| 【発明の名称】 |
骨結束バンド |
| 【発明者】 |
【氏名】戸辺 信三
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| 【要約】 |
【課題】隣接する骨片の接合を簡便に行える生体分解吸収素材からなる骨接合部材を提供する。
【解決手段】結束バンド10は、隣接する骨片11に形成された穴11aに架け渡し結束ループ15を形成させて、この結束ループ15により隣接する骨片11を結束する。この結束ループ15を形成させるために、結束バンド10には、ループ15を形成する帯部12とループ15を固定する留部14とが備えられている。帯部12の片面には、掛止溝16が形成され、一方、留部14の留穴22の内部には、前記掛止溝に対応して掛止歯が形成される。帯部12が留穴22に挿入され、掛止溝16が掛止歯に掛止されて結束ループ15が固定され、その緩みが防止される。留部14は、結束ループ15を形成させた際に骨片11の穴11aに収容され、留部14を貫通している余分な帯部12は切除される。このため、骨接合に必要な結束ループ15以外に不要な突出部分などの形成も防止されている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 隣接する骨片にそれぞれ形成された穴に架け渡し結束ループを形成して前記骨片を結束させる生体分解吸収素材からなるバンドであって、前記結束ループを形成し得る長さを有する帯部と、前記帯部の一端に、前記結束ループを形成させた際に前記骨片の穴内に収容されるように形成され、前記帯部の他端側を掛止して結束ループを形成させる留部と、を備え、前記帯部の少なくとも片面には複数の掛止溝が形成され、前記留部には、前記帯部の他端側を挿入させる留穴が形成され、該留穴には前記帯部の掛止溝と係合し前記帯部を掛止する掛止歯が設けられていることを特徴とする骨結束バンド。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、骨片を結束させ、骨の接合を助ける骨片結束バンドに関する。 【0002】 【従来の技術】従来、隣接する骨片を人工的に接合させるために金属製の接合部材が使用されていた。この接合部材は、主として、接合用のプレートとこれを固定するボルトから構成されている。これらを用いて骨接合を行う場合には、先ず、接合用のプレートを接合したい骨片間に渡し、このプレートをボルトで固定する。この接合部材により固定された骨片は、骨の新生により骨片間が接合される。 【0003】しかし、ステンレス鋼などの金属性のものは非吸収性であり、こうした異物を治癒後に生体内に残しておくことは、金属腐食などをはじめとする種々の傷害が惹起されるおそれがある。そのため、金属性の接合部材などを利用した場合には、治癒後に再度、治療部位を切開して金属を取り除くことが行なわれていた。 【0004】こうした金属製の問題点を解消するために、生体分解吸収素材からなる骨接合部材の開発が行なわれている。この生体分解吸収素材は、生体内で適当な速度で分解し、この分解物が生体にとって安全であるものをいい、例えば、ポリ乳酸などが含まれる。このような生体分解吸収素材を利用すれば、従来のように治癒後、金属を取り除くための再手術の必要性がなくなるだけではなく、さらに、生体内において金属のような異種の外来部材と長期に接触することを防止することも可能となる。現在のところ、前記生体分解吸収素材からなる骨接合部材としては、接合プレート、ボルトなどが開発されている(OPE nursing Vol.7,No.12:19〜25)。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の金属性のボルトの場合には単に骨片に穴を形成させておけばボルトを挿入しながら同時にネジ山を形成させボルトを骨片に固定することができるが、上記生体分解吸収素材からなるボルトの場合には、金属性のボルトほど強度が高くないため、ボルト固定するには骨片に形成された穴に予めネジ山を形成させる必要が生じた。 【0006】すなわち、この生体分解吸収素材からなるボルトを使用して骨接合を行う場合には、接合したい骨片部分を切開して露出させ、ボルトを挿入するために骨片に穴及びボルトに対応したネジ山を形成する作業が増えることになる。従って、従来の生体分解吸収素材からなる接合部材による骨接合の作業時間を延長させ、同時に骨接合の作業を技術的に複雑なものにすることとなった。 【0007】そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、有用な生体分解吸収素材を用いて骨接合を簡便に行える骨接合部材を提供することである。 