| 【発明の名称】 |
メタル軸受およびその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】鈴木 譲
【氏名】原田 尚之
【氏名】大屋敷 剛敏
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| 【要約】 |
【課題】低振動・低騒音・高回転精度で滑らかな動きをする制御性の良い高品質の軸受を、安定して短時間でしかも低価格で、提供出来るようにすること。
【解決手段】メタル軸受10の内径より若干小さな外径寸法としたマンドレル12の外径面に所望形状の溝25を設け、それをメタル軸受10の内径に挿入し、メタル軸受10の外径より若干小さくした内径を持つ絞り用治具又はハウジング7にメタル軸受10を挿入してメタル軸受10の外径を絞り込む事により、メタルを塑性変形させてメタル軸受10の内径面に所望の溝19を得る。ここで各部品の寸法関系は、軸受の外径をD、軸受の内径をd、絞り用治具の内径並びにハウジング7の内径をA、軸受の内径に挿入するマンドレル12の径をBとした時、夫々の関系をD>A,d>Bとして、しめしろ比率(D−A)/D=0.005〜0.035,(d−B)/d≦0.005の範囲に設定する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 中心にメタル軸受を持つ回転電動機で、回転軸と微少空間を持ち対向するメタル軸受の内径面との間に介在する潤滑油が、軸の回転に伴って周方向に発生する流れを、径方向の流れに変換させ、回転軸の剛性向上を図った動圧軸受において、動圧発生用溝を該メタル軸受の内径面に形成するため、所望の溝形状を外形に設けたマンドレルを該メタル軸受の内径に挿入し、該メタル軸受の外径を絞り、該メタル軸受の内径面に凸状の前記動圧発生用溝を形成したことを特徴とするメタル軸受の溝形成方法。 【請求項2】 軸受の溝形成加工において、軸受の外径をD、軸受の内径をd、絞り用治具の内径をA、軸受の内径に挿入するマンドレルの径をBとしたとき、夫々の関系をD>A,d>Bとして、(D−A)/D=0.005〜0.035,(d−B)/d≦0.005に設定したことを特徴とする第1項に記載のメタル軸受の溝形成方法。 【請求項3】 軸受の外径をD、軸受を保持するハウジング内径をCとしたとき、夫々の関系をC<Dとして、(D−C)/D=0.005〜0.035の範囲に設定しメタル軸受の内径には該マンドレルを挿入して、メタル軸受のハウジング挿入と同時に絞り加工を行ない、メタル軸受の内径面に前記動圧発生用溝を設けたことを特徴とする第1項に記載のメタル軸受の溝形成方法。 【請求項4】 メタル軸受の内径に設けた凸部の高さを0.001〜0.005mmの範囲としたことを特徴とする第1項に記載のメタル軸受の溝形成方法。 【請求項5】 中心にメタル軸受を持つ回転電動機で、回転軸と微少空間を持ち対向するメタル軸受の内径面との間に介在する潤滑油が、軸の回転に伴って周方向に発生する流れを、径方向の流れに変換させ、回転軸の剛性向上を図った動圧軸受において、動圧発生用溝を該メタル軸受の内径面に形成するため、所望の溝形状を外形に設けたマンドレルを該メタル軸受の内径に挿入し、該メタル軸受の外径を絞り、該メタルの内径面に凹状の前記動圧発生用溝を形成したことを特徴とするメタル軸受の溝形成方法。 【請求項6】 前記軸受の内径面加工に用いる前記マンドレルを、径方向には固定しないでフリーとして、軸方向のみの固定としたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のメタル軸受の溝形成方法。 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法により形成されたことを特徴とするメタル軸受。 【請求項8】 該メタル軸受を2個用いるか2個を一体化し、前記動圧発生用溝を2段以上とする軸受において、夫々の溝を持つ軸受内径で0.01mm以上の違いを持たせたことを特徴とする第7項に記載のメタル軸受。 【請求項9】 前記軸受の材質を焼結合金としたことを特徴とする第7項に記載のメタル軸受。 【請求項10】 前記軸受の内径面に構成する動圧発生用溝形状を1段乃至複数段としたことを特徴とする第7項に記載のメタル軸受。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、高速回転型用モータのメタル軸受およびその製造方法に関し、特に軸受の内径面に構成する各種の軸受特性改良のための溝の形成方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】近年、OA・VAなどのデジタルディスクを媒体とした音響映像装置や、コンピュータメモリ装置のディスク駆動に用いられる高速回転型用モータの軸受として要求される性能として、低振動,高剛性,低摩擦で長寿命、の要求を低価格で可能にするものが求められてきた。