| 【発明の名称】 |
圧延鋼帯の高精度巻取方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】立石 康博
【氏名】吉田 一
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| 【要約】 |
【課題】仕上圧延機が圧延中で、かつ、その圧延中の鋼帯が巻取機により巻き取られている状態の期間において、先進率の変動が巻取張力に与える影響を反映させ、コイルの巻姿を良好にする。
【解決手段】仕上圧延機が鋼帯を圧延中で、かつ、その圧延中の鋼帯が巻取機により巻き取られている状態の期間において、該圧延鋼帯のうちホットランテーブル上に存在する鋼帯の重量と、仕上圧延機最終スタンドのロール周速、先進率、およびそれぞれの微分値から、必要となる巻取機マンドレルのトルクを演算し、補償する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 仕上圧延機が鋼帯を圧延中で、かつ、その圧延中の鋼帯が巻取機マンドレルの軸に巻付いている状態の期間において、該鋼帯のうち仕上圧延機最終スタンド出側にあり、かつ、巻取機マンドレルに巻付いていない部分を加減速させるためのトルクを、巻取機マンドレルにより補償することを特徴とする圧延鋼帯の高精度巻取方法。 【請求項2】 仕上圧延機が鋼帯を圧延中で、かつ、その圧延中の鋼帯が巻取機マンドレルの軸に巻付いている状態の期間において、該鋼帯のうち仕上圧延機最終スタンド出側に存在し、かつ、巻取機マンドレルに巻付いていない部分、該鋼帯のうち巻取機マンドレルに巻付いている部分、巻取機マンドレルの電動機を含む回転部分、および、巻取機ピンチロールの電動機を含む回転部分の加減速度の基準値を、仕上圧延機最終スタンドの圧延ロールの速度、およびその時間微分値、仕上圧延機最終スタンド出側の先進率、およびその時間微分値から演算することを特徴とする圧延鋼帯の高精度巻取方法。 【請求項3】 請求項1および2における加減速度の基準値αを、該鋼帯の仕上圧延機最終スタンドの圧延ロールの速度VR 、速度の時間微分値dVR /dt、先進率f、先進率の時間微分値df/dtを用い、 α=f・(dVR /dt)+(df/dt)・VR … (1) の式(1)により求めることを特徴とする圧延鋼帯の高精度巻取方法。ただし、f:先進率(f>1)、t:時間【請求項4】 請求項1を実現させるために必要となる巻取機マンドレルのトルクTHRT を、該鋼帯のうち仕上圧延機最終スタンド出側にあり、かつ、巻取機マンドレルに巻き取られていない部分の重量M、該鋼帯のうち巻取機マンドレルの軸に巻付いている部分の直径D、および、式(1)により求められる加減速度の基準値αを用い、 THRT =M・α・(D/2) … (2) の式(2)により求め、補償することを特徴とする圧延鋼帯の高精度巻取方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、圧延鋼帯の巻取方法に関し、特に仕上圧延機が圧延中で、かつ、その圧延中の鋼帯が巻取機により巻き取られている状態の期間において好適な圧延鋼帯の巻取方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、鋼帯の製造は、通常、いわゆる熱間圧延で行われいる。図5は、従来の仕上圧延機以降の熱間圧延ラインの代表的な設備配置を示す図である。この図に示すように、一般に、この熱間圧延ラインでは、圧延鋼帯1を仕上圧延機2で仕上圧延した後、該仕上圧延機2の下流側に設置されている冷却装置3内を通過させて所定の温度まで冷却しながら、HRT(ホットランテーブル)4上を搬送すると共に、該圧延鋼帯1を巻取機入側のサイドガイド9により巻取機の機械的センターラインまで誘導しつつ、巻取機ピンチロール6で挟持しながら、巻取機マンドレル7によりコイル8として巻き取る作業が行われている。なお、符号5は巻取中鋼帯のうちホットランテーブル4上に存在する部分を示す。 【0003】上記熱間圧延ラインにおいて、圧延鋼帯1を仕上圧延機2で圧延しながら巻取機マンドレル7で巻き取る場合、圧延鋼帯1の先端が巻取機マンドレル7に巻付いており、かつ圧延鋼帯1の後端が仕上圧延機2の最終スタンドを抜けていない状態の期間における巻取作業については、巻取後のコイル8の巻姿を良好にするため、該圧延・巻取中鋼帯のうち仕上圧延機2の最終スタンド出側にあり、かつ、巻取機マンドレル7に巻付いていない部分の鋼帯に対して、マンドレルが発生する張力トルクTUTにより巻取張力が付与されながら巻取作業が行われる。 