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【発明の名称】 縦軸回転加熱処理炉を備えた被処理物の処理方法と処理装置
【発明者】 【氏名】柏木 佳行

【要約】 【課題】廃棄物等の加熱処理には、ロータリーキルン方式により処理するのが一般的であるが、この方式は、連続加熱処理が基本で、少量の処理物の処理には適さない。

【解決手段】縦軸回転する加熱処理炉10と、この処理炉10の上部から被処理物を投入する被処理供給手段20と、処理炉10で加熱処理した残渣を排出する排出手段30を備え、加熱処理炉10に被処理物と脱塩素剤の混合物を投入して、被処理物から有害物質を分解析出する温度で加熱し、分解ガスと混入した脱塩素剤とを接触反応させて、有害物質を無害化し、無害化した残渣を排出する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 加熱処理炉で有機性物質を含有する廃棄物などの被処理物を加熱して、分解ガスと残渣の減容物を生成し、分解ガスは処理して大気中に放出し、減容化物は回収して再利用又は減容化する被処理物の処理方法において、前記加熱処理炉を縦軸回転する回転加熱処理炉で形成し、該回転加熱処理炉の上部から被処理物と脱塩素剤の混合物を投入して、低酸素雰囲気中で回転撹拌しながら少なくとも、被処理物から有害物質が分解析出する温度で加熱し、析出した有害物と、混合又は添加した脱塩素剤とを接触反応させて無害な物質に置換生成することで無害化し、無害化した被処理物を回転加熱処理炉の下部から排出するようにしたことを特徴とする縦軸回転加熱処理炉を備えた被処理物の処理方法。
【請求項2】 請求項1記載の方法で無害化した被処理物を炭化する以前で減容化が可能な温度,炭化する温度又は灰化する温度のいずれかの温度で加熱して減容化し、この減容化物を回転加熱処理炉の下部から排出するようにしたことを特徴とする縦軸回転加熱処理炉を備えた被処理物の処理方法。
【請求項3】 脱塩素剤は多孔質化したアルカリ物質の粉体、又は多孔質化しないアルカリ物質の粉体であることを特徴とする請求項1又は2記載の縦軸回転加熱処理炉を備えた被処理物の処理方法。
【請求項4】 アルカリ物質の脱塩素剤は、加熱により被処理物から分解析出する有害成分と反応して無害な塩化物を生成するアルカリ金属,アルカリ金属化合物,アルカリ土類化合物,アルカリ土類金属化合物に含まれる物質の中から少なくとも1種類を選択、又は2種以上を混合したものであることを特徴とする請求項1,2,3のいずれか1項に記載の縦軸回転加熱処理炉を備えた被処理物の処理方法。
【請求項5】 アルカリ金属化合物は、炭酸水素ナトリウム,炭酸ナトリウム,セスキ炭酸ナトリウム,天然ソーダ,炭酸カリウム,炭酸水素カリウム,炭酸ナトリウムカリウム,水酸化ナトリウム,水酸化カリウムから選択した単体、複数種の混合であることを特徴とする請求項4記載の縦軸回転加熱処理炉を備えた被処理物の処理方法。
【請求項5】 アルカリ物質の脱塩素剤は、加熱により分離飛散する気化成分を含有し、且つ有害成分と反応して無害な塩類を生成するアルカリ物質体からなり、該アルカリ物質体を加熱してアルカリ物質体に含有する気化成分を分離除去することで多孔質化し表面積が増加した粉体であることを特徴とする請求項1,2,3のいずれか1項に記載の縦軸回転加熱処理炉を備えた被処理物の処理方法。
【請求項7】 アルカリ物質の脱塩素剤は、気化成分を含有し、且つ有害成分と反応して無害な塩類を生成するアルカリ金属化合物に含まれる物質の中から少なくとも1種類を選択、又は2種類以上を混合したものであることを特徴とする請求項1,3,6のいずれか1項に記載の縦軸回転加熱処理炉を備えた被処理物の処理方法。
【請求項8】 アルカリ金属化合物は、炭酸水素ナトリウム,セスキ炭酸ナトリウム,炭酸水素カリウムから選択した単体、複数種の混合であることを特徴とする請求項7記載の縦軸回転加熱処理炉を備えた被処理物の処理方法。
