トップ :: A 生活必需品 :: A63 スポ−ツ;ゲ−ム;娯楽




【発明の名称】 マーカ配置方法及び複合現実感装置
【発明者】 【氏名】佐藤 清秀

【氏名】大島 登志一

【要約】 【課題】複数プレーヤにより共通の複合現実空間を共有する場合でも、プレーヤごとのマーカが確実に検出可能な複合現実空間におけるマーカの配置方法を提供すること。

【解決手段】あるプレーヤのみが使用すべきマーカは、他のプレーヤからは見えない位置に配置する。複合現実空間を利用するアプリケーションで使用する現実物体を利用することも可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 複合現実空間を提示する際の位置指標として、現実空間に配置するマーカの配置方法であって、前記複合現実空間を互いに異なる移動可能範囲内で観察する複数のプレーヤが、前記複合現実空間を観察した際、他のプレーヤのみが使用すべきマーカが観察されない様な位置関係でマーカを配置することを特徴とするマーカ配置方法。
【請求項2】 前記他のプレーヤのみが使用すべきマーカは、当該プレーヤが使用するマーカと色、形状及び大きさが類似のマーカであることを特徴とする請求項1記載のマーカ配置方法。
【請求項3】 あるプレーヤのみが使用するマーカは、他のプレーヤからは現実物体によって隠れる位置に配置することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のマーカ配置方法。
【請求項4】 前記現実物体が、前記複合現実空間を利用したアプリケーションのために配置されたものであることを特徴とする請求項3記載のマーカ配置方法。
【請求項5】 配置するマーカは複数のプレーヤで共有するマーカを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のマーカ配置方法。
【請求項6】 前記マーカの色が共通であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のマーカ配置方法。
【請求項7】 請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のマーカ配置方法によって配置されたマーカを用いてプレーヤの位置姿勢情報の算出及び/または補正を行うことを特徴とする複合現実感装置。
【請求項8】 請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のマーカ配置方法をコンピュータ装置が実行可能なプログラムとして格納した記憶媒体。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複合現実空間を提示する際に位置指標として用いられるマーカを配置する方法に関し、特に複合現実空間を複数のプレーヤが共有する場合でもマーカの検出が容易なマーカ配置方法及びそれを用いた複合現実感装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、現実空間と仮想空間の継ぎ目のない結合を目的とした複合現実感(Mixed Reallity、MR)に関する研究が盛んになっている。MRは従来、現実空間と切り離された状況でのみ体験可能であったバーチャルリアリティ(VR)の世界と現実空間との共存を目的とし、VRを増強する技術として注目されている。
【0003】複合現実感を実現する装置として代表的なものは、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)である。すなわち、現実空間と仮想空間をHMDに合成して表示することにより、複合現実感を実現するものである。また、HMDを用いたMRの方式としては、半透過型(シースルー型)のヘッドマウントディスプレイ(HMD)にCG等の画像を重畳する光学シースルー方式と、HMDに装着したビデオカメラで撮影した画像データにCG等の画像を合成した後、HMDに表示するビデオシースルー方式がある。
【0004】MRの用途としては、患者の体内の様子を透過しているように医師に提示する医療補助の用途や、工場において製品の組み立て手順を実物に重ねて表示する作業補助の用途など、今までのVRとは質的に全く異なった新たな分野が期待されている。
【0005】これらの応用に対して共通に要求されるのは、現実空間と仮想空間の間の”ずれ”をいかにして取り除くかという技術である。”ずれ”は位置ずれ、時間ずれ、質的ずれに分類可能であり、この中でももっとも基本的な要求といえる位置ずれの解消については、従来から多くの取り組みが行われてきた。