【0004】圧延鋼帯1の後端が仕上圧延機2の最終スタンドを抜けていない期間においては、コイルの生産効率を向上させるため、圧延鋼帯1の進行速度を予め設定された加速度で加速させながら圧延し巻き取る、いわゆる加速圧延が行われる。このような加速圧延を行うと同時に、鋼帯に対し所望の巻取張力を付与し続けながら巻取作業を行うため、ピンチロール6および巻取機マンドレル7のモーターにより、巻取機マンドレル7の回転部分のGD2 およびコイル8のもつGD2 を、加速度dVR /dtで加速させるために必要となる加減速トルクTαを補償する制御が行われる。ここで、加速度dVR /dtとは、仕上圧延機2の最終スタンドの圧延ロールの速度VR に対する加速度である。 【0005】一般に、仕上圧延機2の最終スタンドの圧延ロールの速度VR と、仕上圧延機2の最終スタンド出側直後の圧延鋼帯1の速度V1 は、異なる値となっている。このとき、圧延ロールの速度VR と圧延鋼帯1の速度V1 との比V1 /VR の値は、一般に先進率と呼ばれ、fで表される。すなわち、V1 =f・VR … (3) 熱間圧延においては、この先進率fの値はf>1をみたす数である。 【0006】ピンチロール6、巻取機マンドレル7およびコイル8のそれぞれのGD2 を加速圧延時に補償するとき、前述のような仕上圧延機2の最終スタンドの圧延ロールの速度VR に対する加速度dVR /dtではなく、このdVR /dtに先進率fをかけた値f・dVR /dtをピンチロール6、巻取機マンドレル7およびコイル8の加速度の基準値とすることで、それぞれのGD2 を加速度f・dVR /dtにてさせるために必要なトルクを補償する制御が行われている場合もある。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】一般に、上述の先進率fは、仕上圧延機2の最終スタンドの上下圧延ロールのギャップの変動、仕上圧延機により圧延されている鋼帯がもつ温度のばらつき、あるいは、仕上圧延機の最終スタンドの入側と出側の鋼帯の張力などの影響により変化する値である。従って、仕上圧延機の最終スタンドの圧延ロールの速度VR が一定値であっても、先進率fの時間変化が発生した場合は、仕上圧延機2の最終スタンドを出た圧延鋼帯1に速度の時間変化、すなわち、加速度が発生することになる。 【0008】しかし、従来はピンチロール6、巻取機マンドレル7およびコイル8、それぞれのGD2 を加速させるために必要なトルクを演算するときに用いる仕上圧延機2の最終スタンド出側の圧延鋼帯1の加速度の基準値に対しては、この先進率fの時間変動により発生する圧延鋼帯1の加減速発生の影響が考慮されていなかった。このため、ピンチロール6、巻取機マンドレル7およびコイル8のそれぞれのGD2 を加速させるために必要なトルクの基準値が実際の鋼帯に対し不適切な値となり、このアンバランスの影響により鋼帯に付与されている巻取張力が大きく変動し、鋼帯が巻取機サイドガイド9の入側で大きく横振れしたり、一方的に片寄り続けることで、コイル8の巻形状が著しく悪化するトラブルが発生していた。 【0009】一方、鋼帯5の重量は時に10トン程度と非常に大きい値となり、加速圧延を実施している期間においては、この鋼帯の慣性が巻取張力に与える影響を無視することはできない。しかし、これまでの巻取機マンドレル7の加速トルク制御においては、マンドレルの回転部分のGD2 と、マンドレル軸に巻付いているコイル8のもつGD2 を、所定の加速度の基準値dVR /dtまたはf・dVR /dtにより加速させるために必要なトルクしか補償されておらず、この鋼帯を加速させるために必要なトルクをマンドレルが補償していなかったため、鋼帯に付与させるべき張力がこの鋼帯5の加速のために消費されてしまい、コイルの巻姿を良好にするために必要な巻取張力を確保することができず、鋼帯の横振れや一方的な片寄り現象が発生するため、巻姿が悪化するという問題があった。