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【発明の名称】 連続鋳造用鋳型クランプ装置
【発明者】 【氏名】村山 元三

【氏名】瀬良 泰三

【氏名】光広 尊

【氏名】新田 貴昭

【要約】 【課題】連続鋳造機において鋳型の鋳造中に行われる鋳型短辺の幅替えのために、鋳型長辺と鋳型短辺とのクランプを解除する際、長辺と短辺との間隔を鋳型の垂直方向に一定となし、長辺と短辺との隙間から溶鋼洩れ等の事故が発生することを防止する。

【解決手段】連続鋳造機の鋳型長辺1と鋳型短辺2とをクランプする装置であって、鋳型長辺1に設けられた複数個の液圧シリンダー4と、液圧シリンダー4を駆動する液圧ポンプ5およびモータ6と、シリンダロッドの位置検出器7とが一体化されてなるハイブリッドアクチュエータを、鋳型長辺1に設置し、ハイブリッドアクチュエータによって鋳型短辺に対する押付け圧力を検知し、押付け圧力が一定になるように制御する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 連続鋳造機の鋳型長辺と鋳型短辺とをクランプするための連続鋳造用鋳型クランプ装置であって、前記クランプ装置は、前記鋳型長辺に設けられた複数個の液圧シリンダーと、鋳型長辺を鋳型短辺に押し付ける押し付け圧力を一定に制御する制御機構とからなっており、前記制御機構は、鋳型クランプを解除する際に、鋳型長辺の鋳型短辺に対する押し付け圧力一定の状態から、鋳型長辺を所定距離だけ開放する機能を有していることを特徴とする、連続鋳造用鋳型クランプ装置。
【請求項2】 前記鋳型長辺を前記鋳型短辺に押し付ける押し付け圧力の制御機構は、前記鋳型長辺に取り付けられた液圧シリンダーと、前記液圧シリンダーを駆動する電動機および液圧ポンプと、前記液圧シリンダーのシリンダロッド位置検出器とが一体化されたハイブリッドアクチュエータからなっている、請求項1に記載の鋳型クランプ装置。
【請求項3】 前記ハイブリッドアクチュエータは、電動機と、二方向吐出固定容量液圧ポンプまたは二方向吐出可変容量液圧ポンプと、片ロッド液圧シリンダーと、シリンダーロッドの位置検出器と、そして、片ロッドシリンダーのヘッド側シリンダー室とロッド側シリンダー室との容積差を補償する回路とが一体化されて構成されている、請求項2に記載の鋳型クランプ装置。
【請求項4】 前記ハイブリッドアクチュエータは、電動機と、二方向吐出固定容量液圧ポンプまたは二方向吐出可変容量液圧ポンプと、片ロッド液圧シリンダーと、シリンダーロッドの位置検出器と、片ロッドシリンダーのヘッド側シリンダー室とロッド側シリンダー室との容積差を補償する回路とが一体化されて構成されている、請求項2に記載の鋳型クランプ装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、連続鋳造機における鋳型のクランプ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】スラブ等の鋳片を連続的に鋳造する連続鋳造機の鋳型は、図1に示すように、一対の長辺1と、一対の長辺1間に挟まれた一対の短辺2とからなっており、一対の短辺2間の間隔を変えることによって鋳型の幅を変え、種々の寸法の鋳片を連続鋳造するようになっている。
【0003】鋳型の長辺1および短辺2には各々液圧シリンダーが取り付けられ、長辺1に取り付けられた液圧シリンダーによって長辺1は短辺2にクランプされている。従って、鋳型の幅替えを行う際には、長辺1と短辺2とのクランプ状態を解除し、長辺1と短辺2との間隔を0.3mm程度開いて、短辺2をこれに取り付けられた液圧シリンダーによって鋳型の幅方向に所定の幅替え位置まで移動した上、長辺1を短辺2にクランプしていた。このように、従来鋳型の幅替えに際しては、鋳型長辺1に取り付けられた液圧シリンダーによって、長辺1と短辺2とのクランプを開閉するようにしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、鋳型の長辺1および短辺2には、熱膨張によって変形が生じているので、鋳型の垂直方向における長辺と短辺との間隔は一定ではなくなる。その結果、クランプを解除したときに鋳型内の溶鋼が長辺と短辺との隙間に流入して、溶鋼もれ等の重大事故が発生する危険性が高かった。
