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【発明の名称】 角缶の蓋の巻締方法、シーミングチャック及び角缶用缶蓋
【発明者】 【氏名】加藤 忠誠

【氏名】金田 進一

【要約】 【課題】生産性を向上させることができ、巻締品の品質を向上させ、密封性が高い巻締部を形成することができる巻締技術を提供すること【解決手段】角缶胴2の開口部に缶蓋4をシーミングカムとシーミングチャックとを備える巻締機によって巻締める巻締方法であって、缶蓋4として全周縁部をダイカールした缶蓋を使用し、シーミングカムをプランジ形式のシーミングカムとし、シーミングチャックを4隅角部を間にした4辺部を直線状にしたシーミングチャックとしたことを特徴とする

【解決手段】角缶胴2の開口部に缶蓋4をシーミングカムとシーミングチャックとを備える巻締機によって巻締める巻締方法であって、缶蓋4として全周縁部をダイカールした缶蓋を使用し、シーミングカムをプランジ形式のシーミングカムとし、シーミングチャックを4隅角部を間にした4辺部を直線状にしたシーミングチャックとしたことを特徴とする
【特許請求の範囲】
【請求項1】角缶胴の開口部に注口を有する缶蓋を巻締機によって、巻締める巻締方法であって、前記缶蓋は、コーナー部を含めた全周縁部をカールした缶蓋を使用し、コーナー部を除いた四辺を直線状としたシーミングチャックとシーミングカムによって缶蓋中心方向に作動するシーミングロールとにより巻き締められることを特徴とする角缶の巻締方法。
【請求項2】前記巻締は、第1巻締と第2巻締とからなり、シーミング開始位置からトップシーミングまでのシーミングカムの回転角を、第1巻締用は90°以下、第2巻締用は60°以下としたことを特徴とする請求項1の角缶の巻締方法。
【請求項3】角缶用缶蓋のチャックウォールに内接するシーミングチャック部の輪郭を、4つのコーナー部とその間に形成した4辺部を持つ形状とし、前記4辺部が直線をなして前記缶蓋のチャックウォールに当接可能としたことを特徴とする角缶蓋巻締機用シーミングチャック。
【請求項4】ほぼ矩形をなしていて、前記矩形の各コーナー部のうち、1つのコーナー部の内側部分に絞り加工によって形成された、注口を有する缶蓋を角缶の缶胴に巻き締める巻締機のシーミングチャックであって、前記シーミングチャックは、前記缶蓋の周縁部のチャックウォールに対応するチャック面を有し、前記注口のある缶蓋のコーナー部に対応するチャック面は、他のコーナー部の位置よりも缶蓋の中央寄りに位置していることを特徴とする角缶巻締機用シーミングチャック。
【請求項5】缶蓋のコーナー部を含む全周縁部をカールしたことを特徴とする角缶用缶蓋。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】この発明は5ガロン缶などの角缶の巻締技術、特に蓋の巻締方法、缶蓋及びシーミングチャックに関するものである。
【0002】
【従来の技術】5ガロン缶等の角缶はサイドシームを持つ角筒状の缶胴と、その缶胴の上下端に巻き締められた天蓋及び地蓋との3ピースからなっているが、大きな内容積に対応して、缶胴、天蓋及び地蓋の寸法が大きくなり、加工が難しい。すなわち、天蓋及び地蓋は1辺が230mmの正方形状をなしていて、かつ薄肉金属板であるので、打ち抜き成形する場合の歪みが大きく、また、この天蓋及び地蓋を缶胴に巻き締める時に全周にわたって均一な巻締寸法を得ることが缶の密封性を得るために重要である。
【0003】従来、缶胴に対する缶蓋を巻き締める場合は予め別工程で成形した缶蓋を巻締機のシーミングチャックで保持して缶胴に押しつけた状態で外側から缶蓋の全周にわたってシーミングカムで誘導されたシーミングロールで押圧して缶胴の上端全周と缶蓋全外周との巻締を行う。
【0004】ここで使用する缶蓋は前記の通り、1辺が230mmの4角形の大型のものであるので、成形時の歪みが大きく、また、缶蓋として、全周にカールのない蓋、4辺のうちの対向する2辺にのみロールカールを施した蓋、さらに4辺にロールカールを施した蓋等があるが、ロールカールは均一な加工形状を得ることが難しい。また、いずれの形式の缶蓋においても、コーナー部(辺と辺の継ぎ部)はカールが施されていないのが、現状である。
【0005】
【発明が解決すべき課題】これらの缶蓋の全周にカールが施されていない缶蓋の場合は、缶蓋の成形後の搬送時、及び巻締機に蓋をセパレートしてフィードする際に、缶蓋同士のこすれによって、傷付きが発生し易く、かつ、ネスティング(くっつき)によって分離供給しにくいという問題点がある。
【0006】次に巻締めの問題としては、缶蓋の成形時の歪みが大きいために缶蓋の水平度が悪く、缶蓋フィード不良を惹起することがあり、これが巻締機停止の要因となり、生産阻害要因となることがある。