【0006】特にビデオシースルー方式MRの場合、位置ずれを補正する方法として画像処理の手法が比較的容易に適用できるため、画像処理を利用した位置合わせについて従来提案がなされている。
【0007】具体的には、現実空間の所定位置に、画像処理によって検出しやすい色で印付けされたマーカを配置し、プレーヤが装着したカメラで撮影した画像から検出したマーカ位置によって視点位置を計算する方法や、画像中のマーカ位置によって位置姿勢センサの出力信号を補正する方法などである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】画像データ中のマーカを検出し、その結果によってプレーヤの位置姿勢を推定する場合には、マーカは、画像中に適度な大きさかつほぼ均一な間隔で現れる必要がある。また、視点位置の計算には十分な個数のマーカが同時に画像中で検出される必要があるため、画像中である程度狭い間隔で観測されるようにマーカを配置する必要がある。
【0009】一方、マーカの追跡精度や識別精度を上げるためには,画像中である程度広い間隔で観測されるようにマーカを配置する必要がある。
【0010】プレーヤが一人の場合であれば、このような条件を満たすようにマーカを配置することは困難ではないが、複数のプレーヤが共通の複合現実空間を共有するようなアプリケーションにおいては、あるプレーヤからは等間隔で観測可能に配置されたマーカが、他のプレーヤからは等間隔に観測されないことが起こりうる。
【0011】そのため、特開平11−84307号公報では、2人のプレーヤが現実物体であるテーブル上で仮想のパックを打ち合うエアホッケーゲームにおいて、プレーヤごとに異なる色のマーカを設けることによって、各プレーヤからマーカが好適な配置と大きさで観測できるように構成している。
【0012】しかしながら、同一複合現実空間を共有するプレーヤが増えると、色分けによるマーカ配置が困難になってくる。すなわち、画像処理によって色を検出するためには、マーカと背景物体の色および異なるユーザ間のマーカの色はそれぞれ画像処理によって容易に検出、分離が可能な色である必要があるが、使用する色が増加するとこの条件をみたすことが困難になり、抽出誤りやマーカ相互の識別誤りの発生原因となる。
【0013】図10は、複数色のマーカを用いた際の誤認識原因について説明する図である。図10において、横軸は赤、縦軸は緑を示し、説明を簡略化するために青色の軸を省略して記載してある。図において、領域AはマーカtypeA(赤色マーカ)の色分布を定義する領域、領域BはマーカtypeB(橙色マーカ)の色分布を定義する領域をそれぞれ示している。このように、プレーヤが増加し、似た色をマーカとして使用した場合、光源の位置や撮影の角度によって例えば赤色マーカを観測したにもかかわらず,領域Bの(即ち橙色マーカの)色として検出されてしまう可能性があり、誤検出のもととなってしまう。
【0014】また、各プレーヤごとに異なる色のマーカを複数配置することによって現実空間に非常に多くのマーカが存在することになり、プレーヤの視界が煩雑になる上、複合現実空間を体感する上で臨場感などを損なう原因となる。
【0015】本発明の目的は、上述の課題を解決し、複数プレーヤにより共通の複合現実空間を共有する場合でも、プレーヤごとのマーカが確実に検出可能な複合現実空間におけるマーカの配置方法を提供することにある。
【0016】また、本発明の別の目的は、プレーヤが増加してもマーカの数が単純に増加しない複合現実空間におけるマーカの配置方法を提供することにある。
【0017】また、本発明の別の目的は本発明による複合現実空間におけるマーカ配置方法を利用した複合現実感装置を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の要旨は、複合現実空間を生成する際の位置指標として、現実空間に配置するマーカの配置方法であって、複合現実空間を互いに異なる移動可能範囲内で観察する複数のプレーヤが、複合現実空間を観察した際、他のプレーヤのみが使用すべきマーカが観察されない様な位置関係でマーカを配置することを特徴とするマーカ配置方法に存する。
【0019】また、本発明の別の要旨は、本発明のマーカ配置方法によって配置されたマーカを用いてプレーヤの位置情報の算出及び/または補正を行うことを特徴とする複合現実感装置に存する。
