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【発明の名称】 糸送り結紮鉗子及び結紮方法
【発明者】 【氏名】浅尾 高行

【要約】 【課題】簡便な方法で血管根部に結紮糸を容易に通すことができ、しかも鉗子を取り換えることなく1本の鉗子により血管を確実に結紮し得る糸送り鉗子の提供。

【解決手段】鉗子のジョーを閉じた状態で両鉗子ジョー間に開口部が形成される形状とした結紮鉗子において、(a)一方の鉗子ジョー先端部に、結節を有する結紮糸を張架可能とするとともに当該結紮糸の移動を補助する糸送り溝部を設け;
【特許請求の範囲】
【請求項1】 鉗子のジョーを閉じた状態で両鉗子ジョー間に開口部が形成される形状とした結紮鉗子において、(a)一方の鉗子ジョー先端部に、結節を有する結紮糸を張架可能とするとともに当該結紮糸の移動を補助する糸送り溝部を設け;
(b)他方の鉗子ジョー先端部に、前記一方の鉗子ジョーに張架された結紮糸の結節を係止する係止部を設け;
(イ)一方の鉗子ジョー先端部に設けた糸送り溝部に結紮糸を張架して鉗子を閉じて、(ロ)結紮糸の送りにより、当該結紮糸の結節が他方の鉗子ジョー先端部の係止部で係止され、(ハ)鉗子ジョーの開放により結紮糸が両鉗子ジョー間に連架される、ようにしたことを特徴とする糸送り結紮鉗子。
【請求項2】 他方の鉗子ジョー先端部に設けた係止部が、結紮糸の結節を挿入固定する空隙部である、請求項1に記載の糸送り結紮鉗子。
【請求項3】 一方の鉗子ジョー先端部に設けた糸送り溝部に、結節を有する結紮糸を張架させたのち、両鉗子ジョー間の開口部に結紮する血管を挟み込み、両鉗子ジョーを閉じた状態で、一方の鉗子ジョー先端部に張架された結紮糸の送りにより結紮糸の結節を、他方の鉗子ジョー先端部に設けた空隙部に挿入固定させ、鉗子ジョーを開くことにより両鉗子ジョー間に結紮糸を連架させると共に鉗子を引き戻し、鉗子ジョーの開口部に挟み込んだ血管に結紮糸を絡ませたのち、結紮糸により血管を結紮することを特徴とする請求項1に記載の糸送り結紮鉗子による血管の結紮方法。
【請求項4】 結節を有する結紮糸。
【請求項5】 請求項1に記載の糸送り結紮鉗子に使用するための請求項4に記載の結紮糸。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、結紮用鉗子に係り、詳細には、血管根部に結紮糸を簡便に通し、鉗子を取り替えることなく目的とする結紮を行える糸送り結紮鉗子および該糸送り結紮鉗子を用いた血管の結紮方法に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、腹腔鏡、胸腔鏡を用いた手術は、その適応が急速に拡大し、胆嚢のみならず、大腸、胃、脾臓、肺、食道までもが手術の対象臓器となってきている。しかしながら、手術対象臓器が大きく血流が豊富になり、しかも進行癌を対象とすることになると、太い血管をその根部において安全かつ確実に結紮・切離することが不可欠となってきた。
【0003】このような血管根部の結紮・切離には、従来から少なくとも2本の鉗子を使用しないと行えなかったものであり、また、結紮に用いられてきたクリップでは自ずと限界があった。また、限られたportから行う腹腔鏡操作では、結紮糸を用いた結紮・切離を行うこれまでの操作自体が煩雑であり、熟練を要するため、一般には行われていなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】かかる状況下において、本発明は簡便な方法で血管根部に結紮糸を容易に通すことができ、さらに鉗子を取りかえることなく、1本の鉗子により血管根部を確実に結紮し、しかもほとんどの臓器に対する鏡視下手術が安全に施行し得る糸送り結紮鉗子を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】かかる課題を解決するために、本発明は、その基本的態様として;鉗子のジョーを閉じた状態で両鉗子ジョー間に開口部が形成される形状とした結紮鉗子において、(a)一方の鉗子ジョー先端部に、結節を有する結紮糸を張架可能とするとともに当該結紮糸の移動を補助する糸送り溝部を設け;
