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【発明の名称】 頸椎部脊髄造影装置
【発明者】 【氏名】石井 正三

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 脳脊髄液に条件を合わせて頚部脊髄周辺の断層撮影をして得られた一連の断面画像と、前記断面画像の中で脳脊髄液の拍動を静止画像に変換する補正プログラムと、前記補正プログラムにより変換された一連の補正断面画像中の各補正断面画像中の対象物の最高出力値のみを重ね合わせてなる3次元立体画像に合成するための最大強度撮影処理とからなることを特徴とする頸椎部脊髄造影装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、人体の頸椎部分の脊髄の状態を的確に診断することを目的として立体的な画像を得るため、核磁気共鳴断層撮影(MRI)装置の使用方法及びMR撮影より得られる信号の処理方法を改良した頸椎部脊髄造影装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、生体組織の化学的変化、あるいは機能の変化を検出するために「核磁気共鳴断層撮影法」(Nuclear Magnetic Resonance Computed tomography:NMRと称し、磁気共鳴映像法 Nuclear Resonance Imaging:MRIとも言う。)が利用されている。前記核磁気共鳴断層撮影装置によって人体内の臓器、脳又は脊髄を撮影する場合、それら撮影しようとする対象物が鮮明に映し出されるよう撮影条件を設定して断面像が撮影される。
【0003】また、生体内部の形態、あるいは静的な内部構造、特に頭部中枢神経系の腫瘍や出血、または骨性構造等を検出するために「コンピュータ断層撮影法」(Computed tomography:CT又はCTスキャンと言う)が利用されている。前記コンピュータ断層撮影装置によって、人体を輪切りにした断面に対し様々な角度からX線を当て、透過及び反射したX線を検出してコンピュータで断層画像に変換される。
【0004】更に、良く知られる方法としてX線による撮影方法が利用されている。このX線撮影方法は、肺や骨、胃腸、歯、内臓等の人体の各部位に焦点及び撮影条件を合わせて全体像のレントゲン写真を得る方法である。特に、造影剤を用いて脊髄に焦点を合わせて撮影する方法を「X線脊髄造影法」(Myelography)という。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、狭隘な脳脊髄腔に囲まれているとともに拍動性を有する脳脊髄液の動きにも包まれている脊髄において、脊髄と脊髄から斜方に分枝する脊髄根が、加齢的変化あるいは種々の病変によって前方、後方及び側方から受ける「圧迫病変の病態」を、NMR=MRIやCTスキャンの断層画像から判定するのには限界があった。
【0006】「圧迫病変」を断面画像で判定するのに限界があるという上記問題を解決するため断面像を合成処理して3次元画像を得ることが、脳を始めとする他の部位では可能となってきている。
【0007】しかし、従来より脊髄においては良好な画像が得にくく、特に頸髄領域においては臨床的評価に耐えうる全体像を得ることができなかった。細長く上下に延びる頚部脊髄には生理的正常状態の脊柱前湾(lordsis)も存在するため、NMR=MRIやCTスキャンの断面像では一度に脊髄全体の形態を表現するには限界があった。
【0008】これに病理的な病気に伴う脊椎後湾症(kyplosis)及び脊柱側湾症(scoliosis)の病的側湾等を合併した場合には、一層患者の病態を良好に描出する上で非常に困難があった。
【0009】一方、従来の「X線脊髄造影法」は全体像を撮影できる利点があるが、下顎骨、肩及び脊髄を取り巻く椎体骨によって妨害(いわゆるマスキング。)されてしまうため、被検者を多方向に投影して撮影しても脊髄全体に渡る十分な画像情報が得にくいという欠点があった。