【請求項9】 加熱処理炉で有機性物質を含有する廃棄物などの被処理物を加熱して、分解ガスと残渣の減容物を生成し、分解ガスは処理して大気中に放出し、減容化物は回収して再利用又は減容化する被処理物の処理装置において、縦軸回転する加熱処理炉からなる回転加熱処理炉と、この回転加熱処理炉の上部に設置され、被処理物と脱塩素剤との混合物を回転加熱処理炉に供給する被処理物供給手段と、前記回転加熱処理炉の下部に設置され、回転加熱処理炉で加熱処理された処理物を排出する残渣排出手段と、前記回転加熱処理炉の軸心部を上,下に貫通し、回転加熱処理炉の外部で支持した支持軸からなり、回転加熱処理炉の内部に位置する支持軸に複数枚の羽根を設けて被処理物の撹拌を助勢する撹拌補助手段とで構成したことを特徴とする縦軸回転加熱処理炉を備えた被処理物の処理装置。
【請求項10】 被処理物供給手段の被処理物の供給部と、回転加熱処理炉の投入部との連結部に外気の侵入を防止するシールを設けたことを特徴とする請求項9記載の縦軸回転加熱処理炉を備えた被処理物の処理装置。
【請求項11】 回転加熱処理炉の加熱手段は、外部加熱によるガス加熱、誘導加熱、マイクロ波加熱のいずれか、又は組み合わせであることを特徴とする請求項9記載の縦軸回転加熱処理炉を備えた被処理物の処理装置。
【請求項12】 回転加熱処理炉は、上部に回転支持部と回転駆動部を備え、下部に回転ガイド部を設けて回転自在に支持したことを特徴とする請求項9又は11記載の縦軸回転加熱処理炉を備えた被処理物の処理装置。
【請求項13】 回転加熱処理炉内に、被処理物を撹拌する羽根を、周方向および軸方向に複数板設けたことを特徴とする請求項9,11,12のいずれか1項に記載の縦軸回転加熱処理炉を備えた被処理物の処理装置。
【請求項14】 撹拌補助手段の支持軸は、固定又は加熱処理炉の回転と反対方向に回転可能に支持し、被処理物が回転ドラムに追従するのを抑制して被処理物の撹拌を助勢するようにしたことを特徴とする請求項9,11,12,13のいずれか1項に記載の縦軸回転加熱処理炉を備えた被処理物の処理装置。
【請求項15】 回転加熱処理炉の排出部と残渣排出手段の残渣導入部との連結部に、開閉部材を設けて、加熱処理中は閉じ、排出時に開いて排出管に被処理物を排出するようにしたことを特徴とする請求項9,10,12,13,14のいずれか1項に記載の縦軸回転加熱処理炉を備えた被処理物の処理装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、廃棄物などの被処理物を加熱処理する処理方法と処理装置に関し、特に、縦軸回転加熱炉を備え、加熱処理により発生する排ガスの無害化と残渣の無害化ができ、且つ少量の被処理物の処理に適した処理方法および処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】被処理物を加熱処理する場合に、回転ドラム(ロータリーキルン)内に被処理物を挿入して、回転ドラム内を加熱しながら移動して処理することが一般的に行われている。また、加熱のみならず冷却についても回転ドラム内で行われている(例えば、特開平9−68305号)。
【0003】被処理物としては、有機性物質(例えば、有機塩素化合物等)を含む物質,汚泥,焼却灰,バグフィルタ用処理剤,セメントクリンカー原料等で、これらの被処理物を回転ドラム(ロータリーキルン)内に搬入し、加熱目的、例えば、乾燥,脱塩素処理,乾留,炭化,灰化,焼成等に適合した温度と時間で加熱して目的の処理を行っている。
【0004】産業廃棄物や一般廃棄物等の各種廃棄物は多量の有機性物質を含有しており、これを被処理物として加熱処理すると、各種の有害物質(例えば、塩化水素,ダイオキシン類)が析出して排ガス中に含まれていることは広く知られている。従って、この排ガスを大気中にそのまま排出することはできないので、大気中に排出する前段階で排ガスの浄化処理を行うこと(排出の抑制)が一般に行われる。
【0005】この排ガスの浄化装置として一般的な装置として、特開平8−108026号などに示されているバグフィルタ装置がある。この装置は、排ガスの浄化剤として消石灰を使用して排ガス中の塩化水素,ダイオキシン類を除去するようにしている。
【0006】また、加熱処理により多量に発生した塩化水素は、苛性ソーダなどで中和するか、塩酸にして回収することも一般に行われている。
