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【発明の名称】 放射線断層撮影方法および装置
【発明者】 【氏名】郷野 誠

【氏名】堀内 哲也

【要約】 【課題】スキャン開始当初から品質の良い画像を得る放射線断層撮影方法および装置を実現する。

【解決手段】検出素子アレイにおける放射線ビームの照射位置誤差Δzに応じて放射線検出信号をリニア補正し、また、複数ビューの放射線検出信号につきリニア補正後の残存誤差Δeが大きい放射線検出信号の重みwを小さくするとともにその対向ビューの放射線検出信号の重みを大きくする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 照射方向に垂直でかつ互いに垂直な2つの方向の一方および他方においてそれぞれ幅および厚みを持つ放射線ビームを放射線照射手段から照射し、複数の放射線検出素子を前記放射線ビームの幅の方向に配列した検出素子列を前記放射線ビームの厚みの方向に複数個配設してなる検出素子アレイで前記放射線ビームを検出し、前記検出素子アレイにおける前記検出素子列の配設方向での前記放射線ビームの照射位置を制御し、前記放射線照射手段および前記検出素子アレイを含む放射線照射・検出系を前記放射線ビームの厚みの方向に平行な回転軸を中心に回転させて得た複数ビューの放射線検出信号に基づき前記放射線ビームが通過したスライスについての断層像を生成する放射線断層撮影方法であって、前記検出素子アレイにおける前記検出素子列の配設方向での前記放射線ビームの照射位置誤差に応じて前記放射線検出素子の放射線検出信号をリニア補正し、前記複数ビューの放射線検出信号につき、前記リニア補正後の残存誤差が大きい放射線検出信号の重みを小さくするとともに、前記リニア補正後の残存誤差が大きい放射線検出信号の対向ビューの放射線検出信号の重みを大きくする、ことを特徴とする放射線断層撮影方法。
【請求項2】 照射方向に垂直でかつ互いに垂直な2つの方向の一方および他方においてそれぞれ幅および厚みを持つ放射線ビームを照射する放射線照射手段と、複数の放射線検出素子を前記放射線ビームの幅の方向に配列した検出素子列を前記放射線ビームの厚みの方向に複数個配設してなる検出素子アレイと、前記検出素子アレイにおける前記検出素子列の配設方向での前記放射線ビームの照射位置を制御する照射位置制御手段と、前記放射線照射手段および前記検出素子アレイを含む放射線照射・検出系を前記放射線ビームの厚みの方向に平行な回転軸を中心に回転させ複数ビューの放射線検出信号を収集する信号収集手段と、前記収集した前記放射線検出信号に基づき前記放射線ビームが通過したスライスについての断層像を生成する断層像生成手段と、を有する放射線断層撮影装置であって、前記検出素子アレイにおける前記検出素子列の配設方向での前記放射線ビームの照射位置誤差に応じて前記放射線検出素子の放射線検出信号をリニア補正するリニア補正手段と、前記複数ビューの放射線検出信号につき、前記リニア補正後の残存誤差が大きい放射線検出信号の重みを小さくするとともに、前記リニア補正後の残存誤差が大きい放射線検出信号の対向ビューの放射線検出信号の重みを大きくする重み付け手段と、を具備することを特徴とする放射線断層撮影装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、放射線断層撮影方法および装置に関し、特に、幅と厚みを持つ放射線ビームと、複数の放射線検出素子を放射線ビームの幅の方向に配列した検出素子列を放射線ビームの厚みの方向に複数個配設してなる検出素子アレイと、検出素子アレイにおける検出素子列の配設方向での放射線ビームの照射位置を制御する照射位置制御手段とを用いる放射線断層撮影方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】放射線断層撮影装置の一例として、例えば、X線CT(computed tomography)装置がある。X線CT装置においては、放射線としてはX線が利用される。X線発生にはX線管が使用される。
【0003】X線管を含むX線照射装置は、撮影範囲を包含する幅を持ちそれに垂直な方向に所定の厚みを持つX線ビーム(beam)を照射する。X線ビームの厚みはコリメータ(collimator)のX線通過開口(アパーチャ(aperture))の開度を調節することにより変更できるようになっており、これによって撮影のスライス(slice)厚を調節する。
