| 【発明の名称】 |
磁気シールド及び該磁気シールドの製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】永石 竜起
【氏名】糸▲崎▼ 秀夫
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| 【要約】 |
【課題】良好な磁気遮蔽性を有すると共に、従来に比して安価な磁気シールド及び該磁気シールドの製造方法を提供する。
【解決手段】透磁性の筒状の分割体11aを周端部において突き合わせ、人体の磁気計測を行うのに十分な大きさの筒状体11を形成し、且つ突き合わせ部の周面に透磁性の環状体11bを密接固定させて外部磁気の侵入を防止する磁気シールド1を得る。また、分割体11aを突き合わせて筒状体とするため、多数の平板を使った従来に比して部品点数及び加工工数が低減され、従来よりも安価とできる。さらに、焼鈍した分割体11aを組み立てても、問題となる加工歪みや誤差が生じないため、大型の焼鈍炉が必要なく且つ工数が更に低減されて一層安価にできる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 筒状を成して透磁性を有する複数の分割体個々の周端部が突き合わされて成る筒状体と、該筒状体における前記分割体同士の突き合わせ部の周面に密接され、該突き合わせ部を覆うように固定された透磁性を有する環状体と、を備えることを特徴とする磁気シールド。 【請求項2】 径の異なる請求項1記載の磁気シールドが同芯状に複数配置されて多重構造を成し、該磁気シールド間に間隙が設けられて成ることを特徴とする磁気シールド。 【請求項3】 前記間隙に非磁性のスペーサー部材が配設されて成ることを特徴とする請求項2記載の磁気シールド。 【請求項4】 透磁性を有する板状部材を丸め、該板状部材の両端部を結合させて筒状を成す分割体を得る一方で、透磁性を有するテープ状部材又は板状部材を丸め、該テープ状部材又は該板状部材の両端部を結合させて前記分割体の周面に密接させることが可能な環状体を得る第1の工程と、前記分割体及び前記環状体の焼鈍を行う第2の工程と、前記分割体の一方の端部周面と前記環状体の一方の端部周面とを密接させ、且つ該環状体の他方の端部周面と他の前記分割体の一方の端部周面とを密接させて前記分割体個々の周端部を突き合わせ、前記分割体と前記環状体とを交互に連接させ、該分割体と該環状体とを固定して磁気シールドを組み立てる第3の工程と、をその順で実行することを特徴とする磁気シールドの製造方法。 【請求項5】 径の異なる複数の前記磁気シールドを該磁気シールド間に間隙を設けるように配置して多重構造を成す磁気シールドを組み立てる第4の工程を備えることを特徴とする請求項4記載の磁気シールドの製造方法。 【請求項6】 前記間隙に非磁性のスペーサー部材を配設する第5の工程を備えることを特徴とする請求項5記載の磁気シールドの製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、磁気シールド及び該磁気シールドの製造方法に関し、詳しくは生体磁気計測システム等において用いられる磁気シールド及び該磁気シールドの製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】生体磁気計測システムは、生体の内部に発生した電流により生ずる微量磁気を超電導量子干渉デバイス( Superconducting Quantum Interference Device;以下単にSQUIDと云う。)で検出することによって脳磁や心磁等の生体磁気を計測し、脳や心臓の疾患を診断するものである。このような生体磁気計測システムにおいては、計測上のノイズとなる外部磁気を遮蔽する為に、被験者の身体の計測部位を十分に覆うことができる大きさの磁気シールドが用いられている。従来より、このような磁気シールドとしては、透磁性を有する合金平板を使用して組み立てられた直方体の磁気シールドルームが用いられてきた。また、他の磁気シールドとして、特開平9−214166号公報には、透磁性を有する合金製のテープ状部材をらせん状に巻いて円筒型とした磁気シールドが開示されている。