【0007】しかし、排ガス処理のための、バグフィルタで使用した消石灰粉末、排ガス中の飛灰,焼却残渣(焼却灰等)などの、排ガス以外の物にも塩素系ガス成分は付着・吸着されて、猛毒のダイオキシン類を生成してしまうことが知られている。
【0008】また、加熱処理炉を縦形にして固定し、被処理物を上部より投入し、下部より排出するものも、例えば特開平9−272877号等で知られている。
【0009】一方、本願の出願人は、ハロゲン物質である有機塩素化合物(塩化水素)が、従来の「排出の抑制」でなく、「発生の抑制」を行うことで、塩化水素などの有害物質の発生を抑制し、排ガスの無害化と残渣の無害化、塩素による処理装置の損傷の低減を行うことを提案している。
【0010】即ち、被処理物にアルカリ物質を添加混合して所定の温度で加熱することで塩化水素を分解析出させると同時に、添加混合しているアルカリ物質と接触反応させて無害な塩化物に置換生成する技術を見出し、既に、特開平9−155326号,特開平10−43713号,特開平10−235186号,特開平10−235187号などで提案し、更に、脱塩素剤を多孔質化して接触反応する面積を増加させて反応効果を高めた脱塩素剤も提案している(特願平10−193844号)。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】一般に、ロータリーキルン方式による加熱処理装置は、回転ドラム(回転円筒体)を一方向に回転させることで被処理物を回転させながら供給口側から排出口側に搬送し、その間において、所定の加熱温度および加熱時間を制御して目的に応じた加熱処理を行っている。
【0012】このときの加熱時間の制御は、回転ドラムの回転数を増減変更することで搬送時間を制御するか、又は回転ドラムの傾斜角度を変えることで、被処理物の搬送速度を増減して、処理時間を調整している。
【0013】しかし、回転ドラム(回転炉)による方法は、連続処理が基本であり、被処理物を大量に準備する必要がある。よって、毎日の被処理物の収集量が少ないとか、被処理物の収集が安定しない場合には適さない。
【0014】即ち、被処理物が一定量以上あるが、毎日の安定した運転には不足する場合に、回転ドラムを断続的に運転すると、設備投資の割には処理効果が期待できないことになる。従って、従来のロータリーキルン方式には、次の課題がある。
【0015】(1)被処理物の質的変動を勘案すれば、被処理物を処理目的に応じて安定に十分・確実に処理することには限界があった。
【0016】(2)また、このようなことから、回転ドラムは、被処理物に対応した一定の長さが必要となり、設置スペースは大きいものが必要となる。
【0017】(3)しかも、被処理物に応じた各種長さの回転ドラムを準備する必要があり、準備する煩雑さがある。
【0018】(4)更には、長尺の回転ドラムの場合には、加熱による熱膨張(特に、軸方向の)を考慮する必要があり、シールの確保など各種の対策を考慮しておく必要があり、熱対策設計が複雑なものになる問題がある。
【0019】このように、長尺の回転ドラムを用いる場合には、解決しなければならない種々の課題が山積しているのが現状である。
【0020】(5)また、脱塩素剤を添加して加熱処理によって無害化処理する場合、反応環境(脱塩素剤との混合状態、反応時間など)の確保が重要なポイントであり、処理中に一時的に反応不足が生じる場合が発生する。このような場合の対策として、ドラム回転数を減速をさせて反応環境を確保することが考えられるが、被処理物は前進しており、回転数の減速による対策のみでは限界がある。
【0021】本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、回転加熱処理炉で被処理物の断続運転処理(バッチ処理)に適した被処理物の加熱処理手段を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】廃棄物等の被処理物を加熱処理する場合、一般的にロータリーキルン方式で処理されている。しかし、この方式は、連続加熱処理が基本であり、被処理物が比較的少ないか、又は被処理物の量が一定しない場合には適さない。
