| 【発明の名称】 |
ワーク保持装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】熊谷 智広
【氏名】石山 俊夫
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| 【要約】 |
【課題】ワークの非円柱形状の内周面を確実にかつ正確に保持する。
【解決手段】ワーク1の内周面はほぼ小判形状で、内周面全体の中心軸Oからより離れて位置した長半径部3と、中心軸Oのより近くに位置した平面部4および短半径部5とを有している。保持体12はほぼ多角柱形状であり、4つの保持面16を有している。ワーク1内に挿入した保持体12を回転させ、その保持面16を短半径部5に圧接させることによりワーク1を保持する。保持面12は、その法線Nが保持体12全体の中心軸Oから偏位して位置する方向性を有する。これにより、保持面16と短半径部5とがほぼ面接触する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 内周面が非円柱面でかつ対称的な形状を有し、内周面全体の中心軸からより離れて位置した複数の長半径部と前記中心軸のより近くに位置した複数の短半径部とを内周面の周方向に有したワークを保持するワーク保持装置において、ワークの内周側に同軸的に挿入されるほぼ多角柱形状の保持体を備え、この保持体は、ワーク内での回転に伴いワークの内周面の短半径部にそれぞれ圧接する複数の保持面を外周面に有することを特徴とするワーク保持装置。 【請求項2】 前記保持体の保持面がワークの内周面の短半径部に対してほぼ面接触となるように、前記保持面は、その法線が保持体全体の中心軸から偏位した位置を通る方向性を有し、各保持面の法線は、保持体全体の中心軸から保持面へ向かう方向を基準として同じ側に偏位していることを特徴とする請求項1記載のワーク保持装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、切削加工や測定などに際してワークを保持するワーク保持装置に係わり、特に、環状または筒状のワークの内周面を摩擦により保持するワーク保持装置に関する。 【0002】 【発明が解決しようとする課題】図5は、旋盤などで切削加工が施されるワーク1の一例を示している。このワーク1はほぼ円環状になっており、外周面に歯部2を有しているが、内周面もこの内周面に嵌合される軸体の回り止めのために非円柱面状になっている。ワーク1の内周面の形状はいわゆる小判形状であるが、以下この形状について図6により詳しく説明する。なお、ワーク1の内周面はこのワーク1全体の中心軸Oと平行なので、以下の説明では基本的にこの中心軸Oと直交する平面への投影形状について論じる。ワーク1の内周面は、前記中心軸Oを含む互いに直交する2つの対称軸(対称面)X,Yを有する形状になっている。ここで、短軸方向の対称軸をX軸とし、長軸方向の対称軸をY軸とする。内周面のY軸方向の両側は、前記中心軸Oを中心とする円弧(円柱面)になっている。これは、ワーク1の内周面において前記中心軸Oから最も離れて位置した長半径部3である。一方、内周面のX軸方向の両側は直線(平面)になっている。これは、ワーク1の内周面において前記長半径部3よりも中心軸Oの近くに位置した短半径部としての平面部4である。さらに、これら長半径部3と平面部4との間には、長半径部3よりも中心軸Oの近くに位置し平面部4よりも中心軸Oから離れて位置した曲面状の短半径部5がある。 【0003】ところで、切削加工などに際してワークを保持するワーク保持装置としては、例えばコレットチャックがある。コレットチャックは、テーパー状の筒体からなるコレットに軸方向の切溝を複数形成してこのコレットを径方向に弾性変形可能とし、ワークの内周面を保持する場合、このワークの内周側に挿入したコレットを何らかの手段により開いてワークの内周面に圧接させることによりワークを保持するものである。 【0004】このようなコレットチャックで、図5および図6に示すようなワーク1の内周面を保持しようとする場合、図6に鎖線で示すようにコレット6もワーク1の内周面の形状に合わせて小判形状にしなければならない。なお、図6において、7はコレット6に形成された切溝である。しかしながら、非円柱形状のコレット6を開いてワーク1の非円柱形状の内周面に圧接させようとしても、コレット6を開く前はこのコレット6に対してワーク1が周方向においてある程度遊動できるため、コレット6はワーク1の内周面の一定位置に圧接するわけではない。例えば焼入れなどによりワーク1の内周面に変形が生じている場合はなおのことである。したがって、ワーク1を確実に所定の位置に所定の姿勢で保持することは難しく、切削などに際して加工精度を低下させる結果を招く。 【0005】また、切削後にワーク1の切削された端面の精度をダイヤルゲージなどにより測定しようとする場合、従来は、例えばワーク1の内周側に円錐形状のテーパーバーを圧入してワーク1を保持するようにしているが、この場合も、ワーク1の内周面が非円柱形状になっていると、ワーク1を確実かつ正確には保持できず、良好な測定精度が得られない問題があった。 