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【発明の名称】 金属成形品の製造装置
【発明者】 【氏名】君島 重徳

【氏名】伊藤 理

【氏名】広野 久雄

【氏名】溝上 清信

【氏名】井手籠 隆

【要約】 【課題】簡単な構成で、キャビティ内からガスを円滑かつ確実に排出することを可能にする。

【解決手段】金型20は、固定型34と可動型38とを備え、これらの間にキャビティ22が形成されるとともに、前記可動型38の凹部40の一部分を形成する押し出しピン46には、前記キャビティ22に連通するガス抜き溝54が設けられている。このガス抜き溝54を介して、キャビティ22内のガスがガス抜き孔52から外部に排出される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】半凝固金属ビレットをキャビティに充填して金属成形品を製造するための金属成形品の製造装置であって、固定型と、少なくとも凹部を有し、前記固定型との間に前記キャビティを形成する可動型と、前記可動型の凹部の一部分を形成するとともに、前記キャビティに連通するガス抜き溝が設けられた押し出しピンと、を備えることを特徴とする金属成形品の製造装置。
【請求項2】請求項1記載の製造装置において、前記ガス抜き溝の溝幅は、前記半凝固金属ビレットの固相粒径よりも小さく設定されることを特徴とする金属成形品の製造装置。
【請求項3】請求項1または2記載の製造装置において、前記押し出しピンは、前記金属成形品の端面形状に倣った形状に設定されることを特徴とする金属成形品の製造装置。
【請求項4】請求項1乃至3のいずれか1項に記載の製造装置において、前記金属成形品は、渦巻き状のスクロールコンプレッサ部品であることを特徴とする金属成形品の製造装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半凝固金属ビレットをキャビティに充填して金属成形品を製造するための金属成形品の製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的に、アルミニウムやマグネシウム、またはそれぞれの合金等の金属ビレットを用意し、この金属ビレットを加熱して半凝固金属ビレットを得た後、前記半凝固金属ビレットをダイカスト装置(製造装置)の射出スリーブに供給して成形品を成形する作業が行われている。
【0003】具体的には、金属ビレットが供給装置に配置されており、搬送装置によりこの金属ビレットが加熱装置に搬送される。加熱装置では、金属ビレットが所定の温度に加熱されることにより、半凝固金属ビレットが得られる。次いで、半凝固金属ビレットが搬送装置を介してダイカスト装置の射出スリーブに供給され、前記ダイカスト装置のキャビティに充填されることにより、所定の金属成形品が成形されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のダイカスト装置のキャビティに半凝固金属ビレットを充填する際、このキャビティ内のガス抜きが困難であるという問題が指摘されている。すなわち、金属成形品の湯先部分に対応する部位にガスが溜まり易く、湯回り不良やガス巻き込みによる内部欠陥等が発生してしまう。これにより、鋳造欠陥が惹起されて製品品質が低下するという問題がある。
【0005】本発明はこの種の問題を解決するものであり、キャビティのガス抜きを円滑かつ確実に行って鋳造欠陥を削減するとともに、構成を簡素化することが可能な金属成形品の製造装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係る金属成形品の製造装置では、固定型と可動型との間にキャビティを形成するとともに、この可動型の凹部の一部分を構成する押し出しピンには、前記キャビティに連通するガス抜き溝が設けられている。このため、半凝固金属ビレットがキャビティに充填される際、このキャビティに連通するガス抜き溝からガスが円滑に排気される。これにより、キャビティ内で湯回り不良やガス巻き込みによる内部欠陥が発生することがなく、高品質な金属成形品を効率的に得ることが可能になる。
