| 【発明の名称】 |
眼底撮影装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】笠原 達也
【氏名】阿部 國臣
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| 【要約】 |
【課題】眼底の反射光から得るべき光信号のS/N比の向上を実現した眼底撮影装置を提供すること。
【解決手段】赤外光によって眼底を照明する第一照明光学系9および可視光によって眼底の一部を照明する第二照明光学系10を有する照明光学系と、第一照明光学系9が照明する眼底を観察する眼底観察光学系14および第二照明光学系10が照明する眼底の一部を撮影する眼底撮影光学系16を有する観察撮影光学系12と、被検眼の眼底における撮影部位を第二照明光学系10が照明する範囲に誘導する可動の固視灯25とを備えている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 観察用照明光によって眼底を照明する第一照明光学系および撮影用照明光によって眼底の一部を照明する第二照明光学系を有する照明光学系と、上記第一照明光学系が照明する眼底の部分を観察する眼底観察光学系および第二照明光学系が照明する眼底の一部を撮影する眼底撮影光学系を有する観察撮影光学系と、被検眼の眼底における、上記眼底撮影光学系による撮影部位を選択する撮影部位選択手段とを備えており、上記照明光学系が、第一照明光学系と第二照明光学系との共通光路部分を有してなる眼底撮影装置。 【請求項2】 観察用照明光によって眼底を照明する第一照明手段および撮影用照明光によって眼底の一部を照明する第二照明手段を有する照明光学系と、上記第一照明手段が照明する眼底の部分を観察する眼底観察光学系および第二照明手段が照明する眼底の一部を撮影する眼底撮影光学系を有する観察撮影光学系と、被検眼の眼底のうちの上記眼底撮影光学系による撮影部位を第二照明手段による照明範囲に誘導する被検眼誘導手段とを備えてなる眼底撮影装置。 【請求項3】 上記観察撮影光学系が眼底観察光学系と眼底撮影光学系との共通光路部分を有しており、上記照明光学系と観察撮影光学系とのうち、少なくとも照明光学系が観察用照明光を透過する観察撮影用マスクを有しており、該観察撮影用マスクがその一部に撮影用照明光をも透過しうる窓部を有してなる請求項1または2記載の眼底撮影装置。 【請求項4】 上記観察用照明光が赤外光および/または近赤外光であり、撮影用照明光が可視光である請求項1〜3のうちのいずれか一の項に記載の眼底撮影装置。 【請求項5】 上記観察用照明光が赤外光および/または近赤外光であり、撮影用照明光が可視光であり、上記観察撮影用マスクが可視光を透過しうる上記窓部を除く部分が赤外光および近赤外光のうちの少なくとも赤外光を透過するものからなる請求項3記載の眼底撮影装置。 【請求項6】 上記観察撮影用マスクの窓部内の一部に撮影用照明光を遮蔽する遮蔽部が形成されてなる請求項3記載の眼底撮影装置。 【請求項7】 上記観察撮影用マスクが光路に進入、退避するように構成されており、観察撮影用マスクが光路から退避したときに上記撮影用照明光によって眼底を撮影するための第二の眼底撮影光学系をさらに備えてなる請求項3記載の眼底撮影装置。 【請求項8】 上記撮影部位選択手段が移動可能な固視灯からなる請求項1記載の眼底撮影装置。 【請求項9】 上記被検眼誘導手段が移動可能な固視灯からなる請求項2記載の眼底撮影装置。 【請求項10】 上記固視灯の像が、眼底における上記観察用照明光による照明範囲であって、撮影用照明光による照明範囲外の範囲を移動し得るように構成されてなる請求項8または9記載の眼底撮影装置。 【請求項11】 上記窓部が少なくとも一本のスリット状に形成されており、上記観察撮影用マスクが光路を中心に回転し得るように構成されてなる請求項3記載の眼底撮影装置。 【請求項12】 上記上記照明光学系と観察撮影光学系とのうち、少なくとも照明光学系に短波長光を遮蔽するためのフィルタが配設されてなる請求項1〜11のうちのいずれか一の項に記載の眼底撮影装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は眼底撮影装置に関する。さらに詳しくは、被検眼の眼底のうちの選択された部位のみを照明、撮影しうる眼底撮影装置に関する。 