| 【発明の名称】 |
極軟鋼連続鋳造ビレットの製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】清瀬 明人
【氏名】山田 亘
【氏名】高橋 宏美
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| 【要約】 |
【課題】真空脱ガス処理を行わずに、注入時の注入ノズル閉塞、スカム疵の発生、Alヘゲ疵の発生、ブローホールの発生のない、オープン注入を採用する極軟鋼連続鋳造ビレットを製造する方法を提供する。
【解決手段】連続鋳造タンディッシュから連続鋳造鋳型への溶鋼注入時に浸漬ノズルを用いないオープン注入を行う極軟鋼連続鋳造ビレットの製造方法において、タンディッシュ内において鋼中に重量%で、C:0.01%〜0.08%、Si:0.001%〜0.10%、Mn:0.001%〜0.50%、Ti:0.003%〜0.008%、Ca:0.0005%〜0.0020%を含み、Al:0.005%以下であり、残部Fe及び不可避不純物からなり、更に連続鋳造鋳型内において鋼中にAlを溶鋼1トン当たり(0.08/[%Ti])グラム〜60グラム添加することを特徴とする極軟鋼連続鋳造ビレットの製造方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 連続鋳造タンディッシュから連続鋳造鋳型への溶鋼注入時に浸漬ノズルを用いないオープン注入を行う極軟鋼連続鋳造ビレットの製造方法において、タンディッシュ内において鋼中に重量%で、C:0.01%〜0.08%、Si:0.001%〜0.10%、Mn:0.001%〜0.50%、Ti:0.003%〜0.008%、Ca:0.0005%〜0.0020%を含み、Al:0.005%以下であり、残部Fe及び不可避不純物からなり、更に連続鋳造鋳型内において鋼中にAlを溶鋼1トン当たり(0.08/[%Ti])グラム〜60グラム添加することを特徴とする極軟鋼連続鋳造ビレットの製造方法。 【請求項2】 タンディッシュ内において鋼中に重量%で、B:0.0020%〜0.0050%を含むことを特徴とする請求項1に記載の極軟鋼連続鋳造ビレットの製造方法。 【請求項3】 溶鋼中にTi及びCaを添加する前にAlで予備脱酸を行う場合において、Ti及びCa添加前の鋼中の溶存酸素が150ppm〜400ppmとなるようにAlで予備脱酸を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の極軟鋼連続鋳造ビレットの製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、連続鋳造タンディッシュから連続鋳造鋳型への溶鋼注入時に浸漬ノズルを用いないオープン注入を行う極軟鋼連続鋳造ビレットの製造方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】ビレットを経て極軟鋼として製造される鋼は、転炉等で精錬を完了した後、主に連続鋳造法にてビレットに鋳造される。精錬完了時に溶鋼中に含まれるフリー酸素は、鋳造に先立って脱酸材を投入して酸化物として除去する。極軟鋼においては、Cが0.08%以下と低いため、転炉精錬完了時に鋼中に含まれる溶存酸素も高く、投入する脱酸材及び生成する酸化物ともに多いのが特徴である。脱酸材としてはAlとSiを用いる複合脱酸が代表的であるが、極軟鋼の場合はSiが0.10%以下であるためSiを脱酸材に用いることができない。Alを単独に脱酸材として用いた場合、脱酸の結果生成した脱酸生成物としてのAl2 O3は、その大部分は溶鋼中を浮上して分離されるが、その一部は溶鋼中に残存し、連続鋳造に際して鋳型への注入を行う注入ノズルの内周に析出する。特にAl2O3 は融点が高く、注入ノズルの周辺に析出してノズルが閉塞する原因となる。小断面のビレットを鋳造する連続鋳造においては、鋳型の断面積が小さいため、必然的に注入ノズルの断面積も小さくなり、Al2 O3 の析出によるノズル閉塞が重大な問題となっている。また、たとえ鋳造を行ったとしても、Al2 O3 系介在物が溶鋼表面に浮上して堆積し、鋳片の表層に捕獲されてAl2 O3 系スカム疵として表面欠陥となるために良好な品質の製品を製造することができない。