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【発明の名称】 折曲げ加工方法および折曲げ加工装置
【発明者】 【氏名】栗山 晴彦

【要約】 【課題】曲げ反力とモータの加速トルクとの関係を考慮せずに最短の時定数を決定することのできる折曲げ加工方法および折曲げ加工装置を提供する。

【解決手段】ベンドビーム7を待機位置から所望の位置に移動させてワークWを折曲げる際に、ホストコンピュータ13が、ベンドビーム7がワークWに当接して折曲げを開始する時点においてベンドビーム7の移動速度が所望の速度となるときにワークWに当接するまでの移動距離を求めて制御装置11に伝達し、制御装置11では、伝達された移動距離分だけ予めベンドビーム7を戻した位置を待機位置とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 トップダイとボトムダイの協働によりワークをクランプし、待機位置にあるベンドビームをワークに対して所望の位置へ移動させることによりワークを折曲げる折曲げ加工方法において、前記ワークに当接して折曲げを開始する時点における前記ベンドビームの移動速度とこの移動速度に達するまでの時定数から移動距離を求め、この移動距離と等しい距離だけ前記ベンドビームを戻した位置を前記待機位置とすること、を特徴とする折曲げ加工方法。
【請求項2】 トップダイとボトムダイの協働によりワークをクランプし、制御装置の制御により待機位置にあるベンドビームをワークに対して所望の位置へ移動させることによりワークを折曲げる折曲げ加工装置であって、前記制御装置が、前記ワークに当接して折曲げを開始する時点における前記ベンドビームの移動速度とこの移動速度に達するまでの時定数から移動距離を求めると共に、この移動距離と等しい距離だけ前記ベンドビームを戻した位置を前記待機位置として位置決めするベンドビーム位置決め部を備えてなること、を特徴とする折曲げ加工装置。
【請求項3】 トップダイとボトムダイの協働によりワークをクランプし、制御装置の制御により待機位置にあるベンドビームをワークに対して所望の位置へ移動させることによりワークを折曲げる折曲げ加工装置であって、前記制御装置に接続され前記ワークに当接して折曲げを開始する時点における前記ベンドビームの移動速度とこの移動速度に達するまでの時定数から移動距離を求めて前記制御装置に伝達するホストコンピュータを備え、前記制御装置が、前記ホストコンピュータから送られてくる移動距離と等しい距離だけ前記ベンドビームを戻した位置を前記待機位置として位置決めするベンドビーム位置決め部を備えてなること、を特徴とする折曲げ加工装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はトップダイとボトムダイによりクランプされたワークにベンドビームにより折曲げ加工を行う折曲げ加工方法および折曲げ加工装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図4を参照するに、従来より、折曲げ加工機1においては、ボトムダイ3とトップダイ5の協働によりワークWをクランプして、ベンドビーム7の移動によりワークWに曲げ加工を行う際のベンドビーム待機位置は、タクトを考慮してボトムダイ3の上面と面一になっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながらこのような従来の技術にあっては、図5(A)〜(D)を参照するに、曲げ動作を行う際に、ベンドビーム7の加速に要する力(図5(B)参照)と曲げの反力(図5(C)参照)を同時に受けることとなり、モータに要する力が大きくなる(図5(D)参照)。なお、図5(A)には、折曲げ加工におけるベンドビーム7の移動速度が示されている。
【0004】曲げの反力はワークWの抗張力と板厚、曲げ長さ等により変化するため、たとえ抗張力の小さなワークWを曲げる際でもモータのトルクに余裕がある時定数にしか設定できないという問題がある。
【0005】すなわち、図6(A)、(B)を参照するに、曲げの反力はワークWの抗張力と板厚、曲げ長さ等により変化するため、機械仕様の最大の反力を受ける場合(図6(B)参照)を考慮して時定数を決定しなければならない。従って、曲げ反力が小さいとき(図6(A)参照)は、モータのトルクに余裕があるにもかかわらず時定数は短くできなかった。なお、加速トルクと時定数の関係は、一般的には、T=J・dw/dtで表される。
