トップ :: B 処理操作 運輸 :: B23 工作機械;他に分類されない金属加工




【発明の名称】 耐熱硬質被膜被覆工具
【発明者】 【氏名】阿部 利彦

【氏名】朴 容浩

【氏名】橋本 等

【氏名】櫻井 正俊

【要約】 【課題】さらに耐熱性および耐酸化性に優れかつ高硬度で優れた耐摩耗性を有する硬質被膜を備えた耐熱硬質被膜被覆工具を提供する。

【解決手段】耐熱硬質被膜被覆工具10は、たとえば超硬合金製(WC−10Coを主成分とするJISZ10相当品)の基材12と、その基材12の表面上に固着された耐熱硬質被膜14とを備えている。この耐熱硬質被膜14の材質は、(Tix Al1-x-y (SiC)y )N(但し、0.3≦x≦0.7、0.02≦y≦0.2)から構成されることにより、耐熱性および耐酸化性に優れかつ高硬度で優れた耐摩耗性が備えられているので、乾式切削などの高温切削においても耐熱硬質被膜被覆工具10の耐熱性および耐酸化性に優れかつ高硬度で優れた耐摩耗性が得られるようになっている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 (Tix Al1-x-y ( SiC) y ) N( 但し、各々の構成比が、0.3≦x≦0.7、0.02≦y≦0.2) の組成で示される耐熱硬質被膜が、基材の表面に形成された耐熱硬質被膜被覆工具。
【請求項2】 前記耐熱硬質被膜は、0.1〜10μm の厚みに形成されたものである請求項1の耐熱硬質被膜被覆工具。
【請求項3】 前記耐熱硬質被膜は、チタン粉末、アルミニウム粉末、およびSiC粉末から成形されたターゲットを用いるアーク放電式イオンプレーティング法により前記基材の表面に固着されたものである請求項1または2の耐熱硬質被膜被覆工具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高速度工具鋼、超硬合金、サーメットまたはCBN焼結体などを母材とする工具の表面に耐熱性硬質被膜のコーティングを施した耐熱硬質被膜被覆工具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】高速度鋼、超硬合金、サーメットやセラミックスなどを母材とした、エンドミル、ドリル、タップ、フライス切削用スローアウェーチップなどの切削工具では、その耐熱性や耐摩耗性の向上の為、物理蒸着法(PVD法)によりTiN、TiCN、TiAlNといったセラミックス硬質被膜を被覆したコーティング工具が多く用いられるようになっている。PVD法は成膜温度が500℃と低いため、高速度鋼製工具のコーティングに広く用いられている。また、スローアウェーチップも、従来のように化学蒸着法( CVD法) を用いると、被膜と母材との間の界面に反応層が形成され、母材の強度が低下するのに対し、PVD法では反応層が形成されないため母材の強度低下が無く、切れ刃に欠けが発生し難くなるので、その適用割合が急速に増えつつある。
【0003】ところで、近年では環境保護への関心が高まり、切削加工分野において切削油を産業廃棄物として排出する量を削減するため、乾式切削へ急速に移行しつつある。また、高速切削や高硬度材切削に対する需要も高まり、切削工具には高い耐熱性と耐摩耗性がますます強く要求されるようになっている。
【0004】現在、最も広く用いられているTiNやTiCNコーティングが施された工具では、上記のような乾式切削などの高温切削では、耐酸化性や耐熱性が未だ十分ではなく、被膜の酸化や硬度低下などによる急速な摩耗が生じて、工具の切削寿命が短くなるといった問題があった。このため、近年、耐酸化性に優れ且つ被膜の硬さも高い(Ti,Al)N被膜が提案されて超硬合金製切削工具を中心に普及し始めているが、高硬度材の乾式切削や高速切削の分野では、そのような(Ti,Al)N被膜でも十分な耐熱性や硬度が得られないという課題が残されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】これに対し、更に耐熱性に優れた硬質被膜として(Ti、Al,V)N被膜や(Ti,Al,Si)CN被膜などが提案されている。たとえば、特公平5−88309号公報や特開平8−209336号公報に記載された硬質被膜がそれである。しかしながら、上記のような(Ti、Al,V)N被膜や(Ti,Al,Cr)N被膜では、添加元素が増えるにつれて被膜の耐酸化性が低下するといった欠点があった。この耐酸化性を向上させるために上記被膜中の元素V或いはCrをSiに置換した(Ti,Al,Si)N被膜が提案されているが、ある程度の耐酸化性の向上は認められるものの、十分なものとはならないという欠点があった。