そして、これら従来の磁気シールドは、外部磁気の遮蔽を確実なものとする為に、構成部材の継ぎ目に隙間が生じないように、重ね合わせ部分を設けて形成され、その重ね合わせ部が多数のリベット又は溶接で密接固定されている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかし、上記前者の磁気シールドは、角部を有しているため、多数枚の平板部品を多面的に組み合わせる必要があり、部品点数及び製造工数が増大して製品が高価になるという問題があった。また、上記後者の円筒型磁気シールドは、一体型であり、且つ、テープ状部材をらせん状に巻いているため、真円度が確保され難いので、全体を巻き終えて組み立ててから焼鈍する必要があった。このような大型の磁気シールドを焼鈍する為には、大型の焼鈍炉を必要とし、且つ工数が増大してしまい製品が高価になるという問題があった。 【0004】そこで、本発明は、かかる従来の問題点に鑑みて、良好な磁気遮蔽性を有すると共に、従来に比して安価な磁気シールド及び該磁気シールドの製造方法を提供することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決する為に、本発明の磁気シールドは、筒状を成して透磁性を有する複数の分割体個々の周端部が突き合わされて成る筒状体と、該筒状体における分割体同士の突き合わせ部の周面に密接され、該突き合わせ部を覆うように固定された透磁性を有する環状体とを備えることを特徴とする。 【0006】このような磁気シールドによれば、透磁性を有する筒状の分割体を用い、被験者の身体の計測部位を十分に覆うことができる大きさの磁気遮蔽性を有する筒状体が形成され、且つこの筒状体は、分割体が個々の周端部において突き合わされて環状体を介して固定されるので、外部磁気の浸入が防止される。また、筒状体における分割体同士の突き合わせ部の周面に、透磁性を有する環状体が密接され且つ固定されて突き合わせ部が隙間なく覆われるため、外部磁気の侵入が一層効果的に防止される。また、分割体個々が筒状を成しており、それらを突き合わせて筒状体とするため、平板を多面的に組み合わせた従来前者の磁気シールドに比して、部品点数及び組立に要する工数が低減される。さらに、筒状を成す分割体は加工時の真円度を確保し易く、予め焼鈍した分割体を突き合わせて組み立てて磁気シールドを得ても、問題となるような加工歪みや誤差が生じないので、組立後の磁気シールドを焼鈍する必要がない。またさらに、従来のように部品を重ね合わせる場合には、部品の平面を高精度で加工する必要があったが、本発明は分割体の周端部を突き合わせるので、従来のような平面加工が必要なく、また、必要に応じて突き合わされる端面のみを仕上加工すればよいので、従来に比して加工工数が飛躍的に低減される。また、分割体同士が重ね合わされないため、従来に比して必要な材料の量が少なくて済む。 【0007】また、本発明の磁気シールドは、径の異なる上記磁気シールドが同芯状に複数配置されて多重構造を成し、これら磁気シールド間に間隙が設けられて成ることを特徴とする。このような磁気シールドによれば、磁気遮蔽性を有する筒状の上記磁気シールドが磁気遮蔽性を有する筒状の別の磁気シールドで覆われて離間配置されるため、外部磁気の遮蔽性能が高められる。 【0008】さらに、上記間隙に非磁性のスペーサー部材が配設されて成ることが好ましい。このようにすれば、磁気シールド間の間隙がスペーサー部材によって確実に確保され、磁気シールド同士が接触して導通してしまうことが防止されるので、個々の磁気シールドが独立に磁気遮蔽効果を発現でき、外部磁気の遮蔽性能が一層高められる。 【0009】また、本発明の磁気シールドの製造方法は、透磁性を有する板状部材を丸め、板状部材の両端部を結合させて筒状を成す分割体を得る一方で、透磁性を有するテープ状部材又は板状部材を丸め、テープ状部材又は板状部材の両端部を結合させて前記分割体の周面に密接させることが可能な環状体を得る第1の工程と、分割体及び環状体の焼鈍を行う第2の工程と、分割体の一方の端部周面と環状体の一方の端部周面とを密接させ、且つ該環状体の他方の端部周面と他の分割体の一方の端部周面とを密接させて前記分割体個々の周端部を突き合わせ、分割体と環状体とを交互に連接させ、分割体と環状体とを固定して磁気シールドを組み立てる第3の工程とをその順で実行することを特徴とする。 