トップ :: B 処理操作 運輸 :: B21 本質的には材料の除去が行なわれない機械的金属加工;金属の打抜き




【発明の名称】 締結部材の分解方法及び分解工具
【発明者】 【氏名】小林 俊夫

【要約】 【課題】母材に締結された締結部材を、母材を損傷することなく容易且つ迅速に母材から取り外すことができるできる締結部材の分解方法、及び、この分解方法の実施に使用する締結部材の分解工具を提供する。

【解決手段】固定ユニット29によって、ソリッドリベット18のフランジ部20に係合し、ソリッドリベット18に対し胴部軸心と中心線とが一致する固定位置を取り、分離ユニット41によって、ソリッドリベット18の胴部19とフランジ部20との境界領域に沿って、ソリッドリベット18の締結部を分離し、胴部19からフランジ部20を分離させ、母材1、2に締結されたソリッドリベット18を母材1、2から取り外し可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】母材の締結穴に挿通される胴部と、該締結穴の周縁部に圧接される該胴部と実質的に一体のフランジ部とによって、該母材に締結された締結部材を、該母材から取り外す締結部材の分解方法であって、固定位置取り手段によって、上記締結部材のフランジ部に係合し、上記締結部材に対し該締結部材の胴部軸心と中心線とが一致する固定位置を取り、分離手段によって、上記締結部材の胴部とフランジ部との境界領域に沿って、該締結部材の締結部を分離し、該胴部から該フランジ部を分離させ、該母材に締結された該締結部材を該母材から取り外し可能にすることを特徴とする分解方法。
【請求項2】母材の締結穴に挿通される胴部と、該締結穴の周縁部に圧接される該胴部と実質的に一体のフランジ部とによって、該母材に締結された締結部材を、該母材から取り外す締結部材の分解方法であって、固定位置取り手段によって、上記締結部材のフランジ部に、端部がフランジ部と母材との間に入り込んで係合し、上記締結部材に対し固定位置を取り、分離手段によって、上記締結部材の胴部とフランジ部との境界領域に沿って、該締結部材の締結部を分離し、該胴部から該フランジ部を分離させ、該母材に締結された該締結部材を該母材から取り外し可能にすることを特徴とする分解方法。
【請求項3】母材の締結穴に挿通される胴部と、該締結穴の周縁部に圧接される該胴部と実質的に一体のフランジ部とによって、該母材に締結された締結部材を、該母材から取り外す締結部材の分解工具であって、上記締結部材のフランジ部に係合し、上記締結部材に対し該締結部材の胴部軸心と中心線とが一致する固定位置を取る固定位置取り手段と、上記締結部材の胴部とフランジ部との境界領域に沿って、該締結部材の締結部を分離し、該胴部から該フランジ部を分離させる分離手段とを有し、該母材に締結された該締結部材を該母材から取り外し可能にすることを特徴とする分解工具。
【請求項4】母材の締結穴に挿通される胴部と、該締結穴の周縁部に圧接される該胴部と実質的に一体のフランジ部とによって、該母材に締結された締結部材を、該母材から取り外す締結部材の分解工具であって、上記締結部材のフランジ部に、端部がフランジ部と母材との間に入り込んで係合し、上記締結部材に対し固定位置を取る固定位置取り手段と、上記締結部材の胴部とフランジ部との境界領域に沿って、該締結部材の締結部を分離し、該胴部から該フランジ部を分離させる分離手段とを有し、該母材に締結された該締結部材を該母材から取り外し可能にすることを特徴とする分解工具。
【請求項5】請求項3または4の分解工具において、上記分離手段は、上記母材の締結穴の内径よりも小径の刃先であって、かつ、該締結穴の内周面に略平行な上記締結部材の胴部とフランジ部との境界領域に沿った略円筒形状の刃先部で形成された切断刃を有し、該切断刃によって、上記締結部材の締結部を切断することを特徴とする分解工具。
【請求項6】請求項3または4の分解工具において、上記分離手段は、回転刃を有し、該回転刃によって、上記締結部材の締結部を切削することを特徴とする分解工具。
