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【発明の名称】 微小銅粉の製造方法
【発明者】 【氏名】塙 健三

【氏名】高橋 和明

【要約】 【課題】導電性ペースト、導電性接着剤等に用いられたときに好適な特性、特に良好な導電性を示し、しかも安価、かつ簡便な微小銅粉の製造方法を提供する。

【解決手段】平均粒径20〜35μm、嵩密度0.5〜0.8g/cm3 の樹枝状電解銅粉に油脂を添加、混合し、該電解銅粉表面に油脂を被覆した後、衝突板方式ジェットミルによって粉砕、微粉化することを特徴とする微小銅粉の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 平均粒径20〜35μm、嵩密度0.5〜0.8g/cm3の樹枝状電解銅粉に油脂を添加、混合し、該電解銅粉表面に油脂を被覆した後、衝突板方式ジェットミルによって粉砕、微粉化することを特徴とする微小銅粉の製造方法。
【請求項2】 請求項1に記載の製造方法によって得られた微小銅粉。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微小銅粉の製造方法に関し、詳しくは導電性ペースト、導電性接着剤に用いられたときに好適な特性を示し、しかも安価、かつ簡便な微小銅粉の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年、OA機器、携帯通信機器等の電子部品実装技術においてチップ部品、接点材料等の分野で使用される導電性ペーストとしては、銀あるいは銀−パラジウムを主成分とする導電性金属粉末あるいはフレークを樹脂バインダー、もしくはガラスフリット等に配合したものがある。さらに導電性ペーストは、プリント配線基板のスルーホール用、配線クロスオーバー用、電極用等にも使用されている。これら銀あるいは銀−パラジウムを主成分とする導電性金属粉末あるいはフレークを使用する導電性ペーストは導電性に優れ、かつ耐酸化性にも優れているが、銀、パラジウム等の金属粉末は高価であり、また安定した入手が困難であり、しかも耐マイグレーション性に問題がある。そこで、高価な銀、パラジウムに代えて、安価でかつ導電性に優れた銅粉の需要が高まってきている。
【0003】この銅粉の製造方法には、アトマイズ法、電解法、湿式合成法等が採用されている。これらの製造方法の中でアトマイズ法、電解法によって得られる銅粉は、主に粉末冶金用に用いられ、その平均粒径は数十μm程度である。一方、湿式合成法においては、平均粒径が0.2〜4μm程度の粒径が揃った粒度分布の狭い銅粉が得られるが、高コストであり、経済性に問題がある。
【0004】電子機器等の小型化、軽量化に伴って、導電性回路もファインピッチ化され、これに伴ってプリント配線基板のスルーホール用導電性ペーストに用いられる銅粉もより微小化されたもの、具体的には平均粒径10μm以下、好ましくは平均粒径3〜5μm程度の銅粉が要求されている。上記のように湿式合成法においては、このような平均粒径の銅粉は得られるが、経済的に不利であり、工業的製造方法とはいい難い。また、アトマイズ法により得られた銅粉の平均粒径は、上記のように一般に数十μmであり、これから10μm以下の銅粉を分級した場合には、収率が悪く、結果的にコスト高となる。
【0005】上記要求に対応すべく、平均粒径20〜35μm程度の電解銅粉をアトマイザーにより粉砕することによって、平均粒径8μm程度の銅粉が得られているが、導電性ペースト用銅粉としてさらなる微小なものが要求されている。また、高圧水アトマイザーを用いることによって、平均粒径5μm程度の銅粉は得られるが、製造歩留りが悪く、経済的に不利である。
【0006】特開昭62−199705号公報及び特開平2−182809号公報には、電解銅粉を銅粉粒子相互の衝突で解砕、微粉化し、平均粒径10μm以下の微小銅粉を得ることが記載されている。すなわち、粒子相互を衝突する方式のジェットミルを用いて電解銅粉を解砕、微粉化する方法が記載されている。しかし、この方法においては、得られた微小銅粉を用いた導電性ペーストは、導電性等の特性に劣るといった問題があった。
