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【発明の名称】 FRP製シャフトの製造方法
【発明者】 【氏名】樋口 良司

【氏名】松井 泰志

【要約】 【課題】シャフト成形用のプリプレグをマンドレルに巻き付ける時の作業性を向上させる事ができるFRP製シャフトの製造方法を提供する。

【解決手段】繊維の配向角度が+45°のプリプレグ21の上に、繊維の配向角度が−45°22のプリプレグをマンドレルの半周分ずらせて、かつ、配向角度が直行するように重ね合わせ、前記バイアスプリプレグ21の巻き始め端部4の全幅にわたって、常温で粘着性を有する熱硬化型の樹脂製フィルム1を貼着して、この常温で粘着性を有する熱硬化型の樹脂製フィルム1をマンドレル3に付着させ前記シャフト成形用プリプレグ2を巻き付け、バイアス層を形成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 強化繊維とマトリックス樹脂から成るシャフト成形用プリプレグをマンドレルに巻き付け、加熱成形するFRP製シャフトの製造方法において、前記シャフト成形用のプリプレグの巻き始め部に、常温で粘着性を有する熱硬化型の樹脂製フィルムを貼着せしめ、次いで前記シャフト成形用プリプレグをマンドレルに巻き付けることを特徴とするFRP製シャフトの製造方法。
【請求項2】 前記常温で粘着性を有する熱硬化型の樹脂製フィルムは、バイアスプリプレグの巻き始め端部に貼着したことを特徴とする請求項1記載のFRP製シャフトの製造方法。
【請求項3】 前記常温で粘着性を有する熱硬化型の樹脂製フィルムは、シャフト成形用プリプレグを構成する樹脂と同一の樹脂製であることを特徴とする請求項1または2記載のFRP製シャフトの製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ゴルフクラブ用のFRP製シャフトを製造する方法に関するものであり、更に詳しくはシートワインディング法によるプリプレグの巻き付け工程における作業性の向上を図ったものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、ゴルフクラブ用のFRP製シャフトとしては、マンドレルにシート状に成形されたプリプレグを巻き付け、ラッピングテープ等で巻き締めた後、加熱硬化することにより成形されている。例えば、炭素繊維に強化樹脂としてエポキシ樹脂を含浸させてプリプレグシートを形成し、これをシャフトを成形するための所定の形状に裁断して、これらを単体で、或いは複数枚重ねた状態でマンドレルに巻き付ける。そして、巻き付けたプリプレグの上からラッピングテープ等で巻き締めた後、さらにこれを加熱することによって成形し、硬化後、前記マンドレルを引き抜くことによりFRP製シャフトを製造している。
【0003】前記工程において、シャフト成形用に所定の形状に裁断したプリプレグをマンドレルに巻き付ける工程においては、あらかじめマンドレルの表面に熱硬化性接着剤をディッピング等で塗布し、この接着剤の粘着性を利用して、シャフト成形用のプリプレグの巻き始め部をマンドレルに密着させて巻きのきっかけとなし、ローリングマシン等で巻き付けを行っている。
【0004】また、その外の方法としては、前記シャフト成形用のプリプレグの巻き始め部に両面テープを貼付しておき、これをマンドレルに密着させて巻きのきっかけとして巻き付けを行っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記プリプレグを巻き付ける工程中、あらかじめマンドレルの表面に熱硬化性接着剤をディッピング等で塗布し、この接着剤の粘着性を利用して、シャフト成形用のプリプレグの巻き始め部をマンドレルに密着させて巻きのきっかけとする方法では、接着剤が液状であるので、作業上、ディッピング等で塗布することから、マンドレルに塗布する作業が煩雑で作業効率が良くないことや、均一に塗布でき難いこと、さらには、厚塗りになり易く、かつ、マンドレル全体に塗布していることにより塗布重量が1g以上となってしまい、シャフトの重量に悪影響を及ぼすなどの欠点があった。また前記樹脂量が多いと、加熱硬化成形時に炉落ちが生じ易かった。
【0006】また、両面テープをシャフト成形用のプリプレグの巻き始め部に貼付しておき、これをマンドレルに密着させて巻きのきっかけとする方法においては、前記両面テープの厚みが厚いため成形したシャフトの肉厚が不均一になり、シャフトの方向性が悪くなる。前記両面テープをプリプレグに貼着してマンドレルに巻き付けて加熱硬化成形した後も、前記両面テープは硬化することなく表面が粘着性を有しているため、シャフト成形用のプリプレグの硬化を阻害しシャフトの性能に悪影響を及ぼす場合があるほか、シャフトの最内層に前記粘着テープが存在すると、プリプレグを加熱硬化後マンドレルを引き抜く時に、前記粘着テープの粘着性のためマンドレルが引き抜き難いことや、成形後にその粘着面に異物が付着するなどの問題点があった。