【0023】また、小規模処理施設では、ダイオキシン類の除去が困難であるという課題がある。
【0024】そこで、発明者は種々調査研究の結果、縦軸回転する加熱処理炉で、少量の被処理物の加熱処理を計画的(通常勤務の8時間以内の処理)に処理できることを見い出し、上記の課題を解決した。
【0025】本発明において上記の課題を解決するための手段は、加熱処理炉で有機物質を含有する廃棄物などの被処理物を加熱して、分解ガスと残渣の減容物を生成し、分解ガスは処理して大気中に放出し、減容化物は回収して再利用又は減容化する被処理物の処理方法において、前記加熱処理炉を縦軸回転する回転加熱処理炉で形成し、該回転加熱処理炉の上部から被処理物と脱塩素剤の混合物を投入して、低酸素雰囲気中で回転撹拌しながら少なくとも、被処理物から有害物質が分解析出する温度(200℃〜350℃)で加熱し、析出した有害物と、混合又は添加した脱塩素剤とを接触反応させて無害な物質に置換生成することで無害化し、無害化した被処理物を回転加熱処理炉の下部から排出するようにする。
【0026】このように処理することで、小規模施設でも公害の問題を生ずることなく確実に処理できる。
【0027】そして、無害化した被処理物は、処理目的に応じた温度で減容化する。即ち、プラスチックを減容化して燃料として再利用する場合、又は炭化物にして再利用に供する場合、又は灰化して処理する場合等、それぞれの処理目的に沿った加熱温度で加熱して減容化し、無害化された残渣を回転加熱処理炉の下部から取り出す。
【0028】被処理物に添加,混合する脱塩素剤は、多孔質処理した粉体、又は多孔質処理しないアルカリ物質の粉体から成り、多孔質処理しない塩素剤は、加熱により被処理物から分解析出する有害成分と反応して無害な塩化物を生成するアルカリ金属,アルカリ金属化合物,アルカリ土類化合物,アルカリ土類金属化合物に含まれる物質の中から少なくとも1種類を選択、又は2種以上を混合したものからなり、アルカリ金属化合物は、炭酸水素ナトリウム,炭酸ナトリウム,セスキ炭酸ナトリウム,天然ソーダ,炭酸カリウム,炭酸水素カリウム,炭酸ナトリウムカリウム,水酸化ナトリウム,水酸化カリウムから選択した単体、複数種の混合物を含む。
【0029】また、多孔質処理したアルカリ物質の脱塩素剤は、加熱により分離飛散する気化成分を含有し、且つ有害成分と反応して無害な塩類を生成するアルカリ物質体からなり、該アルカリ物質体を加熱してアルカリ物質体に含有する気化成分を分離除去することで多孔質化し表面積が増加した粉体からなり、アルカリ金属化合物に含まれる物質の中から少なくとも1種類を選択、又は2種以上を混合したものを使用する。このアルカリ金属化合物は、炭酸水素ナトリウム,セスキ炭酸ナトリウム,炭酸水素カリウムから選択した単体、複数種の混合物を含む。
【0030】また、処理装置としては、次のように構成する。即ち、加熱処理炉で有機性物質を含有する廃棄物などの被処理物を加熱して、分解ガスと残渣の減容物を生成し、分解ガスは処理して大気中に放出し、減容化物は回収して再利用又は減容化する被処理物の処理装置において、縦軸回転する加熱処理炉からなる回転加熱処理炉と、この回転加熱処理炉の上部に設置され、被処理物と脱塩素剤との混合物を回転加熱処理炉に供給する被処理物供給手段と、前記回転加熱処理炉の下部に設置され、回転加熱処理炉で加熱処理された処理物を排出する残渣排出手段と、前記回転加熱処理炉の軸心部を上,下に貫通し、回転加熱処理炉の外部で支持した支持軸からなり、回転加熱処理炉の内部に位置する支持軸に複数枚の羽根を設けて被処理物の撹拌を助勢する撹拌補助手段とで構成する。
【0031】そして、被処理物供給手段の被処理物の供給部と、回転加熱処理炉の投入部との連結部に外気の侵入を防止するシールを設けて、回転加熱処理炉内の低酸素雰囲気を保つようにする。
【0032】また、回転加熱処理炉の加熱手段は、外部加熱によるガス加熱、誘導加熱、マイクロ波加熱のいずれか、又は組み合わせにより実現できる。
【0033】また、回転加熱処理炉を回転自在に支持する手段は、回転加熱処理炉の上部に回転支持部と回転駆動部を備え、下部に回転ガイド部を設けて振れを防止するように支持する。