また、Al2 O3 系介在物は融点が高いので、鋳片表面に取り込まれたまま圧延すると介在物が圧延時に変形せず、製品欠陥の原因となる。 【0003】鋳片の断面サイズの大きいスラブ連続鋳造装置、あるいはブルーム連続鋳造装置においては、注入ノズルは連続鋳造鋳型内まで延び、鋳型内の溶融金属浴内に浸漬する浸漬ノズルを用い、注入時に溶融金属が周囲の雰囲気と接触して酸化が進行することを防止する。しかし、小断面のビレット連続鋳造装置においては、鋳型の断面サイズが小さいため、浸漬ノズルを鋳型内に装入することが困難であり、タンディッシュ底部の注入孔から下方の鋳型内への注入流が周辺雰囲気に曝されるオープン注入を採用せざるをえない。 【0004】オープン注入においては、必然的に注入流が周辺の大気と接触して大気中の酸素が溶鋼中に取り込まれる。注入ノズルへのAl2 O3 の析出を防止するために投入するAlを低減し、タンディッシュ段階での鋼中のAl含有量を低減しすぎると、注入時に大気から取り込まれる酸素を脱酸できずにフリーな溶存酸素が残ることとなる。溶存酸素の存在は、鋳片の凝固時に固液界面でのCと酸素との反応によるCOガスの発生を招き、鋳片にブローホール欠陥が発生することとなる。 【0005】オープン注入を採用する極軟鋼連続鋳造ビレットの製造においては、タンディッシュに到るまでの溶鋼段階でAlによる脱酸を行おうとすると、Al量が多ければ注入ノズルへのAl2 O3 の析出によって注入ノズルが閉塞するために連続鋳造が不可能であり、注入ノズルが閉塞しない程度までAlを低減すると鋳片にブローホールが発生するため、鋳造は不可能であった。 【0006】タンディッシュに到るまでの溶鋼段階でのAlによる脱酸は注入ノズルが閉塞しない程度の少ないレベルに抑え、連続鋳造鋳型内にAlを投入して脱酸不足を補い、ブローホールの発生を防止する手段が考えられるが、鋳型内での必要な投入Al量が多く、鋳型内でAlの溶け残りが発生してAlヘゲ疵が発生するという問題が生じるため採用することはできなかった。 【0007】鋳型内の鋼中に溶存酸素が残っても、鋼中のCが少なければCOガス発生反応は起こらず、ブローホールは発生しない。転炉における低C化には限度があるが、転炉精錬後に真空脱ガス処理を行うことによってCOガスが発生しない程度まで低C化することが可能である。そのため、従来は、オープン注入を採用する極軟鋼連続鋳造ビレットの製造においては、転炉精錬完了後にRH真空脱ガス装置あるいはDH真空脱ガス装置等を用いて鋼の真空脱ガスを行って低C化し、更に注入ノズルが閉塞しない程度にAlで脱酸を行った後に連続鋳造を行い、連続鋳造鋳型内でAlの溶け残りが発生しない程度にAlを添加することによって製造を行っていた。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】オープン注入を採用する極軟鋼連続鋳造ビレットの製造における溶鋼段階での真空脱ガス処理の実施は、真空脱ガス処理設備の設置ないしは増強を必要とし、真空脱ガス処理費用が増大し、また真空脱ガス処理における溶鋼温度降下を補償するために転炉での吹き止め温度を上昇させる必要が生じ、製造コストが大幅に増大するという問題を有する。そのため、真空脱ガス処理を行わずにオープン注入を採用する極軟鋼連続鋳造ビレットを製造する方法の提供が必要とされていた。 【0009】本発明は、真空脱ガス処理を行わずに、注入時の注入ノズル閉塞を防止し、ビレットにおけるスカム疵の発生を防止し、鋳型内Al添加によるAlヘゲ疵の発生を防止し、鋳片でのブローホールの発生のない、オープン注入を採用する極軟鋼連続鋳造ビレットを製造する方法を提供することを目的とする。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その要旨とするところは以下の通りである。 