【0004】X線検出装置は、X線ビームの幅の方向に多数(例えば1000個程度)のX線検出素子をアレイ(array)状に配列した多チャンネル(channel)のX線検出器を有しそれによってX線を検出するようになっている。
【0005】X線照射・検出系を被検体の周りで回転(スキャン:scan)させて、被検体の周囲の複数のビュー(view)方向でそれぞれX線による被検体の投影データ(data)を測定し、それら投影データに基づいて断層像を生成(再構成)するようになっている。
【0006】多チャンネルのX線検出器の1種として、検出素子アレイをX線ビームの厚みの方向に複数個併設し、複数列の検出素子アレイでX線ビームを同時受光するようにしたものがある。このようなX線検出器では、1回のスキャンで複数スライス分のX線検出信号を一挙に得られるので、マルチスライススキャン(multi−slice scan)を能率良く行うためのX線検出器として用いられる。
【0007】X線検出器の中には、X線検出素子のアレイを2列とし、2スライス(slice)分の投影データを一挙に得るようにしたものがある。そこでは、2列のアレイを隣接して平行に配置し、X線ビームを厚み方向に均等に振り分けて照射するようにしている。2列のアレイにそれぞれ照射したX線ビームの、被検体のアイソセンタ(isocenter)における厚みが断層像のスライス厚をそれぞれ決定する。
【0008】X線管では、使用中の温度上昇による熱膨張等によりX線焦点の移動が生じ、これが、コリメータのアパーチャを通してX線ビームの厚み方向での変位となって現れる。X線ビームが厚み方向に変位すると、2列アレイにおけるX線ビームの厚みの振り分け比率が変化し、2系統のアレイに投影される被検体のスライス厚が均等でなくなる。
【0009】そこで、2列のアレイにそれぞれ設けたレファレンスチャンネル(reference channel)のX線カウント(count)の比を監視し、比が1でなくなったことからX線照射位置のずれを認識し、コリメータの位置を調節してX線照射位置が定位置となるように制御している。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記の照射位置制御はX線照射すなわちスキャン開始と同時に始まるが、制御系の応答の遅れによりスキャンを開始してからX線照射位置が定位置に一致するまでにある程度の時間がかかり、このため、最初に得られる画像は品質が劣るという問題があった。
【0011】本発明は上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、スキャン開始当初から品質の良い画像を得る放射線断層撮影方法および装置を実現することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】(1)上記の課題を解決する第1の観点での発明は、照射方向に垂直でかつ互いに垂直な2つの方向の一方および他方においてそれぞれ幅および厚みを持つ放射線ビームを放射線照射手段から照射し、複数の放射線検出素子を前記放射線ビームの幅の方向に配列した検出素子列を前記放射線ビームの厚みの方向に複数個配設してなる検出素子アレイで前記放射線ビームを検出し、前記検出素子アレイにおける前記検出素子列の配設方向での前記放射線ビームの照射位置を制御し、前記放射線照射手段および前記検出素子アレイを含む放射線照射・検出系を前記放射線ビームの厚みの方向に平行な回転軸を中心に回転させて得た複数ビューの放射線検出信号に基づき前記放射線ビームが通過したスライスについての断層像を生成する放射線断層撮影方法であって、前記検出素子アレイにおける前記検出素子列の配設方向での前記放射線ビームの照射位置誤差に応じて前記放射線検出素子の放射線検出信号をリニア補正し、前記複数ビューの放射線検出信号につき、前記リニア補正後の残存誤差が大きい放射線検出信号の重みを小さくするとともに、前記リニア補正後の残存誤差が大きい放射線検出信号の対向ビューの放射線検出信号の重みを大きくすることを特徴とする放射線断層撮影方法である。