【0010】このような本発明の製造方法によれば、透磁性を有する筒状の分割体を用い、被験者の身体の計測部位を十分に覆うことができる大きさの磁気遮蔽性を有する筒状体を形成し、且つ、分割体を個々の周端部において突き合わせるようにし、環状体を介して分割体同士を固定するので、外部磁気の浸入を防止する磁気シールドが得られる。また、筒状体における分割体同士の突き合わせ部の周面に、透磁性を有する環状体を密接させ且つ固定し、突き合わせ部を隙間なく覆うようにしているため、外部磁気の侵入を一層効果的に防止する磁気シールドが得られる。さらに、板状部材を丸めて端部を結合することにより分割体を簡易に製作し、その分割体を突き合わせて筒状体を形成しているので、平板を多面的に組み合わせた従来前者の磁気シールドを製造するのに比して、部品点数及び組立に要する工数が低減される。またさらに、筒状を成す分割体は加工時の真円度を確保し易く、予め焼鈍した分割体を突き合わせて磁気シールドを組み立てているので、問題となるような加工歪みや誤差が生じず、組立後の磁気シールドを焼鈍する必要がない。さらにまた、従来のように部品を重ね合わせる場合には、部品の平面を高精度で加工する必要があったが、本発明では分割体の周端部を突き合わせて筒状体を形成しているので、従来のような平面加工を必要とせず、加工工数が飛躍的に低減される。またさらに、分割体と環状体とを交互に連接して磁気シールドを組み立てるため、分割体を連接してから環状体を密接させる場合に比して、磁気シールドが効率よく且つ容易に組み立てられる。また、分割体同士を重ね合わせないため、従来に比して必要な材料の量が低減される。 【0011】さらに、径の異なる複数の上記磁気シールドを該磁気シールド間に間隙を設けるように配置して多重構造を成す磁気シールドを組み立てる第4の工程を備えると好適である。このようにすれば、磁気遮蔽性を有する筒状の上記磁気シールドを磁気遮蔽性を有する筒状の別の磁気シールドで覆うように離間配置しているため、磁気シールドの外部磁気の遮蔽性能が高められる。 【0012】さらに、上記間隙に非磁性のスペーサー部材を配設する第5の工程を備えるとより好ましい。このように、磁気シールド間の間隙を確実に確保するようにスペーサー部材を配設するため、磁気シールド同士が接触して導通してしまうことが防止され、個々の磁気シールドが独立に磁気遮蔽効果を発現でき、外部磁気の遮蔽性能を一層高めることが可能な磁気シールドが得られる。 【0013】 【発明の実施の形態】以下、添付図を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。 【0014】図1は本発明の磁気シールドに係る好適な一実施形態を示す斜視図である。図1に示すように、磁気シールド100は、それぞれ径の異なる筒状の磁気シールド1,2,3が同芯状に配置されて3重構造を成している。図2は、磁気シールド100の長手軸方向の断面図である。図2に示すように、磁気シールド1においては、複数の筒状の分割体11aが個々の周端部で突き合わされて長尺の筒状体11が形成されており、分割体11aの各々の突き合わせ部の外周面には、環状体11bが密接されて突き合わせ部の継ぎ目が完全に覆われている。環状体11bは、対向する2つの分割体11aに溶接又はリベット締めによって固定されるが、筒状体11の周面に平面度が要求される場合には、スポット溶接によることが特に好ましい。磁気シールド2,3は、分割体11aの代わりに同芯小径の分割体12a,13aを用い、且つ環状体11bの代わりに、上記分割体におけるのと同様の割合で小さい環状体12b,13bを用いて構成される。 【0015】このように構成された磁気シールド1(2,3)においては、構成部材(部品)としての分割体11a(12a,13a)と環状体11b(12b,13b)が略隙間なく連結されているので、外部磁気の浸入が効果的に防止される。また、多数の平板を多面的に組み合わせる従来に比して、部品点数及び組立工数が低減される。