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【発明の名称】 アルコキシル化触媒
【発明者】 【氏名】菊地 隆二

【氏名】坪山 弘

【要約】 【課題】アルキレンオキシドによるアルコキシル化反応に対し触媒活性が高く、オキシアルキレン基の付加重合数分布のナロー度が高い触媒の提供。

【解決手段】式(1):アモルファス化度=1/M×10-7〔但し、Mは、X線回折分析において、2θ=43度付近の回折線から、Scherrerの式により算出されたAl−Mg酸化物複合体の結晶粒子径を表す〕により算出されたアモルファス化度が30以上の高アモルファス化を有するAl−Mg酸化物複合体を含むアルコキシル化触媒。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 高度にアモルファス化された、アルミニウム−マグネシウム酸化物複合体を含み、下記式(1):
〔但し、上式(1)中、Mは、上記アルミニウム−マグネシウム酸化物複合体をX線回折分析に供して、その2θ=43度付近の回折線からScherrerの式により算出された、前記アルミニウム−マグネシウム酸化物複合体の結晶粒子径(単位nm)を表す〕により算出された前記アルミニウム−マグネシウム酸化物複合体のアモルファス化度が30以上であることを特徴とする、活性水素原子を有する有機化合物にアルキレンオキシドを付加重合させるためのアルコキシル化触媒。
【請求項2】 前記30以上のアモルファス化度を有するアルミニウム−マグネシウム酸化物複合体が、アルミナ、シリカゲル、ハイドロタルサイト、及びゼオライトから選ばれた少なくとも1員を含む担体により担持されている、請求項1に記載のアルコキシル化触媒。
【請求項3】 前記30以上のアモルファス化度を有するアルミニウム−マグネシウム酸化物複合体が、アルミニウムアルコキシド及びマグネシウムアルコキシドからゾルゲル法によって製造されたものである、請求項1に記載のアルコキシル化触媒。
【請求項4】 前記アルミニウム−マグネシウム酸化物複合体において、マグネシウムの、アルミニウムに対する原子比(Mg/Al)が4:1〜1:4である、請求項1に記載のアルコキシル化触媒。
【請求項5】 前記アルミニウム−マグネシウム酸化物複合体が、アルミニウムアルコキシド及びマグネシウムアルコキシドから、ジオール類によるリガンド置換を含むゾルゲル法により製造されたものである、請求項1に記載のアルコキシル化触媒。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、活性水素原子を有する有機化合物にアルキレンオキシドを付加重合させるためのアルコキシル化触媒に関するものである。更に詳しく述べるならば、本発明は高度にアモルファス化され、特定値以上のアモルファス化度を有するアルミニウム−マグネシウム酸化物複合体を含み、活性水素原子を有する有機化合物にアルキレンオキサイドを付加重合させるために有用なアルコキシル化触媒に関するものである。
【0002】
【従来の技術】高級アルコール等の活性水素原子を含有する有機化合物のアルキレンオキシド付加体は、各種の洗剤や化学品の原料として広く有用な化合物である。これらのアルキレンオキシド付加体は、通常、高級アルコール等の活性水素原子含有有機化合物とアルキレンオキシドとを、酸又は塩基からなる触媒の存在下において反応させることによって製造されている。前記酸触媒としては、通常、硫酸、塩酸、及び燐酸等の鉱酸、並びにその金属塩が用いられる。また、前記塩基触媒としては、通常水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウム等のアルカリ金属酸化物、並びにジエチルアミン及びトリエチルアミン等のアミン類が用いられる。
【0003】しかし、これらの酸又は塩基触媒を用いてアルキレンオキシド付加体を製造する場合、反応生成物中に未反応原料、例えばアルコール等の活性水素原子含有有機化合物が残留するという問題点がある。更にこれらの反応では、既知の反応装置を使用する限り、得られる付加重合体の付加オキシアルキレン基数分布が通常の正規分散せず、全体にブロードに分散してしまい、このため得られるアルキレンオキシド付加重合生成物の界面活性性能が不満足なものになる。