【0005】従って、この発明の目的は、上述した問題を解決し、連続鋳造機において鋳片の鋳造中に行われる鋳型短辺の幅替えのために、鋳型長辺と鋳型短辺とのクランプ状態を解除する際、長辺と短辺との間隔を鋳型の垂直方向に一定となし、長辺と短辺との隙間からの溶鋼洩れ等の重大事故の発生を防止し得る連続鋳造用鋳型長辺駆動装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明は、連続鋳造機の鋳型長辺と鋳型短辺とをクランプするための連続鋳造用鋳型クランプ装置であって、前記クランプ装置は、前記鋳型長辺に設けられた複数個の液圧シリンダーと、鋳型長辺を鋳型短辺に押し付ける押し付け圧力を一定に制御する制御機構とからなっており、前記制御機構は、鋳型クランプを解除する際に、鋳型長辺の鋳型短辺に対する押し付け圧力一定の状態から、鋳型長辺を所定距離だけ開放する機能を有していることに特徴を有するものである。
【0007】請求項2に記載の発明は、前記鋳型長辺を鋳型短辺に押し付ける押し付け圧力の制御機構が、前記鋳型長辺に取り付けられた液圧シリンダーと、前記液圧シリンダーを駆動する電動機および液圧ポンプと、前記液圧シリンダーのシリンダロッド位置検出器とが一体化されたハイブリッドアクチュエータからなっていることに特徴を有するものである。
【0008】請求項3に記載の発明は、前記ハイブリッドアクチュエータが、電動機と、二方向吐出固定容量液圧ポンプまたは二方向吐出可変容量液圧ポンプと、片ロッド液圧シリンダーと、シリンダーロッドの位置検出器と、そして、片ロッドシリンダーのヘッド側シリンダー室とロッド側シリンダー室との容積差を補償する回路とが一体化されて構成されていることに特徴を有するものである。
【0009】請求項4に記載の発明は、前記ハイブリッドアクチュエータが、電動機と、二方向吐出固定容量液圧ポンプまたは二方向吐出可変容量液圧ポンプと、片ロッド液圧シリンダーと、シリンダーロッドの位置検出器と、片ロッドシリンダーのヘッド側シリンダー室とロッド側シリンダー室との容積差を補償する回路とが一体化されて構成されていることに特徴を有するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】次に、この発明の装置を図面を参照しながら説明する。図1は、この発明の装置の一実施態様を示す説明図である。図面に示すように、鋳型Aの長辺1には、ハイブリッドアクチュエータを構成する液圧シリンダー4が、長辺1の長さ方向両側に且つ長辺1の高さ方向に各々2本合計4本取り付けられており、液圧シリンダー4を駆動させることによって、鋳型長辺1と鋳型短辺2とはクランプされる。
【0011】ハイブリッドアクチュエータは、上述した液圧シリンダー4と、液圧シリンダー4を駆動するための液圧ポンプ5およびモータ6と、ハイブリッドアクチュエータ制御ユニット9とからなっている。この例においては、液圧シリンダー4は両ロッド方式である。
【0012】液圧シリンダー4には、各々そのシリンダーロッドの位置を検出するためのシリンダーロッド位置検出器7が取り付けられている。また、液圧シリンダー4を駆動するモータ6には、その回転数、回転方向、電流値等を検出するためのモーター回転状態検出器8が取り付けられている。
【0013】鋳型短辺2に対する鋳型長辺1の押し付け力は、鋳型短辺2によって受ける反力として、液圧シリンダー4を介し、ハイブリッドアクチュエータ制御ユニット9によって、連続的に且つ確実に検出することができる。ハイブリッドアクチュエータ制御ユニット9には、クランプを解除する際に、鋳型短辺2に対する押し付け圧力が一定に制御されている状態から鋳型長辺1を開放する距離を設定する鋳型開放距離設定器10および鋳型長辺1を鋳型短辺2に押し付ける鋳型押付け力設定器11からの信号が入力され、鋳型開放距離設定器10および鋳型押付け力設定器11には、上位計算機12からの信号が入力される。