【0011】その第1は、連続鋳造タンディッシュから連続鋳造鋳型への溶鋼注入時に浸漬ノズルを用いないオープン注入を行う極軟鋼連続鋳造ビレットの製造方法において、タンディッシュ内において鋼中に重量%で、C:0.01%〜0.08%、Si:0.001%〜0.10%、Mn:0.001%〜0.50%、Ti:0.003%〜0.008%、Ca:0.0005%〜0.0020%を含み、Al:0.005%以下であり、残部Fe及び不可避不純物からなり、更に連続鋳造鋳型内において鋼中にAlを溶鋼1トン当たり(0.08/[%Ti])グラム〜60グラム添加することを特徴とする極軟鋼連続鋳造ビレットの製造方法である。 【0012】Ti、Caは強力な脱酸材であり、タンディッシュ内においてTiとCaを上記の範囲で含有し、かつ連続鋳造鋳型内でAlを添加することにより、真空脱ガス処理を行わなくても鋳片のブローホールの発生を防ぐことができる。また、Ti添加量を上記範囲としつつCaとの共同脱酸とすることで、脱酸生成物の融点を低下させることができ、スカム疵の発生と注入ノズルの閉塞を防止できる。鋳型内Al添加量が上記範囲であれば、Al溶け残り疵は発生しない。タンディッシュ内でAlを上記範囲で含有しても共同脱酸による低融点化効果は損なわれないので、Ti及びCaを添加する前にAlを添加することによりAl予備脱酸を行い、高価なTiとCaの添加量を低減して製造コストを削減することができる。 【0013】その第2は、タンディッシュ内において鋼中に重量%で、B:0.0020%〜0.0050%を含むことを特徴とする上記第1の極軟鋼連続鋳造ビレットの製造方法である。 【0014】Bを含有することで脱酸生成物の融点は更に低下し、スカム疵の発生頻度が低下するので、鋳片の無手入れ化率を向上させることができる。 【0015】その第3は、溶鋼中にTi及びCaを添加する前にAlで予備脱酸を行う場合において、Ti及びCa添加前の鋼中の溶存酸素が150ppm〜400ppmとなるようにAlで予備脱酸を行うことを特徴とする上記第1又は第2の極軟鋼連続鋳造ビレットの製造方法である。 【0016】Al予備脱酸におけるAl添加量を限定することにより脱酸生成物中のAl2O3 含有量が低減し、脱酸生成物の融点は更に低下してスカム疵の発生頻度が低下するので、鋳片の無手入れ化率を向上させることができる。 【0017】 【発明の実施の形態】本発明において、転炉等で精錬を完了した後に取鍋内において溶鋼の脱酸と成分調整を行い、溶鋼が連続鋳造タンディッシュに導入された段階で所要の成分を含有するよう調整する。次いでタンディッシュから連続鋳造鋳型内に溶鋼を注入するに際し、浸漬ノズルを用いず、タンディッシュの注入ノズルから流出した注入流が周囲の雰囲気にさらされつつ鋳型内に注入されるオープン注入を行う。本発明は小断面ビレット連続鋳造に適用され、鋳型断面積が小さいので浸漬ノズルが適用できないためである。鋳型内では、注入の進行に従って、鋳型内の溶鋼表面に必要量のAlを添加する。 【0018】タンディッシュ内鋼中にCを重量%で0.01%〜0.08%含有する。下限を0.01%とする理由は、真空脱ガス処理を行わずに通常の精錬で0.01%未満までCを低減することは困難だからである。また、本発明は対象品種が極軟線なので、Cの上限を0.08%としている。 【0019】タンディッシュ内鋼中にSiを重量%で0.001%〜0.10%含有する。下限を0.001%とする理由は、通常の精錬で0.001%未満までSiを低減することは困難だからである。また、本発明は対象品種が極軟線なので、Siの上限を0.10%としている。 【0020】タンディッシュ内鋼中にMnを重量%で0.001%〜0.50%含有する。下限を0.001%とする理由は、通常の精錬で0.001%未満までMnを低減することは困難だからである。また、本発明は対象品種が極軟線なので、Mnの上限を0.50%としている。 【0021】本発明は、タンディッシュ内鋼中にTiとCaを含有することが大きなポイントである。Ti、Caは強力な脱酸材であり、タンディッシュ内においてTiとCaを上記の範囲で含有し、かつ連続鋳造鋳型内でAlを添加することにより、真空脱ガス処理を行わなくても鋳片のブローホールの発生を防ぐことができる。また、Ti添加量を上記範囲としつつCaとの共同脱酸とすることで、脱酸生成物の融点を低下させることができ、スカム疵の発生と注入ノズルの閉塞を防止できる。 【0022】タンディッシュ内において、Ti含有量を重量%で0.003%〜0.008%とする。