【0004】前記アルキレンオキシド付加重合体の付加オキシアルキレン基数分布状態に関しては、分散度、又は尖度を用いて表記する方法もあるが、下記の式により定義されるナロー度を代表値とすることができる。アルキレンオキシドを付加重合反応させた時、その分布の中で最も付加頻度の高い付加モル数をn1で表したとき(通常は、n1は活性水素原子含有化合物との反応に供したアルキレンオキシドの前記活性水素原子含有有機化合物に対するモル比に等しい。)、下記式(2)により得られる付加重合生成物のナロー度が定義される。
ナロー度(%)=(付加モル数がn1−1〜n1+1の反応生成物の化学量)/ (反応生成物全体の化学量)×100 (2)
【0005】酸又は塩基触媒を用いてアルキレンオキシド付加重合体を製造する方法では、得られるアルキレンオキシド付加重合体のナロー度は50%で頭打ちになる。このようなブロードな付加分布を改善するために各種のアルコキシ化触媒が提案されてきた。このアルコキシ化触媒として、複合金属酸化物及びタルサイトと呼ばれる層状金属化合物が主な研究課題となり、複合金属酸化物に関しては、特開平1−164437号公報に、酸化マグネシウムにアルミニウム等の金属イオンを添加し、焼成して得られたアルコキシル化用触媒が提案されている。上記複合酸化物の調製法として含浸法及び共沈法が上記公報明細書に明示されており、この開示された調製法の中で、2種の金属を最も良く分散できる手法は共沈法である。
【0006】共沈法は、2種あるいはそれ以上の金属化合物成分を所定の組成で含む水溶液を調製し、この水溶液から成分金属の酸化物を、前記組成のままで沈殿させる方法である。上記共沈法の特徴は、混練法に代表される物理的、機械的混合法に比べて均質性の高い複合酸化物が得られることである。しかし、実際には、原料の沈殿生成速度の違いなどから一つの成分の沈殿生成が先に起こり、均質な組成の沈殿が得られないことが多い。この共沈法で調製されたアルコキシル化触媒を用いて、活性水素原子含有有機化合物にエチレンオキサイドを付加重合する場合、得られる付加重合生成物の前述ナロー度は50%を超え、その改良効果が認められるが、触媒の活性が弱いためか、アルキレンオキシドの一種であるプロピレンオキシドの付加重合には触媒効果が殆ど発現せず、未反応の活性水素原子含有有機化合物、例えばアルコールが多量に残ってしまうことが判明した。更に前記共沈法によるアルコキシル化触媒は、その触媒活性が弱いため、この触媒は、活性水素原子を有する有機化合物基質に対して0.1%以上の高濃度で添加しなくてはならず、特に1%程度の高濃度で添加しなくては実用的な反応速度を得られないという問題点がある。また、前述のように触媒添加量が多いため、反応生成物から触媒を除去する操作に長時間を要し、コストが高くなり、経済的に不利になるという問題点も生ずる。
【0007】特開平3−242242号公報には、酸化マグネシウム粒子表面にアルミニウム等の金属酸化物を析出沈着させ、得られた複合金属酸化物を焼成するアルコキシ化触媒の製造方法が開示されている。この方法は酸化マグネシウムへのアルミニウムの分散性向上と触媒調製工程の簡略化を目的とするものであるが、上記公報の実施例によれば、得られる触媒の活性度は、特開平1−164437号公報に記載のものとほゞ同様であることが報告されている。
【0008】上記アルコキシル化触媒用複合金属酸化物の構造及び物性は、調製方式、調製条件、および焼成の条件などによって変動する。これら複合金属酸化物の構造及び物性の変動をもたらす主たる原因として、複合金属酸化物中の成分の均質度の差異があげられる。しかしながら酸化アルミニウム−酸化マグネシウム複合金属酸化物の成分の均質性と、アルコキシ化触媒活性との関係に関して、上記公報の記載の他に、検討報告はなされていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、活性水素原子含有有機化合物にアルキレンオキシドを付加重合するために有用であって、ナロー化度の高い付加重合生成物が得られ、触媒活性が更に強化されているアルコキシル化触媒を提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、酸化アルミニウム−酸化マグネシウム複合金属酸化物をアルコキシル化触媒として利用することについて鋭意研究の結果、特定方法により測定算出されたアモルファス化度が、特定値以上となる高アモルファス化された特殊アルミニウム−マグネシウム酸化物複合体が、活性水素原子を有する有機化合物にアルキレンオキシドを付加重合させるアルコキシル化反応に対して、飛躍的に高い反応活性を示すことを見出し、さらに、このような高アモルファス化度アルミニウム−マグネシウム酸化物複合体が、アルミニウムアルコキシド及びマグネシウムアルコキシドから、ゾルゲル法により製造されることを確認し、本発明を達成した。すなわち、活性水素原子を有する有機化合物にアルキレンオキシドを付加重合させるための本発明のアルコキシル化触媒は、高度にアモルファス化されたアルミニウム−マグネシウム酸化物複合体を含み、下記式(1):