【0002】 【従来の技術および発明が解決しようとする課題】眼底の撮影は、眼科目的以外にも動脈硬化や高血圧症などに関する多くの有用な内科的所見が得るために広く行われている。 【0003】かかる目的に用いられる眼底撮影装置として特開平8−154924号公報に開示されたものがある。この眼底撮影装置は、テレビカメラによる眼底画像から動脈の任意箇所を選択して当該位置の動脈血の酸素含有率を測定しようというものである。 【0004】その構成は、ヘモグロビンと酸化ヘモグロビンとの含有率をそれぞれ計測する目的から第一フィルタと第二フィルタとを備えている。そして、第一フィルタを透過した照明光による眼底像と第二フィルタを透過した照明光による眼底像とをそれぞれフレームメモリに記憶し、両眼底像における同一位置の画素のメモリ値を比較演算して当該位置の酸素含有率を求めるものである。 【0005】しかしながら、この眼底撮影装置では、それ以前の眼底装置と同様に眼底の広い範囲を撮影するものであり、その撮影画像のうちのきわめて狭い部分について比較するものである。上記反射光のなかには被検眼の硝子体において散乱された光なども含まれている。したがって、得ようとする光信号のS/N比(シグナル/ノイズの比)が小さくなる。すなわち、情報の正確さを阻害する外乱を多く含むこととなる。 【0006】本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、眼底の反射光から得るべき光信号のS/N比の向上を実現した眼底撮影装置を提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明の眼底撮影装置は、観察用照明光によって眼底を照明する第一照明光学系および撮影用照明光によって眼底の一部を照明する第二照明光学系を有する照明光学系と、上記第一照明光学系が照明する眼底の部分を観察する眼底観察光学系および第二照明光学系が照明する眼底の一部を撮影する眼底撮影光学系を有する観察撮影光学系と、被検眼の眼底における、上記眼底撮影光学系による撮影部位を選択する撮影部位選択手段とを備えており、上記照明光学系が、第一照明光学系と第二照明光学系との共通光路部分を有している。 【0008】かかる構成により、比較的広い範囲を照明する第一照明手段による照明下で広い範囲の眼底を観察し、撮影すべき眼底の部位を決定し、その部位を第二照明手段によって照明される狭い範囲に誘導したうえで撮影することができる。その結果、撮影を必要としない部分からの反射光やその散乱光を排除することができる。したがって、眼底から得る光信号に対するそのS/N比を低下させる外乱の混入が防止され、正確な情報が得られる。 【0009】本発明の他の眼底撮影装置は、観察用照明光によって眼底を照明する第一照明手段および撮影用照明光によって眼底の一部を照明する第二照明手段を有する照明光学系と、上記第一照明手段が照明する眼底の部分を観察する眼底観察光学系および第二照明手段が照明する眼底の一部を撮影する眼底撮影光学系を有する観察撮影光学系と、被検眼の眼底のうちの上記眼底撮影光学系による撮影部位を第二照明手段による照明範囲に誘導する被検眼誘導手段とを備えている。 【0010】かかる構成によっても、上記本発明の眼底撮影装置によるのと同様の作用効果を奏する。 【0011】また、上記いずれかの眼底撮影装置であって、その観察撮影光学系が眼底観察光学系と眼底撮影光学系との共通光路部分を有しており、上記照明光学系と観察撮影光学系とのうち少なくとも照明光学系が観察用照明光を透過する観察撮影用マスクを有しており、該観察撮影用マスクがその一部に撮影用照明光をも透過しうる窓部を有してなるものにあっては、このマスクを透過した観察用照明光の照明下で撮影すべき部位を選択し、その部位を窓部の像の範囲内へ誘導して撮影することができる。 【0012】その場合、観察用照明光と撮影用照明光とを異なる波長域の光とするのであるが、上記観察用照明光を赤外光および/または近赤外光とし、撮影用照明光を可視光とすれば、観察時に被検者が眩しいと感じることがないので好ましい。そうしたうえで、上記観察撮影用マスクを、可視光を透過しうる上記窓部を除く部分が赤外光および近赤外光のうちの少なくとも赤外光を透過するフィルタから形成することにより、眼底の観察、誘導および撮影を効率的に行うことができる。 