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【発明の名称】 自動2輪車用後輪整備スタンド
【発明者】 【氏名】甲 哲男

【氏名】稲見 重人

【氏名】小野 信夫

【氏名】原 直紀

【要約】 【課題】接地面の凹凸に対応する調節を簡単かつ確実にする。

【解決手段】後輪整備スタンドのリフトアーム21上部に上下方向へ長い長穴39を設け、これに通したボルト31にスライダ33及び係合ピン30を取付ける。スライダ33の下部は、その下方のリフトアーム21に設けられた支持突部35へ調節自在に取付けられている調節ネジ36の頭部37に当接し、調節ネジ36を上下させるとスライダ33が移動し、これと一体の係合ピン30も上下する。左右のリフトアーム21の係合ピン30はそれぞれ独立して高さ節自在であり、これにより接地面の凹凸に対して各別にかつ的確に調節可能になる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】後輪を間に挟んで支持する左右一対のリヤスイングアームをそれぞれ持ち上げることにより後輪を浮き上がらせて支持するリフトアームを左右一対で備えるとともに、後輪を車体後方から着脱自在とした自動2輪車用後輪整備スタンドにおいて、左右の各リフトアーム上端部に設けられるリヤスイングアームとの当接部を、それぞれ独立してかつネジ式で高さ調節動自在としたことを特徴とする自動2輪車用後輪整備スタンド。
【請求項2】 下部中央に複数のローラーを前後方向へ配列するとともに、各ローラー取付位置を後方側が高くなるように傾斜させた後輪ガイド部を備えたことを特徴とする請求項1に記載した自動2輪車用後輪整備スタンド。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は後輪を車体後方から交換する際等に使用するための自動2輪車用後輪整備スタンドに関する。
【0002】
【従来の技術】実開平4−104791号には、自動2輪車の後部を支持するため、側面視略L字状をなす後輪整備スタンドが示されている。この後輪整備スタンドは、左右のリヤスイングアーム後部を支持するリフトアームを左右一対で有するとともに、各リフトアームは伸縮自在に嵌合する内外のパイプで構成され、それぞれに長さ方向へ形成された複数のボルト挿通孔のいずれかを一致させてボルトを挿通することにより長さ調節自在になっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一般に、自動2輪車の後輪を整備するとき接地面が平坦であれば問題ないが、凹凸があると、後輪整備スタンドにおける左右のリフトアームの長さを調節して車体支持点の高さを左右で一致させることが望ましい。
【0004】ところで、上記従来構造の場合、後輪整備スタンドによる支持前に左右のリフトアームの長さを調節する必要がある。なぜならば、このようなボルト挿通式の調節機構では、ボルトを外すと上方のパイプがフリーになってしまうため、後輪整備スタンドを立ててから、一方の支持アームの長さを調節しようとすれば、車体を別の手段で支持させてリフトアームへ荷重がかからないようにしなければならず、実際上はこのような作業が困難であるためである。
【0005】また、ボルト押通孔の間隔も、パイプの強度維持の必要より自ずから制限があるので調節できる長さも粗くなり、接地面の凹凸に対して適確に対応できない。したがって本願発明は係る左右のリフトアームにおける高さ調節を容易にしてかつ接地面の凹凸変化に適確に対応可能とする調節機構の提供を目的とする。
【0006】さらに、レース用等迅速な後輪交換が要求される場合には、後輪の車体に対する位置決めが容易でなければならない。そこで、係る位置決めを容易にして作業の迅速化を可能とする構造の提供も併せて目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本願の自動2輪車用後輪整備スタンドに係る第1の発明は、後輪を間に挟んで支持する左右一対のリヤスイングアームをそれぞれ持ち上げることにより後輪を浮き上がらせて支持するリフトアームを左右一対で備えるとともに、後輪を車体後方から着脱自在とした自動2輪車用後輪整備スタンドにおいて、左右の各リフトアーム上端部に設けられるリヤスイングアームとの当接部を、それぞれ独立してかつネジ式で高さ調節動自在としたことを特徴とする。
