| 【発明の名称】 |
蛍光観察装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】林 克巳
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| 【要約】 |
【課題】蛍光観察装置において、高S/Nの蛍光像を再生可能にする。
【解決手段】蛍光2を発する光感受性物質を含んでいる生体の部位1に、該光感受性物質の励起波長領域にある励起光3を照射する励起光照射手段10と、蛍光3を検出して蛍光像を撮像する蛍光像撮像手段14とを備えてなる蛍光観察装置において、変調手段15により励起光3を所定の周期関数に従って強度変調するとともに、解析手段21により、蛍光像撮像手段14が出力する時系列の画像データから、各画素毎に、蛍光強度の周期的変化の振幅に対応した特性値を求める。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 蛍光を発する蛍光物質を含んでいる生体の部位に、該蛍光物質の励起波長領域にある励起光を照射する励起光照射手段と、前記蛍光物質が発する蛍光を検出して生体の蛍光像を撮像する蛍光像撮像手段とを備えてなる蛍光観察装置において、前記撮像手段に入射する蛍光を所定の周期関数に従って強度変調する変調手段と、前記蛍光像撮像手段が出力する時系列の画像データから、各画素毎に、蛍光強度の周期的変化の振幅に対応した特性値を求める解析手段とが設けられたことを特徴とする蛍光観察装置。 【請求項2】 前記変調手段が、前記励起光を変調することによって蛍光を変調するものであることを特徴とする請求項1記載の蛍光観察装置。 【請求項3】 前記励起光照射手段が、一定強度の励起光を発するように構成され、前記変調手段が、前記蛍光の光路に挿入された部分で該蛍光を変調するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の蛍光観察装置。 【請求項4】 前記解析手段が、前記画素毎の時系列の画像データをフーリエ変換し、それにより得られた所定のフーリエ係数を前記特性値として求めるものであることを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の蛍光観察装置。 【請求項5】 前記解析手段が、前記周期関数に基づいて定められた特性に基づいて前記フーリエ変換を行なうものであることを特徴とする請求項4記載の蛍光観察装置。 【請求項6】 前記解析手段が、前記画像データの周期的変化を示す回帰曲線を求め、この回帰曲線の振幅に対応する値を前記特性値として求めるものであることを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の蛍光観察装置。 【請求項7】 前記解析手段が、最小2乗法によって回帰曲線を求めるものであることを特徴とする請求項6記載の蛍光観察装置。 【請求項8】 前記画像データを、生体の同一位置についてのデータは同一のアドレスに格納してそれぞれ記憶する複数のフレームメモリが設けられ、前記解析手段が、これらのフレームメモリから読み出された画像データを基に、共通のアドレスに格納されていた画像データ毎に前記特性値を求めるように構成されていることを特徴とする請求項1から7いずれか1項記載の蛍光観察装置。 【請求項9】 前記変調手段が、前記撮像手段に入射する蛍光を連続的に強度変調するものであることを特徴とする請求項1から8いずれか1項記載の蛍光観察装置。 【請求項10】 前記変調手段が、前記撮像手段に入射する蛍光を間歇的に強度変調するものであることを特徴とする請求項1から8いずれか1項記載の蛍光観察装置。 【請求項11】 前記変調手段が、前記撮像手段に入射する蛍光を正弦波状に強度変調するものであることを特徴とする請求項1から10いずれか1項記載の蛍光観察装置。 【請求項12】 前記変調手段が、前記撮像手段に入射する蛍光を鋸波状に強度変調するものであることを特徴とする請求項1から10いずれか1項記載の蛍光観察装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、蛍光を発する物質を含んでいる生体に励起光を照射し、そのとき該蛍光物質から発せられる蛍光による画像を撮像して、生体の診断等に供する蛍光観察装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来より、PDD(Photodynamic Diagnosis)と称される蛍光診断についての研究が種々なされている。