【0008】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明の骨結束バンドは、隣接する骨片にそれぞれ形成された穴に架け渡し結束ループを形成して前記骨片を結束させる生体分解吸収素材からなるバンドであって、前記結束ループを形成し得る長さを有する帯部と、前記帯部の一端に前記結束ループを形成させた際に前記骨片の穴内に収容されるように突出形成され、前記帯部の他端を掛止して結束ループを形成させる留部と、を備え、前記帯部の少なくとも片面には複数の掛止溝が形成され、前記留部には、前記帯部の他端を挿入させる留穴が形成され、該留穴には前記帯部の掛止溝と係合し前記帯部を掛止する掛止歯が設けられていることを特徴とする。 【0009】上記本発明の骨結束バンドによれば、バンド全体が生体吸収素材から構成されているため、治癒後に取り除く必要はなく、また、分解物も生体にとって安全である。また、骨結束バンドは従来のように結束プレートとボルトを使用して骨片を結束する場合のように、予め骨片の穴にネジ山を形成する必要がなくなる。すなわち、本骨結束バンドによれば、骨接合に要する時間を減縮することが可能となるとともに、技術的にも簡便に骨接合を行うことが可能となる。さらに、この骨結束バンドは、隣接する骨片を包み込むように結束するため、従来の接合プレートのように一つの面で隣接する骨片を支持し結束する場合よりも結束の強度を高めることも可能となる。また、本骨結束バンドは、骨結束時に留部が骨片の穴に収容されるため、骨片から不要な突出物等が形成されることも防止される。 【0010】 【発明の実施の形態】以下に本発明の好適な実施の形態を図面を用いて説明する。図1には、骨結束バンドにおいて結束ループを形成させ骨片を結束させる際の斜視図を示し、図2には骨結束バンドの平面図、図3にはその正面図を示す。 【0011】本実施形態の結束バンド10は、図1に示すように、隣接する骨片11にそれぞれ形成された穴11aに架け渡し結束ループ15を形成させて、この結束ループ15により骨片11を結束する。この結束ループ15を形成させるために、結束バンド10には、ループ15を形成する帯部12とこのループ15を固定する留部14とが備えられている。各構成について以下に詳細に説明する。なお、図1では、結束ループの形状を理解し易くするために、隣接する他方の骨片は省略しており、また、一方の骨片については、結束バンド10を挿入するために形成された穴11aの部分で切断した断面図を示している。 【0012】上記結束バンド10は、全体又は少なくとも結束ループを形成する部分が生体分解吸収素材から構成される。生体分解吸収素材は、中性に近く、1気圧、37度の温和な環境である生体中で適当な速度で分解し、その分解物が生体に安全である材料であるため、従来のように金属製の骨接合部材を用いた場合の上記種々の問題を解消することができる。 【0013】ここで生体内で加水分解する化学結合様式をもつ生体分解吸収素材は、OPEnursing(vol.7 1076頁)に記載されているようなものが含まれ、具体的には、エステル結合を有するポリグリコール酸(PGA)及びポリ乳酸(PLA)などのポリラクチド(PLA)系高分子やポリリンゴ酸など、エステル及びエーテル結合を有するポリジオキサノン(PDS)など、ペプチド結合を有するコラーゲン、フィブリン、合成ポリペプチドなど、グリコシド結合を有するデンプン、ヒアルロン酸、キチン、キトサンなど、リン酸エステル結合を有する核酸など、炭素−炭素結合を有するポリ−2−シアノアクリル酸エステルなど、ポスファゼン結合を有するポリジアミノホスファゼンなど、その他、酸無水結合、カーボネート結合、オルソエステル結合を有する化合物などである。 【0014】これらの生体分解吸収素材は、使用する部位の運動量等の特性を考慮して所望の分解速度を有するものを選択することができる。例えば、脚、顎などの荷重が係る部位以外の人体の骨片には、ポリ乳酸(PLA)、特にPLLA(ポリL−ラクチド)すなわちL体の乳酸から構成された重合体を使用することができる。このPLA(以下、PLLAを含む意味で用いる)は、60度程度の温和な条件で軟化し、生体内の温度、37度程度では硬化する性質を有する。すなわち、60℃程度という比較的温和な温度で結束バンドを骨片に対応した形状に調整することができ、また、生体温度で硬化するため取り扱いが容易である。また、60℃程度あれば結束バンドを接合させる骨片に接触させてもほとんど傷害を与えることはない。 【0015】結束バンド10を構成する帯部12は、図3に示すように隣接する骨片11の穴11aに架け渡して結束ループを形成させる結束領域12aと、他端側には結束ループ15を形成させる際に操作者が把持するための把持領域12bが設けられている。これらの機能が達成できるものであれば、帯部12の形状は、平たい帯形状であっても、また、断面円形状の紐状としてもよい。帯状とすれば、平坦な骨片との密着度を高めることができる。