【0013】(2)上記の課題を解決する第2の観点での発明は、照射方向に垂直でかつ互いに垂直な2つの方向の一方および他方においてそれぞれ幅および厚みを持つ放射線ビームを照射する放射線照射手段と、複数の放射線検出素子を前記放射線ビームの幅の方向に配列した検出素子列を前記放射線ビームの厚みの方向に複数個配設してなる検出素子アレイと、前記検出素子アレイにおける前記検出素子列の配設方向での前記放射線ビームの照射位置を制御する照射位置制御手段と、前記放射線照射手段および前記検出素子アレイを含む放射線照射・検出系を前記放射線ビームの厚みの方向に平行な回転軸を中心に回転させ複数ビューの放射線検出信号を収集する信号収集手段と、前記収集した前記放射線検出信号に基づき前記放射線ビームが通過したスライスについての断層像を生成する断層像生成手段とを有する放射線断層撮影装置であって、前記検出素子アレイにおける前記検出素子列の配設方向での前記放射線ビームの照射位置誤差に応じて前記放射線検出素子の放射線検出信号をリニア補正するリニア補正手段と、前記複数ビューの放射線検出信号につき、前記リニア補正後の残存誤差が大きい放射線検出信号の重みを小さくするとともに、前記リニア補正後の残存誤差が大きい放射線検出信号の対向ビューの放射線検出信号の重みを大きくする重み付け手段とを具備することを特徴とする放射線断層撮影装置である。
【0014】(作用)本発明では、検出素子アレイにおける放射線ビームの照射位置誤差に応じて放射線検出信号をリニア補正し、また、複数ビューの放射線検出信号につきリニア補正後の残存誤差が大きい放射線検出信号の重みを小さくするとともにその対向ビューの放射線検出信号の重みを大きくし、放射線ビームの照射位置誤差による画質の劣化を防止する。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、本発明は実施の形態に限定されるものではない。図1にX線CT装置のブロック(block)図を示す。本装置は本発明の実施の形態の一例である。本装置の構成によって、本発明の装置に関する実施の形態の一例が示される。本装置の動作によって、本発明の方法に関する実施の形態の一例が示される。
【0016】図1に示すように、本装置は、走査ガントリ(gantry)2と、撮影テーブル(table)4と、操作コンソール(console)6を備えている。走査ガントリ2は、放射線源としてのX線管20を有する。X線管20から放射された図示しないX線は、コリメータ22により例えば扇状のX線ビームすなわちファンビーム(fan beam)となるように成形され、検出器アレイ24に照射されるようになっている。X線ビームは本発明における放射線ビームの実施の形態の一例である。X線管20とコリメータ22からなる部分は、本発明における放射線照射手段の実施の形態の一例である。
【0017】検出器アレイ24は、扇状のX線ビームの幅の方向にアレイ状に配列された複数のX線検出素子を有する。検出器アレイ24は、本発明の検出素子アレイの実施の形態の一例である。検出器アレイ24の構成については後にあらためて説明する。
【0018】X線管20、コリメータ22および検出器アレイ24は、X線照射・検出装置を構成する。X線照射・検出装置は、本発明における放射線照射・検出系の実施の形態の一例である。X線照射・検出装置の構成については後にあらためて説明する。検出器アレイ24にはデータ収集部26が接続されている。データ収集部26は検出器アレイ24の個々のX線検出素子の検出データを収集する。
【0019】X線管20からのX線の照射は、X線コントローラ(controller)28によって制御される。なお、X線管20とX線コントローラ28との接続関係については図示を省略する。コリメータ22は、コリメータコントローラ30によって制御される。なお、コリメータ22とコリメータコントローラ30との接続関係については図示を省略する。
【0020】以上のX線管20乃至コリメータコントローラ30が、走査ガントリ2の回転部32に搭載されている。回転部32の回転は、回転コントローラ34によって制御される。なお、回転部32と回転コントローラ34との接続関係については図示を省略する。撮影テーブル4は、図示しない被検体を走査ガントリ2のX線照射空間に搬入および搬出する。被検体とX線照射空間との関係については後にあらためて説明する。
