| 【発明の名称】 |
分割形先端電極カテ―テルおよび信号処理RF焼灼システム |
| 【発明者】 |
【氏名】ウィルトン・ダブリュ・ウェブスター・ジュニア
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| 【要約】 |
【課題】分割形先端電極カテーテルを備える信号処理RF焼灼システムを提供する。
【解決手段】カテーテル10は、基端部および先端部12とこれらを貫通する内孔部を有する細長いカテーテル本体部11と、カテーテル本体部の先端部2に配置され、基端部と先端部を有する柔軟チューブの部分とこれを貫通する内孔部を有するカテーテル先端部分とで構成されている。この柔軟チューブの基端部はカテーテル本体部の先端部に固定され、カテーテル先端部分は分割形の先端電極20によって構成されている。分割形の先端電極は柔軟チューブの先端部に固定される2個の電気的に絶縁された電極部材によって構成され、各電極部材は一対の内部平坦面部および外部接触面部を有し、内部平坦面部は他の電極部材における内部平坦面部に対して電気的に絶縁した状態で近接している。さらに、システムは、患者の外部に取り付け可能な基準電極5を有している。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 心筋層に接触している分割形先端電極における電極部材を特定するためのシステムにおいて、分割形先端電極カテーテルから成り、当該カテーテルが、基端部および先端部とこれらを貫通する少なくとも1個の内孔部を有する細長いカテーテル本体部と、前記カテーテル本体部の先端部に位置し、基端部と先端部を有する柔軟チューブの部分とこれを貫通する少なくとも1個の内孔部を有するカテーテル先端部分とによって構成されており、当該柔軟チューブの基端部がカテーテル本体部の先端部に固定されていて、カテーテル先端部分がさらに分割形先端電極によって構成されており、当該分割形先端電極が柔軟チューブの先端部に固定される少なくとも2個の電気的に絶縁された電極部材によって構成されており、各電極部材が一対の内部平坦面部および外部接触面部を有しており、さらに、各内部平坦面部が他の電極部材における内部平坦面部に対して電気的に絶縁した状態で近接しており、さらに、患者の外部に取り付け可能な少なくとも1個の基準電極と、前記分割形先端電極における各電極部材に低レベルRFインピーダンス電流を供給するための低レベルRFインピーダンス電流発生装置と、前記分割形先端電極における各電極部材と前記少なくとも1個の基準電極との間のインピーダンスを指示する電気的信号を受信するためのプログラム可能な信号処理装置とから成り、当該信号処理装置が、電極部材が心筋層に接触している時に受信する最高のインピーダンス信号を伴う電極部材を特定するようにプログラムされていることを特徴とするシステム。 【請求項2】 組織を焼灼して当該組織の最高の表面下温度を推定するためのシステムにおいて、分割形先端電極カテーテルから成り、当該カテーテルが、基端部および先端部とこれらを貫通する少なくとも1個の内孔部を有する細長いカテーテル本体部と、前記カテーテル本体部の先端部に位置し、基端部と先端部を有する柔軟チューブの部分とこれを貫通する少なくとも1個の内孔部を有するカテーテル先端部分とによって構成されており、当該柔軟チューブの基端部がカテーテル本体部の先端部に固定されていて、カテーテル先端部分がさらに分割形先端電極によって構成されており、当該分割形先端電極が柔軟チューブの先端部に固定される少なくとも2個の電気的に絶縁された電極部材によって構成されており、各電極部材が少なくとも1個の灌注通路と一対の内部平坦面部および外部接触面部を有しており、さらに、各電極部材における各内部平坦面部が他の電極部材における内部平坦面部に対して電気的に絶縁した状態で近接しており、さらに、患者の外部に取り付け可能な少なくとも1個の基準電極と、前記分割形先端電極における各電極部材に低レベルRFインピーダンス電流を供給するための低レベルRFインピーダンス電流発生装置と、前記分割形先端電極における各電極部材にRF焼灼電流を供給するためのRF焼灼電流発生装置と、前記分割形先端電極における各電極部材を前記低レベルRFインピーダンス電流発生装置および前記RF焼灼電流発生装置に電気的に接続するための1個以上の接続手段と、RF焼灼電流の供給中に各電極部材と少なくとも1個の不間電極との間のインピーダンスを指示する電気的な信号を受け取って、当該インピーダンスを指示する信号を他の受信信号から分離するための受信手段と、前記RFインピーダンス電流発生装置、前記RF焼灼電流発生装置、前記分割形先端電極における各電極部材、前記少なくとも1個の不間電極および前記受信手段に電気的に接続するプログラム可能な信号処理装置とから成り、当該信号処理装置が、RFインピーダンス電流発生装置とRF焼灼電流発生装置を同時に作動してRFインピーダンス電流を供給すると共に、受信した電気的なインピーダンス指示信号に基いて最高の表面下温度を推定するようにプログラムされていることを特徴とするシステム。 【請求項3】 組織を焼灼して当該組織の最高の表面下温度を推定するためのシステムにおいて、分割形先端電極カテーテルから成り、当該カテーテルが、基端部および先端部とこれらを貫通する少なくとも1個の内孔部を有する細長いカテーテル本体部と、前記カテーテル本体部の先端部に位置し、基端部と先端部を有する柔軟チューブの部分とこれを貫通する少なくとも1個の内孔部を有するカテーテル先端部分とによって構成されており、当該柔軟チューブの基端部がカテーテル本体部の先端部に固定されていて、カテーテル先端部分がさらに分割形先端電極によって構成されており、当該分割形先端電極が柔軟チューブの先端部に固定される少なくとも2個の電気的に絶縁された電極部材によって構成されており、各電極部材が少なくとも1個の灌注通路と一対の内部平坦面部および外部接触面部を有しており、さらに、各電極部材における各内部平坦面部が他の電極部材における内部平坦面部に対して電気的に絶縁した状態で近接しており、さらに、患者の外部に取り付け可能な少なくとも1個の基準電極と、前記分割形先端電極における各電極部材に低レベルRFインピーダンス電流を供給するための低レベルRFインピーダンス電流発生装置と、前記分割形先端電極における各電極部材にRF焼灼電流を供給するためのRF焼灼電流発生装置と、前記分割形先端電極における各電極部材を前記低レベルRFインピーダンス電流発生装置および前記RF焼灼電流発生装置に電気的に接続するための1個以上の接続手段と、前記カテーテルおよび前記各電極部材を通して冷却流体を注入して焼灼処理中に電極部材を冷却するためのポンプと、前記分割形先端電極における各電極部材に取り付けられて、当該取り付けた電極部材の温度を指示する信号を発生するための温度センサーと、RF焼灼電流の供給中に各電極部材と少なくとも1個の不間電極との間のインピーダンスを指示する電気的な信号を受信して、当該インピーダンスを指示する信号を他の受信信号から分離するための受信手段と、前記RFインピーダンス電流発生装置、前記RF焼灼電流発生装置、前記ポンプ、前記分割形先端電極における各電極部材、前記少なくとも1個の不間電極、前記温度センサーおよび前記受信手段に電気的に接続する信号処理装置とから成り、当該信号処理装置が、RFインピーダンス電流発生装置を作動して分割形先端電極における各電極部材にインピーダンス電流を供給し、分割形先端電極における各電極部材と前記少なくとも1個の基準電極との間のインピーダンスを指示する電気的信号を受信し、受信した最高のインピーダンス信号に伴う電極部材を組織に接触している電極部材として特定した後に、ポンプおよびRF焼灼電流発生装置を断続的に作動して、冷却流体が電極部材に供給されてRF焼灼電流が特定された組織に接触している電極部材に供給されるオン時間帯と、冷却流体が電極部材に供給されず、かつ、RF焼灼電流が特定された組織に接触している電極部材に供給されないオフ時間帯が存在するようにして、当該オフ時間帯中に前記温度センサーから受信した信号によって電極部材に接触している組織の表面温度を推定し、少なくともオン時間帯中に分割形先端電極における電極部材にRFインピーダンス電流が供給されるようにRFインピーダンス電流発生装置を作動し、さらに、前記受信したインピーダンス指示信号からRF焼灼電流によって加熱された組織の最高の表面下温度を推定することを特徴とする特徴とするシステム。 