また、紐状とした場合には、一般に円形に開けられる骨片の穴との密着度を高めることができる。 【0016】上記結束領域12aは、骨片11に密着し骨片を確実に結束し得るように平板状に形成されている。この結束領域12aには片面に、後述する留部14の掛止歯に掛止させて結束ループ15を形成させるための掛止溝16が一定の間隔で複数形成されている。この掛止溝16の間隔は、結束ループ15の長さを微調整できるように狭い間隔に設定することが望ましい。但し、この間隔については、結束する骨片の大きさ、位置などに対応して決定することができる。また、ここでは、この掛止溝16は帯部12の内側面、すなわち、結束ループ15の内側となる面に形成されているが、結束ループ15の外側となる面に形成されていてもよく、また、留部14における帯部12の固定を強固にするために両面に形成させてもよい。 【0017】上記各掛止溝16には、図4(B)に示すように、後述する掛止歯24の上を帯部12が前進方向、すなわち結束ループ15を絞め付ける方向にスライド可能にするスライド斜面18が形成されている。一方、このスライド斜面18に対向する面には、逆に帯部12が後退方向、すなわち結束ループ15が緩む方向に進まないようにするための掛止面19が形成されている。これらスライド斜面18及び掛止面19と、留部14の掛止歯24との作用については後述する。 【0018】上記結束領域12aの端部には、把持領域12bが一体構成されている。この把持領域12bは、図2及び3に示すように操作者が把持し易いように結束領域12aと同様に平板状に形成されている。また、この把持領域12bは、後に詳述する留部14の留穴から帯部12を引上げ易くするために、一定の角度で折り曲げられている。この角度が用いる部位により適切に定めることができるが、例えば、15℃とすることができる。また、図には示していないが、この把持領域12bを確実に把持し力をかけ易くするために、把持領域12bに滑止め加工等を施してもよい。滑止め加工としては、例えば、突起や細かいエッジの形成等が挙げられる。なお、この把持領域12bは、操作者が骨片を結束する際に把持する目的で設けられたものであり、骨片の結束後は、この部分は切除される。このため、この部分は必ずしも生体分解吸収素材で構成する必要はない。 【0019】また、上記帯部12には、図4(A)に示すように、ガイド縁部20が形成されている。このガイド縁部20は、帯部13の両側の縁に丸みを与え、帯部12が生体内を骨片11に沿って移動する際、及び後述する留部14の留穴内を移動する際に両側からその進行を案内して帯部12の円滑な移動を助ける。 【0020】前記帯部12を固定して結束ループ15を形成させる留部14は、帯部12の一端に一体形成されている。この留部14は、図1に示すように、結束ループ15を形成させた際に骨片11の穴11aに収容されるように帯部12から突出形成されている。この留部14は、骨片の穴の形状に対応した形状に形成される。ここでは、図1及び2に示すように骨片11の穴11aが一般に円形状に開けられることから、この穴11aの形状に対応して留部14を円筒形状に形成している。また、留部14の高さは骨片11の厚みに対応して構成し、骨片11より突出しないように構成することが好ましい。従って、使用する部位の骨片11に対応して留部14の高さを設計することがよい。 【0021】また、留部14には、帯部12を挿入し掛止させるための留穴22が形成されている。この留穴22の形状を図4(B)に示す。この留穴22は、帯部12に対して直角方向に形成させてもよいが、挿入した際の帯部12への負担及び帯部12の挿入を容易にするためには、結束ループ15から外側に向かって傾斜させることが好ましい。 【0022】また、この留穴22の内部には、帯部12の平滑面16dに対応して、この平滑面16dを滑らせ結束ループ15の形成、締付け等を円滑に行わせるためのガイド摺動面26が形成されている。このガイド摺動面26の対向面には、帯部12の掛止溝16に対応して掛止歯24が形成されている。 【0023】この掛止歯24は、留穴22の内部に向かって突出し、先端面には留穴22の傾斜に対応したテーパ面24aが形成されている。すなわち、この掛止歯24のテーパ面24aは、帯部12が留穴22の内部を通る際に、帯部12の掛止溝16のスライド面18と摺動係合して帯部12の前進を可能とし、これにより結束ループの形成及び締付けを可能としている。 【0024】一方、この掛止歯24の一側面にはストッパ面24bが形成されている。このストッパ面24bは、帯部12が留穴22内に挿入された際に、帯部12に形成された掛止溝16の掛止面19と係合し帯部12を掛止する。このストッパ面24bと掛止面19との係合により、帯部12が後退方向にずれること、すなわち、結束ループ15が緩むことが防止される。 