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【発明の名称】 X線撮像装置及びX線撮像方法並びにX線撮像方法を実現するプログラムの記録された記録媒体及び伝送される伝送媒体
【発明者】 【氏名】飯野 正昭

【氏名】加藤 一良

【要約】 【課題】被写体の任意の深さにおける面の像を得ることのできるX線撮像装置及びX線撮像方法並びにX線撮像方法を実現するプログラムの記録された記録媒体及び伝送される伝送媒体を提供する。

【解決手段】被写体10に対しX線12を照射し、被写体を透過したX線を集光手段26(30)により集光して、集光されたX線を撮像手段として機能する受光素子32で検出し、被写体の任意の深さにおける面の像を得るようにしている。距離調整手段38は集光手段26と被写体との距離を調整して、被写体の任意の深さにおける面の像を得るために用いられる。受光素子の出力信号は映像処理手段としてのコンピュータ36に供給され、断層画像の描画や、3次元画像の抽出、画像のカラー化などのための処理が行われる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 被写体に対しX線を照射するX線照射手段と、前記被写体を透過した前記X線を集光するX線集光手段と、前記X線集光手段にて集光された前記X線を検出し、前記被写体内の面の像を得るX線撮像手段と、前記X線撮像手段にて得られた前記X線による映像を処理する映像処理手段とを、有するX線撮像装置。
【請求項2】 前記被写体内の面の像が前記被写体内の任意の深さにおける像とすべく、前記X線集光手段と前記被写体との間の距離を変化させる距離調整手段を有する請求項1記載のX線撮像装置。
【請求項3】 前記被写体内の面の像が前記被写体内の任意の深さにおける像とすべく、前記X線集光手段が組み合わせレンズとして機能する第1と第2の2つの集光手段と、前記第1の集光手段の焦点距離位置に配された反射鏡とを有し、前記反射鏡と前記第2の集光手段との間の距離を変化させる距離調整手段を有する請求項1又は2記載のX線撮像装置。
【請求項4】 前記映像処理手段が、X線で得られた被写体の実像又は虚像から、前記被写体の所定位置における断層面のデジタル信号を抽出する手段と、前記デジタル信号から任意の拡大率で平面画像として描画する描画手段とから構成されるX線画像描画装置を更に有する請求項1から3のいずれか1つに記載のX線撮像装置。
【請求項5】 前記映像処理手段が、X線による像から得られた断層平面のデジタル信号を再構築し、特定の範囲のレントゲン透過率を持った部分を抽出して任意の拡大率で描画させる装置を有する請求項1から3のいずれか1つに記載のX線撮像装置。
【請求項6】 前記映像処理手段が、X線による像から得られた断層画像を重畳して再構築し、立体画像を描出する装置を有する請求項1から3のいずれか1つに記載のX線撮像装置。
【請求項7】 前記映像処理手段が、X線による像から得られた断層画像を再構築し、任意の平面での断層画像を作成し、描出する装置を有する請求項1から3のいずれか1つに記載のX線撮像装置。
【請求項8】 前記映像処理手段が、複数の波長のX線で得られた像の信号強度に色調を割り当ててカラー化し、編集加工する装置を有する請求項1から3のいずれか1つに記載のX線撮像装置。
【請求項9】 被写体に対しX線を照射するX線照射ステップと、前記被写体を透過した前記X線を集光するX線集光ステップと、前記X線集光ステップにて集光された前記X線を検出し、前記被写体の任意の深さにおける面の像を得るX線撮像ステップと、前記X線撮像ステップにて検出された前記X線による映像を処理する映像処理ステップとを、有するX線撮像方法。
