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【発明の名称】 X線診断装置
【発明者】 【氏名】渡▲辺▼ 直人

【氏名】大石 悟

【要約】 【課題】装置の角度付けに関わらず、常に検出器を被検者に適切に密着させることができること。

【解決手段】X線平面検出器1はX線発生部と対向配置されX線ビーム軸2によってアーム52に保持され回転手段3により回転可能である。回転手段3内部のアクチエータ5は回転部3aをX線軸を中心として軸回転させる。これにより、複合角度付けをした際でもX線平面検出器1を被検者に密着できる。また、X線平面検出器1を被検者の頭頂方向が常に撮影画像の上部となるよう回転できる。画像処理手段は、X線軸を中心とする軸回転方向に撮影画像を回転変換し、X線平面検出器が軸回転できない場合であっても、電気的に撮影画像を軸回転させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 被検者に対してX線を曝射するX線発生部と、前記X線発生部と対向して配置され該X線発生部から曝射されたX線が被検体に吸収されることにより得られたX線分布を画像に変換するX線検出部と、前記X線発生部及びX線検出器を所望の角度付けを可能として支持する支持部と、前記支持部と前記X線検出部の間に設けられ、前記X線検出部を前記X線発生部の焦点と該X線検出部を結ぶX線軸を中心として軸回転方向に回転可能に保持する回転手段とを備えることを特徴とするX線診断装置。
【請求項2】 前記X線検出部は、複数の固体検出素子を有し前記X線発生部から曝射されたX線が被検者に吸収されることにより得られたX線分布を画像に変換するX線平面検出器であることを特徴とする請求項1記載のX線診断装置。
【請求項3】 前記回転手段により前記X線検出部の回転方法を選択するための切替手段を有することを特徴とする請求項1又は請求項2のX線診断装置。
【請求項4】 前記回転手段は、前記X線検出部を手動操作により任意の角度に回転自在なことを特徴とする請求項1又は請求項2のX線診断装置。
【請求項5】 前記回転手段には、回転駆動源としてのアクチエータが設けられ、該アクチエータを電動制御して前記X線検出部を任意の角度に回転自在なことを特徴とする請求項1又は請求項2のX線診断装置。
【請求項6】 検診に必要な角度付けと前記X線検出部の回転角度を対応付けしたプリセットデータを予め記憶する記憶手段を備え、該プリセットデータに基づき所望する角度付けに対応して前記回転手段の回転角度を制御することを特徴とする請求項1又は請求項2のX線診断装置。
【請求項7】 被検者に対してX線を曝射するX線発生部と、複数の固体検出素子を有し前記X線発生部から曝射されたX線が被検者に吸収されることにより得られたX線分布を画像に変換するX線平面検出器と、前記X線発生部及びX線検出器を所望の角度付けを可能として支持する支持部と、前記支持部と前記X線検出器の間に設けられ、前記X線検出器を回転可能に保持する回転手段とを備えたことを特徴とするX線診断装置。
【請求項8】 前記回転手段は、前記X線平面検出器と支持部の交点を中心として、前記X線平面検出器を前記X線発生部の焦点とX線平面検出器を結ぶX線軸を中心とする軸回転、及び前記支持部と前記X線平面検出器同士間のなす角度を変える面回転を合成した方向に前記X線平面検出器を回転自在なことを特徴とする請求項7記載のX線診断装置。
【請求項9】 前記回転手段は、X線軸を中心とする軸回転方向に前記X線平面検出器を回転自在であり、前記X線平面検出器を被検者の特定の部位が常に撮影画像上で一定の方向となるよう回転自在なことを特徴とする請求項7記載のX線診断装置。
【請求項10】 前記X線平面検出器から出力された撮影画像を所定の画像処理により前記X線軸を中心とする軸回転方向に回転変換する画像処理手段を備えたことを特徴とする請求項7記載のX線診断装置。
【請求項11】 前記画像処理手段は、前記回転変換時に併せて撮影画像に対するアフィン変換を実行処理することを特徴とする請求項10記載のX線診断装置。
【請求項12】 前記回転手段により前記支持部と前記X線平面検出器同士間のなす角度を変えるよう面回転した際に前記X線平面検出器から出力される撮影画像の画像の歪みを非線形変換で補正する画像処理手段を備えたことを特徴とする請求項8、請求項10又は請求項11のいずれかに記載のX線診断装置。
【請求項13】 前記画像処理手段は、前記回転変換した撮影画像の領域と該撮影画像を表示する表示手段に設定された所定の表示領域との相対的な領域の大小に基づき、前記表示領域の拡大処理、若しくは前記撮影画像の縮小処理のいずれか一方若しくは双方を組み合わせて実行することを特徴とする請求項10、請求項11又は請求項12のいずれかに記載のX線診断装置。
