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【発明の名称】 主軸移動型立形工作機械用の棒状工作物供給装置および主軸移動型立形工作機械における棒状工作物供給方法
【発明者】 【氏名】吉野 静木

【氏名】大竹 公孝

【氏名】稲葉 博

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】ほぼ垂直方向に回転軸線を有する主軸(5)と、前記主軸(5)を回転可能に軸支して、少なくとも前記主軸(5)の軸線方向および前記主軸(5)の軸線と直交する方向に移動する主軸台(4)と、前記主軸(5)の下端に設けられたチャック(6)と、前記主軸台(4)の移動制御および前記主軸(5)の回転制御を行うとともに、前記チャック(6)の開閉を制御する制御手段とを備えた主軸移動型立形工作機械(1)の近傍に並設され、前記主軸移動型立形工作機械(1)に軸線方向寸法が径方向寸法より長い棒状工作物(9)を供給する棒状工作物供給装置(3)であって、1つ以上の前記棒状工作物(9)を保持可能であるとともに、少なくとも前記チャック(6)が前記棒状工作物(9)を受け取る工作物受け取り位置(A)において前記棒状工作物(9)の軸線方向が前記主軸(5)の軸線方向と平行になるように保持可能である保持手段(34,35)を有し、前記保持手段(34,35)は、前記主軸(5)の中心軸の移動可能範囲内の前記工作物受け取り位置(A)において、前記チャック(6)と対向するものである主軸移動型立形工作機械用の棒状工作物供給装置。
【請求項2】請求項1に記載した主軸移動型立形工作機械用の棒状工作物供給装置であって、前記主軸台(4)は、前記主軸(5)の軸線方向および前記主軸(5)の軸線と直交する水平方向にのみ移動するものであり、前記保持手段(34,35)の前記工作物受け取り位置(A)は、前記主軸(5)の中心軸の水平方向の移動軌跡上に位置するものである主軸移動型立形工作機械用の棒状工作物供給装置。
【請求項3】請求項1〜2のいずれか1項に記載した主軸移動型立形工作機械用の棒状工作物供給装置であって、前記保持手段(34,35)の前記工作物受け取り位置(A)の近傍、かつ、前記主軸(5)の中心軸の移動可能範囲内に位置し、前記棒状工作物(9)を当接する当接面(391〜393)が階段状に設けられた工作物供給補助部(39)を有する主軸移動型立形工作機械用の棒状工作物供給装置。
【請求項4】請求項1〜3のいずれか1項に記載した主軸移動型立形工作機械用の棒状工作物供給装置であって、前記保持手段(34,35)の前記工作物受け取り位置(A)の近傍に設けられ、前記工作物受け取り位置(A)にある前記棒状工作物(9)を軸方向に上昇駆動する上昇駆動部(37)を有する主軸移動型立形工作機械用の棒状工作物供給装置。
【請求項5】請求項1〜4のいずれか1項に記載した主軸移動型立形工作機械用の棒状工作物供給装置であって、前記保持手段(34,35)の前記工作物受け取り位置(A)の近傍に設けられ、前記工作物受け取り位置(A)にある前記棒状工作物(9)を軸方向に固定および固定解除することが可能な工作物固定手段(38)を有する主軸移動型立形工作機械用の棒状工作物供給装置。
【請求項6】請求項1〜5のいずれか1項に記載した主軸移動型立形工作機械用の棒状工作物供給装置であって、前記保持手段(34,35)の前記工作物受け取り位置(A)の近傍に設けられ、前記工作物受け取り位置(A)にある前記棒状工作物(9)の上端部の芯出しを行う芯出し部(38)を有する主軸移動型立形工作機械用の棒状工作物供給装置。
【請求項7】請求項1〜6のいずれか1項に記載した主軸移動型立形工作機械用の棒状工作物供給装置であって、前記保持手段(34,35)は、複数の前記棒状工作物(9)を保持して旋回可能に設けられており、前記工作物受け取り位置(A)に所望の棒状工作物(9)を旋回位置決めすることが可能なものである主軸移動型立形工作機械用の棒状工作物供給装置。
【請求項8】請求項1〜7のいずれか1項に記載した主軸移動型立形工作機械用の棒状工作物供給装置であって、前記棒状工作物供給装置(3)は、床面に形成されたピット内に設置されるものである主軸移動型立形工作機械用の棒状工作物供給装置。
【請求項9】ほぼ垂直方向に回転軸線を有する主軸(5)と、前記主軸(5)を回転可能に軸支して、少なくとも前記主軸(5)の軸線方向および前記主軸(5)の軸線と直交する方向に移動する主軸台(4)と、前記主軸(5)の下端に設けられたチャック(6)と、前記主軸台(4)の移動制御および前記主軸(5)の回転制御を行うとともに、前記チャック(6)の開閉を制御する制御手段とを備えた主軸移動型立形工作機械(1)と、前記主軸移動型立形工作機械(1)の近傍に並設され、前記主軸移動型立形工作機械(1)に軸線方向寸法が径方向寸法より長い棒状工作物(9)を供給する棒状工作物供給装置(3)であって、1つ以上の前記棒状工作物(9)を保持可能であるとともに、少なくとも前記チャック(6)が前記棒状工作物(9)を受け取る工作物受け取り位置(A)において前記棒状工作物(9)の軸線方向が前記主軸(5)の軸線方向と平行になるように保持可能である保持手段(34,35)を有し、前記保持手段(34,35)は、前記主軸(5)の中心軸の移動可能範囲内の前記工作物受け取り位置(A)において、前記チャック(6)と対向するものである棒状工作物供給装置(3)とにおける棒状工作物供給方法であって、前記主軸台(4)を前記工作物受け取り位置(A)に移動させる手順と、前記棒状工作物(9)を前記チャック(6)側から前記主軸(5)内に挿入する挿入手順と、前記主軸台(4)と前記棒状工作物(9)とを相対移動させ、前記棒状工作物(9)を前記主軸(5)内にさらに進入させる進入手順とを有する主軸移動型立形工作機械における棒状工作物供給方法。