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明は、上述のような問題を解消したもので、その発明の要旨とするところは、(1)仕上圧延機が鋼帯を圧延中で、かつ、その圧延中の鋼帯が巻取機マンドレルの軸に巻付いている状態の期間において、該鋼帯のうち仕上圧延機最終スタンド出側にあり、かつ、巻取機マンドレルに巻付いていない部分を加減速させるためのトルクを、巻取機マンドレルにより補償することを特徴とする圧延鋼帯の巻取方法。 【0011】(2)仕上圧延機が鋼帯を圧延中で、かつ、その圧延中の鋼帯が巻取機マンドレルの軸に巻付いている状態の期間において、該鋼帯のうち仕上圧延機最終スタンド出側に存在し、かつ、巻取機マンドレルに巻付いていない部分、該鋼帯のうち巻取機マンドレルに巻付いている部分、巻取機マンドレルの電動機を含む回転部分、および、巻取機ピンチロールの電動機を含む回転部分の加減速度の基準値を、仕上圧延機最終スタンドの圧延ロールの速度、およびその時間微分値、仕上圧延機最終スタンド出側の先進率、およびその時間微分値から演算することを特徴とする圧延鋼帯の巻取方法。 【0012】(3)前記(1)および(2)における加減速度の基準値αを、該鋼帯の仕上圧延機最終スタンドの圧延ロールの速度VR 、速度の時間微分値dVR /dt、先進率f、先進率の時間微分値df/dtを用い、 α=f・(dVR /dt)+(df/dt)・VR … (1) の式(1)により求めることを特徴とする圧延鋼帯の巻取方法。ただし、f:先進率(f>1)、t:時間【0013】(4)前記(1)を実現させるために必要となる巻取機マンドレルのトルクTHRT を、該鋼帯のうち仕上圧延機最終スタンド出側にあり、かつ、巻取機マンドレルに巻き取られていない部分の重量M、該鋼帯のうち巻取機マンドレルの軸に巻付いている部分の直径D、および、式(1)により求められる加減速度の基準値αを用い、 THRT =M・α・(D/2) … (2) の式(2)により求め、補償することを特徴とする圧延鋼帯の巻取方法にある。 【0014】 【発明の実施の形態】本発明の好ましい実施の形態は、前記圧延鋼帯の巻取方法において、仕上圧延機2の最終スタンドの速度VR を精度良く検出できる装置と、その速度VR を精度良く時間微分することで圧延ロールの加速度dVR /dtを精度良く求めることができる装置、最終スタンドの先進率fを精度良く求めることができる装置と、その先進率fを精度良く時間微分することで先進率の時間微分値df/dtを精度良く求める装置のそれぞれにより、式(1)で示される加速度αを求めることができるような装置または計算機を有し、さらに、計算機で演算された加速度αを用いることで、ピンチロール、巻取機マンドレルおよびコイルのGD2 と、鋼帯5の重量Mを加速度αで加速させるために必要となるトルクをそれぞれを適切に求め、指令を出すことができるような装置または計算機により、巻取機を制御することができることである。 【0015】以下、本発明を図面に従って詳細に説明する。図1は、本発明に係る一実施の形態に適用される仕上圧延機以降の熱間圧延ラインの概略構成を示す配置図である。図1に示すように、仕上圧延機2の最終スタンドの圧延ロールの速度を検出する装置により、圧延ロールの速度VR とその時間微分値dVR /dtを演算する。次に、仕上圧延機2の最終スタンドの先進率を演算する装置にて、先進率fとその時間微分値df/dtを演算する。なお、この速度VR および先進率fの値は、必ずしも実績の値である必要はなく、速度や先進率の演算に用いるための基準値であってもよい。 【0016】これらの値から、式(1)に従って、先進率の時間変動を考慮した加速度αを演算する計算機10を有し、これを巻取機マンドレル7およびピンチロール6のトルクを制御する装置に伝送する。巻取機マンドレル7およびピンチロール6のトルクを制御する装置においては、ピンチロールの回転部分のGD2 、コイル8のGD2 、鋼帯の重量を、前述の方法により演算された加速度αで加速するために必要となるマンドレルおよびピンチロールのトルクを演算する計算機11を有し、それぞれのモーターに対し、相当量のトルクを発生させる指令を出し制御を行う。 【0017】図2は本発明を実施するにあたり、ピンチロールおよび巻取機マンドレルのトルクを制御する場合のブロック図である。