【請求項14】 前記画像処理手段は、前記回転変換した撮影画像を縮小処理する際には縮小の度合いの指標を前記撮影画像とともに表示手段に表示することを特徴とする請求項13記載のX線診断装置。
【請求項15】 前記画像処理手段は、前記回転変換した撮影画像の領域と該撮影画像を表示する表示手段に設定された所定の表示領域との相対的な領域の大小に基づき、前記表示領域内で前記撮影画像を移動可能に表示処理することを特徴とする請求項10、請求項11又は請求項12のいずれかに記載のX線診断装置。
【請求項16】 前記回転手段により前記X線平面検出器を回転させた際に、前記表示手段の所定の表示領域内に表示される撮影画像のうち前記表示領域からはみ出した範囲に前記X線発生部のX線が前記被検者に曝射されないよう絞りを制御する絞り制御部を備えたことを特徴とする請求項10、請求項11又は請求項12のいずれかに記載のX線診断装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、色々な角度から被検体内部の例えば血管構造等を観察するためのカテーテル検査やカテーテルを用いた治療を支援するためのX線診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図14は、従来のX線診断装置である循環器用保持装置を示す斜視図である。図示の装置は、寝台56を挟んでX線発生部50とX線検出部51がアーム52の両端部に対向配置され固定保持されている。アーム52の形状は大きく分けて、C型とU型が知られているが、三次元的ポジショニングの効率化(複合角度付け)の観点から、現在では図示のようなC型が主流になってきている。アーム52はホルダ53によって図中A方向にスライド可能に保持されている。このホルダ53は、ホルダ支柱部54に主軸回転方向に回転可能(図中B方向)に保持されている。この支柱部54は支柱回転方向に回転可能(図中C方向)に天井または床に取り付けられる。そして、図示のような天井吊りタイプのものは、天井にレールを設けて水平軸方向(図中D方向)の1方向または2方向に水平移動が可能となっている。
【0003】X線検出部51としては、イメージ・インテンシファイヤ(以下I.I.と称す)が用いられており、被検者を透過したX線情報を光学情報に変換し、この光学情報を光学レンズで集光してTVカメラ55に取り込み、画像表示を行うようになっている。TVカメラ55には回転機構が組み込まれており、アーム52の角度付けに応じてTVカメラ55を機械的に回転し、被検者の表示像が常に一定の方向になるように制御している。このX線検出部51は移動機構(不図示)により、上下動方向(図中E方向、X線発生部50側及び反X線発生部側)に移動可能となっている。
【0004】このようなX線診断装置を用いることにより、色々な角度から被検体内部の例えば血管のような構造を観察することができる。この際、医師が観察する画像上で患者がどちら向きであるかを常に把握できるように、被検体の任意の方向が常に画像上の上を向くようになっている。例えば循環器用のX線診断装置では患者の頭頂方向が常に画像の上部に位置するよう画像表示されている。このため、従来の上記のようなX線診断装置ではI.I.−TV系のTVカメラ55を回転させることにより、例えば頭頂方向の画像が常に上を向くように構成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】I.I.−TV系は、自重が重く大型であり循環器用保持装置が重くかつ大型化するため、これに代わる新たなX線検出部としてI.I.−TV系に比べて検出器が軽量でコンパクトなX線平面検出器が開発された。このX線平面検出器は、例えば主に電荷を形成する画素と、画素により形成された電荷を蓄積する電荷蓄積用ダイオードと、電荷読み出し用の電界効果トランジスタ(TFT)とからなる複数のX線検出素子を2次元的に配列すると共に、各X線検出素子の前面に蛍光膜を設けることで構成されている。このようなX線平面検出器は、入射されたX線を蛍光膜で光に変換し、画素によりこの光の光量に対応する電荷を形成して電荷蓄積用ダイオードに蓄積する。そして、TFTを順次駆動して各電荷蓄積用ダイオードに蓄積された電荷を撮像信号として読み出す。これにより、X線像の取り込みが可能となる。