【請求項10】請求項9に記載した主軸移動型立形工作機械における棒状工作物供給方法であって、前記棒状工作物供給装置(3)は、前記保持手段(34,35)の前記工作物受け取り位置(A)の近傍、かつ、前記主軸(5)の中心軸の移動可能範囲内に位置し、前記棒状工作物(9)を当接する当接面(391〜393)が階段状に設けられた工作物供給補助部(39)を有するものであり、前記挿入手順は、前記主軸台(4)を前記主軸(5)の軸線方向に下降させて前記棒状工作物(9)を前記主軸(5)内に挿入するものであり、前記進入手順は、前記主軸台(4)を移動させ、前記チャック(6)に保持した前記棒状工作物(9)の先端を前記工作物供給補助部(39)の前記当接面(391〜393)に当接させる手順と、前記チャック(6)を開状態として、前記主軸台(4)を下降させ、前記棒状工作物(9)を前記主軸(5)内にさらに進入させる手順とからなるものである主軸移動型立形工作機械における棒状工作物供給方法。
【請求項11】請求項9〜10のいずれか1項に記載した主軸移動型立形工作機械における棒状工作物供給方法であって、前記棒状工作物供給装置(3)は、前記保持手段(34,35)の前記工作物受け取り位置(A)の近傍に設けられ、前記工作物受け取り位置(A)にある前記棒状工作物(9)を軸方向に上昇駆動する上昇駆動部(37)を有するものであり、前記挿入手順は、前記上昇駆動部(37)により前記棒状工作物(9)を上昇駆動して前記棒状工作物(9)を前記主軸(5)内に挿入するものであり、前記進入手順は、前記上昇駆動部(37)により前記棒状工作物(9)を上昇駆動して前記棒状工作物(9)を前記主軸(5)内に進入させるものである主軸移動型立形工作機械における棒状工作物供給方法。
【請求項12】請求項9〜11のいずれか1項に記載した主軸移動型立形工作機械における棒状工作物供給方法であって、前記棒状工作物供給装置(3)は、前記保持手段(34,35)の前記工作物受け取り位置(A)の近傍に設けられ、前記工作物受け取り位置(A)にある前記棒状工作物(9)を軸方向に固定および固定解除することが可能な工作物固定手段(38)を有するものであり、前記挿入手順は、前記主軸台(4)を前記主軸(5)の軸線方向に下降させて前記棒状工作物(9)を前記主軸(5)内に挿入するものであり、前記進入手順は、前記工作物固定手段(38)を開状態、前記チャック(6)を閉状態として前記主軸台(4)を上昇させ、前記チャック(6)に保持した前記棒状工作物(9)を上昇させる手順と、前記工作物固定手段(38)を閉状態、前記チャック(6)を開状態として、前記主軸台(4)を下降させ、前記棒状工作物(9)を前記主軸(5)内にさらに進入させる手順とからなるものである主軸移動型立形工作機械における棒状工作物供給方法。
【請求項13】請求項9に記載した主軸移動型立形工作機械における棒状工作物供給方法であって、前記棒状工作物供給装置(3)は、前記保持手段(34,35)の前記工作物受け取り位置(A)の近傍、かつ、前記主軸(5)の中心軸の移動可能範囲内に位置し、前記棒状工作物(9)を当接する当接面(391〜393)が階段状に設けられた工作物供給補助部(39)を有するとともに、前記保持手段(34,35)の前記工作物受け取り位置(A)の近傍に設けられ、前記工作物受け取り位置(A)にある前記棒状工作物(9)を軸方向に上昇駆動する上昇駆動部(37)を有するものであり、前記挿入手順は、前記上昇駆動部(37)により前記棒状工作物(9)を上昇駆動して前記棒状工作物(9)を前記主軸(5)内に挿入するか、または、前記上昇駆動部(37)により所定の位置まで上昇させた前記棒状工作物(9)を前記主軸台(4)の前記主軸(5)の軸線方向の下降動作によって前記主軸(5)内に挿入するものであり、前記進入手順は、前記主軸台(4)を移動させ、前記チャック(6)に保持した前記棒状工作物(9)の先端を前記工作物供給補助部(39)の前記当接面(391〜393)に当接させる手順と、前記チャック(6)を開状態として、前記主軸台(4)を下降させ、前記棒状工作物(9)を前記主軸(5)内にさらに進入させる手順とからなるものである主軸移動型立形工作機械における棒状工作物供給方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ほぼ垂直方向の回転軸線を有する主軸を軸支した主軸台を少なくとも2軸方向に移動可能な主軸移動型立形工作機械に対して、主軸下端に設けられたチャックの側から棒状工作物を挿入して供給する棒状工作物供給装置、および、主軸移動型立形工作機械における棒状工作物供給方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】垂直方向あるいは垂直方向から所定角度だけ傾斜した回転軸線を有する主軸を軸支した主軸台を移動して、主軸下端に設けられたチャックに工作物を着脱し、チャックの下方に設けられた加工工具で工作物を加工する主軸移動型立形工作機械は、工作物を主軸に搬送するための搬送ローダが不要であり、工作物の搬送機構が簡素なものとなる等の利点がある。このような主軸移動型立形工作機械では通常、軸線方向寸法が径方向寸法と同程度かあるいは短い工作物の加工を行っていた。主軸内に軸線方向寸法が径方向寸法より長い棒状工作物を収納し、次々とチャックから必要長さだけ繰り出して加工を行う棒状工作物の加工を行うための主軸移動型立形工作機械用の棒状工作物の供給装置は存在しなかった。
【0003】また、主軸移動型でない立旋盤における棒状工作物の供給装置としては、特公平5−13761号公報に記載されているものが公知である。これは、棒状工作物を主軸の後方すなわち上方から主軸内に供給するようにしたものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】特公平5−13761号公報に記載されているような棒状工作物の供給装置を主軸移動型立形工作機械にそのまま適用すると、工作機械および棒状工作物供給装置の全高が高くなってしまい、工場の天井と干渉するおそれがあった。このため、天井の低い工場では設置することができなかった。また、工場の天井との干渉を避けるために、棒状工作物の軸方向の長さに制限が生じてしまうという問題点もあった。さらに、高い位置にある棒状工作物供給装置に棒状工作物をセットする作業は、作業自体が容易ではなく、棒状工作物を落下させてしまう等の事故のおそれもあり、安全性にも問題が生じてしまう。
