| 【発明の名称】 |
水素吸蔵合金粉末及びその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】小口 昌弘
【氏名】花田 房宣
【氏名】吉沢 克之
【氏名】庄子 忠
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| 【要約】 |
【課題】水素吸蔵特性に優れ、水素吸蔵時の歪みが緩和され、微粉化しにくい水素吸蔵合金粉末及びその製造方法を提供する。
【解決手段】水素吸蔵合金の溶湯1にガスを5kgf/cm2 以上の圧力で吹き付けて噴霧した液滴5を、2π/秒以上の角速度で回転する回転冷却体4に衝突させ、1秒当たり100℃以上の速度で冷却するという方法で、厚さが10μm以下で、アスペクト比(厚さに対する長径の比)が10以上の扁平形状をなし、扁平面の一方の面から他方の面へ向かう柱状の組織構造を有する水素吸蔵合金粉末6を得る。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 厚さが10μm以下で、アスペクト比(厚さに対する長径の比)が10以上の扁平形状をなし、扁平面の一方の面から他方の面へ向かう柱状の組織構造を有することを特徴とする水素吸蔵合金粉末。 【請求項2】 希土類元素、チタニウム、ジルコニウム、バナジウム、マグネシウム、カルシウム、イットリウム、ハフニウム、ニオブ、タンタル、ニッケル、鉄、マンガン、銅、コバルト、クロム、アルミニウム、ホウ素、炭素、ケイ素、燐、硫黄、窒素、パラジウム、白金から選ばれた1種又は2種以上の元素を10重量%以上含む請求項1記載の水素吸蔵合金粉末。 【請求項3】 水素電池、燃料電池用水素貯蔵装置、ヒートポンプから選ばれた1種に用いられる請求項1又は2記載の水素吸蔵合金粉末。 【請求項4】 水素吸蔵合金の溶湯にガスを5kgf/cm2 以上の圧力で吹き付けて噴霧した液滴を、2π/秒以上の角速度で回転する回転冷却体に衝突させ、1秒当たり100℃以上の速度で冷却することを特徴とする水素吸蔵合金粉末の製造方法。 【請求項5】 前記噴霧用のガスとして不活性ガスを用いる請求項4記載の水素吸蔵合金粉末の製造方法。 【請求項6】 前記回転冷却体が、傘状、円錐状又は円盤状をなす請求項4又は5記載の水素吸蔵合金粉末の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、水素電池、燃料電池用水素貯蔵媒体などに使用される水素吸蔵特性を有する合金粉末及びその製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】1970年にLaNi5 化合物合金に水素を吸蔵放出することができる特性が見いだされた。LaNi5 合金の水素吸蔵放出の作用は、等温下では水素吸蔵時水素圧力(Pa)、水素放出時水素圧力(Pd)にPa>Pdという関係があり、また、等圧下では水素吸蔵時温度(Ta)、水素放出時温度(Td)にTa<Tdという関係にあることに基づいている。これらの関係は平衡状態の気−固反応則に従うものである。一般的には水素の圧力や温度を制御することにより水素の吸蔵放出作用をもつ金属材料を水素吸蔵合金と呼んでいる。現在までに、LaNi5 、ZrNi2 、TiFe、Mg2 Niをはじめとして多くの合金組成が開発されている。 【0003】水素吸蔵合金の用途は、ニッケル水素電池の負極材料、水素燃料電池や水素エンジン用の水素貯蔵媒体、ヒートポンプなどである。ニッケル水素電池は、同様な二次電池であるニッケル−カドミウム電池の負極に使用されているカドミウムを水素吸蔵合金に置き換えたものであり、作動原理はほとんど同じであるが、蓄電容量がニッケル−カドミウム電池の2倍以上であり、また、有害物質であるカドミウムを使用していないといった環境面からも優れた電池といえる。