【0006】本発明は、このような問題点を解決しようとするもので、ワークの非円柱形状の内周面を確実にかつ正確に保持できるワーク保持装置を提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、前記目的を達成するために、内周面が非円柱面でかつ対称的な形状を有し、内周面全体の中心軸からより離れて位置した複数の長半径部と前記中心軸のより近くに位置した複数の短半径部とを内周面の周方向に有したワークを保持するワーク保持装置において、ワークの内周側に同軸的に挿入されるほぼ多角柱形状の保持体を備え、この保持体は、ワーク内での回転に伴いワークの内周面の短半径部にそれぞれ圧接する複数の保持面を外周面に有するものである。 【0008】ワークを保持するには、まずワークの内周面の長半径部に保持体の保持面をほぼ合わせて、この保持体をワークの内周側に同軸的に挿入する。つぎに、ワークまたは保持体をその中心軸の回りで回転させて、この保持体の複数の保持面をワークの内周面の複数の短半径部に圧接させる。これにより保持体にワークが保持される。このようにワークと保持体とを相互に回転させて周方向に係止することにより、この係止状態におけるワークと保持体との位置関係はほぼ一定したものとなり、ワークの内周面が非円柱形状であるにもかかわらず、ワークを確実にかつ正確に保持できる。 【0009】請求項2の発明は、請求項1の発明のワーク保持装置において、前記保持体の保持面がワークの内周面の短半径部に対してほぼ面接触となるように、前記保持面は、その法線が保持体全体の中心軸から偏位した位置を通る方向性を有し、各保持面の法線は、保持体全体の中心軸から保持面へ向かう方向を基準として同じ側に偏位しているものである。 【0010】このように保持面の方向性を偏心したものとすることにより、保持体の保持面とワークの内周面の短半径部との接触をほぼ面接触にすることができ、これにより、ワークをよりいっそう確実に保持できる。 【0011】 【発明の実施形態】以下、本発明のワーク保持装置の一実施例について、図1から図4を参照しながら説明する。保持の対称となるワーク1は、先に説明した図5および図6に示すものであり、内周面全体の中心軸Oからより離れて位置した2つの長半径部3と、中心軸Oのより近くに位置した2つの短半径部である平面部4とが内周面に周方向に並んでおり、長半径部3と平面部4との間には、長半径部3よりも中心軸Oの近くに位置し平面部4よりも中心軸Oから離れて位置した曲面状の短半径部5がある。この短半径部5は、その法線が長軸方向であるY軸方向において前記中心軸Oよりも当該短半径部5側を通る方向性を有している。 【0012】ワーク保持装置は、切削加工用の旋盤の主軸あるいは測定用のターンテーブルなどに取り付けられる焼入れ鋼材などからなるベース11に、ワーク1の内周側に同軸的に挿入される焼入れ鋼材などからなる保持体12がボルト13により同軸的に固定されている。ベース11における保持体12が取り付けられる面には台部14が突出形成されている。この台部14はワーク1の一端面が当接し、これによりワーク1を軸方向において位置規制するものである。 【0013】前記保持体12はほぼ正四角柱形状になっており、その側面をなす4つの平面部15を有しているが、外周面の4つの角部にはそれぞれ面取り状に保持面16が形成されている。これらの保持面16は、保持体12がワーク1内で回転するのに伴いこのワーク1の内周面の短半径部5にそれぞれ圧接するものである。ここで、この機能を実現するための保持面16の形状について、図1に基づいて詳しく説明する。なお、この図1では、分かりやすくするために短半径部5および保持面16の形状を極端に強調して表わしてある。また、保持体12の外周面は、保持体12全体の中心軸Oと平行なので、以下の説明では基本的にこの中心軸Oと直交する平面への投影形状について論じる。また、相対する平面部15と直交し中心軸Oを通る2直線をX軸およびY軸とする。 【0014】前記保持面16は円弧状(円柱面)になっているが、保持体12全体のX軸方向およびY軸方向の寸法Lが例えば38.118mm程度であるのに対して、各保持面16の半径Rは24.96mm程度になっている。そして、各保持面16の曲率中心は保持体12全体の中心軸Oから偏位した位置にある。図1に示すX軸およびY軸の第1象限Aにある保持面16の曲率中心O1はX軸上において中心軸OからX軸正方向にSだけ離れている。第2象限Bにある保持面16の曲率中心O2はY軸上において中心軸OからY軸正方向にSだけ離れている。第3象限Cにある保持面16の曲率中心O3はX軸上において中心軸OからX軸負方向にSだけ離れている。第4象限Dにある保持面16の曲率中心O4はY軸上において中心軸OからY軸負方向にSだけ離れている。すなわち、保持面16は、その法線Nが保持体12全体の中心軸Oから偏位した位置を通り、かつ各保持面16の法線Nが中心軸Oから保持面16へ向かう方向を基準として同じ側に偏位する方向性を有している。これにより保持体12の保持面16がワーク1の内周面の短半径部5に対してほぼ面接触するようになっている。なお、前記Sの値は0.05〜0.1mm、例えば0.1mmである。しかしながら、ここで具体的に示したL,R,Sの値は一例に過ぎず、これらの値はワーク1の内周面の寸法や形状によって変わるものである。 【0015】つぎに、前記の構成についてその作用を説明する。本ワーク保持装置によりワーク1を保持するには、まず保持体12をワーク1の内周側に同軸的に挿入する。