【請求項7】請求項3または4の分解工具において、上記分離手段は、上記母材の締結穴の内径よりも小径の刃先であって、かつ、該締結穴の内周面に略平行な上記締結部材の胴部とフランジ部との境界領域に沿った略円筒形状の刃先部で形成されたパンチ部材を有し、該パンチ部材によって、上記締結部材の胴部とフランジ部との胴部軸方向の境界領域に沿って、該締結部材の締結部をせん断することを特徴とする分解工具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、締結部材の分解方法及び分解工具に関し、詳しくは、機械的締結によって母材に締結された締結部材の締結部を分解して、該母材から該締結部材を取り外す締結部材の分解方法及び分解工具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鋼板やプラスチックなどの母材同士、あるいは、該母材に他の部材を接合する接合技術には、溶接、接着、機械的締結などがある。上記溶接は、大がかりで高価な設備や、安全性を確保できるスペースが必要となる不具合がある。上記接着は、比較的安価で、且つ、僅かなスペースで作業を行える利点があるが、接着剤が固化して接合が完了するまで、母材の姿勢を固定しておく必要があるため、接合に時間がかかる不具合がある。また、これらの溶接や接着では、母材の接合時に接合不良が発生して接合し直したり、母材をリサイクル使用したりする場合に、母材を損傷せずに接合部を分解することが不可能となる。
【0003】一方、上記機械的締結には、■ネジ締結、■ピン締結、■リベット締結、などがあり、種々の分野で多く用いられている。周知のように、上記ネジ締結は、スパナやドライバーを用いて、図7(a)に示すようなボルト3とナット4、または、図7(b)に示すようなタッピングビス5などの締結部材を、母材1、2の締結穴1a、2aに螺合させることによって、母材1、2を機械的に接合する締結方法である。
【0004】また、上記ピン締結は、カシメマシンやカシメ工具を用いて、図8(a)に示すように、締結部材としてのピン6を、母材1、2の締結穴1a、2aにカシメ付けることによって、母材1、2を機械的に接合する締結方法である。なお、ここでは、図8(b)に示すように、母材1に軸7、例えばスピンカシメをカシメ付ける場合もピン締結とし、該軸7を締結部材と見なすこととする。
【0005】上記リベット締結は、リベッティングマシンやリベッティング工具を用いて、図9(a)に示すようなソリッドリベット8、図9(b)に示すようなチューブラーリベット9、図9(c)に示すようなブラインドリベット10などの締結部材を、図9(d)、(e)、(f)に示すように、母材1、2の締結穴1a、2aに締結することによって、母材1、2を機械的に接合する締結方法である。
【0006】上記ブラインドリベット10は、図9(c)に示すように、リベットボディ11と、該リベットボディ11の軸穴11aに挿通されたマンドレル(芯軸)12とで構成されており、例えば、図10(a)、(b)、(c)、(d)に示すような手順で、上記母材1、2の締結穴1a、2aに締結される。すなわち、このブラインドリベット10は、先ず、図10(a)に示すように、母材1、2の締結穴1a、1bに、リベットボディ11の胴部11bを差し込む。次いで、図10(b)に示すように、このブラインドリベット10のマンドレル12にリベッティング工具13をセットする。そして、図10(c)に示すように、リベットボディ11のフランジ部11cに、リベティング工具13のノーズピース13aを密着させた状態で、リベティング工具13のトリガーを引くと、該リベッティング工具13のジョー13bによって、ブラインドリベット10のマンドレル12が掴まれて引き上げられる。これにより、リベットボディ11の胴部11bの母材2から突出している部分が、マンドレル12のマンドレルヘッド12aによって絞り加工のように塑性変形されて、母材2にカシメ付けられる。この状態で、上記ジョー13bによって上記マンドレル12が更に引き上げられると、図10(d)に示すように、該マンドレル12の破断部12b(図9(c)参照)で、該マンドレル12が破断されて、ブラインドリベット10による母材1、2の締結が完了する。このブラインドリベット10は、図10(a)、(b)、(c)、(d)に明らかなように、その胴部11b側(母材1、2の背面側)を支持せずに母材1、2への締結作業ができるので、例えば、母材1、2の背面側に手が入らないような箇所の締結に適している。