【0006】ここで、透視撮影時、高画質像を得るためにX線検出部は被検者にできるだけ密着させるのが好ましい。X線検出部としてI.I.が用いられている場合、I.I.は略円筒形状をしており、被検者に密着させる面は円形であることから、保持装置の角度付けに応じて、どの円形部分を被検者へ当てがってもその密着性は変わらない。
【0007】しかし、X線平面検出器は一般に矩形形状をしており、スライド/主軸回転等の複合角度付けをした場合、検出器の角部が被検者に突き刺さる方向に位置することがある。この場合、検出器を被検者に密着することができず、所望部位の像を効率よく得ることができない。また、安全性の観点からも望ましいことではない。
【0008】上記のX線平面検出器は、I.I.−TV系のように構成要素の1つだけ、いわゆるTVカメラだけを回転させることができない。このため特願平10−034999号公報に開示された装置は、X線平面検出器本体を回転させることにより、この問題を解決している。しかし実際には、特に患者と密接した撮影をしなければならない場合や、頭頂若しくは足元方向に深い角度付けを必要とする場合、患者の体が回転の邪魔となってしまい、このような動作だけでは上記の問題を解決できない。これに対し、特願平10−102978号公報に開示された装置では、このような患者の体が邪魔になる問題を解決するために、X線平面検出器をX線と対向しないような動きをさせる機能をX線平面検出器と支持器の間に設け、患者の体が邪魔になる撮影を可能としている。しかし特願平10−102978号の構成では、あくまで患者の体が邪魔して深い角度付けが出来ない問題を解決する機能を提供しているだけである。
【0009】本発明は、上述の課題に鑑みてなされるものであり、装置の角度付けに関わらず、常に検出器を被検者に適切に密着させることができるようなX線診断装置の提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明に係るX線診断装置は、上述の課題を解決するために、被検者に対してX線を曝射するX線発生部と、前記X線発生部と対向して配置され該X線発生部から曝射されたX線が被検体に吸収されることにより得られたX線分布を画像に変換するX線検出部と、前記X線発生部及びX線検出器を所望の角度付けを可能として支持する支持部と、前記支持部と前記X線検出部の間に設けられ、前記X線検出部を前記X線発生部の焦点と該X線検出部を結ぶX線軸を中心として軸回転方向に回転可能に保持する回転手段を備えることを特徴とする。この構成によれば、回転手段はX線検出部を回転自在に保持するため、支持部で複合角度付けなどを行った際においてもX線検出部を被検者に適切に密着できる。
【0011】請求項2記載のX線検出部は、複数の固体検出素子を有し前記X線発生部から曝射されたX線が被検者に吸収されることにより得られたX線分布を画像に変換するX線平面検出器で構成したことを特徴とする。この構成によれば、平面状のX線平面検出器を複合角度付けした際においても、このX線平面検出器を被検者に適切に密着できるようになる。
【0012】請求項9記載の発明は、回転手段がX線軸を中心とする軸回転方向に前記X線平面検出器を回転自在であり、前記X線平面検出器を被検者の特定の部位が常に撮影画像上で一定の方向となるよう回転させることを特徴とする。この構成によれば、表示領域上での撮影画像が示す被検者の特定の部位を常に一方向に向けることができる。
【0013】請求項10記載の発明は、X線平面検出器から出力された撮影画像を所定の画像処理により前記X線軸を中心とする軸回転方向に回転変換する画像処理手段を備えたことを特徴とする。この構成によれば、複合角度付けによってX線平面検出器が軸回転できない場合であっても、電気的に撮影画像を軸回転させることができ、表示領域上での撮影画像が示す被検者の特定の部位を常に一方向に向けることができるようになる。また、X線検出器が支持部に固定されているX線診断装置であって表示領域上で撮影画像を回転させることができるようになる。
【0014】請求項13記載の発明による画像処理手段は、前記回転変換した撮影画像の領域と該撮影画像を表示する表示手段に設定された所定の表示領域との相対的な領域の大小に基づき、前記表示領域の拡大処理、若しくは前記撮影画像の縮小処理のいずれか一方若しくは双方を組み合わせて実行することを特徴とする。この構成によれば、撮影画像を電気的に回転変換しても表示領域から撮影画像がはみ出ることがなく撮影画像の全体を表示領域内に表示可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係るX線診断装置の好ましい実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0016】「第1の実施の形態」まず、図1は、本発明の第1実施形態の要部である回転手段の部分を示す図である。