【請求項4】 組織を焼灼して当該組織の表面温度を推定するためのシステムにおいて、電極カテーテルから成り、当該カテーテルが、基端部および先端部とこれらを貫通する少なくとも1個の内孔部を有する細長いカテーテル本体部と、前記カテーテル本体部の先端部に位置し、基端部と先端部を有する柔軟チューブの部分とこれを貫通する少なくとも1個の内孔部を有するカテーテル先端部分とによって構成されており、当該柔軟チューブの基端部がカテーテル本体部の先端部に固定されていて、カテーテル先端部分がさらに柔軟チューブの先端部に固定された分割形先端電極を備えており、当該分割形先端電極が少なくとも1個の灌注通路を有しており、さらに、前記分割形先端電極に低レベルRFインピーダンス電流を供給するための低レベルRFインピーダンス電流発生装置と、前記分割形先端電極にRF焼灼電流を供給するためのRF焼灼電流発生装置と、前記分割形先端電極における各電極部材を前記低レベルRFインピーダンス電流発生装置および前記RF焼灼電流発生装置に電気的に接続するための1個以上のコネクタと、前記カテーテルおよび前記分割形先端電極における少なくとも1個の灌注通路を通して冷却流体を注入して焼灼処理中に各電極部材を冷却するためのポンプと、前記分割形先端電極に取り付けられて、当該分割形先端電極における各電極部材の温度を指示する信号を発生するための温度センサーと、前記RFインピーダンス電流発生装置、前記RF焼灼電流発生装置、前記ポンプ、前記分割形先端電極および前記温度センサーに電気的に接続する信号処理装置とから成り、当該信号処理装置がポンプおよびRF焼灼電流発生装置を断続的に作動して、冷却流体が分割形先端電極に供給されてRF焼灼電流が当該分割形先端電極に供給されるオン時間帯と、冷却流体が分割形先端電極に供給されず、かつ、RF焼灼電流が当該分割形先端電極に供給されないオフ時間帯が存在するようにプログラムされており、さらに、この信号処理装置が当該オフ時間帯中に温度センサーから受信した信号によって分割形先端電極に接触している組織の表面温度を推定するようにプログラムされていることを特徴とする特徴とするシステム。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は心臓組織の安全で有効なRF焼灼を行なうための分割形先端電極(split-tip electrode)カテーテルおよび信号処理システムを有する電気生理学的カテーテルシステムに関する。 【0002】 【従来の技術】心臓は心筋を定常でリズミカルな態様で収縮または鼓動させる自然のペースメーカーおよび導電システムを備えている。静止状態における成人の場合の正常な脈打ち速度は1分当たり約60鼓動数乃至70鼓動数である。しかしながら、1個以上の心臓の室部をより速く鼓動させたり(頻拍または粗動)、異常に鼓動させる(細動)等の生理学的な異常症状が多くある。心室細動の患者は生存するのが困難であり、これは動脈を介して血液が送られないためである。一方、心房細動の場合はAV(房室)ノードにおいて異常な拍動が除去されて心室まで到達しない限り生存することができる。さらに、心房粗動および種々の形態の頻拍を有する患者も生存できるが、生命はかなり危険にさらされた状態になる。 【0003】これらの不整脈症状の多くは高周波(RF)エネルギーによる焼灼処理によって効果的に治療できる。しかしながら、有効な結果を得るためにさらに大きなRF領域を必要としたり、全く効果的でない結果に終わる不整脈症状もある。RF焼灼処理はRFエネルギーを心臓組織に供給する1個以上の電極を有するカテーテルによって行なわれる。この動作時において、このカテーテルは静脈または動脈を介して心臓の室内に案内されて、電気生理学者等によって決定された1個以上の部位に配置されて不整脈を正常化する。さらに、このカテーテルは外部供給源(発生装置)からエネルギーを組織に供給して、組織を死滅させるに足る熱を発生し、その後、この組織は火傷した組織に置き換わる。有効な焼灼処理においては、形成された領域が不整脈を引き起こしている電気的な経路を遮断して心臓の鼓動リズムを改善したり正常に戻す。 【0004】焼灼処理中は、組織の表面および下部の両方における当該組織の温度を制御することが重要である。つまり、表面温度が過剰になると脱水や炭化が生じる。炭化した組織は剥がれて血管を遮断する等の危険な状況をもたらす。また、表面下の過剰な加熱は「スチームポップ(steam pop)」を生じる等の危険性がある。つまり、この「スチームポップ」は、深い組織部分が当該組織における水分が沸騰するのに十分な温度に加熱されて組織内に蒸気の泡が発生する時に生じる。このような蒸気の泡は相当な力で心筋層の表面から噴出する。このような噴出現象は一般に心電図学者によって「ポップ(pop)」と呼ばれている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は心筋層組織を焼灼するための改善されたシステムおよび方法を提供することを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明のシステムは先端部において分割形先端電極を有する電気生理学的なカテーテルから成る。この分割形先端電極は、好ましくは、2個以上の直交方向に配列された電極部材を有する先端電極アセンブリによって構成されている。好ましい実施形態においては、分割形先端電極が5個の先端電極部材によって構成されている。これらの電極部材は、4個の部材が半球の各扇形部分を形成して、5個目の部材がこれら4個の部材から成る半球部分の後方においてリング状またはカップ形の電極を形成している。好ましくは、上記の分割形先端電極は焼灼処理中に各電極部材を冷却するために当該電極部材に例えば生理塩水のような流体を流す手段を備えている。特に好ましい灌注式の分割形先端電極が本明細書に参考文献として含まれる同時出願のWebster, Jr.を出願人とする「灌注式の分割形先端電極カテーテル(IRRIGATED SPLIT TIP ELECTRODE CATHETER)」と題する米国特許出願第09/205,116号(整理番号CRD0729)に開示されている。 【0007】本発明のシステムはさらに上記の分割形先端電極の各電極部材に電気的に接続して各電極部材から電気的な信号を受信してこれらの信号を表示する記録および/または表示、好ましくは電位図(エレクトログラム(electrogram))を生成する。 【0008】さらに、上記分割形先端電極の各電極部材に電気的に接続しているものとして、各電極部材と基準電極との間の電気的インピーダンスを計測してどの電極部材が心筋層に接触しているかを決定するための手段がある。このインピーダンス計測手段は、好ましくは約50KHzの周波数において約2マイクロアンペアの低レベルRF電気信号を発生するRF発生装置と、この低レベルRF電流を各電極部材に供給する手段と、例えば皮膚パッチ電極のような少なくとも1個の基準電極または不間電極(indifferent electrode)と、好ましくは各電極部材と基準電極との間のインピーダンスの記録および/または表示を生成するための手段とから構成されている。 【0009】さらに、上記分割形先端電極の1個以上の電極部材に焼灼RF電流を供給して当該電極部材に接触している心筋組織を焼灼するための手段が備えられている。このような手段は心臓組織を焼灼するのに十分な強度のRF電流を発生するためのRF発生装置によって構成されている。好ましい焼灼電流は約400KHz乃至約700KHzにおいて約0.25アンペア乃至約1.0アンペアであり、さらに好ましくは約500KHzにおいて約0.5アンペア乃至約0.75アンペアである。また、信号処理装置(プロセッサ(processor))が備えられていて、RF発生装置を作動して低レベルRF電流を分割形先端電極の各電極部材に供給して、分割形先端電極の各電極部材に伴うインピーダンスを比較してどの電極が最高のインピーダンスを伴っているかを決定する。この装置によって、血液のたまり部分(blood pool)にのみ接触している電極部材に比してより高いインピーダンスを伴う電極部材として心筋層に接触している電極部材を特定できる。さらに、この信号処理装置はRF発生装置を作動して心筋層に接触している電極部材にのみRF焼灼電流を選択的に供給するようにする。 【0010】上記のシステムは灌注式の分割形先端電極カテーテル、および焼灼中に焼灼電極を冷却するためにカテーテル中に冷却流体を流すための計量型ポンプを備えているのが好ましい。このような実施形態においては、信号処理装置は上記ポンプおよびRF発生装置を断続的に作動することが可能であり、RF焼灼エネルギーおよび冷却流体が焼灼電極に供給される時間帯(オン時間帯)の間に灌注処理およびRF焼灼エネルギー供給が行なわれない時間帯(オフ時間帯)が存在する。 【0011】本発明の好ましい実施形態においては、上記の焼灼システムは、さらに、灌注式の分割形先端電極カテーテル、および焼灼している組織の表面および/または表面下の温度をモニターするための手段を備えている。