このPDDとは、腫瘍親和性を有し、光により励起されたとき蛍光を発する光感受性物質(ATX-S10、5-ALA、HAT-D01等)を予め生体の腫瘍部分に吸収・結合させておき、その部分に光感受性物質の励起波長領域にある励起光を照射して蛍光を生じさせ、この蛍光による画像を表示して病変部の局在、浸潤部分を診断するとともに、その見落としを防止する技術である。 【0003】またこの蛍光診断の別の形態として、生体由来の蛍光物質に着目し、その蛍光物質に励起光を照射して蛍光(いわゆる自家蛍光)を生じさせ、同様の診断に応用する技術も知られている。その場合は、腫瘍組織の自家蛍光スペクトルと正常組織の自家蛍光スペクトルとが異なることを利用して、腫瘍部の検出等がなされる。 【0004】例えば特公昭63−9464号、特開平1−136630号、特開平7−59783号には、この蛍光診断を行なうための蛍光観察装置が開示されている。この種の蛍光観察装置は基本的に、蛍光物質の励起波長領域にある励起光を生体に対して照射する励起光照射手段と、蛍光物質が発する蛍光を検出して生体の蛍光像を撮像する手段と、この撮像手段の出力を受けて上記蛍光像を表示する画像表示手段とからなるものであり、多くの場合、体腔内部に挿入される内視鏡や、コルポスコープや、手術顕微鏡等に組み込まれた形に構成される。 【0005】ところで、上述のような蛍光観察装置においては、蛍光像すなわち蛍光物質が発する蛍光による画像を撮像するために、CCD等の撮像素子が広く使用されている。CCDは冷却して暗電流を低減できるので、これを用いれば、微弱蛍光による画像も撮像可能になる。このCCDにおいて、読み出しに伴う雑音のうち固体撮像素子に特有のスイッチング雑音は相関二重サンプリング法によって大幅に低減できるので、読み出しに伴う主な雑音はアンプ雑音となる。そこで従来は、低速走査して帯域幅を狭くすることにより、読み出しに伴う雑音を低減して画像信号のS/N向上を図っていた。 【0006】また蛍光像撮像のために、II(イメージ・インテンシファィア)−CCDの使用も考えられている。このII−CCDは、CCDに入射するフォトンを増倍する機能を有しているので、これを用いれば、いわゆるリアル・タイムで蛍光像を撮像することも可能になる。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】しかし、蛍光診断における撮像対象は極めて微弱な蛍光による像であるため、上記冷却型CCD、II−CCDのいずれを用いる場合でも、背景光やノイズ等の外乱要因によって蛍光像のS/Nが低下するという問題が認められている。 【0008】本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、背景光やノイズ等の外乱の影響を排除して、高S/Nの蛍光像を撮像可能な蛍光観察装置を提供することを目的とする。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明による蛍光観察装置は、蛍光を発する蛍光物質を含んでいる生体の部位に、該蛍光物質の励起波長領域にある励起光を照射する励起光照射手段と、前記蛍光物質が発する蛍光を検出して生体の蛍光像を撮像する蛍光像撮像手段とを備えてなる蛍光観察装置において、前記撮像手段に入射する蛍光を所定の周期関数に従って強度変調する変調手段と、前記蛍光像撮像手段が出力する時系列の画像データから、各画素毎に、蛍光強度の周期的変化の振幅に対応した特性値を求める解析手段とが設けられたことを特徴とするものである。 【0010】なお上記の変調手段は、例えば、励起光を変調することによって蛍光を変調するように構成することができる。 【0011】あるいは、励起光照射手段が一定強度の励起光を発するように構成された場合は、この変調手段を、蛍光の光路に挿入された部分で該蛍光を変調するように構成すればよい。 【0012】なお上記特性値は、蛍光強度の周期的変化の振幅そのものであってもよいことは勿論である。 【0013】より具体的に、上記の解析手段としては、前記画素毎の時系列の画像データをフーリエ変換し、それにより得られた所定のフーリエ係数を前記特性値として求める手段が用いられる。 【0014】あるいは、この解析手段として、前記画像データの周期的変化を示す回帰曲線を例えば最小2乗法によって求め、この回帰曲線の振幅に対応する値を前記特性値として求める手段等も適用可能である。 