【0034】また、回転加熱処理炉内には、被処理物を撹拌する羽根を、周方向および軸方向に複数板設ける。
【0035】この撹拌する羽根によって、被処理物が羽根と共に廻ってしまうと、被処理物の撹拌はできなくなるので、撹拌補助手段の羽根を有する支持軸を固定するか、又は回転加熱処理炉の回転と反対方向にゆっくり回転して被処理物が回転ドラムに追従するのを抑制して被処理物の撹拌を助勢するようにする。
【0036】回転加熱処理炉で加熱処理した被処理物(残渣)は、回転加熱処理炉の排出部と残渣排出手段の残渣導入部との連結部に、開閉部材を設けて、加熱処理中は閉じ、排出時に開いて排出管に残渣を排出するようにする。
【0037】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面によって説明する。
【0038】図1は本発明の縦軸回転する加熱処理炉を備えた処理装置の基本構成の概念図を示す。基本的な構成は、回転加熱処理炉10,被処理物と脱塩素剤の混合物を供給する被処理物供給手段20,回転加熱処理炉10で加熱処理した処理後の残渣を排出する残渣排出手段30および被処理物を効果的に撹拌するための撹拌補助手段40によって構成される。
【0039】回転加熱処理炉10は、漏斗状で、その筒口を下にして回転自在に支持された回転ドラム11と、該回転ドラム11の上部を回転自在に支持する回転支持部12と、回転ドラム11の下部をガイドする回転ガイド部13と、回転ドラム11の外側から内部を加熱する加熱手段14とで形成されている。
【0040】回転ドラム11の上部は閉塞板11aで閉塞され、その中央部に開口11bおよび開口11bを覆う筒状の被処理物を投入する投入部11cを有し、下部の筒口部には排出部11dを形成し、また内部には撹拌用の羽根11eが周方向及び軸方向に複数板設けられている。
【0041】また、回転支持部12は、回転ドラム11の上部に設けた鍔状の回転支持部材12aと、該回転支持部材12aを下から回転自在に支持する支持ローラ12bと、回転ドラム11を回転駆動する駆動モータ12c、該駆動モータ12cの動力を回転支持部材12aに伝達する歯車12dよりなる。
【0042】なお、12eは、支持ローラ12bおよび駆動モータ12cを支持する固定部を示す。
【0043】回転ガイド部13は、回転ドラム11の下部の外周の適宜の場所に設けられたガイドローラ13aから成り、回転ドラム11の振れを防止する。このガイドローラ13aは、固定部13bに回転自在に取り付けられている。
【0044】加熱手段14は、回転ドラム11の外側の円筒体外周と、筒口に至る傾斜部に設けられ、加熱源は熱ガスによる加熱、誘導加熱、マイクロ波加熱のいずれか、又はこれらの組み合わせによる。ガス加熱の場合は、回転ドラム11の外周に加熱ジャケットを形成し、その中に熱ガスを送り込む。
【0045】また、誘導加熱およびマイクロ波加熱の場合は、図1に示してあるように加熱コイル14aを設ける。
【0046】被処理物供給手段20は、回転ドラム11の上部に設けた筒状の投入部11cに嵌合する供給部21を有し、横方向に向けて設置された被処理物の搬入管22と、該搬入管22の中程に設けられたホッパ23と、ホッパ23より外側で搬入管22内に設けられ、ホッパ23から供給された被処理物を供給部21側に押して搬入するプッシャー24aを有する投入装置24,および回転加熱処理炉内の排ガスを取り出す排ガス導出管25により形成されている。
【0047】なお、図中S1はメカニカルシールで、投入部11cとの回転接触部に設けられている。
【0048】また、残渣排出手段30は、一端が回転ドラム11の排出部11dに連通し、加熱処理後の残渣を残渣導入部31から導入して排出口32に取り出す排出管33、この排出管33の中途に設けられたロータリーバルブ34および残渣導入部31を開閉する開閉部材35からなり、この開閉部材35は操作シリンダー36で上下動され、残渣導入部31を開閉する。図中S2はメカニカルシールを示す。