【0013】また、上記観察撮影用マスクの窓部内の一部に撮影用照明光を遮蔽する遮蔽部を形成することにより、たとえば、眼底における遮蔽部の像の位置に乳頭が位置するように被検眼を誘導すれば、最も光反射の強い乳頭の部分に照明光が照射されないので、撮影時に好ましくない反射光や散乱光が生じることを防止することができる。 【0014】また、上記観察撮影用マスクを光路に進入および退避するように構成し、観察撮影用マスクが光路から退避したときに上記撮影用照明光によって眼底を撮影するための第二の眼底撮影光学系をさらに備えることにより、観察撮影用マスクを光路から退避さて撮影すれば、従来から行われている眼底のカラー撮影も可能となる。 【0015】上記撮影部位選択手段および被検眼誘導手段としては、それぞれ移動可能な固視灯を採用することができる。 【0016】加えて、上記固視灯の像が、眼底における上記観察用照明光による照明範囲であって、撮影用照明光による照明範囲外の範囲を移動し得るように構成することにより、この固視灯の像を追尾する被検眼の中心窩が撮影用照明光による照明範囲に入ることがないので、被検者が眩しい思いをすることがない。 【0017】また、上記窓部を複数本のスリット状に形成し、上記観察撮影用マスクを光路を中心に回転し得るように構成することにより、撮影を意図した眼底上の血管に沿って照明光を照射することができる。すなわち、スリットの像を血管の長手方向に沿わせることができる。その結果、撮影を意図としない部分からの反射光やその散乱光を排除することができる。したがって、眼底から得る光信号のS/N比を一層向上させることができる。 【0018】如上の眼底撮影装置のいずれかにおける、上記上記照明光学系と観察撮影光学系とのうち少なくとも照明光学系に、短波長光を遮蔽するためのフィルタを配設することにより、被検眼の硝子体などで散乱しやすい短波長光を撮影照明光から除外することができるので、光信号のS/N比をさらに向上させることができる。 【0019】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。 【0020】図1には本発明の一実施形態にかかる眼底撮影装置1が示されている。 【0021】この眼底撮影装置1は、観察用照明光源2および撮影用照明光源3並びにリングスリット4および孔明きミラー5および対物レンズ6等を備え、上記各光源2、3からの照明光によって被検眼Eの眼底を照明するための照明光学系7を有している。この照明光学系7は、観察用照明光源2および可視光カットフィルタ8を備えた第一照明光学系9と、撮影用照明光源3を備えて第一照明光学系9とは光路を異にする第二照明光学系10とを有している。したがって、第一照明光学系9からは赤外光(近赤外光を含むこともある)が発せられ、第二照明光学系10からは可視光が発せられる。両光学系9、10は、いわゆるホットミラー11を図示の形態で挿入することにより光路を一体にしている。ホットミラー11は赤外光を反射して可視光を透過するものである。 【0022】また、各照明光学系9、10による照明によって眼底を観察および撮影するための観察撮影光学系12が配設されている。観察撮影光学系12は、第一照明光学系9からの照明光に基づいて眼底を観察するための眼底観察用カメラ13を有する眼底観察光学系14と、第二照明光学系10からの照明光に基づいて眼底の一部を撮影するためのエリアセンサ15を有する眼底撮影光学系16とを備えている。眼底撮影光学系16は、光分析から眼底各部の酸素含有率などの演算を行うための図示しない制御部を有している。観察撮影光学系12は、上記照明光の眼底における反射光を上記孔明きミラー5を通し、いわゆるコールドミラー17を図示の形態で挿入することにより眼底観察光学系14と眼底撮影光学系16とに光路を分けて眼底観察用カメラ13とエリアセンサ15とに導く。コールドミラー17可視光を反射して赤外光を透過するものである。孔明きミラー5とコールドミラー17との間には観察撮影光学系12の眼底への合焦を行うための可動のフォーカスレンズ18が配設されている。 【0023】本眼底撮影装置1には、観察撮影光学系12の眼底への合焦および眼底撮影の各動作に先立って被検眼Eと観察撮影光学系12との適正な作動距離を設定するための作動距離検出光学系、および、観察撮影光学系12の光学瞳を被検眼Eの瞳孔中心に一致させるためのアライメント光学系が配設されている。