| 【発明の名称】 |
軸孔を有する焼結品およびその焼結品と軸部材との結合方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】大場 毅
【氏名】菅谷 好美
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| 【要約】 |
【課題】軸部材に板カム等の焼結品を結合する際の労力および作業時間を削減する。
【解決手段】焼結品である板カム1の圧粉体成形時に、結合用部材となる埋込部材3を予め埋め込んでおき、この埋込部材3を焼結時に焼結接合させる。板カム1の軸孔2に回転軸9を挿入し、埋込部材3を回転軸9方向に押圧もしくは打撃して、回転軸9への接触面を、圧着させるか、さらに変形させる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 軸孔を有し、その軸孔に挿入される軸部材に結合される焼結品であって、前記軸部材に結合するために利用される埋込部材が、外面から前記軸孔に通じる部位に予め埋め込まれ、かつ当該焼結品に焼結接合されていることを特徴とする軸孔を有する焼結品。 【請求項2】 前記埋込部材は、当該焼結品よりも硬度が低いか、または好切削性を有する材料からなることを特徴とする請求項1に記載の軸孔を有する焼結品。 【請求項3】 前記埋込部材が焼結体であることを特徴とする請求項1または2に記載の軸孔を有する焼結品。 【請求項4】 当該焼結品と前記埋込部材との接合面が互いに噛み合う凹凸面に形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の軸孔を有する焼結品。 【請求項5】 軸孔を有する焼結品を、その外面から軸孔に通じる部位に埋め込んだ埋込部材を利用して、軸孔に挿入した軸部材に結合する方法であって、粉末を圧縮して前記焼結品の素材となる圧粉体を成形する際に、前記部位に前記埋込部材を予め埋め込んでおき、得られた圧粉体を焼結することにより埋込部材が焼結接合された焼結品を得、次いで、この焼結品の前記軸孔に前記軸部材を挿入して所定位置に保持し、次いで、前記埋込部材を、焼結品が軸部材に結合されるよう作用させることを特徴とする焼結品と軸部材との結合方法。 【請求項6】 軸孔を有する焼結品を、その外面から軸孔に通じる部位に埋め込んだ埋込部材を利用して、軸孔に挿入した軸部材に結合する方法であって、前記埋込部材は、前記焼結品よりも硬度が低いか、または好切削性を有する材料からなり、この埋込部材を、粉末を圧縮して前記焼結品の素材となる圧粉体を成形する際に、前記部位に予め埋め込んでおき、得られた圧粉体を焼結することにより埋込部材が焼結接合された焼結品を得、次いで、前記埋込部材をネジ孔に加工し、次いで、前記焼結品の前記軸孔に前記軸部材を挿入して所定位置に保持し、次いで、前記ネジ孔にねじ込んだネジを軸部材に締め込むことを特徴とする焼結品と軸部材との結合方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、粉末冶金法によって製造される焼結品に係り、特に、軸孔を有し、その軸孔に挿入される軸部材に結合されて用いられる板カムや歯車等の回転部材を主とするもので、その焼結品およびその焼結品を軸部材に結合する方法に関する。 【0002】 【従来の技術】上記板カムや歯車等の回転部材は、通常、その回転中心の軸孔に挿入された回転軸に一体的に結合されて、すなわち回り止めされて用いられる。回転部材を回転軸に結合するには、軸孔の内周面に形成したキー溝にキーを圧入したり、外周面から軸孔にわたって形成したネジ孔にネジを締め込んだりする手段があり、この場合、回転部材には、回転軸に対する結合用のキー溝やネジ孔といった空所が予め形成される。ところで、高い耐摩耗性や摺動潤滑性等が要求される回転部材の場合、粉末冶金法による焼結品が多く用いられている。その焼結品は、軸孔を形成するコアロッドが挿入された成形型内のキャビティに原料粉末を充填し、原料粉末を成形型およびコアロッドで拘束しながら押し型で圧縮して圧粉体を成形し、次いで、成形型から取り出した圧粉体を焼結し、必要に応じて熱処理するといった工程で製造される。そして、前記キー溝やネジ孔を設ける手段としては、製造後の焼結品に切削加工を施すことにより形成する場合があった。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】ところが、高い耐摩耗性や摺動潤滑性等が要求される回転部材の材質は、一般に、高炭素鋼、Cr、Mo、V、W等の炭化物生成元素を含む合金鋼等の硬質合金であり、このような材質はきわめて切削性が悪い。