| 【発明の名称】 |
血糖値測定方法及びその装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】野田 光彦
【氏名】木村 美紀夫
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| 【要約】 |
【課題】吸光度2次微分値を用いて血糖値を求める際の血液以外の生体構成成分による赤外光吸収の影響を低減することで、無侵襲血糖値測定の測定精度を向上させる。
【解決手段】カフ8により押圧力を作用させて被測定部位Fの静脈血流を停止させた状態で、光源2から互いに異なり且つ近接する波長λ1,λ2,λ3の近赤外光を生体被測定部位Fに照射し、透過した3つの波長λ1,λ2,λ3の透過光の強度を光検出器4により同時に検出する。演算処理回路14において、これら3つの波長に関する同時に得た透過光強度検出値に基づき被測定部位Fによる近赤外光の吸光度2次微分値を算出し、その所定時間内における変動幅を求め、この吸光度2次微分値変動幅から検量線に基づき生体中の血糖値を求める。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 互いに異なり且つ近接する3つの波長の近赤外光を生体の被測定部位に照射し、該被測定部位を透過した前記3つの波長の透過光の強度を検出し、これら3つの波長に関する透過光強度検出値に基づき前記生体中の血糖値を求める血糖値測定方法において、前記3つの波長に関する透過光強度検出値から前記被測定部位による前記近赤外光の吸光度の2次微分値を算出し、所定時間内における前記吸光度2次微分値の最大値と最小値との差として吸光度2次微分値変動幅を求め、該吸光度2次微分値変動幅に基づき前記生体中の血糖値を求めることを特徴とする、血糖値測定方法。 【請求項2】 前記3つの波長の透過光の強度の検出を同時に行い、同時に得た前記透過光強度検出値に基づき前記吸光度2次微分値を算出することを特徴とする、請求項1に記載の血糖値測定方法。 【請求項3】 前記所定時間内における吸光度値の最大値と最小値との差として吸光度値変動幅を求め、該吸光度値変動幅に基づき前記吸光度2次微分値変動幅の補正を行って得られる補正済吸光度2次微分値変動幅に基づき前記生体中の血糖値を求めることを特徴とする、請求項1〜2のいずれかに記載の血糖値測定方法。 【請求項4】 前記吸光度値変動幅をVとし、前記吸光度2次微分値変動幅をWとし、前記補正済吸光度2次微分値変動幅をW’とした時に、式W’=−Vsinθ+Wcosθ(ここで、θは補正パラメータである)を用いて前記補正を行うことを特徴とする、請求項3に記載の血糖値測定方法。 【請求項5】 前記生体に押圧力を作用させることにより前記被測定部位の静脈血流を停止させた状態で前記3つの波長の透過光の強度の検出を行うことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の血糖値測定方法。 【請求項6】 前記被測定部位を透過した3つの波長の透過光のうちの少なくとも1つの強度の或る時間の積分値またはその時間平均値が所定値の近傍になるように、前記被測定部位に入射する前記3つの波長の近赤外光の強度を制御することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の血糖値測定方法。 【請求項7】 互いに異なり且つ近接する3つの波長の近赤外光を生体の被測定部位に照射し、該被測定部位を透過した前記3つの波長の透過光の強度を検出し、これら3つの波長に関する透過光強度検出値に基づき前記生体中の血糖値を求める血糖値測定装置において、前記3つの波長の近赤外光を発する光源と、該光源から発せられ前記生体を透過した前記3つの波長の透過光をそれぞれ検出する光検出器と、該光検出器から得られる前記3つの波長に関する透過光強度検出値に基づく演算を行うことで前記被測定部位による前記近赤外光の吸光度の2次微分値を算出し、所定時間内における前記吸光度2次微分値の最大値と最小値との差として吸光度2次微分値変動幅を求め、該吸光度2次微分値変動幅に基づき検量線を用いて前記生体中の血糖値を求める演算処理手段とを備えていることを特徴とする、血糖値測定装置。 