【0008】第2の発明は、上記第1の発明において、下部中央に複数のローラーを前後方向へ配列するとともに、各ローラー取付位置を後方側が高くなるように傾斜させた後輪ガイド部を備えたことを特徴とする。
【0009】
【発明の効果】第1の発明によれば、左右のリフトアームの各上端部に設けられるリヤスイングアームとの当接部を、それぞれ独立してネジ式で高さ調節自在としたので、後輪整備スタンドにより車体を支持した後でも、接地面の凹凸に対応して各当接部の高さネジ式で調節することができ、容易かつ適確に調節可能となる。
【0010】第2の発明によれば、後輪整備スタンドの下部中央に複数のローラーを前後方向へ並べた後輪ガイド部を設けるとともに、この後輪ガイド部のローラー取付位置を後方側が高くなるように傾斜させたので、後輪を交換するときこの後輪ガイド部によって位置決めが正確になる。しかも、後輪は後輪ガイド部を利用して車体の斜め後上方から着脱できるので後輪の交換も容易となる。したがって、後輪の交換作業が迅速になる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、耐久レース用自動2輪車に適用する実施例を図面に基づいて説明する。図1は、後輪整備スタンドの使用状態(車体支持状態)において、車体後方から左半分側を一部断面にして示した図、図2は後輪整備スタンドの側面図、図3はその平面図、図4は後輪ガイド部の平面図、図5は図4の5−5線断面図、図6は後輪整備スタンド使用状態の側面図、図7は図6の7−7線断面図、図8〜図12はそれぞれ後輪交換の工程を示す図である。
【0012】まず、図1並びに図6及び図7に示すように、この自動2輪車は、チェーン駆動される後輪1がその左右に設けられたリヤスイングアーム2(図では車体左側のみ示す)に挟まれて、車軸3により回転自在に支持されている。
【0013】車軸3は中空の長尺ボルトであり、頭部4の中央部に開口する穴は後述するマーカー5で嵌合閉塞されるとともに、後輪1のハブ6及びこれに係合するスプロケット7を貫通して他側へ延び、図示をしないがその先端ネジ部を他側(車体右側)のリヤスイングアーム2から突出させ、ここでナットにより締結されている。
【0014】ハブ6のスプロケット7に対面する端部は、略5角形の花びら状部8をなし(図6参照)、一方、スプロケット7の中央部で花びら状部8に対面する側には、この花びら状部8を嵌合することにより両者が一体回転可能に係合するための、対応形状をした係合凹部9が設けられている。
【0015】但し、この係合凹部9は、完全に花びら状部8と対応する形状ではなく、図6に示すように後半側が斜め上方へ向けて開放され、花びら状部8を車体後方から斜め上方へ係脱可能になっている。
【0016】スプロケット7は、係合凹部9と花びら状部8が係合しているときハブ6と一体化され、チェーン10により車軸3を中心に駆動回転されて後輪1を駆動するとともに、車軸3を図7の左側へ抜いて先端部をハブ6から外し、かっスプロケット7だけを支持する状態にすれば、車軸3を介してリヤスイングアーム2側へ支持された状態で残され、後輪1のみを取り外し可能になる。
【0017】左右の各リヤスイングアーム2の後端部にはフック11がそれぞれ前端部を取付けられて後方へ延出している。フック11は後方へ斜め下がりに延びる上部12と、より下方へ向けて延びる前部13との二又状をなし、上部12と前部13により形成される略V字状の空間14が後方かつ斜め下方へ向かって解放されている。
【0018】上部12と前部13のコーナー部が後述する後輪整備スタンド18に対する受け部15となる。また、前部13は図1に示すように下方が車体中心へ向くように傾斜し、この傾斜面の傾きは後輪1の外周部幅方向端部における接線L(図1)と略一致している。