好ましい表面温度モニター手段は、心筋層に接触している電極部材の温度を示す電気的な信号を発生するために分割形先端電極カテーテルの各電極部材に連結した熱電対またはサーミスタ、およびRF焼灼電流発生装置および灌注ポンプを断続的に作動および不作動にする信号処理装置によって構成されている。この不作動状態(オフ時間帯)の間は、電極温度は焼灼している組織のほぼ表面温度に到達しており、それゆえ、組織−電極間の境界部における組織温度の推定値となる。また、好ましい表面下温度モニター手段は分割形先端電極の電極部材に伴うインピーダンスをモニターして、このインピーダンスの計測値から最高の深組織温度もしくは表面下温度を推定するためのインピーダンスモニター手段によって構成されている。好ましくは、上記の温度および/またはインピーダンスが所定のレベルに到達した時に選択された電極部材へのRF電流の供給量を自動的に減少して組織の表面温度または深組織温度もしくは表面下温度の過剰な上昇を防ぐための手段が備えられている。 【0012】 【発明の実施の形態】図1において、異常な電気的経路を位置決めして当該異常な電気的経路を遮断するために心臓組織を焼灼するための心臓内の電気的信号のマッピング処理に好適なシステムの概略図を示す。このシステムは、好ましくは図示のような灌注式の分割形先端電極カテーテルである分割形先端電極カテーテル10、1個以上の基準または不間電極5、信号処理装置6、RF電流発生装置7、モニターおよび/またはディスプレイ8、およびカテーテル内の注入チューブを介して流体を送給するポンプ9によって構成されている。 【0013】カテーテル10は細長いカテーテル本体部11と、カテーテル本体部11の先端部に位置するカテーテル先端部分12と、カテーテル本体部11の基端部に位置する制御ハンドル13を備えている。カテーテル本体部11は単一の中央または軸方向の内孔部25を有する細長い管状構造を有している。このカテーテル本体部11は柔軟すなわち屈曲可能であるが、その長さに沿ってほとんど非圧縮性である。カテーテル本体部11は任意の適当な構成を採ることができ、任意の適当な材料によって形成できる。なお、現在好ましいと思われる構成はポリウレタン等によって形成した外側壁部15と内側剛性賦与チューブ19を備えている。この外側壁部15はステンレススチール等の埋め込まれた編みメッシュによって構成されていてカテーテル本体部11の捩れ剛性を高めており、これによって、制御ハンドル13を回動すると、カテーテル10の先端部分12がこれに追随して回動するようになっている。カテーテル本体部11の外径は限定はしないが、約8フレンチ(2.6mm)以下であるのが好ましい。同様に、外側壁部15の厚さも限定しない。 【0014】外側壁部15の内表面には剛性賦与チューブ19が内張りされており、このチューブ19は任意の適当な材料、好ましくはポリイミドによって形成できる。この剛性賦与チューブ19は編みメッシュの外側壁部と共に改善された捩れ安定性を与えると共にカテーテルの壁厚を最少にして、単一内孔部25の直径を最大にしている。この剛性賦与チューブ19の外径は外側壁部15の内径とほぼ同じかそれ以下である。ポリイミドチューブが現在において好ましく、その理由は、このチューブが極めて良好な剛性を賦与すると共に極めて薄い壁厚を実現するからである。この結果、中央内孔部25の直径を強度および剛性を犠牲にすることなく最大にできる。 【0015】なお、特に好ましいカテーテル本体部11の外側壁部15は約0.092インチ(約2.3mm)の外径および約0.063インチ(約1.6mm)の内径を有しており、ポリイミド剛性賦与チューブ19は約0.061インチ(約1.6mm)の外径および約0.052(約1.3mm)インチの内径を有している。 【0016】図2に示すように、内孔部25の中には、注入チューブ14、絶縁コーティングを施した複数の電極リードワイヤ16、および引張りワイヤ18を囲む圧縮コイル17が延在している。 【0017】カテーテル先端部分12の拡大側面図を図3および図4に示す。この先端部分12は、「4分割(quad)」先端電極、すなわち、4個の部材から成る先端電極アセンブリ30およびカップ形電極36から成る分割形先端電極20によって構成されている。さらに、先端部分12はブリッジチューブ22および柔軟チューブ24の部分を備えている。このチューブ24は、好ましくはカテーテル本体部11よりもさらに柔軟な適当な無毒性の材料によって形成されている。現在において好ましいと思われるチューブ24の材料は編み込まれたポリウレタン、すなわち、ステンレススチール等の埋め込まれた編みメッシュを伴うポリウレタンである。先端部分12の外径は、カテーテル本体部11の外径と同様に、約8フレンチ(約2.6mm)以下であるのが好ましい。柔軟チューブ24の基端部は適当な手段によってカテーテル本体部11の先端部に取り付けられている。この手段の一例が本明細書に参考文献として含まれるPonziを出願人とする米国特許出願第08/924,339号に記載されている。 【0018】図示の実施形態において、柔軟チューブ24は3個の軸ずれ内孔部を有しており、第1の内孔部26には注入チューブ14が延在しており、第2の内孔部27には電極リードワイヤ16が延在し、第3の内孔部28には引張りワイヤ18が延在している。これらの3個の内孔部の直径は同一であってもよく、また、必要に応じて異なっていてもよい。なお、現在において好ましいと思われる第1の内孔部、第2の内孔部および第3の内孔部の直径は、それぞれ、約0.035インチ(約0.89mm)、約0.022インチ(約0.56mm)および約0.022インチ(約0.56mm)である。また、柔軟チューブ24の長さは限定はしないが、約2インチ乃至3インチ(約50mm乃至約76mm)とするのが好ましい。さらに、この柔軟チューブ24の先端部は凹みまたは段部が設けられていて先端側ステム29が形成されており、このステム29がブリッジチューブ22の基端部の中に嵌合する。 【0019】図4において、4分割先端電極30は好ましくは丸いまたは弾丸形状の先端部を有する外表面部を備えた先端側部分31と、凹んだステム部を形成する基端側部分32を有している。先端側部分31の外径は好ましくは8フレンチ(約2.6mm)以下である。さらに、この先端側部分31の全長は限定はしないが焼灼処理に十分に足りる長さである。現在において好ましいと思われる長さは約2.5mmである。 【0020】4分割先端電極30は4個の電極部材33によって構成されている。各電極部材33は一対の平坦な内部表面および外部表面を備えている。この電極部材33は、好ましくは耐熱エポキシ樹脂から成る絶縁材34により相互に分離されて、各電極部材の各平坦面が別の電極部材の平坦面と隣接するように配列されている。電極とリードワイヤ16との接続を容易にするために、各電極部材33はさらにその基端部においてカテーテル本体部11の軸にほぼ平行に電極リードワイヤボア42を備えている。 【0021】各電極部材33は任意の適当な構成を有することができ、好ましくはプラチナによって形成されている。なお、この電極部材33の数、形状および種々の寸法は限定されず、所望に応じて種々変更可能であることが理解されると考える。 【0022】カップ電極36は中空であって、ほぼ円筒形の側壁部37およびほぼ平坦な基端壁部38を有している。側壁部37の先端部分はリング状電極を形成する外表面部39を有している。また、側壁部37の基端側部分は凹みが設けられている。4分割先端電極30のステム部32は、この複合先端電極30をカップ電極36から電気的に絶縁するポリウレタン接着剤等によって、カップ電極36の中空の内部(空孔部)に受容されかつ固定される。 【0023】さらに、図5に示すように4分割先端電極30は注入チューブ14の先端部を受容するための例えばドリル加工によって形成した中央灌注通路40を備えている。この中央灌注通路40は4分割先端電極30の基端部から当該4分割先端電極30のほぼ中央部分にまで軸方向に沿って延在している。図示の実施形態においては、通路40は概ね横方向の4個のブランチ41に分岐しており、各ブランチ41は別々の電極部材33の中を先端方向に放射状に例えば45°の角度を成して延在している。この中央通路40および各ブランチ41の直径は限定しないが、現在において好ましいと思われる複合先端電極30は約0.5mmの直径を有する中央灌注通路40と約0.4mmの直径をそれぞれ有する4個のブランチ41を備えている。 【0024】なお、これらの通路およびブランチの寸法および数は所望に応じて変更可能であることが理解されると考える。例えば、各電極部材が単一のブランチではなくて複数のブランチを有するようにできる。