下限を0.003%とする理由は、0.003%未満ではTiの脱酸力が不足し、鋳型内でのAl添加を多くすればAlヘゲ疵が発生し、鋳型内でのAl添加量を少なくすればブローホールが発生するため、正常な鋳造が行えないからである。上限を0.008%とするのは、0.008%を超えると共同脱酸におけるTiの寄与が大きくなりすぎ、脱酸生成物中のTiO2 含有量が増大して脱酸生成物の融点が上昇し、鋳片表面に取り込まれた脱酸生成物がスカム疵となるからである。 【0023】タンディッシュ内において、Ca含有量を重量%で0.0005%〜0.0020%とする。下限を0.0005%とするのは、0.0005%以上であれば脱酸生成物中にCaOが十分に含有されるとともに、CaOの存在によるSiO2 の安定化効果に起因して脱酸生成物中のSiO2 含有量も増大し、脱酸生成物の低融点化を実現できるからである。上限を0.0020%とするのは、Ca含有量が0.0020%を超えると、耐火物の溶損速度が大きくなりすぎ、連々鋳回数(同一のタンディッシュで連続して鋳造できる鋳込み回数)が制限されるからである。 【0024】タンディッシュ内においてAlを重量%で0.005%以下とするのは、0.005%を超えると共同脱酸の脱酸生成物中のAl2 O3 含有量が増大して脱酸生成物が高融点化し、鋳片表面に取り込まれた脱酸生成物がスカム疵となるとともに、Al2 O3 単独の脱酸生成物も生成し、タンディッシュからの溶鋼注入時に注入ノズルへのAl2 O3 析出による注入ノズル閉塞が発生するためである。タンディッシュ内においてAlは全く含有していなくてもよい。 【0025】転炉精錬にて脱炭をはじめとする不純物を除去した段階で、溶鋼中には500〜1200ppmのフリー酸素が溶存している。連続鋳造を行うまでの間に、取鍋内においてこの溶存酸素を脱酸除去し、かつ必要な合金成分の添加を行う。本発明の極軟鋼が含有する合金成分のうち、TiとCa、特にCaは、酸素との親和力が強い上に高価なので、フリー酸素が大量に溶存している段階でTi、Caを添加すると、これら合金元素が脱酸に費やされる量が多く、製造コストを増大させる原因となる。そこで、同じく酸素との親和力が強いAlを溶鋼中に添加し、事前に溶鋼中の溶存酸素を脱酸除去する予備脱酸を行った後にTi及びCaを添加することが望ましい。Alによる予備脱酸は、タンディッシュ内における鋼中のAlが0.005重量%以下となる範囲で行う。Al予備脱酸後の溶鋼中の溶存酸素が100ppmあるいはそれ以上となるように狙ってAl予備脱酸を行えば、タンディッシュ内における鋼中のAlを0.005重量%以下とすることができる。 【0026】必要に応じてAl予備脱酸を行った後に、まずTiを溶鋼中に添加する。Ti添加前に残存する溶鋼中の溶存酸素は、添加したTiによって酸化除去される。その後に、Ca添加を行う。Caは酸素との親和力が強い上に高価だからである。Caは、微量添加でかつ空気や酸化物に触れると酸化ロスが激しいので、取鍋内で浸漬ランスから粉末を吹き込む方法あるいは鉄被覆Caワイヤーで添加する方法が用いられる。このうち、溶鋼に浸漬したノズルからアルゴンとともに溶鋼中にCa−Siをインジェクションすることにより添加する方法が代表的である。 【0027】取鍋内において溶鋼の成分調整を行った後、取鍋の注入孔からタンディッシュ内に溶鋼を注入する。耐火物製のロングノズルを介して注入を行えば、注入流が大気と接触しないため、溶鋼の酸化を防止することができる。タンディッシュからはタンディッシュ底部の注入ノズルを通じて溶鋼を連続鋳造鋳型内に注入する。本発明においては、浸漬ノズルを使用することのできない小断面のビレット連続鋳造を対象としているため、注入ノズルからの溶鋼注入流は周辺の雰囲気にさらされつつ鋳型内に注入される。 【0028】オープン注入中に周辺雰囲気の大気中から溶鋼中に酸素が取り込まれ、溶鋼の溶存酸素が増大する。この溶存酸素は溶鋼中のTiやCaと反応して酸化物となるが、本発明のTi及びCaの含有量では十分な脱酸は困難であり、このままでは溶存酸素が残存したまま鋳片の凝固が進行し、固液界面において溶鋼中のCと溶存酸素が反応してCOガスが発生し、このCOガスが鋳片に取り込まれ、圧延後にブローホール欠陥となる。