【0020】また、本発明の別の要旨は、本発明による複合現実空間におけるマーカ配置方法方法をコンピュータ装置が実行可能なプログラムとして格納した記憶媒体に存する。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明のマーカ配置方法の好ましい実施形態について説明する。本実施形態は、3人のプレーヤーが同一仮想空間を共有して行う複合現実感ゲームであるが、本発明による複合現実空間におけるマーカ配置方法は、その他任意の用途に適用することができる。
【0022】図1は、本発明によるマーカ配置方法を適用した複合現実感ゲームを実施するための複合現実感装置の構成を示す図である。図1は、プレーヤが3人の場合の構成を示している。複合現実感装置は、各プレーヤごとに設けられたプレーヤ処理部100〜300と、各プレーヤ処理部に接続された制御部400とから構成されており、プレーヤの増減によって制御部400に接続されるプレーヤ処理部も増減する。
【0023】プレーヤ処理部100〜300はそれぞれ同一の構成を有しており、プレーヤの体に装着されたセンサや表示装置などの入出力部分(102、103、105、1011、1021、1022)と、センサから収集した信号処理及びこの信号処理結果と制御部から供給される他プレーヤの情報を元にして表示装置に表示すべき画像を生成する回路部分(101、104、106、107)とから構成される。
【0024】以下、図1と本実施形態において各プレーヤが装着する入出力機器の種類と装着場所を示す図2を参照して、プレーヤ処理部の構成を説明する。図2に示すように、本実施形態において各プレーヤは、頭部に現実空間と仮想空間とを合成して表示するための表示装置である頭部装着型画像表示装置(以下HMDと言う)105を装着する。本発明においてHMDはビデオシースルー型でも光学シースルー型でもよいが、以下の説明ではビデオシースルー型HMDを用いた場合を例にして説明する。
【0025】HMD105の目に近い部分には、2つの小型ビデオカメラ103が設けられている。このビデオカメラ103で撮影された、プレーヤの視点とほぼ同一の視点による映像は、画像入力部104を介して後述する画像合成部106に供給され、仮想空間画像と重畳されてプレーヤのHMD105に表示される。また、画像入力部104は画像合成部106の他に、入力画像を頭部位置検出部101へ供給する。
【0026】また、プレーヤの頭部にはさらに、例えば磁気センサからなる頭部位置姿勢センサ1011が装着されている。頭部位置姿勢センサ1011は、例えばHMD105を利用して装着することができる。頭部位置姿勢センサ1011の出力信号は頭部位置姿勢計測部101に入力される。頭部位置姿勢計測部101は、画像入力部104から供給される画像を用いて位置補正用のマーカを検出し、頭部位置姿勢センサ1011より供給される信号を補正することで、プレーヤの視点位置、姿勢を推定する。
【0027】一方、プレーヤの腕には、対話操作入力装置102が装着されている。対話操作入力装置102は、装着された部位の位置、姿勢を検出する位置姿勢センサ1021と、装着部位の動きに応じてオン・オフするスイッチ(トリガ)1022とを有し、プレーヤが所定の動作を行うことによってコマンド入力を行うための装置である。
【0028】以下の説明においては、複数のプレーヤ(本実施形態では3人)が同一の複合現実空間を共有し、複合現実空間上に出現する敵からの攻撃を避けながら、敵を撃破し、時間あるいは敵の攻撃によるダメージが所定量に達するまでに撃破した敵の数あるいは点数を競うゲームであって、対話操作入力装置102を用いて以下のようなコマンド入力が可能な場合を例にして説明する。
【0029】・コマンド1(照準コマンド)
照準位置を仮想空間上で指し示す照準線を表示するコマンド。手の甲を上にした状態で、肘よりも手首を上方に位置させることにより入力する。
・コマンド2(射撃コマンド)
照準線が示す照準位置を射撃するコマンド。照準コマンドにより照準線が表示された状態で、一定の加速度以上で腕(肘から手のひらにかけて)を前後に往復移動させることにより入力する。
・コマンド3(防御コマンド)
相手方の攻撃を防御するコマンド。手の甲を相手方に向けた状態で、指先を上方に向けることにより入力する。
・コマンド4(リセットコマンド)
射撃コマンドを入力した後、再度照準コマンドを入力する際に入力するコマンド。腕を下に垂らした状態にすることで入力する。
【0030】すなわち、本実施形態のゲームにおけるプレーヤの動作としては通常、照準コマンド→射撃コマンド→リセットコマンド→照準コマンドというサイクルでコマンドの入力を繰り返し、このサイクルの中で必要に応じて防御コマンドを入力することになる。