X線診断装置の全体構成は、前述した図13の構成と同様にX線発生部50と、相対向するX線検出部51とを有しており、その詳細な説明は省略する。図1(a)の外観図に示すように、この発明で用いるX線平面検出器1は前記X線検出部51として配置されるものであり、X線ビーム軸2によりX線平面検出器1をX線軸(X線平面検出器とX線発生部50の焦点を結ぶ軸線)を中心として回転(軸回転)可能である。すなわち、このX線ビーム軸2には回転手段3が設けられ、回転部3aがX線平面検出器1側に固定され図中F方向に回転可能に保持している。
【0017】図1(b)は、回転手段3の内部構造を示す断面図である。この回転手段3は、大径ベアリング4で回転部3aを保持している。また、動力系にはモータ等のアクチュエータ5が用いられ、回転角度固定保持用のクラッチ6を介して図示のスプロケット7、あるいはベルト等で回転部3aの内周面に形成されたギヤ8に回転動力を伝達する構成となっている。また、回転部3aの回転角度は、ギヤ8にスプロケット9を介して連結されたポテンショメータ10により検出されるようになっている。
【0018】また、回転手段3の他の構成例を図2の断面図に示す。図示のように、回転保持ベアリングおよび回転位置検出器を内蔵する中空型ダイレクトドライブモータ(以下D.D.モータと称す)12を用いてもよい。なお、これらの構成において回転部3aが回転することによりX線平面検出器1のケーブル11の捻れ(及び断線)はスリップリング13を用いて防ぐことができる。これにより、回転手段3部分でX線平面検出器1を軸回転させた場合に回転角度に制約が生じず自在な回転が可能となる。
【0019】次に、図3は、X線平面検出器1の回転制御の手順を示すフローチャートである。X線平面検出器1の回転は次の3つのモード(モード1,2,3)でそれぞれ回転制御可能となっている。以下、各モード別に回転制御内容を説明する。
【0020】「第1のモード」図1に示すように、X線平面検出器1の把手部14には手動切替スイッチ15が設けられている。手動切替スイッチ15のOFF時はX線平面検出器1が回転しないようクラッチ6が回転部3aを固定保持している。一方、手動切替スイッチ15を操作しONに切り替えることにより(SP1)、モータ5に接続されているクラッチ6を解除して手動でX線平面検出器1を軸回転できるようにする(ST1)。なお、D.D.モータ12で構成した場合には、このD.D.モータ12を無励磁状態とすれば回転可能となる。
【0021】「第2のモード」近設スイッチまたは遠隔の電動スイッチ(不図示)が操作されることにより(SP2)、X線平面検出器1を軸回転できるようにする(ST1)。
【0022】「第3のモード」装置の角度付け(SP3)に応じた必要回転量をプリセットデータとして予めシステムの記憶手段に記憶しておき(SP4)、この記憶手段のプリセットデータに基づき角度付けに応じた回転量を得てX線平面検出器1を自動的に軸回転させる(ST1)。
【0023】このような第1〜第3のモードによりX線平面検出器1を回転制御することにより、表示像が回転しないように電子的に表示像を回転できるようになる。この表示像の回転は、X線平面検出器1の回転方向(F方向)の回転量を前記ポテンショメータ10で検出し(ST2)、また、前述した循環器用保持装置のスライド(A方向)/主軸回転(B方向)/支柱回転(C方向)の各軸の回転量を不図示のポテンショメータ等で検出し(ST3)、これらによりシステムが表示像の回転量を算出し(ST4)、被検者の表示方向が常に一定になるように表示像を軸回転させる(ST5)。
【0024】尚、この例の場合3つのモードを設けたが、これは、いずれか1つのモードのみ設けるようにしてもよい。或いは、いずれか2つのモードを設け、これらを切り替えて使用するようにしてもよい。
【0025】「第2の実施の形態」次に、図4は第2実施形態におけるX線診断装置の全体構成を示すブロック図である。この実施形態ではX線平面検出器1から出力された撮影画像を電気的に画像処理する画像処理手段20を備えている。
【0026】画像処理手段20は、X線平面検出器1からアナログ情報として供給される撮影画像をディジタル化するA/D変換器21と、撮影部20の撮影条件を記憶する撮影条件用メモリ22と、収集画像を記憶する画像用メモリ23と、撮影画像をアナログ化して画像表示部25に表示出力するD/A変換器24、画像を拡大、縮小、回転等アフィン変換を施すアフィン変換部26、撮影画像を観察しやすいように濃度変換する濃度変換部27、目的の形状を見易くするエッジ強調部28、画像の歪みを補正する非線形変換部29、X線平面検出器1を回転自在に保持する前記回転手段3、X線平面検出器1の回転を制御する回転制御部30とを有している。