また、各ブランチは所望に応じて二次的なブランチを備えることができる。さらに、上記のブランチを使用する代わりに、電極部材を例えば本明細書に参考文献として含まれる米国特許第5,643,197号および同第5,462,521号に記載されるような多孔質材料によって形成することも可能である。 【0025】必要であれば、必ずしも全ての電極部材に灌注用のブランチまたは通路を設ける必要がない。例えば、電極部材33の内の1個または2個のみが焼灼処理中にRFエネルギーを供給するのであれば、これらの電極部材33のみに灌注ブランチまたは通路を設ければよい。 【0026】カップ電極36は電極カテーテルが完全に組み立てられた時に当該カップ電極36の基端壁部38を通って4分割先端電極30の各電極部材33に対応する絶縁された電極リードワイヤ16がそれぞれ延在できるように複数の貫通ボア54を備えている。各貫通ボア54はカテーテル本体部11の軸に対してほぼ平行であって、付随する電極リードワイヤボア42に整合されており、カップ電極36の基端部の回りに等間隔に配置されている。このカップ電極36を4分割先端電極30からさらに絶縁するために、各貫通ボア54は本明細書に参考文献として含まれるWebster, Jr.を出願人とする米国特許出願第08/726,380号に図示されかつ記載されるような貫通孔を有するメニスカス絶縁体を備えている。すなわち、このメニスカス絶縁体は付随する電極リードワイヤ16とカップ電極36との電気的な接触を防ぐように作用する。 【0027】図示の実施形態においては、カップ電極36はさらに軸方向の穴と、当該穴の周りに基端側に延在する円筒形のフランジ51を備えている。注入チューブ14の先端部はこれらのフランジ51および軸方向の穴の中に通って4分割先端電極30の中央灌注通路40の中に延在しており、当該通路40においてポリウレタン接着剤等によって固定されている。 【0028】フランジ51はそのほぼ中央部分において横穴53を有している。さらに、電極リードワイヤ16および一対の安全ワイヤ56がカップ電極36のステム部51に固定されている。なお、リードワイヤ16と安全ワイヤ56の好ましい取り付け方法の一例が図6に示されている。すなわち、電極リードワイヤ16および安全ワイヤ56はフランジ51の中に挿入され、穴53から出て、好ましくは1回乃至1/2回フランジ51の周りに巻かれる。その後、これらははんだ付けによって固定される。一方、安全ワイヤの基端部はブリッジチューブ22の基端側の先端部分12における任意の場所に例えばポリウレタン接着剤等によって固定できる。 【0029】カップ電極36は任意の適当な構成を採ることができ、好ましくはプラチナによって形成されている。このカップ電極の寸法は限定しないが、現在において好ましいと思われる実施形態においては、カップ電極36の長さは約0.13インチ(約3.3mm)であり、空孔部50の深さは約0.08インチ(約2.0mm)であり、カップ電極36の外径は0.09インチ(約2.3mm)で空孔部の直径は約0.08インチ(約2.0mm)である。 【0030】ブリッジチューブ22は剛性のチューブ状プラスチック、好ましくはPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)の短片部分によって形成されており、先端部分12の柔軟チューブ24とほぼ同じ外径を有していて、カップ電極36の凹んだ基端側部分および柔軟チューブ24の凹んだ先端側部分とほぼ同じ内径を有している。このブリッジチューブ22は分割形先端電極20を柔軟チューブ24に接続している。その先端部において、ブリッジチューブ22はカップ電極36の凹んだ基端側部分を受容し、当該電極36はポリウレタン接着剤等によって固定される。また、基端部において、ブリッジチューブ22は柔軟チューブ24の凹んだ先端部を受容し、当該チューブ24はポリウレタン接着剤等によって固定される。 【0031】ブリッジチューブ22の長さはカップ電極36の基端部と柔軟チューブ24の先端部との間のブリッジチューブ22の内部の中に空隙部が形成できるように選択される。この空隙部は、注入チューブ14が柔軟チューブ24の中の軸ずれ内孔部26からカップ電極36の中の軸方向の穴およびフランジ51内に整合する際に、注入チューブ14が屈曲し得る空間を与える程度の十分な長さを有している。また、電極リードワイヤ16は柔軟チューブ24の軸ずれ内孔部27からカップ電極36における別の貫通ボア54の中を通ってカップ電極36のフランジ51に延在している。ブリッジチューブ22は約6mm乃至約7mmの長さを有していて約1mm乃至約2mmの空隙部を形成するものが現在好ましいと考えている。なお、このブリッジチューブが相当な、すなわち、不都合な変形を生じることなく焼灼処理中に到達する温度に耐えることのできる任意の適当な概ね剛体のプラスチックによって形成できることが理解できると考える。 【0032】注入チューブ14は任意の適当な材料によって形成できる。ポリイミドが現在において好ましいと考えている。このチューブ14は単一の細長いチューブであって、カテーテル本体部11から先端部分12の第1の内孔部26を通ってブリッジチューブ22およびカップ電極36を経て4分割先端電極30の灌注通路40の中に延在している。あるいは、図7に示すように、注入チューブ14は2個の部分によって構成することもでき、この場合に、その基端側の部分はカテーテル本体部11を通って先端部分12の第1の内孔部26の基端部の中に延在しており、この基端側部分の先端部はポリウレタン接着剤等によって第1の内孔部26の中に固定されている。また、注入チューブ14の第2(先端側)の部分は先端部分12の第1の内孔部26の先端部においてポリウレタン接着剤等によって固定されていて、ブリッジチューブ22およびカップ電極36のフランジ51を通って4分割先端電極の中央灌注通路40の中に延在している。 【0033】さらに、注入チューブ14の基端部はカテーテル本体部の側壁部におけるシールされた開口部から延出してルアハブ(Luer hub)等の中に到達している。あるいは、この注入チューブ14は制御ハンドル13の中を通って当該ハンドルよりも基端側に位置するルアハブ等に延出していてもよい。これらのいずれの配置構成においても、例えば生理塩水のような流体が注入チューブ14に導入されて複合先端電極30の各電極部材33の中を流れて焼灼中の電極部材33を冷却する。さらに、必要に応じて、例えば薬物等の流体をこの注入チューブの中を通して複合先端電極から流出させることも可能であることが理解できると考える。特に好ましい実施形態においては、この注入チューブは薄い壁厚のポリイミドチューブによって形成されているが、任意の適当な材料が使用できることが理解できると考える。好ましくは、注入チューブ14はカテーテル先端部分12の第1の内孔部26の直径とほぼ同じかやや小さい外径を有している。 【0034】好ましい実施形態においては、複合先端電極30の各電極部材33およびカップ電極36に付随する電極リードワイヤ16は異なる金属材から成る一対のワイヤから成る一本のワイヤによって構成されている。現在好ましいと思われるワイヤ対は約0.003インチ(約0.08mm)の太さを有する銅線と約0.003インチ(約0.08mm)の太さを有するコンスタンタン線から成るエナメル処理した銅/コンスタンタンワイヤ対であって、銅線にエナメル処理が施されている。このようなエナメル処理したワイヤ対は本明細書に参考文献として含まれるWebster, Jr.を出願人とする米国特許出願第08/742,352号に記載されている。この構成においては、強度の高いコンスタンタン線が軟質で脆い銅線を支持する。このリードワイヤが異なる種類のワイヤによって構成されているために、当該リードワイヤは電極の温度を計測するための熱電対としても作用する。なお、必要に応じて、例えばサーミスタや専ら熱電対として使用されるワイヤ対のような任意の温度モニター手段が使用できることが理解できると考える。さらに、このリードワイヤ16は灌注処理の失敗の際に電力供給を遮断するように使用することも可能である。このリードワイヤ16は電極部材33の電極リードワイヤボア42内に延在して、例えばはんだ付けまたは溶接等の任意の適当な手段によってその場所に固定される。 【0035】必要に応じて、本発明の灌注式分割形先端電極カテーテルは例えば図3に示すような1個以上のリング状電極58を備えることが可能である。このようなリング状電極への電極リードワイヤの取り付けは任意の適当な手段および/または処理によって行なうことができる。なお、現在好ましいと思われるリング状電極への電極リードワイヤの取り付け方法がWebster, Jr.