そのため、中心にメタル軸受を持つモータで回転軸と微少空間を持ち、対向するメタル軸受の内径面との間に介在する潤滑油が、軸の回転に伴って周方向に発生する流れを、径方向の流れに変換させ、回転軸の剛性向上を図った軸受、所謂動圧軸受が使用されている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の動圧軸受の製法は、軸やメタル軸受のどちらか片方にエッチングや切削加工により溝を構成するため、加工が複雑になり高価なものとなり、軸受性能は良くても低価格なモータには使用出来なかった。 【0004】本発明は、このような問題に鑑みなされたもので、低振動・低騒音・高回転精度で滑らかな動きをする制御性の良い高品質の軸受を、安定して短時間でしかも低価格で、提供することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本発明のメタル軸受の溝形成方法は、中心にメタル軸受を持つ回転電動機で、回転軸と微少空間を持ち対向するメタル軸受の内径面との間に介在する潤滑油が、軸の回転に伴って周方向に発生する流れを、径方向の流れに変換させ、回転軸の剛性向上を図った動圧軸受において、動圧発生用溝を該メタル軸受の内径面に形成するため、所望の溝形状を外形に設けたマンドレルを該メタル軸受の内径に挿入し、該メタル軸受の外径を絞り、該メタルの内径面に凸状または凹状の前記動圧発生用溝を形成したことを特徴とする。 【0006】また、本発明の方法は軸受の溝形成加工において、軸受の外径をD、軸受の内径をd、絞り用治具の内径をA、軸受の内径に挿入するマンドレルの径をBとしたとき、夫々の関系をD>A,d>Bとして、(D−A)/D=0.005〜0.035,(d−B)/d≦0.005に設定したことを特徴とする。 【0007】また、本発明の方法は軸受の外径をD、軸受を保持するハウジング内径をCとしたとき、夫々の関系をC<Dとして、(D−C)/D=0.005〜0.035の範囲に設定しメタル軸受の内径には該マンドレルを挿入して、メタル軸受のハウジング挿入と同時に絞り加工を行ない、メタル軸受の内径面に前記動圧発生用溝を設けた事を特徴とする。 【0008】また、本発明の方法はメタル軸受の内径に設けた凸部の高さを0.001〜0.005mmの範囲としたことを特徴とする。 【0009】また、本発明の方法は前記軸受の内径面加工に用いる前記マンドレルを、径方向には固定しないでフリーとし、軸方向のみの固定としたことを特徴とする。 【0010】また、本発明は上記方法により形成されたメタル軸受であり、該メタル軸受を2個用いるか2個を一体化し、前記動圧発生用溝を2段以上とする軸受において、夫々の溝を持つ軸受内径に0.01mm以上の違いを持たせたことを特徴とし、また前記軸受の材質を焼結合金としたことを特徴とし、また前記軸受の内径面に構成する動圧発生用溝形状を1段乃至複数段としたことを特徴とする。 【0011】 【発明の実施の形態】本発明はメタル軸受の内径より若干小さな外径寸法としたマンドレルの外径面に所望形状(へリングボーン状、縦状、スパイラル状等)の溝を設け、それをメタル軸受の内径に挿入し、メタル軸受の外径より若干小さくした内径を持つ絞り用治具又はハウジングにメタル軸受を挿入してメタル軸受の外径を絞り込む事により、メタルを塑性変形させてメタル軸受の内径面に所望の溝を得る。ここで各部品の寸法関系は、軸受の外径をD、軸受の内径をd、絞り用治具の内径並びにハウジングの内径をA、軸受の内径に挿入するマンドレルの径をBとした時、夫々の関系をD>A,d>Bとして、(D−A)/D=0.005〜0.035,(d−B)/d≦0.005の範囲に設定する。以上の方法により軸受の高性化の為の溝が簡単に安定して形成する事が出来、結果として高性能な軸受を安価に提供する事が出来ることとなる。 【0012】 【実施例】以下、本発明の実施例を図を用いて説明する。 【0013】図1は本発明に係わるCD−ROM用アウターロータ型ブラシレスDCモータの断面図である。 【0014】図中1はモータのベースを兼ねた回路板を示す。2は軟磁性鋼板を積層して構成した外周に突極を有するステータヨークを示す。3はステータヨーク2にマグネットワイヤーを巻回して構成した駆動コイルを示し、図示していないが周方向で複数個が存在する。23はステータヨーク2の突極と空隙をもって対向するロータ磁石を示し、ロータ磁石23はカップ状のロータヨーク22に固定されている。又、ロータヨーク22のカップ面には光ディスクを受けるためのクランプ用吸着マグネット21を持つターンテーブル4が固定され、その中心には回転中心となるシャフト5が配されている。10は内径面に動圧発生用のへリングボーン状の溝を持つメタル軸受を示し、6は2つのメタル軸受10の間隔を決めると同時に潤滑油を保持するカラーを示す。7はメタル軸受10を保持するハウジングを示す。8はターンテーブルの抜けを防止するワッシャーを示し、9はターンテーブルを軸方向で保持するための樹脂板を示す。 【0015】図2はメタル軸受の軸方向断面図であり、(a)、(b)、(c)はそれぞれ変形例を示す。図2(a)は図1に使用されるメタル軸受10を示し、図2(b)はメタル軸受の変形例で図1で使用したメタル軸受10を2個一体化し1つにまとめた物であり、溝の形成は、マンドレル12がメタル10の上下から入り、メタル外径を絞り加工した後夫々出たところに戻る。このように一度にメタル10の溝形成を行なう為、同軸度が高精度に維持出来軸受の安定化に繋がる。 