この図2に示すように、仕上圧延機の最終スタンドに設けた加速度の計算機10によって、仕上圧延機の最終スタンドの速度VR と最終スタンドの先進率f、およびその速度の時間微分値dVR /dtを用いて加減速度の基準値αを(1)式である、α=f・(df/dt)+(df/dt)・VR により求める工程を示している。また、この求められた加減速度の基準値αを用いてマンドレルのGD2 、コイルのGD2 、鋼帯の重量M、およびピンチロールのGD2 を加速度αで加速するために必要となるトルクをそれぞれ適切に求め演算し、求められたトルクに基づいてマンドレルモータートルク指令およびピンチロールモータートルク指令を出すことにより、巻取機を制御するものである。 【0018】図3は本発明に係る仕上圧延機の最終スタンドの圧延ロールの速度VR 、先進率f、VR の時間変化率dVR /dt、先進率の微分値df/dtおよび鋼帯の加速度αの値の巻取作業における時間変化について示したグラフである。この図3に示すように、本実施の形態の方法に従って、仕上圧延機2により圧延され、マンドレル7により巻き取られる圧延鋼帯1の、仕上圧延機2の最終スタンドの圧延ロールの速度VR 、VR の時間変化率dVR /dt、先進率の微分値df/dt、および、式(2)により求められる圧延鋼帯1の加速度αの値の、巻取作業における時間変化について示したグラフである。このように、先進率fの変動により、鋼帯の加速度は大きく変化するため、この影響を反映させないでマンドレルおよびピンチロールの加速トルク補償を行った場合、実際の鋼帯の加速度の変動は結果的に巻取張力の変動となって現れ、鋼帯の横振れや一方的な片寄り現象による巻形状不良が発生することとなる。図4は、仕上圧延機最終スタンドのロール速度VR が、圧延後の鋼帯の速度V1 とが異なる値であることを示す図である。 【0019】以上、本発明について具体的に説明したが、本発明は、前述した実施の形態に示したものに限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変更可能である。例えば、先進率の時間変化が急激である場合においても、マンドレルやピンチロールをこの急激な時間変化に合わせて加速補償を実施することは、機械の保護の観点から好ましくない。このような場合、先進率fの計算値やその時間微分値df/dt、あるいは式(1)で計算される加速度αに対し適切なフィルターないしは平均化処理を実施することや、実際の操業形態に制御方法を合わせ込むために、式(1)で計算される加速度α、あるいは、マンドレルやピンチロールの加速トルクに対して、適切な調整ゲインをかけることなども、本発明における請求項の範囲に属する。 【0020】 【発明の効果】以上述べたように、本発明により、鋼帯を仕上圧延機の最終スタンドで圧延中で、かつ、その鋼帯をマンドレルで巻き取っている期間において、先進率の変動を加速度の基準値に反映させないことや、コイルとなっていない部分の鋼帯に対する加速補償を行わないことに起因する加速トルクの変動や不足が、巻取張力の変動に及ぼす影響を大幅に減らすことができ、鋼帯の蛇行現象や一方的な片寄り現象がもたらす鋼帯のエッジの損傷や巻形状不良による品質トラブルを大幅に減少させることが可能となり、その結果、従来の巻姿不良コイルの発生本数(月間)35本に対して、本発明の実施により全く発生しない極めて優れた効果が得られた。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006655 【氏名又は名称】新日本製鐵株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年2月3日(1999.2.3) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100074790 【弁理士】 【氏名又は名称】椎名 彊
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| 【公開番号】 |
特開2000−225413(P2000−225413A) |
| 【公開日】 |
平成12年8月15日(2000.8.15) |
| 【出願番号】 |
特願平11−26208 |
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