【0006】本発明は以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、さらに耐熱性および耐酸化性に優れかつ高硬度で優れた耐摩耗性を有する硬質被膜を備えた耐熱硬質被膜被覆工具を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、(Ti,Al)N被膜の耐熱性をより向上させることを目的としてその(Ti,Al)Nを基本としてそれに各種元素や化合物を添加する検討を重ねた結果、耐熱性向上に効果のあると考えられる添加元素や化合物を検討するうちに、(Ti,Al)Nに炭化珪素SiCを添加させると、硬さが高くかつ酸化開始温度も高くなることが見いだされた。一般に、(Ti,Al)Nの耐酸化性は、TiNよりは良好であるが、800℃以上の高温で急速に酸化する。急速に酸化する原因は、被膜中のTiO2 の成長が耐酸化性の優れたAl2 3 の成長より著しく速い点にあることが知られている。TiO2 の基本的な成長機構(成長メカニズム)は、その中の酸素空孔を介しての酸素の拡散であると考えられるので、本発明のようにSiCを添加するとTiO2 中の酸素空孔濃度が減少し、その成長速度が遅くなってAl2 3 が形成され易くなり、その結果、耐酸化性が向上したものと考えられるのである。本発明はそのような知見に基づいて為されたものである。
【0008】すなわち、本発明の要旨とするところは、(Tix Al1-x-y SiCy )N(但し、0.3≦x≦0.7、0.02≦y≦0.2)の組成で示される耐熱硬質被膜が、耐熱硬質被膜被覆工具の基材の表面に形成されたことにある。
【0009】
【発明の効果】このようにすれば、耐熱硬質被膜が(Tix Al1-x-y SiCy )N(但し、0.3≦x≦0.7、0.02≦y≦0.2)の組成で構成されているので、耐熱性および耐酸化性に優れかつ高硬度で優れた耐摩耗性を有する硬質被膜を備えた耐熱硬質被膜被覆工具が得られる。したがって、その耐熱硬質被膜被覆工具では、乾式切削などの高温切削においても耐熱性および耐酸化性に優れかつ高硬度で優れた耐摩耗性が得られる。
【0010】
【発明の他の態様】ここで、好適には、前記耐熱硬質被膜被覆工具の基材表面に形成された耐熱硬質被膜は、0.1〜10μmの範囲内の厚さ、さらに好適には1〜8μmの範囲内の厚さを有するものである。このようにすれば、耐摩耗性が確実に得られると同時に、基材表面に対する耐熱硬質被膜の付着強度が十分に得られる。上記耐熱硬質被膜の厚さが0.1μmを下回る場合にはその耐熱硬質被膜を設けた効果すなわち耐熱耐摩耗性が十分に得られないようになり、10μmを越えると耐熱硬質被膜の付着強度が低下し、耐熱硬質被膜にクラックなどが発生して欠けが発生し易くなる。特に、耐熱硬質被膜が一層のコーティングにより構成される場合は、上記と同様の理由により1〜8μmの範囲内の厚さが好ましい。
【0011】また、好適には、前記(Tix Al1-x-y (SiC)y )N(但し、0.3≦x≦0.7、0.02≦y≦0.2)耐熱硬質被膜において、SiCのTi、Alに対する割合y、すなわちSiCの添加量yは、2〜20at%(アトミックパーセント)の範囲内とされる。2at%を下まわるとSiCの添加効果すなわち耐酸化性が十分に得られなくなり、20at%を越えると耐熱硬質被膜の基材表面に対する付着強度が低下する。