【0007】なお、その他の締結方法として、図11に示すように、一方の母材1に予め一体的に形成された締結部1bを、他方の母材2の締結穴2aにカシメ付けて、母材1、2を機械的に接合するバーリングカシメと呼ばれている締結方法が知られている。ここでは、このバーリングカシメにより締結された母材1の締結部1bも、上記締結部材と見なすこととする。
【0008】このような機械的締結は、前述した溶接や接着などの接合技術に比較して、僅かなスペースで、母材の再締結やリサイクルを安価且つ容易に行える利点がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前述のピン締結や、リベット締結、及び、バーリングカシメ等の機械的締結に用いられる締結部材は、その胴部が塑性変形されることによって母材に締結されているため、該締結部材の母材への締結時に締結不良が発生して締結し直したり、母材をリサイクル使用したりする場合には、該締結部材を母材から取り外す際に、該締結部材の締結部を破壊しなければならず、その分解作業に手間を要したり、分解時に母材を損傷したりする不具合があった。
【0010】すなわち、この種の締結部材を分解する一般的な方法としては、例えば、図12に示すように、ドリル(不図示)により回転するキリ14によって、該締結部材(ここでは、上記ブラインドリベット10)の締結部(上記フランジ部11c)を切削し、該締結部材の締結部を胴部11bから取り除いた後、この切削部側から該胴部11bを叩いて、母材1、2から締結部材を抜き取るようにしているが、このような従来の分解方法では、ドリルやキリ14の準備や選定、及び、切削作業等の段取りに手間がかかる。また、この従来の分解方法では、図13に示すように、締結部(フランジ部11c)の切削時に、キリ14の先端部が母材1に達して、該母材1の締結穴1aが切削されてしまうことがある。このように、該母材1の締結穴1aが切削されてしまった場合には、該母材1をリサイクルできなくなったり、該母材1に締結部材(ブラインドリベット10)を再締結しても十分な締結力を確保できなくなったりする不具合があった。
【0011】また、このようなドリルを用いた締結部材の分解方法では、締結部材の締結部の切削時に、キリ14の回転によって該締結部材が連れ廻りして、母材に擦り傷が付いたり、締結部の切削ができなくなったりすることもあった。ここで、上記締結部材の連れ廻りによって損傷した母材が、製品の外装面を構成しているような場合には、該製品の商品価値が著しく低下して、製品自体が不良品となる虞が高い。
【0012】また、このように、締結部材の締結部の切削時に、キリ14の回転によって該締結部材が連れ廻りするような場合には、通常、図12に示すように、該締結部材のフランジ部11cや胴部11bを、プライヤーやペンチなどの把持工具15で掴んで、締結部材の連れ廻りを阻止する方法が採られるが、この作業を単独で行うことは難しく、且つ、危険が伴うため、複数の作業員を必要とする。
【0013】特に、上記締結部材のフランジ部11cの形状が皿状に形成されていて、該フランジ部11cを把持工具15で掴むことが不可能な場合(図3参照)や、該締結部材が、その胴部11b側に手が入らないような箇所に締結されている場合には、該締結部の胴部11bを把持工具15で掴んで、該締結部材の連れ廻りを阻止することが難しいため、上述のようなドリルを用いた締結部材の切削作業は極めて難しい。
【0014】なお、図7(a)、(b)に示したようなネジ締結の場合には、母材1、2から締結部材としてのボルト・ナット3、4やタッピングビス5を比較的容易に取り外せるケースが多いが、この場合においても、例えば、ボルト・ナット3、4やタッピングビス5の螺合部が錆び付いて固着していたり、ネジ山が破損し、ボルト・ナット3、4やタッピングビス5が母材1、2に対して空回りしたり、締結工具(スパナやドライバー)に対する係合部が損傷していたりする場合には、該ボルト・ナット3、4やタッピングビス5の取り外しに多大な困難が伴う。