【0010】又、X線脊髄造影法とCTスキャンを組み合わせた「CT脊髄造影法」、「X線脊髄造影法」及び「CTスキャン」による断層撮影では、腰椎穿刺(腰椎くも膜下腔に直に注射すること)及び造影剤注入が必要とされ、撮影前の前記処置が被検者にとっては非常に痛くて痛くて辛いものであり造影剤による副作用があるとともに、被検者の目には見えず直に感じることもないがX線の被爆も相当なものがあって、数回撮影を重ねることに限界があった。
【0011】更に、強い圧迫病変や脊髄くも膜下腔の癒着がある場合には上肢の麻痺等があり、撮影時には姿勢保持が困難な被検者に対してもかなりの倒立位に保たせ続けなければならず、その姿勢保持だけでも被検者は辛いのに、それでも造影剤が脳脊髄液腔に十分に行き届かないことが良くあり、検査を実施しても診断価値のある画像を得られないことも多かった。
【0012】そこで、本発明である頸椎部脊髄造影装置は局所注射、造影剤注入及びX線の暴露を行わず、被検者を短時間臥床させ0.5Tの超伝導磁場を数分間かけるだけのNMR=MRI撮影を実施して、頚部の脊髄周辺の部位は勿論のこと、画像として結像しにくい頸髄においても鮮明な断面画像が得られるとともに、前記断面画像を重ね合わせて立体的な合成画像を組み立てて、診断価値の高い鮮明な脊髄立体画像を得ることができる頸椎部脊髄造影装置を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、ファスト・スピン・エコー法にて横緩和時間(T2)強調されるようにした信号取り出し方法で脳脊髄液に条件を合わせて頚部脊髄周辺のMRI断層撮影をして得られた一連の断面画像と、前記MRI断層撮影画像中の脂肪組織の信号を最小化するケミカル・サチュレイション・パルス法と、前記断面画像の中で脳脊髄液の拍動を静止画像に変換する補正プログラムと、前記化学飽和信号法及び補正プログラムにより変換された一連の補正断面画像中で、各補正断面画像中の対象物の最高出力値のみを重ね合わせてなる3次元立体画像に合成するための最大強度投影処理からなり、合成された脳脊髄液の3次元立体画像が頚部脊髄と頚部脊髄から分枝する神経根を含めた医療的診断価値の高い鮮明な立体画像が得られることを特徴とする頸椎部脊髄造影装置の構成とした。即ち、本発明は、断面画像を撮影するMRI断層撮影手段と、前記断面画像中の脂肪組織の信号を最小化する手段と、拍動を静止画像に補正する補正手段と、最大強度投影処理手段と、処理画像合成手段とからなることを特徴とする頸椎部脊髄造影装置の構成とした。
【0014】
【実施例】次に、添付図面を参照しながら本発明である頸椎部脊髄造影装置を詳細に説明する。図1は本発明である頸椎部脊髄造影装置を構成する機器を示した図である。本発明である頸椎部脊髄造影装置1は、キ−ボ−ドを有するコンピュ−タ(0.5TMR Vectra Ver3装置)2とモニタ−3と核磁気共鳴断層撮影装置3と現像装置4とから構成される。
【0015】前記コンピュ−タ2は、ファスト・スピン・エコー法により得られたT2強調ピクセル・イメージに最大強度撮影処理(MIP処理)を施すことにより、頸椎の3次元磁気共鳴脊髄造影のヴォクセル・イメージを得る装置である。
【0016】前記核磁気共鳴断層撮影装置(MRI)3は、臓器、脳又は脊髄等全身の磁場に対する反応の変化が鮮明に映し出されるように撮影する医療用機器である。本頸椎部脊髄造影装置1は、先ず核磁気共鳴断層撮影装置(MRI)3により撮影した映像内容をコンピュ−タ2に取り込み、前記コンピュ−タ2に取り付けられているモニタ−4を見ながら画像処理し、画像処理された鮮明な頸椎部の脊髄の断面画像を現像装置5により鮮明な前記画像を表出させることができるものである。
【0017】以下に、本発明である頸椎部脊髄造影装置1により明瞭な頸椎部の脊髄の映像を得る手順を添付図面に基づいて詳細に説明する。図2は本発明である頸椎部脊髄造影装置により明瞭な頸椎部の脊髄の映像を得る手順を示した流れ図である。
【0018】本頸椎部脊髄造影装置1により明瞭な頸椎部の脊髄の映像を得る手順は、核磁気共鳴断層撮影装置による撮影準備6→ファスト・スピン・エコー法6a、ケミカルサチュレイションパルス法6b及びフローコンペンゼイション法6cを駆使しての核磁気共鳴断層撮影装置(MRI)による撮影6→頸椎部脊髄3次元造影8→頸椎部脊髄3次元造影現像処理9の手順による。
