| 【発明の名称】 |
射出成形用サーメット粉末およびサーメット焼結体の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】池田 克巳
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| 【要約】 |
【課題】残留炭素を組成成分に取り込み適正な成分とする射出成形用サーメット粉末およびサーメット焼結体の製造方法を提供する。
【解決手段】組成成分に少なくとも1種以上の炭化物を含有する焼結用サーメット粉末において、脱バインダの際に発生する残留炭素と反応して炭化物を生成する金属粉末または合金粉末を1種以上混合したことを特徴とするものである。また本発明のサーメット焼結体の製造方法は上記のサーメット粉末を有機バインダと混練した後、射出成形し得られた成形体を溶媒抽出または非酸化性雰囲気で加熱するか、あるいはそれの組み合わせで脱バインダした後、非酸化性雰囲気で焼結することを特徴とするものである。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 組成成分に少なくとも1種以上の炭化物を含有する焼結用サーメット粉末において、脱バインダの際に発生する残留炭素と反応して炭化物を生成する金属粉末または合金粉末を1種以上混合したことを特徴とする射出成形用サーメット粉末。 【請求項2】 請求項1記載のサーメット粉末を有機バインダと混練した後、射出成形し成形体とし次いで前記有機バインダを溶剤抽出するか、または非酸化性雰囲気で加熱するか、あるいはそれの組み合わせで脱バインダした後、非酸化性雰囲気で焼結することを特徴とするサーメット粉末焼結体の製造方法。 【請求項3】 非酸化性雰囲気は、減圧雰囲気もしくは不活性ガス雰囲気とすることを特徴とする請求項2に記載のサーメット粉末焼結体の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明が属する技術分野】本発明は、粉末射出成形法の原料として用いられるサーメット粉末およびこれを用いた射出成形焼結体の製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】サーメットとはCeramic Metalを略した言葉であり、炭化物、ホウ化物、酸化物、窒化物、ケイ化物など広い意味で使用される。その中でWCは古くから超硬合金としてその高硬度、耐摩耗性より切削工具用の材料として使用されている。さらに、WC単一の成分では得られない性能の改善を目的として種々のサーメット成分を混合した材料が開発されている。 【0003】一般にこれらのサーメット焼結体は、焼結の際の結合剤としての金属成分を混合したサーメット粉末にワックスなどの潤滑性を持ったバインダを添加した材料をプレス成形した後に脱バインダと連続した焼結を行なったり、簡単な脱バインダの後に焼結を行なって製造している。しかし、このプレス成形では複雑な形状体の製造は困難であり、プレスの方向と直交した方向の僅かな形状においても金型の構造を複雑にし、かつ高強度とするために金型は非常に高価なものとなったりする。また、形状を出すために機械加工を追加する方法で製造されている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】従来のプレス成形法では複雑な形状体が製造し難いため、一般的な金属粉末においては、射出成形法が用いられるようになってきた。これは金属粉末に有機バインダを添加し、温度を上げると容易に軟化する材料を金型に射出成形し、得られた成形体を脱バインダした後、焼結するものである。 【0005】この方法は、プレス成形に比べ複雑な三次元形状の成形が可能である反面、多量のバインダを使用するため脱バインダの際には数種の方法を組み合わせたり、24時間以上の長時間の処理が必要になったりしている。しかし、射出成形に用いられる金属粉末は、本発明が対象とするサーメット粉末の平均粒径3μm以下に比べ一般的に粒径が粗く平均粒径4〜15μmのものである。このため、金属粉末を対象とした射出成形の場合には、脱バインダにおいて添加したバインダは粉末と粉末が接する部分に僅かに残留するのみであり焼結体の成分に影響を与える程度は少ない。 