【請求項8】 前記演算処理手段は、前記光検出器で同時に得られた前記3つの波長の透過光の強度の検出値に基づき前記吸光度2次微分値を算出するものであることを特徴とする、請求項7に記載の血糖値測定装置。 【請求項9】 前記演算処理手段は、前記所定時間内における吸光度値の最大値と最小値との差として吸光度値変動幅を求め、該吸光度値変動幅に基づき前記吸光度2次微分値変動幅の補正を行って得られる補正済吸光度2次微分値変動幅に基づき前記生体中の血糖値を求めるものであることを特徴とする、請求項7〜8のいずれかに記載の血糖値測定装置。 【請求項10】 前記演算処理手段は、前記吸光度値変動幅をVとし、前記吸光度2次微分値変動幅をWとし、前記補正済吸光度2次微分値変動幅をW’とした時に、式W’=−Vsinθ+Wcosθ(ここで、θは補正パラメータである)を用いて前記補正を行うものであることを特徴とする、請求項9に記載の血糖値測定装置。 【請求項11】 前記生体に対して押圧力を作用させる手段を有することを特徴とする、請求項7〜10のいずれかに記載の血糖値測定装置。 【請求項12】 前記被測定部位を透過した3つの波長の透過光のうちの少なくとも1つの強度の或る時間の積分値またはその時間平均値が所定値の近傍になるように、前記被測定部位に入射する前記3つの波長の近赤外光の強度を制御する手段を有することを特徴とする、請求項7〜11のいずれかに記載の血糖値測定装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、生体中の血糖値を無侵襲で測定する方法及びその装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】糖尿病患者は、血糖値(一般的には血中グルコース濃度値)のコントロールのためのインシュリン投与の目安を得るために、頻繁に(たとえば1日に数回)血糖値を測定することが要求されている。このような頻繁な測定のたびに血液を採取することは患者にとって大きな苦痛となる。そこで、患者から実際に血液を採取することなく即ち無侵襲で血糖値を測定することが望まれており、そのための方法として、赤外光を患者の一部例えば耳たぶや手指などの被測定部位に照射し、該被測定部位を透過した赤外光を検出して、被測定部位による赤外線吸収の程度を測定することが提案されている。この方法では、使用する赤外光の波長を適切に選択することで、被測定部位内のグルコースによる赤外線吸収をかなりの程度反映した吸光度値が得られ、この吸光度値に基づき血糖値を得る。 【0003】しかして、このような光学的な無侵襲血糖値測定では、脈動などの影響により被測定部位の条件(被測定部位を通過する赤外光の光路長など)は一定ではなく変化しており、このような要因に基づき測定に或る程度の誤差が伴うことは避けられない。この測定誤差をできるだけ小さくすることが強く要望されている。 【0004】測定誤差を小さくする1つの手法として、吸光度自体から血糖値を測定するのではなく、吸光度の2次微分値を用いて測定を行うことの可能性が指摘されている(特開平5−176917号公報参照)。この方法では、互いに異なり且つ近接する3つの波長で吸光度の測定を行い、これらの吸光度測定値から加減により算出した2次微分に対応する変動分(吸光度2次微分値)を血糖値測定に利用する。 【0005】ところで、以上のような光学的な無侵襲血糖値測定では、血液以外の人体構成成分による赤外光吸収の影響があり、これを十分に除去することが測定誤差の低減の観点からは極めて好ましい。 