トップ :: A 生活必需品 :: A61 医学または獣医学;衛生学




【発明の名称】 呼吸検出装置
【発明者】 【氏名】尾崎 徹

【氏名】苗村 潔

【氏名】保坂 寛

【氏名】丹治 宏彰

【氏名】松本 博志

【氏名】板生 清

【要約】 【課題】使用者に拘束感を与えずに、確実に使用者の呼吸運動の検出を行う。

【解決手段】人体1の剣状突起部1a付近に角速度センサであるジャイロセンサ2を取り付け、呼吸運動時に生じる胸部の動きを角速度として検知し、その結果をもとに使用者の呼吸運動を測定する。ジャイロセンサ2は、小型軽量のサイズのものであっても、呼吸時に生じる胸部の微少な回転運動を正確に検出できるため、使用者に拘束感を与えずに、確実に使用者の呼吸運動を検出することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 呼吸状態を検出する呼吸検出装置において、呼吸に伴う胸壁運動の角速度を検出する角速度検出手段と、検出した前記角速度の変位により呼吸状態を検出する呼吸状態検出手段と、を有することを特徴とする呼吸検出装置。
【請求項2】 前記角速度検出手段はジャイロセンサであることを特徴とする請求項1記載の呼吸検出装置。
【請求項3】 前記ジャイロセンサは、剣状突起付近に取り付けられることを特徴とする請求項2記載の呼吸検出装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は呼吸状態を検出する呼吸検出装置に関し、特に被測定者に拘束感を与えずに呼吸状態を検出できる呼吸検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】入院患者等の安全を確保するため、その呼吸運動を常時検出し、その異変を感知できるようにしておかなければならない場合がある。この呼吸運動の検出は、呼吸気の風量測定、鼻孔の温度測定、胸壁の動きの測定等によって間接的に行われることが一般的である。
【0003】呼吸気の風量測定による呼吸運動の検出では、患者等の口をマスクによって塞ぎ、風量計や圧力計を用いて患者等の呼吸による空気の動きを検出する。鼻孔の温度測定による方法では、鼻孔にサーミスタを取り付け、呼吸時に生じる鼻孔の温度変化を検出することによって呼吸状態を検出する。胸壁の動きを測定する方法は、呼吸時の胸壁の動きを外部から測定することにより呼吸状態を検知するものであり、その測定方法は非接触式と接触式に大別される。非接触式測定方法は、生体に非接触な状態で測定が行える測定機器を用いる方法であり、例えばビデオカメラやレーザ変位計による胸壁運動検出がこれにあたる。一方、接触式測定方法は、生体に接触した状態で測定を行う測定機器を用いる方法であり、例えば胸壁に巻きつけたバンド内のゴム嚢内圧を測定する方法、及び胸壁に巻いたゴム管内に電解質溶液を入れ、呼吸によって生じる電解質溶液の抵抗変化を電気的に記録する方法がこれにあたる。さらに呼吸検出方式として、胸壁の動きを加速度の変化として検出する加速度センサを用いて計測する方法も検討されている。さらに、心電図電極を用いた胸壁インピーダンスの測定による呼吸検出も行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、呼吸気の風量測定及び鼻孔の温度測定によって呼吸運動を検出する場合、入院患者等の使用者は常時マスクや鼻孔サーミスタを装着していなければならないため、使用者に拘束感を与えてしまうという問題点がある。
【0005】また、加速度センサを用いて胸部の動きを検出する方法の場合、呼吸時における胸壁の動きのようなゆっくりとした微少な変動を検知できる小型の加速度センサが無いため、やはり使用者に拘束感を与えてしまうという問題点がある。図6は、呼吸時における胸部の加速度を測定した測定結果を示すグラフである。この図の示すように、加速度センサでは検出値がノイズに埋もれてしまい十分な検出を行うことができない。
【0006】さらに心電図電極を用いた胸壁インピーダンスの測定より呼吸検出を行うことは、心電図計測が不要のときでもわざわざ心電図計測装置を使用しなければならない。
【0007】本発明はこのような点に鑑みなされたものであり、使用者に拘束感を与えずに、確実に使用者の呼吸運動の検出を行える呼吸検出装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明では上記課題を解決するために、呼吸状態を検出する呼吸検出装置において、呼吸に伴う胸壁運動の角速度を検出する角速度検出手段と、検出した前記角速度の変位により呼吸状態を検出する呼吸状態検出手段とを有することを特徴とする呼吸検出装置が提供される。
【0009】ここで角速度検出手段は呼吸に伴う胸壁運動の角速度を検出し、呼吸状態検出手段は検出した角速度の変位により呼吸状態を検出する。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、本形態における呼吸検出を示した図である。
【0011】図1の人体1は人体の正面方向(胸側)を示している。本形態では、人体1の剣状突起部1a付近に両面テープ等によりジャイロセンサ2を取り付け、このジャイロセンサ2が検出する胸部の動きをもとに呼吸運動の検出を行う。ジャイロセンサ2は、呼吸運動時の胸部の動きを角速度として検出する。なお、以下においては、背中から胸へ向かう方向をX軸、人体1の下部から上部に向かう方向をY軸、胸面及び背面に平行でY軸に垂直な方向をZ軸として説明を行っていく。