〔但し、上式(1)中、Mは、上記アルミニウム−マグネシウム酸化物複合体をX線回折分析に供して、その2θ=43度付近の回折線(すなわちMgOの(200)面に対応する)から、Scherrerの式により算出された前記アルミニウム−マグネシウム酸化物複合体の結晶粒子径(単位nm)を表す〕により算出された前記アルミニウム−マグネシウム酸化物複合体のアモルファス化度が、30以上であることを特徴とするものである。本発明のアルコキシル化触媒において、前記30以上のアモルファス化度を有するアルミニウム−マグネシウム酸化物複合体は、アルミナ、シリカゲル、ハイドロタルサイト、及びゼオライトから選ばれた少なくとも1員を含む担体により担持されていてもよい。本発明のアルコキシル化触媒において、前記30以上のアモルファス化度を有するアルミニウム−マグネシウム酸化物複合体は、アルミニウムアルコキシド及びマグネシウムアルコキシドから、ゾルゲル法により製造されたものであることが好ましい。本発明のアルコキシル化触媒において、前記アルミニウム−マグネシウム酸化物複合体において、マグネシウムの、アルミニウムに対する原子比(Mg/Al)が、4:1〜1:4であることが好ましい。本発明のアルコキシル化触媒において、前記アルミニウム−マグネシウム酸化物複合体が、アルミニウムアルコキシド及びマグネシウムアルコキシドから、ジオール類によるリガンド置換を含むゾルゲル法により製造されたものであることが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の高度にアモルファス化されたアルミニウム−マグネシウム酸化物複合体を製造する方法には、制限はないが、現状で最も効果的にこのアルミニウム−マグネシウム酸化物複合体を得る方法は、ゾルゲル法である。ゾルゲル法の一般的解説は、例えば鳥羽誠、金属アルコシドを用いる触媒調製、P321、1993に記載されている。
【0012】アルミニウム−マグネシウム酸化物複合体をゾルゲル法を用いて製造する方法は下記工程を含むものである。
(1)アルミニウムアルコキシド及びマグネシウムアルコキシドの均一溶液の調製工程(2)前記アルミニウムアルコキシド及びマグネシウムアルコキシドの加水分解工程(3)アルミニウム−マグネシウム酸化物複合体の乾燥、焼成工程まず、アルミニウムアルコキシド及びマグネシウムアルコキシドを、所望酸化物複合体のAl/Mg原子比に対応する組成比で混合し、非水性溶媒中で加熱して均一溶液を調製する。アルミニウムとマグネシウムの原子比は、任意に設定できるが、活性水素原子含有有機化合物のアルコキシ化触媒としては、原子比Mg:Al=4:1〜1:4であることが望ましく、それが1:1であるときに、最大触媒活性が得られる。使用されるアルミニウムアルコキシド及びマグネシウムアルコキシドのリガンドの種類は互いに同一でも異なっていてもよいが、加水分解工程後に排出される溶媒の組成は単一であることが好ましいので、両金属のリガンドと、溶液調製に用いられる溶媒とは互いに同一であることが好ましい。
【0013】アルミニウムアルコキサイドの具体例としては、アルミニウムメトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、及びアルミニウムセカンダリーブタノキシド等があげられるが、入手の容易なアルミニウムイソプロポキシドを用いることが好ましい。また、マグネシウムアルコキサイドの具体例としては、マグネシウムメトキシド、マグネシウムイソプロポキシド、及びマグネシウムセカンダリーブタノキシド等があげられるが、入手の容易なマグネシウムメトキシド、又はマグネシウムイソプロポキシドを用いることが好ましい。
