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【発明の名称】 粉末成形用の金型及び圧粉体の成形方法並びに切削用のポジチップ
【発明者】 【氏名】河村 文俊

【氏名】出口 伸幸

【氏名】宮沢 孝志

【要約】 【課題】傾斜側面を有する圧粉体が金型形状に倣って正確に圧粉成形されること。

【解決手段】粉末成形用の金型1は、ストレ−ト状のガイド穴3aを有するダイ3に対して、第1上パンチ8及び第2上パンチ9を有する上側パンチ4、第1下パンチ6及び第2下パンチ7を有する下側パンチ5がそれぞれ作動して、傾斜側面11aをもつ圧粉体11を成形する。前記第1上パンチ8は、加圧成形工程を経た後、上昇することによって開放空間12を形成して、圧粉体11にスプリングバックが生じないようにする。第2上パンチ9は、時間差をもって上昇し、その後圧粉体11は、第2下パンチ7の上昇によって抜き出される。超硬合金等の原料粉末を適用して得られた穴つき又は穴なしの圧粉体11は、焼結することによって正確な形状をもつ切削用のポジチップ15として構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ダイ3に穿設されたストレ−ト状のガイド穴3a内では、上側パンチ4及び下側パンチ5がそれぞれ作動して、側面の一部又は全部に傾斜側面11aをもつ圧粉体11が加圧成形されるようにした粉末成形用の金型であって、前記下側パンチ5は、外側にある第1下パンチ6及び内側にある第2下パンチ7からなる二重構造をなし、第1下パンチ6は、その外側面6aが前記ダイ3のガイド穴3aに適合するとともに、その内部壁面では、第2下パンチ7を上下動可能にしたストレ−ト穴部分6c及び上端の開口端側にあって、加圧成形される粉体が充填され、しかも少なくとも一部を下側に向ってつぼまる形状にした傾斜穴部分6bがそれぞれ連設されるようになっており、前記上側パンチ4は、同じく外側にある第1上パンチ8及び内側にある第2上パンチ9からなる二重構造をなし、第1上パンチ8は、その外側面8aが前記ダイ3のガイド穴3aに適合し、その内壁面では、第2上パンチ9を上下動可能としたガイド穴部分8bが形成されていることを特徴とする粉末成形用の金型。
【請求項2】 前記第2上パンチ9の加圧端面9bの外郭形状は、第1下パンチ6の傾斜穴部分6bの開口端形状に等しく形成されている請求項1記載の粉末成形用の金型。
【請求項3】 前記上側パンチ4の第2上パンチ9の加圧端面には、中央凸部9cが形成され、これに対する下側パンチ5の第2下パンチ7には、コアロッド13を受入れる中心受入れ穴7aが穿設されることにより、穴つきの圧粉体11が加圧成形されるようにした請求項1又は請求項2記載の粉末成形用の金型。
【請求項4】 前記第2上パンチ9の加圧端面9bの外周縁部分には、切り屑に対するチップブレ−カ14を転写する凹凸部分9dが形成されている請求項1〜請求項3のうちいずれか1項記載の粉末成形用の金型。
【請求項5】 前記粉末成形用の金型を用いて圧粉体を成形するにあたり、圧粉体の原料粉末の充填工程及び圧粉体の抜き出し工程間には、以下の各工程が適用されるようにしたことを特徴とする圧粉体の成形方法。
(1)第1上パンチ8及び第1下パンチ6は、前記ダイ3のガイド穴3a内にあって、しかも、その端面同士が接触した停止状態にあり、前記第2上パンチ9及び第2下パンチ7が接近する充填粉末2の移送工程。
(2)充填粉末2の移送工程に続いて、第2上パンチ9及び第2下パンチ7がさらに接近して、傾斜側面11aをもつ圧粉体11が成形される加圧成形工程。
(3)前記第1上パンチ8は、停止状態にある第2上パンチ9、第1下パンチ6及び第2下パンチ7に対して上昇することにより開放空間12が形成され、次いで、第2上パンチ9が前記第1上パンチ8に対して時間差をもって上昇するようにした第1上パンチの開放工程。
