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【発明の名称】 手術具
【発明者】 【氏名】櫻井 友尚

【氏名】志賀 明

【氏名】八田 信二

【氏名】佐々木 勝巳

【氏名】碓井 健夫

【氏名】唐澤 勝

【氏名】中村 剛明

【要約】 【課題】緊急性の高い手術において使用できるとともに、操作性を大幅に向上することができる手術具を提供する。

【解決手段】組織にエネルギーを供給して処置を行う処置部と、処置部に開閉動作を行なわせるための操作部と、エネルギーを処置部に供給するためのエネルギー源を操作部に設けたものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】組織にエネルギーを付与して処置を行う処置部と、処置部に開閉動作を行なわせるための操作部と、エネルギーを処置部に供給するためのエネルギー源を操作部に設けたことを特徴とする手術具。
【請求項2】前記エネルギー源はバッテリーからなることを特徴とする請求項1記載の手術具。
【請求項3】前記処置部は、組織を把持する把持機能をもつことを特徴とする請求項1または請求項2記載の手術具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は患部にエネルギーを付与して処置することが可能な手術具であり、手術用ピンセット等に好適に使用できる手術具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、この種の手術具として、特公平2−43501号に体腔内の軟骨などを切除するためのドリル式切除装置が記載されている。この装置は、先端に切削刃を取り付けたドリルシャフトの手元側後端部に駆動軸が設けられ、この駆動軸に、駆動用モータが接続されている。また、駆動用モータはバッテリーで駆動され、この駆動用モータとバッテリーは、ドリル式切除装置の保持部に収容される構成になっている。
【0003】さらに、PCT WO 96/13889号には、モータ駆動される手術用ハンドピースのための携帯可能な、電源システムが記載されている。この携帯可能な電源システムは、AC/DCアダプターまたは充電可能なバッテリーとフットコントローラおよびハンドピースとからなり、このフットコントローラはAC/DCアダプターまたは充電可能なバッテリーから電力を供給され、ハンドピースをコントロールしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の技術に記載されている手術具は、共に、外科用のメス、ピンセットといった災害地や商用電源のない場所等での緊急の手術に必須な基本器具ではなく、またPCT WO 96/13889号のハンドピース用携帯電源は、バッテリーを使用しながらもコードレスでないので、操作性の向上が図られず、実際の場面において使い勝手がよくなかった。
【0005】本願発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、緊急性の高い手術において使用できるとともに、操作性を大幅に向上することができる手術具を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本願発明の手術具は、組織にエネルギーを供給して処置を行う処置部と、処置部に開閉動作を行なわせるための操作部と、エネルギーを処置部に供給するためのエネルギー源を操作部に設けたものである。
【0007】本願発明の手術具は、前記エネルギー源をバッテリーとしたものである。本願発明の手術具は、処置部に、組織を把持する把持機能をもつようにしたものである。
【0008】
【発明の実施の形態】(第1の実施の形態)本願発明の第1の実施の形態について、図1及び図2を参照して説明する。図1は、バイボーラタイプのバッテリー式手術用ピンセット1の全体を示しており、矩形の柄部2cに一体に形成されたU字形の操作部2は、先端部で皮膚、組織及び臓器等を把持するために、所定間隔を有する2枚の弾性力を有する材質からなる、板状部材2a、2bから構成されている。この板状部材2a、2bは全面が絶縁され、先端部に一対の電極3a、3bが固定されており、一方の板状部材2aの表面には、高周波出力をコントロールするためのCUTスイッチ(切開用)4a及びCOAGスイッチ(凝固用)4bの各スイッチが配設されている。さらに、柄部2cには、薄型のバッテリー5aと駆動部6からなる電気回路が内蔵されている。
【0009】次に、このバッテリー式手術用ピンセット1に使用する電気回路について、図2を参照して説明する。バッテリー5aに、CUTスイッチ4a、COAGスイッチ4bが接続された発振回路7と、アンプ8が並列に接続されている。発振回路7は、切開電流、凝固電流を形成するために、所定の周波数の高周波を発振することができ、その出力端がアンプ8の入力端に接続されている。アンプ8の出力端は、昇圧トランス9に接続され、この昇圧トランス9の出力端と電極3a、3bが電導体を介して接続されている。