【0007】従って、本発明の目的は、導電性ペースト、導電性接着剤に用いられたときに好適な特性、特に良好な導電性を示し、しかも安価、かつ簡便な微小銅粉の製造方法を提供することにある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、検討の結果、油脂を被覆した特定性状の樹枝状電解銅粉を、衝突板方式ジェットミルによって粉砕、微粉化することによって、上記目的が達成し得ることを知見した。
【0009】本発明は、上記知見に基づきなされたもので、平均粒径20〜35μm、嵩密度0.5〜0.8g/cm3 の樹枝状電解銅粉に油脂を添加、混合し、該電解銅粉表面に油脂を被覆した後、衝突板方式ジェットミルによって粉砕、微粉化することを特徴とする微小銅粉の製造方法を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明において用いられる樹枝状電解銅粉は、平均粒径が20〜35μm、嵩密度が0.5〜0.8g/cm3 、好ましくは0.60〜0.75g/cm3 のものである。平均粒径が上記範囲を外れた場合には、良好な微小銅粉は得られない。また、嵩密度が0.5g/cm3 未満では粉砕中に燃えだす恐れがあり、0.8g/cm3 を超えると平均粒径3〜5μmの微小銅粉は得られない。
【0011】このような樹枝状電解銅粉は、CuSO4 ・5H2 O:5〜50g/l、H2SO4 :50〜150g/lの液組成で、電解密度5〜10A/dm2 、液温20〜60℃の条件で陰極に直接析出させることにより得られる。電解により得られた樹枝状電解銅粉は、酸洗、水洗等の処理が施される。
【0012】その後、上記樹枝状電解銅粉には、防錆処理のために油脂が添加、混合され、該電解銅粉表面に油脂が均一に被覆される。油脂の添加量は、電解銅粉に対して0.1〜5重量%であることが望ましい。このような油脂としては、飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸が好ましく用いられる。飽和脂肪酸としてはラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等が挙げられ、不飽和脂肪酸としてはオレイン酸、リノール酸等が挙げられる。
【0013】次に、本発明では、表面に油脂が被覆された樹枝状電解銅粉を衝突板方式ジェットミルによって粉砕、微粉化する。この衝突板方式ジェットミルは、供給された電解銅粉を圧縮空気により粉砕室内の衝突板に衝突させ、粉砕、微粉化させるものである。粉砕、微粉化された銅粉は、分級機により分級され、目的とする微小銅粉は排出されてサイクロンやバグフィルターで回収される。一方、粗銅粉は粉砕室にフィードバックして再度粉砕、微粉化される。このような衝突板方式ジェットミルとしては、日本ニューマチック工業(株)社製のIDS式ジェットミルを例示することができる。
【0014】上記した特開昭62−199705号公報及び特開平2−182809号公報には、粒子相互を衝突する方式のジェットミル、例えば日本ニューマチック工業(株)社製のPJM式ジェットミルを用いて樹枝状電解銅粉を解砕、微粉化することが記載されている。しかし、この方法では、衝突板方式ジェットミルを用いた場合に比べて、同一原料を用いた場合に粒径の小さいものが得られない、得られた微小銅粉を導電性ペースト等に用いたときに、良好な導電性が得られない等の問題が生じる。
【0015】所望の平均粒径を有する微小銅粉は、電解銅粉を供給する速度と粉砕機における分級機の設定とを適宜調整することにより得られる。例えば供給速度を小さくして分級機設定を微粉側に設定すれば微小銅粉が得られる。また、原料として嵩密度の小さい電解銅粉を用いることによっても微小銅粉が得られる。平均粒径3〜5μmの微小銅粉を得るためには、供給速度を遅くすることが望ましい。また、平均粒径5μmを超える微小粉を得るには、供給速度を速めればよい。
