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【発明の名称】 鋳造方法及びそれに用いる鋳造ライン
【発明者】 【氏名】豊村 薫雄

【氏名】林 富雄

【氏名】佐藤 拓郎

【要約】 【課題】トリベに取り出され溶湯を必ず型に注湯し切って空にするといった標準的な注湯作業を可能とし、ラインに遅れや停止が生じた場合でも、トリベ内の溶湯を炉に戻すといった熱エネルギーならびに作業の無駄を解消する。

【解決手段】造型工程20から送られてくる型40を注湯工程10で注湯した後に型開き工程30に送り出す鋳造方法であって、前記注湯工程10においては型40を一個ずつ送るとともに、トリベ52による型40への注湯が行われる前の前バッファー11に、トリベ52に取り出される一回分の溶湯によって注湯可能な数の型40が送り込まれた時点で注湯作業を開始し、この注湯作業が行われている間に注湯工程10に送り込まれてくる型40を全て前バッファー11に受け入れることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 造型工程から送られてくる型を注湯工程で注湯した後に型開き工程に送り出す鋳造方法であって、前記注湯工程においては型を一個ずつ送るとともに、トリベによる型への注湯が行われる前の前バッファーに、トリベに取り出される一回分の溶湯によって注湯可能な数の型が送り込まれた時点で注湯作業を開始し、この注湯作業が行われている間に注湯工程に送り込まれてくる型を全て前バッファーに受け入れることを特徴とする鋳造方法。
【請求項2】 請求項1記載の鋳造方法に用いる鋳造ラインであって、前記注湯工程のラインが、型を一個ずつ送ることが可能で、かつトリベによる型への注湯が行われる前の前バッファーと注湯が行われた後の後バッファーとに分けられているとともに、前バッファーに受け入れ可能な型数を、トリベに取り出される一回分の溶湯によって注湯可能な型数と、トリベに対する湯の取り出し開始から一つの型に注湯を完了するまでの注湯作業のための時間内に前バッファーに送られてくる型数と、この前バッファーに受け入れ可能な数の全ての型を、個々に注湯して前バッファーから送り出すまでの時間内この前バッファーに送られてくる型数との和としたことを特徴とする鋳造ライン。
【請求項3】 請求項2記載の鋳造ラインであって、前記の後バッファーに受け入れ可能な型数が、少なくとも前バッファーで受け入れ可能な型数と同数に設定されていることを特徴とする鋳造ライン。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋳造のための一連の工程が連続して行われる鋳造方法及びそれに用いる鋳造ラインに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の鋳造技術としては、例えば特開平8−132223号公報に開示されている技術が公知である。この技術では、個々に異なるキャビティをもつ複数の金型ユニットにより、それぞれの製品を同時に鋳造可能となっている。そして各金型ユニットに個々の鋳造条件を記録した情報記録媒体を設け、その情報に基づいて型締め、注湯、型開き、製品の取り出しといった一連の工程を自動制御によって行っている。また前記の金型に代えて砂型を用いる鋳造ラインでは、金枠と鋳物砂とによる造型工程、注湯工程、金枠を開いて砂型を崩す型開き工程といった順で作業が行われる。
【0003】前記の金型あるいは砂型のいずれを用いた鋳造ラインにおいても、注湯工程では炉内の溶湯をトリベに取り出し、このトリベをラインの注湯位置まで運んで型内へ注湯している。そして炉からトリベに取り出される一回分の溶湯の量は、キャビティーの容積に応じて一個ないし複数個の型に注湯可能となっている。なお型の移送については、注湯工程も含めて複数個の型を一ブロックとし、これらのブロックを一単位として一斉に送るのが普通である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このように注湯工程においても複数個の型がブロック単位で次々と送られてくるので、注湯作業はその作業時間などを考慮し、型の移動に対して遅れが生じないように早めの開始タイミングで行われている。しかしながら注湯作業を開始した後に、注湯工程以外の例えば造型工程で何らかのトラブルが生じてラインが止まる場合がある。このときにトリベの溶湯量に相当する数(一個も含む)の型が注湯位置に到達しなければ、トリベ内の溶湯を炉に戻さなければならず、熱エネルギーならびに作業の無駄を招く。つまり、このようなラインの可変タクトに対して標準的な注湯作業を維持することができない。