【0005】そこで、本発明は、主軸移動型立形工作機械に対して主軸下端に設けられたチャックの側から棒状工作物を挿入して供給するようにし、作業性および安全性を向上させた棒状工作物供給装置、および主軸移動型立形工作機械における棒状工作物供給方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明の主軸移動型立形工作機械用の棒状工作物供給装置は、ほぼ垂直方向に回転軸線を有する主軸と、前記主軸を回転可能に軸支して、少なくとも前記主軸の軸線方向および前記主軸の軸線と直交する方向に移動する主軸台と、前記主軸の下端に設けられたチャックと、前記主軸台の移動制御および前記主軸の回転制御を行うとともに、前記チャックの開閉を制御する制御手段とを備えた主軸移動型立形工作機械の近傍に並設され、前記主軸移動型立形工作機械に軸線方向寸法が径方向寸法より長い棒状工作物を供給する棒状工作物供給装置であって、1つ以上の前記棒状工作物を保持可能であるとともに、少なくとも前記チャックが前記棒状工作物を受け取る工作物受け取り位置において前記棒状工作物の軸線方向が前記主軸の軸線方向と平行になるように保持可能である保持手段を有し、前記保持手段は、前記主軸の中心軸の移動可能範囲内の前記工作物受け取り位置において、前記チャックと対向するものである。
【0007】また、上記の主軸移動型立形工作機械用の棒状工作物供給装置において、前記主軸台は、前記主軸の軸線方向および前記主軸の軸線と直交する水平方向にのみ移動するものであり、前記保持手段の前記工作物受け取り位置は、前記主軸の中心軸の水平方向の移動軌跡上に位置するものであることが好ましい。
【0008】また、上記の主軸移動型立形工作機械用の棒状工作物供給装置において、前記保持手段の前記工作物受け取り位置の近傍、かつ、前記主軸の中心軸の移動可能範囲内に位置し、前記棒状工作物を当接する当接面が階段状に設けられた工作物供給補助部を有することが好ましい。
【0009】また、上記の主軸移動型立形工作機械用の棒状工作物供給装置において、前記保持手段の前記工作物受け取り位置の近傍に設けられ、前記工作物受け取り位置にある前記棒状工作物を軸方向に上昇駆動する上昇駆動部を有することが好ましい。
【0010】また、上記の主軸移動型立形工作機械用の棒状工作物供給装置において、前記保持手段の前記工作物受け取り位置の近傍に設けられ、前記工作物受け取り位置にある前記棒状工作物を軸方向に固定および固定解除することが可能な工作物固定手段を有することが好ましい。
【0011】また、上記の主軸移動型立形工作機械用の棒状工作物供給装置において、前記保持手段の前記工作物受け取り位置の近傍に、前記工作物受け取り位置にある前記棒状工作物の上端部の芯出しを行う芯出し部を設けることができる。
【0012】また、上記の主軸移動型立形工作機械用の棒状工作物供給装置において、前記保持手段は、複数の前記棒状工作物を保持して旋回可能に設けられており、前記工作物受け取り位置に所望の棒状工作物を旋回位置決めすることが可能なものであることが好ましい。
【0013】また、上記の主軸移動型立形工作機械用の棒状工作物供給装置において、前記棒状工作物供給装置は、床面に形成されたピット内に設置することができる。
【0014】また、本発明の主軸移動型立形工作機械における棒状工作物供給方法は、ほぼ垂直方向に回転軸線を有する主軸と、前記主軸を回転可能に軸支して、少なくとも前記主軸の軸線方向および前記主軸の軸線と直交する方向に移動する主軸台と、前記主軸の下端に設けられたチャックと、前記主軸台の移動制御および前記主軸の回転制御を行うとともに、前記チャックの開閉を制御する制御手段とを備えた主軸移動型立形工作機械と、前記主軸移動型立形工作機械の近傍に並設され、前記主軸移動型立形工作機械に軸線方向寸法が径方向寸法より長い棒状工作物を供給する棒状工作物供給装置であって、1つ以上の前記棒状工作物を保持可能であるとともに、少なくとも前記チャックが前記棒状工作物を受け取る工作物受け取り位置において前記棒状工作物の軸線方向が前記主軸の軸線方向と平行になるように保持可能である保持手段を有し、前記保持手段は、前記主軸の中心軸の移動可能範囲内の前記工作物受け取り位置において、前記チャックと対向するものである棒状工作物供給装置とにおける棒状工作物供給方法であって、前記主軸台を前記工作物受け取り位置に移動させる手順と、前記棒状工作物を前記チャック側から前記主軸内に挿入する挿入手順と、前記主軸台と前記棒状工作物とを相対移動させ、前記棒状工作物を前記主軸内にさらに進入させる進入手順とを有するものである。
【0015】また、上記の主軸移動型立形工作機械における棒状工作物供給方法において、前記棒状工作物供給装置が、前記保持手段の前記工作物受け取り位置の近傍、かつ、前記主軸の中心軸の移動可能範囲内に位置し、前記棒状工作物を当接する当接面が階段状に設けられた工作物供給補助部を有するものである場合は、前記挿入手順を、前記主軸台を前記主軸の軸線方向に下降させて前記棒状工作物を前記主軸内に挿入するものとし、前記進入手順を、前記主軸台を移動させ、前記チャックに保持した前記棒状工作物の先端を前記工作物供給補助部の前記当接面に当接させる手順と、前記チャックを開状態として、前記主軸台を下降させ、前記棒状工作物を前記主軸内にさらに進入させる手順とからなるものとすることができる。
【0016】また、上記の主軸移動型立形工作機械における棒状工作物供給方法において、前記棒状工作物供給装置が、前記保持手段の前記工作物受け取り位置の近傍に設けられ、前記工作物受け取り位置にある前記棒状工作物を軸方向に上昇駆動する上昇駆動部を有するものである場合は、前記挿入手順を、前記上昇駆動部により前記棒状工作物を上昇駆動して前記棒状工作物を前記主軸内に挿入するものとし、前記進入手順を、前記上昇駆動部により前記棒状工作物を上昇駆動して前記棒状工作物を前記主軸内に進入させるものとすることができる。
【0017】また、上記の主軸移動型立形工作機械における棒状工作物供給方法において、前記棒状工作物供給装置が、前記保持手段の前記工作物受け取り位置の近傍に設けられ、前記工作物受け取り位置にある前記棒状工作物を軸方向に固定および固定解除することが可能な工作物固定手段を有するものである場合は、前記挿入手順を、前記主軸台を前記主軸の軸線方向に下降させて前記棒状工作物を前記主軸内に挿入するものとし、前記進入手順を、前記工作物固定手段を開状態、前記チャックを閉状態として前記主軸台を上昇させ、前記チャックに保持した前記棒状工作物を上昇させる手順と、前記工作物固定手段を閉状態、前記チャックを開状態として、前記主軸台を下降させ、前記棒状工作物を前記主軸内にさらに進入させる手順とからなるものとすることができる。