しかし、これらの光学系の構成および動作は従来の眼底撮影装置におけると同様のものであるため、その図示および説明を省略する。 【0024】照明光学系7にはその光源2、3の光を被検眼Eの眼底に導くために、集光レンズ19、ミラー20、照明レンズ21およびスポット板23が配設されている。スポット板23は照明光が対物レンズ6の表面で反射されることを防止するために、対物レンズ6の表面に結像する小黒点を形成した透明板である。さらに、本眼底撮影装置1の特徴である観察撮影用マスク22が照明レンズ21同士の間に配設されている。 【0025】図2(a)に示すように、この観察撮影用マスク22は可視光カットフィルタから形成されており、その中央部に可視光をも透過する窓部(撮影視野という)24が形成されている。観察撮影用マスク22は、その像が被検眼Eの眼底に結像し得るように光路に沿って可動にされている。そして、窓部24の像は、ちょうど眼底における撮影をすべき適正な範囲となるような大きさにされている。 【0026】かかる観察撮影用マスク22が照明光学系7に配設されることにより、第一照明光学系9の観察用照明光源2からの赤外光(近赤外光を含むこともある)は制限無く眼底を照明するが、第二照明光学系10の撮影用照明光源3からの可視光は狭い窓部24の像の範囲のみを照明することになる。したがって、眼底観察用カメラ13による眼底象の観察は窓部24の制限無く広い範囲でなされ、エリアセンサ15による眼底の撮影は狭い窓部24の像の範囲のみについてなされる。この場合、眼底観察用カメラ13によって眼底象を観察するときに、図2(b)に示すようにその像に撮影視野を示す枠Fが明確に示されるようにしておくのが好ましい。そのためには、観察撮影用マスク22を構成する可視光カットフィルタから窓部24を構成する範囲を切り抜いておけばよい。そうすれば、この切断縁が画像に明確に表れることになる。または、窓部24が透明シートから形成されているときには窓部24の外形を示す線をマスク22に記載しておけばよい。 【0027】本実施形態では観察撮影用マスク22は照明光学系7の光路上に固定されている。したがって、被検眼Eの眼底の撮影部位は、撮影部位選択手段および被検眼誘導手段たる固視灯25によって選定することになる。図1に示すごとくこの固視灯25は、コールドミラー26を介装することによって観察撮影光学系12の光軸に沿って可視光である指標光を被検眼Eの投射するようにされている。さらに、固視灯25は、その像が眼底における観察撮影用マスク22の像の範囲であって窓部24の像の範囲を除く範囲(観察視野という)を移動し得るように上下左右に可動にされている。 【0028】かかる構成により、被検者に固視灯25を追尾させれば、一般に被検眼Eはその中心窩に固視灯25の像を一致させようとする。一般に眼底における中心窩によって視認するからである。一方、乳頭N付近は眼底各部への血管が集中し、また、血管が比較的太いので測定に都合がよいのである。したがって、図2(b)に示すように、乳頭Nが上記窓部24の像24a内(撮影視野内)に入るように固視灯25を移動させればよい。検査者は眼底観察用カメラ13によって赤外光で照明される眼底の範囲をも観察できるので、その範囲で固視灯の像25aを移動させることによって乳頭Nが上記撮影視野内に入るように被検眼Eを移動させることができる。そして、乳頭Nが撮影視野範囲内に入ったときに撮影用照明光源3を発光させて撮影する。前述のとおり、固視灯25の像25aは撮影視野内には入らないようにされているため、被検眼の中心窩Sも撮影視野内には入らない。すなわち、中心窩Sには赤外光が照射されているだけで可視光は照射されないので被検眼にとって眩しいと言うことはない。また、前述のように窓部24の形成位置を観察撮影用マスク22の中央部としたのは、被検眼が右目であっても左目であっても固視灯25の移動によって中心窩を観察視野内のいずれかの位置に導くことにより、乳頭Nを撮影視野内に誘導することができるからである。図2(b)中に二個の固視灯像25a(中心窩S)を表しているのは右目の場合と左目の場合とを両方とも示したものであって、実際には一個しか表れない。 【0029】かかる構成により、赤外光によって観察される眼底のうちの選択された、狭い任意の所望部位に対してのみ撮影用の照明光を照射して撮影することができる。