【0027】撮影条件検出部31は、撮影条件用メモリ22に、患者名、患者ID、撮影日時、撮影角度、検出器の回転角度、撮影モード(検出器の視野の大きさ)、管電圧、管電流、パルス幅等の撮影条件を記憶する。
【0028】アーム52は、前述したようにスライド回転(A方向)と主軸回転(B方向)のどちらか、若しくはその両方を合成した複合角度付けが可能で、被検者の血管などを見易い任意の方向から撮影を行う。
【0029】このアーム52には前述したX線ビーム軸2が設けられ、回転手段3を介してX線平面検出器1を回転自在に保持している。ここで回転手段3は、前述したように、X線平面検出器1をX線発生部50の焦点とX線平面検出器1を結ぶX線軸を中心として軸回転させる。また、不図示であるが、X線ビーム軸2は、X線X線平面検出器1とアーム52の交点を中心として、アーム52とX線平面検出器1同士間のなす角度を変える方向に回転(面回転と称す)させる機能を有している。
【0030】ここで、X線平面検出器1の軸回転の角度が仮に固定の場合、常に撮影画像上の上方向が被検者の一方向を向くことにはならない。例えば図5の斜視図に示す如く、寝台56に対しアーム52が横入れで設置され、被検者の頭が常に画像上で上方向を向いている状態を考察する。
【0031】被検者の真正面から撮影している場合(X線平面検出器1が被検者の真上ある場合)、図6に示すように主軸回転の回転軸から見て左側が被検者の頭方向を向いている。しかし、もし被検者の右方向45度、頭頂方向45度の合成角度から観察できるように角度付けをしてアーム52を軸回転させると、被検者の頭頂方向を向いているのは、図7に示すように主軸回転の回転軸から見て左向こう側となる。この場合、被検者の頭頂方向が常に撮影画像の上方向を向いているためには、アーム52が主軸回転の回転軸から見て左向こう側に軸回転しなければならない。しかし被検者とX線平面検出器1との距離によっては、アーム52が同方向に軸回転できない場合が生じる。
【0032】このような場合には、X線平面検出器1を面回転させることにより被検者への接触を避け、且つ目的の方向に回転できる(被検者の頭頂方向が撮影画像の上方向を向く)ようになる。但し、このような面回転を行うと、場所によって拡大率が変わってくるので、画像に歪みが発生する。例えば、X線平面検出器1が回転する箇所に多数の正方格子からなるファントムを設置した場合には、正方格子ファントム35は図8(a)に示すように歪んでしまう。これは本来図8(b)に示すように正方格子が観察されなければならない。このような場合には、撮影画像は、前記非線形変換部29にてアイソセンターを通り、X線発生部50と対向する面の拡大率が一定になるように補正する。
【0033】次に、上記第2実施形態の構成における検査処理の流れを説明する。まず検査者がアーム52を操作して、被検者の目的の部位を観察しやすい任意の方向を決定する。決定された角度は撮影条件検出部31に出力される。回転制御部30は、撮影条件検出部31から読み込んだ撮影角度を設定することによって、撮影画像上部と被検者の任意の方向(例えば場合頭頂方向)が相違することとなる場合にはその変化角度(差分の角度)を検出し、その変化分だけ回転手段3を回転制御させる。回転制御部30は、X線平面検出器1を上記変化分だけ軸回転させるが、被検者とX線平面検出器1の距離の関係で軸回転できない場合など、回転手段3に対して所定の力が検出されると(例えば被検者と接触した際の負荷検知を受けて)回転制御を中止処理する。そして回転制御部30は、所望する角度に回軸転ができなかった旨を図示しない状態表示部(あるいは画像表示部25)などに表示出力し検査者に伝える。
【0034】この後、検査者によりX線平面検出器1を手動操作で適切に面回転させることにより、再び回転制御部30は回転手段3に対し前記変化分に達するまで同様に回転制御を実行し、回転手段3が目的の角度に達すれば回転が終了したことを状態表示部に表示出力する。この回転終了後、なるべくX線平面検出器1とX線発生部50が正対するように、再度X線平面検出器1を面回転させても良い。