【0031】対話操作入力装置102によって入力されたコマンドは、画像生成部107に供給される。
【0032】画像生成部107は、頭部位置姿勢計測部101から供給されるプレーヤの頭部位置及び姿勢情報と対話操作入力装置102から供給されるコマンド情報を制御部400へ転送する。また、プレーヤの頭部位置・姿勢情報及びコマンド情報と、制御部400から受信した他プレーヤの頭部位置・姿勢情報並びにコマンド情報とモデル情報、敵キャラクタの位置、移動方向、状態情報、空間内に配置された障害物の位置、形状などの情報を用いて、対応するプレーヤのHMD105に表示すべき仮想空間画像を作成し、画像合成部106へ出力する。
【0033】画像合成部106は、プレーヤの視点に近い位置に取り付けられたビデオカメラ103の画像(実空間画像)と、画像生成部107が作成した仮想空間画像とを合成し、プレーヤのHMD105に供給する。
【0034】制御部400は、上述のようなプレーヤ処理部100〜300が接続された複合現実空間管理部1と、現実物体位置計測部2とから構成されている。複合現実空間管理部1は、各プレーヤ処理部100〜300から受信したプレーヤの頭部位置、姿勢に関する情報と、対話操作入力装置102の位置、姿勢及びコマンド情報とを配信するとともに、仮想空間上に表示する敵キャラクタの生成、消滅、制御及び射撃コマンドによる射撃の当たり判定等のゲーム処理を行う。敵キャラクタのモデルや位置、移動方向及び、状態(撃破されたか等)の情報も各プレーヤの情報とともに接続される全てのユーザに配信される。
【0035】また、図3に示すように、ゲームの難易度を調整するために射撃の障害となるような現実物体31〜33を配置する様な場合には、この現実物体31〜33の形状及び位置に関する情報も複合現実空間管理部1が管理する。
【0036】図3(a)はあるプレーヤから見たゲームフィールド(複合現実空間)の斜視図、図3(b)はその上面図をそれぞれ示す。図3においては、(現実空間の)テーブル30の上に、3つの現実空間物体31〜33を障害物として配置した場合を示す。本実施形態においては、上述のように対話操作入力装置102を用いた照準コマンドの入力動作が、肘より手首を高くする動作であるため、一般的な体型において腰の高さ程度の高さを有するテーブル30の上に現実空間物体を配置しているが、対話操作入力装置によるコマンド入力動作によってはテーブルが不要であることは言うまでもない。
【0037】図3において、現実空間物体31、32は固定、33は可動とされている。可動の現実空間物体があると、ゲームの難易度を動的に変化させることができる。例えば、可動現実物体33がランダムなスピードで左右に移動すれば、標的である敵キャラクタの射撃は静的な現実物体31、32のみが配置されている場合よりも更に難しくなる。可動現実物体の移動制御は、複合現実空間管理部1が行っても、他の制御回路によって行ってもよい。この場合、可動物体のモデルは複合現実空間管理部1が管理し、またその位置は可動物体33に設けた物体位置センサ331を現実物体位置計測部2によって計測することになる。
【0038】以上説明したような複合現実感装置は、制御部400をサーバー、プレーヤ処理部100〜300(の回路部分)をクライアントとするクライアント=サーバーシステムによって実現することができる。個々のプレーヤに関する処理をクライアントで分散して処理することにより、プレーヤの増減に柔軟に対処可能である。より具体的に述べれば、プレーヤ処理部はビデオ入出力機能及び各種センサからの信号受信機能を有する汎用コンピュータ装置により、制御部400も各プレーヤ処理部と通信可能なインタフェースと、物体位置計測部2からの計測信号受信機能を有する汎用コンピュータ装置により実現できる。
【0039】ただし、3次元の画像表示に関する演算を実時間で行う必要があるため、この様な演算に特化したアクセラレータ(いわゆる3Dアクセラレータ)等を有する比較的高速なコンピュータ装置を用いることが好ましい。また、制御部400とプレーヤ処理部100〜300との通信も100BASE−Tなど容量の大きな回線による接続が好ましい。通信回線の容量が小さいとプレーヤ数の増加に伴い処理速度の低下が大きくなる。
【0040】(マーカ配置方法)図4は、本実施形態におけるマーカ配置の一例を示す斜視図である。本実施形態のゲームにおいては、現実物体による障害物を配置するが、その障害物を利用してマーカを配置することにより、各プレーヤの移動範囲内において視野に入るマーカを制限しつつ、前述の条件を満たすことが可能となる。
