トップ :: A 生活必需品 :: A61 医学または獣医学;衛生学




【発明の名称】 身体障害者用トイレ介助装置
【発明者】 【氏名】奥山 美弘

【要約】 【課題】車椅子の使用者が自力で操作してトイレを使用することができる身体障害者用トイレ介助装置を提供する。

【解決手段】車椅子使用者は、支柱2の遠隔操作器3を持ち、遠隔操作によりモータ10、11、12、19を駆動して、可動アーム1の前後移動、上下移動及び水平面上での回転方向の調整を行えるようにすることにより、自力で車椅子から可動アーム1への移動して、可動アームを脇の下に抱え込んで身体を支持し、操作器を操作しながら便器の前方に移動し、可動アーム1を下降調節することにより便座に着座することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】身体を支持し便座へ誘導するための可動アームと、該可動アームを空間の任意位置へ移動させるための3自由度を有する機構部と、該機構部を駆動するための駆動部と、該駆動部を制御するための制御部及び遠隔操作器を備え、車椅子の使用者が前記遠隔操作器を操作して前記可動アームを誘導すると共に、車椅子から可動アームへの移動、可動アームで身体を支持しながら便座への着座及び車椅子への復帰ができるようにしたことを特徴とする身体障害者用トイレ介助装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、身体障害者がトイレを利用する場合の身体障害者用トイレ介助装置、特に車椅子を使用中の身体障害者がトイレを利用する場合の身体障害者用トイレ介助装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、車椅子を使っている身体障害者がトイレを利用する場合の身体障害者用トイレ介助装置として、図4に示すような手摺りかんを設けたものや、図5に示すような可動便座を便器に連結して設けたものなどが用いられている。図4のトイレ介助装置は、便座21の横に設置した固定部22に上下方向に回動可能な手摺りかん23を取り付けたもので、便座に着座する時この手摺りかん23を把持して身体を支持するようにし、不要時は手摺りかん23を上方に回動させるようにしたものである。また、図5のトイレ介助装置はその上面図を示したもので、垂直に配設された支柱31に旋回可能なアーム32を連結すると共に、その他端に移動用車輪34と上面に便座35を設けた便座支持体33を連結し、車輪34を操作して便座35をトイレ入口と便器36間を移動できるようにしたものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の身体障害者用トイレ介助装置は上記のように構成されているが、従来のような手摺りかんや可動式便座を使用する方式では、車椅子から便座に移る時、身体障害者は自分自身の体重を腕力で支えながら、不安定な状態で手摺りや便座への移動を必要とし、特に体力の弱い身体障害者にとってはこの作業で非常に体力を消耗し、時には転倒などの危険を伴うこともあり得る。また、その危険を回避するためには常時介助者を必要とし、そのための介助費用が大きな負担になるという問題があった。
【0004】本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、身体障害者の体力でも車椅子から便座への移動が可能な身体障害者用トイレ介助装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため、本発明の身体障害者用トイレ介助装置は、身体を支持し便座へ誘導するための可動アームと、該可動アームを空間の任意位置へ移動させるための3自由度を有する機構部と、該機構部を駆動するための駆動部と、該駆動部を制御するための制御部及び遠隔操作器を備え、車椅子の使用者が前記遠隔操作器を操作して前記可動アームを誘導すると共に、車椅子から可動アームへの移動、可動アームで身体を支持しながら便座への着座及び車椅子への復帰ができるようにしたことを特徴とする。
【0006】本発明の身体障害者用トイレ介助装置は上記のように構成されており、身体障害者の体力でも車椅子から便座への移動が可能な身体障害者用トイレ介助装置を得ることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、この発明の一実施例を図面を参照しながら説明する。図1は本発明の身体障害者用トイレ介助装置の実施例の構成を示す斜視図、図2は同装置を使用して便座側へ移動する状態を示す斜視図である。
【0008】図1に示すように、本装置は、円筒状の回転体である支柱2と、それを支持するための台座17と、可動アーム1を支持する枠体5から構成されている。支柱2の円筒面には磁石等を用いた着脱可能な遠隔操作器3及びこの遠隔操作器3から発信される赤外線等を用いた発信信号を受信するための信号受信部6が取り付けられると共に、上下方向に長溝2aが形成されている。
【0009】また、支柱2の内部には、枠体5のガイドアーム5aの端部に設けられたネジ穴(図示せず)と螺合する長軸ネジ13を回転軸に連結したモータ(例えば、2相モータのような正逆転モータ等)19と、台座17から伝達される回転力を受けるためのギヤー14と、矢印A、B、C方向のそれぞれの駆動力を発生するためのモータ19、10、11、12からなる駆動部を制御するための制御部7を適宜各所に固設している。