ニッケル水素電池は携帯電話やラップトップコンピュータなどに使用されており、将来的には電気自動車用電池の最有力候補と言われている。水素燃料電池や水素エンジンは環境に配慮したエネルギー・動力機関として関心が高まってきている。燃料電池や水素エンジンの水素供給体もしくは貯蔵体として、圧縮水素ガス、液体水素、炭化水素改質物、水素吸蔵合金等が検討されているが水素密度と安全性、更に無公害性を考慮すると水素吸蔵合金を貯蔵媒体とした水素供給システムが理想的である。水素吸蔵合金における水素吸蔵時及び放出時にはそれぞれ発熱反応、吸熱反応をともなう。この作用をもちいたのがヒートポンプであり、2種類以上の性質の異なる水素吸蔵合金を用いることにより閉じた系でのヒートポンプも構築できる。 【0004】水素吸蔵合金としては、水素の吸蔵放出速度を速めるために、粉末形状の材料が使用されている。一般的製造工程は、まず不活性雰囲気や真空中で成分となる元素を溶解し、そのまま冷却するかもしくは鋳型へ流し込んで鋳込む。鋳造塊は粗粉砕されたのち真空中か不活性ガス雰囲気下1000°C前後の温度で長時間の均質化のための熱処理を行う。均質化された合金塊は、ボールミリング法などの粉砕法により所定粒径に粉砕され分級工程を経て完成品となる。 【0005】また、水素吸蔵合金粉末の製造方法として、超急冷のプロセスを適用することも行われている。超急冷のメリットは、組織を均質化しやすく、結晶粒の微細構造を制御しやすいことにある。超急冷法としては、例えば合金溶湯を先を細くしたノズルから連続的に回転する冷却体上へ流し出しテープ状の材料を得る技術、いわゆるロール急冷法や、溶湯に高圧ガスを噴霧し粉末状材料を得るアトマイズ法などがある。前者は良好な結晶組織が生成でき、後者は粉砕工程を必要としない利点を有する。更に、2つの手法の長所を合わせ持たせるために、例えば特開平7−102307号に示されるように、円筒ロール上でアトマイズをし、溶湯液滴をロールに衝突させフレーク状の粉末を作製する技術も提案されている。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の方法により作製した水素吸蔵合金粉末には、次のような解決されるべき問題点や欠点が存在する。 【0007】まず、鋳造後に粉砕して得られた粉末は、粉末形状が異形状であり、粒度範囲も広い。粉末の形状は、用途にもよるが、圧粉体の成形時に粉末の流動性を悪化させたり、樹脂と混練した場合にも気体の巻き込みの原因となる。また、粒径の大きい粉末は、前述の例と同様に粉末の成型に悪影響を及ぼす。逆に粒径の小さな粉末は、粒径が十分小さければ比表面積を大きくすることができるが、仮に水素吸蔵合金を水素貯蔵媒体とする貯蔵タンクに用いた場合、タンクのフィルタの目詰まりや機械的可動部分の損傷を引き起こすばかりでなく、容器や設備の損傷にもつながる危険性がある。また、粒子間の接触度が低くなることによって熱伝導の低下をまねき、吸蔵・放出反応速度を低下させる。ニッケル水素電池に使用した場合でも接触度の低下が電極内部での集電効率の低下につながり、容量を低下させ、電極のサイクル寿命を短くする。よって、粒度はある範囲内にあることが望ましい。 【0008】また、超急冷法のアトマイズ法により作製した粉末は、表面は滑らかであり、ある程度であれば所定範囲の粒径も得ることができる。この手法では溶湯から直接粉末を作製できることから粉砕工程を必要としないメリットもある。しかし、アトマイズ法で得られる粉末は、粉末形状が球形のため単位体積当たりの表面積が小さく、水素吸蔵放出速度が遅くなる。また、球状粉末は表面から等方的に冷却されるため、粉末の内部組織は放射状となる。このような放射状組織は格子歪みが大きく、水素を吸収することによる歪みを緩和しにくいことから、粉末の微粉化などが起こりやすく、水素吸蔵特性に悪影響を与える。