【0019】本核磁気共鳴撮影装置3は、被撮影部位を一定磁場に置き、その被撮影部位に一定の周波数をかけて原子に共鳴を起こさせて、発生するエネルギーを読みとりコンピューターで断面像に変換するいわゆる核磁気共鳴撮影法を利用した装置である。即ち、臓器、脳及び脊髄等の生体組織の化学的変化、あるいは生体組織の機能的変化を断面像を撮影する医療用機器である。
【0020】ここで、簡単に核磁気共鳴の説明をする。核磁気共鳴とは、原子番号が奇数の原子核の粒子は小さな棒磁石(スピン)の性質を有し、静磁界内(主磁場)に前記原子核の粒子をおくと各粒子のもつ棒磁石(スピン)が才差運動(いわゆる味噌擂り運動。)を起こし、粒子全体の全磁化(M)が主磁場(Bo)と平行に向く。
【0021】前記才差運動(いわゆる味噌擂り運動。)と同じ周波数(ラーモア周波数=ωo)の交流磁界(RF電磁波)を外部よりかけると、棒磁石(スピン)と交流磁界(RF磁場=B1)が相互作用を起こし、粒子全体の磁化Mが才差運動を起こす。このときの磁化(Mの傾きは角度αで示され、次の式で示される。
【0022】
【数1】α=γ(磁気回転比)・B1(RF磁場)・tp(RF磁場(B1)が印加された時間)
【0023】前記数1の式で、γは磁気回転比、tpはRF磁場(B1)が印加された時間である。粒子の全体磁化(M)はRF磁場(B1)が印加された時間に比例して傾きの大きな才差運動をする。
【0024】ところが、RF磁場(B1)の印加を停止すると、相互作用によって傾けられた全磁化(M)は、主磁場(Bo)に平行な安定な状態磁化(Mo)に回復しようとする。このとき棒磁石(スピン)はエネルギー(エコー)を外部に放出するとともに、全磁化(M)は才差運動から螺旋運動に向かい主磁場(Bo)に平行な位置に収束する。このときの概念的で視覚的に理解するために全体磁化(M)の動きを示したものが図3である。
【0025】図3は、粒子にRF磁場(B1)を印加停止した後の全磁化(M)の動きを示した模式概念図である。全体磁化(M)が安定状態の磁化(Mo)に戻る過程は「緩和」と称され、縦方向の緩和を縦緩和、横方向の緩和を横緩和としている。そして、このときの時定数をそれぞれ縦緩和時間(T1)及び横緩和時間(T2)としている。図3に示すように、縦緩和時間(T1)は縦磁化は回復を示し、横緩和時間(T2)は横磁化成分の減衰を示している。
【0026】生体内においては、粒子の陽子や電子がそれら自身又はそれら相互にあるいはRF磁場(B1)と相互作用を起こすためには、その粒子が属する分子が回転していたり、動いていないといけない。観測する粒子の属する分子やその分子の状態によって核磁気共鳴断層撮影装置(MRI)で観測するときの条件が異なってくる。
【0027】図4は縦緩和時間(T1)及び横緩和時間(T2)と分子の回転速度との関係を示すグラフ、図5は生体内の異なる組織と緩和時間の関係を示した図である。図4に示すように、緩和時間の条件を搾ることで観測対象となる分子を際立たせて断面映像化することができる。特に、水分を多く含んだ組織は縦緩和時間(T1)及び横緩和時間(T2)値は長くなり、極性を持たない脂肪族貯蔵脂質は短い縦緩和時間(T1)と比較的長い横緩和時間(T2)がMR信号に影響を与えることが知られている。
【0028】従って、核磁気共鳴断層撮影装置(MRI)による撮影においては、主磁場(Bo)及び印加RF磁場(B1)の強さとともにRF磁場(B1)の印加時間が、観測対象病変の映像を鮮明にするための条件となる。
【0029】本実施例においては、0.5T MR Vectra Ver.3装置(GE横河メディカルシステムズ社(東京都日野市)製)3により撮影する。本装置3には撮影によって得られる断面画像のコントラストが調節できるよう設けられている。そのコントラスト調整に用いられるのがスピン・エコー法及びファスト・スピン・エコー法である。
【0030】スピン・エコー法(Spin Echo、以下SE法という。)は、縦緩和時間(T1)、横緩和時間(T2)及びプロトン密度情報を描出するのに優れた、MR撮影において最も多く使用されるシーケンスである。