【0021】操作コンソール6は、中央処理装置60を有している。中央処理装置60は、本発明における断層像生成手段の実施の形態の一例である。中央処理装置60は、例えばコンピュータ(computer)等によって構成される。中央処理装置60には、制御インタフェース(interface)62が接続されている。制御インタフェース62には、走査ガントリ2と撮影テーブル4が接続されている。
【0022】中央処理装置60は制御インタフェース62を通じて走査ガントリ2および撮影テーブル4を制御する。走査ガントリ2内のデータ収集部26、X線コントローラ28、コリメータコントローラ30および回転コントローラ34が制御インタフェース62を通じて制御される。なお、それら各部と制御インタフェース62との個別の接続については図示を省略する。走査ガントリ2および制御インタフェース62は、本発明における信号収集手段の実施の形態の一例である。中央処理装置60、制御インタフェース62およびコリメータコントローラ30からなる部分は、本発明における照射位置制御手段の実施の形態である。
【0023】中央処理装置60には、また、データ収集バッファ64が接続されている。データ収集バッファ64には、走査ガントリ2のデータ収集部26が接続されている。データ収集部26で収集されたデータがデータ収集バッファ64に入力される。データ収集バッファ64は、入力データを一時的に記憶する。
【0024】中央処理装置60は、データ収集バッファ64を通じて収集した複数ビューのデータについて後述するような補正を行い、補正済みのビューデータに基づいて画像再構成を行う。ビューデータの補正にはリニア補正と重み付け補正が含まれる。中央処理装置60は、本発明におけるリニア補正手段の実施の形態の一例である。また、本発明における重み付け手段の実施の形態の一例である。また、本発明における断層像生成手段の実施の形態の一例である。
【0025】画像再構成には、例えばフィルタード・バックプロジェクション(filtered back projection)法等が用いられる。中央処理装置60には記憶装置66が接続されている。記憶装置66は、各種のデータや再構成画像およびプログラム(program)等を記憶する。
【0026】中央処理装置60には、さらに、表示装置68と操作装置70がそれぞれ接続されている。表示装置68は、中央処理装置60から出力される再構成画像やその他の情報を表示する。操作装置70は、操作者によって操作され、各種の指示や情報等を中央処理装置60に入力する。
【0027】図2に、検出器アレイ24の模式的構成を示す。検出器アレイ24は、多数(例えば1000個程度)のX線検出素子24(i)を円弧状に配列した2列の多チャンネルのX線検出器242,244を形成している。iはチャンネル番号であり例えばi=1〜1000である。
【0028】X線検出素子24(i)は、例えばシンチレータ(scintillator)とフォトダイオード(photo diode)の組み合わせによって構成される。なお、これに限るものではなく、例えばカドミウム・テルル(CdTe)等を利用した半導体X線検出素子、あるいは、キセノン(Xe)ガスを利用した電離箱型のX線検出素子であって良い。X線検出素子24(i)は、本発明における放射線検出素子の実施の形態の一例である。
【0029】X線検出器242,244は互いに平行に隣接している。検出器アレイ24の両端部の所定数のチャンネルは、各列においてそれぞれレファレンスチャンネル(reference channel)となっている。レファレンスチャンネルは、撮影時に被検体が投影される範囲の外にある。
【0030】図3に、X線照射・検出装置におけるX線管20とコリメータ22と検出器アレイ24の相互関係を示す。同図の(a)は正面図、(b)は側面図である。ここで、X線照射・検出装置が形成する幾何学空間における互いに垂直な3つの座標軸をx,y,zとする。以下に示す他の図でも同様である。同図に示すように、X線管20から放射されたX線は、コリメータ22により扇状のX線ビーム40となるように成形され、検出器アレイ24に照射される。図3の(a)では、扇状のX線ビーム40の広がりすなわちX線ビーム40の幅を示す。X線ビーム40の扇面はxy面に平行である。図3の(b)では、X線ビーム40の厚みを示す。X線ビーム40は、2列のX線検出器242,244に、厚みを均等に振り分けて照射される。X線ビーム40の厚み方向はz方向である。z方向はまたX線照射・検出装置の回転軸の方向である。