【0018】また、上記の主軸移動型立形工作機械における棒状工作物供給方法において、前記棒状工作物供給装置が、前記保持手段の前記工作物受け取り位置の近傍、かつ、前記主軸の中心軸の移動可能範囲内に位置し、前記棒状工作物を当接する当接面が階段状に設けられた工作物供給補助部を有するとともに、前記保持手段の前記工作物受け取り位置の近傍に設けられ、前記工作物受け取り位置にある前記棒状工作物を軸方向に上昇駆動する上昇駆動部を有するものである場合は、、前記挿入手順は、前記上昇駆動部により前記棒状工作物を上昇駆動して前記棒状工作物を前記主軸内に挿入するか、または、前記上昇駆動部により所定の位置まで上昇させた前記棒状工作物を前記主軸台の前記主軸の軸線方向の下降動作によって前記主軸内に挿入するものとし、前記進入手順は、前記主軸台を移動させ、前記チャックに保持した前記棒状工作物の先端を前記工作物供給補助部の前記当接面に当接させる手順と、前記チャックを開状態として、前記主軸台を下降させ、前記棒状工作物を前記主軸内にさらに進入させる手順とからなるものとすることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、主軸移動型立形工作機械1と主軸移動型立形工作機械1の近傍に設けられた本発明の棒状工作物供給装置3の正面図である。工作機械としては立旋盤の場合の例である。また、図2は、主軸移動型立形工作機械1と棒状工作物供給装置3の平面図である。主軸移動型立形工作機械1のベッド10には刃物台23が設けられている。刃物台23には割り出し回転可能なタレット21が設けられており、タレット21の外周部には外径加工用バイト、内径加工用工具等の加工工具22が保持されている。
【0020】刃物台23およびタレット21より上方の位置には、主軸5の軸線方向と平行な方向であるZ軸方向と直交するX軸方向(水平方向)に沿って、X軸ガイドレール11が設けられており、X軸ガイドレール11上にはコラム12がX軸方向に移動可能に設けられている。X軸用サーボモータ20により回転駆動されるX軸送りねじ13、このX軸送りねじ13にねじ込まれているとともにコラム12に固定されたナット14により、コラム12をX軸方向に移動させる。コラム12には垂直方向(Z軸方向)にZ軸ガイドレール24が設けられている。直動ころがり案内を構成するZ軸ガイドレール24とスライド本体25によりZ軸方向に移動可能に主軸台4が設けられており、Z軸用サーボモータ26によってZ軸送りねじ(図示せず)を回転駆動することにより主軸台4をZ軸方向に移動させる。
【0021】主軸台4には垂直方向の回転軸線を有する主軸5が回転可能に軸支されており、主軸5の下端には中空型チャック(以下、チャックと記載する)6が設けられている。チャック6は、主軸5の上端に設けられた中空型チャックシリンダ(以下、チャックシリンダと記載する)28を駆動することによりドローチューブ(図示せず)を介して把持爪27の開閉動作を行うものであり、工作物の把持が可能である。また、チャック6とチャックシリンダ28との間は、主軸5の中心穴内を進退移動する中空のドローチューブで接続されている。なお、チャック6はコレットチャックであってもよい。
【0022】主軸台4に支持された主軸5はX,Z軸方向に移動可能となっている。主軸台4に支持された主軸5を回転駆動しつつNC装置(図示せず)によりX,Z軸方向に移動制御して、チャック6に把持した工作物をタレット21上の加工工具22により加工する。主軸5の回転駆動は、主軸台4と主軸5との間に組み込まれたビルトインモータによって行われる。
【0023】加工中に主軸台4が移動する領域は加工領域17として、図1には図示しないが、カバー、スプラッシュガードに覆われている。加工領域17に隣接して工作物授受領域18が設けられている。加工領域17と工作物授受領域18とは開閉可能な開閉カバーによって仕切られている。通常の短軸物(軸線方向寸法が径方向寸法と同程度かあるいは短い工作物)の加工であれば、工作物授受領域18にはワークフィーダが設置されており、ワークフィーダ上の複数のパレット上にはそれぞれ工作物が載置可能である。パレットの位置は主軸5の中心軸線のX軸方向の移動軌跡の直下に位置決め可能に設けられており、このワークフィーダにより、複数の工作物を連続的に主軸移動型立形工作機械1に供給することが可能である。
【0024】この主軸移動型立形工作機械1は、軸線方向寸法が径方向寸法より長い棒状工作物9を加工するために、主軸5内のドローチューブ、チャック6およびチャックシリンダ28の中心部が中空に構成されており、ドローチューブ等の内部に棒状工作物9を挿入することができる。ドローチューブ等の内部に挿入された棒状工作物9は所定長さだけチャック6から突出されて把持され、所望の加工を施されてから突切りバイト等により切断され加工完了品とされる。その後、棒状工作物9がさらに所定長さだけチャック6から突出されて把持され、同様に連続的に加工が行われる。
【0025】棒状工作物9を所定長さだけ突出させるためには、主軸台4を基準面上方に位置させた後、棒状工作物9の下端と基準面とが所定の隙間を有する位置まで主軸台4をZ軸方向に下降移動させる。チャック6を開状態にして棒状工作物9の下端を基準面に突き当てる。そして、チャック6が開の状態で主軸台4をZ軸方向に所定位置まで上昇移動してチャック6を閉とすればよい。棒状工作物9は重力により基準面に当接した状態を維持するので、結果としてチャック6から突出する。すなわち、棒状工作物9を突出させるための駆動機構が不要となる。
【0026】棒状工作物9を供給するために棒状工作物供給装置3が主軸移動型立形工作機械1近傍の工作物授受領域18に設置されている。X軸ガイドレール11は、X軸方向に棒状工作物供給装置3の位置まで延びており、チャック6が工作物受け取り位置Aの棒状工作物9の直上に位置するところまで主軸台4が移動可能である。また、棒状工作物供給装置3の工作物受け取り位置Aの近傍には、階段状に当接面が形成された工作物供給補助部39が設けられている。