【0031】前記スピン・エコー法(SE法)は、前記核磁気共鳴断層撮影装置(MRI)の説明で示した主磁場(Bo)をパルスで与えるとともに、前記パルス定磁場(Bo)がかけられているところに共鳴用の交流磁界であるRF磁場(B1)のパルスをかけて、返ってくるエコー信号を検知するのである。また、スピン・エコー法(SE法)、位相90度の励起パルス(主磁場)と前記励起パルスに続く位相180度のリフォーカスィングパルス(RF磁場)で構成される。
【0032】先ず、90度励起パルスを印加し横断面上でスピンを磁化させ(このとき対象となる原子核の才差運動が起こり、全原子核の磁化の全体平均の磁化の向きが90度励起パルスの主磁場と平行になる。)る。次に、180度リフォーカスィングパルスを印加しスピンを再位相化(リフェーズ)させて「スピンエコー」信号を取り出すのである。
【0033】前記スピン・エコー法(SE法)により、同じスライス面を90度励起パルスで励起させている時間、即ち、繰り返して180度励起パルスを励起する時間(TR)と、励起してからエコー信号を観測するまでの時間(TE)の設定値を変えることにより、縦緩和時間(T1)強調画像、プロトン密度強調画像及び横緩和時間(T2)強調画像などコントラストの異なる画像を得ることができる。
【0034】一般に、励起する時間(TR)と励起してからエコー信号を観測するまでの時間(TE)を長くすると強い横緩和時間(T2)強調画像が得られる。殆どの病巣組織は長い横緩和時間(T2)により表示されるからである。臨床的には、縦緩和時間(T1)強調画像から脳の解剖学的構造が見やすく、横緩和時間(T2)強調画像からは水の成分が白く写し出される他、大脳白質内の小さな梗塞巣を見つけやすくなる。
【0035】ファスト・スピン・エコー法(Fast Spin Echo、以下FSE法という。)は、上記のスピン・エコー法(SE法)に比べて大幅な時間短縮を可能としたものであるが、コントラストはスピン・エコー法(SE法)とほぼ同等のものである。
【0036】反復時間(TR)の長い横緩和時間(T2)強調画像を得る場合に撮影時間の大幅な短縮をすることができる。スピン・エコー法(SE法)では30分以上かかった512×512マトリックスによる高分解能画像がファスト・スピン・エコー法(FSE法)により実行可能となった。反復時間(TR)を3000msec以上に設定したヘビー横緩和時間(T2)強調画像(従来のショートTRを使用して得た画像よりさらに横緩和時間(T2)成文が強調された画像)が使用可能な時間範囲で撮影できる。
【0037】ファスト・スピン・エコー法(FSE法)は、マルチエコーのスピン・エコー法(SE法)と類似したシーケンスで、スピン・エコー法(SE法)では位相エンコードは各励起する時間(TR)毎に90度励起パルスを印加したときにだけ行われるが、ファスト・スピン・エコー法(FSE法)ではそれぞれのエコーで独立して行われる。
【0038】即ち、スピン・エコー法(SE法)では画像を得るのに必要な時間が、繰り返し時間(TR)×位相エンコード(マトリックス数)となるのに対し、ファスト・スピン・エコー法(FSE法)法では1回の繰り返し時間(TR)の中で、数個の異なる位相エンコード用エコーが得られるため、繰り返し時間(TR)×位相エンコード(マトリックス数)÷1回のTRのエコー数(ファクター数)となる。
【0039】スピン・エコー法(SE法)では、3000msecで1個のエコーを得ることになっていた。従って256個のエコーを得るには3000msec×256回の時間が必要である。これに対し、ファスト・スピン・エコー法(FSE法)では、1回の繰り返し時間(TR)で得るエコー数を16とすると、256個のエコーを得るには3000msec×(256/16)回の時間が必要となる。
【0040】図3は、本発明である頸椎部脊髄造影装置に使用されるファスト・スピン・エコー法(FSE法)の例を示した図である。エコー時間(TE)は画像のコントラストに大きく影響するので、どのエコーがエコー時間(TE)に相当するのかという疑問があるが、実際には画像のコントラストに影響を与えるエコーは画像の元データ(ローデータあるいはK−スペースと呼ばれるデータ)の中央の部分だけである。