【0010】CUTスイッチ4aまたはCOAGスイッチ4bをONにすると、発振回路7は所定のモードで発振し、アンプ8により増幅され、切開電流または凝固電流を発生する。次いで、アンプ8の出力は、昇圧トランス9によって昇圧されて、電極3a、3bに切開電流または凝固電流を供給する。
【0011】第1の実施の形態の作用を説明する。術者は、バッテリー式手術用ピンセット1の板状部材2a、2bを保持し、切開または凝固したい組織を先端部の電極3a、3bで挟んだ状態で、CUTスイッチ4aまたはCOAGスイッチ4bを操作して通電させることにより、電極3a、3bが接触している患部組織を切開または凝固することができる。
【0012】本実施の形態のバッテリー式手術用ピンセットは、電源(バッテリー)と高周波発生回路と切開または凝固のための高周波電流を通電するための操作スイッチを備えている。先端部の電極で患部を挟んで高周波電流を通電することにより、商用電源などの外部からの電源の供給なしで、患部の切開、凝固などの処置を施すことができるので、電源設備のない場所での緊急の手術ができる。さらに、邪魔になる電源ケーブルがないので、操作性がよい、という効果を有する。
【0013】また、昨今感染症の問題などにより、医療器械の再使用時の洗浄・滅菌が問題になっているが、ピンセットのような基本的器具は、生産上の数量効果もあるのでかなり低コストでの生産が可能である。したがって、滅菌済みのディスポ品として販売しても、再滅菌費用や感染症のリスクを考えるとむしろトー夕ルでは経済性の高い物となる。実際、緊急時の手術具としては、現地での洗浄や滅菌は不可能な場合も多く、ディスポ品の特徴が活かせる。もちろん使い捨てでなく、再使用することも可能である。
【0014】なお、本実施の形態では、柄部2cを矩形であるとして説明したが、格別に矩形である必要はなく、使い方に応じて丸みを付けたりまた任意の使いやすい形状にすることが可能である。同様に、操作部2は柄部2cに一体に形成されなくてもよいし、U字形である必然もない。また、バッテリー5を薄型としたが、柄部2cに配設できるのであれば薄型に特定する必要はない。
(第2の実施の形態)本願発明の第2の実施の形態について、図3及び図4を参照して説明する。なお、第1の実施の形態と同じ部分については同一の符号をつけ、説明を省略する。
【0015】図3は、モノポーラタイプのバッテリー式手術用ピンセット20の全体を示しており、バッテリー式手術用ピンセットの柄部2cに、患者電極となる対極板11がコード10を介して接続され、この対極板11の内部には薄型の大容量バッテリー12が配設されている。
【0016】図4は第2の実施の形態の電気回路図である。基本的には、第1の実施の形態の回路構成と同じであるが、モノポーラタイプであるため、先端部の電極3a、3bは同極となっており、対極として患者に貼り付けて使用される対極板11が用いられている。先端部の電極3a、3bと、この患者に貼り付けて使用される対極板11との間にエネルギーを付与すると、接触面積の少ない先端部の電極3a、3b側にエネルギー集中が発生し、結果として電極3a、3bに接した組織の切開、凝固等が可能となる。また、対極板11の内部に配設された薄型の大容量バッテリー12は、コード10を介して本願発明のバッテリー式手術用ピンセット本体のバッテリー5aと並列に接続される構成となっている。
【0017】本実施の形態のバッテリー式手術用ピンセット20では、モノポーラタイプのバッテリー式手術用ピンセットであっても商用電源などの外部からの電源の供給なしで、患部の処置ができるということに加えて、バッテリーによる駆動時間をさらに延長することが可能となる、という効果を有する。
【0018】なお、本実施の形態の中の大容量バッテリー12はバッテリー5aに並列に接続配置したが、効果が縮減されることを許すならば大容量バッテリーまたはバッテリー5aのみで用いることも可能である。
【0019】また、先端部電極3aおよび3bの両方に高周波電流を供給する構成としたが、片方を絶縁物とし、特定の一方のみに高周波電流を供給するようにすることもできる。
(第3の実施の形態)本願発明の第3の実施の形態について、図5及び図6を参照して説明する。なお、第1の実施の形態と同じ部分については同一の符号をつけ、説明を省略する。
【0020】図5のバッテリー式手術用ピンセット30は、第1の実施の形態のバッテリー式手術用ピンセット1に、バッテリー5aの残量を示す残量メータ13を板状部材2aの表面に付加したものである。
【0021】図6は、残量メータ13の具体例を示すものであり、残量メータ13aは、7セグメントの表示器よりなり、初期値を100とし、使用するにつれて、数値が減少していくタイプであり、正確な残量が確認できる。また、残量メータ13bは、概略の残量を段階的に示したタイプであり、数値を読む必要がないため瞬時に残量を判断できるという長所がある。さらに、残量メータ13cは、自動車の燃料計のように、残量が一定以下になると警告のために、シンボルマークが表示されるタイプである。
