| 【発明の名称】 |
H形鋼の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】永廣 尚志
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| 【要約】 |
【課題】圧延中の波打ちの発生を防止し、同一断面内での寸法・形状精度および長手方向でのフランジ幅の変動の少ないH形鋼の製造方法を提案する。
【解決手段】ブレークダウン圧延機による最終粗圧延後あるいは粗ユニバーサル圧延機による最初の圧延後の圧延材のウェブ相当部の断面積SWRとフランジ相当部の断面積SFRの比を、仕上圧延後の圧延材のウェブ相当部の断面積SWFとフランジ相当部の断面積SFFの比、SWF/SFFの0.90〜1.10倍とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ブレークダウン圧延機で同一孔型ロールによる複数回の圧延を行う粗圧延と、粗ユニバーサル圧延機とエッジング圧延機を含む粗ユニバーサル圧延機群による中間圧延と、仕上げユニバーサル圧延機による仕上圧延とを、順次圧延素材に施して、H形鋼とするにあたり、前記粗圧延後の圧延材の、下記(1)式で定義されるウェブ相当部の断面積SWRと下記(2)式で定義されるフランジ相当部の断面積SFRの比、SWR/SFRが、下記(3)式で定義される製品のウェブ相当部の断面積SWFと下記(4)式で定義される製品のフランジ相当部の断面積SFFの比、SWF/SFFの0.90〜1.10倍になるように、前記粗圧延の少なくとも最終パスでブレークダウン圧延機のロール間隔を調整することを特徴とするH形鋼の製造方法。 記 SWR=(Bk +Wh )×Tw /2 ……… (1) SFR=A0 −SWR ……… (2) SWF=(H−tf )×tw ……… (3) SFF=2B×tf −tf ×tw ……… (4) ここに、Bk :粗圧延後の圧延材の幅、Wh :粗ユニバーサル圧延機での最初の圧延に使用する水平ロール幅、Tw :Wh の範囲内での粗圧延後の圧延材のウェブ厚の平均値、A0 :粗圧延後の圧延材の全断面積、H :製品の目標ウェブ高さ、B :製品の目標フランジ幅、tf :製品の目標フランジ厚、tw :製品の目標ウェブ厚【請求項2】 ブレークダウン圧延機で同一孔型ロールによる複数回の圧延を行う粗圧延と、粗ユニバーサル圧延機とエッジング圧延機を含む粗ユニバーサル圧延機群による中間圧延と、仕上げユニバーサル圧延機による仕上圧延とを、順次圧延素材に施して、H形鋼とするにあたり、前記粗ユニバーサル圧延機での最初の圧延において、圧延後の圧延材の、下記(5)式で定義されるウェブ相当部の断面積SWR’と下記(6)式で定義されるフランジ相当部の断面積SFR’の比、SWR’/SFR’が、下記(3)式で定義される製品のウェブ相当部の断面積SWFと下記(4)式で定義される製品のフランジ相当部の断面積SFFの比、SWF/SFFの0.90〜1.10倍になるように、水平ロールのロール間隔を調整しウェブのみ圧延することを特徴とするH形鋼の製造方法。 記 SWR’=(Bk'+Wh )×Tw'/2 ……… (5) SFR' =A0'−SWR' ……… (6) SWF=(H−tf )×tw ……… (3) SFF=2B×tf −tf ×tw ……… (4) ここに、Bk':粗ユニバーサル圧延機での最初の圧延後の圧延材の幅、Wh :粗ユニバーサル圧延機での最初の圧延に使用する水平ロール幅、Tw':粗ユニバーサル圧延機での最初の圧延後の圧延材のウェブ厚、A0':粗ユニバーサル圧延機での最初の圧延後の圧延材の全断面積、H :製品の目標ウェブ高さ、B :製品の目標フランジ幅、tf :製品の目標フランジ厚、tw :製品の目標ウェブ厚 |