本発明においては、このブローホール欠陥の発生を防止するため、鋳型内にAlを添加し、添加したAlと溶存酸素との反応によって溶存酸素の除去を図る。 【0029】溶鋼中のTi含有量が多いとTiによる脱酸の寄与率が増えるので、鋳型内へのAl添加量は少なくてすむ。そのため、鋳型内溶鋼中へのAl添加量の下限はTi含有量の関数となり、溶鋼1トン当たり(0.08/[%Ti])グラム〜60グラムとする。通常は鋳型への注入を行っている時点にはタンディッシュ内溶鋼の実績成分は判明していないので、目標成分のTi下限を上記式にあてはめて投入Al量の下限を決定する。鋳型内溶鋼中へのAl添加量の上限は溶鋼1トン当たり60グラムとする。60グラムを超えると、鋳型内溶鋼中でのAl溶け残りが発生し、Alヘゲ疵が発生するためである。Alは鋳型内の溶鋼注湯部分に添加する。Al添加量の上限を溶鋼1トン当たり30グラムとすれば、Al添加位置が鋳型の注湯位置から外れてもAl溶け残りが発生しづらいのでより好ましい。 【0030】鋳型内溶鋼中へのAl添加方法としては、純Alワイヤーをワイヤーフィーダーにより連続的に鋳型の注湯部分に供給する方法を用いることができる。 【0031】本第2の発明においては、第1の発明に加え、タンディッシュ内において鋼中に重量%でBを0.0020%〜0.0050%含有する。Bを含有することで脱酸生成物の融点は更に低下し、スカム疵の発生頻度が低下するので、鋳片の無手入れ化率を向上させることができる。Bの下限を0.0020%とする理由は、0.0020%未満ではスカム疵低減効果が十分には改善されず、鋳片の無手入れ化を十分に達成することができないからである。Bの上限を0.0050%とするのは、0.0050%を超えて添加してもその効果が飽和するためである。 【0032】本第3の発明においては、第1又は第2の発明に加え、溶鋼中にTi及びCaを添加する前にAlで予備脱酸を行う場合において、Ti及びCa添加前の鋼中の溶存酸素が150ppm〜400ppmとなるようにAlで予備脱酸を行う。本第1及び第2の発明においてAl予備脱酸を行うに当たり、Al添加量を増大して予備脱酸後の溶存酸素を低減するほど、その後のTi及びCa添加におけるそれら添加物の酸化ロスを低減することができる。一方、Al添加量が多いほど、溶鋼中に残存する脱酸生成物中のAl2 O3 の濃度が増大して脱酸生成物の融点が上昇し、結果としてスカム疵の発生率の増大を招くことになる。本第3の発明においてTi及びCa添加前の鋼中の溶存酸素が150ppm〜400ppmとなるようにAl予備脱酸を制限した結果、脱酸生成物の融点を低くおさえてスカム疵の発生率の低下を実現し、無手入れ化率を向上させることができる。溶存酸素の下限を150ppmとする理由は、150ppm未満では脱酸生成物中のAl2 O3 濃度が高いためスカム疵低減効果が不十分で無手入れ化を十分に達成することができないからである。溶存酸素の上限を400ppmとする理由は、400ppmを超えると無手入れ化効果は飽和する一方、Ti及びCa添加におけるこれら添加物の酸化ロスの増大によってコストの上昇を招くからである。 【0033】溶鋼中の溶存酸素量の測定は、酸素濃淡電池によって行う。本発明においては、部分安定化ZrO2 固体電解質の酸素濃淡電池を用いた。標準極はMo/MoO2 とした。溶存酸素測定は、Ti添加直前に取鍋上方からプローブを挿入することによって行った。 【0034】 【実施例】転炉精錬法にて溶鋼量240トンの溶鋼を溶製し、Mn、Alは転炉出鋼中に溶鋼鍋中に添加し、Tiは出鋼後に溶鋼鍋上方より添加した。Caは、微量添加でかつ空気や酸化物に触れると酸化ロスが激しいので、本実施例ではTi添加後にCa品位40%のCa−Si合金を浸漬ランスを用いてArと共に溶鋼中に吹き込んで添加した。比較例の一部において、溶鋼の真空脱ガス処理を行って極低C化を図っている。 【0035】連続鋳造法において、鋳型サイズは125mm×125mm、鋳造速度は2.6〜3.2m/minの条件で鋳造を行った。また注入ノズルとしては、内径18mmφのZrO2 オープン注入ノズルを用いた。鋳型内溶鋼中へのAl添加方法としては、純Alワイヤーをワイヤーフィーダーにより連続的に鋳型の注湯部分に供給する方法を用いた。 【0036】表1に実施例の鋼成分、鋳型内Al添加量、製造実績を示す。合金成分の含有量は、連続鋳造タンディッシュ内から採取した試料の分析結果に基づいて決定し、Ti添加前の酸素濃度は酸素濃淡電池を用いた測定によって決定した。 【0037】 【表1】