【0005】本発明は前記課題を解決しようとするもので、その一つの目的は、トリベに取り出され溶湯を必ず型に注湯し切って空にするといった標準的な注湯作業を可能とし、ラインに遅れや停止が生じた場合でも、トリベ内の溶湯を炉に戻すといった熱エネルギーならびに作業の無駄を解消することである。
【0006】また本発明の他の一つの目的は、トリベ内の溶湯を炉に戻すといった事態の回避はもちろんのこと、注湯工程での各種作業を予め決められた標準的な作業によって無理なく遂行することを可能とすることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は前記目的を達成するためのもので、請求項1記載の発明は、造型工程から送られてくる型を注湯工程で注湯した後に型開き工程に送り出す鋳造方法であって、前記注湯工程においては型を一個ずつ送るとともに、トリベによる型への注湯が行われる前の前バッファーに、トリベに取り出される一回分の溶湯によって注湯可能な数の型が送り込まれた時点で注湯作業を開始し、この注湯作業が行われている間に注湯工程に送り込まれてくる型を全て前バッファーに受け入れることを特徴とする。なおトリベに取り出される一回分の溶湯によって注湯可能な型数は、一個ないし複数個を含む。
【0008】この構成においては、注湯作業の開始によって一度トリベに取り出された溶湯は必ず型に注湯し切ってトリベを空にできるといった標準的な注湯作業が可能となる。したがって注湯工程以外の前記造型工程や型開き工程でのトラブルなどが原因となってラインの遅れや停止が生じた場合でも、トリベ内の溶湯を炉に戻すといった熱エネルギーならびに作業の無駄が解消される。
【0009】また請求項2記載の発明は、請求項1記載の鋳造方法に用いる鋳造ラインであって、前記注湯工程のラインが、型を一個ずつ送ることが可能で、かつトリベによる型への注湯が行われる前の前バッファーと注湯が行われた後の後バッファーとに分けられているとともに、前バッファーに受け入れ可能な型数を、トリベに取り出される一回分の溶湯によって注湯可能な型数と、トリベに対する湯の取り出し開始から一つの型に注湯を完了するまでの注湯作業のための時間内に前バッファーに送られてくる型数と、この前バッファーに受け入れ可能な数の全ての型を、個々に注湯して前バッファーから送り出すまでの時間内この前バッファーに送られてくる型数との和としたことを特徴とする。
【0010】この鋳造ラインによって請求項1記載の鋳造方法を効果的に実施することができる。また前バッファーに受け入れ可能な型数は、トリベに取り出される一回分の溶湯によって注湯可能な型数に加え、注湯工程での各種作業に要する時間内において造型工程から送り込まれてくる型数の最大値を考慮した型数となる。したがってトリベ内の溶湯を炉に戻すといった事態の回避はもちろんのこと、注湯工程での各種作業を無理なく遂行することができる。
【0011】請求項3記載の発明は、請求項2記載の鋳造ラインであって、前記の後バッファーに受け入れ可能な型数が、少なくとも前バッファーで受け入れ可能な型数と同数に設定されていることを特徴とする。
【0012】この構成によれば、注湯後の型を後バッファーで必ず受け入れることができるので、注湯後の型を前バッファーから送り出すことが不能となって次の型に対する注湯ができないといった事態を解消でき、これによってもトリベ内の溶湯を炉に戻すことが回避される。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明する。図1は鋳造ラインの概略を表した平面図である。この図面における注湯工程10は、造型工程20によって造型された型40が順次送り込まれ、注湯した後の型40を型開き工程30へ送り出すようになっている。そして注湯工程10では型40を一個ずつ送るように設定されているのに対し、造型工程20及び型開き工程30では複数個(3〜5個)の型40を一ブロックとし、このブロックを一単位として一斉に送るようになっている。