【0015】なお当然ながら、本発明において上述のように回帰曲線を求めるということは、曲線の具体的な形状を求めることのみを指すものではなく、回帰曲線を示す式の係数を求めることも含むものである。 【0016】また、本発明による蛍光観察装置において、好ましくは、前記画像データを、生体の同一位置についてのデータは同一のアドレスに格納してそれぞれ記憶する複数のフレームメモリが設けられ、前記解析手段が、これらのフレームメモリから読み出された画像データを基に、共通のアドレスに格納されていた画像データ毎に前記特性値を求めるように構成される。 【0017】一方、上記変調手段は、撮像手段に入射する蛍光を連続的に強度変調するものであっても、あるいは、間歇的に強度変調するものであってもよい。またこの変調手段としてより具体的には、撮像手段に入射する蛍光を例えば正弦波状に強度変調するもの、あるいは鋸波状に強度変調するもの等が好適に用いられる。 【0018】 【発明の効果】本発明の蛍光観察装置において、励起光を所定の周期関数に従って強度変調する場合、蛍光物質が発する蛍光はこの周期関数に対応して規則正しく強度変調される。本来は、生体に対して一様に一定強度の励起光が照射されたとき、生体各位置毎の蛍光強度に基づいて蛍光像が形成されるが、上述のようにして蛍光が強度変調される場合は、その振幅が、一定強度の励起光が照射された際の蛍光強度そのものに対応することになる。 【0019】蛍光像撮像手段が出力する画像データは、通常、前述した背景光やノイズ等の外乱の影響を受けたものとなる。しかし、画像データがそのようになっていても、そこから蛍光強度の周期的変化の振幅に対応した特性値を求めれば、この特性値に基づいて蛍光の振幅、つまり上記外乱の影響を除いた蛍光強度そのものが検出され得る。それにより、本発明によれば、高S/Nの蛍光像を再生可能となる。 【0020】他方、蛍光の光路に挿入した部分で該蛍光を強度変調する構成とした場合も、蛍光振幅は、ランダムな外乱要因の影響を除いて、蛍光強度そのものに対応することになる。よってこの場合も、高S/Nの蛍光像を再生可能となる。 【0021】 【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。 【0022】図1は、本発明の第1の実施形態による蛍光観察装置の概略形状を示すものである。この実施形態の装置は、励起光3を発する励起光源10と、それを駆動する励起光電源11と、後述のようにして生体組織1から発せられた蛍光2を集光する集光レンズ12と、その前方に配された励起光カットフィルタ13と、集光された蛍光2を受光する例えば高感度CCDからなる高感度撮像素子14とを有している。 【0023】またこの蛍光観察装置は、コンピュータ15と、高感度撮像素子14を駆動する撮像素子ドライバ16と、高感度撮像素子14の出力を受けるローパスフィルタ17と、このローパスフィルタ17の出力を受けるA/D変換器18と、このA/D変換器18が出力するデジタル画像データを振り分けるマルチプレクサ19と、このマルチプレクサ19によって振り分けられた画像データを1画像分ずつ記憶する複数(一例として8個)のフレームメモリM0、M1、M2……M6、M7と、これらのフレームメモリM0〜M7がそれぞれ出力する画像データを受ける演算回路21と、この演算回路21が出力する画像データを受けるフレームメモリ22と、このフレームメモリ22が出力する画像データに基づいて画像を表示するCRT表示装置等からなるディスプレイ23とを有している。 【0024】なお上記励起光電源11、撮像素子ドライバ16、A/D変換器18、マルチプレクサ19、フレームメモリM0〜M7、演算回路21およびフレームメモリ22の動作は、コンピュータ15によって制御される。 【0025】以下、この蛍光観察装置の作用について説明する。生体組織1には、腫瘍親和性を有し、光により励起されたとき蛍光を発する光感受性物質が予め吸収されている。この生体組織1に、励起光源10から発せられた励起光3が照射されると、この励起光3によって励起された光感受性物質から蛍光2が発せられる。なお後に詳述するが、励起光電源11には変調手段を構成するコンピュータ15から変調信号Smが入力され、蛍光2が強度変調される。 【0026】集光レンズ12は、この蛍光2による生体組織1の蛍光像を高感度撮像素子14の撮像面上に結像させ、この蛍光像が高感度撮像素子14によって撮像される。なお、生体組織1で反射して集光レンズ12に向かう励起光3は、励起光カットフィルタ13によってカットされる。 【0027】高感度撮像素子14が出力する時系列の画像データは、ローパスフィルタ17によって不要な高周波成分がカットされた後、A/D変換器18によってデジタル化される。