その結果、上記所望部位からの反射光に、撮影を意図していない眼底の他の部分からの反射光や散乱光が混じることはない。すなわち、眼底から得る必要な光信号に対するそのS/N比を低下させる外乱の混入が防止され、正確な情報が得られる。 【0030】なお、上記実施形態では指標光を観察撮影光学系12の光路に沿って被検眼に照射するようにしているが、本発明ではとくにそのような構成に限定されない。たとえば、固視灯25を照明光学系7に配設し、照明光学系7の光路に沿って指標光を照射するようにしてもよい。この場合、固視灯25からの指標光は観察撮影用マスク22を通らないようにその下流側において照明光学系7の光路に一致するようにする必要がある。 【0031】また、図2に示すように観察撮影用マスク22の窓部24には光不透過の小面積部分(以下、黒点という)27が形成されている。この黒点27は眼底における乳頭Nに照明光が照射されないようにするためのものである。その場合、可視光のみを遮断してもよく、また、可視光および赤外光ともに遮断してもよい。そして、眼底観察用カメラ13によって観察しながら上記黒点27の像27aに乳頭Nが一致するように被検眼Eを誘導する。通常、乳頭Nは眼底の他の部分よりも光を多く反射するので、乳頭Nによる反射光およびその散乱光の発生を防止し、それが得るべき光信号に混入しないようにすることを目的にしたものである。かかる構成によって必要な光信号のS/N比をさらに向上させることができる。 【0032】図3に示すのは観察撮影用マスクの他の形態を示している。この観察撮影用マスク28は平行な複数本のスリット状の窓部(以下、スリットともいう)29を有している。さらに、この観察撮影用マスク28はその中央部を中心にしてマスク面内に回転し得るように構成されている。かかる構成により、たとえば眼底における診断上重要な静脈や動脈を撮影しようとするとき、観察撮影用マスク28を回転させてスリット29の像を当該血管Vにほぼ沿わせることができる。その結果、眼底の他の部位における反射光およびその散乱光の発生を防止することができ、必要な光信号のS/N比を一層向上させることができる。また、血管の光分析を行うに際して、血管のない眼底部分に照射されたスリット光の反射光を基準にすることも可能となる。上記スリット29の本数は複数本に限らず一本でもよく、その幅は広狭可変にすることができる。また、スリット同士はとくに平行にする必要はなく、相互に傾斜させておいてもよい。 【0033】図1に戻って、その眼底撮影光学系16は一対のダイクロイックミラー30a、30bを介装させることによって光路を一旦二系統に分離し、若干ずらせてエリアセンサ15に至るようにされている。分離された二光路にはそれぞれ、特定波長をピークとした波長域(狭帯域)の光のみを透過する波長選択フィルタ(バンドパスフィルタ)31、32が配設されている。ダイクロイックミラーとは、特定の波長を境にしてその短波長(長波長)側の光を透過し、長波長(短波長)側の光を反射するものである。また、本実施形態では上記一方のバンドパスフィルタ31は600nm波長をピークとする波長域の光(以下、600nm光という)を透過するものであり、他方のバンドパスフィルタ32は569nm波長をピークとする波長域の光(以下、569nm光という)を透過するものである。ここで、酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンとの吸収スペクトル曲線を重ねて描くと、600nm波長の光については酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンとの値に差があり、569nm波長の光についてはほぼ同一値となるのである。もちろん、上記600nmと569nmとの波長域の組合せに限定されることはない。同様な選択基準から、たとえば、640nmと505nmとの組合せや600nmと805nmとの組合せなどにしてもよい。 【0034】本実施形態では、上流側のダイクロイックミラー30aによって例えば波長580nmを境に短波長光と長波長光とが分離される。そして、一方の光路においてバンドパスフィルタ31によって選択された600nm光と、他方の光路においてバンドパスフィルタ32によって選択された569nm光とが、下流側のダイクロイックミラー30bにより、相互に若干離間した光路を形成してエリアセンサ15へ至る。