を出願人とする米国特許出願第08/742,352号に記載されている。 【0036】引張りワイヤ18は制御ハンドル13からカテーテル本体部11の内孔部25を通ってカテーテル先端部分12の柔軟チューブ24における第3の軸ずれ内孔部28の中に延在している。この引張りワイヤ18はステンレススチールまたはニチノール(Nitinol)のような任意の適当な金属材によって形成されており、テフロン(Teflon(登録商標))等によってコーティングされているのが好ましい。このコーティングは引張りワイヤ18に潤滑性を賦与する。引張りワイヤ18は約0.006インチ乃至約0.010インチ(約0.15mm乃至約0.25mm)の範囲の直径を有しているのが好ましい。また、引張りワイヤ18の先端部は任意の適当な手段によって柔軟チューブ24の先端部またはこの近傍に係留される。現在好ましいと思われる引張りワイヤの先端部を係留するための手段が共に本明細書に参考文献として含まれるWebster, Jr.を出願人とする米国特許出願第09/134,009号および同第09/099,769号に記載されている。すなわち、引張りワイヤ18は当該引張りワイヤの先端部に固定されるT字棒形アンカーを備えている。このT字棒形アンカーのクロスバーが柔軟チューブの第3の軸ずれ内孔部の先端部の外側または当該第3の内孔部に連通する柔軟チューブの側壁部内に設けたノッチ部(切り欠き部)の中に配置されている。このクロスバーの寸法は第3の内孔部の中に引っ張り込まれないように選択される。このような構成において、引張りワイヤ18を引張ると第3の内孔部28の方向にカテーテル先端部分における柔軟チューブ24が偏向する。なお、T字棒形アンカーは上述の米国特許出願第09/134,009号および同第09/009,769号に記載されるように、必要に応じて、カテーテル先端部分のチューブの側壁部の中のノッチ部内に固定できる。あるいは、この引張りワイヤをカップ電極にはんだ付けまたは溶接してもよい。 【0037】引張りワイヤ18を引張る際のカテーテル本体部11の偏向を阻止するために、当該カテーテル本体部11の中に延在する引張りワイヤ18の部分の周りに圧縮コイル17を備えている。この圧縮コイル17はカテーテル本体部11の基端部からカテーテル本体部11の先端部またはカテーテル先端部分12の基端部まで延在している。圧縮コイル17は任意の適当な材料で形成できるが、ステンレススチールによって形成されているのが好ましい。さらに、この圧縮コイル17はそれ自体で堅固に巻かれていて柔軟性すなわち屈曲性を有しているが圧縮に耐える。圧縮コイル17の内径は引張りワイヤの直径よりもやや大きい。例えば、引張りワイヤ18が約0.007インチ(約0.18mm)の直径を有する場合は、圧縮コイル17は約0.008インチ(約0.20mm)の内径を有するのが好ましい。引張りワイヤ18のテフロン(Teflon(登録商標))コーティングによって当該ワイヤ18は圧縮コイル17の中を自由に摺動できる。その長さに沿って、圧縮コイル17の外表面は柔軟で非導電性のシースによって被覆されていて、当該圧縮コイル17と全てのリードワイヤ16との接触が阻止されている。この非導電性のシースとしてはポリイミドチューブが現在好ましいと思われる。このような引張りワイヤを囲む圧縮コイルを含む構成が本明細書に参考文献として含まれる1997年12月12日に出願のKlumb他を出願人とする米国特許出願第08/982,667号に記載されている。 【0038】圧縮コイル17はその基端部において接着剤結合によってカテーテル本体部11内の剛性賦与チューブの基端部に係留されていて、その先端部において別の接着剤結合によってカテーテル本体部11の先端部またはカテーテル先端部分12の基端部に係留されているのが好ましい。これらの両方の接着剤結合はポリウレタン接着剤等によって構成されるのが好ましい。 【0039】引張りワイヤ18の長手方向の移動は制御ハンドル13によって制御される。この制御ハンドル13は任意の適当な構成でよいが、現在好ましいと思われる単一引張りワイヤ用の制御ハンドルが本明細書に参考文献として含まれるWebster,Jr.に付与された米国特許再発行第34,502号に開示されている。このようなハンドルは注入チューブの基端部がカテーテル本体部からルアハブ等に延出している場合に特に適している。あるいは、注入チューブが制御ハンドルの中に延在している場合は、制御ハンドルは本明細書に参考文献として含まれる米国特許出願第08/924,339号に記載されるようなものが好ましい。 【0040】図8(A)および図8(B)に示すような本発明の別の実施形態において、カテーテル先端部分12は柔軟チューブ24に直接取り付けられた分割形先端電極20を備えている。すなわち、ブリッジチューブ22が省かれている。この実施形態において、分割形先端電極20は上述のような4分割先端電極30によって構成されている。カップ電極36はリング状電極を形成する外表面部を有する円筒形の側壁部37を備えている。しかしながら、この実施形態においては、側壁部の基端側部分に凹んだ部分がない。すなわち、カップ電極36の側壁部全体がリング状電極を形成している。 【0041】柔軟チューブ24は対称的に離間する4個の軸ずれ内孔部61と軸方向内孔部62の計5個の内孔部を有している。また、柔軟チューブ24はその先端部において軸方向ボア63を有しており、このボア63はカップ電極36の円筒形フランジ51の外径よりもやや大きな直径を有していて、円筒形フランジ51の外周面に巻かれた安全ワイヤ56およびカップ電極リードワイヤ16を収容できるようになっている。必要に応じて、安全ワイヤ56の先端部を平坦化して、円筒形フランジ51とその周りに巻かれる安全ワイヤ56を収容する柔軟チューブ24における筒状の穴63の直径を減少できる。 【0042】注入チューブ14は柔軟チューブ24の軸方向内孔部62を通ってカップ電極36のフランジ51を経て4分割先端電極の中央灌注通路40の中に直接に挿通されている。上述のように、注入チューブは単一の細長いチューブであってもよく、また、分離した基端側および先端側の部分を有していてもよい。 【0043】4分割先端電極の電極部材33用の電極リードワイヤ16は、好ましくは上述のようなエナメル処理したワイヤ対であって、軸ずれ内孔部61の1個(または2個以上)の中に延在している。柔軟チューブ24の先端部とカップ電極36の基端プレート(基端壁部)との間には小さな空隙部64が設けられている。この空隙部64の中において、カップ電極36の貫通ボアに整合していない電極リードワイヤ16が、軸ずれ内孔部61からそれぞれ固定されているカップ電極36の貫通ボア54を通って4分割先端電極30の電極部材33の電極リードワイヤボア42の中に延在し得るように位置調整される。 【0044】この実施形態においては、2本の引張りワイヤ18が備えられていて、カテーテル本体部11を通って柔軟チューブ24における直径方向に対向する軸ずれ内孔部61の中にそれぞれ延在している。これらの引張りワイヤ18の先端部は、図8(B)に示され、米国特許出願第09/134,009号および同第09/099,769号に記載するように、柔軟チューブ24の側壁部内におけるノッチ部(切り欠き部)67の中に接着剤66によって係留されるのが好ましい。あるいは、これらの引張りワイヤの先端部はカップ電極36の基端プレート(基端壁部)に直接にはんだ付けまたは溶接してもよい。 【0045】カップ電極36は空隙部64を充たすポリウレタン接着剤等によって柔軟チューブ24の先端部に固定される。 【0046】図9に示す本発明のさらに別の実施形態においては、カテーテル先端部分12が柔軟チューブ24の一部およびブリッジチューブ22を備えていて、分割形先端電極20が4分割先端電極30を備えているが、カップ電極36を備えていない。このような実施形態においては、4分割先端電極の凹んだステム部32がブリッジチューブ22の先端部の中に直接延在してポリウレタン接着剤等によってその中で固定されている。 【0047】その基端部において、ブリッジチューブ22は柔軟チューブ24の凹んだ先端部を受容する。好ましくは、この柔軟チューブ24は図1乃至図7の実施形態について説明したように3個の軸ずれ内孔部26,27,28を備えており、これらの中に注入チューブ14、電極リードワイヤ16および引張りワイヤ18がそれぞれ延在している。なお、必要であれば、3個の内孔部を有する柔軟チューブ24は全ての内孔部が直径方向に整合した状態でも使用できることが理解できると考える。しかしながら、3個の軸ずれ内孔部の方が、優れた強度を得られる点で好ましい。また、2方向操作が必要とされる場合は、この柔軟チューブは4個の軸ずれ内孔部を有するのが好ましく、引張りワイヤ18は直径方向に対向する軸ずれ内孔部の中にそれぞれ延在する。 