【0006】そこで、本発明の目的は、吸光度2次微分値を用いて血糖値を求める際の血液以外の生体構成成分による赤外光吸収の影響を低減することで、無侵襲血糖値測定の測定精度を向上させることにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明によれば、以上の如き目的を達成するものとして、互いに異なり且つ近接する3つの波長の近赤外光を生体の被測定部位に照射し、該被測定部位を透過した前記3つの波長の透過光の強度を検出し、これら3つの波長に関する透過光強度検出値に基づき前記生体中の血糖値を求める血糖値測定方法において、前記3つの波長に関する透過光強度検出値から前記被測定部位による前記近赤外光の吸光度の2次微分値を算出し、所定時間内における前記吸光度2次微分値の最大値と最小値との差として吸光度2次微分値変動幅を求め、該吸光度2次微分値変動幅に基づき前記生体中の血糖値を求めることを特徴とする、血糖値測定方法、が提供される。 【0008】本発明の一態様においては、前記3つの波長の透過光の強度の検出を同時に行い、同時に得た前記透過光強度検出値に基づき前記吸光度2次微分値を算出する。 【0009】本発明の一態様においては、前記所定時間内における吸光度値の最大値と最小値との差として吸光度値変動幅を求め、該吸光度値変動幅に基づき前記吸光度2次微分値変動幅の補正を行って得られる補正済吸光度2次微分値変動幅に基づき前記生体中の血糖値を求める。 【0010】本発明の一態様においては、前記吸光度値変動幅をVとし、前記吸光度2次微分値変動幅をWとし、前記補正済吸光度2次微分値変動幅をW’とした時に、式W’=−Vsinθ+Wcosθ(ここで、θは補正パラメータである)を用いて前記補正を行う。 【0011】本発明の一態様においては、前記生体に押圧力を作用させることにより前記被測定部位の静脈血流を停止させた状態で前記3つの波長の透過光の強度の検出を行う。 【0012】本発明の一態様においては、前記被測定部位を透過した3つの波長の透過光のうちの少なくとも1つの強度の或る時間の積分値またはその時間平均値が所定値の近傍になるように、前記被測定部位に入射する前記3つの波長の近赤外光の強度を制御する。 【0013】また、本発明によれば、以上の如き目的を達成するものとして、互いに異なり且つ近接する3つの波長の近赤外光を生体の被測定部位に照射し、該被測定部位を透過した前記3つの波長の透過光の強度を検出し、これら3つの波長に関する透過光強度検出値に基づき前記生体中の血糖値を求める血糖値測定装置において、前記3つの波長の近赤外光を発する光源と、該光源から発せられ前記生体を透過した前記3つの波長の透過光をそれぞれ検出する光検出器と、該光検出器から得られる前記3つの波長に関する透過光強度検出値に基づく演算を行うことで前記被測定部位による前記近赤外光の吸光度の2次微分値を算出し、所定時間内における前記吸光度2次微分値の最大値と最小値との差として吸光度2次微分値変動幅を求め、該吸光度2次微分値変動幅に基づき検量線を用いて前記生体中の血糖値を求める演算処理手段とを備えていることを特徴とする、血糖値測定装置、が提供される。 【0014】本発明の一態様においては、前記演算処理手段は、前記光検出器で同時に得られた前記3つの波長の透過光の強度の検出値に基づき前記吸光度2次微分値を算出するものである。 【0015】本発明の一態様においては、前記演算処理手段は、前記所定時間内における吸光度値の最大値と最小値との差として吸光度値変動幅を求め、該吸光度値変動幅に基づき前記吸光度2次微分値変動幅の補正を行って得られる補正済吸光度2次微分値変動幅に基づき前記生体中の血糖値を求めるものである。 【0016】本発明の一態様においては、前記演算処理手段は、前記吸光度値変動幅をVとし、前記吸光度2次微分値変動幅をWとし、前記補正済吸光度2次微分値変動幅をW’とした時に、式W’=−Vsinθ+Wcosθ(ここで、θは補正パラメータである)を用いて前記補正を行うものである。 【0017】本発明の一態様においては、前記生体に対して押圧力を作用させる手段を有する。 【0018】本発明の一態様においては、前記被測定部位を透過した3つの波長の透過光のうちの少なくとも1つの強度の或る時間の積分値またはその時間平均値が所定値の近傍になるように、前記被測定部位に入射する前記3つの波長の近赤外光の強度を制御する手段を有する。 