【0049】撹拌補助手段40は、支持軸41からなり、該支持軸41は、搬入管22の供給部21部分の上部から、回転ドラ11の投入部11c,回転ドラム11の軸心および開閉部材35を貫通して上,下の固定部材42,43に取り付けられ、回転ドラム11内に位置する部分に、被処理物に接触する羽根44を周方向及び軸方向に複数枚設けてなる。
【0050】回転加熱処理炉10の回転ドラムに羽根を設けて、回転ドラムを回転したとき、回転ドラム内に投入された被処理物は、回転ドラムとともに廻り、被処理物は羽根によって撹拌されなくなる可能性がある。そこで、羽根を有する支持軸を固定するか、又は回転ドラムと反対方向にゆるやかに回転するなどにより、撹拌を助勢する必要がある。
【0051】なお、この支持軸41は、中空として回転ドラム内の部分に孔をあけ、排ガス導出管として利用し、排ガス導出管25を無くするようにしてもよい。
【0052】次に、一般廃棄物等の被処理物を無害化処理する場合の一連の動作について説明する。
【0053】まず、投入装置24のプッシャー24aの位置および残渣排出手段30の開閉部材35を図の位置の状態とし、回転ドラム11を加熱手段14で加熱した状態(又は、被処理物投入後加熱)で回転し、次に、ホッパ23から破砕した被処理物と脱塩素剤の混合物を投入する。この混合物は搬入管22に入り、投入装置24のプッシャー24aで供給部21まで送り込まれ供給部21から、回転ドラム11内に搬入される。所定の量(一点鎖線)が搬入された後、プッシャー24aでホッパ23の出口を塞ぎ、回転ドラム11内を大気から遮断する。(ホッパ23の出口に開閉板があるときは、元に戻してもよい。)
そして、加熱手段14で被処理物が乾燥し、次に被処理物から塩化水素等の有害物質が析出する温度と時間(250℃〜350℃、15分〜30分程度)で加熱処理する。なお、この加熱温度と時間は、被処理物の性質、処理量、加熱処理炉の状態(性能、大きさ、加熱手段等の炉に依存する条件)などに関係するので、事前に調査などを十分に行って、データ取りし、データを蓄積しておくことが重要である。
【0054】このときの加熱処理は、低酸素雰囲気中での蒸し焼き、熱分解での処理となり、熱分解により、HCl等の有害成分が分解析出するが、被処理物に混入した脱塩素剤と、即接触反応して、後述するように無害化される。
【0055】即ち、上記の被処理物と混合又は添加する脱塩素剤は、少なくともHCl(塩化水素)と接触反応して無害な塩化物を生成するアルカリ物質を使用する。例えば、本願の出願人が先に出願した特開平9−155326号,特開平10−43731号,特開平10−235186号,特開平10−235187号に示すように、アルカリ土類金属,アルカリ土類金属化合物,アルカリ金属,アルカリ金属化合物で、具体的には、カルシウム、石灰、消石灰、炭酸カルシウム、ドロマイト、珪酸塩(珪酸カルシウムなど)、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、天然ソーダ、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウムの中から1種類選択するか、数種類混合して使用する。これらの脱塩素剤は、被処理物に対して5〜30重量%を混合又は添加して使用する。
【0056】または、本願の出願人が先に出願した特願平10−193844号に示す多孔質化したアルカリ物質(多孔質脱塩素剤)を使用する。多孔質化は、気化成分(O,H,CO,CO2等)を含有するアルカリ物質を加熱して含有する気化成分をH2O,CO2として蒸発分離し、この分離飛散によりアルカリ物質体に貫通孔,凹部(穴)を形成することで多孔質化したものである。この多孔質化により表面積が増加し、発生ガスとの接触面積が増大する。この多孔質脱塩素剤を被処理物に対して5〜30重量%を混合又は添加して使用する。
【0057】上記のアルカリ物質体は、気化成分を含有し、且つ有害成分と反応して無害な塩類を生成するアルカリ金属化合物に含まれる物質の中から少なくとも1種類を選択、又は2種以上を混合したものから成る。
【0058】そして、このアルカリ金属化合物は、炭酸水素ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウムから選択した単体、複数種の混合物による。
