| 【発明の名称】 |
人工関節 |
| 【発明者】 |
【氏名】石田 典之
【氏名】上野 勝
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| 【要約】 |
【課題】バイポーラ人工骨頭型の人工関節においてインナーヘッドの強度を大きくし、可動域を大きくし、ポリエチレンの摩耗粉を発生させないようにする。
【解決手段】アウターヘッド2内にて回動する如くステム先端部に設けたセラミック製のインナーヘッド3を両者のクリアランスCLを35μm以下として嵌合する。上記インナーヘッド3と摺動するアウターヘッド2の嵌合穴2bに半球状部10を備え、該嵌合穴2bに臨む開口縁に外方に開くテーパー壁2eを備えるとともに、上記半球状部10とテーパー壁2e間の嵌合穴2b内に円柱状部20を形成する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】骨に当接摺動する滑らかなほぼ半球状をした外表面をもったセラミック製のアウターヘッドに、該アウターヘッド内にて回動する如くステム先端部に設けたセラミック製のインナーヘッドを両者のクリアランスを35μm以下として嵌合してなる人工関節であって、上記インナーヘッドと摺動するアウターヘッドの嵌合穴に半球状部を備え、該嵌合穴に臨む開口縁に外方に開くテーパー壁を備えるとともに、上記半球状部とテーパー壁間の嵌合穴内に円柱状部を形成したことを特徴とする人工関節。 【請求項2】上記テーパー面をγ線照射ポリエチレンにより構成したことを特徴とする請求項1記載の人工関節。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、生体の関節部を人工的に補綴し、その機能並びに形態を修復する人工関節に関するもので、特に、骨に当接摺動する滑らかなほぼ半球状をした外表面をもったアウターヘッドに、該アウターヘッド内にて回動する如くステム先端部に設けたセラミック製のインナーヘッドを嵌合してなるバイポーラ人工骨頭型の人工関節に関するものである。 【0002】 【従来の技術】交通事故などによる外傷、リウマチ、変形性関節症など骨の変性にもとづく関節部の病変により、関節機能が損なわれて、治療、回復の見込みが薄いような場合、関節部分を切除し、人工関節で補綴する置換手術が行われている。 【0003】この際に用いられる人工関節として、バイポーラ人工骨頭型のものがある。これは、関節の臼蓋側は軟骨の状態で維持し、骨頭の側のみを置換する症例に用いることができるもので、骨に当接摺動するアウターヘッドの内側にベアリングインサートを一体的に備え、該ベアリングインサート内にて回動するインナーヘッドを有するステムから成るもので、アウターヘッドとインナーヘッドを適当量分偏心させることにより、ヤジロベイの原理を利用して臼蓋内でのアウターヘッドのポジションをほぼ一定に保ちながら、主としてアンターヘッドとインナーヘッドの間で摺動させることにより、関節機能を補完することができるようになっている。 【0004】このようなバイポーラ人工骨頭型の人工関節は、一般に手術の際にまず大腿骨にステムを挿入固着し、その後ステム先端のインナーヘッドにアウターヘッドを取り付けて使用するものであるからインナーヘッドとアウターヘッドは組合せやすく、しかも組み合わせた後は容易に離脱(脱臼)しないような構造になっていなければならない。 【0005】特開昭62−79055号の発明は、このようなバイポーラ人工骨頭型の人工関節に関するもので、ベアリングインサートの開口部より奥方向に複数の切れ込みを形成し、さらに、開口部近傍を肉薄とすることにより、開口部を拡大可能とし、ベアリングインサートとインナーヘッドの着脱を容易にするとともに、インアーヘッド装着後、ベアリングインサート装着後、ベアリングインサートの開口部近傍の肉薄部分とアウターヘッド内壁面の間の隙間に、抜け防止リングを嵌入させることにより、インナーヘッドが、ベアリングインサート内壁面のみでインナーヘッドを支えるようにしたことを特徴とするものであった。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】この発明は、上記構成により確実な連結機構をもたらすことができ、また、ベアリングインサート内壁の滑らかな面に対してインナーヘッドが当接摺動するため、偏摩耗、部分的摩耗等がなく耐久性が大きなものとなる等、非常に効果が大きなものであった。 【0007】しかしながら、アウターヘッドとインナーヘッドの間にベアリングインサートを介装する構造であるため、構造的に若干複雑になっていること、ベアリングインサートを構成する超高分子ポリエチレンの肉厚を確保するため、インナーヘッドの径が小さくならざるを得ず、インナーヘッドの強度に限界があること、インナーヘッドの赤道線を大きく超えてベアリングインサートがオーバーハングする構造であるため可動域がさ程広くはないこと(インナーヘッドが小径であることも可動域を狭める原因である)、また、ベアリングインサートのポリエチレンとインナーヘッドのセラミックとの間の摺動であるので摩耗粉が少なからず発生するなどの問題点を残していた。 【0008】したがって、本発明は、このような問題点を解決することを課題とするものである。 