【0041】図5(a)〜(c)はそれぞれ、図4におけるプレーヤA,B,Cからみることのできるマーカを抽出して示した図である。このように、各プレーヤから見えるマーカはそれぞれほぼ均等の間隔かつ視点位置の計算に必要な数観察されるが、他プレーヤ用のマーカは視認されないため、色を変える必要がない。また、図4に示すように複数のプレーヤ間で同じマーカを共有することも可能となる。
【0042】図6(a)〜(c)は、障害物を利用しない場合に各プレーヤから観察されるマーカを図5(a)〜(c)に対応して示した図である。本発明によるマーカ配置方法によって、各プレーヤが観察するマーカの数が非常に少なくなり、かつ前述の条件を満たすようになることが図5と図6との対比から明快に理解される。
【0043】プレーヤが増加した場合にはマーカを設ける現実物体の形状(断面形状や高低等)を変化させたり、色を追加するなどの方法で対処することができる。色を増やす場合も従来の様に1プレーヤに1色を割り当てるわけではないので、少ない色で多数のプレーヤに対するマーカを配置することが可能となる。
【0044】マーカの配置位置の決定は、人手に頼っても良いが、あらかじめ現実物体のモデルと各プレーヤの視点位置移動可能範囲のモデルを生成しておき、対象となるプレーヤから見える範囲でかつ他のプレーヤの視線が遮られる範囲を求めることによって決定することができる。さらに、設けたいマーカの数と配置規則を用いて位置を算出するようにしても良い。逆に、このような条件を満たすような障害物形状及び/または配置を算出するように構成しても良い。
【0045】また、障害物などマーカの配置に利用できる物体がない場合であっても、アプリケーション上問題にならない位置に現実物体を配置し、現実物体の存在を仮想空間画像で隠すことにより、プレーヤはマーカ用の現実物体を意識することなく複合現実空間を体験することが可能となる。仮想空間画像によるマーカ等の隠蔽については後で詳述する。
【0046】(マーカの検出)次にマーカの検出方法について説明する。図8は、図7に示す領域Aに含まれる色を有するtypeAのマーカ(赤色マーカ)を検出する処理の流れを示すフローチャートである。マーカ検出処理及び検出したマーカの情報の利用はいずれも頭部位置姿勢計測部101が行う。
【0047】まず、ビデオカメラ103で撮影された画像を、画像入力部104を介して取得する(ステップS701)。そして、2値化処理を行う(ステップS702)。具体的には、図7(青の軸は省略して記載)に示される領域Aに含まれる画素を1、それ以外を0とする。すなわち、Ii: 入力カラー画像Iを構成するi番目の画素Ri,Gi,Bi: Iiを構成するR、G、B各色の値ITHi: 2値画像のi番目の画素値RminA、GminA,BminA: 領域Aを定義するR、G、Bそれぞれの最小値RmaxA、GmaxA,BmaxA: 領域Aを定義するR、G、Bそれぞれの最大値とすると、各Iiごとに、RminA<Ri<RmaxAかつGminA<Gi<GmaxAかつBminA<Bi<BmaxAを満たすIiに対応するITHiに1、それ以外のIiに対応するITHiを0として、二値画像ITHを形成する。
【0048】ついで、二値画像ITHにラベリング処理を行い、マーカ領域(クラスタ)を抽出する(ステップS703)。そして、各クラスタの重心(Xn,Yn)と面積anを算出して(ステップS704)、頭部位置姿勢計測部101内部の、視点位置姿勢推定モジュール(図示せず)へ出力する(ステップS705)。視点位置姿勢推定モジュールにおいては、あらかじめ登録されているマーカの絶対座標と、画像から検出されたマーカ位置(クラスタ重心)とから、頭部位置姿勢センサ1011の出力信号の補正を行い、プレーヤの視点位置及び姿勢を算出する。
【0049】図8においては、ある1色(赤色)のマーカを検出する場合の処理について説明したが、プレーヤ数が増加し、複数色のマーカが存在する場合には、2値化画像を生成する際の閾値を変えて各色ごとの検出処理を繰り返し行う。
【0050】(マーカの消去)前述の通り、マーカは本来頭部位置姿勢センサ1011の出力が正確であれば不要なものである。さらに、マーカをプレーヤが認識することにより臨場感を損なうおそれがあるなど、複合現実空間においてマーカの存在は認識されないことが望ましい。
【0051】そのため、本発明においては、プレーヤにマーカの存在を意識させないように見かけ上マーカを消去することを特徴とする。マーカを見かけ上消去する方法としては、種々の方法が考えられるが、マーカに仮想画像を重畳してプレーヤに表示する方法が処理の負荷や違和感が小さいことから好ましい。