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、H形鋼の製造方法に係り、とくに長手方向のフランジ幅を含め寸法形状精度の良好なH形鋼を製造できる圧延方法に関する。 【0002】 【従来の技術】通常、再加熱されたH形鋼圧延素材は、1基または複数基のブレークダウン圧延機で粗圧延を、1基または複数基のユニバーサル圧延機と1基または複数基のエッジング圧延機からなる粗ユニバーサル圧延機群で中間圧延を順次施されたのち、仕上げユニバーサル圧延機で仕上圧延を施されて、H形鋼製品とされる。中間圧延および仕上圧延の各パスでは、ウェブ部の延びとフランジ部の延びのバランスが重要で、この延びのバランスが崩れると、圧延中にウェブやフランジの波打ちが生じたり、あるいは製品の断面寸法が長さ方向で大きなバラツキを生じたりする。 【0003】一方、粗圧延は、ブレークダウン圧延機で孔型ロールを使用して行われるが、複数の孔型を使用し、1つの孔型で1パスのみを圧延する場合には、孔型のフランジ部に材料が充満し、所望のウェブ部とフランジ部の断面積比率を得ることができる。しかし、ロールに設けることができる孔型の数は制限されるため、通常は、1つの孔型で複数パスの圧延が行われる。 【0004】同一孔型で、順次ロール間隙を狭めながら複数パスの圧延を行うと、最初のパス以外はウェブ部の厚み方向とフランジ部の高さ方向の圧下量は同一となる。このため、断面積の減少率は、圧下方向の寸法が小さいウェブ部の方が、フランジ部のそれより大きくなり、ウェブ部では、フランジ部に比べ長さ方向へ延びようとする傾向が大きくなり、フランジ部が引っ張られることになる。これにより、フランジ部が孔型で構成される断面積の減少率以上に延ばされて、孔型断面に未充満部を生じることになる。この未充満量は、同一孔型でのパス回数が多くなるにしたがい大きくなる。 【0005】従来は、この未充満量を経験的に推定し、ウェブ部とフランジ部の断面積比が経験に基づく適正範囲にはいるように、ブレークダウン圧延機による粗圧延の最終ウェブ厚を決定していた。しかしながら、この未充満量は、圧延材の組成や温度、ロールの材質や表面性状等により大きく変化するため、圧延材やロールを変更した直後に、この未充満量が推定値から大きく外れることがしばしば発生する。このため、ウェブ部とフランジ部の断面積比が目標から大きくずれ、ユニバーサル圧延や製品の断面寸法精度に悪影響を及ぼしていた。 【0006】このような問題に対し、例えば、特開平8-39118 号公報には、ブレークダウン圧延機で圧延される圧延材の寸法形状を測定し、この測定値に基づいてブレークダウンミルのロールの圧下位置、間隔またはスラスト量、あるいはマニュプレータの位置または間隔を単独あるいは複数同時に制御する形鋼の熱間圧延方法が開示されている。特開平8-39118 号公報に記載された方法は、H形鋼製品の同一断面内での寸法形状精度の向上を目的として、ブレークダウン圧延中の圧延材の寸法形状の測定値をもとに、上下左右の4つのフランジ部の断面積を演算して、各フランジ部の断面積の偏りを抑制するようにロール位置、スラスト量、マニュプレータ位置等を制御している。 【0007】また、特開平9-52101 号公報には、ブレークダウン圧延機の近傍に配置された熱間形状認識装置によって被圧延材の形状を測定し、そのデータに基づいて、ブレークダウン圧延機の各圧延ロールのレベリング姿勢を制御してビームブランクを圧延するH形鋼の造形圧延法が提案されている。特開平9-52101 号公報に記載された方法では、H形鋼製品の同一断面内での寸法形状精度の向上のみを目的として、被圧延材の形状の測定データからウェブ厚、フランジ幅、上下左右のフランジ断面積を算出し比較して、フランジ部での厚み、幅の非対称性を修正するように圧延ロールのレベリング姿勢を制御している。