【0025】上記掛止歯24は、留穴22内に一つのみ形成してもよいが、帯部12をより確実に掛止させるためには複数設けることが好ましい。この掛止歯24の数は、留部14の厚み及び掛止溝16の形成間隔により定めることができる。なお、図4では、留部14において、掛止溝16に対応した間隔で掛止歯24を3つ形成させている。但し、この数に限定されない。 【0026】次に、上記の通り構成された結束バンドの作用について説明する。なお、ここでは、生体分解吸収素材としてPLAを用いた場合を例として示す。 【0027】上記結束バンド10により骨片を結束する場合には、先ず、患部を切開して背接合させる隣接する骨片にそれぞれ穴を形成する。この間に、PLAからなる結束バンド10を60℃程度に加温して軟化させる。軟化した結束バンド10は、隣接する骨片への装着する。この装着は、先ず、上記において形成された一方の骨片11の穴11a内に留部14を収容配置させ、帯部12の先端を隣接する他方の骨片の穴に挿入させる。ここで挿入された帯部12の先端は生体内を隣接する一方の骨片11に向かって前進させ、前記一方の骨片11の穴11aから引き上げる。この引上げの際には、帯部の先端を留部14の留穴22に挿入する。留穴22から帯部12の先端の把持領域12bが出てきたところで、操作者は、この把持領域12bを把持し帯部12の先端を引上げる。留穴22内に帯部12の結束領域12aが到達すると、結束領域12aに形成された掛止溝16と留穴22内の掛止歯24とが係合し、掛止溝16の掛止面19が掛止歯24のストッパ面24bに掛止され、これにより結束ループ15が形成される。 【0028】ここで、結束ループ15が緩く隣接する骨片をしっかりと結束されていない場合には、帯部12の端部をさらに引上げ、結束ループ15を締め付ける必要がある。この場合、帯部12を引き上げることにより、留穴22では、帯部12上のスライド斜面18が留穴22の内のテーパ面24aと摺動しながらスライドし、結束ループ15が締付けられる。一方、締め付けられた結束ループ15は緩む方向に復帰する力が働くが、留穴22内では、帯部12の掛止溝16の掛止面19が留穴22内の掛止歯24のストッパ面24bに掛止されているため、帯部12の後退して結束ループ15の緩みは防止される。 【0029】最終的に、留穴22から突出している帯部12の部分、すなわち、把持領域12b及び結束領域12aの余分な部分が切断され、骨片11には結束ループ15の部分のみが残されて患部が縫合される。この骨接合の作業中または縫合後に結束バンド10は生体温度まで冷却され硬化して、結束ループ15はしっかりと隣接する骨片11を結束する。この結束ループ15で結束された骨片は、骨新生などにより骨接合が進行する。一方、結束バンド10は生体内で緩やかに分解されて生体内に吸収される。このため、結束ループ15を切除するために、患部を再度切開する作業は不要となる。 【0030】なお、上記実施形態では、帯部12を一定の幅、及び厚みのものを示したが、骨片に対応して、この構成を自在に変形することは可能である。また、骨片の結束に支障を与えない範囲で帯部12に支持プレートを取り付けたり、また、並行して装着された結束ループ間に補強部材など架橋してもよい。 【0031】以上の通り、本実施形態の結束バンドによれば、生体分解素材から構成され、また、従来のように骨片にネジ山を形成させる必要がないため、時間的及び技術的に簡便に骨接合を行うことが可能となる。また、結束ループは、結び目などを生体に形成せず、留部は骨片の穴内に収容されるため、生体に不要な隆起などを形成させることも防止されている。 【0032】 【発明の効果】以上の通り、本発明によれば、本実施の形態の結束バンドによれば、有用な生体分解吸収素材が利用され、また、従来のように骨片にネジ山を形成させる必要がないため、時間的及び技術的に簡便に骨接合を行うことが可能となる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】594001775 【氏名又は名称】協和時計工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年1月13日(1999.1.13) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100075258 【弁理士】 【氏名又は名称】吉田 研二 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−201941(P2000−201941A) |
| 【公開日】 |
平成12年7月25日(2000.7.25) |
| 【出願番号】 |
特願平11−6798 |
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