その結果、エリアセンサ15においては600nm光による眼底像と569nm光による眼底像とが受光され、図4に示すモニタ画面Dに両画像(撮影視野内の像)P1、P2が分離して表示される。かかる構成により、異なる波長域の光によって同時に撮影された二種の眼底像が分離されて同時に一画面に表示される。そして、画像上の任意の部位にを選択して光分析を行うことにより、還元ヘモグロビンおよび酸化ヘモグロビンの含有状況やその変化を判断しやすくなる。 【0035】上記例では、異なるバンドパスフィルタを有する二系統の撮影光学系を備えているが、とくに二系統に限定されることはなく、三系統以上の撮影光学系を備えて三種以上の眼底像を得るようにしてもよい。 【0036】もちろん、このような構成に限定されることはなく、たとえば図5に示す眼底撮影光学系160のように、眼底における反射光をビームスプリッタ161によって二光路に分離し、各光路に互いに透過波長域の異なるバンドパスフィルタ162、163を配設し、異なる二個のエリアセンサ164、165によってそれぞれ受光するようにしてもよい。 【0037】しかし、図1に示すように単一のエリアセンサ15によって複数の画像を得るほうが、複数のエリアセンサの採用に較べてエリアセンサ間の特性の相違を考慮、補正する必要がないので好ましい。また、複数画像を一組とするデータが散逸するおそれもない。 【0038】また、ダイクロイックミラー30a、30bに代えて、いずれもハーフミラーとすることも可能である。ハーフミラーとは、波長域による透過・反射ではなく、単に光の半分を透過し、残余の半分を反射するものである。したがって、ハーフミラーで代用することによってダイクロイックミラーと同様の作用を奏するものの、光量が半減するという問題がある。したがってダイクロイックミラーを採用する方が好ましい。 【0039】以上の実施形態では観察撮影用マスク22は照明光学系7にのみ設置されている。これだけでも眼底から得る必要な光信号のS/N比を向上させうるが、さらに観察撮影光学系12の光路上のいずれかの位置、たとえば、眼底結像位置付近にも設置することができる。 【0040】図6に示す眼底撮影装置33では、フォーカスレンズ18の眼底観察用カメラ13側にも観察撮影用マスク34を設置している。その場合、観察撮影光学系12に追加した観察撮影用マスク34は、その窓部35が常に照明光学系7の観察撮影用マスク22の窓部24の眼底上結像点24aと共役位置になるように配設する。すなわち、照明光学系7の観察撮影用マスク22が観察撮影光学系12のフォーカスレンズ18と連動して合焦することにより、両観察撮影用マスク22、34の窓部24、35が共焦点を有することになる。両観察撮影用マスク22、34の黒点同士も当然共焦点を有することになる。 【0041】かかる構成により、眼底上の撮影選択部位にのみ照明光を照射することができ、さらに、常にその照明光の照射部位からの反射光のみを受光して撮影することができる。したがって、眼底からの光信号のS/N比を一層向上させることができる。なお、スリット状の窓部29を有する観察撮影用マスク28を照明光学系7および観察撮影光学系12の両方に配設した場合には、両者のスリット29の像が一致するようにその回転も同期させる必要がある。 【0042】本眼底撮影装置33が図1の眼底撮影装置1と異なる点は、上記のとおり観察撮影光学系12にも観察撮影用マスク34を配設したこと、後述のとおり両観察撮影用マスク22、34ともに光路に対して進入・退避が可能であること、後述のとおり眼底撮影光学系16に追加の眼底撮影用カメラ36および揺動ミラー37を備えたこと、後述のとおり眼底撮影光学系16に蛍光撮影光学系38および一対の揺動ミラー39a、39bを備えたこと、および、後述のとおり照明光学系7に短波長域光を遮蔽するカットフィルタ40を加えたことである。その他の構成は図1の眼底撮影装置1と同一であるため、同一符号を付して説明を省略する。 【0043】図示のごとく、眼底撮影光学系16に眼底撮影用カメラ36を備えたことにより、従来行われていた眼底全体像のカラー撮影をも可能にすることもできる。そのときには上記観察撮影用マスク22、34は両方とも光路から退避させる。それと同時に眼底撮影用カメラ36の上流側に配設された揺動ミラー37を眼底撮影光学系16の光路内に位置するように揺動させる。