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【発明の名称】 ツインベルト式連続鋳造機
【発明者】 【氏名】豊田 裕一

【氏名】小林 重幸

【氏名】前川 裕宣

【氏名】樫村 義昭

【要約】 【課題】冷却装置に入るダムブロック間に懸垂差が生じたとき、これに適切に対処することのできるツインベルト式連続鋳造機を提供する【解決手段】 ツインベルト式連続鋳造機の鋳造機本体からベルト懸架用ローラ8を経て導出される左右一対のダムブロック9、10を冷却する冷却装置25において、この冷却装置25にダムブロック9、10毎の左右一対の冷却箱1a、1bを設け、これら冷却箱1a、1bを油圧シリンダ15、15によって独立して上下動できるように構成し、これにより冷却箱1a、1bをダムブロック9、10の懸垂状態に合わせて別個に位置調整できるようにする。

【解決手段】ツインベルト式連続鋳造機の鋳造機本体からベルト懸架用ローラ8を経て導出される左右一対のダムブロック9、10を冷却する冷却装置25において、この冷却装置25にダムブロック9、10毎の左右一対の冷却箱1a、1bを設け、これら冷却箱1a、1bを油圧シリンダ15、15によって独立して上下動できるように構成し、これにより冷却箱1a、1bをダムブロック9、10の懸垂状態に合わせて別個に位置調整できるようにする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】鋳造機本体と、前記鋳造機本体の中を走行する上下一対の鋳造用ベルトと、前記鋳造用ベルトに挟持されて前記鋳造機本体の中を走行し、前記鋳造機本体の一端から導入されて前記鋳造機本体の他端から導出される左右一対のダムブロックと、前記鋳造機本体から導出された前記ダムブロックを冷却する冷却装置とから構成され、前記冷却装置は、前記左右一対のダムブロック毎に分割して設けられ、前記ダムブロックの懸垂形状に合わせて独立して位置調整できるように構成された左右一対の冷却箱を有することを特徴とするツインベルト式連続鋳造機。
【請求項2】前記左右一対の冷却箱は、前記左右一対のダムブロックの懸垂形状に合わせて位置調整するための左右一対のシリンダ機構によって支持された構成を有することを特徴とする請求項第1項記載のツインベルト式連続鋳造機。
【請求項3】前記左右一対のシリンダ機構は、前記ダムブロックの懸垂形状に応じて動作して前記左右一対の冷却箱の位置を適性位置に調整することを特徴とする請求項第2項記載のツインベルト式連続鋳造機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ツインベルト式連続鋳造機に関し、特に、ダムブロックの懸垂形状に応じて冷却装置の位置を容易に調整することのできるツインベルト式連続鋳造機に関する。
【0002】
【従来の技術】銅などの金属を連続的に鋳造する装置として、ツインベルト式連続鋳造機と呼ばれる鋳造機が知られている。図2(イ)は、この鋳造機の概要を示したもので、31は鋳造機本体、32、33は鋳造機本体31の内部を走行する上下一対の鋳造用ベルトを示し、それぞれベルト懸架用ローラ34、35および36、37間に張り渡されている。9、10は、鋳造用ベルト32、33間に挟持されて鋳造機本体31の中を走行するエンドレスの左右一対のダムブロックを示す。
【0003】図2(ロ)は、図1(イ)のA−A断面図を示したもので、鋳造用ベルトとダムブロックとの関係を示す。鋳造品の寸法に応じて所定の間隔を置いて対向配置された左右一対のダムブロック9、10と、これらを上下から挟持して走行する鋳造用ベルト32、33とは、鋳造機本体31の内部を通過する間、この状態を維持し、鋳型となる鋳造空間38を確保する。
【0004】図2(イ)において、39は注湯口(タンディッシュ)を示し、この部分から銅などの溶湯が鋳造空間38内に注ぎ込まれ、注ぎ込まれた溶湯は、鋳造用ベルト32、33とダムブロック9、10とともに走行する間に、ベルト32、33の上下に供給される冷却水により冷却されて凝固させられ、さらに、二次冷却装置40により追加冷却されて鋳造バー41となって排出される。
【0005】鋳造機本体31の内部を通過したダムブロック9、10は、冷却装置25に導入され、ここにおいて所定の温度まで冷却された後、再び鋳造機本体31の中へ導入されて鋳造空間38を形成する。
【0006】図3は、従来のダムブロックの冷却装置を示したもので、冷却箱1の中にダムブロック9、10を通過させ、この通過の間に多数の冷却水噴出ノズル2からダムブロック9、10に向けて冷却水を噴射し、これによりダムブロック9、10を急冷するように構成されている。