【0019】次に、後輪整備スタンドについて説明する。図1乃至図3に示すように、後輪整備スタンド18は、接地面に対して略平行をなし、平面視で車体前方へ向かって略コ字状をなす基部20と、その左右各前端部から略直角に上方へ延びる左右一対のリフトアーム21を備えている。
【0020】基部20とリフトアーム21の間には斜めの側部補強22が設けられ、基部20における左右の前後方向部と後部間にも斜めの底部補強23が左右一対で設けられ、左右の底部補強23の後部間にはクロスパイプ24が設けられ、その上に後輪ガイド部支持台25が設けられ、ここに複数のローラーを配列した後輪ガイド部26が支持されている。
【0021】基部20の後部には、斜め下がりに後方へ延びる平面視略コ字状のハンドル27が設けられている。また、基部20の左右部分各前端部には接地ローラー28が支持されている。
【0022】左右のリフトアーム21の各上端部には、リヤスイングアーム2との当接部として、フック11と係合するための係合ピン30がボルト31により取付けられ、リフトアーム21から車体中心側へ向かって車幅方向へ突出するように設けられている。
【0023】係合ピン30のリフトアーム21側端部周囲には側面視で略円板状なすガイドプレート32の中心部が取付けられている。このガイドプレート32の上半部側は外周側が外側方へ傾くように傾斜しており、その傾斜は前部13とほぼ平行している。
【0024】また、係合ピン30はガイドプレート32の取付部近傍でスライダ33へ一体化されている。このスライダ33にはボルト31を通す係合ピン30と同心のボルト通し穴34が形成されているとともに、その下端部はリフトアーム21の支持突部35にネジ止めされた調節ネジ36の頭部37に当接している。支持突部35はリフトアーム21の内側側面で係合ピン30より下方位置に車体内方へ突出するよう一体に形成されている。
【0025】調節ネジ36は支持突部35に対して調節自在にネジ止めされ、かつロックナット38で位置決めされる。また、ボルト31の貫通するリフトアーム21の上部には上下方向へ長い長穴39が形成され、これによりボルト31を緩め、かつ調節ネジ36を調節することにより頭部37の高さを変えれば、スライダ33が上下方向へ移動して係合ピン30の高さが変化するようになっている。
【0026】係合ピン30は、車体内方の先端側にフランジ部40が設けられ、フック11に対する外側方への抜け止めになるとともに、これを貫通して車体内方へ突出するボルト31の先端ネジ部へヘナット41を締結することにより、係合ピン30がボルト31と一体化されている。
【0027】次に、後輪ガイド部26の構造を説明する。図2〜図6に示すように、後輪ガイド部26のローラーは、中央ローラー50と、その左右に酎列した側部ローラー51の3列からなり、それぞれは前後方向へ各3個づつ配置され、上向きコ字状断面の支持部材52、53へ軸止めされている。各支持部材52、53は共通の支持プレート54へボルト等により一体化されている。
【0028】中央ローラー50は円柱状をなし、側部口一ラー51は後輪1の外周側部側と接触するように円錐台状をなし、車幅方向において、中央ローラー50が低く、かつ側部ローラー51が高くなるように取付けられ、このため支持部材52が低く、支持部材53が高くなっている(図5)。
【0029】さらに、支持プレート54は、後輪ガイド部支持台25に対して側面視で前方へ斜め下がりに取付けられ、この傾斜角度は調節自在になっている(図2)。後輪ガイド部26の傾斜は、図6に示すように、後輪1を着脱するとき、花びら状部8が係合凹部9に対して容易に係脱するよう案内できる角度に設定されている。
【0030】図6及び図7に示すように、車軸3を構成するボルトの頭部4の中心部に開口する車軸3の軸穴にはマーカー5が圧入により取付けられている。マーカー5は車軸3の穴径よりも若干大きめな外径のプラスチック等弾性のある適宜適材料で形成され、車軸3の軸穴内へ回転中に抜け出さない程度に固定されるための円筒状をなす胴部と、その一端で外部へ露出する頭部16を有する。