このとき、保持体12の保持面16はワーク1の内周面の長半径部5にほぼ対応した位置にしておく。これにより、保持面16がワーク1の内周面の短半径部5ないし平面部4に干渉することなく、保持体12をワーク1内に挿入できる。なお、図1に実線で示すワーク1の内周面および保持体12では対称軸を一致させて表わしてあるが、図1に示す例では、保持体12を実線で示す位置よりも若干反時計回り方向へ回転させた位置でワーク1内に挿入すればよい。 【0016】つぎに、ワーク1または保持体12をその中心軸Oの回りで回転させる。図1に示す例の場合、ワーク1に対して保持体12を反時計回り方向へ回転させる。これにより、保持体12における中心軸Oを挟んで位置する2つの保持面16がワーク1の内周面の2つの短半径部5に圧接する。このとき保持体12ないしワーク1は、その接触部において僅かに変形する。これら両保持面16は、短半径部5よりもさらに中心軸Oの近くに位置した平面部4まで乗り上げることはできず、その手前で係止される。なお、他の2つの保持面16はワーク1の内周面に接しない。以上のように保持面16が短半径部5に圧接することにより発生する摩擦力によって、保持体12にワーク1が保持されて固定される。この状態で、ワーク保持装置のベース11が取り付けられた旋盤の主軸を回転させてワーク1の端面などに対し切削加工を行ったり、あるいはベース11を載せたターンテーブルを回してワーク1の上端面などに対しテスターにより測定を行ったりする。 【0017】ワーク保持装置によるワーク1の保持を解除するには、ワーク1に対して保持体12を逆方向へ回転させればよい。これにより保持体12の保持面16がワーク1の内周面の短半径部5から離れてワーク1に対する係止が解除され、保持体12からワーク1を外せる状態になる。 【0018】前記実施例の構成によれば、ワーク1と保持体12とを相互に回転させてこの保持体12の保持面16をワーク1の内周面の短半径部5に圧接させることにより、ワーク1と保持体12とを周方向に係止するようにしたので、この係止状態におけるワーク1と保持体12との位置関係はほぼ一定したものとなり、ワーク1の内周面が非円柱形状であるにもかかわらず、ワーク1を確実にかつ正確に保持できる。したがって、本ワーク保持装置を用いた切削加工や測定も確実に精度よく行える。 【0019】また、保持体12の保持面16の方向性を、その法線Nが保持体12全体の中心軸Oから偏位した位置を通り、かつ各保持面16の法線Nが前記中心軸Oから保持面16へ向かう方向を基準として同じ側に偏位するように設定して、保持面12がワーク1の内周面の短半径部5に対してほぼ面接触となるようにしたので、ワーク1をよりいっそう確実に保持できる。 【0020】なお、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。例えば、前記実施例では、ワーク1の内周面がいわゆる小判形状のものであったが、本発明のワーク保持装置は、ワークの内周面の形状がそれ以外の場合にも適用できる。例えば、ワークの内周面の形状が楕円形状、四角形状などの多角形状の場合にも、本発明は適用可能である。 【0021】 【発明の効果】請求項1の発明によれば、内周面全体の中心軸からより離れて位置した複数の長半径部と前記中心軸のより近くに位置した複数の短半径部とを内周面の周方向に対称的に有したワークを保持するワーク保持装置において、ワークの内周側に同軸的に挿入されるほぼ多角柱形状の保持体を備え、この保持体は、ワーク内での回転に伴いワークの内周面の短半径部にそれぞれ圧接する複数の保持面を外周面に有するものとしたので、これらの保持面がワークの内周面の短半径部に圧接してワークが係止された状態でのワークと保持体との位置関係がほぼ一定したものとなることにより、ワークの内周面が非円柱形状であるにもかかわらず、ワークを確実にかつ正確に保持できる。 【0022】請求項2の発明のワーク保持装置によれば、請求項1の発明の効果に加えて、保持体の保持面の方向性を、その法線が保持体全体の中心軸から偏位した位置を通り、かつ各保持面の法線が保持体全体の中心軸から保持面へ向かう方向を基準として同じ側に偏位するように設定して、保持面がワークの内周面の短半径部に対してほぼ面接触となるようにしたので、ワークをよりいっそう確実に保持できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006264 【氏名又は名称】三菱マテリアル株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年9月2日(1998.9.2) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100080089 【弁理士】 【氏名又は名称】牛木 護
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| 【公開番号】 |
特開2000−79504(P2000−79504A) |
| 【公開日】 |
平成12年3月21日(2000.3.21) |
| 【出願番号】 |
特願平10−248108 |
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