【請求項6】 前記圧粉体の成形方法では、充填粉末2として、超硬合金、サ−メット又はセラミックスの原料粉末が適用され、これにより得られた穴なし又は穴つきの圧粉体11が焼結されることにより構成された切削用のポジチップ。
【請求項7】 前記圧粉体11には、前記第2上パンチ9の加圧端面9bに形成された凹凸部分9dによりチップブレ−カ14が転写成形されている請求項6記載の切削用のポジチップ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粉末成形用の金型及び圧粉体の成形方法並びに切削用のポジチップに関し、特に、粉末成形用の金型の構成及び成形方法を改善することにより、圧粉体に生じていたスプリングバックなどの弊害が除去され、これに伴なって金型形状に倣った正確な形状を有する圧粉体が得られるようにしたものである。また、超硬合金、サ−メット又はセラミックの原料粉末を適用した圧粉体を焼結することにより、形状起因の初期摩耗が少ない切削用のポジチップが提供できるようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】従来、図10(a)〜(c)にみられる切削用のポジチップ20は、図11で示された粉末成形用金型21を利用して、超硬合金、サ−メット又はセラミックの原料粉末が加圧され、傾斜側面22aを有する板状体の圧粉体22が成形される。次いで、得られた圧粉体22は、焼結されることにより、切削用のポジチップ20が製造される。
【0003】すなわち、前記粉末成形用金型21は、図11で示されるが、ダイ23、上パンチ24及び下パンチ25から構成され、しかも、前記ダイ23には、傾斜穴部分23aの上下に大小関係にあるストレ−ト穴部分23b,23cが形成されるとともに、これらのストレ−ト穴部分23b,23cに対して、上パンチ24及び下パンチ25が上下動する。
【0004】なお、前記圧粉体22の成形は、具体的には、粉末成形用金型21を利用して、図12(a)〜(d)で示されるように、充填工程(a)、アンダ−フィル工程(b)、加圧成形工程(c)及び抜き出し工程(d)を経て行なわれる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来方法により得られた圧粉体22は、加圧成形後に上パンチ25を開放したときに、圧粉体22には、スプリングバックが発生して、加圧時の形状から膨張することが知られている。この原因は、ダイ21の内壁に対する垂直方向の膨張が不可能であるため、内壁面への内圧を残しながら上下パンチ24,25の軸方向にのみ膨張するためである。
【0006】一方、この圧粉体22のダイ23からの抜き出し工程では、圧粉体22がダイ21のストレート穴部分23bを擦って、圧粉体22にフラット部分22bが形成されることも知られている。
【0007】したがって、原料粉末として、超硬合金、サ−メット又はセラミックを適用した場合には、フラット部分を有する圧粉体22が成形され、これを所定の条件下で焼結すれば、切削用のポジチップ20が製造される。そして、このポジチップ20の傾斜側面20aの上方部分には、図10(C)で示されるフラット面20bがそのまま残存し、切削に使用したときには、切削初期摩耗が生じて、短寿命になるなどの問題点があった。
【0008】このようなことから、本発明では、粉末成形用の金型の構成及び成形方法を改善することにより、前述したフラット面の存在しない正確な形状を有する圧粉体が得られるようにしたものである。そして、この圧粉体を焼結することにより得られた切削用のポジチップは、前述した切削上の不都合が解消される。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述の点に鑑みなされたもので、粉末成形用の金型は、ダイのガイド穴内では、二重構造を構成する上側パンチ及び下側パンチがそれぞれ作動し、少なくとも一部分に傾斜側面をもつ圧粉体が加圧成形されるようにしたものである。