【0035】このように観察角度とX線平面検出器1の角度付けが設定された後、予め設定しておいたX線条件で撮影を実行する。撮影画像はアナログ信号としてX線平面検出器1から取り出され、A/D変換器21にてディジタル信号に変換される。変換されたディジタル信号は、非線形変換部29にて歪みを補正された後、いったんハードディスクやRAIDからなる画像用メモリ23に記憶される。歪みは、撮影条件用メモリ22から得られるX線平面検出器1の回転角度を元に決定され、補正される。補正像は必要によってアフィン変換部26によるアフィン変換や、エッジ強調部28によるエッジ強調変換、濃度変換部27による濃度(濃淡階調)変換等が実行された上でD/A変換器24にてアナログ信号化された後、画像表示部25に表示される。
【0036】なお、上述の第2の実施形態で説明した回転制御部30は、X線平面検出器1が軸方向に回転できない場合、手動操作で面回転させる構成であった。しかしながら、面回転を電気的に行える機構を付加することにより、撮影角度等の情報に基づいて、撮影画像上部と被検者の任意の方向(例えば頭頂方向)の変化角度を検出して前記軸回転及び面回転をいずれも電気的に制御することもできる。
【0037】「第3の実施の形態」次に、図9は、第3実施形態のX線診断装置の全体構成を示すブロック図である。同図において前述してある構成は同一の符号を附して説明を省略している。この実施形態では絞り制御部33が新たに設けられている(詳細は後述する)。
【0038】このような構成による検査処理の流れを説明する。まず、検査者がアーム52を操作して、目的の部位を観察しやすい任意の方向を決定する。決定された角度は撮影条件検出部31に出力され、回転制御部30は、撮影条件検出部31から読み込んだ撮影角度に基づき回転手段3を回転制御するが、この回転によって撮影画像上部と被検者の任意の方向(この場合頭頂方向)が変わる場合には、その変化角度を検出し、その変化分だけ回転手段3を回転制御する。回転制御部30は、X線平面検出器1を変化分、軸回転させるが、もし被検者とX線平面検出器1の距離の関係で回転できない場合など、回転手段3に所定の負荷が加わると(例えば被検者と接触すると)回転制御を中止する。この際、回転制御部30は適切な回転ができなかったことを状態表示部(不図示)に表示し操作者に適切な回転ができなかったことを伝える。
【0039】このように直接、X線平面検出器1を回転できない場合における画像の回転は、画像処理により電気的に回転させる。この際、操作者の操作によって回転制御部30は撮影条件用メモリ22に画像処理によって回転させる際の角度θを記憶させる。この際、回転角によって表示領域に表示できる範囲が狭まることとなる。したがって、表示領域からはみ出る領域の部位が診断に必要な情報でないと判断した場合、その表示領域からはみ出した範囲にX線が曝射されないように、絞り制御部33による絞り制御を実行させる。一方、表示領域からはみ出した部位に必要な情報がある場合は、その部位への曝射を絞らない。このように、絞り制御部33による絞り制御を実行するか否かは、検査者が図示しないスイッチにて選択設定するようになっている。
【0040】そして、予め設定しておいたX線条件で撮影を行う。撮影画像はアナログ信号としてX線平面検出器1から取り出され、A/D変換器21にてディジタル信号に変換される。変換されたディジタル信号は、いったんハードディスクやRAIDなどで構成される画像用メモリ23に記憶される。撮影画像にはアフィン変換26が施された後、必要によってエッジ強調部28によるエッジ強調変換や、濃度変換部27による濃度変換等を行った上で、D/A変換器24でアナログ信号に変換された後、画像表示部25に表示出力される。上記アフィン変換は一般的には下記式(1)のように変換される。
【0041】
【数1】

ここで(x,y)、(X,Y)がそれぞれ変換前後の座標系、A,B,C,Dが拡大、縮小、回転を行う変換係数、E,Fが平行移動を行う変換係数である。しかし本実施形態では、常に角度θの回転が必要であるので、下記式(2)のようにA,B,C,Dの代わりにA’,B’,C’,D’を用いて変換される。
【0042】
【数2】

また画像表示部25では、規定の表示領域40に規定の大きさで画像を表示しようとした場合において、撮影画像を上記のように画像処理して角度θだけ回転させると、図10に示すように撮影画像41の一部に表示領域40からはみ出す部位41aが発生する(図中斜線部)。この際、前述した絞り制御部33により、この部位41aにX線が曝射されないよう絞りを動作させ、X線が曝射されいる部位のみ、規定の大きさで規定の表示領域40内に撮影画像41を表示させる。
【0043】一方この部位41aに必要な情報がある場合は、その部位への曝射を行う。そして、アフィン変換部26にて画像を縮小して規定の表示領域40内に表示するか、規定の表示領域40を広げて撮影画像41全体を表示制御する。