【0015】本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、母材に締結された締結部材を、母材を損傷することなく容易且つ迅速に母材から取り外すことができるできる締結部材の分解方法、及び、この分解方法の実施に使用する締結部材の分解工具を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、請求項1の発明は、母材の締結穴に挿通される胴部と、該締結穴の周縁部に圧接される該胴部と実質的に一体のフランジ部とによって、該母材に締結された締結部材を、該母材から取り外す締結部材の分解方法であって、固定位置取り手段によって、上記締結部材のフランジ部に係合し、上記締結部材に対し該締結部材の胴部軸心と中心線とが一致する固定位置を取り、分離手段によって、上記締結部材の胴部とフランジ部との境界領域に沿って、該締結部材の締結部を分離し、該胴部から該フランジ部を分離させ、該母材に締結された該締結部材を該母材から取り外し可能にすることを特徴とするものである。
【0017】請求項2の発明は、母材の締結穴に挿通される胴部と、該締結穴の周縁部に圧接される該胴部と実質的に一体のフランジ部とによって、該母材に締結された締結部材を、該母材から取り外す締結部材の分解方法であって、固定位置取り手段によって、上記締結部材のフランジ部に、端部がフランジ部と母材との間に入り込んで係合し、上記締結部材に対し固定位置を取り、分離手段によって、上記締結部材の胴部とフランジ部との境界領域に沿って、該締結部材の締結部を分離し、該胴部から該フランジ部を分離させ、該母材に締結された該締結部材を該母材から取り外し可能にすることを特徴とするものである。
【0018】請求項3の発明は、母材の締結穴に挿通される胴部と、該締結穴の周縁部に圧接される該胴部と実質的に一体のフランジ部とによって、該母材に締結された締結部材を、該母材から取り外す締結部材の分解工具であって、上記締結部材のフランジ部に係合し、上記締結部材に対し該締結部材の胴部軸心と中心線とが一致する固定位置を取る固定位置取り手段と、上記締結部材の胴部とフランジ部との境界領域に沿って、該締結部材の締結部を分離し、該胴部から該フランジ部を分離させる分離手段とを有し、該母材に締結された該締結部材を該母材から取り外し可能にすることを特徴とするものである。
【0019】請求項4の発明は、母材の締結穴に挿通される胴部と、該締結穴の周縁部に圧接される該胴部と実質的に一体のフランジ部とによって、該母材に締結された締結部材を、該母材から取り外す締結部材の分解工具であって、上記締結部材のフランジ部に、端部がフランジ部と母材との間に入り込んで係合し、上記締結部材に対し固定位置を取る固定位置取り手段と、上記締結部材の胴部とフランジ部との境界領域に沿って、該締結部材の締結部を分離し、該胴部から該フランジ部を分離させる分離手段とを有し、該母材に締結された該締結部材を該母材から取り外し可能にすることを特徴とするものである。
【0020】請求項5の発明は、請求項3または4の分解工具において、上記分離手段は、上記母材の締結穴の内径よりも小径の刃先であって、かつ、該締結穴の内周面に略平行な上記締結部材の胴部とフランジ部との境界領域に沿った略円筒形状の刃先部で形成された切断刃を有し、該切断刃によって、上記締結部材の締結部を切断することを特徴とするものである。
【0021】請求項6の発明は、請求項3または4の分解工具において、上記分離手段は、回転刃を有し、該回転刃によって、上記締結部材の締結部を切削することを特徴とするものである。
【0022】請求項7の発明は、請求項3または4の分解工具において、上記分離手段は、上記母材の締結穴の内径よりも小径の刃先であって、かつ、該締結穴の内周面に略平行な上記締結部材の胴部とフランジ部との境界領域に沿った略円筒形状の刃先部で形成されたパンチ部材を有し、該パンチ部材によって、上記締結部材の胴部とフランジ部との胴部軸方向の境界領域に沿って、該締結部材の締結部をせん断することを特徴とするものである。