【0007】11は冷却水供給口、12は噴出された冷却水を集めて外部へ排出するための冷却水排出口、13は高温のダムブロック9、10に冷却水を吹き付ける結果発生する水蒸気を外部へ抜くための蒸気吸引口を示す。
【0008】この冷却装置25は、ダムブロック9、10を冷却すると同時に、ダムブロック9、10に作用する張力を適度に調整するための役割をも果たす。即ち、入口ガイドローラ5、中間ガイドローラ6、および出口ガイドローラ7が、走行するダムブロック9、10の懸垂(カテナリー)形状に応じてこれを支え、ダムブロック9、10の張力を適正なものに維持する。
【0009】冷却装置25は、シリンダ42によって上下動ができ、さらに、位置決めボルト43、44により位置調整が可能なように構成されており、この結果、ダムブロック9、10には、常に適性な張力が作用するように構成されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、ツインベルト式鋳造機の実際の運転においては、左右のダムブロック9、10が常に同じ状態で走行するものとは限らず、図2(イ)に示されるように、ダムブロック9、10間に懸垂差が生ずることがあり、そのようなとき、従来の冷却装置25によってこれに対処することは不可能である。
【0011】冷却装置25による適性張力保持作用がないまゝでの鋳造機の運転は、ダムブロック9、10のブロック材を連結するスチールベルトの破断などライントラブルにつながる可能性が強く、従って、ダムブロックの懸垂状態の監視は運転上の重要管理項目とされ、一定水準を越える懸垂差については、不本意ながらラインを停止して対処せざるを得ない。大型のライン構成であるだけに、ラインの停止は歩留の低下など様々な不利益をもたらす。
【0012】従って、本発明の目的は、左右のダムブロック間に懸垂差が生じたとき、これに適切に対処することのできるツインベルト式連続鋳造機を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を達成するため、鋳造機本体と、前記鋳造機本体の中を走行する上下一対の鋳造用ベルトと、前記鋳造用ベルトに挟持されて前記鋳造機本体の中を走行し、前記鋳造機本体の一端から導入されて前記鋳造機本体の他端から導出される左右一対のダムブロックと、前記鋳造機本体から導出された前記左右一対のダムブロックを冷却する冷却装置とから構成され、前記冷却装置は、前記左右一対のダムブロック毎に分割して設けられ、前記左右一対のダムブロックの懸垂形状に合わせて独立して位置調整できるように構成された左右一対の冷却箱を有することを特徴とするツインベルト式連続鋳造機を提供するものである。
【0014】冷却箱の位置調整は、シリンダ機構により行うことが好ましく、その場合、シリンダ機構としては、指示された所定の位置まで伸縮し、停止できるものであることが好ましい。この意味からすれば、シリンダ機構は空圧式よりも油圧式とすべきである。
【0015】たとえば、ダムブロックの懸垂弛度量をセンサにより検出し、この検出に基づいてシリンダ機構を作動させ、これによって冷却装置の位置を自動調整することは可能である。また、シリンダに磁気型変位センサを内蔵させ、フィードバック制御を行うことによってシリンダの伸縮量を微調整することも可能である。
【0016】シリンダの伸縮量をモニタに表示し、基準値に対する伸縮量を確認できるように構成することは、遠隔監視が可能になるので好ましい。冷却装置は、常時、水が飛散する環境下に置かれるのが普通であり、従って、シリンダとしては、多くの場合、耐水性および耐腐蝕性のものが使用される。
【0017】
【発明の実施の形態】図1の(イ)および(ロ)は、本発明の実施の形態を示し、図2に示されたツインベルト式連続鋳造機における冷却装置25に相当する部分を示したものである。
【0018】図1(イ)において、1は冷却箱、2は冷却箱1の中に配列した冷却水噴出ノズル、3は冷却箱1の周囲を覆う箱体、4は箱体3の蓋、5は箱体3の一方の端部に設けられた入口ガイドローラ、6は冷却箱1の中に設けられた中間ガイドローラ、7は箱体3の他方の端部に設けられた出口ガイドローラを示す。
【0019】37は、図2(イ)におけるベルト懸架用ローラであり、このベルト懸架用ローラ37に懸けられた鋳造用ベルト33によって送り出される左右一対のダムブロック9、10は、入口ローラ5を経て箱体3に入り、冷却箱1の中間ガイドローラ6を通り、箱体3の外へ出て出口ガイドローラ7を通過する。