【0044】図11は、上記絞り制御部33によって被検者に対するX線の曝射領域を可変するコリメータを示す図である。図11(a)に示すコリメータ37は、複数のコリメータ片37aがそれぞれX線軸を中心として放射方向に移動可能な構成である。図示の例では計8個のコリメータ片37aが設けられている。そして、X線平面検出器1が図10記載のような軸回転(θ=45度)を行った場合に、絞り制御部33は、各コリメータ片37aを移動制御して表示領域40と撮影画像41が重なった領域のみ(図示の如く8角形の)X線の曝射領域となるように絞る。これにより、前記はみ出した部位41a部分のX線が被検者に曝射されることを防止できる。また、X線軸の中心に対する各コリメータ片37aの角度が可変自在とすることにより、X線平面検出器1の軸回転の角度θに対応して各コリメータ片37aの角度を可変させることができる。
【0045】また、図11(b)に示すコリメータ38は、それぞれ四角形状のコリメータ片38a,38bからなる。このコリメータ片38a,38bは、互いが重なった領域のみX線の曝射領域となっている。そして、絞り制御部33は、一方のコリメータ片38aは表示領域40の角度(通常は固定)に連動して回転し、他方のコリメータ片38bは撮影画像41の角度、即ちX線平面検出器1の軸回転角度θに連動して回転制御する。従って図示の如く、各コリメータ片38a,38bを回転制御することにより、表示領域40と撮影画像41が重なった領域のみ(図示の如く8角形の)X線の曝射領域を形成することができ、前記はみ出した部位41a部分のX線が被検者に曝射されることを防止できる。
【0046】ところで、撮影画像41を上記のように縮小処理した場合、縮小の度合いが容易に判るように図12(a)の如く表示領域40上に縮小率の指標として文字、数値表記43などで同時に表示する。若しくは、図12(b)に示すように縮小率の指標を基準となる長さを示すスケールバー44などで同時に表示する。このスケールバー44は縮小率に対応して同時に長さが変更されることになる。また、これらのような画像縮小や表示領域の拡大を施さずとも、表示領域40上にスクロールバー(不図示)を表示することにより表示領域40上からはみ出した部位が見えるよう画像そのものを移動できるよう構成することもできる。
【0047】上記第3実施形態で説明した構成は、X線平面検出器1が回転可能な限度位置まで回転手段3により機械的に軸回転させ、回転できない範囲は画像処理にて回転させる構成である。しかしながら、このような電気的な画像処理で撮影画像を回転させる構成は、上記回転手段3(及び回転制御部30)を有しない構成の装置(図13に記載)に適用することもできる。これにより、X線平面検出器1がアーム52に直接固定されたような構成であっても画像処理だけで回転させることができるようになる。
【0048】最後に、上述の各実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、各実施の形態に限定されることはなく、各実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば種々の変更が可能であることは勿論である。
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、回転手段によってX線検出部が回転可能に構成されているため、角度付けを行った場合であっても平面状のX線検出部を被検者に密着させることが可能となる。また、表示領域上での撮影画像の角度を可変出来るため、所望する部位の撮影画像を効率的に収集および表示できるようになる。さらに、表示領域上での撮影画像が示す被検者の特定の部位を常に一方向に向けることもできるようになる。
【0050】また、画像処理手段は、X線平面検出器から出力された撮影画像を所定の画像処理によりX線軸を中心とする軸回転方向に回転変換する構成であり、複合角度付けによってX線平面検出器が軸回転できない場合であっても、電気的に撮影画像を軸回転させることができ、表示領域上での撮影画像が示す被検者の特定の部位を常に一方向に向けることができるようになる。
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【出願日】 平成11年1月11日(1999.1.11)
【代理人】 【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和 (外7名)
【公開番号】 特開2000−201909(P2000−201909A)
【公開日】 平成12年7月25日(2000.7.25)
【出願番号】 特願平11−4423