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平8-39118 号公報、特開平9-52101 号公報に記載された方法は、いずれも上下左右の4つのフランジ部の断面積の偏りを修正することにより同一断面内の寸法精度を向上させようとするものであり、長手方向両端部のフランジ部幅の変動が大きく、歩留りが低下するという問題が残されていた。これらの方法では、長手方向の、とくに両端部の寸法精度の向上は考慮されていなかったのである。 【0009】本発明は、このような従来技術の問題を解決し、圧延中のウェブ部やフランジ部の波打ちの発生を防止し、同一断面内での寸法・形状精度に優れ、かつ長手方向での寸法精度、とくに先後端部におけるフランジ幅の変動の少ないH形鋼の製造方法を提案することを目的とする。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を達成するため、まず粗圧延後の適正ウェブ厚さについて鋭意研究した。その結果、粗圧延後のウェブ部とフランジ部の断面積比が、仕上げ圧延後(製品)のウェブ部とフランジ部の断面積比にほぼ等しくなるように、粗圧延後のウェブ厚さを調整すれば良いことに想到した。さらに、粗ユニバーサル圧延機での最初の圧延後のウェブ部とフランジ部の断面積比が同様の条件を満たせば、同様の効果が得られるという知見も得た。 【0011】ウェブ部とフランジ部の断面積比を考えるうえで、本発明者は、H形鋼のウェブとフランジの付け根部分である、斜線部13(図7)に注目した。斜線部13は、中間圧延、仕上げ圧延時に幅、および高さが共に減少する変形を受けるが、斜線部13以外の他の部分は、厚み方向のみの変形を受ける。このため、斜線部13の各パスでの変化率は他の部分の変化率と異なり、この斜線部13をウェブ部あるいはフランジ部のどちらか一方に含めると、各パスでのウェブ部とフランジ部の断面積比の変化が異なってくることになる。そこで、本発明者は、この斜線部13をウェブ部とフランジ部に半分づつ含まれることとし、ウェブ部とフランジ部の区分を図1、図2に示すように、ウェブ相当部11、12と、フランジ相当部14、15とした。図1、図2では、ウェブ相当部11、12は斜線部であり、残りの部分はフランジ相当部14、15である。 【0012】本発明者は、新たに定義したウェブ相当部と、フランジ相当部を採用し、粗圧延後のウェブ相当部とフランジ相当部の断面積比が、仕上げ圧延後(製品)のウェブ相当部とフランジ相当部の断面積比にほぼ等しくなるように粗圧延でのロール間隔を調整し粗圧延の最終ウェブ厚とすれば、フランジ部が多少偏充満していても、あるいはフランジ断面積が上下左右で多少非対称となっていても、同一断面内での寸法・形状精度が良好なうえ、長手方向での寸法精度、とくに先後端部におけるフランジ幅の変動を少なくしたH形鋼を製造できることを見い出した。 【0013】また、粗ユニバーサル圧延機での最初の圧延において、圧延後のウェブ相当部とフランジ相当部の断面積比が仕上げ圧延後(製品)のウェブ相当部とフランジ相当部の断面積にほぼ等しくなるように、水平ロールを調整してウェブのみを圧延しても同様の効果が得られることを見い出した。本発明は、上記した知見をもとに構成されたものである。 【0014】すなわち、本発明は、ブレークダウン圧延機で同一孔型ロールによる複数回の圧延を行う粗圧延と、粗ユニバーサル圧延機とエッジング圧延機とを含む粗ユニバーサル圧延機群による中間圧延と、仕上げユニバーサル圧延機による仕上圧延とを、順次圧延素材に施して、H形鋼とするにあたり、前記粗圧延後の圧延材の、次(1)式 SWR=(Bk +Wh )×Tw /2 ……… (1) で定義されるウェブ相当部の断面積SWRと次(2)式 SFR=A0 − SWR ……… (2) で定義されるフランジ相当部の断面積SFRの比、SWR/SFRが、次(3)式 SWF=(H−tf )×tw ……… (3) で定義される製品のウェブ相当部の断面積SWFと次(4)式 SFF=2B×tf −tf ×tw ……… (4) で定義される製品のフランジ相当部の断面積SFFの比、SWF/SFFの0.90〜1.10倍になるように、前記粗圧延の少なくとも最終パスでブレークダウン圧延機のロール間隔を調整することを特徴とするH形鋼の製造方法である。