【0041】従って、エコー時間として設定したいエコーをローデータの中央部分に来るように設定しなければならない。このようにして、パラメータを設定して得たファスト・スピン・エコー法(FSE法)によるコントラストは、スピン・エコー法(SE法)により得たものとほぼ同等となる。通常、ローデータの中央部分のエコーには、複数エコーの真中のエコーを当てます。しかし、エコー時間を短くしたい場合には、このような設定では何の助けにもなりません。
【0042】そこで、No.of Shift(シフト数)機能を使う。シフト数を設定することによりローデータの中央部に当てるエコーをずらす(シフトする)ことができる。これにより、より短いエコー時間(TE)を設定することができる。
【0043】図4及び図5は本発明である頸椎部脊髄造影装置に使用するファスト・スピン・エコー法の例を示した図である。ローデータの中央部をシフトすることにより、より短いエコー時間(TE)を設定することができる。ファスト・スピン・エコー法(FSE法)法を用いて、5ファクタを設定した場合の、Shift0とShift2の違いの概念を示す。
【0044】実際に、ファスト・スピン・エコー法(FSE法)を使うと様々な周波数の位相マトリックスを組み合わせて分解能の高い画像を得ることができる。例えば、エコー時間(TE)=4000msec、512×512マトリックス、2NEXとしたスピン・エコー法(SE法)の場合、スキャン時間は68分32秒となるが、同様の条件にエコートレーン長を16としたファスト・スピン・エコー法(FSE法)の場合、4.3分と飛躍的に短縮される。
【0045】図6は、本発明である頸椎部脊髄造影装置で使用する装置の設定をする表示画面の図である。先ず、通常の方法でスキャン設定を行い、プレーン/シーケンスページ(PLANE/SEQUENCE)のパルスシークエンス(PulseSequence)には[Fast SE]を選択する。[Fast SE]で選択すると、プラズマスクリーンの下方にモード選択キーが表示されるので、TEモードを選択する。
【0046】縦緩和時間(T1)強調画像やプロトン密度強調画像のようなエコー時間(TE)の短いスキャンには[Short TE]モードを、横緩和時間(T2)強調画像のようなエコー時間(TE)が長いスキャンを行う場合には[LongTE]モードを選択する。プロトン強調画像とT2強調画像を同時に得る場合は、[Variable TE]を選択する。そして、選択されたキーが点灯する。
【0047】スキャンテクニークページ(SCAN TECHNIQUE)では、TR、TE、ファクタ数、シフト数、マトリックス及びNEXを設定する。
【0048】繰り返し時間(TR)の次に実効エコー時間(TE)を指定する。「実効」とは最大信号を有するエコーを表示するフェーズエンコーディングが、このエコー時間に行われるからである。即ち、ローデータ上で中央に来るエコー時間である。[Short TE]を選択した場合は、No.of Echoes(エコー数)は1に固定されている[Variable TE]を選択した場合は、TE2はTE2=TE1×(Factor+1)、の式により自動的に設定される。
【0048】ファクタ数の指定により繰り返し時間(TR)あたりのエコー数が決まり、その結果スキャン時間が左右される。ファクタ数を多くすると、収集スライスが少なくなる。1回の繰り返し時間(TR)時間内に生成されるエコー数が多くなるからである。
【0049】[Long TE]モードを選択すると、No.of Shift(シフト数)設定キーが表示されるので、シフト数、マトリックス及びNEXを設定する。
【0050】通常の方法で、FOV(画像幅)、スライス厚、スライス間隔及びスライス数を指定して、スキャンレンジページ(SCANNING RANGE)を終了させる。そして、[Confirm]に触れてスキャンパラメータページ(SCAN PARAMETERS)に移り、チュウニングを行った後、スキャンを実行する。
【0051】また、本頸椎部脊髄造影装置1には、画質を改善する目的で画像の補正を行う処理ソフトが組み込まれている。それら補正処理を行うソフトに、ケミカル・サチュレイション・パルス法、フロー・コンペンゼイション法及びフロー・コンペンゼイション2法が設けられている。