【0007】また、ガス抜き溝の溝幅が、半凝固金属ビレットの固相粒径よりも小さく設定されるため、このガス抜き溝を通って半凝固金属ビレットが漏れ出ることがない。さらにまた、押し出しピンが、金属成形品の端面形状に倣った形状に設定されている。従って、押し出しピンにより金属成形品を押し出す際に面圧が高くなることがなく、前記金属成形品が変形することを確実に阻止して寸法精度を有効に向上させるとともに、加工代の削減が図られる。この金属成形品は、渦巻き状のスクロールコンプレッサ部品であり、この種の部品を高精度かつ効率的に製造することが可能になる。
【0008】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の第1の実施形態に係る金属成形品の製造装置を組み込む製造システム10の概略斜視説明図であり、図2は、前記製造システム10の概略平面説明図である。
【0009】製造システム10は、金属ビレット12を加熱して半凝固金属ビレット12aを得る加熱機構14と、前記半凝固金属ビレット12aから金属成形品を成形する第1の実施形態に係る製造装置であるダイカスト機構16と、前記半凝固金属ビレット12aを前記加熱機構14から前記ダイカスト機構16に搬送する搬送ロボット18とを備える。
【0010】加熱機構14は、複数個の金属ビレット12を収容し、矢印方向に回転しながら前記金属ビレット12に高周波焼き入れ処理を施すことにより、各金属ビレット12を半凝固状態(スラリー状態)に加熱するものであり、複数のビレット配置台19を昇降可能に備えている。
【0011】ダイカスト機構16は、金型20と、この金型20内のキャビティ22にランナ24を介して連通する射出スリーブ26と、この射出スリーブ26内に投入された半凝固金属ビレット12aを前記キャビティ22側に加圧するプランジャ(射出チップ)28とを備える。射出スリーブ26の上面には、半凝固金属ビレット12aがその軸線方向を水平方向に向けて投入されるビレット投入口30が形成されている。
【0012】金型20は、固定プラテン32に固着される固定型34と、可動プラテン36に固着される可動型38とを備え、この可動型38は凹部40を有しており、前記固定型34との間にキャビティ22を形成する。キャビティ22は、図3に示すスクロールコンプレッサ部品(金属成形品)42の形状に対応している。この部品42は、渦巻き円筒状側面42aを有しており、この側面42aの先端に渦巻き状の端面44が設けられている。
【0013】可動型38には、凹部40の一部分を形成する押し出しピン46が図示しないアクチュエータを介して進退自在に配置される(図2参照)。可動型38に開口部48が形成されており、この開口部48に押し出しピン46を固定する押し出しプレート50が配置される。押し出しピン46の先端面46aは、図4に示すように、部品42の端面44の形状に倣った渦巻き形状に設定されている。
【0014】可動型38には、外部に開放されるガス抜き孔52が形成されており、押し出しピン46の外周面には、この押し出しピン46の先端面46aがキャビティ22の一部分を形成する位置に配置される際、このキャビティ22と前記ガス抜き孔52とを連通するガス抜き溝54が複数個形成される。このガス抜き溝54の溝幅は、半凝固金属ビレット12aの固相粒径よりも小さく設定されている。
【0015】このように構成される製造システム10の動作について、以下に説明する。
【0016】先ず、加熱機構14では、金属ビレット12が矢印方向に移動されながら高周波加熱処理が施される。これにより、金属ビレット12が所望のスラリー状態になって、半凝固金属ビレット12aが得られる。次いで、搬送ロボット18が、加熱機構14で加熱されて得られた半凝固金属ビレット12aを把持し、ダイカスト機構16を構成する射出スリーブ26のビレット投入口30に前記半凝固金属ビレット12aを水平姿勢で投入する。
【0017】そこで、プランジャ28が射出スリーブ26内で矢印A方向(図2参照)に変位すると、この射出スリーブ26内の半凝固金属ビレット12aは、前記プランジャ28に加圧されて全型20内のキャビティ22に圧送される。このため、キャビティ22内に半凝固金属ビレット12aが充填されて凝固することにより、金属成形品である部品42が得られることになる。
【0018】この場合、キャビティ22に半凝固金属ビレット12aが充填される際、図5に示すように、押し出しピン46の先端面46aが可動型38の凹部40を構成する壁面と同一面上に配置されている。従って、押し出しピン46に形成された複数のガス抜き溝54がキャビティ22とガス抜き孔52とを連通しており、部品42を成形する際に前記キャビティ22に存在するガスは、前記ガス抜き溝54から前記ガス抜き孔52を介して外部に円滑に排出される。これにより、キャビティ22内の湯回り不良やガス巻き込みによる内部欠陥の発生を確実に阻止することができ、鋳造欠陥のない高品質な部品42を効率的に成形することが可能になるという効果が得られる。