【0020】ダムブロック9、10は、冷却箱1内を通過する間に多数の冷却水噴出ノズル2から冷却水を噴射され、冷却される。11は冷却水供給口、12は箱体3の中に噴出飛散した冷却水を集めて外部へ排出するための冷却水排出口、13は箱体3の中で発生する水蒸気を吸引し、箱体3の外部へ排出するための蒸気吸引口を示す。
【0021】14は油圧シリンダ15を介して箱体3を支持するフレーム、16はアーム17、18によりフレーム14との間を接続されたベースフレームを示し、19〜22はこの接続におけるヒンジ結合部を示す。
【0022】フレーム14は、アーム17、18とこれらにヒンジ結合されたメインの油圧シリンダ23とによって支えられている。箱体3からはアーム24が突出し、このアーム24は結合部19と同軸にヒンジ結合している。
【0023】以上のように構成される冷却装置25は、油圧シリンダ15の伸縮によってヒンジ結合部19を支点とした上下方向の動きが可能であり、ダムブロック9、10の懸垂形状に合わせた位置調整が可能となる。
【0024】油圧シリンダ23とアーム17、18による上下方向への動きも可能であり、このメインの油圧シリンダ23による上下動は、段取時に冷却装置25を連続鋳造機から離すとき、あるいは段取完了後に冷却装置25を連続鋳造機の所定の個所にセットするときなどに利用される。
【0025】図1(ロ)に示されるように、以上の構成から成る冷却装置25は、左右一対の冷却箱1aと1bを有しており、これら冷却箱1a、1bには、冷却水噴出ノズル2、箱体3、蓋4、ガイドローラ5〜7、冷却水供給口11、冷却水排出口12、蒸気吸引口13および油圧シリンダ15がそれぞれ組み込まれている。
【0026】ダムブロック9、10は、冷却箱1a、1bの中を別個に通過し、それぞれのローラ5〜7に支えられた状態で冷却される。左右一対の油圧シリンダ15、15による冷却箱1a、1bの位置調整は、これらダムブロック9、10の懸垂状態に応じてそれぞれ別個に行われ、この結果、ダムブロック9、10は、左右独立した形でそれぞれの入口ガイドローラ5、中間ガイドローラ6および出口ガイドローラ7によって常時支えられることになる。
【0027】従って、たとえ、ダムブロック9、10間に懸垂差が発生したとしても、ダムブロック9、10は常に一定張力下に置かれることになるため、従来のようにラインを停止させる必要はなく、さらには、ダムブロック9、10のブロック材を連結するスチールベルトが破断するなどのライントラブルが発生することもなくなる。
【0028】なお、本実施形態においては、冷却装置25の上下方向の位置調整を油圧シリンダ15に依存していることから、この位置調整を遠方からの操作によって行うことが可能である。また、この位置調整は、連続鋳造機が稼動しているなかで行うことができ、しかも、この間、作業者に負担がかかることはない。
【0029】この点、図3に示された従来の冷却装置の場合には、位置決めボルト43、44を人手によって緩め、シリンダ42による調整を行った後、再度、人手によるボルト43、44の調整とロックナットによる固定が必要になることから、調整に手間と時間とがかかる。そして、なによりも連続鋳造機の稼動中にこれを行うことは、冷却装置25が鋳造機本体31の下方に位置することもあって安全上不可能であり、この点において本実施形態との差は明白である。
【0030】連続鋳造機の稼動中に冷却装置の位置調整を行うことができるか否かは、実際の運用面においては大きな違いであり、使い勝手の差となって顕著に現れることになる。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によるツインベルト式連続鋳造機によれば、左右一対のダムブロックを冷却するための冷却箱をダムブロック毎に独立して設け、これら冷却箱をそれぞれのダムブロックの懸垂形状に合わせて独立して位置調整できるように構成していることから、ダムブロックの張力を常に一定に保つことができ、従って、ダムブロック間の懸垂差を原因とした不本意なライン停止、あるいはスチールベルト破断等のライントラブルの発生を未然に防止することができる。
【出願人】 【識別番号】000005120
【氏名又は名称】日立電線株式会社
【出願日】 平成10年9月29日(1998.9.29)
【代理人】 【識別番号】100071526
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 忠雄
【公開番号】 特開2000−102844(P2000−102844A)
【公開日】 平成12年4月11日(2000.4.11)
【出願番号】 特願平10−274503