【0052】図7は、本発明である頸椎部脊髄造影装置に使用するケミカルサチュレイションパルス法のケミカルサチュレイションを示す図、図8は本発明である頸椎部脊髄造影装置に使用するケミカル・サチュレイション・パルス法のケミカル・サチュレイション・パルスを示す図である。
【0053】ケミカル・サチュレイション・パルス法(Chemical Saturation Pulse、以下CSP法という)は脂肪組織の信号を抑制するもので、眼窩検査、脊椎脂肪の多い腹部の検査、造影剤を用いて腫瘍等をより明確にしたい検査及び脂肪の信号を抑えたい検査等に有用である。
【0054】本頸椎部脊髄造影装置1では、設定画面上のイメージオプションページ(IMAGING OPTIONS)で入力する。CSP撮影はイメイズィングボリューム内での脂肪信号を抑制するためRFパルスを使って事前に脂肪の信号だけを励起する。その結果、脂肪抑制画像となり脂肪の信号がより暗く表示される。
【0055】脂肪と水とでは共鳴周波数が異なり、脂肪の共鳴周波数と水の共鳴周波数とではその差がおよそ3.5ppm(74Hz)になる。従って、ケミカル・サチュレイション・パルス法(CSP法)を使用すると自動的に脂肪の共鳴周波数にケミカル・サチュレイション・パルスがかかり、脂肪の信号を大幅に抑制する。
【0056】実際に装置上での操作方法は、イメージオプションページ(IMAGINGOPTIONS)で[Chem Sat]キーを選択し、スキャンパラメータページ(SCAN PARAMETERS)で[Center Freq]キーに触れた後、キーボード上のトラックボールを用いてラインカーソルを水のピークに正確に合わせて、Enterキーを押す。最後に、水のピークがグラフの中心に来たことを確認してからEndキーを押す。
【0057】ここで注意することは、患者がマグネット内にはいることにより磁場の均一度が低下するため、ケミカル・サチュレイション・パルス法(CSP法)使用するときの有効範囲はマグネットの中心付近約20cmのFOV内である。20cm以上の位置では磁場の不均一がおこり脂肪の共鳴周波数が変化してしまう。
【0058】また、ケミカル・サチュレイション・パルス法(CSP法)を使用しているときには1回のデータ収集で撮影可能なスライス数が減少するとともに、ECGゲーティング及びペリフェラルゲーティングにおいて遅延時間及びインタバル時間の設定可能な最小時間が大きくなる。これは、選択した繰り返し時間(TR)の数msecをケミカル・サチュレイション・パルスとして使用するからである。
【0059】フロー・コンペンゼイション法(Flow Compensation、流体補正=脳脊髄液が動く要素を静止画像にするための補正、以下FC法という。)は、低速で流れる血液や脳脊髄液(Cerebrospinal Fluid、以下CSFという。)により発生するモーションアーティファクトを最小限に抑えるためのものである。
【0060】心臓あるいは腹部検査等で見られる速度の速い流体に対してはそれほど効果がないが、頸椎、胸椎、腰椎及び膝のスキャンには有用な方法である。特に、脊椎の横緩和時間(T2)サジタル方向(sagittal、人体の頭頂部から足先の方向)の画像、肝臓の画像、脊椎のケミカル・サチュレイション・パルス(CSF)のミエログラフィ効果を描出するのに非常に適している。
【0061】信号を読みとる方法としては、傾斜磁場を使用して、流れにより移動するプロトンを、静止しているプロトンの位相として置き換える。従って、流れによるアーティファクトが抑制される。
【0062】実際の操作手順としては、イメージオプションページ(IMAGING OPTIONS)で[Flow Comp]に触れ点灯させる。再度触れると消灯する。
【0063】ここで注意することは、スピンエコー、インバージョンリカバリ及びバリアブルエコーと併用した場合、設定可能なエコー時間の最小値は、35msec、設定可能なエコー時間の最小値は、11msec、設定可能なFOVの最小値は8cmとなる。また、比較的短いエコー時間を設定すると、S/N比が低下する。