【0014】次に加水分解工程を説明する。前記均一溶媒を調製後、これに加水分解用の精製水を加えしばらく攪拌し、両金属アルコキシドのリガンドを加水分解する。精製水添加量は両金属アルコキシドのリガンドを加水分解するのに必要な精製水量の1.5倍量以上であることが好ましい。通常加水分解反応は室温で3〜6時間で完了する。このとき反応系を加熱すれば更に短時間で加水分解が完了する。
【0015】次に乾燥、焼成工程を説明する。加水分解されたリガンド過剰分の精製水及び溶剤を常圧下或いは減圧下系外に蒸発除去し、アルミニウム−マグネシウム酸化物・水酸化物複合体を主成分として含むゲル状の物質を取り出す。このゲル状物質を加熱焼成してアルミニウム−マグネシウム酸化物複合体を得る。
【0016】更に、ゾルゲル法の一種である配位化学的ゾルゲル法を用いれば更に容易に高アモルファス化度を有するアルミニウム−マグネシウム酸化物複合体を得ることができる。この方法においては、均一な溶液中で異種の金属原子が互いにジオールを介して結合した架橋錯体を形成するので一方の金属元素の近傍に他の金属元素が存在することになり、同種の元素どうしが近傍に存在することにより起こる結晶化などの不均質化を抑制するので、高度にアモルファス化されたアルミニウム−マグネシウム酸化物複合体を、容易に得ることができる。
【0017】上記配位化学的ゾル・ゲル法による酸化物複合体の調製方法は、アルミニウムアルコキシド及びマグネシウムアルコキシドを含む均一溶液中において、ジオール類によるリガンド置換(錯体形成)を施して、ジオール型のリガンドを仲介させて複合金属錯体を形成し、このリガンドの加水分解によって酸化物複合体を得る手法である。配位化学的ゾルゲル法は(1)アルミニウムアルコキシド及びマグネシウムアルコキシドの均一溶液中におけるジオールによる錯体の形成(2)前記錯体の加水分解高分子化(ゲル化反応)
(3)加水分解生成物(アルミニウム−マグネシウム酸化物・水酸化物複合体)の乾燥・焼成の3工程を含む。
【0018】上記錯体形成にはジオール類を用い、ジオールにより架橋された錯体を形成させる。まず、アルミニウムアルコキシドとマグネシウムアルコキシドとを、所望複合体中のアルミニウムとマグネシウムとの原子比に対応する組成比で混合し、これにジオール類を添加して加熱し、リガンドの置換反応を行う。このときのアルミニウムとマグネシウムとの原子比は任意に設定できるが、活性水素含有有機化合物のアルコキシ化触媒としては、Mg:Al=4:1〜1:4であることが好ましく、特に、1:1の原子比において最大活性を得ることができる。使用されるアルミニウム及びマグネシウムのアルコキシドのリガンドの種類は、互いに同一でも互いに異なっていてもよい。
【0019】アルミニウムアルコキシド及びマグネシウムアルコキシドは、前述のゾルゲル法に用いられるものを用いることができる。架橋用リガンドとして用いられるジオール類は、2つの水酸基の間に2個以上のメチレン基が結合されており、かつマグネシウム原子或いはアルミニウム原子と結合して不溶性の錯体を形成しないものであることが好ましい。具体的には、ジオールとして、ピナコール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、ヘキシレングリコール、及び1,4シクロヘキサンジオール等があげられるが、ヘキシレングリコールは入手が容易であり、取り扱いが容易であり、金属アルコキシドの溶解性能にすぐれているという点において優れているので特に好ましい。アルミニウムアルコキシド及びマグネシウムアルコキシドのリガンドを、ジオール類により置換するには、アルミニウムアルコキシド及びマグネシウムアルコキシドの均一溶液にジオールを添加し、この反応系を80℃〜150℃の温度に加熱攪拌する。この処置により、遊離したアルキルアルコールは蒸発除去される。
【0020】次に加水分解工程を説明する。前記ジオールにより形成された架橋リガンドを加水分解して架橋リガンド形成ジオール類を遊離させて、これを水とともに蒸発除去し、得られたアルミニウム−マグネシウム酸化物・水酸化物複合体を焼成して目的の酸化物複合体を得る。加水分解に用いる精製水添加量は、アルミニウム及びマグネシウムの架橋リガンドを加水分解するのに必要な精製水量の1.5倍量以上であることが好ましい。この加水分解は通常室温で3〜6時間で完了する。この反応系を加熱すれば更に短時間で加水分解が完了する。
【0021】次に乾燥、焼成工程を説明する。加水分解されたリガンド(ジオール)及び過剰分の精製水を常圧下或いは減圧下系外に蒸発除去し、金属酸化物・水酸化物を主成分として含むゲル状の物質を得る。このゲル状物質を加熱焼成してアルミニウム−マグネシウム酸化物複合体を得る。