デジタル化された画像データDは、マルチプレクサ19によって1枚の画像分のデータ毎に振り分けられて、各々フレームメモリM0、M1、M2……M6、M7に順次記憶される。なお、フレームメモリM0、M1、M2……M6、M7に記憶された画像データを、それぞれD0、D1、D2……D6、D7と表記する。 【0028】フレームメモリM0、M1、M2……M6、M7からそれぞれ読み出された画像データD0、D1、D2……D6、D7は演算回路21に入力され、この演算回路21においてそれらの画像データから、1枚の画像分の画像データD’が形成される。この画像データD’はディスプレイ23に入力され、そこでこの画像データD’に基づいて生体組織1の蛍光像が再生表示される。 【0029】次に図2および3を参照して、上記画像データD’を形成するまでのデータ処理について説明する。図2の(1)は励起光3の強度変調状態を示し、同図(2)は生体組織1のある一点における蛍光2の強度変化例を示している。本例において励起光3の強度Ieは、時間tを変数とする正弦波Ie(t)=Ao・sin(ωt)+Ao を呈するように変調される。なおAo は定数であり、正弦波周期T=2π/ω=160ms(ミリ秒)に設定されている。 【0030】励起光3がこのように強度変調されていると、その励起によって生じる蛍光2の強度も、図2(2)のように概略正弦波状に変化する。高感度撮像素子14はこの蛍光2による生体組織1の蛍光像を、一定間隔τ=20msで、つまり上記正弦波周期T内に8回撮像する。図2(2)に示すt0、t1、t2……t6、t7は、この撮像の時点を示しており、それらの各時点におけるドットが、測定された蛍光強度を示している。 【0031】上記の時点t0、t1、t2……t6、t7で撮像された蛍光像を示すデジタル画像データが、前述のようにそれぞれD0、D1、D2……D6、D7としてフレームメモリM0、M1、M2……M6、M7に記憶される。なお画像データD0、D1、D2……D6、D7は純粋に蛍光強度のみを示すものではなく、先に述べた背景光やノイズ等の外乱要因が蛍光検出成分に重畳したものとなっている。 【0032】ここで、生体組織1の同一位置についてのデータは、互いにフレームメモリM0、M1、M2……M6、M7の同一アドレスに格納される。図3はこのことを概略的に示している。つまり、同図中では、フレームメモリM0、M1、M2……M6、M7の各マス目の位置がアドレスに対応しているものとするが、例えば、図中黒く塗りつぶしてある互いに等しいアドレスに、生体組織1の同一位置についてのデータが格納される。 【0033】ここで画像データD(蛍光検出信号)は、一般に下記のフーリエ級数Is(t)で表現される。 【0034】Is(t)=a0 /2+a1・cos(ωt)+a2・cos(2ωt)+……+b1・sin(ωt)+b2・sin(2ωt)+……なおa0 /2は、蛍光強度のDC成分と、背景光・ノイズ等のDC成分の寄与を示す。また、a1・cos(ωt)+a2・cos(2ωt)+……+b2・sin(2ωt)+a1・cos(ωt)は、蛍光検出信号に混入するノイズ成分を示す。またb1・sin(ωt)は、強度変調された励起光3によって誘起される蛍光強度を示す。したがって、b1・sin(ωt)を求めることにより、蛍光検出信号を狭帯域フィルタに通した状態を得て、各種外乱ノイズ成分を除去できることになる。 【0035】そこで演算回路21において、フレームメモリM0、M1、M2……M6、M7に記憶されている画像データD0、D1、D2……D6、D7から、生体組織1の同一位置についてのデータ毎に(つまり、同一アドレスに格納されていた画像データ毎に)、フーリエ級数b1が求められる。 【0036】一般にフーリエ級数b1 は、b1 =1/T・∫Is(t)・exp(−jωt)dtにより求められることが知られており、離散的データに対しては下記の式b1 =(1/Nτ)・ΣIs(k)・sin(−2πk/Nτ)を適用する。ここでNはサンプリング総数、kはサンプリングポイントを示し、Σはk=0〜7の範囲で実行する。 【0037】以上のようにして、蛍光強度の周期的変化の振幅と対応する特性値であるフーリエ級数b1 が各画素毎に求められ、それらの値は蛍光像を示す画像データD’としてフレームメモリ22に一旦記憶される。そして、このフレームメモリ22から所定タイミングで読み出された画像データD’に基づいて、生体組織1の蛍光像がディスプレイ23に再生表示される。