【0064】フローコンペンゼイション2法(Flow Compensation 2nd、以下FC2法という。)は、プロトン強調画像と横緩和時間(T2)強調画像を同時に得たい場合に、バリアブルエコー(Variable Echo、以下VEという。)と併用する方法である。第1エコーはエコー時間(TE)を短くするためフロー・コンペンゼイション法(FC法)は適用されないが、第2エコーにはフロー・コンペンゼイション法(FC法)が働くようになっている。これにより、第1エコーでプロトン密度強調画像が、第2エコーで横緩和時間(T2)強調画像が得られるようになる。
【0065】実際の操作手順としては、イメージオプションページ(IMAGING OPTIONS)で[Flow Comp 2nd]に触れ点灯させる。再度触れると消灯する。
【0066】以上、本頸椎部脊髄造影装置1は上記のような構成である。そして、従来のように脊髄の描出に必要な条件を探すのではなく、脊髄及びその周辺の構築物を含んでいる自由水としての脳脊髄液の描写のために、ケミカル・サチュレイション・パルス法(CSP法)とフローコンペンゼイション法(FC法)を組み合わせて本装置より横緩和時間(T2)強調したピクセルイメージ(pixel image)を得る。
【0067】次に、得られた横緩和時間(T2)強調のピクセルイメージに最大強度投影処理(Maximum Intensity Projection Process、以下MIP処理という。)を施し、脊髄根を伴う頸髄の冠状像の最良なボクセルイメージ(voxel image)画像が得られる。
【0068】本発明である頸椎部脊髄造影装置1を使用することにより、侵襲的な処置(脊髄穿刺又は造影剤注入あるいはX線)を使用することなく、CSFの高信号出力中の低信号出力構成によって脊髄根を伴う頸髄の冠状像を示すことができる。
【0069】健康体の被検者を測定する条件として、30mm〜32mmのスライス間隔、5mm〜6mmのスライス厚にとってそれぞれ検証してみたところ、骨髄の輪郭をよく決定づけることができた。4mm〜5mmのスライス厚までは、脊髄根の像が確認できる。
【0070】それゆえ、頸椎部脊髄造影装置1による輪切幅は、脊髄と脊髄根の両方同時に明確にするには5mmと決められる。低速で流れる血液や脳脊髄液(CSF)を伴ったフロー・コンペンゼイション(FC)は低速で流れる血液や脳脊髄液の動きを最小限にした。
【0071】ノ−マルボランティア(Normal volunteer)中、低速で流れる血液や脳脊髄液と脊髄の間は反復時間(TR)が5500 msecでエコー時間(TE)が300 msecで最大濃淡が得られる(表1)。
【0072】以上のことから、以下に示す事柄を軸方向平面及び軸周り方向平面に適用した。
画像幅(FOV) : 20 cm行列 : 128×256励起数 : 2断層幅 : 5 mm全体幅 : 30 mm連続エコー : 16回反復・エコー時間 : 5500 msec×300 msec【0073】フロー・コンペンゼイション法(FC)を利用した頸椎部脊髄造影法は、従来の核磁気共鳴断層撮影装置(MRI)映像及びX線脊髄造影法と比較しながら、29人の患者に対して行われた35の試験の結果、極めて良好な結果が得られた。
【0074】本発明である頸椎部脊髄造影装置1は、頸椎部のみならず、その他の胸椎部等の脊髄全般の撮影にも適用できるとともに、大脳、脳幹部等頭蓋内の撮影にも適用できるものである。
【0075】
【発明の効果】本発明は、以上に説明したような構成であるから本頸椎部脊髄造影装置を使用して頸椎部の脊髄の造影をすれば、全く非侵襲的であるとともに、短時間で頸椎部の脊髄の鮮明な立体画像を得ることができる。
【0076】また、側面像で肩によるマスキングがなく、脊髄に対する圧迫性病変及び髄内変化の両者を抽出することができるとともに前方圧迫要素の細かい抽出が可能である。
【出願人】 【識別番号】398064730
【氏名又は名称】石井 正三
【出願日】 平成10年12月24日(1998.12.24)
【代理人】 【識別番号】100093816
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 邦雄
【公開番号】 特開2000−189399(P2000−189399A)
【公開日】 平成12年7月11日(2000.7.11)
【出願番号】 特願平10−376596