【0027】主軸移動型立形工作機械1および棒状工作物供給装置3は、NC装置によって制御されている。棒状工作物9を主軸移動型立形工作機械1に供給する場合には、NC装置はまず棒状工作物供給装置3に指令を送出する。棒状工作物供給装置3は駆動モータ332(図3参照)を駆動して、次の棒状工作物を工作物受け取り位置Aに割り出し、停止しておく。その後、NC装置により主軸台4の移動制御、チャック6の開閉制御等を行い、棒状工作物9を主軸5内のドローチューブ等内に挿入する。
【0028】図3は、第1の実施の形態の棒状工作物供給装置3を一部断面で示す正面図である。供給装置本体31には、垂直な中心軸を有する回転軸32が回転駆動可能に設けられている。回転軸32の下部には基部円板33が固定されており、回転軸32とともに駆動モータ332によって回転駆動される。また、基部円板33の下面には、キャスタ331が複数個取り付けられており、基部円板33が滑らかに回転できるようにキャスタ331により支持されている。
【0029】回転軸32にはまた、棒状工作物9の保持手段である上段支持円板34と下段支持円板35が固定されている。上段支持円板34と下段支持円板35の外周部にはV字状の切欠部が複数形成されており、それぞれの切欠部に棒状工作物9が支持されている。棒状工作物9は、その軸線が主軸5の軸線と平行になるように垂直に支持されている。また、工作物受け取り位置Aの棒状工作物9をチャック6に受け取る際に、隣接する棒状工作物9とチャック6等の可動部材が干渉しないように、棒状工作物9の支持ピッチが設定されている。
【0030】工作物受け取り位置Aの近傍であって、かつ主軸5のX軸方向の移動軌跡上には工作物供給補助部39が設けられている。工作物供給補助部39には、階段状に第1当接面391、第2当接面392、第3当接面393が形成されており、それぞれの当接面に棒状工作物9の下端が当接可能となっている。棒状工作物がそれぞれの当接面に当接した状態は、9a,9b,9cにより示されている。これらの当接面の段差を利用して棒状工作物9をチャック6側よりチャック6、ドローチューブ、チャックシリンダ28の内部に進入させるものである。それぞれの段差の距離は、主軸台4のZ軸方向のストロークよりも若干小さく設定されている。
【0031】図4は、図3におけるB−B矢視断面図である。下段支持円板35上には調整円板351が回動および固定可能に載置されており、調整円板351の外周には位置決め部材352が下段支持円板35の切欠部に対応して設けられている。位置決め部材352は、調整円板351の回動位置により支持面の半径方向位置が変化するような形状とされている。支持する棒状工作物9の径に応じて、調整円板351を回動して調整し、固定ねじ353により位置を固定する。これにより、径の異なる棒状工作物でも正確な位置に支持することができる。
【0032】棒状工作物段取り位置Dは、棒状工作物9を棒状工作物供給装置3にセットする位置である。すなわち、作業者は調整円板351を回動して、位置決め部材352と下段支持円板35の切欠部との隙間が棒状工作物9の径より大きくなるようにした後、棒状工作物9を下段支持円板35と位置決め部材352の間に順次挿入していく。その後、調整円板351を回動させて調整し、固定ねじ353により固定する。
【0033】支持径の調整作業は、全ての支持部の支持径を連動して調整できるので容易に行うことができる。さらに、棒状工作物9の径が異なっても、工作物受け取り位置Aの棒状工作物9の中心軸の位置がX軸方向にずれるだけであるから、棒状工作物9の中心軸は主軸5のX軸方向の移動軌跡上にあり、正常に棒状工作物9の供給を行うことができる。棒状工作物9の径に応じて工作物受け取り位置AのX軸方向の移動位置を適宜変更すればよい。
【0034】工作物受け取り位置Aの近傍には工作物飛び出し防止カバー部(以下、防止カバー部と記載する)40が設けられている。防止カバー部40は、調整円板351の調整が不良の場合などのとき、棒状工作物9を回動させるとゲート部40aから外方に飛び出そうとすることを防止するためのカバー部である。防止カバー部40はばね41により押圧の付勢力が与えられている。また、棒状工作物9を押圧力に逆らって図4の左方向に移動させることにより、防止カバー部40が回動して棒状工作物9を支持部から離脱させることができる。具体的には、棒状工作物9をチャック6により把持し、棒状工作物9の下端位置が位置決め部材352より上になるまで上昇させ、さらにX軸負方向(図4の左方向)に移動させる。
【0035】図5は、第1の実施の形態の棒状工作物供給装置3における棒状工作物9の供給手順を示すフローチャートである。まず手順101では、棒状工作物9をチャック6に把持していない状態で、主軸台4をX軸方向に移動させチャック6を工作物受け取り位置Aの上方に位置させる。手順102でチャック6を開き、棒状工作物9を挿入可能な状態とする。次に手順103で主軸台4をZ軸方向に下降させ、棒状工作物9をチャック6に挿入する。そしてチャック6を閉じ、棒状工作物9を把持する。
【0036】手順104では、棒状工作物9を把持した状態で棒状工作物9の下端位置が位置決め部材352より上になるまで主軸台4を上昇させ、さらにX軸負方向に移動させて棒状工作物9の下端位置が工作物供給補助部39の第1当接面391の直上の近接位置となるようにする。そこでチャック6を開けば、棒状工作物9は重力により下降し、下端が第1当接面391に当接する。次に手順105で主軸台4を下降させ、主軸5中にさらに棒状工作物9を進入させる。主軸台4を最大限下降させた位置で、チャック6を閉じる。
【0037】手順106では、棒状工作物9の下端位置が第2当接面392より上になるまで主軸台4を上昇させ、さらに主軸台4をX軸方向に移動させて棒状工作物9の下端位置が第2当接面392の直上の近接位置となるようにする。そこでチャック6を開き、棒状工作物9を重力により下降させて下端を第2当接面392に当接させる。次に手順107で主軸台4を下降させ、棒状工作物9を主軸5中にさらに進入させる。主軸台4を最大限下降させた位置で、チャック6を閉じる。