さらに、分割体11a(12a,13a)は筒状であるが故に加工するときの真円度を確保し易く、分割体11a(12a,13a)を焼鈍してから突き合わせて組み立てても、磁気シールド1(2,3)として問題となるような加工歪みや誤差が生じないため、組み立て後に焼鈍する必要がない。しかも、従来のように部品平面の高精度加工が必要ないので、従来に比して加工工数が飛躍的に低減される。加えて、分割体11a(12a,13a)を重ね合わせないので、従来に比して必要な材料の量が低減される。 【0016】ここで、分割体11a,12a,13a、及び環状体11b,12b,13bには透磁性を有する材料が用いられ、具体的には、Ni(ニッケル)を30〜80重量%含有するNi−Fe(鉄)系合金、所謂パーマロイ製である。磁気シールド1,2,3の材質としては透磁率が高いほどよく、パーマロイの透磁率は通常数千以上と非常に大きいので、磁気遮蔽性に優れた磁気シールド1,2,3が得られる。 【0017】また、図2に示すように磁気シールド1,2,3間にはそれぞれ間隙が形成されており、磁気シールド100の両端部近傍の間隙に、環状を成す木製のスペーサー部材4,5が配置されている。すなわち、スペーサー部材4,5により磁気シールド1,2,3間の間隙が確実に確保されている。このように構成することにより、磁気シールド1,2,3同士が接触して導通してしまうことが防止されるので、個々の磁気シールド1,2,3が独立に磁気遮蔽効果を発現することができ、外部磁気の遮蔽性能が高められる。また、木製部材は加工性及び衝撃吸収性等に優れているので、磁気シールド100の成形加工性や衝撃吸収性が高められる。 【0018】図3は、本発明の磁気シールドの製造方法に係る好適な一実施形態を示す工程説明図であり、具体的には、上述の磁気シールド100を製造する方法を示すものである。以下、図3に示す工程の流れに沿って本実施形態について説明するが、磁気シールド1,2,3は径が異なる以外は同様の構成であるので、主に磁気シールド1を例にとって説明する。また、スペーサー部材4,5についても、互いに径が異なるのみであるため、主にスペーサー部材4を例にとって説明する。 【0019】図3において、磁気シールド100の製造が開始されると、まずステップSP1(第1の工程)において、図2に示す分割体11a(12a,13a)の製作(ステップSP11)及び環状体11b(12b,13b)の製作(ステップSP12)が行われる。ステップSP11では、パーマロイより成る板状部材を分割体11aの円周長さとなるように切断し(ステップSP111)、この切断した板状部材を曲げ加工により円筒状に丸め(ステップSP112)、対向する両端部を突き合わせ溶接等で結合(ステップSP113)して分割体11aを得る。図2に示すように、分割体11aは4体製作される。これら分割体11aは、両開放端の端面が仕上げ加工されてもよいし、特に仕上げ加工されなくともよい。 【0020】また、ステップSP12では、パーマロイより成るテープ状部材又は板状部材を環状体11bの円周長さとなるように切断し(ステップSP121)、この切断したテープ状部材又は板状部材を曲げ加工により円筒状に丸め(ステップSP122)、対向する両端部を突き合わせ溶接等で結合(ステップSP123)して環状体11bを得る。図2に示すように、環状体11bは3体製作される。このように、分割体11a及び環状体11bは、板状部材等から簡易に得られるので、従来に比して加工工数が一層低減される。 【0021】上記分割体11a及び環状体11bの処理は、ステップSP3へ移行され、加工時に生じた歪み(内部応力)を除去する為に、これら分割体11a及び環状体11bを入れることができる大きさの焼鈍炉を用い、所定の時間及び所定の温度勾配条件下での加熱と冷却による焼鈍が行われる(それぞれステップSP21,SP22)。 【0022】続くステップSP3においては、焼鈍済みの上記分割体11a及び上記環状体11bを用いて磁気シールド1の組み立てが行われる。まず、分割体11aの一つを一つの環状体11bの一方端側から幅の略半分まで挿入し、分割体11aの端部内周面と環状体11bの一方の端部外周面とを密接させる。次に、この分割体11aと環状体11bとの複合体に、環状体11bの他方端側から別の分割体11aを挿入し、先の分割体11aと別の分割体11aとの周端部を突き合わせて両者の端面を接触させる。