【0059】なお、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)は、別称として、酸性炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸ソーダと称され、更には俗称として、重曹とも称されている。
【0060】セスキ炭酸ナトリウム(Na2CO3・NaHCO3・2H2O)は、別称として、二炭酸−水素ナトリウム、三二炭酸水素ナトリウム、ナトリウムセスキカーボネートと称され、天然にはトロナ(天然ソーダ)として産出する。
【0061】上記のアルカリ物質の化合物において、アルカリ物質以外の気化成分を加熱蒸発させると孔質化し、その表面が増大すること、およびこのアルカリ物質と有害な塩化水素と反応して無害な塩類に置換生成されて有害成分が無害化されることは下記の反応式により明らかとなっている。
【0062】炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)の場合加熱による多孔質化処理すると、NaHCO3→Na2CO3+H2O+CO2となりH2O,CO2は分離飛散して多孔質化したNa2CO3となる。これが有害成分の塩化水素と反応すると、Na2CO3+2HCl→2NaCl+H2O+CO2となりH2O,CO2が分離し、無害な塩類(2NaCl)となる。
【0063】同様に炭酸水素カリウム、セスキ炭酸ナトリウムは、次のようになる。
【0064】炭酸水素カリウム(KHCO3)の場合加熱による多孔化処理すると、KHCO3→KCO3+H2O+CO2塩化水素との反応は、KCO3+2HCl→2KCl+H2O+CO2セスキ炭酸ナトリウム(Na2CO3・NaHCO3・2H2O)の場合加熱による多孔化処理すると、2(Na2CO3・NaHCO3・2H2O)→3Na2CO3+5H2O+CO2塩化水素との反応は、Na2CO3+2HCl→2NaCl+H2O+CO2この多孔質化処理した脱塩素剤が、表面積が増加して、被処理物から分解析出した塩素系ガスとの接触面積が増大し、反応して新たな塩類を生成する効果が増加する。このように、回転加熱処理炉内においてHCl成分の分解ガスが発生するが、例えば、上記の炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)を使用した場合、直ちに炭酸水素ナトリウムと反応して(NaOH)+(HCl)→(NaCl)+(H2O)となり、無害な塩化ナトリウム(NaCl)を生成し、分解ガスから有害なHClが無くなる。このことによって、分解ガス中のHCl成分の無害化と残渣の無害化が同時に行われる。
【0065】次に、有害物質が析出し、無害化されたことを見計らって、これより高い温度で処理目的に合った加熱処理をする。
【0066】例えば、廃プラスチックを減容化して燃料等に利用する場合は、被処理物が炭化する直前でプラスチック等が減容化が進む程度(350℃〜400℃)、又は被処理物を炭化する場合は炭化する温度(紙類は350℃程度で炭化が始まる。)350℃〜700℃に好ましくは600℃で15分間加熱して炭化処理し、更には、灰化する場合は、灰化する800℃以上で20分程度加熱して灰化処理し減容化する。
【0067】処理目的の加熱処理が終わった後は、残渣排出手段30の開閉部材35を操作シリンダー36により、下方に移動させて排出管33から排出する。全部排出した後、プッシャ44aおよび開閉部材35を図1の状態に戻し、上記の動作を繰り返す。
【0068】加熱処理された排出物には、減容化した被処理物と、反応後の無害な塩化物(例えば、塩化ナトリウム)が含まれるが、塩化物は水に溶解して取り除き、残りの脱塩素したプラスチック,炭化物,灰化物等の固形物を取り出して物性に応じて再利用に供する。
【0069】一方、加熱処理中に発生した排ガス(分解ガス、乾留ガス)は、排ガス導出管25より排出される。
【0070】この排ガスには、塩化水素などの有害成分は、回転加熱処理炉10における反応処理によって基本的には除去されているが、何等から事由により反応仕切れず排ガス中に残存する可能性もある。また、タール等の可燃性分も含まれているので、ガス燃焼手段等により燃焼した後、排ガス冷却手段で、バグフィルタの耐熱許容温度以下に下げて、バグフィルタで清浄して煙突等から排出する。