【0023】
【発明の実施の形態】〔実施形態1〕以下、本発明を、前記締結部材の締結部を分解する分解工具に適用した実施形態について説明する。なお、本実施形態にかかる分解工具は、前述したスピンカシメ等のピン締結や、リベット締結、及び、バーリングカシメ等の機械的締結に用いられる締結部材であれば、どのようなタイプの締結部材であっても分解することが可能であるが、説明の便宜上、ここでは、図9(d)に示したようなソリッドリベットを分解対象として説明する。
【0024】図4は、本実施形態に係る分解工具40によって、ソリッドリベット18を分解して取り外す場合の断面図である。分解工具40は、以下に述べる分離ユニット41を固定ユニット29のフランジホルダー30の内側にセットする構成になっている。
【0025】まず、固定位置取り手段である固定ユニット29について説明する。図1(a)は、固定ユニット29の分解斜視図である。固定ユニット29は、フランジホルダー30と、フランジホルダー30を締め付けるための締め付け部材32とにより構成されており、いわゆるコレットチャックの構造になっている。フランジホルダー30には、円筒中空状の筒部31と、テーパ部33とが形成されている。そして、テーパ部33の下部には、筒部31の中心軸を同芯とし、中心軸方向に向かって次第に傾斜するチャック部34と、チャック部34の先端にチャック先端部35とが形成されている。また、フランジホルダー30には、テーパ部33が弾性変形して、チャック先端部35の先端円部の内径が絞られるようにするための、切り欠き溝36が形成されている。図1(b)は、図1(a)に示すA方向から見た、チャック部34と切り欠き溝36を示す説明図である。また、締め付け部材32は、上記フランジホルダー30の筒部31の外側に嵌合する筒体で形成され、その片端の内周面には、フランジホルダー30のテーパー部33に対応したテーパ部37が設けられている。
【0026】図2は、固定ユニット29の断面図である。締め付け部材32を下方に押し下げると、締め付け部材32に形成されたテーパ部37の作用によって、フランジホルダー30のテーパ部33が弾性変形して、チャック部34が締め付けられ、チャック先端部35の先端円部の内径であるB寸法が小さくなる。なお、締め付け部材32を下方に押し下げる手段は、外部機構により押し下げるか、若しくは、筒部31の外周面と締め付け部材32の内周面とにネジ部を設け、その螺合により押し下げても良い。
【0027】図3(a)は、固定ユニット29をソリッドリベット18のフランジ部20に係合する前の状態を示す。母材1と母材2とは、ソリッドリベット18によってカシメられ締結されている。図3(b)は、固定ユニット29をソリッドリベット18のフランジ部20に係合して固定した状態の断面図を示す。固定ユニット29は、締め付け部材32を押し下げることにより、図3(a)に示すC1、C2方向に力が加わり、チャック部34がソリッドリベット18のフランジ部20と母材1との間に入り込んで係合し、フランジホルダー30の中心軸とソリッドリベット18の胴部19の胴部軸心とが一致した状態で確実に固定される。このように、チャック部34がフランジ部20と母材1との間に入り込む必要があるために、チャック先端部35はできるだけ鋭角に形成されていることが望ましい。
【0028】次に、分離手段である分離ユニット41について説明する。分離ユニット41は、円筒状切断刃42と押し出し部材43等により構成されている。円筒状切断刃42は、母材1、2の締結穴1a、2aの内径dよりも小径の刃先を有し、かつ、締結穴1a、2aの内周面に略平行なソリッドリベット18の胴部19とフランジ部20との胴部軸方向の境界領域に沿った略円筒形状の刃先部を有している。そして、図示しないエアーシリンダによって胴部19の胴部軸方向に沿った方向に進退自在に配設されている。また、押し出し部材43は、円筒状切断刃42によって胴部19とフランジ部20との締結部を切断して分離した後に、胴部19を母材1、2から取り外すものである。この押し出し部材43は、円筒状切断刃42の中心部分に、図示しないエアーシリンダによって胴部19の胴部軸方向に沿った方向に進退自在に配設されている。なお、円筒状切断刃42と押し出し部材43とを、それぞれ進退させる手段としては、上記エアーシリンダに限らず、油圧シリンダ、若しくは手動操作であっても構わない。