【0012】また、好適には、前記耐熱硬質被膜は、チタン粉末、アルミニウム粉末、およびSiC粉末から成形されたターゲットを用いるアーク放電式イオンプレーティング法により前記基材の表面に固着されたものである。一般に、蒸発物質としてのアルミニウムAlとチタンTiとをイオン化状態で基材表面に向かって飛ばすことによりイオンプレーティングするに際しては、たとえばホローカソードを用いたイオンプレーティング法では、Ti、AlとSiCが溶解してしまうために相対的に低融点のAl(660℃程度の融点)の方が相対的に高融点のTi(1675℃程度の融点)よりも多量に飛ばされる傾向にあってAl含有量のコントロールも困難であるが、上記のように、チタン粉末、アルミニウム粉末、およびSiC粉末からホットプレスなどにより成形されたターゲットを陰極(エバポレータ)として用いるアーク放電式イオンプレーティングでは、ターゲットのアークが当たる部分(アークスポット)が飛ばされるので、そのターゲットの構成成分と略同様の成分の耐熱硬質被膜が基材表面に固着される利点がある。すなわち、(Ti,Al)Nの耐熱性をより向上させることを目的とする本発明者らによる研究では、チタン粉末、アルミニウム粉末、およびSiC粉末から成形されたターゲットを用いるアーク放電方式イオンプレーティング法により、工具基材の表面に硬質被膜を設けると、その硬質被膜中には、ターゲットを構成する成分比(成分濃度)にほぼ等しい値でSiCが含有され、優れた耐熱性、耐酸化性、および耐摩耗性を有する耐熱硬質被膜が容易に得られるという事実が見いだされたのである。
【0013】
【発明の好適な実施の形態】図1は、本発明の一実施例の耐熱硬質被膜被覆工具10の一例を説明する要部拡大断面図である。この耐熱硬質被膜被覆工具10は、フライスカッタ、エンドミル、タップ、ダイスなどの切削工具である。耐熱硬質被膜被覆工具10は、たとえば超硬合金製(WC−10Coを主成分とするJISZ10相当品)の基材12と、その基材12の表面上に固着された耐熱硬質被膜14とを備えている。この耐熱硬質被膜14の材質は、(Tix Al1-x-y (SiC)y )N(但し、0.3≦x≦0.7、0.02≦y≦0.2)から構成されることにより、耐熱性および耐酸化性に優れかつ高硬度で優れた耐摩耗性が備えられているので、乾式切削などの高温切削においても耐熱硬質被膜被覆工具10の耐熱性および耐酸化性に優れかつ高硬度で優れた耐摩耗性が得られるようになっている。
【0014】上記(Tix Al1-x-y (SiC)y )Nから成る耐熱硬質被膜14は、0.1〜10μmの範囲内の厚さ、さらに好適には1〜8μmの範囲内の厚さを有するものであり、その耐摩耗性が確実に得られると同時に、基材12の表面に対する耐熱硬質被膜の付着強度が十分に得られるようになっている。また、上記耐熱硬質被膜14において、SiCのTi、Alに対する割合y、すなわちSiCの添加量(含有量)yは、2〜20at%(アトミックパーセント)の範囲内とされるとともに、Tiの添加量(含有量)xは30〜70at%の範囲内とされている。これにより、SiCの含有量yに関連した耐熱硬質被膜14の耐酸化性および被膜付着強度と上記Tiの含有量xに関連した耐熱硬質被膜14の靭性および耐酸化性が両立させられている。
【0015】上記耐熱硬質被膜被覆工具10は、たとえば以下に説明する工程を経て製造される。先ず、研削加工などによって切削工具としての基本形状に成形された基材12は、チタン粉末、アルミニウム粉末、およびSiC粉末からホットプレスなどにより成形されたターゲット(陰極或いはカソード電極)を用いるアーク放電式イオンプレーティング装置の基板ホルダーに固定される。この基板ホルダーは自転可能に設けられているとともに基板加熱用に設けられたヒーターにより加熱されるようになっている。次いで、上記基板ホルダおよびターゲットを収容するチャンバー内がたとえば6.70×10-3Pa程度まで排気され、ヒーターにより基材12の温度が 500℃まで加熱される。その後、エンドミルに-1000V程度の電位が印加され、アーク放電が開始されて基材12の表面が十分に洗浄された後、電位が-200V 程度まで落されるとともにN2 ガスが1000cc/minの割合でチャンパ内へ流される。このようなプレーティング工程においては、ターゲットにアークが飛ばされ、そのターゲットのうちのアークが当たる部位(アークスポート)が蒸発させられるとともにイオン化されて基材12に向かって飛ばされ、その基材12の表面上にそのターゲットの構成材料と同様の材質の耐熱硬質被膜14がたとえば0.1〜10μmの範囲内の厚さ、さらに好適には1〜8μmの範囲内の厚さで固着される。
