にとることができるので、教示処理が容易となり、また教示処理にかかる時間が短縮するという効果を有する。
【0012】第2の発明は、第1の発明において、前記ワーク搬送ロボットは、クリーンルーム内で教示され、該クリーンルーム内で前記ワークを搬送制御することを特徴とする。
【0013】第2の発明では、第1の発明によってワーク搬送ロボットの教示処理時の駆動回数、時間が少なくなるので、結果的にクリーンルーム内におけるゴミ等の発生が少なくなり、クリーン度を維持することができるという効果を有する。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0015】図1は、本発明の実施の形態であるワーク搬送ロボットの教示装置による教示処理を説明する説明図である。図1において、ワーク搬送ロボットRは、クリーンルーム内に配置され、ハンドH上にカセット20内のワークWを載置して取り出し、他のカセットに搬送し、あるいは他のカセットから搬送されたワークWをカセット20内に収納する。ワークWは、長方形薄型平板のガラス基板である。
【0016】ワーク搬送ロボットRは、図2に示すように、ロボット本体1内のモータM2によって回転駆動される旋回軸3に第1アーム6の基部が結合し、旋回軸3の回転に従って第1アーム6は旋回する。第1アーム6の先端にはモータM3が設置され、このモータM3によって回転駆動される第1軸4に第2アーム7の基部が結合し、第1軸4の回転に従って第2アームは回転する。さらに、第2アームの先端にはモータM4が設置され、このモータM4によって回転駆動される第2軸5にハンドHの基部が結合し、第2軸5の回転に従ってハンドHが回転する。また、ロボット本体1は、モータM1の駆動によって走行軸8上を移動することができる。これら旋回軸3、第1軸4、第2軸5の回転、および走行軸8上の移動は、ロボットコントローラ10の制御のもとに行われる。また、ロボットコントローラ10の制御は、ティーチングボックス15を用いて予め設定された教示処理の内容に従って行われる。
【0017】図1において、ハンドHは、上述したロボットコントローラ10の制御のもと、各軸の回転、走行軸上の移動を制御することによって任意の軌跡を描くことができる。但し、制御処理上の簡略化のため、ハンドHは、第2軸5と旋回軸3とを結ぶ直線上の軌跡を描くという制限がある。これは、ハンドHの伸縮動作は、旋回軸3、第1軸4、第2軸5を所定の比率で回転させることによって実現できるからである。例えば、ハンドHを伸長させる場合、旋回軸3をα度右回転させ、第1軸4を2α度左回転させ、第2軸5をα度右回転させるという簡単な制御によって実現できる。
【0018】ここで、図1に示すように、カセット20におけるワークWの取り出し方向が必ずしも走行軸8(x軸)に垂直とならないで配置される場合ある。このような場合、教示者がハンドHをカセット20のワークWの取り出し位置に教示しても、通常、カセット20におけるワークWの取り出し方向とハンドHのアクセス方向(伸縮動作方向)とを一度で一致させることは困難である。なお、図1では、カセット20におけるワークの取り出し方向と走行軸8とを垂直にしないで示したが、垂直である場合にも、カセットの設置誤差等の要因により、カセット20におけるワークWの取り出し方向とハンドHのアクセス方向とを一致させることは困難である。
【0019】そこで、本発明の実施の形態では、教示者がハンドHの向きと位置とを初期教示として教示すると、このハンドHの向きと位置とを維持したまま、カセット20におけるワークの取り出し方向とハンドHのアクセス方向とが一致した正規姿勢に自動的に移動させるようにする。
【0020】図1において、初期教示の状態でワーク搬送ロボットRは正規姿勢の状態ではなく、旋回軸3は走行軸(x軸)上の座標x1に位置している。また、初期教示の状態で、ハンドHの向きは正規姿勢のアクセス方向を向いており、ハンドHを結合する第2軸5の位置はxy座標上、点P(xh,yh)にある。従って、旋回軸3の位置をx軸上、x2に移動し、これに対応して旋回軸3を左回転して第1アーム6を第1アーム6’の位置にし、第1軸4を左回線して第2アーム7を第2アーム7’の位置にし、第2軸5を右回転してハンドHを維持するようにすればよい。この関係をxy座標を用いて説明する。
【0021】初期教示の状態で、点Pと旋回軸3の中心とを結ぶ直線と、x軸とのなす角度はθbであり、ハンドHの向きは正規姿勢におけるハンドHのアクセス方向と一致し、x軸とのなす角度は(θa+θb)である。
【0022】ここで、点P(xh,yh)の座標は、点P(xh,yh)と点(x1,0)との距離をr1とし、点P(xh,yh)と点(x2,0)との距離をr2とすると、P(xh,yh)=(x1+r1cosθa,r1sinθa)=(x2+r2cos(θa+θb),r2sin(θa+θb))
となる。従って、各x成分およびy成分が等しいので、 x1+r1cosθa=x2+r2cos(θa+θb) (1)
r1sinθa=r2sin(θa+θb) (2)
が成立する。この(1)式および(2)式の連立方程式を解くと、r2=r1sinθa/sin(θa+θb)