なお、Bk :粗圧延後の圧延材の幅、Wh :粗ユニバーサル圧延機での最初の圧延に使用する水平ロール幅、Tw :Wh の範囲内での粗圧延後の圧延材のウェブ厚の平均値、A0 :粗圧延後の圧延材の全断面積、H:製品の目標ウェブ高さ、B:製品の目標フランジ幅、tf :製品の目標フランジ厚、tw :製品の目標ウェブ厚である。 【0015】また、本発明は、ブレークダウン圧延機で同一孔型ロールによる複数回の圧延を行う粗圧延と、粗ユニバーサル圧延機とエッジング圧延機とを含む粗ユニバーサル圧延機群による中間圧延と、仕上げユニバーサル圧延機による仕上圧延とを、順次圧延素材に施して、H形鋼とするにあたり、前記粗ユニバーサル圧延機での最初の圧延において、圧延後の圧延材の、次(5)式 SWR’=(Bk'+Wh )×Tw'/2 ……… (5) で定義される製品のウェブ相当部の断面積SWR’と次(6)式 SFR’=A0'− SWR’ ……… (6) で定義される製品のフランジ相当部の断面積SFR’の比、SWR’/SFR’が、次(3)式 SWF=(H−tf )×tw ……… (3) で定義される製品のウェブ相当部の断面積SWFと次(4)式 SFF=2B×tf −tf ×tw ……… (4) で定義される製品のフランジ相当部の断面積SFFの比、SWF/SFFの0.90〜1.10倍になるように、水平ロールのロール間隔を調整しウェブのみ圧延することを特徴とするH形鋼の製造方法である。なお、Bk':粗ユニバーサル圧延機での最初の圧延後の圧延材の幅、Wh :粗ユニバーサル圧延機での最初の圧延に使用する水平ロール幅、Tw':粗ユニバーサル圧延機での最初の圧延後の圧延材のウェブ厚、A0':粗ユニバーサル圧延機での最初の圧延後の圧延材の全断面積、H:製品の目標ウェブ高さ、B:製品の目標フランジ幅、tf :製品の目標フランジ厚、tw :製品の目標ウェブ厚である。 【0016】 【発明の実施の形態】本発明の実施に好適な圧延設備列の例を図4に示す。図4に示す圧延設備列では、上流側からブレークダウン圧延機1と、粗ユニバーサル圧延機2a とエッジング圧延機2bとからなる粗ユニバーサル圧延機群2と、仕上げユニバーサル圧延機3とが順次配置されている。図4の例では、ブレークダウン圧延機1の後面には被圧延材の形状測定装置5が設置されている。 【0017】所定の温度に加熱された圧延素材は、ブレークダウン圧延機1により同一孔型ロールによる複数回の圧延を行う粗圧延を施されたのち、粗ユニバーサル圧延機2aとエッジング圧延機2bとからなる粗ユニバーサル圧延機群2で中間圧延、ついで仕上げユニバーサル圧延機3により仕上げ圧延が施され、所望の寸法形状を有するH形鋼とされる。 【0018】本発明では、粗圧延後の圧延材のウェブ相当部の断面積SWRとフランジ相当部の断面積SFRの比、SWR/SFRが、仕上圧延後の圧延材(製品)のウェブ相当部の断面積SWFとフランジ相当部の断面積SFFの比、SWF/SFFの0.90〜1.10倍になるように、粗圧延の少なくとも最終パスでブレークダウン圧延機のロール間隔を調整し、粗圧延後の圧延材のウェブ厚さを制御する。あるいは、粗ユニバーサル圧延機での最初の圧延において、圧延後の圧延材のウェブ相当部の断面積SWR’とフランジ相当部の断面積SFR’の比、SWR’/SFR’が、仕上げ圧延後の圧延材(製品)のウェブ相当部の断面積SWFとフランジ相当部の断面積SFFの比、SWF/SFFの0.90〜1.10倍になるように、粗ユニバーサル圧延機の垂直ロールは開放しておき、水平ロールのロール間隔を調整し、ウェブのみを圧下し、ウェブ厚さを制御する。 