【0038】同様に、手順108では、棒状工作物9の下端位置が第3当接面393より上になるまで主軸台4を上昇させ、さらに主軸台4をX軸方向に移動させて棒状工作物9の下端位置が第3当接面393の直上の近接位置となるようにする。そこでチャック6を開き、棒状工作物9を重力により下降させて下端を第3当接面393に当接させる。次に手順109で主軸台4を下降させ、棒状工作物9を主軸5中にさらに進入させる。主軸台4を第3当接面393から所定距離の位置まで下降させチャック6を閉じる。
【0039】手順110では主軸台4を上昇させ、手順111で主軸台4を加工領域17に移動させる。棒状工作物9を加工領域内に設けた基準面の直上の所定の隙間を有する位置に移動させ、チャック6を開いて基準面に当接させる。そして主軸台4をZ軸方向に所定量上昇させる。棒状工作物9は重力により基準面に当接した状態を維持している。チャック6を閉じることにより、チャック6より棒状工作物9を所定量突出させた状態とする。このように主軸5中に棒状工作物9を挿入させた状態で、加工領域17において所望の加工を行う。
【0040】加工が終了したチャック6からの突出部分は突切りバイトにより切断され、アンローダバケット、排出用シュート等により加工領域17から排出される。次に主軸台4を移動させて、棒状工作物9が加工領域17中に設けた基準面の直上位置となるようにし、チャック6開閉動作と主軸台4の移動動作により棒状工作物9を所定量突出させる。このようにして連続的に加工を行うことができる。棒状工作物9の全長の加工が終了すればチャック6内に残った把持部分を排出して、棒状工作物供給装置3から新しい棒状工作物9を供給する。
【0041】このように、工作物供給補助部39に形成した階段状の当接面を利用して、複数段階で棒状工作物9を主軸5内に挿入することにより、主軸台4のZ軸方向のストロークよりも長い棒状工作物9でも自動的にドローチューブ等の内部に挿入可能となり、棒状工作物9の自動供給が可能となる。また、主軸台4のZ軸方向のストロークをむやみに大きくしなくても済むため、工作機械のコストを増加させることがない。なお、この第1の実施の形態では工作物供給補助部39の当接面を3段設けているが、当接面の数は、主軸台4のZ軸方向のストロークと棒状工作物9の長さに応じて適宜決定すればよく、1段以上の任意の数とすることができる。
【0042】図6は、第2の実施の形態の棒状工作物供給装置3を一部断面で示す正面図である。第1の実施の形態と同様に、供給装置本体31には、垂直な中心軸を有する回転軸32が回転駆動可能に設けられている。回転軸32の下部には基部円板33が固定されており、回転軸32とともに駆動モータ332によって回転駆動される。また、基部円板33の下面には、キャスタ331が複数個取り付けられており、基部円板33が滑らかに回転できるようにキャスタ331によって支持されている。回転軸32にはまた、上段支持円板34と下段支持円板35が固定されている。上段支持円板34と下段支持円板35の外周部にはV字状の切欠部が複数形成されており、それぞれの切欠部に棒状工作物9が支持されている。棒状工作物9は、その軸線が主軸5の軸線と平行になるように垂直に支持されている。
【0043】図7は、図6におけるC−C矢視断面図である。上段支持円板34と下段支持円板35の外周部の切欠部に対応した位置に、位置決め部材36が固定されている。この第2の実施の形態では第1の実施の形態よりも小さなピッチで棒状工作物9が支持されている。したがって数多くの棒状工作物9を連続して供給することが可能である。工作物受け取り位置Aの近傍には上昇駆動部37が設けられている。上昇駆動部37の駆動爪371は、非作動時には棒状工作物9の下端の下側に位置するように設定されている。また、基部円板33の外周部および位置決め部材36には、駆動爪371が上下に通過できるように半径方向の溝が設けられている。
【0044】上昇駆動部37は、駆動部本体372に対して上下方向に移動体373が移動できる。上昇駆動部37の移動体373が上昇移動すると、工作物受け取り位置Aの棒状工作物9の下端に駆動爪371が係合し、棒状工作物9を軸方向に上昇駆動することができる。このため、工作物受け取り位置Aの棒状工作物9だけを他の棒状工作物9より上方に突出させることができ、棒状工作物9の支持ピッチを小さくし支持密度を大きくしても、チャック6や主軸5と他の棒状工作物9とが干渉することなく、棒状工作物9の供給を行うことができる。上昇駆動部37の上下動のストロークは棒状工作物9の軸方向長さと同程度とされている。上昇駆動部37としてはロッドレスシリンダが好適であるが、駆動モータとねじ機構、駆動モータとラック・ピニオン機構等、他の駆動機構であってもよい。
【0045】図8は、棒状工作物9の位置決め部材36の拡大図である。位置決め部材36は、固定部材361と調整部材362からなり、固定部材361は、上段支持円板34と下段支持円板35の外周部の棒状工作物支持位置に固定されている。調整部材362は固定部材361上に載置され、調整部材362に設けられた凸部363,364が調整部材362に設けられた長孔366,367に遊嵌されている。これにより調整部材362は上段支持円板34、下段支持円板35の半径方向に調整移動可能となっている。棒状工作物9の径に応じて、調整部材362の半径方向位置を調整し、固定ねじ365によって固定する。
【0046】このようにして、種々の径の棒状工作物9に対して遊びがなく正確な位置での支持が可能となる。また、調整部材362の先端側には、上昇駆動部37の駆動爪371が通過するための溝368が設けられている。この位置決め部材36においては、調整部材362を個々の位置決め部材36ごとに調整するようにしたが、第1の実施の形態における位置決め部材352のように連動して調整するものとしてもよい。
【0047】図9は、第2の実施の形態における棒状工作物9の供給手順を示すフローチャートである。まず手順201では、棒状工作物9をチャック6に把持していない状態で、主軸台4をX軸方向に移動させチャック6を工作物受け取り位置Aの上方に位置させる。手順202でチャック6を開き、棒状工作物9を挿入可能な状態とする。次に、手順203で主軸台4を棒状工作物供給装置3に干渉しない下限位置近傍までZ軸方向に下降させる。次に、手順204で上昇駆動部37により棒状工作物9を上昇端まで上昇させ、棒状工作物9をチャック6およびドローチューブ内に挿入する。そして、手順206でチャック6を閉じ、棒状工作物9を把持する。