【0031】このようなX線ビーム40の扇面に体軸を交叉させて、例えば図4に示すように、撮影テーブル4に載置された被検体8がX線照射空間に搬入される。被検体8の体軸はz方向に一致している。X線ビーム40によってスライスされた被検体8の投影像が検出器アレイ24に投影される。被検体8のアイソセンタにおけるX線ビーム40の厚みの1/2ずつが、被検体8の2つのスライス厚thをそれぞれ与える。スライス厚thは、コリメータ22のアパーチャによって定まる。
【0032】検出器アレイ24に対するX線ビーム40の照射状態のさらに詳細な模式図を図5に示す。同図に示すように、コリメータ22におけるコリメータ片220,222をアパーチャを狭める方向に変位させることにより、X線検出器242,244における投影像のスライス厚thを薄くする。また、コリメータ片220,222をアパーチャを広げる方向に動かすことにより、投影像のスライス厚thを厚くする。また、スライス厚thを設定したコリメータ片220,222の相対的位置関係を維持しながら両者をz方向に同時に動かすことにより、検出器アレイ24上のz方向の照射位置を調節する。このようなスライス厚調節および照射位置調節はコリメータコントローラ30によって行われる。
【0033】z方向の照射位置は検出器アレイ24における2列のレファレンスチャンネルの出力比に基づいて検出され、この検出信号に基づいて、2つの検出器列上でスライス厚が均等になるようにコリメータ22の位置が調節される。これによって、X線管の焦点の移動に伴う照射位置の変化が修正され、常に定位置にX線ビーム40が照射されるように自動制御される。
【0034】なお、z方向の照射位置の調節は、コリメータ片220,222を動かす代わりに、検出器アレイ24を、破線矢印で示すように、コリメータ22に関してz方向に相対的に変位させて行うようにしても良い。このようにすれば、スライス厚の調節機構と厚み方向の照射位置の制御機構を別々に2系統設けることができ、多角的な制御が可能になる。
【0035】これに対して、上記のように全てコリメータ22で行えば、制御の系統が1系統に統一でき、構成簡素化の要請に応じられる。なお、これら2つの手段を組み合わせて照射位置調節を行うようにしても良いのはもちろんである。以下、照射位置の自動制御機能をオートコリメータ(auto collimator)という。
【0036】X線管20、コリメータ22および検出器アレイ24からなるX線照射・検出装置は、それらの相互関係を保ったまま被検体8の体軸の周りを回転(scan)する。スキャンの1回転当たり複数(例えば1000程度)のビュー角度で被検体の投影データが収集される。投影データの収集は、検出器アレイ24−データ収集部26−データ収集バッファ64の系統によって行われる。
【0037】データ収集バッファ64に収集された2スライス分の投影データに基づいて、中央処理装置60により2スライス分の断層像の生成すなわち画像再構成が行われる。画像再構成は、1回転のスキャンで得られた例えば1000ビューの投影データを、例えばフィルタード・バックプロジェクション(filteredback−projection)法によって処理すること等により行われる。
【0038】スキャン中は、X線管20の温度上昇等によりX線焦点が移動するが、オートコリメータにより検出器アレイ24上のX線照射位置は一定に保たれる。スキャンが終了すると、コリメータ22はスキャン終了直前の制御位置にとどまる。この位置は、スキャン終了直前のX線焦点位置に対応したものとなる。
【0039】この位置が次のスキャン時のオートコリメータの初期位置となるが、次のスキャンまでに時間があくと、X線管20が冷えてX線焦点の位置が変わるので、コリメータ22の初期位置はそれに適合しないものとなる。次のスキャンの開始とともにオートコリメータによりX線照射位置を定位置に合わせる調整が始まるが、それが整定するまでは照射位置誤差が大きい状態が続く。
【0040】中央処理装置60は、このような場合の再構成画像への影響を最小限にするためのデータ補正を行う。以下にそれを説明する。データ補正は2段階で行われる。第1の段階はリニア補正である。第2段階は重み付け補正である。