更に、急冷の度合いが低く十分に急冷効果を得られなかった粉末は、成分の偏析が生じ、水素吸蔵特性を悪化させる。反対に急冷が過度となった場合は、非晶質化し、目的の化合物は生成されず、十分な水素吸蔵特性を得られなくなる。 【0009】一方、水素吸蔵合金粉末の従来の製造方法には、次のような解決されるべき問題点や欠点が存在する。 【0010】鋳造法で作製した合金塊を粉砕する方法では、合金の凝固偏析を解決させるために、真空中もしくは不活性ガス雰囲気中高温下で長時間熱処理を行う必要性がある。この工程の存在により粉末のコストは必然的に高くなる。また、粉砕時に合金内に加工歪みが入り、残留した加工歪みは水素吸蔵の特性悪化につながる。更に、水素吸蔵合金のほとんどは化合物合金であり脆い性質であるため、粉砕時に製品として使用することのできない微粉末が生成され、ロスが多い。 【0011】また、アトマイズ法による粉末の製造法では、急冷速度をコントロールすることが困難であり、均質な微細組織が得にくい。ロール急冷法も溶湯の制御が難しく、量産向きではない。また、ロール急冷法で作製した材料を破砕して粉末を得ることはできるが、この破砕粉末は厚さが15μm以上である。厚さが10μm以上の粉末は厚さ方向に完全な柱状組織を形成することは困難で、先に述べた水素吸蔵時の歪みが緩和され難い。 【0012】更に、アトマイズ法と円筒形ロールを用いた急冷法を組合せた方法では、アトマイズガスがロールの回転方向と逆回転方向の大きく2つの流れに別れる。ロールの回転方向側のガス流はより速度を増し、逆回転方向はガス流の速度が遅くなる。この速度の違いにより圧力差が生じ、溶湯流もしくはアトマイズにより分断化された液滴は、ロールから外れて冷却され、球状粉末となる。ガス噴霧位置をロールの直上とすることで、ある程度は球状粉末の生成を回避できるが、その場合には、溶湯流の流長が長くなるため、アトマイズによる効率的な溶湯の分断化ができなくなるという問題がある。 【0013】本発明で解決しようとする課題は、上記のような問題を低減させた水素吸蔵合金を適切な方法で作製することにある。 【0014】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明による水素吸蔵合金粉末は、厚さが10μm以下で、アスペクト比(厚さに対する長径の比)が10以上の扁平形状をなし、扁平面の一方の面から他方の面へ向かう柱状の組織構造を有することを特徴とする。 【0015】本発明の水素吸蔵合金粉末は、厚さが10μm以下で、アスペクト比(厚さに対する長径の比)が10以上の扁平形状をなすため、単位体積当たりの表面積が大きく、かつ、扁平形状の粉末が厚さ方向に積層することにより、粉末どうしの接触性が良好となって熱伝導性が向上するため、水素の吸蔵・放出反応速度を高めることができる。また、粉末が扁平形状をなすことにより、樹脂等のバインダを用いて成形する際の気体の巻き込みが低減され、配向性がよいことから固化成形性も良好となる。更に、本発明の水素吸蔵合金粉末は、扁平面の一方の面から他方の面へ向かう異方的な柱状の組織構造を有するため、水素吸蔵時の歪みが緩和されて、微粉化を防ぐことができる。したがって、水素電池、燃料電池用水素貯蔵装置、ヒートポンプなどに用いた場合の性能を向上させ、寿命を長くすることができる。 【0016】本発明の水素吸蔵合金粉末は、希土類元素、チタニウム、ジルコニウム、バナジウム、マグネシウム、カルシウム、イットリウム、ハフニウム、ニオブ、タンタル、ニッケル、鉄、マンガン、銅、コバルト、クロム、アルミニウム、ホウ素、炭素、ケイ素、燐、硫黄、窒素、パラジウム、白金から選ばれた1種又は2種以上の元素を10重量%以上含むことが好ましく、それによって上記特徴を有する水素吸蔵合金粉末を製造しやすくなる。 【0017】以上のような特性を有する本発明の水素吸蔵合金粉末は、例えば水素電池、燃料電池用水素貯蔵装置、ヒートポンプなどの用途に特に好適である。 