【0010】前記枠体5の左右下側の円筒部には、可動アーム1が前後移動可能に挿入されており、その後端側にはネジ穴(図示せず)が設けられ、モータ10、11の回転軸と連結した長軸ネジ10a、11aと螺合している。
【0011】前記台座17は床面に固定するための取付けネジ16を有する固定板17a上に円筒部17bを固定したもので、その内部にギヤー15を回転軸に連結したモータ12と、前記制御部7への電力を供給するための電源部20を固設している。そして、前記支柱2を円筒部17bの内面に滑合させ、前記支柱2のギヤー14とギヤー15を噛合させることにより、モータ12の回転と連動して支柱2が回転するようになっている。
【0012】図3は、本装置の回路構成を示すブロック回路図である。図に示されるように、遠隔操作器3は前記可動アーム1を出し入れするモータ10、11を制御するためのスイッチS1、S2と、枠体5を上下させるモータ19を制御するためのスイッチS3、S4と、支柱2を正逆転させるモータ12を制御するためのスイッチS5、S6と、それらの接点信号を光信号で発信するためのホトダイオード群PDから構成されている。また、信号受信部6は遠隔操作器3からの発信信号を受信するためのフォトトランジスタ群PTで構成され、その受信信号は制御部7に入力される。制御部7は公知の2相制御モータ駆動回路C1〜C4が用いられ、その制御出力は各モータの制御巻き線に結合される。なお、上記モータには、正逆転と回転トルクを満たすものであれば、直流モータなど各種のモータを用いることができる。また、支柱2と台座17の接触部分にベアリングを介在させて滑りやすくしたり、台座17の底部に吸着部材を取り付けることも可能である。
【0013】この身体障害者用トイレ介助装置の操作手順を図1から図3とともに示すとつぎのとおりである。
1.車椅子に乗った状態で本装置に近づき、支柱2に取り付けられている遠隔操作器3を手に取る。
2.信号受信部6に向かって遠隔操作器3の支柱回転用スイッチS5、S6を操作し、その発信信号によりモータ12を駆動し、支持アーム5bの軸方向が便座8とほぼ直角になるように位置決めする。
3.遠隔操作器3の可動アーム前後移動用スイッチS1、S2を操作し、モータ10、11を駆動し、可動アーム1を支持アーム5bより押し出す。そして遠隔操作器3の枠体上下移動用スイッチS3、S4を操作し、その発信信号によりモータ19を駆動し、可動アーム1が脇の下にくるように位置決めをする。
4.車椅子を可動アーム1に近づけ、可動アーム1を脇の下に入れ、枠体上下移動用スイッチS3を操作して可動アーム1を少し上昇させ足を床に置く。さらに枠体上下移動用スイッチS3を操作して可動アーム1を上昇させて立ち上がる。
5.可動アーム前後移動用スイッチS1、S2を操作しながら、図2のように本装置側に移動する。
6.図2の状態で支柱回転用スイッチ5を操作しながら便座8の前方に徐々に移動する。
7.便座8に着座する前に下着を下ろすなどの準備をしてから、枠体上下移動用スイッチS4により枠体5を徐々に下降させ便座8に着座した後、可動アーム前後移動用スイッチS2を操作して可動アーム1を支持アーム5b内に入れる。遠隔操作器3をトイレ側壁などに設けられた一時保管場所に置く。
8.用済み後、遠隔操作器3を取り、その可動アーム前後移動用スイッチS1、S2を操作し、可動アーム1を支持アーム5bから押し出し、可動アーム1が脇の下にくるように位置決めする。
9.可動アーム1を脇の下に入れ、枠体上下移動用スイッチS3を操作して可動アーム1を徐々に上昇させながら便座から立ち上がる。
10.可動アーム前後移動用スイッチS1、S2を操作しながら本装置側に移動する。
11.支柱回転用スイッチS6を操作しながら車椅子の前方に徐々に移動し、図2の状態に戻る。
12.枠体上下移動用スイッチS4により枠体5を徐々に下降させ、車椅子に着座して再搭乗を完了する。
【0014】上記のように、本装置は、遠隔操作器3により、可動アーム1を便器8の方向へ誘導すると共に、図2に示すように車椅子使用者がモータ等の駆動源により駆動される可動アーム1に支持されながら移動することにより、移動時の肉体的疲労を軽減して便座への着座及び車椅子への再搭乗ができるようにしたことを特徴とするものであり、支柱2、台座17及び枠体5及びその機構部の形状及び駆動力源は、実施例に限定されるものではない。例えば、駆動源に空気圧や油圧を使用することもできる。操作手順も上記に限定されるものではない。
【0015】
【発明の効果】本発明の身体障害者用トイレ介助装置は上記のように構成されており、常に可動アームに支持されながら車椅子から便座への移動や着衣の脱着ができるため、移動に要する肉体的労力を軽減することができると共に、転倒等の危険も軽減される。
【出願人】 【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
【出願日】 平成11年2月12日(1999.2.12)
【代理人】 【識別番号】100097892
【弁理士】
【氏名又は名称】西岡 義明
【公開番号】 特開2000−232998(P2000−232998A)
【公開日】 平成12年8月29日(2000.8.29)
【出願番号】 特願平11−34555