【0016】図2(c)はメタル軸受10の溝形成後マンドレル12の引抜きで、形成した溝を傷つける事が無いように、軸径を長さ方向で違えて、溝形成をマンドレル12の一回の挿入、絞り加工で行なえるようにしたものである。そのため、マンドレル12の出し入れが一方向からだけで行なえることとなり、絞り装置の簡素化が図れ、精度の維持が容易となり、メタル軸受10の同軸度が更に向上する結果となる。又、同時に作業効率も向上する。 【0017】図3は円筒型焼結合金でできたメタル軸受10の内周面に溝を形成させるためのマンドレル12であり、その外周面に各種形状の溝25を備えている。図3(a)はへリングボーン状マンドレル、図3(b)は2段式マンドレル、図3(c)は縦状マンドレル、図3(d)はスパイラル状マンドレルを示す。 【0018】図4はメタル軸受10の内径面に溝を形成するための加工概念図である。左半分にメタル10のセット状態を示し、右半分にメタル軸受10絞り加工状態を示す。 【0019】ここで、メタル軸受10への溝形成方法を凸形状のへリングボーン溝を例にし説明する。メタル軸受10をマンドレル12を中心に持つ軸受ガイド16にセットし、案内用のテーパ部を持った絞り用リング17に、初めにマンドレル12を挿入し、次に軸受ガイド16を挿入して行くと、メタル軸受10の外径が絞られて内径面がマンドレル12と接すると同時に溝と対向する部分は溝に入り込み動圧発生用の凸形状のへリングボーン溝19を形成する。 【0020】次に溝の形成完了後はメタル軸受10がノックアウト用ガイド15により絞り用リング17から押し出される。するとメタル軸受の外径からの絞り圧が開放され、内径も若干広がりマンドレル12がスムースに抜ける。 【0021】ここで、マンドレル12に設ける溝25は、放電加工、切削加工並びにエッチング等の加工方法で加工しその深さは、溝の仕上げ寸法より大きければ深すぎても問題はない。これは、メタル軸受10への溝19の形成方法が体積移動による方法のため、各部品の設定条件がメタル軸受10の外径をD、内径をd、絞り用リング17の内径をA、メタル軸受10の内径に挿入するマンドレル12の外径をBとした時、夫々の関系をD>A,d>Bとして、(D−A)/D=0.005〜0.035,(d−B)/d≦0.005の範囲に設定されていればよい。又、絞りリング17をハウジング7に置換えれば、軸受の組立と同時に動圧発生用溝19を構成でき、作業性を向上できる。 【0022】こうする事により形成された溝の高さは、0.001〜0.005mmの範囲に入り、動圧軸受としての機能を発揮する。尚、メタル軸受を2個用いるか、2個を一体化して、2段(2列)以上の溝を持つ場合には、夫々の溝を持つ軸受の径を溝の高さ以上(0.010mm以上)違えておけば、一方向からの作業に出来同軸度と作業性が更に向上する。 【0023】図5はメタル軸受10の内径面に溝を形成した後の斜視図で、内周面にへリングボーン状の凸状の動圧発生用溝19が見える。 【0024】図6は、メタル軸受10の溝深さとモータの電流値の関係を示すグラフで、溝深さ1μm〜5μmの範囲が電流が少なくなって、効率が良いことが解る。 【0025】図7は、外周のしめしろ即ち、(d−B)/d≦0.005の範囲としてしめしろ比率即ち(D−A)/Dの値とメタル軸受10の溝深さとの関係を示すクラフである。 【0026】図6で、電流値の少なくなる溝深さ1μm〜5μmの範囲がしめしろ比率即ち(D−A)/D=0.005〜0.035の範囲に入る事が解る。このようにすれば簡単に効率の良い軸受を構成することが可能となる。 【0027】 【発明の効果】本発明のメタル軸受の溝形成方法は、動圧発生用溝をメタル軸受の内径面に形成するため、所望の溝形状を外形に設けたマンドレルを該メタル軸受の内径に挿入し、該メタル軸受の外径を絞り、該メタルの内径面に凸状または凹状の前記動圧発生用溝を形成するようにしたので、次のような極めて優れた効果が得られる。 【0028】従来の動圧流体軸受の製造方法では、エッチングや切削加工により溝を円筒型焼結合金へ直接成形する為に高価な製造設備が必要であり、又軸受を製造する工程数が多く低価格な軸受が提供できなかったが、本発明によれば、短時間でしかも低価格、低振動・低騒音・高回転精度で滑らかな動きのをする制御性の良い、高品質の軸受を提供出来るようになった。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000114215 【氏名又は名称】ミネベア株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年9月29日(1998.9.29) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100077827 【弁理士】 【氏名又は名称】鈴木 弘男
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| 【公開番号】 |
特開2000−102833(P2000−102833A) |
| 【公開日】 |
平成12年4月11日(2000.4.11) |
| 【出願番号】 |
特願平10−275709 |
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