【0019】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。 【0020】図1は本発明による血糖値測定方法の実施される本発明の血糖値測定装置の第1の実施形態の構成を示すブロック図である。 【0021】図1において、2は光源であり、該光源は互いに異なり且つ近接する3つの波長λ1,λ2,λ3(λ1<λ2<λ3)の近赤外光を発する。波長λ1,λ2,λ3としては、例えば、902nm、912nm及び922nmを選択することができる。 【0022】図2に、光源2の具体例を示す。図2(a)のものは、波長λ1,λ2,λ3の近赤外光を含む光を発するブロード光ランプ21を備えている。ランプ21から発せられた光のうちの一部は、被測定部位に照射するための光として絞り22を通って前方(図2では右方)に出射される。ランプ21から発せられた光のうちの他の一部は後方(図2では左方)のランプ光量モニター23に入射する。モニター23の代わりに、絞り22の前方に配置されたハーフミラー24と該ハーフミラーによる反射光を検知するモニター25との組み合わせを用いることができる。モニター23,25からは光量モニター電気信号が出力される。図2(b)のものは、波長λ1,λ2,λ3の近赤外光を発する半導体レーザー26−1,26−2,26−3を備えている。これらレーザーからは被測定部位に照射するための光が前方(図2では右方)へと発せられる。また、半導体レーザー26−1,26−2,26−3からそれぞれ後方(図2では左方)へと出射された光は光量モニター27−1,27−2,27−3へと入射する。これらモニターからは光量モニター電気信号が出力される。レーザー26−1,26−3から前方へと発せられた光は、それぞれミラー28−1,28−2とハーフミラー29−1,29−2とにより、レーザー26−2から前方へと発せられた光と合成され、波長λ1,λ2,λ3の近赤外光を含む1つの光束として前方へと出射される。 【0023】図1において、4は光検出器であり、該光検出器は上記光源2から発せられる光を受光し得る位置に配置されている。光検出器4と光源2との間には、生体例えば人体の被測定部位F例えば手指を配置するための被測定部位配置部6が存在しており、該被測定部位配置部6内に挿入された被測定部位Fに対して空気圧印加により所望の押圧力を作用させるためのカフ8が設けられている。尚、該カフ8としては、エアーポンプによりエアー注入量を調節することで、適宜の時間、被測定部位Fの動脈血流を維持しつつ静脈血流を停止(十分な抑制をも含む)させた状態を維持することの可能なものを用いるのが好ましい。カフ8は、少なくとも波長λ1,λ2,λ3の近赤外光の通過経路では、該近赤外光を透過させることが可能な材質からなるか或はこれら近赤外光を透過させるような構造を有する。被測定部位Fの動脈血流を維持しつつ静脈血流を停止させた状態を維持することが可能なカフとしては、被測定部位Fを全体的に包囲するものの他に、被測定部位Fよりも心臓に近い部位(被測定部位Fが手指の先端部分である場合には当該手指の根本部分)に巻回されるものを用いることも可能である。 【0024】図3に、光検出器4の具体例を示す。光源2から発せられ被測定部位配置部6に配置された被測定部位Fを通過した波長λ1,λ2,λ3の近赤外光を含む光は、回折格子31により分光され、波長λ1の光は受光部32−1に入射し、波長λ2の光は受光部32−2に入射し、波長λ3の光は受光部32−3に入射する。これら受光部からは光量検出電気信号が出力される。 【0025】光源2として図2(a)のようなブロード光を発するものを用いる場合には、該光源側において或は光検出器側において、光路中に所望の波長λ1,λ2,λ3のそれぞれの極く近傍の光のみを通過させるフィルターを配置することができる。 【0026】光検出器4の3つの受光部32−1,32−2,32−3の電気的出力(受光した光の強度に比例する)は、それぞれ、図1に示されているように、増幅率可変増幅器10−1,10−2,10−3により増幅され、A/D変換器12−1,12−2,12−3によりA/D変換され、演算処理回路14に入力される。