【0007】また、従来のロールカールされた缶蓋ではカール部の寸法安定性が必ずしも高くないので、巻締部の密封性を確保する必要から、巻締の加工量が大きくなっており、このため、図7に示すように巻締カバーフック15(CH)に大きくかつ深い皺30が発生し、これが品質向上阻害要因となっている。しかもカールしていないコーナー部からカールしている辺部に巻締加工が進行すると、缶蓋の素材が寄せられて皺40になることがある。
【0008】さらに、前述の巻締カバーフック15(CH)に出現する大きくかつ深い皺は充填内容物の漏洩事故発生の原因(密封性阻害要因)となることがある。
【0009】次に巻締機に関しては、従来、チャックの辺部は図4の仮想線(2点鎖線18b)で示すように、内側に湾曲していて、巻締機にセットされる缶蓋の辺部に当接することがないので、シーミングチャックの保持効果が得られないため、カウンターシンク(CS)(図2参照)が深く、カバーフック(CH)が短く、かつシーミングロール押圧を充分受けないため、コンパウンドの圧縮も不足する結果になっている。
【0010】また、缶蓋の4つのコーナー部の1つには注口5(図1参照)が深しぼり加工によって形成されるが、この注口5の加工のために注口5の周辺の部分の加工歪が大きく発生し、巻締機のシーミングチャックと缶蓋との嵌合不良が生じていた。
【0011】このようなことから、生産性を向上させることができ、巻締部の品質を向上させ、密封性が高い巻締部を形成することができる巻締技術の開発が望まれている。
【0012】特に缶蓋については缶周辺巻締時のカールが寸法安定性よく形成されて、良好な巻締を実現することができ、かつ蓋の成形後の搬送及び巻締機に蓋をセパレートしてフィードする際に、蓋同士のこすれによって傷が発生することがなく、さらに巻締機においてネスティングを発生することがなく、分離供給が円滑に行われ得るものが望まれ、また、巻締機に関しては、巻締カバーフックに皺が発生することがなく巻締の品質を向上させることができ、巻締機の密封性が良好であり、またシーミングチャックについては保持効果を発揮できて、コンパウンドの圧縮も充分に行うことができるものの開発が望まれている。
【0013】さらに缶蓋に注口を形成し、そのために缶蓋に加工歪が生じた場合に、その加工歪量に形状を合わせたシーミングチャックの形状として、缶蓋のコーナー部もストレート部と同様に保持効果を発揮させて、巻締各部の寸法を安定させることができる巻締技術の開発が望まれている。
【0014】
【課題を解決するための手段】この目的に対応して、この発明の角缶蓋の巻締方法は、角缶胴の開口部に注口を有する缶蓋を巻締機によって、巻締める巻締方法であって、前記缶蓋は、コーナー部を含めた全周縁部をカールした缶蓋を使用し、コーナー部を除いた四辺を直線状としたシーミングチャックとシーミングカムによって缶蓋中心方向に作動するシーミングロールとにより巻締められることを特徴としている。またこの発明の角缶用缶蓋は、前記巻締は、1st巻締と2nd巻締とからなり、シーミング開始位置からトップシーミングまでのシーミングカムの回転角を、1st巻締用は90°以下、2nd巻締用は60°以下としたことを特徴としている。またこの発明のシーミングチャックは、角缶用缶蓋のチャックウォールに内接するシーミングチャック部の輪郭を、4つのコーナー部とその間に形成した4辺部を持つ形状とし、前記4辺部が直線をなして前記缶蓋のチャックウォールに当接可能としたことを特徴としている。またこの発明のシーミングチャックは、ほぼ矩形をなしていて、前記矩形の各コーナー部のうち、1つのコーナー部の内側部分に絞り加工によって形成された、注口を有する缶蓋を角缶の缶胴に巻締める巻締機のシーミングチャックであって、前記シーミングチャックは、前記缶蓋の周縁部のチャックウォールに対応するチャック面を有し、前記注口のある缶蓋のコーナー部に対応するチャック面は、他のコーナー部の位置よりも缶蓋の中央寄りに位置していることを特徴としている。また、この発明の缶蓋は、缶蓋のコーナー部を含む全周縁部をカールしたことを特徴としている。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、この発明の詳細を一実施例を示す図面について説明する。
【0016】図1において、1は角缶である。角缶1は通常5ガロン缶とか、18l缶とか1斗缶とか呼ばれているものである。角缶は缶胴2とその上下両開口端に巻締られている地蓋3と天蓋4の3ピースからなっている。天蓋4は平面視で4コーナー部21を間にした直線状の4辺部22を持つ略4角形状の輪郭をもち、4コーナー部21のうちの1つのコーナー部21aの内側寄りに注口5が形成されている。缶胴2に対する蓋の巻締の構造は、地蓋3と天蓋4は均等であるので、以下の説明では天蓋4を例にして説明する。