そして、このような分割体11aと環状体11bとの連接を交互に繰り返して図2に示す筒状体11を形成すると共に、分割体11a同士の突き合わせ部を環状体11bで完全に覆う(ステップ31)。次に、環状体11bと、この環状体11bが外接している2つの分割体11aとをスポット溶接によって固定し(ステップSP32)、磁気シールド1の組み立てが完了する。 【0023】磁気シールド2,3の製造は、ステップSP1において、分割体11a及び環状体11bより小径の分割体12a,13a及び環状体12b,13bを製作し、それらを上記ステップSP2と同様に焼鈍したものを上記ステップSP3で説明した磁気シールド1の場合と同様に組み立てることにより実施されるので、詳細な説明は省略する。 【0024】他方、ステップSP5(第5の工程)においては、木材の切削加工等を行って2体の環状のスペーサー部材4を製作し(ステップSP51)、上記ステップSP3で組み立てた磁気シールド2の両端部側より、これらスペーサー部材4を同芯状に1体ずつ嵌め込んでいき、両端部側に固定されている環状体12b手前の筒状体12外周面に固定することにより装着する(ステップSP52)。また、ステップSP5においては、スペーサー部材4より同芯小径のスペーサー部材5を製作し、上記と同様にして磁気シールド3へ装着する。 【0025】次に、処理はステップSP4へ移行し、上記ステップSP3で組み立てた磁気シールド1と、上記ステップSP5でスペーサー部材4,5が装着された磁気シールド2,3とを用いて磁気シールド100が組み立てられる。ステップSP4では、まず、架台等に支持させた磁気シールド1に磁気シールド2,3を順次挿着し(ステップSP41)、この状態で磁気シールド1,2,3を相互に固定(ステップSP42)して3重構造を成す磁気シールド100を得て製造は終了する。 【0026】上述の如く構成した磁気シールド100及びこの磁気シールド100の製造方法によれば、磁気シールド1(2,3)がパーマロイ製の分割体11a(12a,13a)と同環状体11b(12b,13b)で形成されて外部磁気の浸入が効果的に防止されるので、従来と同等以上の磁気遮蔽性能を得ることができる。そして、磁気シールド100をこのような磁気シールド1,2,3の3重構造とし、磁気シールド1,2,3間の間隙を確実に確保するので、磁気遮蔽性能を向上できる。そして、多数の平板を用いる従来に比して部品点数及び組立工数が低減され、また組立後の磁気シールド1(2,3)を大型の焼鈍炉を用いて焼鈍する必要がなく、さらに部品を重ね合わせる従来のように部品の平面を高精度で加工する必要がないので、加工工数が飛躍的に低減され、且つ分割体を重ね合わせないので、材料の量が低減され、従来に比して安価とすることができる。加えて、環状のスペーサー部材4,5を使用することにより、磁気シールド100に外力等が作用したり衝撃が加わった場合に変形することを防止できる。 【0027】ところで、上記磁気シールド1,2,3,100は、先に述べた通り、被験者の磁気計測を行う磁気計測装置(システム)に供される。図4は、上記磁気シールド100を用いた磁気計測装置の一例を示す構成図である。なお、本図において、磁気シールド100は図2におけるAA断面で示す。図4に示すように、磁気計測装置200においては、移動可能な木製架台6上に、磁気シールド100が載置されている。この磁気シールド100の内部には、木材等から成る非磁性のレール7が敷設され、その上にナイロン等から成る非磁性のキャスタ81を介してベッド8が設置されている。ベッド8も非磁性であり、例えば木製のものが用いられる。このベッド8には、人体50が寝置され、キャスタ81とレール7によってベッド8を磁気シールド100の長手軸方向に移動させることにより、人体50を磁気シールド100内に出し入れすることができる。また、磁気シールド100の内部にはSQUIDを含む磁気センサ9が適宜箇所に複数配置されている(なお、図4には、一つの磁気センサのみを示し、他の磁気センサの図示は省略する。)。磁気センサ9で検出された人体50の微量磁気に基づく電気信号は、この電気信号を処理する為の信号処理手段10へ出力される。