x2=x1+r1cosθa−r1sinθa/tan(θa+θb)
を得る。
【0023】従って、初期教示の状態における距離r1を距離r2にし、旋回軸3の位置x1を位置x2に移動させる各軸の制御を行うことによって、ハンドHを初期教示の方向および位置に維持したまま、ワーク搬送ロボットRを正規姿勢にすることができる。
【0024】このため、ロボットコントローラ10は図2に示すように、初期教示位置検出部11が初期教示の状態における旋回軸3,第1軸4,第2軸5,および走行軸8の位置を検出し、座標値算出部12は、検出した値から各軸のxy座標上の位置を算出する。正規姿勢位置算出部13は、座標値算出部12が算出した値をもとに上述したr2とx2とを求め、正規姿勢時における各軸の値を算出する。そして、モータ駆動制御部14は、正規姿勢位置算出部13が算出した値に従って各軸を駆動制御し、ワーク搬送ロボットRを正規姿勢に移動させる。
【0025】次に、図3に示すフローチャートを参照して、ロボットコントローラ10による教示処理手順について説明する。
【0026】図3において、まず教示者によって初期教示、すなわちハンドHの位置(P点)および方向(アクセス方向、すなわちカセット20の側壁に平行な方向)が教示される(ステップS1)と、初期教示位置検出部11は、各軸、すなわち旋回軸3、第1軸4、第2軸5、および走行軸8の現在位置の値を取得する(ステップS2)。その後、座標値算出部12は、この取得された値をもとに、初期教示の状態における第2軸5の座標値、x1,r1,θa,θbを算出する(ステップS3)。そして、正規姿勢位置算出部13は、上述した(1)式および(2)式の連立方程式の解である正規姿勢の状態における第2軸5の座標値、x2,r2,θa,θbを算出し(ステップS4)、さらに正規姿勢の状態における各軸の駆動量(移動量)を算出する(ステップS5)。その後、ティーチングボックス15の正規姿勢指示ボタン14が教示者によって押下されることによる正規姿勢への移動指示があったか否かを判断し(ステップS6)、正規姿勢への移動指示がない場合はステップS1に移行して上述した処理を繰り返し、正規姿勢への移動指示があった場合、モータ駆動制御部14は、ステップS5で算出された駆動量をもとに各モータM1〜M4を駆動制御して各軸を駆動させ、ワーク搬送ロボットRを正規姿勢に移動させる(S7)制御を行って本処理を終了する。
【0027】このようにして上述した実施の形態では、ハンドHに対する所望の位置と方向とを初期教示するのみでワーク搬送ロボットRに対する正規姿勢位置を自動的に教示することができ、教示処理を容易かつ短時間に行うことができる。
【0028】また、ワーク搬送ロボットRに対する教示が短時間で済むため、各軸の微動動作の繰り返しが低減され、各軸の動作繰り返しに伴うゴミ等の発生が少なくなり、特にクリーンルーム内で動作するワーク搬送ロボットRに教示する場合、クリーンルーム内のクリーン度を劣化させることがない。
【0029】次に、図4を参照して、冗長自由度をもった他のワーク搬送ロボットRRに上述した教示装置を適用した場合について説明する。
【0030】図4に示すワーク搬送ロボットRRは、旋回軸3に対応する旋回軸32と、この旋回軸32の中心に対して垂直に移動するスライド軸31と、このスライド軸31の先端で軸33で結合されるハンドH1を有する。また、旋回軸32は、ワーク搬送ロボットRのロボット本体1と同様なロボット本体上に設置されるとともに、このロボット本体には走行軸8と同様な走行軸が取り付けられ、x軸上を移動することができる。
【0031】ワーク搬送ロボットRRは、旋回軸32を左右に回転させることによってスライド軸31を旋回することができ、スライド軸31をスライドさせることによってハンドH1を旋回軸32に対して前後に伸縮動作を行うことができる。また、ハンドH1は、軸33を中心に左右に回転することができる。
【0032】従って、ワーク搬送ロボットRRの教示は、初期教示時のハンドH1の位置P点とx軸上のx1との距離をr1、およびx軸とx1−P線との角度をθaとし、正規姿勢時の位置P点とx軸上のx2との距離をr2、およびx軸とx2−P線との角度をθa+θbとすることによって、ワーク搬送ロボットRに対する教示と同様にして行うことができる。この初期教示姿勢から正規姿勢への移動は、スライド軸31をr1からr2にスライドさせ、旋回軸32をθaからθa+θbに回転させ、走行軸をx1からx2に移動させ、軸33をθb分右回転させる制御を行うことによって達成することができる。
【出願人】 【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
【出願日】 平成10年7月13日(1998.7.13)
【代理人】 【識別番号】100071054
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 高久
【公開番号】 特開2000−24969(P2000−24969A)
【公開日】 平成12年1月25日(2000.1.25)
【出願番号】 特願平10−197366