そうすることによって撮影用照明光源3からの全波長域光は制限無く眼底を照射し、その反射光は揺動ミラー37に反射されて眼底撮影用カメラ36に至る。それにより、観察撮影用マスク22、34の撮影視野に制限されない広い範囲の眼底のカラー画像を得ることができる。もちろん、観察撮影用マスク22、34を光路から退避させなくてもよい。その場合には観察撮影用マスク22、34の撮影視野範囲内の眼底のカラー画像が得られることになる。なお、揺動ミラー37を眼底撮影光学系16の光路から退避させれば前述のとおりエリアセンサ15によって眼底の一部について二つの画像を得ることができるようになる。 【0044】さらに、図示のごとく、眼底撮影光学系16におけるダイクロイックミラー30a、30bによる分離光路をバイパスしてエリアセンサ15に至る蛍光撮影光学系38が配設されている。蛍光撮影光学系38には特定波長域の光のみを透過するバリアフィルタ41が配設されており、また、眼底撮影光学系16とこの蛍光撮影光学系38との分岐点にはそれぞれ揺動ミラー39a、39bが配設されている。そして、両揺動ミラー39a、39bを眼底撮影光学系16の光路に進入させることにより、眼底における反射光は各揺動ミラー39a、39bに反射されてエリアセンサ15に至る。蛍光撮影光学系38は被検者の血管に蛍光性トレーサを注入して撮影を行う蛍光分析に用いられる。つまり、蛍光性トレーサが流れる眼底の血管によって反射された特定波長域の光は上記バリアフィルタ41によって他の波長の光が除去されたうえでエリアセンサ15によって受光される。かかる蛍光撮影を行う場合、第二照明光学系10における前述のカットフィルタ40に代えて、血管中の蛍光剤を励起しうる波長の光のみを透過する図示しないエキサイタフィルタ(励起フィルタ)を光路上に挿入するのが好ましい。予め当該蛍光波長と同一波長の光を照明光から除去しておくことにより、ノイズ成分を消去しうるからである。 【0045】以上のごとく、揺動ミラー37、39a、39bの進入・退避によって光分析用撮影、蛍光分析用撮影およびカラー撮影のそれぞれに切り換えることができる。 【0046】また、第二照明光学系10における撮影用照明光源3とホットミラー11との間に短波長域光を遮蔽するカットフィルタ40が配設されている。これは、撮影用照明光から被検眼E内の硝子体などで散乱しやすい短波長域光を取り除くことにより、眼底撮影光学系16によって得るべき眼底からの光信号のS/N比を向上させるためのものである。一方、被検者にとっては前述の観察撮影用マスク22の撮影視野内の撮影時および従来のカラー撮影時に眩しさが低減するという効果も得られる。 【0047】本実施形態ではこのカットフィルタ40として、一般にY520と呼ばれる、520nm以下の波長域の光を遮断するフィルタを採用している。なお、カットフィルタ40としてはとくにY520に限定されることはない。要するに、前述のバンドパスフィルタ31、32、162、163を透過しうる光を透過するフィルタであればよく、さらに、その範囲でできるだけ広い範囲の短長域光を遮断するものが好ましい。 【0048】 【発明の効果】本発明によれば、被検眼の眼底の観察に基づいて選択された眼底の一部についてのみ撮影することができる。その結果、眼底から得る光信号に対するそのS/N比を低下させる外乱の混入が防止され、正確な情報が得られる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000143282 【氏名又は名称】株式会社コーナン
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| 【出願日】 |
平成11年4月8日(1999.4.8) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100065868 【弁理士】 【氏名又は名称】角田 嘉宏 (外3名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−287937(P2000−287937A) |
| 【公開日】 |
平成12年10月17日(2000.10.17) |
| 【出願番号】 |
特願平11−101438 |
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