【0014】前記注湯工程10におけるラインの傍らには、溶湯が溜められた炉50が配置されている。またトリベ52は、炉50と注湯位置14との間を図1の移動軌跡54で示すように循環可能となっている。つまりトリベ52は炉50から所定量の溶湯を受け取った後、所定の運搬装置(図示外)によって注湯位置14に運ばれ、そこで型40に注湯を行うように制御される。そして注湯工程10のラインは、注湯位置14より前の前バッファー11と注湯位置14から後の後バッファー12とに分けられている。なお炉50からトリベ52に取り出される一回分の溶湯は、型40のキャビティーの容積に応じて一個ないし複数個の型40に注湯可能な量に設定される。
【0015】図2は注湯工程10の前バッファー11に受け入れ可能な型40の個数(Nb)を表した概念図である。この図面で示すように(Nb)は、つぎの要件(1)〜(3)に基づいて求められる個数(NL,N1,N2)の和である。
(1)トリベ52に取り出される一回分の溶湯で注湯することができる型40の個数(NL)。
(2)炉50からトリベ52に対する溶湯の取り出し開始から注湯位置14において一つの型40に注湯を完了するまでの注湯作業時間(T1)内に、造型工程20から前バッファー11に送り込まれてくる型40の個数(N1)。
(3)前バッファー11に受け入れ可能な個数(Nb)の型40を、個々に注湯して前バッファー11から送り出すまでの時間(T2)内に、この前バッファー11に送り込まれてくる型40の個数(N2)。なお前記の時間(T2)は、後バッファー12において型40を一個分だけ送る時間を(Tt)としたとき、(Nb×Tt)で求められる。
【0016】このように前バッファー11に受け入れ可能な型40の個数(Nb)は、(Nb=NL+N1+N2)
であり、具体例としては(NL)=5個、(N1)=8個、(N2)=4個である。したがってこの例での(Nb)は17個となり、結果的に前バッファー11には17個の型40を受け入れ可能なスペースを確保すればよい。因みに前記の各時間の具体例としては(T1)=335秒、(Tt)=8秒、(T2)=(Nb×Tt)=136秒である。
【0017】一方、注湯工程10の後バッファー12に受け入れ可能な型40の個数については、前バッファー11で受け入れ可能な個数(Nb)と同数か、それ以上に設定されている。これにより、前記注湯位置14において注湯した後の型40は後バッファー12で必ず受け入れることができる。ただし、前バッファー11の送り速度よりも後バッファー12の送り速度が遅く設定されている場合は、その速度差に応じた分だけ後バッファー12で受け入れ可能な型数を追加する必要がある。実際の運用上での後バッファー12で受け入れ可能な型数は、(Nb+1〜2)個である。
【0018】前記構成の鋳造ラインにおいては、造型工程20から注湯工程10の前バッファー11に対し、トリベ52の一回分の溶湯で注湯可能な個数(NL)の型40が送り込まれた時点で炉50からトリベ52への溶湯の取り出しを開始する。そしてトリベ52に一回分の溶湯、つまり(NL)個の型40に注湯可能な量の溶湯が満たされたら、このトリベ52を注湯位置14に運んで一番目の型40に対する注湯を行う。この注湯位置14において二番目以降の型40に対して順次注湯を行うのであるが、前バッファー11には溶湯の取り出し開始時において(NL)個の型40が送り込まれているので、トリベ52に溶湯が残ってしまい、それを炉50に戻すといった事態は起こり得ない。
【0019】前記の溶湯取り出しから一番目の型40に対する注湯完了までに要する時間が(T1)である。この時間(T1)内において新たに前バッファー11に送り込まれてくる個数(N1)はもちろんのこと、前記の時間(T2)内に送り込まれてくる個数(N2)の型40の総数(Nb)を前バッファー11で受け入れながら作業が遂行される。そして後バッファー12では前記のように(Nb)と同数もしくはそれ以上の個数の型40を受け入れ可能であるから、後バッファー12の受け入れオーバーによる注湯作業停止、すなわちトリベ52に残った溶湯を炉50に戻すといった事態も回避される。
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【出願日】 平成10年9月28日(1998.9.28)
【代理人】 【識別番号】100064344
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 英彦 (外6名)
【公開番号】 特開2000−102859(P2000−102859A)
【公開日】 平成12年4月11日(2000.4.11)
【出願番号】 特願平10−273585