【0009】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため本発明は、骨に当接摺動する滑らかなほぼ半球状をした外表面をもったセラミック製のアウターヘッドに、該アウターヘッド内にて回動する如くステム先端部に設けたセラミック製のインナーヘッドを両者のクリアランスを35μm以下として嵌合してなる人工関節にあって、上記インナーヘッドと摺動するアウターヘッドの嵌合穴に半球状部を備え、該嵌合穴に臨む開口縁に外方に開くテーパー壁を備えるとともに、上記半球状部とテーパー壁間の嵌合穴内に円柱状部を形成したことを特徴とする。 【0010】 【作用】本発明の人工関節はバイポーラ人工骨頭型のものであり、関節の臼蓋側は軟骨の状態で維持し、骨頭の側のみを置換する症例に用いることができるもので、骨に当接摺動するアウターヘッド内にて回動するインナーヘッドを有するステムから成るもので、アウターヘッドとインナーヘッドを適当距離だけ偏心させることにより、ヤジロベイの原理を利用して臼蓋内でのアウターヘッドのポジションをほぼ一定に保ちつつ、主としてアンターヘッドとインナーヘッド間の摺動により、関節機能を補完する。 【0011】本発明の人工関節によれば、アウターヘッドとインナーヘッドのクリアランスを35μm以下と極薄としたことにより、生体内環境では、両者間に生体液がほぼ膜状に介在することとなる。これにより、アウターヘッドとインナーヘッドの間に相互吸引力が発生する。また、インナーヘッドに対してその赤道平面を超えたアウターヘッドの内壁面は内側に絞らない略垂直面となっているが、この部分でも相互吸引力が発生する。この部分の相互吸引力は、アウターヘッドの嵌合穴奥部に設けた半球ドーム状の部分での相互吸引力を補助するとともに、大きな引抜力等により、上記奥部での相互吸引力が解消されそうになった場合でも、略垂直面部分の相互吸引力が上記引抜力に抗することにより、上記奥部での相互吸引力が解消するのを防止する。このように、上記吸引力の作用によって、インナーヘッドがアウターヘッドから脱臼しないようになっている。 【0012】なお、本発明の人工関節の構造によれば、インナーヘッドの赤道平面を超えた開口側部分についてアウターヘッドを内側に絞るようにオーバーハングさせた(包み込むようにする)従来構造の如く、アウターヘッドの高さを大きくする必要がない。そして、アウターヘッドの背丈が低いので、関節の可動域を非常に大きくすることができる。 【0013】さらに、従来、インナーヘッドの赤道平面を超えた開口側部分についてアウターヘッドを内側に絞るようにオーバーハングさせるために、インナーヘッドに対するアウターヘッド側の摺動部材として、変形可能な弾性材料からなるベアリングインサートを備えていたが、本発明においては、ベアリングインサートを介在させずセラミック製のインナーヘッドが直接にセラミック製のアウターヘッドと摺動する構成となっている。このような構成による利点として、まず、セラミック対セラミックの摺動では、セラミック対ポリエチレンの摺動の如き、ポリエチレンの摩耗粉発生という心配がない。また、ベアリングインサートを備えない分だけ、インナーヘッドのサイズを大きくすることができる。インナーヘッドのサイズを大きくすることで、セラミック製のインナーヘッドの強度を高めることができるとともに、抗脱臼力が向上するという利点もある。 【0014】最後に上記人工関節は、上記インナーヘッドと摺動するアウターヘッドの嵌合穴壁面の開口部分をテーパー壁とし、ステムのネックとアウターヘッドが当接する場合に、点当接するのではなく線当接するようになし、過度の応力集中が起こり難い構造となっている。 【0015】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図により説明する。 【0016】図1は、本発明の人工関節1を示す要部破断図であり、2は骨に当接摺動する滑らかなほぼ半球状をした外表面2aを持ったアウターヘッド、3は該アウターヘッド2に備えるほぼ半球状をした嵌合穴2b内にて嵌合回動するインナーヘッドであり、4はピン状をしたネック部4aの先端にインナーヘッド3を嵌挿してなるステムである。 【0017】この人工関節1は、バイポーラ人工骨頭型のものであり、上記ステム4を長管骨髄腔内に装着するようになっている。関節の臼蓋側は軟骨の状態で維持し、骨頭の側のみを置換する症例に用いることができ、上記アウターヘッド2とインナーヘッド3を適当距離偏心(距離d)させることにより、ヤジロベイの原理を利用して臼蓋内でのアウターヘッド2のポジションをほぼ一定に保ちつつ、主としてアンターヘッド2とインナーヘッド3間の摺動により、関節機能を補完する。 【0018】上記人工関節1を構成する各部材の材質はそれぞれ、アウターヘッド2とインナーヘッド3はともにアルミナ等の生体為害性のない安全なセラミック材でなり、ステム4は純チタン、チタン合金、コバルト・モリブデン合金などの生体為害性のない安全な金属材料からなる。なお、上記セラミック材として高純度のアルミナを用いることが好ましく、高純度のアルミナにより摺動表面を構成することにより、強度が大きく且つ耐摩耗性の大きな(摩耗粉の発生し難い)摺動部材とすることができる。 