こうして表示される蛍光像は、前述したように背景光やノイズ等の外乱の影響を除いて、高S/Nのものとなる。 【0038】次に図4を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態の装置は、基本的な構成は第1実施形態と同様であって、励起光源10の駆動の仕方が異なるものである。図4の(1)は励起光3の強度変調状態を示し、同図(2)は生体組織1のある一点における蛍光2の強度変化例を示している。 【0039】すなわち本実施形態では、変調励起光3のDCバイアスを大きく設定するために、励起光3をその強度Ieが正弦波Ie(t)=Ao・sin(ωt)+Boを呈するように変調する。ここで、Ao <Bo である。 【0040】このように励起光3を変調すれば、第1実施形態の場合よりも励起光強度は全体的に高くなるので、微弱な生体蛍光を検出して画像化する上で、より有利となる。 【0041】次に図5を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。この第3実施形態の装置も、基本的な装置構成は第1実施形態と同様であって、励起光源10の駆動の仕方が異なるものである。図5の(1)は励起光3の強度変調状態を示し、同図(2)は生体組織1のある一点における蛍光2の強度変化例を示している。 【0042】すなわち本実施形態では、励起光3をパルス状に発するように励起光源10を間歇駆動し、励起光3が発せられているときのみ高感度撮像素子14を撮影動作させる。 【0043】このように励起光源10をパルス駆動させると、励起光3は余弦波形を呈するように出力される。この場合は、第1実施形態と比べると、高感度撮像素子14の露光中に蛍光強度変化が生じないので、測定精度が向上する。 【0044】次に図6を参照して、本発明の第4実施形態について説明する。なおこの図6において、図1中の要素と同等の要素には同番号を付してあり、それらについての説明は特に必要の無い限り省略する(以下、同様)。 【0045】この図6の装置は、ファイバスコープ内視鏡として構成されたものであり、励起光源10から発せられた励起光3を集光するリレーレンズ30と、集光された励起光3を導く光ファィバからなるライトガイド31とを有している。このライトガイド31は、生体の内部に挿入される可撓性のプローブ32内に収められている。 【0046】このプローブ32内にはさらに、ライトガイド31の先端から出射した励起光3を拡散させる拡散レンズ33、励起光3の照射を受けて生体組織1内の光感受性物質から発せられた蛍光2を集光する集光レンズ34および、集光された蛍光2を伝搬させるイメージファイバ35が収められている。 【0047】そして、イメージファイバ35から出射した蛍光2は、励起光カットフィルタ13を通過してから集光レンズ12によって集光される。このようにして、蛍光2による画像が高感度撮像素子14の撮像面に結像され、この蛍光像が高感度撮像素子14によって撮像される。 【0048】本実施形態において、励起光3の変調および、高感度撮像素子14が出力する画像データの処理は第1実施形態と同様にしてなされ、それにより、高S/Nの蛍光像を再生可能となっている。 【0049】次に、本発明の第5実施形態について説明する。図7は、本発明の第5の実施形態による蛍光観察装置の概略形状を示すものである。この実施形態の装置は、図1の装置と比較すると、マルチプレクサ19によって振り分けられた画像データDを1画像分ずつ記憶するフレームメモリがM0、M1、M2……M7、M8と、1個多く9個設けられている点が異なる。また、励起光3の変調の仕方および、コンピュータ15により制御されて演算回路21が行なう演算処理も、図1の装置におけるものとは異なる。その他の構成は、基本的に図1の装置におけるのと同じである。 【0050】以下、この蛍光観察装置の作用について説明する。生体組織1には、腫瘍親和性を有し、光により励起されたとき蛍光を発する光感受性物質が予め吸収されている。この生体組織1に、励起光源10から発せられた励起光3が照射されると、この励起光3によって励起された光感受性物質から蛍光2が発せられる。なお後に詳述するが、励起光電源11には変調手段を構成するコンピュータ15から変調信号Smが入力され、蛍光2は強度変調される。 【0051】集光レンズ12は、この蛍光2による生体組織1の蛍光像を高感度撮像素子14の撮像面上に結像させ、この蛍光像が高感度撮像素子14によって撮像される。なお、生体組織1で反射して集光レンズ12に向かう励起光3は、励起光カットフィルタ13によってカットされる。 