【0006】この発明の目的は、以上のような従来の技術に着目してなされたものであり、曲げ反力とモータの加速トルクとの関係を考慮せずに最短の時定数を決定することのできる折曲げ加工方法および折曲げ加工装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、請求項1による発明の折曲げ加工方法は、トップダイとボトムダイの協働によりワークをクランプし、待機位置にあるベンドビームをワークに対して所望の位置へ移動させることによりワークを折曲げる折曲げ加工方法において、前記ワークに当接して折曲げを開始する時点における前記ベンドビームの移動速度とこの移動速度に達するまでの時定数から移動距離を求め、この移動距離と等しい距離だけ前記ベンドビームを戻した位置を前記待機位置とすること、を特徴とするものである。
【0008】従って、ベンドビームを待機位置から所望の位置に移動させてワークを折曲げる際に、ワークに当接して折曲げを開始する時点においてベンドビームの移動速度が所望の速度となるように、ワークに当接するまでの移動距離分だけ予めベンドビームを戻した位置を待機位置として位置決めする。
【0009】請求項2による発明の折曲げ加工装置は、トップダイとボトムダイの協働によりワークをクランプし、制御装置の制御により待機位置にあるベンドビームをワークに対して所望の位置へ移動させることによりワークを折曲げる折曲げ加工装置であって、前記制御装置が、前記ワークに当接して折曲げを開始する時点における前記ベンドビームの移動速度とこの移動速度に達するまでの時定数から移動距離を求めると共に、この移動距離と等しい距離だけ前記ベンドビームを戻した位置を前記待機位置として位置決めするベンドビーム位置決め部を備えてなること、を特徴とするものである。
【0010】従って、ベンドビームを待機位置から所望の位置に移動させてワークを折曲げる際に、制御装置のベンドビーム位置決め部は、ベンドビームがワークに当接して折曲げを開始する時点においてベンドビームの移動速度が所望の速度となるように、ワークに当接するまでの移動距離分だけ予めベンドビームを戻した位置を待機位置として位置決めする。
【0011】請求項3による発明の折曲げ加工装置は、トップダイとボトムダイの協働によりワークをクランプし、制御装置の制御により待機位置にあるベンドビームをワークに対して所望の位置へ移動させることによりワークを折曲げる折曲げ加工装置であって、前記制御装置に接続され前記ワークに当接して折曲げを開始する時点における前記ベンドビームの移動速度とこの移動速度に達するまでの時定数から移動距離を求めて前記制御装置に伝達するホストコンピュータを備え、前記制御装置が、前記ホストコンピュータから送られてくる移動距離と等しい距離だけ前記ベンドビームを戻した位置を前記待機位置として位置決めするベンドビーム位置決め部を備えてなること、を特徴とするものである。
【0012】従って、ベンドビームを待機位置から所望の位置に移動させてワークを折曲げる際に、ホストコンピュータが、ベンドビームがワークに当接して折曲げを開始する時点においてベンドビームの移動速度が所望の速度となるときにワークに当接するまでの移動距離を求めて制御装置に伝達し、制御装置では、伝達された移動距離分だけ予めベンドビームを戻した位置を待機位置として位置決めする。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、折曲げ加工自体はすでによく知られているのでその詳細な説明は省略して、概略を説明する。
【0014】図4を参照するに、折曲げ加工機1では、トップダイ5とボトムダイ3を相対的に上下移動させてワークWをクランプし、このワークWに対してサーボモータ9(図1参照)によりベンドビーム7を所望の位置に移動させて、ワークWを折曲げるものである。
【0015】図1を参照するに、前記折曲げ加工機1を制御する制御装置11の構成が示されている。この制御装置11には、ホストコンピュータ13が通信ユニット17により接続されている。このホストコンピュータ13に設けられているパラメータファイル15には速度Vや時定数Tが格納されており、電源投入時や所望のタイミングで制御装置11に伝達する。
【0016】制御装置11には、中央処理装置としてのCPU19が設けられており、このCPU19にはベンドビーム7の位置決めを行うベンドビーム位置決め部21が接続されている。このベンドビーム位置決め部21からの位置決め信号は、サーボアンプ23を介してベンドビームサーボモータ9に伝達され、ベンドビーム7を所望の待機位置に移動させ、その後ベンドビーム7を所望の位置に移動・位置決めして折曲げ加工を行うものである。