また、光源2の光量モニター23,25,27−1,27−2,27−3の出力も、A/D変換された上で演算処理回路14に入力される。 【0027】演算処理回路14において、血糖値測定は次のようにして行われる。 【0028】被測定部位Fに入射する波長λの光の強度をI0 (λ)とし、被測定部位Fを透過した波長λの光の強度をI(λ)とすると、被測定部位Fの吸光度ABS(λ)はln(I0 (λ)/I(λ))で求められる。入射光強度I0 (λ)は光源光量モニター27−1,27−2,27−3の出力に所定の係数を乗ずることで得られる(光量モニター23,25の場合には、各波長λ1,λ2,λ3ごとの所定係数を乗ずることで得られる)。この吸光度ABS(λ)は、被測定部位Fの脈動に対応して周期的に変化する。即ち、被測定部位Fは体組織部とそこを流れる動脈血流及び静脈血流とを含んでおり、脈動により透過光路長が変動し、更に透過光路内における成分構成比も変動し、これが吸光度ABS(λ)の周期的変化をもたらす。 【0029】本実施形態では、波長λ1,λ2,λ3のそれぞれに関して、例えば10〜20msec程度ごとの高速サンプリングで並行して得られたI0 (λ),I(λ)に基づき、吸光度ABS(λ1),ABS(λ2),ABS(λ3)を算出する。この吸光度ABS(λ1),ABS(λ2),ABS(λ3)に基づき、吸光度2次微分値ABS”(λ2)を算出する。吸光度2次微分値ABS”(λ2)は、 ABS”(λ2)=[ABS(λ1)−ABS(λ2)] −[ABS(λ2)−ABS(λ3)] =[ABS(λ1)+ABS(λ3)]−2ABS(λ) として得られる。λ2−λ1=λ3−λ2=Δとし、λ2=λとすれば、ABS”(λ)=[ABS(λ−Δ)+ABS(λ+Δ)]−2ABS(λ) である。上記のようにΔは例えば10nmとすることができ或は5nmとすることも可能である。 【0030】吸光度2次微分値は、グルコースによる光吸収が光の波長により変動することを利用し、この波長による変動ができるだけ大きく現れる波長域の近接した3つの波長を選択して、吸光度の波長2次微分に相当する値として定義されるものである。 【0031】図4に吸光度ABS(λ)及び吸光度2次微分値ABS”(λ)の時間変化の例を示す。尚、この例は、エアーポンプによりカフ8へのエアー注入量を調節することで、被測定部位Fの動脈血流を維持しつつ静脈血流を停止させた状態を維持した時のものである。上記のように、10〜20msec程度ごとの高速サンプリングに基づき同時に得られた吸光度ABS(λ1),ABS(λ2),ABS(λ3)どうしを用いて、各サンプリング時点での吸光度2次微分値ABS”(λ)が得られ、この吸光度2次微分値ABS”(λ)は時間と共に図4のように変化する。図4において、(a)と(b)とは異なる測定対象(被測定部位F)に関するものである。 【0032】演算処理回路14では、所定時間内(図4における時刻TSからTEまで)における吸光度2次微分値ABS”(λ)の最大値と最小値との差として吸光度2次微分値変動幅W[図4(a)におけるWaや図4(b)におけるWb]を求める。所定時間は、脈動の1周期以上の時間であればよいが、測定精度の点から数個の脈動を含む時間であることが好ましい。具体的には、この所定時間を例えば2〜5秒程度とすることができ、この所定時間中、上記カフによる静脈血流のみ停止の状態を維持する。 【0033】この吸光度2次微分値変動幅Wは、被測定部位Fの動脈内の血量が最大の場合と最小の場合との吸光度2次微分値ABS”(λ)の差であり、これら血量最大の時と最小の時との間で静脈内血量及び体組織部内の成分の量及び組成は不変であるとみなすことができる。従って、吸光度2次微分値変動幅Wは、血管内の血液の血糖値に十分な精度をもって対応している。そして、カフ8による静脈血流のみ停止の状態を維持することで、最も感度よく吸光度2次微分値変動幅Wを得ることができる。