したがって、キー溝やネジ孔を焼結後の後加工により形成するには、多大な手間がかかったり工具が早期に摩耗したりして加工能率に劣り、結果的に焼結品を軸部材に結合するには相当の困難が伴っていた。よって本発明は、軸孔に挿入された軸部材に回転部材である焼結品を容易に結合することができる軸孔を有する焼結品およびその焼結品と軸部材との結合方法を提供することを目的としている。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明の軸孔を有する焼結品は、軸孔に軸部材が挿入され、かつ結合されるものであって、軸部材に結合するために利用される埋込部材が、外面から軸孔に通じる部位に予め埋め込まれ、かつ当該焼結品に焼結接合されていることを特徴としている。また、本発明の軸孔を有する焼結品と軸部材との結合方法は、上記焼結品の製造方法ならびに使用方法に係り、軸孔を有する焼結品を、その外面から軸孔に通じる部位に埋め込んだ埋込部材を利用して、軸孔に挿入した軸部材に結合する方法であって、粉末を圧縮して焼結品の素材となる圧粉体を成形する際に、前記部位に埋込部材を予め埋め込んでおき、得られた圧粉体を焼結することにより埋込部材が焼結接合された焼結品を得、次いで、この焼結品の軸孔に軸部材を挿入して所定位置に保持し、次いで、埋込部材を、焼結品が軸部材に結合されるよう作用させることを特徴としている。さらに、埋込部材を焼結品が軸部材に結合されるよう作用させる代わりに、埋込部材をネジに加工し、このネジ孔にねじ込んだネジを軸部材に締め込むことを特徴としている。 【0005】本発明の焼結品の具体例としては、前述した板カムや歯車等の回転部材が挙げられ、軸孔はその回転中心に形成され、そこに回転軸等の軸部材が挿入されて結合される。ここで、埋込部材は、前述したキーのようにそのまま結合用部材として流用することができるものとされるか、あるいは、切削されてキー溝やネジ孔に加工されるものとされる。埋込部材をそのまま結合用部材として流用する場合には、埋込部材を外部から押圧あるいは打撃することにより、軸部材に対する接触面を圧着させるか、さらにその接触面を軸部材に倣って変形させて、両者を相対回転不能とする形態が挙げられる。埋込部材を変形させるには、埋込部材を焼結品よりも硬度が低い材料からなるものとすれば、変形させやすくなるので好ましい。 【0006】本発明によれば、特に、埋込部材をキーのような結合用部材にそのまま流用することにより、従来のようにキー溝を後加工で形成する工程が不要となる。このため、焼結品を軸部材に結合させるために要する労力や時間が大幅に削減され、結合作業の容易化が図られる。 【0007】一方、埋込部材を切削してキー溝やネジ孔等に加工し、別に用意したキーやネジにより焼結品を軸部材に結合する場合には、埋込部材を、当該焼結品よりも硬度が低いか、または好切削性を有する材料からなるものとすればよい。これにより、従来のように焼結品自体を切削するよりも切削しやすくなり、加工能率が高まり、結果的に結合作業の容易化が図られる。焼結品よりも好切削性を有する材料としては、例えば、焼結品が高炭素鋼材料やCr、Mo、V、W等の炭化物生成元素を含む合金鋼等の硬質合金の場合には、これよりも軟らかい純鉄や低炭素鋼材料等が好適である。 【0008】さて、上記埋込部材は、本発明の焼結品の素材となる圧粉体を成形する際に原料粉末中に予め埋め込まれ、焼結工程において焼結品に焼結接合される。埋込部材を切削してネジ孔に加工する場合には、焼結品を得た後にその作業を行えばよい。埋込部材の焼結品に対する接合力は、埋込部材が軸部材との結合用部材として利用された後でも焼結品から抜けるおそれがないように確保されていることが望ましい。そのためには、埋込部材が焼結品と同様に焼結体であること、あるいは、焼結品と埋込部材との接合面が互いに噛み合う凹凸面に形成されていることが好ましい態様である。この場合、圧粉体を成形する際の埋込部材は、圧粉体または焼結体が好ましい。圧粉体の場合には、密度が低いと焼結品の素材となる圧粉体を成形する際に大きく変形しやすく、焼結した後の埋込部材の焼結品に対する接合力が高くなるので、特に好ましい。 【0009】 【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。 (1)第1の実施形態図1(a)、(b)は、第1の実施形態に係る焼結品である板カム1を示している。この板カム1は、回転中心に軸孔2を有し、軸孔2に挿入される回転軸(軸部材)9に、焼結品である埋込部材3によって結合される。