【0052】高感度撮像素子14が出力する時系列の画像データは、ローパスフィルタ17によって不要な高周波成分がカットされた後、A/D変換器18によってデジタル化される。デジタル化された画像データDは、マルチプレクサ19によって1枚の画像分のデータ毎に振り分けられて、各々フレームメモリM0、M1、M2……M7、M8に順次記憶される。なお、フレームメモリM0、M1、M2……M7、M8に記憶された画像データを、それぞれD0、D1、D2……D7、D8と表記する。 【0053】フレームメモリM0、M1、M2……M7、M8からそれぞれ読み出された画像データD0、D1、D2……D7、D8は演算回路21に入力され、この演算回路21においてそれらの画像データから、1枚の画像分の画像データD’が形成される。この画像データD’はディスプレイ23に入力され、そこでこの画像データD’に基づいて生体組織1の蛍光像が再生表示される。 【0054】次に図8および9を参照して、上記画像データD’を形成するまでのデータ処理について説明する。図8の(1)は励起光3の強度変調状態を示し、同図(2)は生体組織1のある一点における蛍光2の強度変化例を示している。本例において励起光3の強度Ieは、時間tを変数とする正弦波Ie(t)=a・sin(t)+bを呈するように変調される。なおa、bは定数であり、正弦波周期T=160ms(ミリ秒)に設定されている。 【0055】励起光3がこのように強度変調されていると、その励起によって生じる蛍光2の強度も、図8(2)のように概略正弦波状に変化する。この蛍光強度Iの波形は理論的には、tを時間、a’およびb’を定数として、I(t)=a’・sin(t)+b’となる。高感度撮像素子14はこの蛍光2による生体組織1の蛍光像を、一定間隔τ=20msで撮像する。図8(2)に示すt0、t1、t2……t7、t8は、この撮像の時点を示しており、それらの各時点におけるドットが、測定された蛍光強度を示している。 【0056】上記の時点t0、t1、t2……t7、t8で撮像された蛍光像を示すデジタル画像データが、前述のようにそれぞれD0、D1、D2……D7、D8としてフレームメモリM0、M1、M2……M7、M8に記憶される。なお画像データD0、D1、D2……D7、D8は純粋に蛍光強度のみを示すものではなく、先に述べた背景光やノイズ等の外乱要因が蛍光検出成分に重畳したものとなっている。以下、これらの画像データD0〜D8が示す、時系列ti(i=0〜8)に対応する蛍光強度実測値をIti(i=0〜8)と示す。 【0057】また、生体組織1の同一位置についてのデータは、互いにフレームメモリM0、M1、M2……M7、M8の同一アドレスに格納される。図9はこのことを概略的に示している。つまり、ここでは、フレームメモリM0、M1、M2……M7、M8の各マス目の位置がアドレスに対応しているものとするが、例えば、図中黒く塗りつぶしてある互いに等しいアドレスに、生体組織1の同一位置についてのデータが格納される。 【0058】蛍光強度実測値Itiは、上述のように外乱要因を含んでいるため、理論曲線I(t)=a’・sin(t)+b’に対してランダムにばらつく。しかし、ランダムノイズを含むデータからは、例えば最小2乗法により精度良く回帰曲線が求められることが知られている。本実施形態においては、下記の式e=Σ[Iti−{a・sin(ti)+b}]2を最小化するaおよびbを求めることで回帰曲線が求められる。 【0059】aおよびbは、∂e/∂a=0∂e/∂b=0より、a=ΣIti/Σsin(ti)b={1/Σsin(ti)}・Σ[Iti・sin(ti)-{ΣIti/sin(t)}・sin2(t)]で求められる。 【0060】そこで演算回路21において、フレームメモリM0、M1、M2……M7、M8に記憶されている画像データD0、D1、D2……D7、D8から、生体組織1の同一位置についてのデータ毎に(つまり、同一アドレスに格納されていた画像データ毎に)、上記係数aおよびbが求められる。ここで係数aは、観察位置毎すなわち画素毎の蛍光強度の相対値を示しており、その値は蛍光像を示す画像データD’としてフレームメモリ22に一旦記憶される。 【0061】そして、このフレームメモリ22から所定タイミングで読み出された画像データD’に基づいて、生体組織1の蛍光像がディスプレイ23に再生表示される。こうして表示される蛍光像は、前述したように背景光やノイズ等の外乱の影響を除いて、高S/Nのものとなる。 