【0029】次に、分解工具40の動作について説明する。固定ユニット29のチャック部34は、フランジ部20と母材1との間に入り込んで係合し、胴部19の胴部軸心と、固定ユニット29の中心軸線と、分離ユニット41の中心軸線とが一致した状態で確実に固定される。そして、切断力付与手段である図示しないエアーシリンダによって円筒状切断刃42をE方向に押し出し、胴部19とフランジ部20との胴部軸方向の境界領域に沿って、締結部を切断して分離する。締結部の切断終了後、円筒状切断刃42は上記エアーシリンダによって、元の位置まで戻る。
【0030】上記切断時において、胴部19の胴部軸心と、分離ユニット41の中心軸線とが一致した状態で固定されているため、円筒状切断刃42は胴部19とフランジ部20との締結部を正確に切断することができる。また、固定ユニット29のチャック部34がフランジ部20と係合しているので、切断時の衝撃を固定ユニット29と分離ユニット41とによって吸収することができるので、母材1、2に衝撃を与えることがなく、母材1、2の損傷を防ぐことができる。
【0031】しかし、胴部19とフランジ部20とを分離しただけでは、胴部19が母材1、2の締結穴1a、2aに圧接される形で留まっているので、強制的に取り外す必要がある。そこで、押圧力付与手段である図示しないエアーシリンダにより押し出し部材43を、締結穴1a、2aの中心軸方向Eに沿って押し出すことによって、胴部19を母材1、2の締結穴1a、2aから取り外すことができる。胴部19の取り外し終了後、押し出し部材43は上記エアーシリンダによって元の位置まで戻る。以上のような構成及び動作によって、ソリッドリベット18を母材1、2から取り外し、母材1と2との締結を解除することができる。
【0032】〔実施形態2〕次に、他の実施形態に係る分解工具について説明する。上記実施形態1においては、ソリッドリベット18のフランジ部20と胴部19を円筒状切断刃42によって、切断して分離する構成について説明したが、本実施形態においては、ドリル刃54によりフランジ部20を切削加工することによって、フランジ部20と胴部19を分離する点が上記実施形態1の構成と異なる。
【0033】図5に、本実施形態に係る分解工具50の構成を示す。分解工具50は、以下に述べる分離ユニット51を、上記固定ユニット29のフランジホルダー30の内側にセットする構成になっている。分離手段である分離ユニット51は、ドリル軸52と、ドリルチャック53と、ドリル刃54と、ドリル軸受け55と、ストッパー56等により構成されている。ドリル軸52は、図示しない電動ドリル等によって、回転力を付与される構成になっている。ドリル刃54は、ドリルチャック53によって着脱可能になっており、分解対象たるソリッドリベット18の大きさによって適宜選択し交換することができる。一般的には母材1、2の締結穴1a、2aの穴径dよりも若干大きい径のものを使用する。そして、ドリル軸受け55は、例えばオイレスメタル若しくはベアリングであって、回転するドリル軸52を胴部19の胴部軸方向に沿った方向に進退自在に保持することができる。また、ストッパー56は、ドリル刃54が母材1まで切削してしまわないように、ドリル刃54のストロークを規制するためのものである。ストッパー56は、例えばダブルナットから成っており、ドリル刃54の長さによって、ストロークの調整をすることができる。