【0031】頭部16の表面には同方向へ例えば90゜間隔で、赤、青等交互に色を変えたマーク17が付されている。車軸3をナットで締め付け又は取り外す場合、ナット側を回転させるので、作業中は車軸3がナットと共回りしてマーク17が連続模様になり、個々のマーク17を判別しにくい状態になる。
【0032】したがってマーカー5におけるマーク17の見え方を見れば、たちどころに作業中か作業終了かを判別できる。このことは車体の左右両側に分かれて別々の作業者がチームワークにより作業するレース場におけるチームワーク作業に特に有利であり、声の掛け合い等に加えて目視によりさらに適確に作業状況を判別できる。
【0033】なお、マーカー5は種々に変形可能であり、必ずしも嵌合式の取付構造を有するものではなく、円形等の平板状等適宜形状が可能であり、ネジ止めや接着で取付けてもよい。また、締結作業における共回り時にシャフト部材の端面で一体に回転するものであればよいから、シャフト端面へ直接ペイント等何らかのマークをつけたものでも足り、かつシャフトも後輪車軸に限らず、前輪用の車軸その他の用途に供されるものでもよい。
【0034】次に、図8〜図12に基づいて本実施例の作用を説明する。後輪1を交換するには、まず、後輪整備スタンド18を斜めにして車体の後方より前進させ、後輪1を左右の支持アーム21の間へ入れるようにする(図8)。
【0035】続いて、係合ピン30をフック11の受け部15に係止させてからハンドル27を下方へ押すと、リフトアーム21は接地ローラー28を支点として図の時計回りに回動し(図9)、リフトアーム21が直立すると、車体後部がリフトされて後輪1が浮き上がる(図10)。
【0036】この状態で車軸3を車体左側へ抜き出し、先端でスプロケット7のみを支持する状態にすると、後輪1の花びら状部8がスプロケット7の係合凹部9から抜け出し可能になるので、後輪1を後方へ引き抜く(図11)。
【0037】このとき、後輪1は後輪ガイド部26に案内されて後方へ斜め上がりに進むため、花びら状部8と係合凹部9の分離がスムーズであり、かつその後の後輪1の後方移動も容易になる(図12)。
【0038】新しい後輪1を取付けるには、逆手順で行う。 このとき後輪1を車体後方から差し込むと、図12及び図11の状態では、後輪ガイド部26により、後輪1を適確に位置決めできるので、容易かつ迅速に花びら状部8を係合凹部9へ係合できる。
【0039】また、係合ピン30を受け部15へ係合させるとき、前部13及びガイドプレート32の傾斜による車体のガイドにより、係合ピン30と受け部15の係合が容易になるとともに、前部13及びガイドプレート32の傾斜は、後輪1を車体中心へ導くように設定されているから、後輪1を車体中心へ容易に付置決めでき、後輪ガイド部26の延長上へ位置決めできる。
【0040】さらに、車体をリフトした図10の状態で、接地面に凹凸があれば、左右いずれかのリフトアーム21における調節ネジ36を回して頭部37の突出量を調節することによりスライダ33を上下に移動させ、左右の係合ピン30が同じ高さになるようにする。
【0041】この調節ネジ36による調節はネジ式のため、車体をリフトした状態でも簡単にでき、かつ現実の接地面の凹凸に対応して正確かつ容易にできる。そのうえ、調節時に移動する調節部材は、スライダ33、ガイドプレート32及び係合ピン30等であって最小限度にできる。
【出願人】 【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【出願日】 平成10年7月8日(1998.7.8)
【代理人】 【識別番号】100089509
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 清光
【公開番号】 特開2000−24962(P2000−24962A)
【公開日】 平成12年1月25日(2000.1.25)
【出願番号】 特願平10−193486