埋込部材3は、ピン状の円柱体であり、カムボトム1a面から軸孔2にわたる肉部の厚さ方向中央部分に、径方向に貫通して埋め込まれている。板カム1は硬質合金とされ、その表面硬さは、例えば高炭素鋼やCr、Mo、V、W等の炭化物生成元素を含む低合金鋼等の硬質合金の場合では、HRB40〜95程度である。 【0010】図2(a)〜(c)は、板カム1の素材となる圧粉体1Aを、成形装置により成形する工程を示している。成形装置は、ダイ10、上下のパンチ11,12およびコアロッド13を備えた単軸型である。ダイ10の内部には、軸孔2を形成するための丸棒状のコアロッド13が縦方向に移動可能に挿入され、さらに、上下のパンチ11,12がダイ10とコアロッド13に対し摺動しながら縦方向に移動可能に挿入されるようになっている。ダイ10、上下のパンチ11,12およびコアロッド13により、板カム1の形状に応じたキャビティ14がダイ10の内部に形成されるようになっている。 【0011】次に、上記成形装置により、圧粉体1Aを成形する工程を説明する。まず、図2(a)に示すように、キャビティ14内に、埋込部材3を所定部位に埋め込んだ状態で原料粉末Pを充填する。埋込部材3は、圧粉体1Aが焼結された板カム1よりも硬度が低く、かつ好切削性を有する材料が用いられことが好ましい。このようなものとしては、低炭素量の引き抜き鉄線を切断したもの、純鉄粉または純鉄粉に切削性を向上させるエンスタイト粉末を0.5重量%程度混合したものの圧縮成形体等が好適である。後者の圧縮成形体の場合、その表面硬さは、HRF30〜40程度である。 【0012】次いで、図2(b)に示すように、上パンチ11を下降させ、かつ下パンチ12を上昇させることにより、原料粉末Pをダイ10およびコアロッド13で拘束しながら縦方向に所定圧力で圧縮し、圧粉体1Aを成形する。この後、上パンチ11を上昇させてダイ10から抜き出してから、図2(c)に示すように、下パンチ12をダイ10に対し相対的に上昇させ、埋込部材3が埋め込まれた圧粉体1Aをダイ10から押し出して得る。 【0013】以上が圧粉体1Aの成形工程であり、次にこの圧粉体1Aを、所定の焼結温度で焼結して焼結品とする。埋込部材3は、焼結工程を経ることにより焼結品に焼結接合される。この後、必要に応じ熱処理を施し、さらにサイジングや機械加工等の仕上げ加工を施して製品寸法を出し、図1(a)、(b)に示す板カム1を得る。 【0014】次に、この板カム1を軸孔2に挿入した回転軸9に結合する方法を説明する。まず、軸孔2に回転軸9を挿入し、適当な手段で板カム1を所定の結合個所に保持する。次いで、埋込部材3を回転軸9方向(図1(b)の矢印F方向)に押圧あるいは打撃し、回転軸9に対する接触面を圧着させるか、さらにその接触面を回転軸9に倣って変形させる。これにより、埋込部材3はキーの役割を果たし、板カム1は回転軸9に一体的に結合される。 【0015】本実施形態では、板カム1に埋め込んだ埋込部材3を、板カム1と回転軸9との結合用部材にそのまま流用するので、従来のようにキー溝やネジ孔を後加工で形成する工程が不要となる。また、埋込部材3による結合方法も、単に埋込部材3を押圧あるいは打撃するといった簡単な方法である。したがって、板カム1を回転軸9に結合させるために要する労力や時間が大幅に削減され、結合作業の容易化が図られる。また、埋込部材3は板カム1よりも硬度が低いので変形させやすく、結合が確実になされる。 【0016】図3は、本実施形態の変形例を示しており、この場合、板カム1と埋込部材3との接合面が互いに噛み合う凹凸面に形成されている。この態様によれば、接合面の増大および機械的な拘束力が生じることにより板カム1に対する埋込部材3の接合力が強固となり、埋込部材3の抜けが確実に防止される。なお、埋込部材3を板カム1と同様に焼結体とし、焼結時における焼結接合力を増大させて埋込部材3の接合力を高めることもできる。 【0017】埋込部材3を焼結体とした場合には、次のような結合方法を採ることもできる。すなわち、図4に示すように、埋込部材3の露出面に図示せぬ雄型を矢印F方向に押し込んでコイニングを施し、これによって形成された穴3aに見合った分の肉を塑性流動により回転軸9に圧入させる。この場合、埋込部材3の先端が回転軸9に食い込むので、結合強度がより向上する。 【0018】(2)第2の実施形態次に、本発明の第2の実施形態を説明する。第2の実施形態は、上記埋込部材3を結合用部材として流用しない形態である。すなわち、上記第1の実施形態と同様にして埋込部材3が埋め込まれた板カム1を得た後に、図5に示すように、埋込部材3を切削してネジ孔6に加工する。