【0052】図9は、マーカの消去方法を説明する図である。図9(a)は、本実施形態におけるマーカ配置方法で配置した、プレーヤAに対するマーカを表したもので、図5(a)に対応する。このようにテーブル及び障害物といった現実物体に配置されたマーカを消去するには、まずマーカを配置する前に配置の予定される場所をビデオやデジタルカメラ、スチルカメラ等で撮影し、画像データをテクスチャとして取得しておく。そして、マーカの配置後、プレーヤのHMDに表示する画像データのうち、マーカ部分に相当する画像データをあらかじめ取得しておいたテクスチャ画像で置き換えるか、重畳して画像データを表示する(図9(b))。
【0053】このように画像データを置き換え/重畳することにより、プレーヤはマーカの存在を認識することなく、ゲームに集中することが可能となる。テクスチャとして用意する画像データは、実際に使用される条件(光源位置や明るさ)の元で取得することが、視覚上の違和感を低減する上で好ましいが、同じ材質の現実物体に配置されるマーカを消去するテクスチャ画像を1つの共通テクスチャとしてもよい。
【0054】また、障害物を使用しないアプリケーションにおいて、マーカ配置のためのみに現実物体を配置したような場合や、個々のマーカに対して画像データを置き換え/重畳するのが困難な場合などは、図9(c)のように、現実物体をすべて覆うような画像91を用いることもできる。この場合、どのような画像データを用いるかは、アプリケーションによって適宜定めればよい。たとえば、ゲームアプリケーションにおいては、逆にこの画像91を利用して、仮想空間におけるステージの様なものを形成しても良いし、現実空間との差を感じさせたくないアプリケーションであれば現実空間で撮影した物体のデータにすればよい。もちろん、2次元画像データでなく、3次元物体のデータとすることも可能である。
【0055】
【他の実施形態】上述の実施形態では、マーカから得られる情報は頭部位置姿勢センサ1011の誤差補正のために用いていたが、頭部位置姿勢センサ1011を用いることなく、マーカから得られる情報のみからプレーヤの視点位置姿勢を求める事も可能であり、そのような用途にも本発明を適用することが可能である。また、上述の実施形態はビデオシースルー方式の複合現実感装置であったが、本発明は光学シースルー方式の複合現実感装置にも同様に適用可能であることは言うまでもない。
【0056】また、上述の実施形態においては、トリガ1022を使用せず、対話操作入力装置の動きを検出してコマンドを入力したが、プレーヤがトリガ1022を用いて各種コマンドを入力するようにしても、動作検出とトリガのオン・オフとを組み合わせても良い。さらに、対話操作入力装置に、プレーヤの動作に応じてオン・オフするようなスイッチを組み込んでトリガとして用いることもできる。
【0057】本発明の目的は、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体(または記録媒体)を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0058】さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0059】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、複合現実感装置において位置あわせのために用いられるマーカを、複数のプレーヤで同一の複合現実空間を共有するような場合であっても、必要な位置的、数的条件を満たしながら配置することが可能となる。また、プレーヤ毎にマーカの色を変える必要がないため、プレーヤの数が増加した場合でも、誤検出の確率を抑制することができる。
【0060】さらに、もともと配置された現実空間物体を利用することができるため、アプリケーションによってはマーカを配置するための物体を設ける必要がないという効果も有する。
【出願人】 【識別番号】397024225
【氏名又は名称】株式会社エム・アール・システム研究所
【出願日】 平成11年6月11日(1999.6.11)
【代理人】 【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳 (外2名)
【公開番号】 特開2000−350859(P2000−350859A)
【公開日】 平成12年12月19日(2000.12.19)
【出願番号】 特願平11−164716