【0006】一方、サーメット粉末では、上述したように微粉末を多量に含有しているため、脱バインダの際に金属粉末の場合以上に時間を掛けても、または種々の脱バインダ法を組み合わせてもバインダが多量に残留する。これが製造工程中に炭素として残留することで成分中の炭素含有量を大幅に上昇させ所定の成分が得られないという問題があり、サーメット焼結体を射出成形法で製造するための大きな問題であった。本発明の目的は、残留炭素を組成成分に取り込み適正な成分とする射出成形用サーメット粉末およびサーメット焼結体の製造方法を提供することである。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明は、組成成分に少なくとも1種以上の炭化物を含有する焼結用サーメット粉末において脱バインダの際に発生する残留炭素と反応して炭化物を生成する金属粉末または合金粉末を1種以上混合したことを特徴とするものである。 【0008】また本発明のサーメット焼結体の製造方法は上記のサーメット粉末を有機バインダと混練した後、射出成形し得られた成形体を溶媒抽出または非酸化性雰囲気で加熱するか、あるいはそれの組み合わせで脱バインダした後、非酸化性雰囲気で焼結することを特徴とするものである。 【0009】さらに、前記の非酸化性雰囲気は、減圧雰囲気もしくは不活性ガス雰囲気とすることを特徴とする、サーメット粉末焼結体の製造方法である。 【0010】 【作用】本発明に使用される焼結用サーメット粉末は必須成分として1種以上の炭化物と一般的な結合剤としての金属成分を含有していれば可能であり、他の成分はサーメットとして必要なホウ化物、酸化物、窒化物、ケイ化物の1種または数種の組み合わせでも良い。すなわち、本発明の射出成形用サーメット粉末を有機バインダと混練し射出成形により金型に注入し複雑形状の成形体を得る。これを溶媒抽出または非酸化性雰囲気で加熱するか、あるいはそれの組み合わせで脱バインダを行なう。粉末が酸化して焼結の際に残留した炭素と反応し添加した金属粉末が所定量の炭化物とならなくなるのを防止するため雰囲気としては非酸化性雰囲気が必要である。また、水素ガスなどの還元性ガスの雰囲気では炭素のやり取りで残留する炭素量が一定とならない場合があるので好ましくは減圧雰囲気または不活性ガス雰囲気を使用する。 【0011】本発明の脱バインダ法であれば、残留する炭素は粉末の組み合わせ、粒径、粒形状により一定となり、事前に脱バインダで残留する炭素量を測定しておけば添加する金属粉末の量が決定出来る。このように残留する炭素は焼結の際に添加した金属粉末と結合しサーメット成分の一部となり所定の組成を得ることが出来る。 【0012】焼結は一般的に焼結体の緻密化を促進するために出来る限り高い真空度の減圧雰囲気で行なうことが好ましいが組成成分の蒸発を防止するために高温域では真空度を下げることが好ましい。また、組成成分に酸化物を含有している場合は高い真空度の減圧雰囲気では脱バインダで残留した炭素と反応してCO、CO2となり酸化物が分解し、添加した金属と反応する炭素が失われるので焼結雰囲気は真空度を下げたり、不活性ガス雰囲気下とすることで酸化物の分解を防止する必要がある。 【0013】 【実施例】WCが20重量%、TiCが30重量%、TiNが30重量%、TaC+ZrCが5重量%、結合剤としてNiを5重量%、Coを10重量%を添加した組成である平均粒径1μmのサーメット粉末にワックス50重量%、熱可塑性の高分子が50重量%で構成されたバインダを17重量%の割合で添加したものを加圧ニーダにて160〜170℃で2時間混練したのち、冷却、粉砕して製作した材料を射出成形し10×20×5mmの試験片を得た。これを60℃に加温した溶剤に2時間浸漬して添加したバインダのワックス成分を除去した後、102Paの減圧雰囲気で500℃まで6時間掛けて昇温して脱バインダを完了した脱脂体の炭素量を測定したところ残留炭素が1.3重量%確認された。次に、溶剤でバインダのワックス成分を除去した成形体を102Paの減圧雰囲気で500℃まで24時間掛けて昇温して脱バインダを完了した脱脂体の炭素量を測定したところ残留炭素が1.1重量%確認された。