【0019】これにより、フランジ部が多少偏充満していても、あるいはフランジ断面積が上下左右で多少非対称となっていても、同一断面内での寸法・形状精度が良好なうえ、長手方向での寸法精度、とくに先後端部におけるフランジ幅の変動を少なくしたH形鋼を製造できる。また、以降の中間圧延での波打ち等の圧延トラブルが減少するとともに、製品の断面寸法精度が向上する。 【0020】粗圧延後の圧延材の形状・寸法、およびウェブ相当部、フランジ相当部を模式的に図1に示す。Bk は圧延材の幅、Wh は粗ユニバーサル圧延機での最初の圧延に使用する水平ロールの幅、Tw はWh の範囲内でのウェブ厚さの平均値である。本発明では、ウェブ部とフランジ部の区分として、ウェブ部およびフランジ部の付け根領域をウェブ部、フランジ部にそれぞれ半分づつ分配してウェブ相当部とフランジ相当部とした。斜線部はウェブ相当部12、残りの部分はフランジ相当部15である。フランジ相当部15は、左右上下のフランジ部15a 、15b 、15c 、15d からなる。したがって、粗圧延後の圧延材のウェブ相当部断面積SWRは(1)式で、フランジ相当部断面積SFRは(2)式で、定義される。なお、A0は粗圧延後の圧延材の全断面積である。 【0021】 SWR=(Bk +Wh )×Tw /2 ……… (1) SFR=A0 − SWR ……… (2) 粗ユニバーサル圧延機での最初の圧延後の圧延材の形状・寸法、およびウェブ相当部、フランジ相当部を模式的に図3に示す。Bk'は粗ユニバーサル圧延機での最初の圧延後の圧延材の幅、Wh は粗ユニバーサル圧延機での最初の圧延に使用する水平ロール幅、Tw'は粗ユニバーサル圧延機での最初の圧延後の圧延材のウェブ厚である。本発明では、ウェブ部とフランジ部の区分として、ウェブ部およびフランジ部の付け根領域をウェブ部、フランジ部にそれぞれ半分づつ分配してウェブ相当部とフランジ相当部とした。斜線部はウェブ相当部12' 、残りの部分はフランジ相当部15' である。フランジ相当部15' は、左右上下のフランジ部15a'、15b'、15c'、15d'からなる。したがって、粗ユニバーサル圧延機での最初の圧延後の圧延材のウェブ相当部断面積SWR’は(5)式で、フランジ相当部断面積SFR’は(6)式で、定義される。なお、A0'は粗ユニバーサル圧延機での最初の圧延後の圧延材の全断面積である。 【0022】 SWR’=(Bk'+Wh )×Tw'/2 ……… (5) SFR' =A0'−SWR' ……… (6) また、仕上げ圧延後の圧延材(製品)の形状・寸法、およびウェブ相当部、フランジ相当部を模式的に図2に示す。Hはウェブ高さ、Bはフランジ幅、tw はウェブ厚さ、tf はフランジ厚さであり、斜線部11はウェブ相当部11、残りの部分はフランジ相当部14である。フランジ相当部14は、左右上下のフランジ部14a、14b 、14c 、14d からなる。したがって、仕上げ圧延後の圧延材(製品)のウェブ相当部の断面積SWFは(3)式で、フランジ相当部の断面積SFFは(4)式で、定義される。 【0023】 SWF=(H−tf )×tw ……… (3) SFF=2B×tf −tf ×tw ……… (4) なお、仕上げ圧延後の圧延材のH、B、tw 、tf は製品寸法の目標値を用いて計算するものとする。ブレークダウン圧延機のロール間隔の調整はつぎのように行うのが望ましい。粗圧延の最終圧延パスに近い段階、例えば、最終圧延パスの2パス前までを標準のロール間隙設定で圧延した後、ブレークダウン圧延機の後面に配置された形状測定装置5で被圧延材の断面形状を測定し、(1)、(2)式によりウェブ相当部とフランジ相当部の断面積比を演算する。その計算された断面積比とそのパスでの目標値とを比較し、計算された断面積比が目標値より大きいときは、それ以降の圧延パスでブレークダウン圧延機のロール間隔を標準より小さくし、一方、計算された断面積比が目標値より小さいときは、その後の圧延パスでロール間隔を標準より大きく調整するのが望ましい。