【0014】上述したハイブリッドアクチュエータは、図1には1つの液圧シリンダー4に対してのみ図示されており、他の液圧シリンダー4については図示を省略している。なお、ハイブリッドアクチュエータの個数は、鋳型の特性に応じて決定される。例えば、1つのハイブリッドアクチュエータでリンク機構を使用することにより鋳型長辺1の複数箇所を押し付けてもよい。
【0015】鋳型長辺1を鋳型短辺2に押し付ける押し付け力Fは、下記(1)式によって決定される。
F=h2 ×ρ/(2×n)×l・・・・・(1)
但し、F:押し付け力h:長辺の高さρ:7.3kg/cm3l:長辺の長さn:ハイブリッドアクチュエータを構成する液圧シリンダーの本数鋳型Aをクランプする際には、長辺1を短辺2に押し付け、ハイブリッドアクチュエータによってその押し付け力Fが(1)式で求められる状態に維持する。
【0016】クランプを解除する際には、鋳型短辺2に対する押し付け圧力が一定に制御されている状態から、予め定められた所定距離だけ鋳型長辺1を開放する。長辺1を短辺2から開放する距離は、鋳型の材料である銅の膨張係数等を考慮して決定されるが、通常のスラブ鋳造においては、0.3mm程度の開放量が一般的である。
【0017】このようなハイブリッドアクチュエータによる鋳型長辺1の押し付け力制御によって、鋳型の垂直方向における長辺1と短辺2との間隔が一定でなくても、クランプを解除したときに鋳型内の溶鋼が長辺と短辺との隙間に流入して溶鋼もれ等の事故の発生することが防止される。
【0018】図2は、シリンダーのロッド側とヘッド側との油量差を吸収する手段を、シリンダーと一体化した態様を示す図である。前述した例では、両ロッド方式のシリンダーが使用されているが、片ロッド方式のシリンダーを使用してもよく、その場合には、図2に示すように、片ロッド方式のシリンダー26のロッド側とヘッド側の油量差を吸収する手段をシリンダーと一体化すれば同様の仕様を得ることができる。
【0019】図2において、22はポンプ、21はポンプ22を駆動するモータ、23はパイロットチェック弁、24はチェック弁、25はタンクである。なお、上記パイロットチェック弁23およびチェック弁24の代わりに、シャトル弁またはリリーフ弁を使用しても、図2と同様に油量差を吸収する手段を得ることができる。
【0020】図3は、二方向吐出可変容量液圧ポンプを使用し、電動機の回転方向を一定にしたままでポンプの圧油の吐出方向と吐出量および圧力を制御する態様を示す図である。図3に示すように、二方向吐出可変容量液圧ポンプ28を使用し、電動機27の回転方向を一定にしたままでポンプの圧油の吐出方向と吐出量および圧力を制御することにより、片ロッド方式のシリンダー32のロッドの運動量(押し、引き、速度、推力)をコントロールすることも可能である。図3には、片ロッド方式のシリンダー32のヘッド側とロッド側シリンダの容積差を吸収するための手段として、シャトル弁29を装入した例が示されている。
【0021】
【発明の効果】以上述べたように、この発明によれば、連続鋳造機において鋳片の鋳造中に行われる鋳型短辺の幅替えのために、鋳型長辺と鋳型短辺とのクランプ状態を解除する際、長辺と短辺との間隔を鋳型の垂直方向に一定となし、長辺と短辺との隙間からの溶鋼洩れ等の重大事故の発生を防止することができる、工業上有用な効果がもたらされる。
【出願人】 【識別番号】000004123
【氏名又は名称】日本鋼管株式会社
【識別番号】598119706
【氏名又は名称】株式会社 プリメテック
【出願日】 平成10年9月2日(1998.9.2)
【代理人】 【識別番号】100083839
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 泰男
【公開番号】 特開2000−79446(P2000−79446A)
【公開日】 平成12年3月21日(2000.3.21)
【出願番号】 特願平10−248103