【0041】先ずリニア補正について説明する。これは定位置からのX線照射位置の変移量に比例してビューデータを補正するものである。以下、X線照射位置を単に照射位置という。変移量に比例した補正係数すなわちリニア補正係数は、検出器アレイ24におけるX線検出素子24(i)を予め個々にキャリブレーション(calibration)することにより求められる。キャリブレーションは、被検体8がない状態で行う。すなわち、いわゆるエアキャリブレーション(aircalibration)を行う。
【0042】X線検出素子24(i)のエアキャリブレーションを図5〜図7によって説明する。先ず、図5に示すようにX線ビーム40を正規の位置(定位置)に照射する状態で、2つのX線検出器242,244における各X線検出素子24(i)のX線検出データを収集する。このとき収集したX線検出データをDciとする。以下、X線検出データを単にデータという。
【0043】次に、コリメータ22のz方向の位置を調節して、図6に示すように、X線ビーム40の照射位置をX線検出器242側に所定の距離だけ偏らせた状態で、同様なデータ収集を行う。偏らせる距離はスライス厚を超えない距離とする。このときの偏りの方向をフォワード(forward)方向と呼び負の符号で表す。このとき収集したデータをDfiとする。
【0044】次に、コリメータ22のz方向の位置を調節して、図7に示すように、照射位置をX線検出器244側に所定の距離だけ偏らせた状態で、同様なデータ収集を行う。偏らせる距離はスライス厚を超えない距離とする。このときの偏りの方向をバックワード(backward)方向と呼び正の符号で表す。このとき収集したデータをDbiとする。
【0045】これによって、例えば図8に示すような関係になる3つのデータDfi,Dci,Dbiが、個々のX線検出素子24(i)ごとに得られる。データDfi,Dci,Dbiの関係は、個々のX線検出素子24(i)のz方向の感度分布に応じて定まる。なお、図8はX線検出器242側のX線検出素子24(i)におけるデータの傾向を示す。X線検出器244側のX線検出素子24(i)におけるデータは、これとは逆の傾向になる。
【0046】中央処理装置60は、データDfi,Dciを結ぶ直線によって照射位置のフォワード変移によるデータ変化を近似し、また、データDci,Dbiを結ぶ直線によって照射位置のバックワード変移によるデータ変化を近似する。そして、オートコリメータの検出部から与えられる照射位置誤差の大きさに応じて、これら直線に沿ってスキャン時のビューデータをそれぞれリニア補正する。リニア補正用の係数は次式によって求める。
【0047】
【数1】

【0048】
【数2】

【0049】ここで、Qfi:フォワード補正係数Δzf:Dfi測定時のフォワード変移Qbi:バックワード補正係数Δzb:Dbi測定時のバックワード変移これらの補正係数を用いるビューデータのリニア補正は次式によって行われる。
【0050】
【数3】

【0051】
【数4】

【0052】ここで、Dm’ij:補正後のビューデータ(j:ビュー番号)
Dmij: 補正前のビューデータ(j:ビュー番号)
Δz: 照射位置誤差次に、重み付け補正について説明する 照射位置の変移に基づくデータの実際の変化は例えば曲線F,Bで示すようになっているので、リニア補正後のデータは残存誤差Δeを含んでいる。この残存誤差は、曲線F,Bとそれらの近似直線との差であり、例えば図9に示すようになる。
【0053】このため、オートコリメータの整定遅れにより、スキャン初期に例えば図10の(a)に示すような照射位置誤差Δzが生じると、それによって例えば同図の(b)に示すような残存誤差Δeが生じる。そこで、中央処理装置60は、例えば(c)に示すように、スキャンの初期の照射位置誤差Δzが大きいビューすなわち残存誤差Δeが大きいビューについて、ビューデータの重みwを1よりも小さくする。そして、それに伴ってそれらビューの対向ビューについてビューデータの重みwを1よりも大きくする。なお、対向ビューとはX線の透過方向が互いに反対になるビューである。その他のビューデータについては重みwを1とする。
【0054】重み係数は、例えば(d)に示すように、予めわかっているオートコリメータの整定時間に基づき、スキャンの初期の一定期間内に得られるビューについて0から1まで次第に増加するものとし、それに合わせて、対向ビューについて2から1まで次第に減少するものとするのが、重み付けデータのテーブル(table)を簡素化する点で好ましい。