【0048】手順206では主軸台4を上昇させ、手順207で主軸台4を加工領域17に移動させる。このように主軸5内に棒状工作物9を挿入させた状態で、加工領域17において所望の加工を行う。加工および加工後の棒状工作物9の突出方法は第1の実施の形態における説明と同様である。棒状工作物9の全長の加工が終了すれば把持部分をチャック6から排出して、棒状工作物供給装置3から新しい棒状工作物9を供給する。
【0049】この第2の実施の形態においては、上昇駆動部37により棒状工作物9を上昇駆動させるようにしたので、棒状工作物9の保持ピッチを小さくして数多くの棒状工作物9を保持するようにしても、他の棒状工作物9が主軸台4に干渉することなく棒状工作物9の自動供給が行える。このため棒状工作物供給装置3に保持する棒状工作物9の数を増加させることができ、工作機械の長時間の連続自動運転が可能となる。また、この第2の実施の形態においては、上昇駆動部37の駆動ストロークが棒状工作物9の軸方向長さと同程度であり、1回の上昇駆動で棒状工作物9の供給を完了できる。このため棒状工作物9の供給のための時間が短時間で済むという利点がある。
【0050】なお、上昇駆動部37の駆動ストロークをそれほど長くせず、上昇駆動部37を棒状工作物9の上端をチャック6に挿入するために使用し、その後の棒状工作物9の主軸5中への収納は第1の実施の形態における工作物供給補助部39を使用するようにしてもよい。また、上昇駆動部37と工作物供給補助部39とを併用する場合、上昇駆動部37の駆動ストロークを長くすれば、工作物供給補助部39の当接面の段数を減らすことができる。
【0051】図10は、第3の実施の形態の棒状工作物供給装置3を一部断面で示す正面図である。これはチャック6としてコレットチャックのように開き量が小さいものを使用する場合に有効なものである。工作物受け取り位置Aの棒状工作物9の上方に、芯出し部38が設けられている。芯出し部38は、供給装置本体31の天板上に取り付けられている。棒状工作物9の上端近傍の位置で、芯出し部38により棒状工作物9の芯出しを行うため、棒状工作物9上端位置の精度が向上し、コレットチャック等の開き量が小さいチャック6でも棒状工作物9の確実な挿入が可能となる。
【0052】図11は、芯出し部38の拡大図である。芯出し部本体381は、供給装置本体31の天板上に取り付け固定される。可動部382はガイドバー384上を移動可能に設けられており、シリンダ383によってX軸方向に駆動される。棒状工作物9は、芯出し部本体381および可動部382に形成されたV溝により挟持され芯出しされる。棒状工作物9の径が異なっても、棒状工作物9の中心軸の位置はX軸方向にのみ変化し、主軸5の移動軌跡上にある。棒状工作物9の径に応じて、その芯出し位置は容易に算出することができる。
【0053】芯出し部38を使用する場合は、まず、芯出し部38の可動部382を、シリンダ383により開放側に駆動しておき、棒状工作物9を上昇駆動部37により挿入位置まで上昇させる。棒状工作物9は芯出し部本体381と可動部382の間を通過して挿入位置まで上昇する。次に可動部382を挟持側に駆動し、棒状工作物9を芯出しした状態で、チャック6を開状態で下降させ棒状工作物9をチャック6内に挿入するようにすればよい。その後、再び可動部382を開放側に駆動し、上昇駆動部37によって棒状工作物9を上昇させ、主軸5内に挿入させる。
【0054】図12は、他の形態の芯出し部38の拡大平面図である。また図13は、図12の芯出し部38の正面図である。芯出し部本体381は、供給装置本体31の天板上に取り付け固定される。可動部385は揺動アーム386に対して固定ねじ388により固定されているが、固定ねじ388を緩めれば、棒状工作物9の径に応じて位置の調整が可能となる。揺動アーム386は揺動軸387により揺動可能に軸支されており、ばねにより挟持方向に付勢されている。揺動アーム386の挟持側の位置はストッパ389により規制されている。
【0055】この形態の芯出し部38では、シリンダ等による可動部385の駆動が不要である。棒状工作物9の上端部を芯出し部本体381と可動部385の間を通過させるだけで、ばねによる付勢力により棒状工作物9を挟持し芯出しを行うことができる。また、棒状工作物9の上端部をチャック6によって把持した後、主軸台4をX軸負方向に移動させれば、揺動アーム386および可動部385は開放方向に揺動し、棒状工作物9を芯出し部38から離脱させることができる。これにより、上昇駆動部37と工作物供給補助部39とを併用して棒状工作物9を供給することができる。
【0056】なお、第4の実施の形態として、図10の構成の棒状工作物供給装置3において、棒状工作物9の供給手順を異なるものとすることができる。芯出し部38としては、図11のような棒状工作物9の軸方向の固定、固定解除が制御可能なものを使用する。そして、芯出し部38とチャック6とによって交互に棒状工作物9を保持して主軸台4を上下動させることにより、主軸5内に棒状工作物9を挿入するものである。
【0057】図14は、第4の実施の形態における棒状工作物9の供給手順を示すフローチャートである。まず手順301では、棒状工作物9をチャック6に把持していない状態で、主軸台4をX軸方向に移動させチャック6を工作物受け取り位置Aの上方に位置させる。手順302でチャック6を開き、チャック6に棒状工作物9を挿入可能な状態とするとともに、芯出し部38を開き、棒状工作物9が芯出し部本体381と可動部382の間を通過可能な状態とする。
【0058】次に、手順303で上昇駆動部37により棒状工作物9をチャック6への挿入位置まで上昇させる。そして芯出し部38を閉じ、棒状工作物9の上端部を芯出しするともに軸方向にも固定する。次に、手順304で主軸台4を芯出し部38に干渉しない下限位置近傍までZ軸方向に下降させ、棒状工作物9をチャック6に挿入する。次に、手順305でチャック6を閉じて棒状工作物9を把持するとともに、芯出し部38を開いて棒状工作物9を軸方向に移動可能とする。次に、手順306で主軸台4を上昇させ棒状工作物9を上昇駆動する。