そして、そのネジ孔6に、別に用意した六角穴付きネジ7をねじ込み、その先端が回転軸9に圧入される状態まで締め込む。埋込部材3は、前述したように好切削性を有する材料でできていることにより、従来のように板カム1自体を切削するよりも切削しやすく加工能率が高まり、結果的に結合作業の容易化が図られる。なお、ネジ孔6は、埋込部材3に形成することが望ましいが、板カム1の材料の一部も切削加工するようにしてもよい。その場合、板カム1の切削量は僅かで済むので、加工能率を悪化させる影響はほとんどない。 【0019】(3)第3の実施形態次に、本発明の第3の実施形態を説明する。第3の実施形態は、上記板カム1への埋込部材の配置ならびに形態が異なるもので、図6に示すように、その埋込部材8はキー状のものであって、軸孔2の内周面のカムトップ1b側に、一方の端面(図6(b)で上面)に露出する状態で埋め込まれている。埋込部材8は、第1の実施形態と同様に、板カム1よりも硬度の低い材料でできている。 【0020】本実施形態の板カム1の素材となる圧粉体は、図2に示した成形装置により同様の工程で成形することができる。図7(a)は、図2(a)の工程に対応する工程であり、このように埋込部材8を所定部位に配置して原料粉末P中に埋め込んだ状態から、図7(b)に示すように、上下のパンチ11,12で原料粉末Pを圧縮し、圧粉体1Bを成形する。この後、図7(c)に示すように、下パンチ12をダイ10に対し相対的に上昇させ、埋込部材8が埋め込まれた圧粉体1Bをダイ10から押し出して得る。次にこの圧粉体1Bを、所定の焼結温度で焼結して焼結品とする。埋込部材8は、焼結工程を経ることにより焼結品に焼結接合される。この後、必要に応じ熱処理を施し、さらにサイジングや機械加工等の仕上げ加工を施して製品寸法を出し、図6(a)、(b)に示す板カム1を得る。 【0021】次に、この板カム1を軸孔2に挿入した回転軸9に結合する方法を説明する。まず、軸孔2に回転軸9を挿入し、適当な手段で板カム1を所定の結合個所に保持する。次いで、埋込部材8を図6(b)の矢印F方向に押圧あるいは打撃し、回転軸9に対する接触面を圧着させるか、さらにその接触面を回転軸9に倣って変形させる。これにより、埋込部材8はキーの役割を果たし、板カム1は回転軸9に一体的に結合される。埋込部材8が焼結体である場合には、図8に示すように、埋込部材8の露出面に対して矢印F方向にコイニングを施し、その穴8aに見合った分の肉の膨出により、回転軸9への圧着の度合いを高めることができる。本実施形態によれば、上記第1の実施形態と同様に、板カム1に埋め込んだ埋込部材8を、板カム1と回転軸9との結合用部材にそのまま流用するので、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。 【0022】上記第3の実施形態では、埋込部材8を板カム1の一方の端面に露出する状態で設けているが、両側の端面に露出するよう軸方向に貫通させ、その埋込部材8の露出する両端面に押圧、打撃あるいはコイニングを施して回転軸9と結合させることもできる。 【0023】 【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、予め焼結品に焼結接合された状態で埋め込まれた埋込部材を焼結品と軸部材との結合に利用するので、結合用部材を装填するための切削加工等を焼結品自体に施す必要がなくなり、よって、結合作業に要する労力ならびに時間が削減され、焼結品を軸部材に容易に結合することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000233572 【氏名又は名称】日立粉末冶金株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年11月19日(1998.11.19) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100096884 【弁理士】 【氏名又は名称】末成 幹生
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| 【公開番号】 |
特開2000−144212(P2000−144212A) |
| 【公開日】 |
平成12年5月26日(2000.5.26) |
| 【出願番号】 |
特願平10−329060 |
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