目標値は、粗圧延後の圧延材のウェブ相当部とフランジ相当部の断面積比が、(3)、(4)式で定義される製品のウェブ相当部とフランジ相当部の断面積比にほぼ等しく(0.90〜1.10倍)なるように圧延材の材質や圧延温度を考慮して設定する。これらの演算は、すべて演算装置(コンピュータ)により行われる。 【0024】一方、粗ユニバーサル圧延機での最初の圧延時の水平ロール間隔の調整は粗圧延終了後に、圧延材の断面形状を再び形状測定装置5で測定し、(1)、(2)式によりウェブ相当部とフランジ相当部の断面積比を演算する。その計算された断面積比とそのパスでの目標値とを比較し、計算された断面積比が目標値より大きいときは、粗ユニバーサル圧延機での最初の圧延で水平ロール間隔を標準より小さくし、一方、計算された断面積比が目標値より小さいときは、水平ロール間隔を標準より大きく調整するのが望ましい。このとき、垂直ロールでのフランジ部の圧下は行わず、ウェブのみが圧下される。ウェブ厚の目標値は、(5)、(6)式で定義される粗ユニバーサル圧延機での最初の圧延後の圧延材のウェブ相当部とフランジ相当部の断面積比が、製品のウェブ相当部とフランジ相当部の断面積比にほぼ等しく(0.90〜1.10倍)なるように圧延材の材質や圧延温度を考慮して設定する。この場合、全断面積A0'、圧延材の幅Bk'としては、粗圧延後の測定データを流用する。これらの演算は、すべて演算装置(コンピュータ)により行われる。これらの調整量は被圧延材の組成、温度が変化した場合には当然変更される。 【0025】また、ブレークダウン圧延機でのロール間隔の調整については図4とは異なり、形状測定装置5を、ブレークダウン圧延機1の前面に設置し、最終パス前に被圧延材の断面形状を測定し、最終1パスのみのロール間隔調整でウェブ相当部とフランジ相当部の断面積比を目標どおりに修正してもよい。また、図5に示すように、2基のブレークダウン圧延機1、1aを設置し、ブレークダウン圧延機1と第2のブレークダウン圧延機1aの間に形状測定装置5を配して粗圧延を行ってもよい。この圧延設備列で圧延する場合には、、ブレークダウン圧延機1による圧延後、被圧延材の断面形状を測定し、その結果に基づいて、第2のブレークダウン圧延機1aのパススケジュールを修正するのがよい。 【0026】また、粗圧延後あるいは粗ユニバーサル圧延機での最初の圧延後の圧延材のウェブ相当部とフランジ相当部の断面積比、SWR/SFRあるいはSWR’/SFR’は、仕上圧延後の圧延材(製品)のウェブ相当部の断面積SWFとフランジ相当部の断面積SFFの比、SWF/SFFの0.90〜1.10倍の範囲とする。(SWR/SFR)/(SWF/SFF)あるいは(SWR’/SFR’)/(SWF/SFF)が0.90未満では、ウェブ厚さが不足し、以降の圧延でフランジ圧下量をウェブ圧下量に比べ大きくする必要があるため、最終製品のフランジ幅が増大し、とくに先後端部のフランジ幅の変動(増加)が大きくなる(図6(a))。一方、(SWR/SFR)/(SWF/SFF)あるいは(SWR’/SFR’)/(SWF/SFF)が1.10を超えると、ウェブ厚さが厚く、以降の圧延でウェブ圧下量をフランジ圧下量に比べ大きくする必要があるため、最終製品のフランジ幅が減少し、とくに先後端部のフランジ幅の変動(減少)が大きくなる(図6(b))。また、粗ユニバーサル圧延中にウェブの延びがフランジの延びより大きくなり、ウェブの波打ち現象が生じる可能性が高くなる。なお、図6はH形鋼フランジ形状を模式的に示す図である。 【0027】なお、ウェブ相当部とフランジ相当部の断面積比は、以降の圧延中も殆ど変化せずほぼ一定値とするのが望ましい。なお、粗圧延においては、断面形状をさらに向上させるため、ブレークダウン圧延機1のロール間隔調整に加えて、圧延ロールのレベル調整、およびマニュプレータ調整を行ってもよい。ここで、圧延ロールのレベル調整とは、圧延ロールの鉛直方向相対姿勢を圧延ロールレベリング調整アクチュエータ等を用いて調整することをいう。