【0010】すなわち、前記ダイは、ストレ−ト状のガイド穴が穿設されるものに適用され、また前記下側パンチは、外側にある第1下パンチ及び内側にある第2下パンチからなる二重構造をなすようにしたものである。そして、第1下パンチは、その外側面が前記ダイのガイド穴に適合するとともに、その内部壁面では、第2下パンチを上下動可能にしたガイド穴部分及び上端の開口端側にあって、加圧成形される粉末が充填され、しかも少なくとも一部を下側に向ってつぼまる形状にした傾斜穴部分がそれぞれ連設されるようになっているものである。この場合、前記上側パンチの第2上パンチの加圧端面には、中央凸部が形成され、これに対する下側パンチの第2下パンチには、コアロッドを受入れる中心受入れ穴が穿設されるようにすれば、穴つきの圧粉体が加圧成形される。また、第2上パンチの加圧端面の外周縁部分には、切り屑に対するチップブレ−カが転写される凹凸部分を形成するようにしてもよい。これは、切削上チップブレ−カが切り屑をカ−ルさせ、折断する機能を有するからである。
【0011】さらに、前記上側パンチは、同じく外側にある第1上パンチ及び内側にある第2上パンチからなる二重構造をなし、第1上パンチは、その外側面が前記ダイのガイド穴に適合し、その内壁面では、第2上パンチを上下動可能としたガイド穴部分が形成されているものである。この場合、前記第2上パンチは、その加圧端面が第1下パンチの傾斜穴部分に対して、開口端形状に等しく形成されている。
【0012】また、本発明の圧粉体の成形方法は、前述した金型を用いて、圧粉体が製造されるようにしたものであり、その特徴は、圧粉体の原料粉末の充填工程及び圧粉体の抜き出し工程間には、充填粉末の移送工程、加圧成形工程及び第1上パンチの開放工程が適用されているものである。
【0013】ここで、充填粉末の移送工程は、前記第1上パンチ及び第1下パンチが、前記ダイのガイド穴内にあって、その端面同士が接触した停止状態にあり、この状態から前記第2上パンチ及び第2下パンチが接近する工程である。なお、この工程は、第2上パンチ9の加圧量と第2下パンチ7の加圧量が均一になることを配慮したものである。また、加圧成形工程は、前記第2上パンチ及び第2下パンチをさらに接近させて、傾斜側面をもつ圧粉体を成形する工程である。さらに、第1上パンチの開放工程は、前記第1上パンチが、停止状態にある第2上パンチ、第1下パンチ及び第2下パンチに対して開放空間を形成するように上昇し、第2上パンチが、第1上パンチに対して時間差をもって上昇する工程である。前述した開放空間は、圧粉体のスプリングバックの発生を防ぐ配慮及び圧粉体の擦り作用をなくす配慮から採用されたものである。
【0014】また、本発明の切削用のポジチップは、前述した圧粉体の成形方法により得られる圧粉体の充填粉末を超硬合金、サ−メット又はセラミックスの原料粉末とし、これにより得られた圧粉体を焼結することにより構成したものである。この切削用のポジチップは、穴なし又は穴つき、チップブレ−カつきのものに適用でき、また切削様式としては、一般の旋削、ネジ切り、突切り・溝入れ、フライス削りなどに適用できるものである。
【0015】
【発明実施の形態】以下、本発明粉末成形用の金型及び圧粉体の成形方法における一実施例について、図に従い説明する。
【0016】図1は、本発明粉末成形用の金型1を例示した概念的な断面図であり、この金型1は、図の略中央に示された充填粉末2に対して、ガイド穴3aを形成したダイ、このダイ3のガイド穴3a内で作動する上側パンチ4及び下側パンチ5からなっている。
【0017】そして、下側パンチ5は、外側にある第1下パンチ6及び内側にある第2下パンチ7からなる二重構造をなし、第1下パンチ6は、その外周面6aが前記ガイド穴3aに適合し、またその内周面には、傾斜穴部分6b及びストレ−ト穴部分6cが形成されている。この場合、傾斜穴部分6bは、所定の粉末が充填されるもので、その形状は、第1下パンチ6の上方の開口端から下方に向ってつぼまる形状をなし、ストレ−ト穴部分6cでは、第2下パンチ7が上下動し得るようになっている。