【0034】次に、本分解工具50の動作について説明する。固定ユニット29のチャック部34は、フランジ部20と母材1との間に入り込んで係合し、胴部19の胴部軸心と、固定ユニット29の中心軸線と、分離ユニット51の中心軸線とが一致した状態で確実に固定される。そして、図示しない電動ドリル等の回転力付与手段によって、ドリル軸52を回転させながら、手動でF方向に押し出す。このようにして、ドリル刃54でソリッドリベット18の胴部19とフランジ部20との締結部を切削加工し、胴部19とフランジ部20とを分離する。このとき、ドリル刃54が母材1まで切削してしまわないようにストッパー56で、ドリル刃54のストロークを規制する。
【0035】上記切削時において、胴部19の胴部軸心と、分離ユニット51の中心軸線とが一致した状態で固定されているため、ドリル刃54は胴部19とフランジ部20との締結部を正確に切断することができる。また、固定ユニット29のチャック部34がフランジ部20と係合しているので、切削時の衝撃を固定ユニット29と分離ユニット51とによって吸収することができるので、母材1、2に衝撃を与えることがなく、母材1、2の損傷を防ぐことができる。
【0036】切削加工が終了すると、フランジ部20は、分解工具50とともに取り外すことができる。しかし、この状態では、まだ、胴部19が締結穴1a、2aに圧接された状態で留まっているので、図示しない押し出しピン等で胴部19を取り外す。以上のような構成及び動作によって、ソリッドリベット18を母材1、2から取り外し、母材1と2との締結を解除することができる。
【0037】〔実施形態3〕次に、他の実施形態に係る分解工具60について説明する。上記実施形態1においては、ソリッドリベット18のフランジ部20と胴部19を円筒状切断刃42によって切断して分離する構成について説明したが、本実施形態においては、パンチ62によって、胴部19とフランジ部20との締結部を打ち抜くことによって、フランジ部20と胴部19を分離する点が上記実施形態1の構成と異なる。
【0038】図6は、本実施形態に係る分解工具60の構成を示す。分解工具60は、以下に述べる分離ユニット61を、上記固定ユニット29のフランジホルダー30の内側にセットする構成になっている。分離手段である分離ユニット61は、パンチ62と、パンチガイド63と、パンチ62に押圧力を付与するためのエアーシリンダ64等により構成されている。パンチ62は、母材1、2の締結穴1a、2aの穴径dよりも小径で、かつ、締結穴1a、2aの内周面に略平行なソリッドリベット18の胴部19とフランジ部20との境界領域に沿った略円筒形状の先端部を有している。また、パンチガイド63は、例えばリング状のオイレスメタルであって、パンチ62を、胴部19の胴部軸方向に沿った方向に進退自在に保持することができる。なお、パンチ62に押圧力を付与するための手段としては、上記エアーシリンダ64に限らず、油圧シリンダ、若しくはスプリング等の弾性体部材であっても構わない。
【0039】次に、分解工具60の動作について説明する。固定ユニット29のチャック部34は、フランジ部20と母材1との間に入り込んで係合し、胴部19の胴部軸心と、固定ユニット29の中心軸線と、分離ユニット61の中心軸線とが一致した状態で確実に固定される。そして、エアーシリンダ64によって、パンチ62を胴部19の胴部軸方向に沿った方向Gに押し出して、胴部19とフランジ部20との胴部軸方向の境界領域に沿って締結部を打ち抜く。このようにして胴部19とフランジ部20とを分離する。胴部19とフランジ部20とを分離した後も、パンチ62は締結穴1a、2aを貫通するので、胴部19を同時に取り外すことができる。取り外し終了後、パンチ62はエアーシリンダ64によって元の位置に戻る。
【0040】上記打ち抜き時において、胴部19の胴部軸心と、分離ユニット61の中心軸線とが一致した状態で固定されているため、パンチ62は胴部19とフランジ部20との締結部を正確に打ち抜くことができる。また、固定ユニット29のチャック部34がフランジ部20と係合しているので、打ち抜き時の衝撃を固定ユニット29と分離ユニット61とによって吸収することができるので、母材1、2に衝撃を与えることがなく、母材1、2の損傷を防ぐことができる。
【0041】以上のような構成及び動作によって、ソリッドリベット18を母材1、2から取り外し、母材1と2との締結を解除することができる。