信号処理手段10で処理された信号は、図示しない制御解析手段に出力され、この信号に基づいて、人体50の脳磁や心磁が解析され、脳や心臓の疾患の有無や状態が診断される。このような磁気計測装置200においては、磁気シールド100が優れた外部磁気の遮蔽性能を有するため、微量磁気の計測感度が高められる。また、磁気シールド100が従来に比して安価であるので、従来に比して安価な磁気計測装置とすることが可能となる。 【0028】なお、上述の本発明の磁気シールドに係る実施形態及び磁気計測装置の一例においては、磁気シールド1(2,3,100)が筒状を成して両端部が開放されており、被験者の検査を行う際に被験者が開放感を得られるようになっているが、一方端をパーマロイ製の平板等で閉塞してもよい。この場合には、磁気シールド1(2,3,100)の磁気遮蔽性をより高めることができる。また、分割体11a(12a,13a)、環状体11b(12b,13b)、及び上記平板等の材質は、パーマロイに限定されるものではなく、透磁性を有する他の材質で形成されてもよい。このような他の材質としては、電磁純鉄、ケイ素鋼板等が挙げられる。また、磁気シールド100全体を電磁波シールドで囲むか或いは覆ってもよい。このようにすれば、外部からの電磁波の浸入が防止されるので、電磁波、特に電波によって誘起される磁場の発生を防止でき、被験者の磁気計測におけるノイズを低減することが可能となる。上記電磁波シールドとしては、電磁波の遮蔽性を有する公知の部材を用いることができ、具体例としては、アルミニウムや銅等の金属製の円筒(磁気シールド1より径が大きいもの)を磁気シールド1(2,3)と同芯状に配置すると好適であり、軽量化等の観点から、アルミニウム円筒が好ましい。この場合、アルミニウム円筒と磁気シールド1との間には間隙を設けることが望ましく、この間隙を確実に確保する為のスペーサ−部材を配設することが好ましい。また、他の例として、導電性の金属フィルムや導電性を有する細線を縦横に編み込んだメッシュ状のものを磁気シールド1(2,3)の外周面又は内周面に貼付してもよい。このような電磁波シールドとしては、例えばCu(銅)やNi(ニッケル)等で被覆されたプラスチック繊維から成るメッシュ状のものが電磁波の遮蔽性に優れ且つ軽量なので有用である。 【0029】また、上記実施形態において、磁気シールド100は3重構造に限られるものではなく、磁気シールド1,2,3のいずれかひとつだけでもよいし、2重以上の多重構造であれば何重でもよい。さらに、磁気シールド1(2,3)はそれぞれ4個の分割体11a(12a,13a)と3個の環状体11b(12b,13b)で形成されているが、それらの数量は特に限定されるものではない。またさらに、環状体11b(12b,13b)を分割体11a(12a,13a)に外接させているが、内接するようにしてもよい。この場合でも、分割体11a(12a,13a)と環状体11b(12b,13b)とを交互に連接して磁気シールド1(2,3)を組み立てることができる。また、スペーサー部材4,5を環状としているが、間隙に配置できれば形状は特に限定されるものではない。さらに、スペーサー部材4,5を木製としているが、非磁性であればよく、特に限定されるものではない。他の材質としては、例えば、樹脂等のプラスチック材が挙げられる。 【0030】また、上述した本発明の磁気シールドの製造方法に係る実施形態において、図3に示すステップ31では、分割体11a(12a,13a)と環状体11b(12b,13b)とを組み合わせる毎に両者を固定してもよい。さらに、図3に示すステップSP41では、磁気シールド1に磁気シールド2,3を挿着しているが、芯棒等に保持させた磁気シールド3に、磁気シールド2,1を順次嵌めてもよい。 【0031】 【実施例】〈実施例1〉(1)幅400mm、厚さ2mmの板状のパーマロイを、適宜長さに切断して複数の板状部材を得た。これら板状部材を曲げ加工によって丸め、両端部の突き合わせ部を全長溶接し、内径がそれぞれ600mm、700mm、800mmで、幅が400mmの円筒状の分割体を各4体製作した。 (2)次に、幅80mm、厚さ2mmの板状のパーマロイを適宜長さに切断して複数の板状部材を得た。