【0016】このようにして得られた微小銅粉は、粒状又は粒状と枝状が混在したもので、その平均粒径は3〜5μmのものが好ましい。
【0017】本発明の製造方法により得られた微小銅粉は単独で、或いは他の銅粉と組み合わせてスルーホール基板用や電子部品電極用導電性ペーストや導電性接着剤に用いられる。特に導電性回路のファインピッチ化に伴うスルーホール基板用導電性ペーストに好適に用いられる。
【0018】
【実施例】以下、実施例等に基づき本発明を具体的に説明する。
【0019】〔実施例1〕平均粒径28.2μm、嵩密度0.63g/cm3 の樹枝状電解銅粉100重量部に対して油脂(オレイン酸)1重量部を添加し、2時間混合した後、衝突板方式ジェットミル(日本ニューマチック工業(株)社製のIDS式ジェットミル、IDS−5)によって、粉砕圧力6kg/cm3 、供給速度3.4kg/hrの条件で粉砕、微粉化し、微小銅粉を得た。得られた微小銅粉は概ね粒状で、平均粒径は3.37μm、回収率は89%であった。原料として用いた樹枝状電解銅粉及び得られた微小銅粉の走査電子顕微鏡写真を図1及び図2にそれぞれ示す。
【0020】このようにして得られた微小銅粉85重量部、レゾール型フェノール樹脂16重量部、溶剤(ブチルセロソルブ)6重量部を加え、3本ロールミルでペースト化した後、ガラスエポキシ基板上にスクリーン印刷し、エアーオーブン中にて150℃、30分熱硬化した。この導電性ペーストの比抵抗は1.2×10-4Ω・cmであった。
【0021】〔比較例1〕平均粒径14.4μm、嵩密度1.34g/cm3 の樹枝状電解銅粉100重量部に対して油脂(オレイン酸)1重量部を添加し、2時間混合した後、衝突板方式ジェットミル(日本ニューマチック工業(株)社製のIDS式ジェットミル、IDS−5)によって、粉砕圧力6kg/cm3 、供給速度1.2kg/hrの条件で粉砕、微粉化し、銅粉を得た。得られた銅粉は概ね粒状であったが、平均粒径は11.2μmと微小銅粉は得られなかった。また、回収率は78%と低いものであった。
【0022】〔比較例2〕衝突板方式ジェットミルに代えて、粒子相互を衝突する方式のジェットミル(日本ニューマチック工業(株)社製のPJM式ジェットミル)を用いた以外は、実施例1と同様にして微小銅粉を得た。この微小銅粉の平均粒径は5.8μm、回収率は60%であった。このようにして得られた微小銅粉を用いて実施例1と同様にペースト化した後、ガラスエポキシ基板上にスクリーン印刷し、エアーオーブン中にて熱硬化した。この導電性ペーストの比抵抗は3.0×10-4Ω・cmであった。
【0023】〔実施例2〕平均粒径30.3μm、嵩密度0.74g/cm3 の樹枝状電解銅粉100重量部に対して油脂(オレイン酸)1重量部を添加し、2時間混合した後、衝突板方式ジェットミル(日本ニューマチック工業(株)社製のIDS式ジェットミル、IDS−5)によって、粉砕圧力6kg/cm3 、供給速度6.7kg/hrの条件で粉砕、微粉化し、微小銅粉を得た。得られた微小銅粉は粒状と枝状の混在したもので、平均粒径は4.43μm、回収率は97%であった。
【0024】このようにして得られた微小銅粉86重量部、レゾール型フェノール樹脂14重量部、溶剤(ブチルセロソルブ)6重量部を加え、実施例1と同様にペースト化した後、ガラスエポキシ基板上にスクリーン印刷し、エアーオーブン中にて熱硬化した。この導電性ペーストの比抵抗は1.0×10-4Ω・cmであった。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の製造方法によって、導電性ペースト、導電性接着剤等に用いられたときに好適な特性、特に良好な導電性を示す微小銅粉が、安価、かつ簡便に得られる。
【出願人】 【識別番号】000006183
【氏名又は名称】三井金属鉱業株式会社
【出願日】 平成10年8月31日(1998.8.31)
【代理人】 【識別番号】100076532
【弁理士】
【氏名又は名称】羽鳥 修
【公開番号】 特開2000−80408(P2000−80408A)
【公開日】 平成12年3月21日(2000.3.21)
【出願番号】 特願平10−245334