【0022】上記ゾルゲル法を用いて製造されたアルミニウム−マグネシウム酸化物複合体は、図1に示されているようにX線回折図において、アルミナ(Al2 3 )のピークはほとんど認められず、非常に微弱なマグネシア(MgO)のピークのみが認められるという特殊な構造を有するものである。
【0023】本発明の高度にアモルファス化されたアルミニウム−マグネシウム酸化物複合体は、アルコキシル化触媒として、従来のアルコキシル化触媒と同様に使用することができる。アルコキシル化法は、具体的には、活性水素原子含有有機化合物と、アルキレンオキシドとを含む反応系に、本発明の高アモルファス化度を有するアルミニウム−マグネシウム酸化物複合体からなる触媒を、好ましくは前記活性水素原子含有有機化合物とアルキレンオキシドとの合計量の0.01%〜20%、より好ましくは0.05%〜1.0%の添加量で加えて、前記活性水素原子含有有機化合物をオキシアルキレン化する。触媒添加量が0.01%未満であると、十分なアルコキシル化反応速度が得られないことがあり、またそれが20%を超えて添加されると、反応生成物と複合金属酸化物とをろ別するのに要する時間が過度に長くなり、実用上不利になることがある。アルコキシル化反応温度は80℃〜230℃であることが好ましく、より好ましくは100℃〜180℃である。反応温度が80℃未満であると、十分な反応速度が得られないことがあり、またそれが230℃を超えると、生成するオキシアルキレン付加物が熱分解することがある。反応圧力は、反応温度に応じて適宜に設定し得るが、一般に0〜20Kg/cm2Gであることが好ましく、更に好ましくは0.05〜10Kg/cm2Gである。
【0024】反応終了後に、触媒として使用された本発明の酸化物複合体を生成物からろ別するが、このとき、通常の減圧ろ過、或いは加圧ろ過を用いることができる。触媒が微細な粒子を含み、これがろ過漏れの起因となる場合には、例えば特開平10−297913号公報に記載されているように、キトサン処理活性炭を、ろ過床に装着すると、ろ過漏れ防止に有効である。また、本発明の特徴の一つとして、本発明のアルミニウム−マグネシウム酸化物複合体が高度にアモルファス化されているため、生成物と触媒とを含む反応系に水を加えると触媒粒子同士が凝集して粒径を増大し、ろ別が容易になる。更に積極的に、反応系に二酸化炭素を混入させると、その粒径増大効果が向上する。
【0025】X線回折分析において、2θ=43度付近の回折線(MgOの(200)面)から、Scherrerの式により結晶子径Mを求め、このMの数値から、式(1)によって計算されたアモルファス化度が30以上であるという高度にアモルファス化された本発明のアルミニウム−マグネシウム酸化物複合体は、アモルファス化度の低い従来の酸化アルミニウム−酸化マグネシウム複合金属酸化物に比較したとき、粒子径がほゞ同等であっても、アルキレンオキシド付加反応の触媒活性において、10倍以上の高い反応活性を有する。そのため従来のアモルファス化度の低い酸化アルミニウム−酸化マグネシウム複合金属酸化物では困難であったプロピレンオキシドの付加反応にも十分有効な触媒効果を示し、生成されるオキシアルキレン付加物のオキシアルキレン付加分布を示すナロー度は50%を超え、正規分布を示す。
【0026】本発明を下記実施例により、詳細に説明する。
実施例1配位化学的ゾルゲル法によるアモルファス状のアルミニウム−マグネシウム酸化物複合体の調製(原子比Mg:Al=2:1型)Mg(OMe)2 の9.5wt%メタノール溶液150gと、Al(OiPr)3 の粉末16.9g(Mg:Alの原子比は2:1)とを、ヘキシレングリコール150gとともに、蒸留ヘッドを装着した容量500mlの4口フラスコに入れ、120℃で2時間攪拌し、副生するメタノールとイソプロパノールを留去しつつ、リガンド交換反応を行った。この溶液をヘキシレングリコール30gと水20gとの混合液に注加して終夜攪拌し、アルミニウム及びマグネシウムのヘキシレングリコールによる架橋錯体の加水分解反応を行った。その翌日に、得られたゾル溶液をエバポレーター中で加熱して溶媒(ヘキシレングリコール及び水)を留去し、ドライゲル17.6gを得た。得られたドライゲルを環状電気炉中で、空気流通下400℃で3時間焼成して、アモルファス状のアルミニウム−マグネシウム酸化物複合体9.1gを得た。この酸化物複合体のアモルファス化度は38であった。(上記Meはメチル基を表し、iPrはイソプロピル基を表す)