【0016】図2は、上記(Tix Al1-x-y ( SiC) y ) Nから成る耐熱硬質被膜14において、それに含まれるSiCの値yすなわちその含有量at%(アトミックパーセント)と耐酸化性との間の関係を求めた実験結果を示している。この実験例では、JIS Z10の超硬合金製の基板上に、イオンプレーティング法によりTi:Al=1:1(原子比、at比)でSiCの添加量(at%)を、0、1、2、10、20、30とした耐熱硬質被膜14を、バイアス電圧を―200V とし、チャンバー内への窒素流量を1000cc/minとして、膜厚3.5〜3.8μm に成膜した6種類の試料を作成し、それら6種類の試料の酸化開始温度を以下の酸化試験条件を用いて決定したものである。この酸化試験では、熱重量分析装置が用いられ、以下の試験条件下で試料の重量変化の発生が判定されたときの温度がその試料の酸化開始温度として求められたものである。
【0017】(酸化試験条件)
温度範囲:室温〜1400℃昇温速度:10℃/min雰囲気:大気【0018】図2に示す実験結果によれば、耐熱硬質被膜14におけるSiCの添加量が0.1at%を上まわると酸化開始温度が上昇し、2at%を越えると、酸化開始温度はSiCの添加量が零である場合と比較して、約100℃上昇した。さらに、SiCの添加量を10at%に増加させた場合には酸化開始温度は1190℃、SiCの添加量を20at%に増加させた場合には酸化開始温度は1240℃となり、その添加量を20at%よりもさらに増加すると酸化開始温度が飽和傾向となった。すなわち、耐熱硬質被膜14におけるSiCの添加量が2.0at%を下回ると、SiCを含有させた効果が十分に認められず、20at%を上回ると、SiCの添加効果が飽和するのである。
【0019】図3は、前記(Tix Al1-x-y ( SiC) y ) Nから成る耐熱硬質被膜14において、それに含まれるSiCの値yすなわちその含有量at%(アトミックパーセント)と被膜付着強度(N)との関係を求めた実験結果を示している。この実験例では、JIS Z10の超硬合金製の基板上に、イオンプレーティング法によりTi:Al=1:1(原子比、at比)でSiCの添加量(at%)を、0、1、2、10、20、30とした耐熱硬質被膜14を、バイアス電圧を―200V とし、チャンバー内への窒素流量を1000cc/minとして、膜厚3.5〜3.8μm に成膜した6種類の試料を作成し、それら6種類の試料の被膜付着強度を測定したものである。この被膜付着強度では、スイス国CSEM社製の被膜付着強度測定用センサ付自動スクラッチ試験機を用いて測定が行われた。
【0020】図3に示す実験結果によれば、耐熱硬質被膜14におけるSiCの添加量が0.1at%を上まわると被膜付着強度が上昇した効果が認められ、20at%を越えると、被膜付着強度が比較的急速に低下し、30at%となると、20at%の場合よりも75(N)以上低下する。この被膜付着強度を十分に得るためには、SiCの添加量が20at%以下の範囲とすることが望まれる。したがって、耐酸化性および被膜付着強度の両者を考慮すると、図2および図3に示す実験結果から、耐熱硬質被膜14におけるSiCの添加量は2.0〜20at%の範囲内が望まれる。このため、耐熱硬質被膜14を構成する成分の組成は、(Tix Al1-x-y (SiC)y )Nにおいて、0.02≦y≦0.2という条件式を満足する事が必要である。
【0021】一方、前記(Tix Al1-x-y ( SiC) y ) Nから成る耐熱硬質被膜14において、本発明者等の実験によれば、Tiの含有量xは30at%未満では耐熱硬質被膜14に十分な靭性が得られず、70at%を超えると、その耐熱硬質被膜14に十分な耐酸化性が得られない。このため、耐熱硬質被膜14を構成する成分の組成は、(Tix Al1-x-y (SiC)y )Nにおいて、0.3≦x≦0.7という条件式を満足する事が必要である。したがって、前記SiCの含有量yに関連した耐熱硬質被膜14の耐酸化性および被膜付着強度と上記Tiの含有量xに関連した耐熱硬質被膜14の靭性および耐酸化性を考慮すると、(TixAl1-x-y (SiC)y )Nにおいて、0.3≦x≦0.7、0.02≦y≦0.2という条件式を満足する事が必要となる。