これら板状部材を曲げ加工によって丸め、両端部の突き合わせ部を全長溶接し、内径が上記分割体の外径よりも僅かに大きく、幅80mmの環状体を各3体製作した。 (3)これら分割体と環状体について、材料の加工歪みを取るために、それぞれ焼鈍処理を施した。焼鈍後、これらを用いて図1、図2及び図4に示す磁気シールド1,2,3としての内径600mm、700mm及び800mm並びに長さ1600mmの磁気シールドを製作した。 (4)木材を加工し、図2及び図4に示すスペーサー部材4,5としての内径644mm、外径700mm、幅50mmの環状のスペーサー部材、及び内径744mm、外径800mm、幅50mmの環状のスペーサー部材をそれぞれ製作した。これらスペーサー部材を、上記(3)で製作したそれぞれ内径600mm及び内径700mmの磁気シールドに嵌め、両端部から300mmの位置に固定した。 (5)上記内径800mmの磁気シールドを横置きで架台上に載置し、スペーサー部材が挿着された上記内径700mm及び上記内径600mmの磁気シールドを順次挿入し、相互に固定して図1、図2及び図4に示す磁気シールド100としての3重構造を成す磁気シールドを得た。 【0032】〈磁気遮蔽度の測定〉上記実施例1で製作した3重構造を成す磁気シールドを、図4に示す如く木製架台上に載置し、外部から周波数の異なる標準磁場を印加し、この磁気シールドの断面中心に設置した磁気センサ(フラックスゲート; Applied Physics Systems社製、 Model APS520A)において磁気遮蔽度を測定した。ここで、磁気遮蔽度とは、磁気シールド外部の磁場(外部磁場)の大きさをHe、磁気シールド内部の磁場(内部磁場)の大きさをHiとしたときに、両磁場の大きさの比であるHe/Hiで規定されるものである。図5は、実施例1に係る磁気シールドにおける印加した磁場の周波数に対する磁気遮蔽度の変化を示すグラフである。図5に示すように、この磁気シールドは、良好な磁気遮蔽度の周波数特性を有しており、例えば、印加した磁場の周波数10Hzにおける磁気遮蔽度は約1000であり、生体磁気計測に必要な磁気遮蔽度(目安値の一例として500以上)を十分に達成できることが確認された。 【0033】 【発明の効果】以上説明した通り、本発明によれば、透磁性の筒状の分割体を周端部において突き合わせ、被験者の磁気計測に十分適用できる大きさの磁気遮蔽性を有する筒状体を形成し、且つ、この筒状体の分割体個々の突き合わせ部周面に透磁性の環状体を密接固定させて覆って外部磁気の侵入を効果的に防止するので、従来と同等以上の磁気遮蔽性を有する磁気シールドを得ることが可能である。 【0034】また、筒状の分割体を突き合わせており、平板を多面的に組み合わせた従来に比して部品点数及び組立工数が低減されるため、従来よりも安価な磁気シールドを得ることができる。さらに、筒状の分割体が加工時の真円度を確保し易く、焼鈍済みの分割体を組み立てて磁気シールドを得ても、問題となるような加工歪み等が生じず、組立後の磁気シールドを焼鈍する必要がないので、大型の焼鈍炉が必要なく且つその工数も掛からず、より安価な磁気シールドを得ることが可能となる。しかも、分割体同士を重ね合わせていないため、従来のような平面加工が必要なく、また、必要な材料の量が低減されるので、より一層安価な磁気シールドを得ることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002130 【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年3月5日(1999.3.5) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100088155 【弁理士】 【氏名又は名称】長谷川 芳樹 (外3名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−254108(P2000−254108A) |
| 【公開日】 |
平成12年9月19日(2000.9.19) |
| 【出願番号】 |
特願平11−59069 |
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