【0018】また、前記上側パンチ4は、同じく外側にある第1上パンチ8及び内側にある第2上パンチ9からなる二重構造をなしている。そして、第1上パンチ8は、その外側面8aが前記ガイド穴3aに適合し、また、ストレ−ト状をなす内周面8bには、前記第2上パンチ9の外側面9aが適合して上下動できるようになっている。
【0019】さらに、本発明の粉末成形用の金型1による圧粉体11の成形は、図2(a)〜(e)で示されるように、上側パンチ4及び下側パンチ5が図示しない駆動源によって作動することにより、傾斜側面11aをもつ圧粉体11が原料粉末の充填工程(a)、充填粉末の移送工程(b)、加圧成形工程(c)、第1上パンチの開放工程(d)及び抜き出し工程(e)の各工程を経て製作される。
【0020】すなわち、前記充填工程(a)では、ダイ3のガイド穴3a内にある第1下パンチ6及び第2下パンチ7については、キャビティ10を形成するように位置し、このキャビティ10内には所定の原料粉末が充填される。
【0021】また、移送工程(b)では、充填工程によりキャビティ10内に充填された原料粉末が第1上パンチ8の空間内上方に移送され、第2上パンチ9の加圧量と第2下パンチ7の加圧量が均一になるように第2下パンチ7を移動させる。
【0022】さらに、前記加圧成形工程(c)では、ガイド穴3a内にある第1上パンチ8及び第1下パンチ6の端面同士が接触状態にあって、第2上パンチ9及び第2下パンチ7が相接近することにより、充填粉末2を加圧して傾斜側面11aをもつ圧粉体11が成形される。
【0023】また、第1上パンチ8の開放工程(d)では、前記第1上パンチ8が停止状態にある第2上パンチ9、第1下パンチ6及び第2下パンチ7に対して開放空間12を形成するように上昇し、次いで第2上パンチ9が第1上パンチ8に対して時間差をもって上昇する。この工程は、第1上パンチ9の開放によって、前記圧粉体11に対するスプリングバックをなくし、また従来の金型21のストレ−ト穴部分24bによる側面擦りの弊害を除去することを目的にしたものである。
【0024】したがって、圧粉体11の抜き出し工程(e)では、従来みられた傾斜側面の擦り作用がなくなり、加圧成形時の形状のままで圧粉体11を第2下パンチ7によって抜き出せるものである。
【0025】なお、前述した第2上パンチ9の加圧端面9bの外郭形状は、図3(a)(b)でみられるように、第1下パンチ6の開口端形状に等しく形成される。しかし、製作精度上からは、誤差の問題が生じる。このため、本発明者等は、圧粉成形体の製作試験をした結果、第2上パンチ9及び第1下パンチ6の相互の製作誤差については、±0.05mm程度の誤差範囲内であれば、本発明の目的を充分に達成できることを確認した。
【0026】また、図3(b)では、第2上パンチ9の加圧端面9bの外郭形状が第1下パンチ6の開口端形状に等しく形成されるが、第1下パンチ6の開口端には、欠け防止のためのフラット部分6dが形成されている。この場合は、第1下パンチ6及び第2上パンチ9の相互位置の精度管理をすれば、前述したフラット面20bの存在しない傾斜側面11aをもつ圧粉体11が製作できる。