図1には、上記酸化物複合体のX線回折図における2θ=43度付近のピークの高さが低く、従って結晶度が低く、アモルファス化度が高いことが示されている。
【0027】実施例2配位化学的ゾルゲル法によるアモルファス状のアルミニウム−マグネシウム酸化物複合体の調製(原子比Mg:Al=1:2型)Mg(OMe)2 の9.5wt%メタノール溶液75gと、Al(OiPr)3の粉末33.8g(Mg:Alの原子比は1:2)と、ヘキシレングリコール150gとを、蒸留ヘッドを装着した容量500mlの4口フラスコに入れ、120℃で2時間攪拌し、副生するメタノールとイソプロパノールを留去しつつリガンド交換反応を行った。得られた反応溶液を、ヘキシレングリコール30gと水20gとの混合液に注加して終夜攪拌し、アルミニウム−マグネシウム−ヘキシレングリコール錯体の加水分解反応を行った。翌日得られたゾル溶液を、エバポレーター中で加熱して溶媒を留去し、ドライゲル18.3gを得た。得られたドライゲルを環状電気炉中で空気流通下400℃で3時間焼成して、アモルファス状のアルミニウム−マグネシウム酸化物複合体9.7gを得た。得られた酸化物複合体のアモルファス化度は35であった。
【0028】実施例3配位化学的ゾルゲル法によるアモルファス状のアルミニウム−マグネシウム酸化物複合体の調製(原子比Mg:Al=1:2、エチレングリコール型)実施例2と同様にしてアモルファス化度の高いアルミニウム−マグネシウム酸化物複合体を製造した。但し、ヘキシレングリコールのかわりにエチレングリコールを用いた。加水分解反応により、ドライゲル17.9gが得られた。得られたドライゲルを環状電気炉中で空気流通下400℃で3時間焼成してアモルファス状のアルミニウム−マグネシウム酸化物複合体9.5gを得た。得られた酸化物複合体のアモルファス化度は38であった。
【0029】実施例4ゾルゲル法によるアモルファス状のアルミニウム−マグネシウム酸化物複合体の調製Mg(OMe)2 の9.5wt%メタノール溶液150gと、Al(OiPr)3 の粉末16.9g(Mg:Alの原子比は2:1)と、イソプロパノール150gとを、蒸留ヘッドを装着した容量500mlの4口フラスコに入れ、80℃に加熱し、副生するメタノールを還流しつつ2時間攪拌した。得られた溶液に水20gを加えて終夜攪拌し、Mg(OMe)2 及びAl(OiPr)の加水分解反応を行った。翌日得られたゾル溶液をエバポレーター中で加熱し、溶媒を留去し、ドライゲル15.9gを得た。得られたドライゲルを環状電気炉中で空気流通下、400℃で3時間焼成してアモルファス状のアルミニウム−マグネシウム酸化物複合体9.0gを得た。得られた酸化物複合体のアモルファス化度は38であった。
【0030】比較例1結晶質ハイドロタルサイトの調製アルミン酸ソーダ水溶液60gと炭酸ナトリウム3.7g(Na=15.7g、Al=10.5g、CO3 =2.1g)とを、ジムロート型冷却管を装着した4口フラスコに入れ、水で希釈して総重量を500gにした。この溶液に、平均粒径3mmの酸化マグネシウム16.2gを加え、100℃で15時間加熱した。攪拌は125rpm 、昇温速度は、室温から100℃まで30分であった。反応終了後、得られた混合液を室温まで冷却して、形成されたハイドロタルサイトの析出物を吸引ろ過により捕集し、これを水洗した。得られた含水ハイドロタルサイト(39g)と、ろ液(1300g)とを、蛍光X線分析法、X線回折分析法、粒度分布測定法および誘導結合プラズマ発光分光分析法により分析したところ、含水ハイドロタルサイトの組成において、Mg/Al=2.0(原子比)、平均粒径8μmであり、Naは含まれていなかった。得られた含水ハイドロタルサイトを空気中500℃で2時間焼成してアルキレンオキサイド付加反応用の触媒を調製した。得られた触媒のアモルファス化度は23であって、実施例1〜4において得られたアルミニウム−マグネシウム酸化物複合体のアモルファス化度より著しく低いことが確認された。図2には、本比較例1の触媒のX線回折図において、2θ=43度付近のピークの高さが高く、従って、結晶度が高く、アモルファス化度が低いことが示されている。