また、マニュプレータ調整とは、圧延機前後に設置したマニュプレータを用いて被圧延材の水平方向の位置を調整することをいう。 【0028】また、粗ユニバーサル圧延機群による中間圧延では、断面形状をさらに向上させるため、水平ロールのスラスト調整や、エッジャー圧延機によるウェブ中心偏り修正を行ってもよい。 【0029】 【実施例】(実施例1)SM 490相当の組成を有する圧延素材に、図4に示す配列の圧延設備を用いて、粗圧延、中間圧延、仕上げ圧延を施し、H形鋼(H900 ×300 ×16×28mm)とした。まず、圧延素材を、ブレークダウン圧延機1により粗圧延最終パスの2パス前まで圧延したのち、形状測定装置5で被圧延材の断面形状を測定した。この測定データから、ウェブ相当部の断面積とフランジ相当部の断面積の比、SWR/SFRを計算し、粗圧延終了後の圧延材のSWR/SFRが、製品のウェブ相当部の断面積SWFとフランジ相当部の断面積SFFの比、SWF/SFF(0.85)とほぼ等しくなるように、最終2パスのロール間隔を調整した。なお、1部の形鋼では、ブレークダウン圧延機1のロール間隔調整に加えて、圧延ロールのレベル調整、およびマニュプレータ調整を行った(粗圧延条件II)。なお、ブレークダウン圧延機のロール間隔のみの調整は粗圧延条件Iとした。 【0030】なお、粗圧延終了後、形状測定装置5で断面形状を測定し、ウェブ厚さTw 、ウェブ相当部断面積SWRおよびフランジ相当部断面積SFRを求めた。また、左右上下のフランジ相当部14a 、14b 、14c 、14d (図1参照)の断面積のうち最大値と最小値を求め、次(7)式 対称性指数N=(最大値−最小値)/(SFR/4)……(7) で定義されるフランジ相当部の対称性指数Nを求め、左右上下のフランジ相当部の対称性を評価した。(なお、SFRは、粗圧延終了後の圧延材のフランジ相当部断面積である。) ついで、粗圧延を終了した圧延材に、粗ユニバーサル圧延機2aおよびエッジング圧延機2bによる中間圧延および仕上げユニバーサル圧延機3による仕上げ圧延を施し、製品とした。一部の形鋼については、中間圧延で、水平ロールのスラスト調整や、エッジング圧延機によるウェブ中心偏り修正を行った(中間圧延条件B)。なお、スラスト調整やウェブ中心偏り修正を行わない通常条件を中間圧延条件Aとした。 【0031】製品について、形状とフランジ幅を調査し、定常部のフランジ幅の製品寸法目標値からのばらつき、および先後端部(非定常部)でのフランジ幅の許容範囲外れ総長さを求めた。これらの結果を表1に示す。 【0032】 【表1】
【0033】(SWR/SFR)/(SWF/SFF)がほぼ1に等しい本発明例は、仕上げ圧延後の製品形状が良好で、正常部フランジ幅のばらつきも少なく、また、先後端部でのフランジ幅許容範囲外れ総長さも短く、寸法形状の優れたH形鋼となっている。粗圧延で、ブレークダウン圧延機のロール間隔調整に加えて、ロールレベル調整やマニュプレータ調整を行うことにより、ロール間隔調整のみの場合に比べ、粗圧延時のフランジ相当部の対称性が増し、製品の寸法形状のばらつきはより少なくなっている(形鋼No.1、No.3、No.5)。一方、(SWR/SFR)/(SWF/SFF)が、1から大きく外れる比較例では、中間圧延時に圧延トラブルが発生し、フランジあるいはウェブに波打ちが生じ、製品の寸法・形状が劣化した。 【0034】(実施例2)SM 490相当の組成を有する圧延素材に、図4に示す配列の圧延設備を用いて、粗圧延、中間圧延、仕上げ圧延を施し、H形鋼(H900 ×300 ×16×28mm)とした。まず、圧延素材を、ブレークダウン圧延機1により粗圧延最終パスまで圧延したのち、形状測定装置5で被圧延材の断面形状を測定した。この測定データから、粗ユニバーサル圧延機での最初の圧延後の圧延材のウェブ相当部の断面積とフランジ相当部の断面積の比、SWR’/SFR’が、製品のウェブ相当部の断面積SWFとフランジ相当部の断面積SFFの比、SWF/SFF(0.85)とほぼ等しくなるように、粗ユニバーサル圧延機での最初の圧延時の水平ロール間隔を調整した。