【0017】図2に示すように缶胴2の上端の周縁部には缶胴フランジ6が形成され、また天蓋4の周縁部にもシーミングパネル7が形成され、缶胴フランジ6とシーミングパネル7が巻き締められて巻締部8が形成されている。ここで使用される巻締前の天蓋4は図3に示すようにシーミングパネル7の周縁部を予め折り曲げてカールさせたものである。このカールは従来のようにロールを用いたものではなく、ダイ11とパンチ12を使用したダイカールであって、先端10が内側に折り返されている。この天蓋4は、巻締機に多数枚が重ねられた状態でセットされて1枚ずつ缶胴2上に供給される。天蓋4は巻締機において図2に示すように、シーミングパネル7のチャックウォール13に内接するシーミングチャック14によって保持され、外側からシーミングロール9で押圧され、カバーフック15とボディーフック16とが噛み合った状態に巻締される。
【0018】ここで使用するシーミングチャック14は図4に示すように、4コーナー部17を間にした4辺部18を持つ略四角形状の輪郭をもつチャック面20をもつが、特に4辺部18が直線状をなすものである。また図4に示し、かつシーミングチャック14は天蓋4のコーナー部21のうち、天蓋4の注口5が形成されているコーナー部21aに対応するコーナー部17aは他のコーナー部17よりも1回り小さく形成されていて、その結果、シーミングチャック14の中央寄りに位置している。また、ここで使用するシーミングロール9を案内するシーミングカムには第1巻締用のシーミングカム23aと第2巻締用のシーミングカム23bとがあるが図5に示すように、第1巻締用のシーミングカム23aは回転角を90°以下、すなわちシーミング開始位置Sからトップシーミング位置Tまでの回転角が90°(ライジング回転角60°を含む)であり、また第2巻締用のシーミングカム23bは回転角を60°以下である。こうして、第1巻締カム23aと第2巻締カム23bともに、シーミング開始位置Sから、急激にトップシーミング位置Tに達するいわゆるプランジ式カムとなっている。
【0019】この発明の角缶蓋の巻締技術では、缶蓋の全周縁部がダイカールされているので缶胴フランジ6との巻締をきわめて円滑に行うことができる。ダイカールされた缶蓋のシーミングパネル7はカバーフック15になる部分が内向きに湾曲して折り曲げられているので、缶蓋を打ち抜き成形したときの鋭いカットエッジが外側に突出しておらず、したがって缶蓋の搬送時などに隣り合う缶蓋同士が接触しても、カットエッジが隣接する他の缶蓋の表面を傷つけることはない。また、巻締機において多数の缶蓋を重ねた場合にも、隣り同士の缶蓋間には内側に折り曲げられたカバーフック15になる部分が適当な間隙を保つので、缶蓋同士にネスティングが生じることがなく、1枚ずつ缶胴上に供給されることができる。
【0020】缶蓋のシーミングパネルの端部は全周がダイカールによって内側にカールされ、したがって、これを缶胴に巻締る場合の加工量が小さくてすみ、カバーフック15に深い皺が発生することがなく、品質が向上し、かつ缶胴と缶蓋との間の密封性が向上する。さらに、シーミングカムはプランジ形式であるため、巻締時のカム作用角度を短縮し、その分、作業のスピードアップが実現する。また、シーミングチャックの辺部を直線状にしたことによって、チャックの保持効果が発揮され、コンパウンドの圧縮も充分に行うことができる。
【0021】またシーミングチャックのチャック面のうち、缶蓋の注口が形成されたコーナー部に対応するチャック面を他のコーナー部に対応するチャック面よりも1回り小さくすることによって、缶蓋の注口を加工する場合の加工歪を考慮した、保持効果を発揮して、巻締め安定性を高めることができる。
【0022】
【発明の効果】以上の説明から明らかな通り、この発明によれば、シーミングパネルの全周端部のカールが寸法安定性よく形成されて、良好な巻締を実現することができ、かつ蓋の成形後の搬送及び巻締機に蓋をセパレートしてフィードする際に、蓋同士のこすれによって傷が発生することがなく、さらに巻締機においてネスティングを発生することがなく、分離供給が円滑に行われる缶蓋を得ることができる。また、巻締カバーフックに皺が発生することがなく巻締の品質を向上させることができ、巻締機の密封性が良好であり、またシーミングチャックについては保持効果を発揮できて、コンパウンドの圧縮も充分に行うことができる巻締機を得ることができる。
【0023】
【実験例】この発明の缶蓋を使用して巻締を行い、カバーフックの大きさについて従来のロールカールによる缶蓋と比較した。
【0024】カバーフックの適性値は2.0〜2.1mm以上であるのに対し、この発明の缶蓋を使用した場合(○マーク)は図6に示すように2.2〜2.3mmとなり、従来の缶蓋を使用した場合(+マーク)は1.9〜2.2mmであり、この発明の缶蓋の場合はカバーフックの適正値を余裕をもって満たしているので、材料の節減が可能である。
【0025】
【出願人】 【識別番号】000003768
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
【出願日】 平成11年2月5日(1999.2.5)
【代理人】 【識別番号】100075133
【弁理士】
【氏名又は名称】川井 治男
【公開番号】 特開2000−225428(P2000−225428A)
【公開日】 平成12年8月15日(2000.8.15)
【出願番号】 特願平11−28305