【0048】さらに、必要であれば、電気的に絶縁されるリング状電極58を図10に示すようにブリッジチューブ22の先端部の周りに取り付けることができる。このような実施形態においては、リング状電極58用のリードワイヤ16はブリッジチューブ22における小孔から延出して当該ブリッジチューブの外表面を経て電極58に到達する。このリードワイヤはポリウレタン樹脂等によって被覆され、ブリッジチューブの穴も同様の樹脂によって塞がれる。この場合、2個以上のリング状電極をブリッジチューブまたは柔軟チューブに取り付けることもできる。 【0049】さらに、図11に示すような本発明の別の実施形態においては、カテーテル先端部分12がブリッジチューブ22の中に電磁センサー71を担持している。この実施形態においては、分割形先端電極20は図示のようにカップ電極36を備えていてもよく、また、必要に応じて備えていなくてもよい。柔軟チューブ24は3個の軸ずれ内孔部を有していて、1個は電磁センサー71からカテーテル先端部分12の中を通って、カテーテル本体部11およびハンドル13を経て信号処理および画像処理手段に接続するためのコネクタに繋がるケーブル72用に用いられる。このセンサーケーブル72は回路基板に接続しており、この基板によって電磁センサーから受け取った信号が増幅され、この信号がコンピュータに理解可能な形態でコンピュータに送られる。柔軟チューブにおける他の2個の軸ずれ内孔部は注入チューブ14および電極リードワイヤ(図示せず)用と、引張りワイヤ(図示せず)用である。この場合も、2方向操作が必要であれば、柔軟チューブの中に4番目の軸ずれ内孔部が第2の引っ張りワイヤ用に必要となる。適当な電磁センサーおよび信号処理および画像処理手段がCordis Webster社から市販されており、本明細書に参考文献として含まれる米国特許第5,558,091号、同第5,443,489号、同第5,480,422号、同第5,546,951号、同第5,568,809号および同第5,391,199号、およびPCT国際公開第WO95/02995号に記載されている。 【0050】この実施形態においては、注入チューブ14が電磁センサー71の周りで曲がってからカップ電極36の軸方向フランジ51の中に入って、さらに、4分割先端電極における中央灌注通路40の中に延在し得るのに十分な長さをブリッジチューブ22が有する。 【0051】上述の単一引張りワイヤから成る各実施形態について、カテーテルが2本以上の引張りワイヤを備え得ることは当然に理解できると考える。同様に、上述の一対の引張りワイヤから成る実施形態が単一の引張りワイヤのみを備え得る。一対の引張りワイヤから成る実施形態においては、先端部分12の柔軟チューブ24は4個の軸ずれ内孔部を有しているのが好ましい。これらの引張りワイヤは直径方向に対向する軸ずれ内孔部の中にそれぞれ延在して上述のように柔軟チューブの先端部に係留されるのが好ましい。好ましい制御ハンドルが本明細書に参考文献として含まれるWebster, Jr.に付与された米国特許再発行第34,502号、およびWebster, Jr.を出願人とする米国特許出願第08/924,611号、同第08/982,113号、同第09/134,009号および同第09/143,426号、およびPonziを出願人とする米国特許出願第09/130,359号に記載されている。 【0052】多方向に操作可能であることが望まれる場合は、上記のカテーテルは3個以上、好ましくは4個の引張りワイヤを備えることができる。このような実施形態においては、カテーテル先端部分の柔軟チューブ24は4個の軸ずれ内孔部を備えているのが好ましく、各4分割円内に1個配置されていて、その中に引張りワイヤ18が延在している。さらに、カテーテル先端部分の中央内孔部が注入チューブおよび電極リードワイヤを収容するように備えられているのが好ましい。このような内孔部および引張りワイヤおよび当該引張りワイヤを操作するための制御ハンドルの配置構成が本明細書に参考文献として含まれるWebster, Jr.を出願人とする米国特許出願第08/924,611号に記載されている。 【0053】カテーテル先端部分を1個以上の方向に制御可能に偏向させるための任意の適当な手段が使用できることが理解されると考える。このような手段の別の例が本明細書に参考文献として含まれるHunjan他に付与された米国特許第5,656,030号、Lundquist他に付与された米国特許第5,195,968号、同第5,254,088号、同第5,336,189号および同第5,531,686号、Edwards他に付与された米国特許第5,273,535号、同第5,281,217号、同第5,370,678号、Thompson他に付与された米国特許第5,358,478号、Hemzelmanに付与された米国特許第5,364,351号および同第5,456,664号に記載されている。 【0054】また、2個以上の電極部材から成る分割形先端電極を形成する任意の構成が本発明において使用できることが理解できると考える。カップ電極の存在は好ましいが必要ではない。同様に、ブリッジチューブの存在も好ましいが必要ではない。 【0055】本発明に係る焼灼システムのRF電流発生装置7は低レベルのRFインピーダンス電流を発生するための第1のRF発生装置とRF焼灼電流を発生するための第2のRF発生装置によって構成されている。 【0056】低レベルRFインピーダンス電流は、組織を焼灼することなく、また細動を形成することなく、すなわち、筋肉捕捉を生じることなく、インピーダンスの検出を可能とする一定の電力レベルおよび周波数を有する任意の電流とすることができ、好ましくは、血液のたまり部分(blood pool)と比較した組織のインピーダンスの差を最大にできる一定の周波数における電流値である。50KHzにおいて2マイクロアンペアの電流が現在好ましいと思われる。 【0057】また、RF焼灼電流は心筋層組織を焼灼するのに十分な電力および周波数の任意の電流とすることができる。すなわち、この焼灼電流は約400KHz乃至約700KHz、好ましくは約500KHzの周波数において約0.25アンペア乃至約1.0アンペアまたはそれ以上、好ましくは約0.5アンペア乃至0.75アンペアである。例えば、灌注処理によって組織表面の炭化が避けられてスチームポップが回避できる限りにおいて、より深い組織の処理部分を形成するより高い電力レベルが好ましい。 【0058】第1のRF発生装置および第2のRF発生装置は2個の別々の装置でもよく、また、図1に示すように、単一のRF発生装置7に組み合わせることもできる。現在好ましいと思われるRF発生装置はStockert EP/ShuttleのRF発生装置であり、Cordis Webster社から市販されている。この発生装置は低レベルRFインピーダンス電流およびRF焼灼電流を発生するための手段を備えている。また、このRF発生装置は各電極に伴うインピーダンス信号を受信するための手段と、RF焼灼電流からこれらの信号を分離して、記録および/または表示可能な明瞭なインピーダンス信号を得るためのフィルタを備えている。さらに、このRF発生装置は各電極部材に伴う温度およびインピーダンスを表示するためのディスプレイと、電極部材毎に各ディスプレイを選択的に切り替えるためのスイッチを備えている。また、上記のStockertRF発生装置は焼灼している電極部材にRF電流を供給している経過時間を指示するためのディスプレイも備えている。加えて、上記のRF装置は温度またはインピーダンスの値が所定のレベルに到達するとRF焼灼電流を遮断する安全遮断装置を備えている。 【0059】上記のモニター/ディスプレイ装置8は心臓の電気的な活動、電極部材の温度および/または各電極部材に伴うインピーダンスを示す各信号を受け取って、ディスプレイ情報および/または受信した信号の記録情報を発生するための1個以上の適当な装置を備えることができる。上述したように、電極部材の温度およびインピーダンスを表示および/または記録するためのディスプレイ/モニターをRF発生装置内に組み込むことができる。あるいは、上記ディスプレイ/モニターを信号処理装置6(後述する)内に内蔵することもできる。また、ディスプレイのみの独立したスタンドを所望に応じて使用できる。バイポーラ電位図として一対の電極部材から受け取った電気的信号を受信しかつ表示するための適当なディスプレイ/モニターが例えばPrucka Engineering社から市販されている。また、上記の計量形ポンプ9は約5cc/分乃至約60cc/分、好ましくは約20cc/分乃至約40cc/分の量の例えば生理塩水のような冷却流体を灌注式先端電極カテーテル10の注入チューブ14内に計量して供給できる任意の計量形ポンプとすることができる。