【0071】また、反応処理で反応しきれないときは、追加脱塩素剤供給手段Aを設けて適宜脱塩素剤を供給する。
【0072】図2は図1の構成を模式化した模式図で、図1と同じ手段には、これと同一の符号を付してある。
【0073】図3は、図1に示す基本の加熱処理装置により、効率的な加熱処理施設を実現した場合の模式図を示す。同図において、図1と同じ手段の部分には、これと同一の符号を付してある。
【0074】この実施例は、加熱手段として熱ガスを使用した場合で、50は熱ガス発生手段で、LNGやLPGの燃料を燃焼して熱ガスを発生し、回転加熱処理炉10の回転ドラムの外周に設けた加熱ジャケットに導入して回転ドラム内の被処理物を加熱する。
【0075】残渣排出手段30から排出された排出物(残渣等)は、溶解槽51で受け、この溶解槽51内で減容化された被処理物,反応後の脱塩素剤(塩化ナトリウム)を水に溶解し、水に溶解した塩化ナトリウムを排水処理手段52に排出し、残りの固形物は脱水手段53で脱水してこれを乾燥手段54で乾燥し、プラスチック,炭化物等の固形物を取り出す。取り出され固形物は、物性に応じて分別して、再利用に供する。
【0076】一方、排ガス(分解ガス,乾留ガス)は、ガス導出管55を介してガス燃焼手段56に送り込み、ここで燃焼させる。
【0077】この排ガスには、塩化水素などの有害成分は、反応処理によって基本的には除去されているが、何等かの事由により反応しきれず排ガス中に残存する可能性もある。また、タール等の可燃性分も含まれているので、ガス燃焼手段56で燃焼した後、排ガス冷却手段57で、バグフィルタ58の耐熱許容温度以下に下げて、バグフィルタ58で清浄して煙突等から排出する。
【0078】また、加熱手段として熱ガスを使用した場合は、回転ドラムを加熱した後でも、熱ガスは比較的高温に保たれているので、この熱をガス管59を介して乾燥手段54の乾燥用の熱源とし使用した後、排ガス冷却手段57で冷却して排出する。
【0079】なお、排ガス冷却手段57での冷却は残存熱を熱交換器等により、熱を利用することで冷却すれば、熱の有効利用が図れる。また、空気を混入することで、冷却するようにしてもよい。
【0080】またガス燃焼手段56を設けるこなく、発生した排ガスを熱ガス発生手段50に導入して燃料とともに燃焼させ、熱ガス発生に利用してもよい。
【0081】
【発明の効果】以上のように本発明は、加熱処理手段を縦軸回転する加熱処理炉とし、上部に被処理物供給手段を、下部に残渣排出手段を配設する構成としたので、次に効果を奏する。
【0082】(1)少量の被処理物の処理を計画的(通常勤務の8時間以内の処理)に処理できる。
【0083】(2)被処理物量の少ない小規模施設で処理を確実にできる。
【0084】(3)被処理物の質的変動があっても、被処理物を処理目的に応じて安定に十分・確実に処理することができる。
【0085】(4)被処理物の移動(キルンによる処理など)がないので、反応環境(脱塩素との混合状態、反応空間など)の確保が容易且つ十分に制御でき、脱塩素剤と発生して塩化水素との触反応が効果的に行うことができ、排ガスの無害化、残渣の無害化が行える。
【0086】(5)加熱処理装置の小形化ができ、施設の設置スペースの縮小化ができる。
【0087】(6)従って、無害な排ガスを得ることができるので、ダイオキシン類の生成はなく、21世紀の子孫に有益な環境と技術を伝えることができる。
【出願人】 【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
【出願日】 平成11年2月12日(1999.2.12)
【代理人】 【識別番号】100062199
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 富士弥 (外1名)
【公開番号】 特開2000−233171(P2000−233171A)
【公開日】 平成12年8月29日(2000.8.29)
【出願番号】 特願平11−33681