【0027】さらに、本発明の圧粉体成形用の金型1は、図4(a)〜(e)で示される圧粉成形工程のフロ−チャ−トで判るように、中心取付け穴11bを有する穴つきの圧粉体11にも適用できる。この場合、図4(a)〜(e)の工程は、図2(a)〜(e)の工程と同様である。すなわち、同一部分には、同一符号を付して主要部分を説明すれば、前記上側パンチ4の第2上パンチ9の加圧端面9bには、前記中心取付け穴11bに適合する中央凸部9cが形成され、これに対する下側のパンチ5の第2下パンチ7には、コアロッド13を受入れる中心受入れ穴7aが穿設される。なお、コアロッド13の駆動源としては、エア−モ−タ又は液圧が適用され、コアロッド13の動きは、第2上パンチ9と同期するように構成される。そして、本発明の成形方法で最も重要な第1上パンチ8の開放工程(d)では、前記第1上パンチ8が停止状態にある第2上パンチ9、第1下パンチ6及び第2下パンチ7に対して開放空間12を形成するように上昇し、次いで第2上パンチ9が第1上パンチ8に対して時間差をもって上昇する。
【0028】なお、図5(a)(b)は、前述した第2上パンチ9の他の実施例を示した斜視図であり、前記中心取付け穴11bに適合する中央凸部9cだけでなく、加圧端面9bの外周縁部分には、後述するチップブレ−カ14を転写するための凹凸部分9dが形成されているものである。この場合、チップブレ−カ14は、各種の形状を有するが、切削時の切り屑をカ−ルさせ、適度の長さで折断する機能を有するものである。
【0029】次いで、本発明切削用のポジチップにおける一実施例について説明する。
【0030】前記切削用のポジチップ15は、図2(a)〜(e)又は図4(a)〜(e)にみられる工程及び焼結工程を経て製作され、その形状としては、例えば、図6〜図8にみられる穴なし又は穴つきのポジチップ15が対象になる。
【0031】すなわち、図6(a)(b)及び図7(a)〜(c)は、形状のそれぞれ異なる正方形板状のポジチップ15を例示したものあり、充填粉末2として超硬合金、サ−メット又はセラミックスの原料粉末が適用され、前述した加圧成形工程により得られた圧粉体11を焼結することにより製造される。
【0032】そして、ポジチップ15は、図6(a)では、4隅のコ−ナ−に丸み16が形成され、図6(b)では、4隅のコ−ナ−に直線状のチャンファ−17が形成されるもので、これらの切削用のポジチップ15は、焼結後の傾斜側面15aには、図10(c)でみられるようなフラット面20bが存在しない。この場合、ポジチップ15の具体的な形状は、例えば、正方形板状を呈する図6(a)によれば、焼結後の形状寸法として、切れ刃長を12mm、厚さを4.76mm、コ−ナ−半径を0.8mm、逃げ角(側面傾斜角)を11°としたものが採用される。また、充填粉末2は、WC系超硬合金原料粉末、TiC系サ−メット原料粉末及びSi34セラミックス原料粉末がそれぞれ適用され、図2(a)〜(e)で示されるような成形工程を適用して圧粉体11が製作される。なお、圧粉体11は、焼結時の収縮率を考慮した形状寸法で製作されるが、プレスの適用条件は、下記の表に示す条件範囲内で設定される。
【0033】

このようなプレスの適用条件は、片押し及び両押し形式のいずれの場合にも適用でき、また、サイクルタイムが通常6〜10sの範囲内で設定される。そして、本発明により得られた圧粉体11には、スプリングバックによる膨張及び側面擦りの現象が見られなかった。
【0034】なお、比較例としては、前述した第1上パンチ8の開放工程を省略し、第1上パンチ8及び第2パンチ9を同時に上昇させた場合を検討した。この結果、比較例で得られた圧粉体は、側面擦りの現象は見られなかったが、スプリングバックによる膨張現象がわずかに生じていることを確認した。
【0035】また、本発明の成形方法により得られた前記圧粉体11は、例えば、以下に示す条件により焼結され、切削用のポジチップ15が製作される。ここで、圧粉体Aは、WC系超硬合金原料粉末、圧粉体Bは、TiC系サ−メット原料粉末、圧粉体Cは、Si34系セラミックス原料粉末を適用したものである。

【0036】この結果、上記の焼結により得られた切削用のポジチップ15は、いずれも傾斜側面15aには、図10(c)でみられるようなフラット面20bが存在せず、そのまま切削に適用できるものであった。
