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【発明の名称】 歯科技工用作業模型の基台
【発明者】 【氏名】島 文男

【要約】 【課題】歯形ブロックの切り出しが確実かつ容易にでき、ダウエルピンの位置も明確に判別できるようにした作業模型の基台を提供することである。

【解決手段】基台は、ベース部材10とこれに係合した連結ピン部材20より成り、連結ピン部材20はプレート22とピン24が一体化されたものであって、プレート22の下面には、ピン24に対応する凹部23が設けられている。一方ベース部材10のベース11上面には、前記プレート22とほぼ同形のランド12が形成され、このランド12の上面に設けられた突起13が前記凹部23に密着して嵌り込んでいる。そして前記プレート22の上面に印象模型Aを固着し、切り目線Cに沿ってランド12の個所まで切断することにより、プレート22が確実に切り離され、歯形ブロックを切り出すことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 プレートの下面に形成した多数のピンをベース部材に挿入してプレートをベース部材に係合可能とした歯科技工用作業模型の基台において、前記ベース部材の上面に前記プレートとほぼ同形のランドを形成し、前記プレート下面とランド上面とに、前記それぞれのピンの位置に対応して互に密着して嵌り合う凹凸をプレート及びランドの前縁に形成したことを特徴とする基台。
【請求項2】 前記ピンを有するプレートとベース部材が軽い締り嵌め又は軽い圧入の手段で係合一体化していることを特徴とする請求項1に記載の作業模型の基台。
【請求項3】 前記凹凸をプレート及びランドのピンを挟む前後縁に形成した請求項1又は2に記載の作業模型の基台。
【請求項4】 前記凹凸の形状が前記ピンの方向に深さ又は高さが小さくなるようにしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の作業模型の基台。
【請求項5】 前記凹凸が前記ピンの方向に先端が狭くなるようにした請求項1〜4のいずれかに記載の作業模型の基台。
【請求項6】 前記凹凸の横断面が、半円弧状をなしている請求項1〜5のいずれかに記載の作業模型の基台。
【請求項7】 前記プレートとベース部材の色彩を異ならしめた請求項1〜6のいずれかに記載の作業模型の基台。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、歯科補綴物等を作製する場合に用いる作業模型の基台に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、歯科補綴物を作製する場合、患者の口腔からとった歯形陰型に基づいて石膏で印象模型(歯形模型)を形成し、この印象模型の下面を平坦に削って孔をあけ、ダウエルピンを挿入して接着剤で固着し、必要に応じて回転防止溝を形成した後、印象模型の下面やダウエルピンに離型剤(例えば界面活性剤)を塗布して、予め石膏ペーストを充填した基台用シリコーンゴム型に押し込み、石膏ペーストが硬化した後、脱型して歯科技工用作業模型を作製している。
【0003】
【発明の課題】このように、作業模型を作製するためには、印象模型の孔あけ、ダウエルピンの整列埋め込み、回転防止溝の形成、基台との一体成形など、熟練と時間を要する手作業が多く作業性が悪いため、印象模型と基台との間に、予め多数のダウエルピンを整列配置した中間部材を介在させることが提案されている(例えば特開平6−22988号公報、特開平10−201774号公報)。
【0004】ところが、補綴物を作製するための成形型用歯形ブロックを作業模型から切り出す際に、隣接する歯形部と完全に切り離さないと、作業模型から前記歯形ブロックだけを分離することができないが、中間部材が非常に厚いものであったり、中間部材が基台の石膏に埋もれてしまうため、カッタで切断する際に基台の深くまで切り込まないと中間部材を確実に切り離すことができない問題がある。また、ピンが基台内に隠れているため、切り出しの際にピンの位置が判らず、ピンを切断してしまうことがある。
【0005】そこで、この発明の課題は、歯形ブロックの切り出しが確実かつ容易にでき、ピンの位置も明確に判別できるようにした作業模型の基台を提供することである。
【0006】
【課題の解決手段】上記の課題を解決するため、この発明は、プレートの下面に形成した多数のピンをベース部材に挿入してプレートをベース部材に係合可能とした歯科技工用作業模型の基台において、前記ベース部材の上面に前記プレートとほぼ同形のランドを形成し、前記プレート下面とランド上面とに、前記それぞれのピンの位置に対応して互に密着して嵌り合う凹凸をプレート及びランドの前縁に形成した構成を採用したのである。特にプレートとベース部材は係合一体化したものとして、取り扱い時に分離しないようにしておく。
【0007】前記凹凸をプレート及びランドのピンを挟む前後縁に形成しておくことができる。また、凹凸の形状をピンの方向に深さ又は高さが小さくなるか、或はピンの方向に先端が狭くなるようにしておくのが好ましく、さらに凹凸の横断面を半円弧状にしておくのがよい。そのほか、前記プレートとベース部材の色彩を異ならしめておくと識別が容易である。
【0008】