【0042】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、固定位置取り手段によって、上記締結部材の胴部の胴部軸心と中心線とが一致する固定位置を取ることができるので、分離手段によって、上記締結部材の胴部とフランジ部との境界領域に沿って、正確に該締結部材の締結部を分離することができる。このことによって、該胴部から該フランジ部が分離されて、上記母材に締結された該締結部材が該母材から取り外し可能となる。また、該締結部材の分解時に、該締結部材が空回りしたり、該母材が損傷されたりすることがなく、該母材から該締結部材を容易且つ迅速に取り外せるという優れた効果がある。
【0043】請求項2の発明によれば、固定位置取り手段によって、上記締結部材のフランジ部に、端部がフランジ部と母材との間に入り込んで係合して上記締結部材に対し固定位置を取ることができるので、分離手段によって、上記締結部材の胴部とフランジ部との境界領域に沿って、該締結部材の締結部が分離される際の衝撃を、該固定位置取り手段と該分離手段とによって吸収することができる。このことによって、上記母材に対する衝撃を防ぐことができ、該母材が損傷されることがなく、該母材から該締結部材を容易且つ迅速に取り外せるという優れた効果がある。
【0044】請求項3の発明によれば、固定位置取り手段によって、上記締結部材の胴部の胴部軸心と中心線とが一致する固定位置を取ることができるので、分離手段によって、上記締結部材の胴部とフランジ部との境界領域に沿って、正確に該締結部材の締結部を分離することができる。このことによって、該胴部から該フランジ部が分離されて、上記母材に締結された該締結部材が該母材から取り外し可能となる。また、該締結部材の分解時に、該締結部材が空回りしたり、該母材が損傷されたりすることがなく、該母材から該締結部材を容易且つ迅速に取り外せるという優れた効果がある。
【0045】請求項4の発明によれば、固定位置取り手段によって、上記締結部材のフランジ部に、端部がフランジ部と母材との間に入り込んで係合して上記締結部材に対し固定位置を取ることができるので、分離手段によって、上記締結部材の胴部とフランジ部との境界領域に沿って、該締結部材の締結部が分離される際の衝撃を、該固定位置取り手段と該分離手段とによって吸収することができる。このことによって、上記母材に対する衝撃を防ぐことができ、該母材が損傷されることがなく、該母材から該締結部材を容易且つ迅速に取り外せるという優れた効果がある。
【0046】請求項5の発明によれば、円筒状の切断刃によって、上記締結部材の胴部とフランジ部との境界領域に沿って、該締結部材の締結部が切断され、該胴部と該フランジ部とが分離されることによって、上記母材に締結された該締結部材を該母材から取り外し可能にするという優れた効果がある。
【0047】請求項6の発明によれば、回転刃によって、上記締結部材の胴部とフランジ部との境界領域に沿って、該締結部材の締結部が切削されることにより、該胴部から該フランジ部が分離されることによって、上記母材に締結された該締結部材を該母材から取り外し可能にするという優れた効果がある。
【0048】請求項7の発明によれば、パンチ部材によって、上記締結部材の胴部とフランジ部との胴部軸方向の境界領域に沿って、該締結部材の締結部がせん断されることにより、該胴部から該フランジ部が分離されることによって、上記母材に締結された該締結部材を該母材から取り外し可能にするという優れた効果がある。
【出願人】 【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
【出願日】 平成10年9月4日(1998.9.4)
【代理人】 【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
【公開番号】 特開2000−79442(P2000−79442A)
【公開日】 平成12年3月21日(2000.3.21)
【出願番号】 特願平10−267487