【0019】しかも、押し出しピン46にガス抜き溝54を形成するだけでよく、構成が複雑化することがなく、経済的であるという利点がある。また、ガス抜き溝54の溝幅が、半凝固金属ビレット12aの固相粒径よりも小さく設定されており、この半凝固金属ビレット12aが前記ガス抜き溝54に進入することがない。
【0020】ところで、キャビティ22で部品42が成形された後、図6に示すように、可動型38が固定型34から離間する方向(矢印A方向)に移動した後、図示しないアクチュエータを介して押し出しプレート50と一体的に押し出しピン46が矢印B方向に押し出される。このため、可動型38の凹部40から部品42が離型され、この部品42が取り出されることになる。
【0021】ここで、第1の実施形態では、図3および図4に示すように、押し出しピン46の先端面46aが部品42の端面44の形状に対応した渦巻き形状に設定されている。従って、押し出しピン46を介して部品42の端面44の全面を矢印B方向に押圧することができ、前記端面44の面圧が必要以上に高くなることがない。これにより、離型時に部品42の変形(挫屈)を阻止することが可能になり、前記部品42の寸法精度を有効に向上させるとともに、加工代の削減が図られるという効果が得られる。
【0022】図7は、本発明の第2の実施形態に係る製造装置であるダイカスト機構60の斜視説明図である。なお、第1の実施形態に係るダイカスト機構16と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0023】このダイカスト機構60は、可動型38に進退自在に配置される押し出しピン62を備える。押し出しピン62は、押し出しプレート64に保持された複数のピン部材66a、66bを設けており、図8に示すように、前記ピン部材66aが部品42の端面44の形状に沿って配置されるとともに、前記ピン部材66bが前記部品42の底面42bに対応している。
【0024】各ピン部材66a、66bには、前記ピン部材66a、66bの端面が凹部40を構成する壁面と面一に配置された状態で、キャビティ22とガス抜き孔52とを連通するガス抜き溝68a、68bが形成される。このガス抜き溝68a、68bの溝幅は、半凝固金属ビレット12の固相粒径よりも小さく設定されている。
【0025】このように構成されるダイカスト機構60では、図9に示すように、キャビティ22に半凝固金属ビレット12aが充填される際、このキャビティ22内のガスが押し出しピン62を構成する各ピン部材66a、66bに形成されたガス抜き溝68a、68bを通ってガス抜き孔52から外部に円滑に排出される。このため、キャビティ22内における湯回り不良やガス巻き込みによる内部欠陥の発生を確実に阻止することがてきる等、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0026】さらに、図10に示すように、部品42を離型させる際には、押し出しピン62を構成する各ピン部材66a、66bが部品42の端面44および底面42bに当接するため、この部品42の面圧が高くなることがない。これにより、部品42の変形を阻止し得る等、第1の実施形態と同様の効果がある。
【0027】
【発明の効果】本発明に係る金属成形品の製造装置では、固定型と可動型との間にキャビティを形成するとともに、この可動型の凹部の一部分を形成する押し出しピンに前記キャビティに連通ガス抜き溝が設けられている。このため、キャビティ内のガスがガス抜き溝を介して外部へと円滑に排出され、鋳造欠陥を有効に削減して高品質な金属成形品を効率的に得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【出願日】 平成10年9月28日(1998.9.28)
【代理人】 【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏 (外1名)
【公開番号】 特開2000−102851(P2000−102851A)
【公開日】 平成12年4月11日(2000.4.11)
【出願番号】 特願平10−273842