【0031】実施例5ハイドロタルサイトを担体とするハイブリッドコーティング型アルミニウム−マグネシウム酸化物複合体の調製実施例1と同様にして加水分解後のゾル溶液15gを調製し、このゾル溶液に、比較例1と同様にして得られた結晶質ハイドロタルサイト9gを加えて、この混合物をエバポレーター中で加熱して溶媒を留去し、得られた粉末を環状電気炉中で、空気流通下、500℃で3時間焼成してハイドロタルサイトを担体とするハイブリッドコーティング型アルミニウム−マグネシウム酸化物複合体触媒9.9gを得た。
【0032】応用例1実施例1の触媒によるナローレンジEO付加反応200mlオートクレーブに、ラウリルアルコール62g及び実施例1の触媒60mg(粒度:14μm)を仕込み、窒素でオートクレーブ内を3回置換した後、エチレンオキサイド59gを導入し、150℃で反応を行った。反応開始から1.5時間後、圧力減少が終止したので、さらに1時間熟成を行い反応操作を終了した。この反応系を90℃まで冷却後、残留する微量のエチレンオキサイドを減圧除去した。得られた反応液に蒸留水5g及びドライアイス5gを加え、90度に加熱しながら30分攪拌し、触媒の粒径を増大させた後、直径95mmの桐山ロートにNO. 707ろ紙を使用し、減圧ろ過を行ったところ、ろ過時間は15分であった。POE(4)ラウリルエーテルのナローレンジ品121gが得られた。このラウリルアルコール−EO付加重合体のナローレンジ度は63%であり、副生成物のポリエチレングリコールの含量は1.1%であった。この場合のナローレンジ度とは、反応液のGC分析チャートの(EO付加数3〜5のピークの面積の合計値の全面積に対する比(%))の数値である。副生成物量はHPLCにより分析した。上記アルコキシル化反応における実施例1の触媒の活性を、下記式(3)により算出した。
触媒活性=〔全エチレンオキシド供給量(g)〕/〔反応時間(分)×触媒使用量(g)〕×100応用例1に用いられた実施例1の触媒活性を表1に示す。
【0033】比較応用例1応用例1と同様にして、ラウリルアルコール−EO付加重合体を製造した。但し、実施例1の触媒の代りに、特開平1−164437号公報に記載の、沈着法により酸化マグネシウムにアルミニウムイオンを添加し、焼成して得られた複合酸化物触媒を調製し、この触媒をメノウ乳鉢で粉砕し、分級し、その粒度を表1に記載のようにした。上記反応における触媒の触媒活性及びアモルファス化度を表1に示す。
【0034】比較応用例2応用例1と同様にして、ラウリルアルコール−EO付加重合体を製造した。但し、実施例1の触媒の代りに、特開平3−242242号公報に記載の、沈着法により酸化マグネシウムにアルミニウムイオンを添加し、焼成して得られた複合酸化物触媒を調製し、この触媒をメノウ乳鉢で粉砕し、分級し、その粒度を表1に記載のようにした。上記反応における触媒の触媒活性及びアモルファス化度を表1に示す。
【0035】比較応用例3応用例1と同様にして、ラウリルアルコール−EO付加重合体を製造した。但し、実施例1の触媒の代りに、比較例1に記載の複合酸化物触媒を調製し、この触媒をメノウ乳鉢で粉砕し、分級し、その粒度を表1に記載のようにした。上記反応における触媒の触媒活性及びアモルファス化度を表1に示す。
【0036】
【表1】

【0037】応用例2実施例4の触媒によるナローレンジEO付加反応実施例4で得られた触媒90mgを使用したことを除き、その他は、実施例6と同条件で反応を行ってラウリルアルコールEO付加重合体を製造した。但し、反応時間は熟成時間も含めて3時間であった。反応液に蒸留水5g及びドライアイス5gを加え90℃の温度で30分攪拌し、触媒の粒径を増大させた後、直径95mmの桐山ロートにNO. 707ろ紙を使用して、反応液を応用例1と同様にろ過し、POE(4)ラウリルエーテルのナローレンジ品121gが得られた。そのナロー度は62%であり、副生成物としてポリエチレングリコールの含量は1.9%であった。
【0038】応用例3実施例2の触媒によるナローレンジEO付加反応実施例2で得られた触媒300mgを使用したことを除き、その他は、応用例2と同条件で反応を行った。但し、反応時間は熟成時間も含めて2.5時間であった。反応液に蒸留水5g及びドライアイス5gを加え90℃の温度で30分攪拌し、触媒粒径を増大させた後、直径95mmの桐山ロートにNO. 707ろ紙を使用し、減圧ろ過を行った。POE(4)ラウリルエーテルのナローレンジ品121gが得られた。そのナロー度は66%であり、副生成物としてポリエチレングリコールの含量は1.7%であった。