【0018】一方、本発明による水素吸蔵合金粉末の製造方法は、水素吸蔵合金の溶湯にガスを5kgf/cm2 以上の圧力で吹き付けて噴霧した液滴を、2π/秒以上の角速度で回転する回転冷却体に衝突させ、1秒当たり100℃以上の速度で冷却することを特徴とする。 【0019】本発明による水素吸蔵合金粉末の製造方法によれば、厚さが10μm以下で、アスペクト比(厚さに対する長径の比)が10以上の扁平形状をなし、扁平面の一方の面から他方の面へ向かう柱状の組織構造を有する水素吸蔵合金粉末を効率的に製造することができる。 【0020】本発明の水素吸蔵合金粉末の製造方法においては、前記噴霧用のガスとして不活性ガスを用いることが好ましく、これによって粉末の表面に対水素に不活性な金属酸化物などの被膜が形成されることを防ぐことができる。 【0021】また、本発明の水素吸蔵合金粉末の製造方法においては、前記回転冷却体が、傘状、円錐状又は円盤状をなすことが好ましく、それによって、回転冷却体として円筒ロールを用いた場合よりも球状粉末を大幅に低減し、目的とする扁平形状の粉末を効率的に製造することができる。 【0022】 【発明の実施の形態】本発明の水素吸蔵合金粉末の材料としては、水素吸蔵放出作用を有するものであれば特に限定されないが、前述したように、希土類元素、チタニウム、ジルコニウム、バナジウム、マグネシウム、カルシウム、イットリウム、ハフニウム、ニオブ、タンタル、ニッケル、鉄、マンガン、銅、コバルト、クロム、アルミニウム、ホウ素、炭素、ケイ素、燐、硫黄、窒素、パラジウム、白金の1種もしくは2種以上の元素を10重量%以上含む金属や合金が特に効果的である。 【0023】本発明の水素吸蔵合金粉末は、上記水素吸蔵放出作用を有する金属又は合金の溶湯を、ガスアトマイズ法により液滴とし、この液滴を凝固する前に回転冷却体に衝突させることによって得ることができる。具体的には、例えば本出願人による特許第2544963号公報に示される方法が好ましく採用される。 【0024】この方法について、更に詳しく説明すると、まず、上記水素吸蔵合金材料を高周波溶解炉、抵抗炉などの装置を用いて溶解する。そして、図1に示すように、この溶湯1を流出するノズル2を設置し、ノズル2から落下する溶湯1に対して高圧の噴射ガスを吹き付ける噴霧化ノズル3を設置する。噴霧ノズル3は、ノズル2を囲むように例えば円形に配置し、多数の噴出口から溶湯1の流れに向けて高速ガスを噴霧する構造とする。そして、ノズル2の下方には、回転冷却体4をその回転軸がノズル2の直下からやや横方向にずれるように配置する。 【0025】したがって、ノズル2から流出し落下する溶湯1の流れに対して、噴霧化ノズル3から高圧の噴射ガスが吹き付けられ、これによって溶湯1の液滴5が形成される。この液滴5は、下方に向けて広がりながら飛散し、回転冷却体4の円錐面に衝突して冷却凝固し、扁平化された薄片状の粉末6が形成される。なお、必要に応じて、得られた粉末6から目的とする形状のものを分級等の手段で選択採取してもよい。 【0026】なお、回転冷却体4としては、この例の場合は円錐状をなしているが、円盤状や傘型をなすものでもよい。回転冷却体4の材質は特に規定しないが、銅及び銅合金、鉄及び鉄合金など、又はそれらにメッキなどの表面処理を施した部材を使用でき、セラミックなどの耐熱材料を用いることもできる。 【0027】また、粉末化条件としては、噴霧ノズル3から噴射するガス圧が5kgf/cm2 以上であって、回転冷却体4の回転速度が2π/秒以上の角速度であり、回転冷却体4に衝突した溶湯が1秒当たり100℃以上の速度で冷却されるように設定されることが好ましい。噴霧ノズル3からのガス圧及び回転冷却体4の回転速度が上記よりも低く、冷却速度が上記よりも遅い場合には、前述したような形状及び組織の水素吸蔵合金粉末を効率的に得ることが困難となる。