この場合、粗ユニバーサル圧延機の最初の圧延におけるウェブ厚さのみの圧下では、全断面積A0'および圧延材の幅Bk'は最終粗圧延後の値からほとんど変化していないとして計算した。 【0035】なお、粗圧延終了の形状測定装置5での断面形状を測定し、圧延材の全断面積A0 、幅Bk およびウェブ厚さTw 、ウェブ相当部断面積SWRおよびフランジ相当部断面積SFRを求めた。また、左右上下のフランジ相当部14a 、14b 、14c 、14d (図1参照)の断面積のうち最大値と最小値を求め、次(7)式 対称性指数N=(最大値−最小値)/(SFR/4)……(7) で定義されるフランジ相当部の対称性指数Nを求め、左右上下のフランジ相当部の対称性を評価した。(なお、SFRは、粗圧延終了後の圧延材の製品のフランジ相当部断面積である。) なお、表2中、形鋼No.2-1〜2-8 は対称性のよいもの、No.2-9、2-10は対称性の劣るものである。 【0036】粗圧延を終了した圧延材に、粗ユニバーサル圧延機2aでの最初の圧延で、ウェブ厚みのみ圧下する圧延(圧延後のウェブ厚さは表2参照)を行ったのち、エッジング圧延機2bおよび粗ユニバーサル圧延機2aによる中間圧延および仕上げユニバーサル圧延機3による仕上げ圧延を施し、製品とした。形鋼No.2-10 については、中間圧延で、水平ロールのスラスト調整や、エッジング圧延機によるウェブ中心偏り修正を行った(B)。その他については、スラスト調整やウェブ中心偏り修正を行わない通常条件(A)とした。 【0037】製品について、形状とフランジ幅を調査し、定常部のフランジ幅の製品寸法目標値からのばらつき、および先後端部(非定常部)でのフランジ幅の許容範囲外れ総長さを求めた。これらの結果を表2に示す。 【0038】 【表2】
【0039】粗ユニバーサル圧延機での最初の圧延後の(SWR’/SFR’)/(SWF/SFF)がほぼ1に等しい本発明例は、仕上げ圧延後の製品形状が良好で、正常部フランジ幅のばらつきも少なく、また、先後端部でのフランジ幅許容範囲外れ総長さも短く、寸法形状の優れたH形鋼となっている。粗圧延で、フランジ相当部の対称が劣るものでも(SWR’/SFR’)/(SWF/SFF)を本発明範囲内とすることにより、製品の寸法形状のばらつきをより少なくできる(形鋼No.2-10 )。一方、(SWR’/SFR’)/(SWF/SFF)が、1から大きく外れる比較例では、中間圧延時に圧延トラブルが発生し、フランジあるいはウェブに波打ちが生じ、製品の寸法・形状が劣化した。 【0040】 【発明の効果】本発明によれば、中間圧延での波打ちの発生等のトラブルが少なく、製品の同一断面内および長手方向での形状・寸法精度に優れたH形鋼が安定して製造でき、産業上格段の効果を奏する。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001258 【氏名又は名称】川崎製鉄株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年10月29日(1998.10.29) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100099531 【弁理士】 【氏名又は名称】小林 英一
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| 【公開番号】 |
特開2000−135501(P2000−135501A) |
| 【公開日】 |
平成12年5月16日(2000.5.16) |
| 【出願番号】 |
特願平10−308365 |
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