例えば、Medrad社から市販されているMark V Plus注入ポンプやIVAC Medical Systems社から市販されるModel 7100容積注入ポンプが本発明の使用において適当な計量形ポンプの例として挙げられる。 【0060】上記の信号処理装置6はプログラマブルマイクロプロセッサ等にすることができる。この信号処理装置は上記のRF発生装置7、モニター/ディスプレイ8およびポンプ9、ならびに、分割形先端電極カテーテル10および基準電極5に電気的に接続する。好ましい実施形態においては、この信号処理装置6はRF発生装置7を作動して例えば約50KHzにおいて約2マイクロアンペアの低レベルRFインピーダンス電流を発生し、当該電流を分割形先端電極20の各電極部材に供給するようにプログラムされる。その後、この信号処理装置6は各電極部材に伴うインピーダンスを指示する信号を受信して、これらのインピーダンス信号を比較することによって、どの電極部材が最高のインピーダンスを伴っているかを決定する。その後、この信号処理装置6は自動的にRF発生装置7を作動してRF焼灼電流を発生させ、この電流を心筋層に最も接触していると決定された電極部材のみに供給する。 【0061】焼灼処理中は、灌注が行なわれて焼灼処理を行なっている電極部材が冷却状態に維持される。この灌注処理によって組織−電極間の界面における組織の温度が減少する。この結果、より高いRF電流がより深い組織部分の加熱に使用できるようになり、最高の組織温度は表面においてではなく表面より下のより広い領域において生じるようになる。しかしながら、灌注処理は組織−電極間の界面における組織の温度よりも電極の温度を相当に低下させる。このために、断続的に灌注処理を行なうのが好ましく、これによって、灌注を行なわない時間に、組織に接触している電極部材の温度が上昇してより適当な組織表面の温度が得られる。さらに、この灌注を停止している時間に、RF焼灼電流の供給も停止するのが好ましい。 【0062】従って、焼灼処理中は、上記信号処理装置6はポンプ9を作動して塩類溶液や他の冷却流体をカテーテル10の中に流して焼灼している電極部材を冷却する。好ましくは、上記信号処理装置6はポンプ9およびRF発生装置7を断続的に作動するようにプログラムされており、好ましくは約1秒間乃至約10秒間、さらに好ましくは約5秒間程度の所定時間間隔で当該ポンプ9およびRF発生装置7を作動した後に、好ましくは約1秒間乃至約10秒間、さらに好ましくは約5秒間程度の別の時間間隔で当該ポンプ9およびRF発生装置7を停止して、このサイクルを連続的に繰り返す。 【0063】焼灼中は、上記の信号処理装置6は各電極部材に付随する熱電対またはサーミスタから信号を受信し、これらの信号は各電極部材の温度を指示するものであり、特に灌注およびRF焼灼電流を遮断する各動作サイクルの最終段階における温度を示す。これらの温度信号は組織−電極部材の界面における組織の温度の推定値を得るために用いられる。さらに、この信号処理装置6は焼灼している電極部材の温度が例えば90℃のような所定レベルに到達した時にRF焼灼電流の供給を減少または停止するようにプログラムされている。 【0064】焼灼処理中は、上記の信号処理装置6はRF発生装置を作動して低レベルのRF電流信号の各電極部材への供給を継続させて、当該各電極部材に伴う焼灼処理中の血液および/または組織を介するインピーダンスを指示する信号を受信するのが好ましい。さらに、この信号処理装置6は心筋層に接触している電極部材および血液のたまり部分のみに接触している電極部材にそれぞれ伴うインピーダンス値における差を決定する。焼灼処理中に組織が加熱すると、組織を介するインピーダンスは減少するが、血液のたまり部分を介するインピーダンスはほぼ同一に保たれる。このような組織を介するインピーダンスと血液を介するインピーダンスとの差は組織の最高温度の指示手段として使用できる。それゆえ、この信号処理装置は、電極部材に伴うインピーダンスが所定のレベルよりも低下したとき、あるいは心筋層に接触する焼灼電極部材に伴うインピーダンスと血液のたまり部分のみに接触している電極部材に伴うインピーダンスとの差が所定のレベルに到達した時に、所定の選択された電極部材に供給されるRF電流を減少したり停止するようにプログラムされている。 【0065】例えば、電力レベル、周波数、灌注の量、サイクル時間、焼灼電極の角度等のような任意のパラメータ群に対し、例えば犬についての生体内試験によって、温度とインピーダンス値との間の相関が決定できる。好ましい試験は例えば犬の腿の筋肉を用いた制御条件下における一連の焼灼処理によって構成される。種々の深さにおける筋肉の温度が例えばLuxtron Model 3000のような蛍光光学的(fluoroptic)な熱プローブによって計測することができ、測定したインピーダンスに対して相関が得られる。本発明における使用に適する試験方法は、それぞれ本明細書に参考文献として含まれる「犬科動物の腿筋肉プレパレーションにおける生理塩水灌注電極と温度制御を伴う高周波焼灼処理における生体内組織温度プロファイルおよび患部形状の比較(Comparison of In Vivo Tissue Temperature Profile and Lesion Geometry for Radiofrequency Ablation With a Saline-Irrigated Electrode Versus Temperature Control in Canine Thigh Muscle Preparation)」と題する文献(Circulation, 1995年、 91: 第2264頁乃至第2273頁)および「積極的な電極冷却処理を伴う高周波焼灼処理中における電極の大きさと患部の大きさとの間の逆比例的関係(Inverse Relationship BetweenElectrode Size and Lesion Size During Radiofrequency Ablation With Active Electrode Cooling)」と題する文献(Circulation, 1998年、98: 第458頁乃至第465頁)に記載されている。このような試験によって、測定したインピーダンス値と最高の組織温度との間の相関が得られる。従って、上記の信号処理装置は、最高の組織温度がインピーダンス測定によって決定される所定レベル、例えば90℃を超えるとRF焼灼電流の各電極に対する供給を減少または停止するようにプログラムされる。 【0066】組織の温度に関する情報は焼灼処理に使用されている電極部材のみに伴うインピーダンスの値を計測することによって得ることができることが理解されると考える。しかしながら、焼灼処理している各電極部材すなわち心筋層に接触している電極部材に伴うインピーダンス値および血液のたまり部分のみに接触している焼灼処理していない電極部材に伴うインピーダンス値をモニターすることが好ましい。このようなシステムにおいては、増加する組織温度以外の因子によるインピーダンスの変化はインピーダンス−温度の相関において全く関係がないか、たとえあってもほとんど影響しない。 【0067】さらに、焼灼処理中の各電極部材に伴うインピーダンス値をモニターすることによって、電気生理学者や医師等が、どの電極部材が心筋層に接触してカテーテル先端部が焼灼処理中に回転したか否かをモニターし続けることが可能になる。 【0068】上記の信号処理装置が上述の全ての機能を実行する必要のないことが理解されると考える。実際に、上記の信号処理装置についての機能の全てではないがその多くは例えば心電図学者や医師等によって手動で行なうことが可能である。例えば、心電図学者や医師等は上述の種々のインピーダンス計測値を分析して、例えばRF発生装置のダイアルによって、RF焼灼電流を受けるべき心筋層に最良に接触している電極部材を手動で選択することができる。その後、この心電図学者や医師等は手動でそのRF発生装置を作動してRF焼灼電流を発生できる。同様に、この心電図学者や医師等は焼灼処理中に温度およびインピーダンス読取値をモニターして、その温度および/またはインピーダンス読取値が過剰な組織温度を示している場合に、手動でRF電流供給を減少または停止できる。 【0069】使用時において、上記の分割形先端電極カテーテル10は心臓の中に挿入され、分割形先端電極20が心臓の種々の場所における心臓組織に接触して当該心臓の電気的な活動度、活性度をマッピングする。このような各場所において、心筋層に接触する電極部材が心臓を介して伝搬する電気的信号を感知する。さらに、上記の分割形先端電極における電極の配列構成によって、少なくとも2個の電極が心筋層に接触することになる。