【0037】なお、前述した原料粉末としては、WC系超硬合金には、WC−Co系,WC−TiC−Co系,WC−TiC−Ta(Nb)C−Co系などがある。また、TiC系サ−メット以外には、TiN系サ−メット,Si34系セラミックス以外には、Al23系セラミックス,Al23−TiC系セラミックス,ZrO2系セラミックス,サイアロン(Si−Al−O−N)系セラミックスなどがあり、いずれも本発明の切削用のポジチップ15に適用できる。
【0038】さらに、本発明圧粉体の成形方法では、図4(a)〜(e)の工程を経た圧粉体11を焼結すれば、図7(a)でみられるような中心取付け穴15bを有する穴つきのポジチップ15が製作される。また、この工程で、図5(a)(b)にみられる第2上パンチ9を適用して、圧粉体11を製作し、次いでこれを焼結すれば、図7(b)(c)のようなチップブレ−カ14を有する穴つきのポジチップ15が得られる。この場合、図7(b)では、外郭稜線として直線状の切刃稜18aが形成され、図7(c)では、外郭稜線として凹曲状の切刃稜18bが形成されている。
【0039】なお、本発明で得られた切削用のポジチップ15は、前述したものは、その全周全てが傾斜側面15aを形成する場合であるが、図8で示されるように部分的に傾斜側面15aを有する場合にも適用できる。すなわち、図8の穴つきのネジ切り用のポジチップ15では、基本の三角形状で残存する外郭側面が垂直面19になっており、ネジ切り用の切刃稜18cの逃げ面として傾斜側面15aが形成される。
【0040】また、図9では、突切り・溝入れ用のポジチップ15に適用され、その両端側には、突切り・溝入れ用の切刃稜18dが形成されるとともに、その上面中央には、図示しないクランプ駒による押圧を受けるV字状の切欠き15cが形成されている。なお、図8及び図9(a)(b)の場合、粉末成形用の金型1としては、上側パンチ4の第1上パンチ8、第2上パンチ9及び下側パンチ5の第1パンチ6、第2下パンチ7がそれぞれ特殊形状になるが、いずれも適用できるものである。
【0041】なお、本発明の切削用のポジチップ15は、旋削、転削などに適用されるもので、図示の形状のものに限らず、3角形板、6角形板、円形板等の外郭形状を有するものに適用できる。
【0042】さらに、この切削用のポジチップ15は、その表面部分に、TiC,TiN,Al23などの1又は2以上の硬質被膜を物理蒸着法、化学蒸着法などで被覆すれば、より切削性能が向上する。
【0043】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように、粉末成形用の金型1では、ストレ−ト状のガイド穴3aを有するダイ3に対して、二重構造を有する上側パンチ4及び下側パンチ5を適用し、圧粉体11の成形工程では、第1上パンチ8の開放工程を付加するようにして、少なくとも一部に傾斜側面11aを有する圧粉体11が製造されるようにしたものである。したがって、従来の金型21による圧粉体20にみられたスプリングバックがなくなり、また圧粉体20の上側面部分の擦り作用もなくなって、金型形状に倣った正確な形状を有する傾斜側面11a付きの圧粉体11が製作できるという利点を有する。また、充填粉末2として超硬合金、サ−メット、セラミックスの原料粉末を適用して、前述した金型1及び成形方法により圧粉体11を成形し、次いで得られた圧粉体11を焼結するようにすれば、金型形状に倣った正確な切削用のポジチップ15を製作できる。したがって、この切削用のポジチップ15の切削では、従来残存したフラット面20bに起因した初期摩耗がなくなり、有効な切削が期待できるという利点を有する。
【出願人】 【識別番号】000221144
【氏名又は名称】東芝タンガロイ株式会社
【出願日】 平成10年11月6日(1998.11.6)
【代理人】
【公開番号】 特開2000−144211(P2000−144211A)
【公開日】 平成12年5月26日(2000.5.26)
【出願番号】 特願平10−315514