静脈血流のみ停止の状態の際には、動脈血流及び静脈血流の双方を停止させた状態(カフ8による押圧力を極めて大きくした場合)や動脈血流及び静脈血流の双方を自然放置した状態(カフ8による押圧力をかけない場合)に比べて、吸光度ABS(λ)自体の最大値と最小値との差が大きくなることがわかった。そこで、血糖値測定に先立ち、カフ8による押圧力を調節することで上記吸光度ABS(λ)自体の最大値と最小値との差が最大となるカフ押圧力を、試行により求め、血糖値測定の際にはこのカフ押圧力を用いるようにすることが可能である。 【0034】上記図4に示されているように、吸光度2次微分値変動幅W(Wa,Wb)は、被測定部位Fの血糖値を反映して、互いに異なる。このような、吸光度2次微分値変動幅Wと血糖値との関係は、生体外及び生体内の実験により得られた実測データから最小自乗法などを用いて、検量線として予め決定することができる。図5に、吸光度2次微分値変動幅(W)と血糖値との関係の検量線の一例を示す。ここでは、図示されている実測値に基づき1次近似で得た直線状の検量線M1を示している。 【0035】演算処理回路14では、以上のようにして算出された吸光度2次微分値変動幅Wと予め記憶されている波長λ(=λ2)における血糖値との関係を示す検量線に基づき、吸光度2次微分値変動幅Wに対応する血糖値が選定(換算)される。 【0036】以上のような演算処理回路14の血糖値測定動作のフロー図を図6に示す。即ち、概略的には、演算処理回路14では、ステップS1において吸光度ABS(λ1)〜ABS(λ3)を算出し、ステップS2において吸光度2次微分値ABS”(λ2)を算出し、ステップS3において吸光度2次微分値ABS”(λ2)の所定時間内での変動幅Wを算出し、ステップS4において検量線を用いて変動幅Wを血糖値へと換算する。 【0037】本実施形態の動作は、不図示の制御部により制御される。この制御は、上記のような演算処理回路の動作の制御の他に、図1の制御経路Xを介して行われる光源2のランプ21や半導体レーザー26−1〜26−3の発光強度の制御あるいは光源2の絞り22の制御、図1の制御経路Yを介して行われるカフ圧の制御、図1の制御経路Zを介して行われる増幅器10−1,10−2,10−3の増幅率の制御である。 【0038】被測定部位Fの寸法には固体差があるので、光検出器4で検出された波長λ1,λ2,λ3の透過光のうちの少なくとも1つの強度の或る時間の積分値またはその時間平均値が予め定められた所定値の近傍になるように、光源2から発せられる波長λ1,λ2,λ3の光の強度を制御経路Xを介して制御することができ、これにより光検出器4での検出条件を一定に維持することができる。尚、この制御は、被測定部位Fが変わるごとに最初に行えばよい。 【0039】脈動する被測定部位Fに対してカフ8により押圧力を作用させるように制御経路Yを介して制御して波長λ1,λ2,λ3の透過光の検出を行うことにより、被測定部位Fを固定して検出条件を一定に維持することができることに加えて、上記のように静脈血流のみ停止の状態を維持することで感度良好に吸光度2次微分値変動幅Wの検知を行うことができる。 【0040】制御経路Zを介して増幅器10−1,10−2,10−3の増幅率を制御することで、演算処理系の処理条件を所望に設定することができる。 【0041】次に、本発明による血糖値測定方法の実施される本発明の血糖値測定装置の第2の実施形態について説明する。 【0042】この第2の実施形態では、上記第1の実施形態と同様に、上記図1〜3に示されるような装置構成を有しており、上記図4に示されるような吸光度ABS(λ)及び吸光度2次微分値ABS”(λ)の時間変化が得られる。 【0043】本実施形態は、演算処理回路14での処理が上記第1の実施形態と異なる。即ち、上記所定時間内(図4における時刻TSからTEまで)における吸光度値ABS(λ)の最大値と最小値との差として吸光度値変動幅V[図4(a)におけるVaや図4(b)におけるVb]を求める。そして、この吸光度値変動幅Vに基づき吸光度2次微分値変動幅Wの補正を行って補正済吸光度2次微分値変動幅W’を得、この補正済吸光度2次微分値変動幅W’に基づき生体中の血糖値を求める。