【0062】なお、以上のように回帰曲線に基づいて蛍光強度を求める場合でも、前述した第3実施形態のように励起光源10をパルス駆動させてもよいのは勿論であり、その場合も、高感度撮像素子14の露光中に蛍光強度変化が生じないことから、測定精度が向上する。 【0063】次に図10を参照して、本発明の第6実施形態について説明する。この第6実施形態の装置は、図7の第5実施形態と比べると、マルチプレクサ19によって振り分けられた画像データDを1画像分ずつ記憶するフレームメモリがM0、M1、M2と、3個だけ設けられている点が異なる。また、励起光3の変調の仕方および、コンピュータ15により制御されて演算回路21が行なう演算処理も、図7の装置におけるものとは異なる。その他の構成は、基本的に図7の装置におけるのと同じである。 【0064】以下、この蛍光観察装置の作用について説明する。本装置において、A/D変換器18によってデジタル化された画像データDは、マルチプレクサ19によって1枚の画像分のデータ毎に振り分けられて、各々フレームメモリM0、M1、M2に順次記憶される。なお、フレームメモリM0、M1、M2に記憶された画像データを、それぞれD0、D1、D2と表記する。 【0065】フレームメモリM0、M1、M2からそれぞれ読み出された画像データD0、D1、D2は演算回路21に入力され、この演算回路21においてそれらの画像データから、1枚の画像分の画像データD’が形成される。この画像データD’はディスプレイ23に入力され、そこでこの画像データD’に基づいて生体組織1の蛍光像が再生表示される。 【0066】次に図11を参照して、上記画像データD’を形成するまでのデータ処理について説明する。図11の(1)は励起光3の強度変調状態を示し、同図(2)は生体組織1のある一点における蛍光2の強度変化例を示している。本例において励起光3の強度Ieは、時間tを変数とする鋸波Ie(t)=a・t+bを呈するように変調される。なおa、bは定数であり、鋸波周期T=90ms(ミリ秒)に設定されている。 【0067】励起光3がこのように強度変調されると、その励起によって生じる蛍光2の強度も、図11(2)のように概略鋸波状に変化する。この蛍光強度Iの波形は理論的には、tを時間、a’およびb’を定数として、I(t)=a’・t+b’となる。高感度撮像素子14はこの蛍光2による生体組織1の蛍光像を、一定間隔τ=30msで撮像する。図11(2)に示すt0、t1、t2は、この撮像の時点を示しており、それらの各時点におけるドットが、測定された蛍光強度を示している。 【0068】上記の時点t0、t1、t2で撮像された蛍光像を示すデジタル画像データが、前述のようにそれぞれD0、D1、D2としてフレームメモリM0、M1、M2に記憶される。なお画像データD0、D1、D2は純粋に蛍光強度のみを示すものではなく、先に述べた背景光やノイズ等の外乱要因が蛍光検出成分に重畳したものとなっている。以下、これらの画像データD0〜D2が示す、時系列ti(i=0〜2)に対応する蛍光強度実測値をIti(i=0〜2)と示す。 【0069】また、生体組織1の同一位置についてのデータは、互いにフレームメモリM0、M1、M2の同一アドレスに格納される。 【0070】蛍光強度実測値Itiは、上述のように外乱要因を含んでいるため、理論曲線I(t)=a’・t+b’に対してランダムにばらつく。しかしこの場合も、例えば最小2乗法により精度良く回帰曲線が求められる。本実施形態においては、下記の式e=Σ{Iti−(a・t+b)}2を最小化するaおよびbを求めることで回帰曲線が求められる。 【0071】aおよびbは、∂e/∂a=0∂e/∂b=0より、a={n・Σ(ti・Iti)-Σti・ΣIti}/{n・Σti2-(Σti)2}b={ΣIti・Σti2-Σti・Σ(ti・Iti)}/{n・Σti2-(Σti)2}で求められる。 【0072】そこで演算回路21において、フレームメモリM0、M1、M2に記憶されている画像データD0、D1、D2から、生体組織1の同一位置についてのデータ毎に(つまり、同一アドレスに格納されていた画像データ毎に)、上記係数aおよびbが求められる。ここで係数aは、観察位置毎すなわち画素毎の蛍光強度の相対値を示しており、その値は蛍光像を示す画像データD’としてフレームメモリ22に一旦記憶される。 【0073】そして、このフレームメモリ22から所定タイミングで読み出された画像データD’に基づいて、生体組織1の蛍光像がディスプレイ23に再生表示される。こうして表示される蛍光像は、前述したように背景光やノイズ等の外乱の影響を除いて、高S/Nのものとなる。 