更に、噴霧ガスとしては、例えばアルゴン又はヘリウムのような不活性ガスが好ましく用いられる。 【0028】上記の条件で、溶湯1の液滴5が回転冷却体4に衝突すると、扁平化されるとともに、回転冷却体4の接触面の冷却速度が、非接触面よりも速くなるため、粉末内部に冷却速度の差異が生じ、得られる粉末6内部の組織は平面部と垂直方向の柱状組織となる。通常のアトマイズ法で得られる球状粉末は、等方冷却であるため、粉末の内部組織は放射状の等方的な組織となり、この等方組織は格子歪みが大きく、水素吸蔵時に増大する歪みが緩和されにくいという問題があるが、本発明で得られる粉末の内部組織は上記のように異方的な柱状組織となるため、格子歪みが少なく、水素吸蔵時の歪みも緩和されやすい。よって、本発明の水素吸蔵合金粉末によれば、水素吸蔵時の歪みが緩和されて粉末の微粉化を防止することができる。 【0029】例えば上記のような方法によって得られる本発明の水素吸蔵合金粉末は、前述したように、厚さが10μm以下で、アスペクト比(厚さに対する長径の比)が10以上の扁平形状をなし、扁平面の一方の面から他方の面へ向かう柱状の組織構造を有するという特徴を有している。この厚さは、5μm以下であることがより好ましく、アスペクト比は、15以上であることがより好ましい。厚さが10μmを超える場合は、扁平面の一方の面から他方の面へ向かう柱状の組織構造が効果的に得られず、アスペクト比が10未満では、単位体積当たりの表面積の増大効果や、粉末どうしの接触性改善効果が十分に得られず、水素の吸蔵・放出反応速度を高め、寿命を長持ちさせる効果が乏しくなる。 【0030】本発明の水素吸蔵合金粉末は、水素吸蔵合金の水素吸蔵・放出反応を利用するあらゆる用途に有用であるが、特に、水素吸蔵合金を負極材料としたニッケル水素電池、水素吸蔵合金を水素貯蔵媒体とした燃料電池用水素タンク、水素吸蔵合金を熱媒介物質としたヒートポンプに好適である。 【0031】 【実施例】実施例1合金組成がLaNi5 (ランタン16.7原子%、ニッケル83.3原子%)になるように調整し、この合金を用いて図1に示した方法により、噴霧ガス圧や回転冷却体の回転速度、冷却速度等を変えることにより、表1のNo.1〜4に示す水素吸蔵合金粉末を得た。また、比較のため、上記合金を用い、特開平7−102307号公報に準ずる方法により、表1のNo.5に示す水素吸蔵合金粉末を得た。この結果を表1に示す。 【0032】 【表1】
【0033】比較例1実施例1と同じ組成の合金を用い、通常のアトマイズ法により、表2のNo.6〜7に示す球状粉末を作製した。それらの粉末の断面組織を観察した。 【0034】 【表2】
【0035】比較例2実施例1と同じ組成の合金を用い、通常の単ロール液体急冷法により、表3のNo.8に示す帯状試料を作製し、その断面組織を観察した。この結果を表3に示す。 【0036】 【表3】
【0037】比較例3実施例1と同じ組成の合金を用い、この合金の溶湯を鋳型へ流し込んで得られた鋳造塊を粗粉砕することにより、水素吸蔵合金粉末を作製した。この粉末を試料No.9とする。 【0038】試験例1実施例1の試料No.1の粉末、比較例1の試料No.6の粉末、及び比較例3の試料No.9の粉末を用い、気−固反応による水素の吸蔵と放出の繰り返し実験を行い、試験前後の平均粒径を測定した。なお、水素吸蔵放出の条件は、吸蔵時の水素圧力が約2MPaで一定、放出時の水素圧力が約0.01torr、繰り返し回数100回、温度は45℃で一定とした。 【0039】この結果を表4に示す。表4から、実施例1の試料No.1の粉末は、比較例1の試料No.6の粉末及び比較例3の試料No.9の粉末に比べて、水素の吸蔵と放出の繰り返しによる微粉化傾向が極めて小さいことがわかる。 【0040】 【表4】