【0039】比較応用例4MeONaによるブロードレンジEO付加反応市販のMeONaの28%メタノール溶液610mgを触媒として使用したことを除きその他は、応用例2と同条件で反応を行った。但し、反応時間は熟成時間も含めて2時間であった。POE(4)ラウリルエーテルのブロードレンジ品121gが得られた。そのナロー度は40%であり、副生成物としてポリエチレングリコールの含量は1.8%であった。
【0040】応用例4実施例1の触媒によるナローレンジPO付加反応200mlオートクレーブに、ラウリルアルコール45g及び実施例1の触媒450mgを仕込み、窒素でオートクレーブ内を3回置換した後、プロピレンオキサイド55gを導入し、150℃で反応を行った。反応開始から1時間後、圧力減少が終止したので、さらに1時間熟成を行い、反応操作を終了した。この反応液を90℃まで冷却後、残留する微量のプロピレンオキサイドを減圧除去した。この反応液に蒸留水5g及びドライアイス5gを加え、90℃の温度で30分攪拌し、触媒の粒径を増大させた後、直径95mmの桐山ロートにNO. 707ろ紙を使用し、減圧ろ過を行った。POP(4)ラウリルエーテルのナローレンジ品100gが得られた。そのナロー度は70%であり、副生成物としてポリプロピレングリコールの含量は0.1%であった。この場合のナローレンジ度は、反応液のGC分析チャートにおいて、PO付加数3〜5のピークの面積の合計値の全面積に対する比(%)の数値である。副生成物の含量はHPLCにより分析した。
【0041】応用例5実施例2の触媒によるナローレンジPO付加反応実施例2で得られた触媒450mgを使用したことを除きその他は、応用例4と同条件で反応を行った。但し、反応時間は熟成時間も含めて3.5時間であった。得られた反応液に蒸留水5g及びドライアイス5gを加え、90℃の温度で30分攪拌し、触媒粒径を増大させた後、直径95mmの桐山ロートにNO. 707ろ紙を使用し、減圧ろ過を行った。POP(4)ラウリルエーテルのナローレンジ品100gが得られた。そのナロー度は72%であり、副生成物としてポリプロピレングリコールの含量は2.0%であった。
【0042】応用例6実施例3の触媒によるナローレンジPO付加反応実施例3で得られた触媒450mgを使用したことを除き、その他は、応用例4と同条件で反応を行った。但し、反応時間は熟成時間も含めて4時間であった。得られた反応液に蒸留水5g及びドライアイス5gを加え、90℃の温度で30分攪拌し、触媒の粒径を増大させた後、直径95mmの桐山ロートにNO. 707ろ紙を使用し、減圧ろ過を行った。POP(4)ラウリルエーテルのナローレンジ品100gが得られた。そのナロー度は75%であり、副生成物としてポリプロピレングリコールの含量は0.1%であった。
【0043】比較応用例5比較例1の触媒によるPO付加反応比較例1で得られた触媒450mgを使用したことを除きその他は、応用例4と同条件で反応を行った。反応温度を170℃まで上昇しても圧力が減少せず、反応はほとんど進行しなかった。
【0044】比較応用例6MeONaによるブロードレンジPO付加反応市販のMeONaの28%メタノール溶液450mgを使用したことを除きその他は、応用例4と同条件で反応を行った。但し反応時間は熟成時間も含めて3時間であった。POP(4)ラウリルエーテルのブロードレンジ品100gが得られた。そのナロー度は45%であり、副生成物としてポリプロピレングリコールの含量は0.1%であった。
【0045】
【発明の効果】本発明のアルコキシル化触媒は、活性水素原子含有有機化合物に対するアルキレンオキシド(特にプロピレンオキシド)の付加重合反応に対して、きわめて高い触媒活性を示し、50%を超える高いナロー度のアルキレンオキシド付加重合体を製造することができる。このため、本発明のアルコキシル化触媒は、界面活性化合物を包含する各種化学製品の製造に有用なものである。
【出願人】 【識別番号】390003001
【氏名又は名称】川研ファインケミカル株式会社
【出願日】 平成11年6月14日(1999.6.14)
【代理人】 【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬 (外4名)
【公開番号】 特開2000−354763(P2000−354763A)
【公開日】 平成12年12月26日(2000.12.26)
【出願番号】 特願平11−166903