この補正は、以下の式(1) W’=−Vsinθ+Wcosθ ・・・・・(1) (ここで、θは補正パラメータである) を用いて行うことができる。 【0044】このような補正の意義について、説明する。本発明者は、吸光度2次微分値変動幅Wは吸光度値変動幅Vと相関をもつことを見出した。即ち、図7に示されている実測値から分かるように、吸光度値変動幅Vが増加するにつれて、吸光度2次微分値変動幅Wも増加する。そこで、図7に示されているように角度θだけ座標軸を回転した新たな座標軸を用いて、上記式1に示すようにして補正済吸光度2次微分値変動幅W’を得ると、この補正済吸光度2次微分値変動幅W’は吸光度値変動幅Vが変化しても補正前の吸光度2次微分値変動幅Wより変化は少ない。θの値は、予め実験において得られた実測値に基づき設定することができる。 【0045】図8に、補正済吸光度2次微分値変動幅(W’)と血糖値との関係の検量線の一例を示す。ここでは、図示されている実測値に基づき1次近似で得た直線状の検量線M2を示している。 【0046】演算処理回路14では、以上のようにして算出された補正済吸光度2次微分値変動幅W’と予め記憶されている波長λ(=λ2)における血糖値との関係を示す検量線に基づき、補正済吸光度2次微分値変動幅W’に対応する血糖値が選定(換算)される。 【0047】以上のような演算処理回路14の血糖値測定動作のフロー図を図9に示す。即ち、概略的には、演算処理回路14では、ステップS1において吸光度ABS(λ1)〜ABS(λ3)を算出し、ステップS2において吸光度2次微分値ABS”(λ2)を算出し、ステップS3において吸光度ABS(λ2)及び吸光度2次微分値ABS”(λ2)の所定時間内での変動幅V,Wを算出し、ステップS4において上記式(1)を用いて補正済吸光度2次微分値変動幅W’を算出し、ステップS5において検量線を用いて補正済変動幅W’を血糖値へと換算する。 【0048】以上のような補正済吸光度2次微分値変動幅W’を用いる本実施形態においては、測定条件の相違(測定対象[被験体]が誰であるかを含め被測定部位の如何、測定装置のカフ圧の如何、測定装置の増幅器増幅率や照射光強度の如何など)による血糖値測定のばらつきが小さくなるという利点がある。従って、測定精度の向上のために測定条件を一定に維持する努力は必ずしも必要ではなく、簡易に高精度の血糖値測定を行うことができる。 【0049】 【発明の効果】以上説明したように、本発明の血糖値測定方法及びその装置によれば、所定時間内における吸光度2次微分値変動幅を求め、該吸光度2次微分値変動幅に基づき生体中の血糖値を求めるので、体組織部の成分組成による影響を含む背景の影響を十分に除外した測定ができ、無侵襲血糖値測定の測定精度を向上させることが可能となる。 【0050】そして、特に、補正済吸光度2次微分値変動幅に基づき血糖値を求めることにより、高精度な血糖値測定の簡易化を実現することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006183 【氏名又は名称】三井金属鉱業株式会社 【識別番号】000005913 【氏名又は名称】三井物産株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年12月25日(1998.12.25) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100065385 【弁理士】 【氏名又は名称】山下 穣平
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| 【公開番号】 |
特開2000−189404(P2000−189404A) |
| 【公開日】 |
平成12年7月11日(2000.7.11) |
| 【出願番号】 |
特願平10−370120 |
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