それぞれのTPを10−3Paの減圧雰囲気で1250℃まで焼結した後、3×102Paで1500℃まで昇温して1時間保持し焼結体を得たそれぞれの焼結体は脱バインダで残留していた炭素が0.3〜0.4重量%減少しており、最終的に0.8〜0.9重量%の残留炭素が確認された。 【0014】そこで、WCが20重量%、TiCが30重量%、TiNが30重量%、TaC+ZrCが5重量%、結合剤としてNiを5重量%、Coを10重量%を添加した組成である平均粒径1μmのサーメット粉末のWCの8重量%をW金属粉末とした組成、すなわち、WCが12重量%、TiCが30重量%、TiNが30重量%、TaC+ZrCが5重量%、結合剤としてNiを5重量%、Coを10重量%を添加した組成である平均粒径1μmのサーメット粉末に平均粒径1μmのW金属粉末を8重量%添加した粉末を準備した。これにワックス50重量%、熱可塑性の高分子が50重量%で構成されたバインダを17重量%の割合で添加したものを加圧ニーダにて160〜170℃で2時間混練したのち、冷却、粉砕して製作した材料を射出成形し成形体を得た、これを60℃に加温した溶剤に2時間浸漬して添加したバインダのワックス成分を除去した後、102Paの減圧雰囲気で500℃まで6時間掛けて昇温して脱バインダを完了し、10−3Paの減圧雰囲気で1250℃まで焼結した後、3×102Paで1500℃まで昇温して1時間保持し得た焼結体の炭素含有量を測定したところ残留炭素は−0.1〜0.2重量%となっていた。 【0015】本発明の効果を実証するために、前2項の配合を含め表1の組成の粉末を準備し、前記と同一な脱脂、焼結条件で試験片を製作し、残留炭素量を測定した。ここで使用したTi金属粉末は、平均粒径は3μmである。 【0016】 【表1】
【0017】表1に示すように、金属粉末を混合することにより、残留炭素量を減少させ、安定に制御することができる。しかしながら、過剰な金属粉末の混合(No3およびNo5)は炭素量が減少し過ぎる結果となった。 【0018】次に、No2で実施した組成のサーメット粉末の射出成形体について、脱脂、焼結条件を変化させ、残留炭素量を測定した結果を表2に示す。 【0019】 【表2】
【0020】表2に示すように、非酸化性雰囲気での焼結は、溶媒抽出での脱脂の有無にかかわらず効果が得られる。本実施例おける非酸化性雰囲気は、減圧雰囲気および窒素ガス(N2)による不活性ガス雰囲気である。また、焼結条件は表2に記載してある同一条件で処理を実施した。 【0021】表1による粉末組成で製作した焼結体を加工し、切削工具用の刃物として切削テストを行なったところ本発明によるサーメット粉末の焼結体は、プレス成形品と同等の寿命が得られた。切削テスト結果を表3に示す。No6はプレス成形品例であり、また全て切削速度は100mm/min.で実施した。これによりプレス成形では製作の困難であった複雑な形状のサーメット焼結体の製造を可能とすることが出来た。 【0022】 【表3】
【0023】 【発明の効果】本発明によれば、従来のプレス成形では困難であった複雑形状品で、しかも硬度が高く機械加工も難しいサーメット焼結体が射出成形法によって残留炭素による性能劣化が無くプレス成形で製作した焼結体と同等の性能を有する焼結体を得ることが出来る。この方法を切削工具に用いれば従来プレス成形では不可能であった逃げ形状の三次元化やスクイ角の鋭角化あるいは切削時の発熱を直接冷却するためのクーラント穴を有した刃物の製作などに非常に有効な技術となる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000153487 【氏名又は名称】株式会社安来製作所
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| 【出願日】 |
平成10年10月30日(1998.10.30) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2000−144201(P2000−144201A) |
| 【公開日】 |
平成12年5月26日(2000.5.26) |
| 【出願番号】 |
特願平10−325882 |
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