【0038】製造結果の注湯ノズル状況において、「閉塞傾向」とは閉塞傾向のため連々鋳が行えなかったものをいい、「閉塞」とは1鍋の完鋳ができなかったものをいう。また、「溶損傾向」とは、注湯ノズルが溶損する傾向であって連々鋳ができなかったものをいう。 【0039】製造結果の鋳片のスカム疵において、「◎」はスカム疵発生のための手入れ率が5%以下のもの、「○」は該手入れ率が5〜10%のもの、「×」は該手入れ率が10%を超えるものをいう。 【0040】製造結果のブローホールについては、「○」は鋳片長さ1m当たりの検査でブローホールが見つからなかったもの、「×」は鋳片長さ1m当たりの検査でブローホールが1個以上見つかったものをいう。 【0041】表1のNo.1から14が本発明例である。No.1〜4、14は、本第1の発明例である。No.5〜9はBを含有する本発明例であり、そのうちNo.6〜8はBの範囲が本第2の発明に該当するものである。No.10〜13は、Ti添加前の酸素濃度が本第3の発明に該当するものである。いずれも鋳造結果は良好であり、特に本第2、第3の発明に該当するNo.6〜13はスカム疵の結果が良好であった。 【0042】表1のNo.15から22が比較例である。No.15はAl含有量が本発明の上限を超えており、注湯ノズルが閉塞傾向であるとともにスカム疵が発生した。No.16はTi含有量が本発明の下限未満であり、ブローホールの発生があった。No.17はTi含有量が本発明の上限を超えており、注湯ノズルが閉塞傾向であるとともにスカム疵が発生した。No.18はCa含有量が本発明の下限未満であり、注湯ノズルが閉塞傾向であるとともにスカム疵が発生した。No.19はCa含有量が本発明の上限を超えており、注湯ノズルが溶損傾向であった。No.20は取鍋処理として真空脱ガス処理を行ったものである。No.21はAl含有量が本発明の上限を超えており、またTi添加前酸素濃度も100ppm未満であり、注湯ノズル閉塞のため鋳造を途中で中断することとなった。No.22は鋳型内Al添加量が本発明の上限を超えており、Alヘゲ疵の発生が見られた。なお、No.22を除き、No.1〜21にはAlヘゲ疵の発生は見られなかった。 【0043】本実施例で製造した本発明範囲内の鋳片を更に圧延し、極軟鋼の線材として圧延を行った。いずれも良好な品質の線材を得ることができた。 【0044】 【発明の効果】オープン注入を採用する極軟鋼連続鋳造ビレットの製造において、タンディッシュ内溶鋼中にTiとCa、更に必要によりBを含有し、Al含有量を抑え、連続鋳造鋳型内でAlを添加することにより、真空脱ガス処理を行わずに、注入時の注入ノズル閉塞を防止し、製品におけるスカム疵の発生を防止し、鋳型内Al添加によるAlヘゲ疵の発生を防止し、鋳片でのブローホールの発生のない極軟鋼ビレットを製造することができた。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006655 【氏名又は名称】新日本製鐵株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年9月3日(1998.9.3) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100067541 【弁理士】 【氏名又は名称】岸田 正行 (外3名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−79456(P2000−79456A) |
| 【公開日】 |
平成12年3月21日(2000.3.21) |
| 【出願番号】 |
特願平10−249978 |
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