【0007】そこで本発明は、シャフト成形用のプリプレグをマンドレルに巻き付ける時の作業性を向上させる事ができるFRP製シャフトの製造方法を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するために請求項1の発明は、強化繊維とマトリックス樹脂から成るシャフト成形用のプリプレグをマンドレルに巻き付け、加熱成形するFRP製シャフトの製造方法において、前記シャフト成形用のプリプレグの巻き始め部に、常温で粘着性を有する熱硬化型の樹脂製フィルムを貼着せしめ、次いで前記シャフト成形用のプリプレグをマンドレルに巻き付けることを特徴とするFRP製シャフトの製造方法とした。
【0009】請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記常温で粘着性を有する熱硬化型の樹脂製フィルムは、バイアスプリプレグの巻き始め端部に貼着したことを特徴とするFRP製シャフトの製造方法である。
【0010】請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、前記常温で粘着性を有する熱硬化型の樹脂製フィルムは、シャフト成形用プリプレグを構成する樹脂と同一の樹脂製であることを特徴とするFRP製シャフトの製造方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明を図面に基づき説明する。図1は、マンドレルおよびシャフト成形用プリプレグの巻き始め端部に常温で粘着性を有する熱硬化型の樹脂製フィルムを貼着した状態の一実施例を示す説明図であり、図2は実施例のシャフトの製造方法を説明する側面図である。本発明に使用される常温で粘着性を有する熱硬化型の樹脂製フィルム1は、常温では粘着性があって熱により架橋反応して硬化接着するものであり、たとえば、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、アクリル系樹脂を用いて半硬化のフィルム状に形成したものを用いる。前記樹脂製フィルムは、シャフトを硬化成形後はシャフト成形用プリプレグと一体化する。また、前記常温で粘着性を有する熱硬化型の樹脂製フィルム1は、シャフト成形用に裁断形成されたプリプレグ2の巻き始め端部4に4〜10mmの幅、好ましくは5〜7mmの幅となるように予め貼着する。
【0012】前記構成の常温で粘着性を有する熱硬化型の樹脂製フィルムは、シャフト成形後剥離することは出来ないので、シャフトの重量に悪影響を及ぼさない程度の重量であることが好ましく、1g未満、好ましくは0.5g以下である。前記常温で粘着性を有する熱硬化型の樹脂製フィルム1をシャフト成形用プリプレグ2の巻き始め端部に貼着して、そこにマンドレル3を付着させて巻き付け、ラッピングテープを巻き締め加熱硬化するが、前記加熱時に樹脂製フィルムが溶融しシャフト成形用プリプレグ2と一体化するため、シャフト成形用プリプレグ2の巻き始め端部に貼着する時の厚みや幅は特に限定する必要はないが、前記したように成形後のシャフトの重量に影響を及ぼさない程度の使用重量に収めることが必要である。
【0013】このような常温で粘着性を有する熱硬化型の樹脂製フィルム1を用いてFRP製シャフトを成形する工程の例について図1を参照して説明する。本発明に使用されるシャフト成形用プリプレグを構成する強化繊維としては、通常FRPの強化繊維として用いられる繊維であればよく、特に限定しないが、パラ系芳香族ポリアミド、高強度ポリエチレンなどの有機系強化繊維、炭素繊維、ガラス繊維、ボロン繊維、炭化けい素繊維、アルミナ繊維、チラノ繊維などの無機繊維、金属繊維等が挙げられる。また、これらの繊維を2種類以上組み合わせてもよい。
【0014】また、マトリックス樹脂としても、通常のFRPのマトリックス樹脂として知られている樹脂であればよく、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリビスマレイド樹脂などの熱硬化性樹脂が一般的に用いられる。
【0015】そして、前記強化繊維を引き揃えて、前記マトリックス樹脂を含浸させて形成したプリプレグを、シャフト成形用のプリプレグの形状に裁断して用いる。前記プリプレグの厚み、繊維の目付、樹脂の含有率は当該シャフトに設計された各層の厚み、巻き径から決定する。