【0074】次に図12を参照して、本発明の第7実施形態について説明する。この第7実施形態の装置は、基本的な構成は第6実施形態と同様であって、励起光源10の駆動の仕方が異なるものである。図12の(1)は励起光3の強度変調状態を示し、同図(2)は生体組織1のある一点における蛍光2の強度変化例を示している。 【0075】すなわち本実施形態では、励起光3をパルス状に発するように励起光源10を間歇駆動し、励起光3が発せられているときのみ高感度撮像素子14を撮像動作させる。 【0076】このように励起光源10をパルス駆動させると、蛍光2の強度も鋸波形を呈するようになる。この場合は、第6実施形態と比べると、高感度撮像素子14の露光中に蛍光強度変化が生じないので、測定精度が向上する。 【0077】次に図13を参照して、本発明の第8実施形態について説明する。この第8実施形態の装置は、図6に示した第4実施形態装置と同様にファイバスコープ内視鏡として構成されたものである。そしてこの場合、図10の第6実施形態と同様にして励起光3が変調されるとともに、回帰曲線に基づいて画素毎の蛍光強度が求められる。 【0078】次に図14〜16を参照して、本発明の第9実施形態について説明する。図14は、この第9実施形態装置の概略形状を示している。図示されるようにこの装置は、図13の第8実施形態と比較すると、集光レンズ12と高感度撮像素子14との間に回転フィルタ50が設けられている点が異なるものである。 【0079】図15は上記回転フィルタ50を詳しく示すものである。そこに示されるように回転フィルタ50は、透過率100%の透明板50aと、透過率80%のNDフィルタ50bと、透過率60%のNDフィルタ50cとから構成されている。そしてこの回転フィルタ50は駆動手段51によって間歇的に回転され、高感度撮像素子14に入射する蛍光2の光路に上記透明板50a、NDフィルタ50b、NDフィルタ50cのいずれかが順次挿入されるようになっている。また励起光源10は、回転フィルタ50の間歇回転と同期させて、一定強度の励起光3をパルス状に発するように駆動される。 【0080】上述のように回転フィルタ50を間歇回転させると、高感度撮像素子14に入射する蛍光2が強度変調される。図16(1)は励起光3の強度を示し、また同図(2)は蛍光2の強度変化例を示している。図示の通りこの場合も、高感度撮像素子14によって検出される蛍光強度は、図11に示した第6実施形態の場合と同じような特性で変化する。 【0081】なお、以上の説明から分かるように、第6実施形態の場合は生体組織1から発せられる蛍光2そのものが変調されるのに対し、この第8実施形態の場合、生体組織1から発せられる蛍光2そのものは変調されないという相違がある。 【0082】しかしこの第8実施形態の場合も、第6実施形態と同様に例えば最小2乗法によって回帰曲線の係数aおよびbを求め、画素毎の蛍光強度の相対値を示している係数aを画像データD’として画像再生することにより、高S/Nの蛍光像が再生されるようになる。 【0083】以上のように高感度撮像素子14に入射する蛍光2を変調させる場合、蛍光2に連続的に混入して検出される背景光等の影響は除去できないが、ランダムな外乱要因の影響を除去することができる。 【0084】なお、内視鏡の先端部に撮像素子を組み込んでなるいわゆる電子内視鏡が従来から知られているが、本発明は、その種の電子内視鏡に適用することも勿論可能である。 【0085】また、本発明による蛍光観察装置は、光感受性物質を用いる蛍光診断のみならず、生体内在性の蛍光物質に着目した蛍光診断にも使用可能であることは、言うまでもない。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005201 【氏名又は名称】富士写真フイルム株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年1月25日(1999.1.25) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100073184 【弁理士】 【氏名又は名称】柳田 征史 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−210246(P2000−210246A) |
| 【公開日】 |
平成12年8月2日(2000.8.2) |
| 【出願番号】 |
特願平11−15978 |
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