【0019】また摺動表面を構成する上記アウターヘッド2の外表面2aと嵌合穴2bの内壁面2c、並びに、インナーヘッド3の外表面3aは、いずれもポリッシングにより鏡面仕上げされている。 【0020】次に、図1の領域Aの拡大図としての図2中、CLはアウターヘッド2とインナーヘッド3のクリアランスであり、上記人工関節1ではこのクリアランスCLを35μm以下に設定したことを特徴とする。また、インナーヘッド3に対してその赤道平面Pを超えたアウターヘッド2の内壁面2cは内側に絞らない略垂直面2dが高さhで設けられている。 【0021】このように、アウターヘッド2とインナーヘッド3のクリアランスCLを35μm以下と極薄としたことにより、生体内環境では、両者間に生体液がほぼ膜状に介在することとなる。これにより、アウターヘッド2とインナーヘッド3の間に相互吸引力が発生する。 【0022】なお、35μm は必ずしも臨界値を意味するものではないが、この値以下であれば確実に相互吸引力が発生することを確認した。 【0023】さらに、奥部の半球状部10に続き前記赤道平面Pを超えたアウターヘッド2の略垂直壁2dを備えた円柱状部20も隙間が小さいので相互吸引力が発生する。この略垂直壁2d部分の相互吸引力は、アウターヘッド2の嵌合穴2b奥部に設けた半球ドーム状の部分での相互吸引力を補助するとともに、大きな引抜力等により上記奥部での相互吸引力が解消されそうになった場合でも、この相互吸引力が上記引抜力に抗することにより、上記奥部での相互吸引力が解消するのを防止し、インナーヘッド3がアウターヘッド2から脱臼しないようになっている。 【0024】そして、上記のような本発明の構成によれば、インナーヘッド3拘束用のリング部材等を嵌挿させなくても良いので、アウターヘッド2の背丈tを低く抑えることができる。したがって、関節の可動域を非常に大きい。また、ベアリングインサートを備えない分だけ、インナーヘッド3のサイズを大きくすることができる。インナーヘッド3のサイズを大きくすることで、セラミック製のインナーヘッド3の強度を高めることができるとともに、抗脱臼力が向上するという利点もある。 【0025】なお、前記略垂直面2dの高さhとしては、1〜6mmの範囲であることが好ましい。高さhが1未満の場合、インナーヘッド3が脱臼し易くなる恐れがあり、他方、6より大きい場合、アウターヘッド4の背丈tが大きくなり可動域が小さくなってしまう恐れがある。 【0026】また図2に示すように、前記アウターヘッド4の内壁面2cには前記略垂直壁2dに続いてその開口側が外側に開くテーパー壁2eとなっている。そして、このテーパー壁2eは環状の溝5に嵌着されたポリエチレン等からなる環状弾性部材6の表面を構成するものである。 【0027】このような構成により、金属(ステム4)とセラミック(アウターヘッド2)の直接当接を避けるとともに、ステム4のネック部4aと環状弾性部材6が当接する場合に、点当接するのではなく線当接するようになし、過度の応力集中が起こり難い構造となっている。 【0028】なお、環状弾性部材6はγ線照射ポリエチレンにより構成することが好ましい。これは、γ線照射ポリエチレンは耐摩耗性に優れるのでステム4のネック部との摺接による摩耗粉の発生量が非常に少ないためである。 【0029】また、図1に示す前記アウターヘッド4の天井厚みwについては、3.5mm〜15mmの範囲であることが好ましい。この天井厚みwが3.5mm未満の場合には天井部分の強度が不足となり、他方、15mmを越えると偏心量が非常に小さくなり、バイポーラ型の人工関節としての所望の動作が達成できない恐れがある。 【0030】 【発明の効果】叙上のように本発明によれば、アウターヘッドとインナーヘッドのクリアランスを35μm以下と極薄としたことによりアウターヘッドとインナーヘッドの間に相互吸引力が発生し、またインナーヘッドに対してその赤道平面を超えたアウターヘッドの内壁面に内側に絞らない略垂直面を設けたので、この部分でも相互吸引力が発生し、これら吸引力の作用によって、インナーヘッドがアウターヘッド内に装着する構造となっているので、アウターヘッドの背丈を低くすることができる。これにより、関節の可動域を非常に大きくすることができるとともに、ベアリングインサートを介在させずセラミック製のインナーヘッドが直接にセラミック製のアウターヘッドと摺動する構成であるので、ポリエチレンの摩耗粉発生という心配がない。また、ベアリングインサートを備えない分だけ、インナーヘッドのサイズを大きくすることができ、セラミック製のインナーヘッドの強度を高めることができるとともに、抗脱臼力が向上する。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006633 【氏名又は名称】京セラ株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年10月30日(1998.10.30) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2000−135232(P2000−135232A) |
| 【公開日】 |
平成12年5月16日(2000.5.16) |
| 【出願番号】 |
特願平10−310243 |
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