【0017】上記構成により、ホストコンピュータ13のパラメータファイル15に格納されている速度Vや時定数Tが折曲げ加工機1の制御装置11に送られてくると、この信号に従ってベンドビームサーボモータ9が作動してベンドビーム7を待機位置に移動させ、この待機位置からさらに所望の位置に移動してワークWの折曲げ加工を開始する。
【0018】次に、前述の折曲げ加工機1を用いた折曲げ加工方法について説明する。
【0019】折曲げ加工を開始する前に、ベンドビーム7を所望の待機位置に移動させてからワークWの折曲げ加工を開始する。
【0020】図2(A)〜(D)を参照するに、ベンドビーム7の待機位置の決定を以下のように行う。すなわち、曲げの反力がベンドビーム7の移動時における加速終了後に作用するようにして、曲げの反力がサーボモータ9のトルクリミッタを超えない範囲であれば、反力の大小を考慮することなく時定数Tを決定してサーボモータ9のトルクをすべて加速に必要なトルクとして使用することができる。
【0021】ここで、加速時に移動する距離をS、移動時の速度をV、時定数をTとすると、S=V・T/2の関係があるので、ベンドビーム待機位置をV・T/2だけ手前に下げることによりサーボモータ9のトルクをすべて加速に必要なトルクとして使用することができる(図3参照)。
【0022】従って、ホストコンピュータ13のパラメータファイル15により前述の移動距離Sを計算し、この距離Sだけ引いた値X’をベンドビーム待機位置(図3中二点鎖線で示す位置)として制御装置11のベンドビーム位置決め部21に送信する。すなわち、X’=X−V・T/2である。
【0023】以上の結果から、サーボモータ9の全トルクを加速トルクとしてフルに使用することができ、実際の曲げ加工に際しても各種の曲げテストを行って最大反力を求めて、その分だけ加速トルクを減ずる(時定数を伸ばす)必要がなくなる。これにより、曲げテスト等の時間を削減して迅速な曲げ加工を行うことができる。
【0024】なお、この発明は前述の発明の実施の形態に限定されることなく、適宜な変更を行うことにより、その他の態様で実施し得るものである。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明による折曲げ加工方法では、ベンドビームを待機位置から所望の位置に移動させてワークを折曲げる際に、ワークに当接して折曲げを開始する時点においてベンドビームの移動速度が所望の速度となるように、ワークに当接するまでの移動距離分だけ予めベンドビームを戻した位置を待機位置とするので、ベンドビームの移動を開始する際に、曲げ反力を考慮することなくモータの全トルクを加速トルクとして使用することにより最短の時定数を決定することができる。
【0026】請求項2の発明による折曲げ加工装置では、ベンドビームを待機位置から所望の位置に移動させてワークを折曲げる際に、制御装置のベンドビーム位置決め部は、ベンドビームがワークに当接して折曲げを開始する時点においてベンドビームの移動速度が所望の速度となるように、ワークに当接するまでの移動距離分だけ予めベンドビームを戻した位置を待機位置とするので、ベンドビームの移動を開始する際に、曲げ反力を考慮することなくモータの全トルクを加速トルクとして使用することにより最短の時定数を決定することができる。
【0027】請求項3の発明による折曲げ加工装置では、ベンドビームを待機位置から所望の位置に移動させてワークを折曲げる際に、ホストコンピュータが、ベンドビームがワークに当接して折曲げを開始する時点においてベンドビームの移動速度が所望の速度となるときにワークに当接するまでの移動距離を求めて制御装置に伝達し、制御装置では、伝達された移動距離分だけ予めベンドビームを戻した位置を待機位置とするので、ベンドビームの移動を開始する際に、曲げ反力を考慮することなくモータの全トルクを加速トルクとして使用することにより最短の時定数を決定することができる。
【出願人】 【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダ
【出願日】 平成10年9月28日(1998.9.28)
【代理人】 【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和 (外8名)
【公開番号】 特開2000−102823(P2000−102823A)
【公開日】 平成12年4月11日(2000.4.11)
【出願番号】 特願平10−273778