【0012】図2は、呼吸運動時の胸部の動きと、剣状突起部1aに取り付けられるジャイロセンサ2の位置変動を示した図である。図2の(a)は人体1の側面図を示しており、呼吸運動時の人体表面の変位を示している。人間の呼吸は、空気を吸い込む吸気時と空気を吐き出す呼気時を繰り返すことにより行われる。吸気時に吸い込まれた空気は肺に取り入れられ、それにより肺が膨張する。肺が膨張すると人体1の胸部表面の位置は人体1の内部から外部の方向に変位し、吸気を終える吸気終末時には図2の(a)に実線で示した吸気終末時人体表面1cの位置に達する。一方、呼気時には、肺に取り入れられた空気が吐き出され肺の体積が減少するため、胸部表面の位置は人体1の外部から内部の方向に変位し、呼気を終える呼気終末時には図2の(a)に波線で示した呼気終末時人体表面1bの位置に達する。これらの呼気終末時から吸気終末時までの人体表面の変位はある程度の回転運動を伴い、その回転量は人体表面の位置によって異なる。ジャイロセンサ2が取り付けられる剣状突起部1aは胸部の下部付近にあたり、この呼吸運動に伴う人体表面の回転運動が最も大きい位置の1つである。
【0013】図2の(b)及び(c)は、剣状突起部1aに取り付けられたジャイロセンサ2のX軸及びY軸方向の変位を示した側面図である。ここで、図2の(b)は呼気終末時におけるジャイロセンサ2の位置を示し、図2の(c)は吸気終末時におけるジャイロセンサ2の位置を示している。図2の(b)及び(c)の示すように、ジャイロセンサ2は空気を吸い込む際にA方向への移動を行う。この移動はX―Y平面での回転運動を伴う。また逆に空気を吐き出す際には、ジャイロセンサ2はA方向とは逆向きの回転運動を伴った移動を行う。ジャイロセンサ2はこの回転運動の角速度を検出する。
【0014】図3は角速度を検出するジャイロセンサ2の基本原理を示した図である。一般に、ある速度で移動する物体に回転力が加わると、その物体の移動方向とは垂直な方向にコリオリ力が作用する。ジャイロセンサ2は、この回転により生じるコリオリ力を検出することによって物体の角速度を検知する。ジャイロセンサ2ではこの物体の移動を圧電素子2aの機械的振動によって行い、回転運動によって生じたコリオリ力による振動を同じく圧電素子2aによって検知する。例えば、図3に示した圧電素子2aをB方向に振動させるとすると、回転運動により生じたコリオリ力は、圧電素子2aのC方向の振動となって表れる。この圧電素子2aのC方向の振動により圧電素子2は誘電分極を起こし、それによる電位変化を検出することによって回転運動による角速度の変位を検出することができる。圧電素子2aとしては、強誘電体として知られるペロブスカイト型構造のBaTiO3、これとPbTiO3やCaTiO3との固溶体、PbZrO3とPbTiO3の固溶体等が用いられる。圧電素子を用いたジャイロセンサ2aは、振動子部分のサイズを小型化できるため、ジャイロセンサ全体として小型・軽量化を図ることが可能となる。本形態では、ジャイロセンサ2として大きさ21.5×8.5×7.1(mm)、重さ2.7gのものを用いた。
【0015】図4は、ジャイロセンサ2によって検知された剣状突起部1aの角速度を示したグラフである。図4の示すように、ジャイロセンサ2は、呼気時に0〜2deg/sec程度の角速度を検知し、吸気時には−2〜0deg/sec程度の角速度を検知する。図5は、図4に示した角速度の測定結果をソフトウェア上で積分処理することにより算出したジャイロセンサ2の角度の変化を示したグラフである。算出した角度は呼気時開始時点で0deg程度であり、これは人体1の胸部が、図2の(a)に波線で示した吸気終末時人体表面1cの位置にあることを意味する。また、吸気時開始時点では、角度は1.1〜1.5deg程度であり、これは人体1の胸部が、図2の(b)に実線で示した呼気終末時人体表面1bの位置にあることを意味する。このように、算出した角速度を積分処理して角度を求めることにより、より明確に胸部の動きを検出することができる。この胸部の動きにより間接的に呼吸運動を検出する。
【0016】このように、本形態では、使用者の呼吸運動によって生じる胸部の回転運動の角速度を検出し、その検出結果から患者等の呼吸運動を検出することとしたため、測定機器として小型軽量のジャイロセンサ2を使用し、使用者に拘束感を与えずに、確実に使用者の呼吸運動の検出を行うことが可能となる。
【0017】
【発明の効果】以上説明したように本発明では、使用者の呼吸運動によって生じる胸部の回転運動の角速度を検出し、その検出結果から患者等の呼吸運動を検出することとしたため、使用者に拘束感を与えずに、確実に使用者の呼吸運動の検出を行うことが可能となる。
【出願人】 【識別番号】000113263
【氏名又は名称】ホーヤ株式会社
【出願日】 平成11年6月10日(1999.6.10)
【代理人】 【識別番号】100092152
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 毅巖
【公開番号】 特開2000−350716(P2000−350716A)
【公開日】 平成12年12月19日(2000.12.19)
【出願番号】 特願平11−163765