【0016】このような常温で粘着性を有する熱硬化型の樹脂製フィルム1を用いてFRP製シャフトを成形する工程の例について説明する。まず、図1に示すように、前記の如く形成されたシャフト成形用プリプレグ2のマンドレル3への巻き始め端部4に4〜8mmの幅に裁断した常温で粘着性を有する熱硬化型の樹脂製フィルム1を貼着し、ここにマンドレル3を付着させシャフト成形用プリプレグ2を積層した後、前記プリプレグ2を硬化させてマンドレル3を抜き取り、FRP製シャフトを成形する。また、前記シャフト成形用プリプレグ2を複数枚重ね合わせてマンドレル3に巻き付ける場合は、図2に示すように、重ね合わせた最外側のプリプレグの巻き始め端部に常温で粘着性を有する熱硬化型の樹脂製フィルム1を貼着してマンドレル3に付着させれば、プリプレグ2を巻き付ける工程の作業性が改善できる。
【0017】また、本発明の方法は、シャフト成形用プリプレグ2の強化繊維の配向角がシャフト軸線に対して或る角度を有するように配設される、いわゆるバイアスプリプレグを巻き付ける際に特に効果がある。前記バイアスプリプレグはマンドレル3に巻き付ける巻き始め端部4に強化繊維の裁断端面が揃うことになるので、前記強化繊維の端面部がマンドレル3に沿い難いため作業性が悪い。従って、この強化繊維の裁断端面が揃っている、バイアスプリプレグの巻き始め端部に粘着性のある常温で粘着性を有する熱硬化型の樹脂製フィルムを貼着しておけば、シャフト成形用プリプレグのマンドレルへの巻き付け作業がより効率化できる。
【0018】
【実施例】本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。細径端部直径4mm、太径端部直径13.4mm、長さ1200mmのテーパーを有するマンドレル3に以下のa、bに示すようにシャフト成形用プリプレグ2を順次巻き付けてFRP製シャフトを形成した。本実施例で用いる常温で粘着性を有する熱硬化型の樹脂製フィルム1は常温で粘着性を有するアクリル系の粘接着剤(ニチバン株式会社製コンジールテープ)を厚みが0.5mmで幅6mmのテープ状に裁断して用いた。
【0019】(a)プリプレグを繊維の配向角度が+45°となるようにマンドレル3に巻き付けた時、細径端部、太径端部ともに2層となるようにプリプレグを裁断してバイアスプリプレグ21とした。また、繊維の配向角度が−45°となるように巻き付けた時も同じようになるようにバイアスプリプレグ22を裁断して、前記プリプレグ21の上に、22のプリプレグをマンドレルの半周分ずらせて、かつ、配向角度が直行するように重ね合わせた。そして、前記バイアスプリプレグ21の巻き始め端部4の全幅にわたって、常温で粘着性を有する熱硬化型の樹脂製フィルム1を貼着して、この常温で粘着性を有する熱硬化型の樹脂製フィルム1をマンドレル3に付着させ前記シャフト成形用プリプレグ2を巻き付け、バイアス層を形成した。常温で粘着性を有する熱硬化型の樹脂製フィルム1の使用重量は0.5gであった。
【0020】(b)プリプレグを繊維の配向角度がシャフト軸線に平行となるようにaのバイアス層の上に巻き付けた時細径端部、太径端部ともに2層となるようにプリプレグを裁断してストレートプリプレグ23とした。前記ストレートプリプレグ23を前記バイアス層の上に巻き付けストレート層を形成した。
【0021】前記ストレート層の上から幅15mm、厚み30mmのポリプロピレンテープを2mmピッチで巻き付け130°Cの硬化炉中に100分入れ硬化した。硬化後ポリプロピレンテープをはぎ取り、マンドレルを抜き取りFRP製シャフトを得た。
【0022】
【発明の効果】本発明の方法によれば、シャフト成形用のプリプレグを用いて、シートワインディング法によりFRP製シャフトを成形するにあたり、プリプレグの巻き始め端部、特にプリプレグの強化繊維の配向角度がシャフト軸線に対して角度を有するバイアスプリプレグの巻き始め端部をマンドレルに巻き付ける時に、前記巻き始め端部の繊維を乱れさせることなく容易に付着させることができるので、プリプレグの巻き付け工程の作業性が向上する。また、本発明に使用する常温で粘着性を有する熱硬化型の樹脂製フィルムは、成形時に溶融してシャフト成形用プリプレグと一体化するため成形後のシャフトの肉厚等に影響を及ぼさず、従って、シャフトの性能に悪影響を及ぼすことなく生産性の向上を図ることができる。
【出願人】 【識別番号】000005935
【氏名又は名称】美津濃株式会社
【出願日】 平成10年7月23日(1998.7.23)
【代理人】
【公開番号】 特開2000−37485(P2000−37485A)
【公開日】 平成12年2月8日(2000.2.8)
【出願番号】 特願平10−225365