【実施の形態】以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。図1乃至図4に示すように、この発明の基台は、ベース部材10と、このベース部材10に係合された連結ピン部材20より成る。ベース部材10は、図示しない咬合器に取り付けられる10〜15mm程度の厚みを有するほぼ半楕円形のベース11の上面にほぼ馬蹄形のランド(段丘部)12が形成され、このランド12の前縁に突起13が設けられ、この突起13に対応して後述するピンの挿入孔14が形成されている。前記ランド12は、厚さ(高さ)が1〜2mm程度あれば充分である。
【0009】前記連結ピン部材20は、前記ランド12とほぼ同形の馬蹄形プレート22の下面に多数のピン24を一体に設けたものであって、プレート22の下面には、前記ベース部材10の突起13が丁度嵌り込む凹部23がプレート22の前縁に設けられている。従ってこの凹部23の位置は、ピン24の位置に対応している。また、プレート22の上面は平坦になっているが粗面化しておくのが好ましい。このプレート22の厚みは2〜3mm程度である。
【0010】前記ベース部材10の材料は、石膏のほか合成樹脂や軽金属でもよく、連結ピン部材20の材料も合成樹脂やアルミニウムなどの軽金属等が用いられる。部材10及び20は、共に一体成形品であるが、まず連結ピン部材20を一体成形し、これに離型剤を塗布した後インサート成形の要領でベース部材10を成形すると、凹部23に対応して突起13が形成され、ピン24に対応してピン挿入孔14が形成される。そして、運送や展示、或は作業模型作製等の取り扱い時の衝撃で連結ピン部材20がベース部材10から簡単に外れないように、軽く締り嵌め又は軽く圧入されるごとく両者を係合しておくのが好ましい。勿論、後述する歯形ブロックを切り出した後は、そのブロックをベース11から容易に抜き取ることができる程度にしておく必要がある。
【0011】図3及び図4に示すように、前記突起13は、それぞれのピン挿入孔14に対応させ、その前後に一対設けると、回転防止効果がより高くなる。そして図3のように、それぞれの突起13a、13bをピン挿入孔14に向って、即ち内側方向に高さが低くなるよう傾斜させておくのがよい。この傾斜に対応して、凹部23a、23bもピン24の方向に深さを浅くしてある。また突起13a、13b及び凹部23a、23bの平面形状も、ピン24の方向に狭くなるテーパ状で、かつ横断面形状は半円形又は半楕円形のような半円弧状になっている。突起13a、13b及び凹部23a、23bの全体形状をこのようにすると、連結ピン部材20がベース部材10にぴったりと密着し易く、切り出した歯形ブロックをベース11から抜き取った後、再び嵌め込む等の取り扱い時に位置ずれが生じないので、歯科補綴物等の咬合等に狂いが生じない。
【0012】上記のような基台を使用する場合には、図5に示すように、底面を平坦にトリミングした印象模型Aを接着剤で連結ピン部材20のプレート22上面に固着する。このとき、印象模型Aの底面とプレート22はほぼ同形にしてあるので、プレート22と印象模型Aの底面は丁度重なり合う。これは、プレート22の成形型の形状、サイズを予めそのように標準設計しておくことによって可能である。勿論数種類のプレート22をもった基台を用意しておき、適当なサイズのものを選択することもできる。そして、図5の鎖線で示すような切り目Cに沿って切断すると、プレート22が確実に切り離され、図6に示すような歯形ブロックBが切り出される。切り目Cは、ベース11部分まで入れる必要はない。ランド12に切り目Cが達すると、プレート22が完全に切断されたことが目視で判別できる。特に、プレート22とランド12の色彩を異ならせておくとより容易に判別できる。また、プレート22及びランド12の前縁に突起13及び凹部23が設けられているので、ピン24の位置を切断するおそれはない。切り出した歯形ブロックBは、図6に示すように、プレート切断片22aが印象模型の歯肉部Dの底面と同形となって一体化し、その下面にピン24の立っていることが保証されている。凹所23aに対応してピン24が設けられているからである。
【0013】なお、図1乃至図5に示す実施形態では、前歯部模型用基台について説明したが、この発明は、それ以外に全顎模型用や、図7に示す片顎模型用、図8に示す汎用模型用の基台に適用できることは言うまでもない。また、突起13と凹所23を逆にしてプレート22に突起を、ランド12に凹所を設けてもよい。さらにベース部材10に、咬合器に取り付け易くするための様々な加工を施すことができる。
【0014】
【発明の効果】この発明によれば、以上のように、一体成形したベース部材と一体成形した連結ピン部材を係合して基台とし、両者の係合部に凹凸を設け、この凹凸に対応して連結ピン部材のプレートにピンを設けたので、ピンの位置を確認して歯形ブロックを切り出すことができ、ピンをカッタで損傷するようなことがない。さらに、前記凹凸をピンの前後に設けることによって、切り出した歯形ブロックの回転防止効果がより高められ、凹凸をピン方向に高さ又は深さが小さくなるように傾斜させることによって、歯形ブロックのベースに対する密着性を高めることができ、完成した歯科補綴物の精度が高くなる利点を有する。
【出願人】 【識別番号】592239590
【氏名又は名称】株式会社シケン
【出願日】 平成11年3月3日(1999.3.3)
【代理人】 【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二 (外2名)
【公開番号】 特開2000−245749(P2000−245749A)
【公開日】 平成12年9月12日(2000.9.12)
【出願番号】 特願平11−55741