【0059】次に、手順307で芯出し部38を閉じて棒状工作物9を軸方向に固定するとともに、チャック6を開いて棒状工作物9を主軸5内に進入可能とする。次に、手順308で主軸台4を下降させ棒状工作物9を主軸5内に進入させる。そして、手順309において棒状工作物9の主軸5内への進入量が所定量に達したか否かを判断する。所定量に達していなければ、手順305に戻り棒状工作物9を主軸5内にさらに進入させ、所定量に達していれば、手順310に進む。
【0060】手順310では、チャック6を閉じて棒状工作物9を把持するとともに、芯出し部38を開いて棒状工作物9を軸方向に移動可能とする。そして、手順311では主軸台4を上昇させて棒状工作物9を芯出し部38から離脱させ、手順312で主軸台4を加工領域17に移動させる。
【0061】このようにして、棒状工作物9を軸方向に固定および固定解除することが可能な工作物固定手段としての芯出し部38と、チャック6により棒状工作物9を交互に保持し、複数段階で棒状工作物9を主軸5内に挿入するようにしたので、主軸台4のZ軸方向のストロークよりも長い棒状工作物9でも自動的に主軸内に挿入可能となり、棒状工作物9の自動供給が可能となる。また、主軸台4のZ軸方向のストロークをむやみに大きくしなくても済むため、工作機械のコストを増加させることがない。
【0062】この第4の実施の形態では上昇駆動部37と芯出し部38とを併用しているが、上昇駆動部37を省略して、第1の実施の形態と同様に主軸台4の下降のみで棒状工作物9をチャック6内に挿入することもできる。棒状工作物9を軸方向に固定および固定解除することが制御可能な手段が設けられていればよく、その手段には必ずしも芯出し機能は必要ではない。
【0063】なお、以上の実施の形態においては、主軸5の軸線方向(Z軸方向)は垂直方向としたが、Z軸方向を垂直方向から所定角度だけ傾斜させるようにした工作機械でもよい。また、工作機械としては立旋盤を例にして説明したが、立旋盤以外にもターニングセンタ、研削盤、マシニングセンタ等の他の任意の工作機械にも適用できる。さらに、主軸台4がX軸方向およびZ軸方向に移動する工作機械について説明したが、主軸台がこれらのX,Z軸に加えて両軸に直交するY軸方向にも移動可能な工作機械であってもよい。
【0064】また、棒状工作物の軸線方向長さが、主軸台が最上部に位置したときのチャック面から棒状工作物供給装置の底面までの高さより長い場合には、棒状工作物供給装置が設置される場所を工場床面より下がったピット(床面より掘り下げた凹んだ場所)とすればよい。このことにより、さらに長い棒状工作物の加工が工作機械の大きさを変更することなく可能となる。
【0065】さらに、棒状工作物供給装置が棒状工作物を同一円周上に並べて保持しているものと説明したが、工作機械前面または後面より傾斜する傾斜シュート上に棒状工作物を水平状態で並べておき、工作物受け取り位置にきた棒状工作物を保持して姿勢変更用シリンダ等により主軸軸線と平行な方向に姿勢変更させるものであってもよい。
【0066】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成されているので、以下のような効果を奏する。
【0067】主軸移動型立形工作機械の近傍に棒状工作物を主軸と平行に保持する棒状工作物供給装置を並設し、主軸台の移動により棒状工作物を主軸内に収納するようにしたので、主軸移動型立形工作機械により棒状工作物を自動的に供給しながら連続的に加工を行うことが可能となった。また、重力を利用して棒状工作物をチャックから所定量突出させることができるため、棒状工作物を突出させるための駆動機構が不要となる。さらに、棒状工作物供給装置が主軸移動型立形工作機械と並んで設けられ、チャックと対向する低い位置にあるため、工作機械と棒状工作物供給装置の全高が低くなり工場の天井等に干渉することがなくなり、通常の天井高さの工場にも設置可能となる。そして作業者が棒状工作物供給装置に棒状工作物をセットする作業も低位置での作業となり作業が容易となるとともに、棒状工作物を落下させてしまう等の事故のおそれもなくなり安全性も向上する。
【0068】工作物供給補助部に形成した階段状の当接面を利用して、複数段階で棒状工作物を主軸内に挿入するようにしたので、主軸台のZ軸方向のストロークよりも長い棒状工作物でも自動的に主軸内に挿入可能となり、棒状工作物の自動供給が可能となる。また、主軸台のZ軸方向のストロークをむやみに大きくしなくても済むため、工作機械のコストを増加させることがない。
【0069】上昇駆動部により棒状工作物を上昇駆動させるようにしたので、棒状工作物の保持ピッチを小さくして数多くの棒状工作物を保持するようにしても、他の棒状工作物が主軸台に干渉することなく棒状工作物の自動供給が行える。このため棒状工作物供給装置に保持する棒状工作物の数を増加させることができ、工作機械の長時間の連続自動運転が可能となる。また、上昇駆動部の駆動ストロークを棒状工作物の軸方向長さと同程度とすれば、1回の上昇駆動で棒状工作物の供給を完了でき、棒状工作物の供給が短時間で行える。
【0070】棒状工作物を軸方向に固定および固定解除することが可能な工作物固定手段とチャックにより棒状工作物を交互に保持し、複数段階で棒状工作物を主軸内に収納するようにしたので、主軸台のZ軸方向のストロークよりも長い棒状工作物でも自動的に主軸内に収納可能となり、棒状工作物の自動供給が可能となる。また、主軸台のZ軸方向のストロークをむやみに大きくしなくても済むため、工作機械のコストを増加させることがない。
【0071】工作物受け取り位置の棒状工作物の上端部を芯出し部により芯出しするようにしたので、棒状工作物の上端位置の位置精度が向上し、コレットチャック等の開き量が小さいチャックでも棒状工作物の確実な挿入が可能となる。
【出願人】 【識別番号】000233321
【氏名又は名称】日立精機株式会社
【出願日】 平成10年9月2日(1998.9.2)
【代理人】 【識別番号】100106770
【弁理士】
【氏名又は名称】円城寺 貞夫 (外1名)
【公開番号】 特開2000−79501(P2000−79501A)
【公開日】 平成12年3月21日(2000.3.21)
【出願番号】 特願平10−248358