【0022】他方、前記(Tix Al1-x-y ( SiC) y ) Nから成る耐熱硬質被膜14において、本発明者等の実験によれば、その膜厚が0.1μm未満では十分な耐摩耗性が得られず、10μmを超えると、耐熱硬質被膜14の付着強度が低下し、かつその耐熱硬質被膜14にクラックが入って欠けが発生し易くなる。このため、基材12上にアーク放電式イオンプレーティング法により固着される耐熱硬質被膜14の膜厚は、0.1〜10μmの範囲内、さらに好適には、1〜8μmの膜厚範囲内が望ましい。
【0023】表1は、発明の耐熱硬質被膜被覆工具10の性能を従来例或いは比較例と比較して示す実験値である。本実験例では、従来例1としてTi0.5 Al0.5 Nから成る被膜を備えた工具が、従来例2として(Ti0.4 Al0.4 0.2 )Nから成る被膜を備えた工具が、従来例3として(Ti0.4 Al0.4 Cr0.2 )Nから成る被膜を備えた工具が、従来例4として(Ti0.48Al0.48Si0.04)Nから成る被膜を備えた工具がそれぞれ用意され、本発明の実施例1として(Ti0.49Al0.49 (SiC) 0.02 )Nから成る被膜を備えた工具が、実施例2として(Ti0.5 Al0.4 ( SiC) 0.1 ) Nから成る被膜を備えた工具が、実施例3として(Ti0.3 Al0.6 ( SiC) 0.1 ) Nから成る被膜を備えた工具が、実施例4として(Ti0.45Al0.45( SiC) 0.1 ) Nから成る被膜を備えた工具が、実施例5として(Ti0.4 Al0.4(SiC) 0.2 ) Nから成る被膜を備えた工具がそれぞれ用意され、比較例1として(Ti0.495 Al0.495(SiC) 0.01) Nから成る被膜を備えた工具が、比較例2として(Ti0.35Al0.35( SiC) 0.3) Nから成る被膜を備えた工具がそれぞれ用意されている。
【0024】上記11種類の工具(試料)は、WC−10Coの組成のJIS Z10相当の超硬合金製で、直径10.0mm、刃長25.0mm、全長80.0mm、4枚刃エンドミルに、アーク放電式イオンプレーティング法で表1に示すような膜厚の耐熱硬質被膜が形成されている。表1には、これらの試料(エンドミル)の被膜硬度の測定値、酸化開始温度、および以下の切削条件で切削試験を行ったときの外周二番面の最大摩耗量が0.1mmに達するまでの切削長さの測定値が示されている。
【0025】(切削条件)
被削材:SKD 11(硬さ:60HRC )
切削速度:118m/min送り量:0.042mm/t切込み量:AD(Axial depth) =10.0mm、RD(Radius depth)=0.1mm切削油:乾式(エアーブロー)
切削長さ:39.2m【0026】
【表1】

【0027】表1から明らかなように、SiC添加量が2at%以上20at%以下である実施例1乃至5では、従来例1乃至4と同等以上の硬さおよび酸化開始温度が得られると同時に、外周二番面の最大摩耗量が0.1mmに達するまでの切削長さは従来例や比較例より延び、寿命が延びることが分かる。
【0028】以上、本発明の一実施例である耐熱硬質被膜被覆工具10を図面に基づいて説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
【0029】たとえば、前述の耐熱硬質被膜被覆工具10の基材12は超硬合金製であったが、高速度工具鋼、サーメット、CBN焼結体など種々の工具材料を採用することができる。
【0030】また、前述の耐熱硬質被膜被覆工具10の耐熱硬質被膜14は単層であったが、複数層が積層されたものでもよい。
【0031】また、前述の耐熱硬質被膜被覆工具10の耐熱硬質被膜14はアーク放電式イオンプレーティング法を用いて基材12の表面に固着されていたが、他の形式のイオンプレーティング法やスパッタリング法が用いられてもよい。
【0032】なお、上述したのはあくまでも本発明の一実施例であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【出願人】 【識別番号】000001144
【氏名又は名称】工業技術院長
【識別番号】000103367
【氏名又は名称】オーエスジー株式会社
【出願日】 平成11年4月27日(1999.4.27)
【代理人】
【公開番号】 特開2000−308906(P2000−308906A)
【公開日】 平成12年11月7日(2000.11.7)
【出願番号】 特願平11−120143