(b)他方の鉗子ジョー先端部に、前記一方の鉗子ジョーに張架された結紮糸の結節を係止する係止部を設け;
(イ)一方の鉗子ジョー先端部に設けた糸送り溝部に結紮糸を張架して鉗子を閉じて、(ロ)結紮糸の送りにより、当該結紮糸の結節が他方の鉗子ジョー先端部の係止部で係止され、(ハ)鉗子ジョーの開放により結紮糸が両鉗子ジョー間に連架される、ようにしたことを特徴とする糸送り結紮鉗子を提供する。
【0006】本発明において、具体的な態様としての請求項2に係る糸送り鉗子は、他方の鉗子ジョー先端部に設けた係止部が、結紮糸の結節を挿入固定する空隙部である糸送り結紮鉗子である。
【0007】すなわち、一方の鉗子ジョーの先端部に設けた糸送り溝部に張架した結節を有する結紮糸を、鉗子ジョーが閉じられた状態で他方の鉗子ジョーで係止させ、鉗子ジョーの開放にしたがって結紮糸が両鉗子ジョー間に連架されるのであるが、この場合の他方の鉗子ジョーにおける結紮糸の係止は、他方の鉗子ジョー先端部に設けた空隙部に結紮糸の結節を挿入固定することにより行うのである。
【0008】したがって、本発明が提供する糸送り結紮鉗子を使用した血管の結紮は、一方の鉗子ジョーに結紮糸を張架して鉗子ジョー間に血管を挟み込んだのち、結紮糸を他方の鉗子ジョーに連架させることにより、血管に結紮糸を絡ませ、結紮することが可能となる。
【0009】しかして本発明は、また別の態様として、上記で提供される糸送り結紮鉗子を用いた血管の結紮方法を提供するものであり、より具体的には;一方の鉗子ジョー先端部に設けた糸送り溝部に、結節を有する結紮糸を張架させたのち、両鉗子ジョー間の開口部に結紮する血管を挟み込み、両鉗子ジョーを閉じた状態で、一方の鉗子ジョー先端部に張架された結紮糸の送りにより結紮糸の結節を、他方の鉗子ジョー先端部に設けた空隙部に挿入固定させ、鉗子ジョーを開くことにより両鉗子ジョー間に結紮糸を連架させると共に鉗子を引き戻し、鉗子ジョーの開口部に挟み込んだ血管に結紮糸を絡ませたのち、結紮糸により血管を結紮することを特徴とする上記した糸送り結紮鉗子による血管の結紮方法を提供する。
【0010】さらに本発明の糸送り結紮鉗子にあっては、結紮糸として特に、係止用の結節を有する結紮糸を使用するものであり、したがって本発明は、さらに異なる態様として、結節を有する結紮糸をも提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明が提供する糸送り結紮鉗子は、特に以下の構成を有することを特徴とする。第一に、鉗子を閉じた状態で、両鉗子ジョー間に結紮するべき血管を挟み込む開口部を設け、この開口部に血管を夾持させ得る形状として構成される。
【0012】第二に、上記の如く両鉗子ジョー間で血管を挟み込む開口部を形成する鉗子において、その2本の鉗子ジョーのうち、一方の鉗子ジョーを結紮用の結紮糸(縫合糸)の糸送りジョー部として作用させ、他方の鉗子ジョーを結紮糸の係止固定をする受部ジョーとして作用させるよう構成される。
【0013】この鉗子ジョーを糸送りジョー部として作用させるためには、具体的には、当該鉗子ジョー先端部に結紮糸を張架すること、すなわちある程度の張力をもって結紮糸を鉗子に括りかけることができ、そのうえ、当該鉗子ジョー先端部に括りかけられた結紮糸の動き(結紮糸の送り、ならびに戻しの動き)を自由に補助すると共に、鉗子ジョーからの結紮糸の脱離が生じないようにする糸送り溝部を形成させることにより達成される。
【0014】第三に、他方の鉗子ジョー先端部には、糸受けジョー部として、前記した糸送りジョー部の溝部に張架された結紮糸を、当該糸受けジョー部で係止するための係止部を設けるように構成される。
【0015】かかる結紮糸の係止は、特に本発明の鉗子で使用する結紮糸として、係止用の結節、例えばある程度の大きさを有するいわゆる糸玉を有する結紮糸を使用し、当該係止用結節(糸玉)が係止部としての空隙部に挿入固定するよう形成することにより達成される。
【0016】上記した如く両鉗子ジョー先端部を、それぞれ糸送りジョー部ならびに糸受けジョー部とすることにより、鉗子を閉じた状態で一方の鉗子ジョー先端に設けた糸送り溝部に張架された結紮糸は、送り戻されることによりその結紮糸の係止用結節が糸受けジョー部の空隙部に挿入固定され、結紮糸の他端は糸受けジョー部で係止される。