【0041】試験例2実施例1の試料No.1の粉末、比較例1の試料No.6の粉末、及び比較例3の試料No.9の粉末を、それぞれ水素吸蔵合金評価用のステンレス容器に銅粉末と共に充填し、水素を吸蔵する時と放出する時のステンレス容器外壁の温度変化を測定し、熱伝導性の良否を調べた。なお、水素吸蔵合金と銅粉末の配合比は、質量比で1対1とした。 【0042】この結果を図2に示す。なお、図2において、Aは実施例1の試料No.1のの結果、Bは比較例1の試料No.6の結果、Cは比較例3の試料No.9の結果を表している。図2の結果から、実施例1の試料No.1の粉末を充填したものは、温度変化が速く、熱伝導性が最も良好であることがわかる。 【0043】試験例3実施例1の試料No.1の粉末、比較例1の試料No.6の粉末、比較例3の試料No.9の粉末を、それぞれ樹脂バインダで成形し、配合量と成形後の体積から合金、樹脂、気体の体積分率を計算により求めた。なお、水素吸蔵合金と樹脂バインダの体積比は1対1とした。 【0044】この結果を表5に示す。表5の結果から、実施例1の試料No.1の粉末及び比較例1の試料No.6の粉末を用いた場合は、比較例3の試料No.9の粉末を用いた場合に比べて、気体の混入率が小さくなることがわかる。 【0045】 【表5】
【0046】試験例4実施例1の試料No.1の粉末について、その断面組織を走査型電子顕微鏡で観察した。図3は上記粉末の6000倍の走査型電子顕微鏡写真である。このように、扁平面の一方の面から他方の面へ向かうきれいな柱状の組織構造を有することがわかる。 【0047】また、試験例1において、気−固反応による水素の吸蔵と放出の繰り返し実験を行った後の実施例1の試料No.1の粉末及び比較例3の試料No.9の粉末について、その形状を走査型電子顕微鏡で観察した。 【0048】図4は実施例1の試料No.1の粉末の600倍の走査型電子顕微鏡写真、図5は比較例3の試料No.9の粉末の600倍の走査型電子顕微鏡写真である。このように、実施例1の試料No.1の粉末は、微粉化されることなく、最初の扁平形状を維持しているのに対し、比較例3の試料No.9の粉末は、著しく微粉化されていることがわかる。 【0049】 【発明の効果】以上説明したように、本発明の水素吸蔵合金粉末によれば、厚さが10μm以下で、アスペクト比が10以上の扁平形状をなし、扁平面の一方の面から他方の面へ向かう柱状の組織構造を有することにより、水素の吸蔵・放出時の反応速度を高め、樹脂等のバインダを用いて成形する際の気体の巻き込みを低減し、固化成形性を良好にすると共に、水素吸蔵時の歪みを緩和して、微粉化を防ぐことができる。したがって、水素電池、燃料電池用水素貯蔵装置、ヒートポンプなどに用いた場合の性能を向上させ、寿命を長くすることができる。また、本発明の水素吸蔵合金粉末の製造方法によれば、上記特定の形状及び組織構造を有する粉末を効率的に製造することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000215785 【氏名又は名称】帝国ピストンリング株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年11月17日(1998.11.17) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100086689 【弁理士】 【氏名又は名称】松井 茂
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| 【公開番号】 |
特開2000−144214(P2000−144214A) |
| 【公開日】 |
平成12年5月26日(2000.5.26) |
| 【出願番号】 |
特願平10−326987 |
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