【0055】その場合、破線で示すように、対向ビューよりも前のビューから次第に重みwを増加させるようにすることが、重みwの急変を避ける点で好ましい。なお、このようにした場合、重みwを次第に増加させたビューの対向ビューにつき、重みwを1から0まで次第に減少させる。
【0056】あるいは、対向ビューデータ同士、センター(center)位置から距離に応じてリニア(linear)補間でデータを補間して求めても良い。この場合中央チャンネルの重み付けのパターン(pattern)は一点差線で示すように、中央ビューで1となり、その両側では左右対称に直線的に0まで変化するパターンとなる。これは、被検体8をz方向に連続的送りしながらスキャンする、いわゆるヘリカルスキャン(helical scan)を行った場合の重みデータと共通するものとなる。したがって、それを共用することにより新たな重みデータテーブルを持つ必要がない点で好ましい。また、ヘリカルスキャンを行った場合は、このようなビューデータの重み付けにより、自ずからスキャンの初期データの重み付け補正が行われる。
【0057】本装置の動作を説明する。本装置の動作は、操作者による指令に基づき、中央処理装置60による制御の下で進行する。操作者は、操作装置70を通じて撮影条件を入力する。撮影条件には、管電圧、管電流、スライス厚、スライス位置、スキャン時間等が含まれる。以下、オートコリメータはコリメータ22の位置を調節する例で説明するが、検出器アレイ24の位置を調節する場合、または、コリメータ22および検出器アレイ24の位置を調節するもこれに準じる。
【0058】操作者からの指令の基づき、被検体8を搭載した撮影テーブル4の位置決め後にスキャンが始まる。すなわち、走査ガントリ2の回転部32が回転しX線が照射される。スキャン開始とともにオートコリメータによる照射位置制御が開始される。
【0059】スキャンによって収集したビューデータについて中央処理装置60は前述のようなリニア補正および重み付け補正を行う。なお、スキャンが前回のスキャン終了から間を置かずに行われた場合は、コリメータ22の初期位置はX線焦点の現在位置に適合したものとなっているので、前述のデータ補正は省略する。
【0060】中央処理装置60は、このような補正済みのビューデータまたは補正を省略したビューデータを用いて画像再構成を行う。画像再構成は、ビューデータを例えばフィルタード・バックプロジェクション法等によって処理することにより行われる。画像再構成により被検体8の断層像が得られる。前述のデータ補正によりスキャンの初期のビューデータの誤差縮小および誤差の影響を軽減する重み付けが行われるので、再構成画像はスキャン開始当初から品質の良いものを得ることができる。
【0061】検出器アレイ24が平行な2列のX線検出器を有することにより、1回のスキャンで隣接する2つのスライスの断層像を一挙に得ることができる。これによって、マルチスライススキャン(multi−slice scan)やヘリカルスキャンを行う場合の効率が向上する。再構成した画像は表示装置68に表示しまた記憶装置66に記憶する。
【0062】以上、検出器アレイが2列のX線検出器からなる例について説明したが、検出器アレイは3列以上の多列であって良い。また、放射線としてX線を用いた例について説明したが、放射線はX線に限るものではなく、例えばγ線等の他の種類の放射線であっても良い。ただし、現時点では、X線がその発生、検出および制御等に関し実用的な手段が最も充実している点で好ましい。
【0063】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によれば、スキャン開始当初から品質の良い画像を得る放射線断層撮影方法および装置を実現することができる。
【出願人】 【識別番号】000121936
【氏名又は名称】ジーイー横河メディカルシステム株式会社
【出願日】 平成11年4月16日(1999.4.16)
【代理人】 【識別番号】100085187
【弁理士】
【氏名又は名称】井島 藤治 (外1名)
【公開番号】 特開2000−296124(P2000−296124A)
【公開日】 平成12年10月24日(2000.10.24)
【出願番号】 特願平11−108947