【0017】この段階では、一方の鉗子ジョー先端部、すなわち糸送りジョー部には結紮糸がいまだ張架されていることより、鉗子を開いた場合には、両鉗子ジョー間に結紮糸が連架され、かつ結紮糸の送り、ならびに戻しが、糸送り溝部を通して自由に行える構成を採用することとなるのである。
【0018】したがって、結紮するべき血管を本発明の鉗子で挟み込んだ(夾持した)段階では、いまだ血管に結紮糸を通す状態にはなっていないが、上記した手段により両鉗子ジョー間で結紮糸を連架させ、鉗子を開いた状態で当該鉗子を手元方向に引き上げると、両鉗子ジョー間に連架された結紮糸が必然的に血管を通した状態(括った状態)になる。その状態で鉗子から結紮糸の他端、すなわち糸送りジョー部側に張架した結紮糸を外し、自由となった結紮糸で結び目をつくり、血管を結紮することが可能となる。
【0019】以上のような構成を有する本発明の糸送り結紮鉗子を使用することにより、血管根部に簡便に結紮糸(縫合糸)を通ることが可能となり、さらに鉗子を取り替えることなく結紮が行える利点を有すると共に、以上の操作が1本の鉗子で一つのportから可能となる。したがって、これによりほとんどの臓器に対する鏡視下手術が安全にでき得る利点を有するのである。
【0020】なお、本発明の糸送り結紮鉗子に用いられる結紮糸としては、係止用の結節(例えば糸受けジョー部に設けた空隙部に挿入され、固定作用を有する大きさの糸玉)を有する縫合糸等を挙げることができ、その太さは手術の目的に応じ種々選択することが可能となる。
【0021】その点からみれば、糸送りジョー部としての糸送り溝部の径は、むやみに大きくする必要はなく、これらの縫合糸の移動を自由とするものとし、糸受けジョー部に設けた空隙部に挿入固定される係止用結節の大きさを調製すればよいこととなる。
【0022】
【実施例】以下に、上記の構成を有する本発明の糸送り結紮鉗子の実際を、図面を参照にし、さらに詳細に説明する。
【0023】図1に、本発明が提供する糸送り結紮鉗子の一実施例として、小開腹、胸腔鏡用の結紮鉗子の概略上面図を示す。図中、1は、本発明の糸送り結紮鉗子を示し、当該結紮鉗子はいわゆる結紮鉗子として外科手術上で使用されている結紮鉗子の形態を基本として有するものであり、全長がほぼ250mmないし300mm程度の長さを有する。当該鉗子を構成する両鉗子ジョー2および3は、先端からメジまでほぼ50mmないし100mm程度の長さを有し、当該2本のジョー2および3の間には、血管を挟み込む(夾持する)べき開口部4が設けられている。また、8および9は、それぞれ鉗子ジョー部の先端部を示す。
【0024】この図に示した本発明が提供する糸送り結紮鉗子は、両鉗子ジョー2および3の先端部8および9が閉じられた段階で、開口部4が形成されるが、当該先端部8および9の開放(鉗子ジョー2および3の開き)を行う場合には、鉗子の手前部分が大きく開かないように構成するのが特に好ましい。
【0025】なお、図中において5は、鉗子のジョーの開閉を基点とするメジであり、6は鉗子のジョーの閉じを固定するロック機構であり、7は鉗子の使用にあたっての指入れ部分である。また、10は後述する糸送りジョー部に括りかけられた結紮糸を、ある程度の張力をもって、例えばコイルスプリング等により固定するための糸止め装置を示すが、この糸止め装置は必ずしも必須のものではない。使用にあたって、適宜指に絡ませて張力を確保することが可能であることはいうまでもない。
【0026】図2aは、図1に示した結紮鉗子を、鉗子ジョー部における図1中の矢印A方向より見た一部正面図である。すなわち、この実施例の結紮鉗子にあっては、鉗子ジョー2および3の先端部分8および9が、若干L字型に屈折されており、開口部4に挟み込む血管を容易に夾持し易いものとされている。
【0027】特に本発明者の検討によれば、鉗子ジョーの先端部が、ほぼ120度程度に屈折されている場合に、血管を挟み込むのに好ましいことが判明した。しかしながら、本発明の結紮鉗子にあっては、必ずしもかかるL字型の屈曲形状を採用する必要はなく、直線的な形状を有する結紮鉗子であっても良いことはいうまでもない。なお、図2bは、図1に示した結紮鉗子の図1中の矢印B方向から見た側面図であり、若干L字型に構成された鉗子ジョー2および3により、鉗子ジョー先端部分8および9が閉じられた状態で、開口部4が形成される状態を示す。