すなわち、カテーテル先端部分12が組織に対して平行か約30°乃至約45°以下の角度を成している場合は、電極部材33のみならずリング状電極58もまた心筋層に接触しているか近接している。このことによって感知されるそれぞれ電圧レベルおよび極性(polarity)を有する2個の直交する電気的信号が得られ、これによって、興奮波の伝達方向を決定するのに十分なデータを得ることができる。一方、分割形先端電極20が心臓内面に対して直角に向いている場合は、分割形先端電極における4個の全ての半球状の電極部材33が心筋層に接触していることになる。このような方向において、少なくとも2個の直交する電位図がこれら4個の半球状の電極部材によって得られる。また、このことは興奮波の伝達方向を決定するのに十分なデータを提供する。 【0070】心臓の内部が十分にマッピングされて焼灼する場所が決定されると、心臓内組織に良好に接触している分割形先端電極の電極部材が決定される。このことは例えば約50KHzにおいて約2マイクロアンペアの低レベルRF電流を分割形先端電極20の各電極部材に供給することによって行なわれる。その後、このような各電極部材と患者に取り付けた皮膚パッチ電極のような基準電極5との間のインピーダンスが計測される。この場合、組織に接触している電極部材に伴うインピーダンスは血液のたまり部分に囲まれる電極部材に伴うインピーダンスよりも高くなる。従って、最高のインピーダンス値を有する電極部材は心臓内組織に最良に接触していることになる。 【0071】焼灼部位が位置決めされて、心臓内組織に最も完全に接触している電極部材が特定されると、焼灼処理のためのRF電流がこれらの電極部材に選択的に供給される。この結果、一定の電力レベルおよび周波数で一定時間においてRFエネルギーが供給されて、心臓組織を十分に死滅させることによって異常な電気的経路を遮断する。一般に、上記の一定の時間とは約30秒乃至約2分の範囲内の時間である。 【0072】焼灼中は、心筋層の表面の炭化および「スチームポップ」を生じる深い心臓組織部分における過熱を防ぐことが重要である。従って、組織の温度が2種類の方法でモニターされることが好ましい。第1に、分割形先端電極の各電極部材がこれに付随する例えば熱電対またはサーミスタのような温度センサーを備えていることである。すなわち、電極との界面における心臓内組織の温度は心臓内部に接触する電極部材の温度をモニターすることによって推定できる。好ましくは、これらの電極部材は焼灼中に灌注される。このことによって、各電極部材の温度は制御可能となり、より大きなRF電流が過剰な温度上昇を生じることなく各電極部材に供給できる。しかしながら、灌注処理は電極温度と組織界面温度との間に大きな差を生じる。それゆえ、灌注処理およびRF焼灼電流の供給を断続的にして、当該灌注処理およびRF焼灼電流供給の時間帯(オン時間帯)が無灌注および無焼灼電流の時間帯(オフ時間帯)によって分離されるのが好ましい。後者の時間帯(オフ時間帯)においては、組織に接触する各電極部材の温度が組織の界面温度をさらに正確に示す温度まで上昇する。 【0073】灌注を伴う焼灼電極によって使用可能となるこのようなより大きなRF電流によって、より遅く加熱される傾向にある界面下組織(表面下組織)は、界面温度(表面温度)よりも高い温度に上昇し得る。この温度は各電極部材に伴うインピーダンス値をモニターすることによって推定できる。組織の加熱によって組織のインピーダンスは減少するが、血液のたまり部分のインピーダンスは概ね一定に保たれる。それゆえ、組織に接触する電極部材に伴うインピーダンス値をモニターして、当該インピーダンス値における減少度を組織に接触していない電極部材に伴うインピーダンス値と比較して、(上述のように)温度による当該インピーダンス値の差を相関することによって、最高の組織温度が推定でき、かつ、組織温度の過剰な上昇が回避できる。 【0074】必要に応じて、上記分割形先端電極カテーテル10はその分割形先端電極20の基端側に配置される電磁センサー71を備えることができる。この電磁センサーは適当な信号処理手段および画像処理手段と組み合わされて、上述のように、カテーテルの先端部分が配置されている心臓の室内部における輪郭線の三次元画像の形成を可能にし、当該心臓室内部における分割形先端電極の位置のモニターを可能にする。 【0075】以上、本発明の現在好ましいと思われる実施形態について説明したが、当該技術分野における熟練者であれば、本発明の原理、趣旨および範囲に逸脱することなく本明細書に記載した本発明の構成の変形および変更が可能であることが分かる。従って、以上の説明は図面において記載および図示した本発明の特定の構成のみについて述べたものであって、本発明の完全かつ公正な範囲は特許請求の範囲ならびにその実施態様において限定されると解するべきである。 【0076】本発明の実施態様は以下の通りである。 (1)前記分割形先端電極が前記先端部分の長手軸に対して対称に配列された4個の電極部材によって構成されている請求項1に記載のシステム。 (2)前記低レベルRFインピーダンス電流が、前記分割形先端電極に接触している組織を焼灼せず患者の心臓の細動を生じることなく、インピーダンスの検出を可能にするアンペアレベルおよび周波数を有している請求項1に記載のシステム。 (3)前記特定のアンペアレベルおよび周波数が血液のたまり部分に比して組織のインピーダンス値に計測可能な差を与える値である実施態様(2)に記載のシステム。 (4)さらに、前記システムが前記分割形先端電極における各電極部材に焼灼電流を供給するためのRF焼灼電流発生装置から成り、前記信号処理装置が、当該RF焼灼電流発生装置に電気的に接続していてこのRF焼灼電流発生装置を作動してRF焼灼電流を発生させると共に心筋層に接触している電極部材のみに当該焼灼電流を供給するようにプログラムされている請求項1に記載のシステム。 (5)前記分割形先端電極における各電極部材が少なくとも1個の灌注通路を備えており、さらに、前記システムが前記カテーテルおよび各電極部材内の少なくとも1個の灌注通路を通して冷却流体を送給して焼灼処理中に電極部材を冷却するための計量形ポンプから成る実施態様(4)に記載のシステム。 【0077】(6)前記信号処理装置が、さらに、前記ポンプを作動して、RF焼灼電流が1個以上の電極部材に供給されている間に、前記カテーテルを通して冷却流体を送給して当該電極部材を冷却するようにプログラムされている実施態様(5)に記載のシステム。 (7)前記信号処理装置が、さらに、前記推定される最高の表面下温度が所定温度に到達した場合に、前記RF焼灼電流発生装置を停止するようにプログラムされている請求項2に記載のシステム。 (8)前記分割形先端電極が前記先端部分の長手軸に対して対称に配列された4個の電極部材によって構成されている請求項2に記載のシステム。 (9)前記信号処理装置が、さらに、前記推定される最高の表面下温度が所定温度に到達した場合に、前記RF焼灼電流発生装置を停止するようにプログラムされている請求項3に記載のシステム。 (10)前記信号処理装置が、さらに、前記推定される最高の表面下温度が所定温度に到達またはこれを超えた場合に、前記RF焼灼電流発生装置を停止するようにプログラムされている請求項4に記載のシステム。 【0078】 【発明の効果】従って、本発明によれば、安全で有効な心臓組織のRF焼灼を行なうための電気生理学的なカテーテルシステムが提供できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】598072766 【氏名又は名称】コーディス・ウェブスター・インコーポレイテッド 【氏名又は名称原語表記】Cordis Webster,Inc. 【住所又は居所原語表記】4750 Littlejohn Street,Baldwin Park,California 91706,United States of America
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| 【出願日】 |
平成11年12月2日(1999.12.2) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100066474 【弁理士】 【氏名又は名称】田澤 博昭 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−201949(P2000−201949A) |
| 【公開日】 |
平成12年7月25日(2000.7.25) |
| 【出願番号】 |
特願平11−343846 |
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