【0022】また、これらの残量メータ13a、13bおよび13cとは別に、一定の残量を下回ると警告音が発生したり、残量メータが点滅をしたり、または表示の色が変化するなどの公知の警告手段(図示しない)を併せて設けるとさらに認識が容易になる。
【0023】以上、バイポーラタイプの場合について、説明したが、本実施の形態の残量メータは、第2の実施の形態のモノボーラタイプに適用できることは言うまでもない。
【0024】本実施の形態によれば、術者は本願発明のバッテリー式手術用ピンセットを使用中に残量メータ13によりバッテリーの残量を確認できるため、バッテリーが消耗してしまう前に予備のバッテリー式手術用ピンセットを準備したり、交換用バッテリーを用意することが可能であり、スムースに手術が進められる、という効果が得られる。
(第4の実施の形態)本願発明の第4の実施の形態について、図7及び図8を参照して説明する。
【0025】図7は、充電可能タイプのバッテリーを使用したバッテリー式手術用ピンセット40の全体図である。なお、第1の実施の形態と同じ部分については同一の符号をつけ、説明を省略する。
【0026】基本的構成は、第3の実施の形態とほぼ同じであるが、柄部2c内に組み込まれたバッテリー5bは充電可能タイプであり、充電用の電極15a、15bが、柄部2cより突出して設けられている。図8は、バッテリー5bを充電するための充電器16の全体図である。充電器16は、上面に、同時に複数のバッテリー式手術用ピンセットが接続可能な接続ボート17a、17b、17cおよび17dを有しており、常時予備のバッテリー式手術用ピンセットも充電可能になっている。また、充電器16には、接続されているバッテリー式手術用ピンセット40のバッテリー容量が表示される充電メー夕18a、18b、18cおよび18dが設けられている。術者は充電中のバッテリー式手術用ピンセット40の残量メータを見なくとも、バッテリーの充電状態(残量)を容易に確認できる。
【0027】なお、充電用の電極15a、15bを通常は柄部2cの内部に収納し、充電時のみ突出させる構造としておき、接続ポート17a、17b、17cおよび17dの上部周辺に滅菌処理された滅菌シート19を載せる、または貼り付けることにより、術中にバッテリー式手術用ピンセット40を充電して再使用することが可能となる。この場合、充電用の電極15a、15bの代わりに高周波コイルと整流回路を柄部2cの内部に備え、接続ポート17a、17b、17cおよび17dの代わりに高周波電力供給用の高周波出力コイルを充電器16に備え、電磁誘導により給電するようにすると、滅菌シート19の上にバッテリー式手術用ピンセットを置くだけで充電することができる。
【0028】実際の使用場面では、複数のバッテリー式手術用ピンセットを本充電器にセットしておくことにより、いつでも充電完了状態のバッテリー式手術用ピンセットが使用可能となる。また、手術中であっても、一定時間使用しない場合には充電器に接続しておくことにより、まめに再充電することが可能である。
【0029】なお、図7および図8では対極板の無いバイボーラタイプとしているが、第2の実施の形態のモノボーラタイプでも同様に充電式にすることが可能である。
[付記]以上詳述したような本願発明の上記実施形態によれば、以下のような構成を得ることができる。
(付記項1)組織にエネルギーを供給して処置を行う処置部と、処置部に開閉動作を行なわせるための操作部と、エネルギーを処置部に供給するためのエネルギー源としてバッテリーを操作部に設けたことを特徴とする手術具。
(付記項2)バイポーラタイプのバッテリー式手術用ピンセットであることを特徴とする付記項1記載の手術具。
(付記項3)モノポーラタイプのバッテリー式手術用ピンセットであることを特徴とする付記項1記載の手術具。
(付記項4)患者用対極板にバッテリーを配設したことを特徴とする付記項3記載の手術具。
(付記項5)バッテリーは再充電可能であることを特徴とする付記項1ないし付記項5記載の手術具。
(付記項6)組織にエネルギーを供給して処置を行う処置部と、処置部に開閉動作を行なわせるための操作部と、前記操作部にエネルギーを処置部に供給するためのエネルギー源としてバッテリーと、このバッテリーの残量を表示する残量メータとを設けたことを特徴とする手術具。
(付記項7)前記バッテリーのバッテリー残量が少なくなったことを警告する警告音点滅、または色変化などの手段を有することを特徴とする付記項6記載の手術具。
【0030】
【発明の効果】本願発明のバッテリー式手術用ピンセットによれば、緊急性の高い手術において使用できるとともに、操作性を大幅に向上することができる。
【出願人】 【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス光学工業株式会社
【出願日】 平成11年3月15日(1999.3.15)
【代理人】
【公開番号】 特開2000−262533(P2000−262533A)
【公開日】 平成12年9月26日(2000.9.26)
【出願番号】 特願平11−68019