【0028】本発明が提供する糸送り結紮鉗子にあっては、鉗子ジョーの一方が結紮用の結紮糸(縫合糸)の糸送りジョー部として作用するが、当該糸送りジョー部としては、鉗子ジョー先端部に糸送り溝部が形成される。一方、他方の鉗子ジョーは、鉗子ジョーを閉じた状態で糸送りジョー部と対応する糸受けジョー部として作用し、当該糸受けジョー部は、結紮糸の係止、例えば、結紮糸に設けられた結節(例えば、ある程度の大きさを有する糸玉)を挿入固定して係止するための空隙部が形成される。
【0029】かかる鉗子ジョーの先端部の構造を、図2aのA−A線断面図として図3に示す。すなわち、図3は本発明が提供する結紮鉗子のジョー部の先端正面断面図であり、結紮鉗子20は両鉗子ジョーが閉じられた状態を示している。21は糸送りジョー部であり、22は糸受けジョー部を示す。なお、本実施例においては、糸送りジョー部21の先端23は、糸受けジョー部の先端25より若干突出した形状を有しているが、必ずしもかかる形状を有する必要はない。
【0030】糸送りジョー部21の先端23には、結紮糸を張架することにより当該結紮糸を鉗子ジョーに括りかけることができ、かつ括りかけられた結紮糸の動きを自由に補助し、鉗子ジョーから結紮糸の脱離が生じないように、糸送り溝部24が形成されている。
【0031】この糸送り溝部24の大きさ(深さ)は、結紮糸の太さに対応し、その上で溝24内部において結紮糸の動きが妨げられない程度の大きさを有するものであれば特に限定される必要はない。特に結紮糸として0.2ないし1.0mm程度の結紮糸の動きを妨げない深さを有すれば十分である。
【0032】一方の糸受けジョー部22の先端25には、上記した糸送りジョー部21に張架された結紮糸を係止する空隙部26が形成されると共に、両鉗子ジョー21および22が閉じられた状態であっても結紮糸の送りならびに係止用結節の空隙内への挿入が自由となる溝部27が形成される。
【0033】この場合の空隙部26の大きさは、結紮糸の他端近傍に設けられた係止用の結節(糸玉)が挿入され、結紮糸の引っ張りによっても空隙部から当該結節が外れない程度の大きさを有するものであれば特に限定される必要はない。
【0034】なお、上記に説明した糸送りジョー部21の先端23、ならびに糸受けジョー部22の先端25の形状、さらにはその溝部24および27、あるいは空隙部26の位置は特に限定されない。要は、両鉗子ジョーが閉じられた状態で、結紮糸の送りが可能となり、かつ糸送りジョー部21の先端23に設けた糸送り溝部24に張架された結紮糸が、他方の糸受けジョー部22の先端25で係止され得るように対応する構造を有する限り、自由な変形があることはいうまでもない。
【0035】以上のようにして構成される本発明の糸送り結紮鉗子を用いた、具体的な血管の結紮のステップを、各段階の状況を示す図面を参照にしながら、以下に説明していく。
【0036】以下に説明する図4ないし図10は、本発明の結紮鉗子による血管の結紮手段を理解容易ならしめるために、結紮鉗子のジョー部先端の作用を示す拡大説明図である。なお、新た付した符号以外の符号は、原則として図3に付した符号と同一である。
【0037】図4に示すように、本発明の糸送り結紮鉗子による血管の結紮は、他端近傍において係止用結節33、すなわちある程度の大きさを有する、例えば糸玉を有する結紮糸32を用い、糸送りジョー部の先端23に形成された糸送り溝部24に、当該結紮糸32を張架する。なお、この張架した段階で、結紮糸の解れをなくすために、当該結紮糸の両端は、図1に示した糸止め装置10により、例えばコイルスプリング等である程度の張力をもって固定しておくか、あるいは指に絡ませておくのがよい。
【0038】かかる結紮糸32が一方の糸送りジョー部の先端23の糸送り溝部24に張架された状態で鉗子ジョーを開き、両鉗子ジョーの開口部に結紮するべき血管35を挟み込むよう鉗子を押し入れる。
【0039】次いで、図5に示すように、両鉗子ジョーを閉じると、両鉗子ジョー間に形成された開口部4の中に血管35が夾持された状態となる。この状態で、糸送りジョー部の先端23に張架された結紮糸32を手前(図中矢印方向)に引くことにより、結紮糸に形成された係止用結節33が、糸受けジョー部の先端25に設けられた空隙部26に挿入固定され、取込まれることとなる(図6)。
【0040】結紮糸の係止用結節33を、糸受けジョー部の先端25に設けた空隙部26に取込んだ後、図7に示すように両鉗子ジョー21および22を開く(図中、矢印方向への開放)と、縫合糸32の他端は、糸受けジョー部の空隙部26に挿入固定された係止用結節33により固定され、他方の糸送りジョー部21の開き(開放)にしたがって、糸送り溝を介して結紮糸が送り戻され、その結果、両鉗子ジョー21および22の間で結紮糸32が連架されることとなる。
【0041】次いで、鉗子ジョーを更に開く。この両鉗子ジョーを開いた状態で図8に示すように結紮鉗子を手前(図中矢印A方向)に引くと、結紮糸32は結紮するべき血管35に接触しつつ、鉗子ジョーの先端部23に設けた糸送り溝部24から外れて、図中矢印B方向に送り込まれていく状態となる。
【0042】かかる状態を確保した段階で、結紮鉗子を更に手前に引き込み、次いで図9に示すように、鉗子を閉じて係止用結節を固定し、さらに結紮糸の他端を糸止め装置から外した後、図10に示すように、鉗子の手元で結紮糸の結び目36をつくり、鉗子ジョーを閉じた状態で結紮糸の係止用結節を手で固定し、結紮糸の両端を手前に引きながら(図中矢印BおよびC方向)鉗子1をknot pusherとして押し、血管35に張力を加えることなく結紮をする。
【0043】以上の結紮糸による結び目の作成、ならびに血管結紮操作を2〜3回繰り返すことにより、血管が完全に結紮される。
【0044】なお、上記の血管の結紮手段においては、図1に示した小開腹、胸腔鏡用鉗子の一実施例による結紮の具体的方法を説明したが、本発明の結紮鉗子を用いた血管の結紮は、その範囲を逸脱しない限り種々の変形例があり、それらの変形例も本発明の範囲に包含されることに注意すべきである。
【0045】そのような変形例として、腹腔鏡用結紮鉗子を図11に示す。図中、40はその中央部を省略した本発明の結紮鉗子を示し、当該結紮鉗子40は、腹腔鏡用の結紮鉗子であるため、ほぼ全長300ないし350mmの長さを有する。また、図1に示した小開腹、胸腔鏡用結紮鉗子と同様に、ほぼ長さが30ないし40mm程度の鉗子ジョーを有する。当該鉗子ジョーは、糸送りジョー部41ならびに糸受けジョー部42を有し、その先端部は図1に示した小開腹、胸腔鏡用結紮鉗子と同様に、若干L字型に屈折されている。
【0046】なお、この実施例における腹腔鏡用結紮鉗子においても、糸送りジョー部41の先端部には結紮糸を張架し、かつ結紮糸の送りを自由とする糸送り溝部(図中略)が設けられている。また糸受けジョー部42には、他端近傍で係止用結節を挿入固定する空隙部(図中略)が設けられている。これらの点は、図1に示した小開腹、胸腔鏡用結紮鉗子とほぼ同様の構造を有するものである。
【0047】この図11に示した腹腔鏡用結紮鉗子を用いた血管の結紮方法にあっても、すでに上記で説明した小開腹、胸腔鏡用結紮鉗子を用いた血管の結紮方法と基本的には同様である。
【0048】
【発明の効果】かくして提供される本発明の糸送り結紮鉗子は、血管の根部に結紮糸を簡便に通すことができ、更に鉗子を取り替えることなく、1本の鉗子により一つのportから結紮が可能となることより、ほとんどの臓器に対する鏡視下手術が安全に施行できる利点を有し、低侵襲性、経済性を同時に確保した極めて優れた術式を提供するものであり、医療手術上の貢献度は多大なものである。
【出願人】 【識別番号】598162746
【氏名又は名称】浅尾 高行
【出願日】 平成10年11月26日(1998.11.26)
【代理人】 【識別番号】100083301
【弁理士】
【氏名又は名称】草間 攻
【公開番号】 特開2000−157551(P2000−157551A)
【公開日】 平成12年6月13日(2000.6.13)
【出願番号】 特願平10−335426