【請求項10】 被写体に対しX線を照射するX線照射ステップと、前記被写体を透過した前記X線を集光するX線集光ステップと、前記X線集光ステップにて集光された前記X線を検出し、前記被写体の任意の深さにおける面の像を得るX線撮像ステップと、前記X線撮像ステップにて検出された前記X線による映像を処理する映像処理ステップとを、有するX線撮像方法における前記映像処理ステップを実現するプログラムであって、X線で得られた被写体の実像又は虚像から、前記被写体の所定位置における断層面のデジタル信号を抽出するステップと、前記デジタル信号から任意の拡大率で平面画像として描画する描画ステップとを有するX線撮像方法を実現するプログラムの記録された記録媒体及び伝送される伝送媒体。
【請求項11】 被写体に対しX線を照射するX線照射ステップと、前記被写体を透過した前記X線を集光するX線集光ステップと、前記X線集光ステップにて集光された前記X線を検出し、前記被写体の任意の深さにおける面の像を得るX線撮像ステップと、前記X線撮像ステップにて検出された前記X線による映像を処理する映像処理ステップとを、有するX線撮像方法における前記映像処理ステップを実現するプログラムであって、X線による像から得られた断層平面のデジタル信号を再構築し、特定の範囲のレントゲン透過率を持った部分を抽出して任意の拡大率で描画させるステップを有するX線撮像方法を実現するプログラムの記録された記録媒体及び伝送される伝送媒体。
【請求項12】 被写体に対しX線を照射するX線照射ステップと、前記被写体を透過した前記X線を集光するX線集光ステップと、前記X線集光ステップにて集光された前記X線を検出し、前記被写体の任意の深さにおける面の像を得るX線撮像ステップと、前記X線撮像ステップにて検出された前記X線による映像を処理する映像処理ステップとを、有するX線撮像方法における前記映像処理ステップを実現するプログラムであって、X線による像から得られた断層画像を重畳して再構築し、立体画像を描出するステップを有するX線撮像方法を実現するプログラムの記録された記録媒体及び伝送される伝送媒体。
【請求項13】 被写体に対しX線を照射するX線照射ステップと、前記被写体を透過した前記X線を集光するX線集光ステップと、前記X線集光ステップにて集光された前記X線を検出し、前記被写体の任意の深さにおける面の像を得るX線撮像ステップと、前記X線撮像ステップにて検出された前記X線による映像を処理する映像処理ステップとを、有するX線撮像方法における前記映像処理ステップを実現するプログラムであって、X線による像から得られた断層画像を再構築し、任意の平面での断層画像を作成し、描出するステップを有するX線撮像方法を実現するプログラムの記録された記録媒体及び伝送される伝送媒体。
【請求項14】 被写体に対しX線を照射するX線照射ステップと、前記被写体を透過した前記X線を集光するX線集光ステップと、前記X線集光ステップにて集光された前記X線を検出し、前記被写体の任意の深さにおける面の像を得るX線撮像ステップと、前記X線撮像ステップにて検出された前記X線による映像を処理する映像処理ステップとを、有するX線撮像方法における前記映像処理ステップを実現するプログラムであって、複数の波長のX線で得られた像の信号強度に色調を割り当ててカラー化し、編集加工するステップを有するX線撮像方法を実現するプログラムの記録された記録媒体及び伝送される伝送媒体。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、X線撮像装置及びX線撮像方法並びにX線撮像方法を実現するプログラムの記録された記録媒体に関し、特に人体や動物、植物の内部を主として医療目的で撮像するためのX線撮像装置及びX線撮像方法並びにX線撮像方法を実現するプログラムの記録された記録媒体及び伝送される伝送媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】X線を用いたいわゆる放射線撮像装置あるいはレントゲン装置は、人体などの内部を透視したり、あるいはその像を撮影して写真とするものとして医療機関などで広く用いられている。1895年にレントゲンによりX線が発見されて以来、従来の医療用X線撮像装置はX線透過による影(陰影)を蛍光板上に映し出し、これを撮影してきた。X線を反射あるいは屈折させるような素材が存在していなかったため、X線を集光して結像させるという発想は忘れ去られており、X線による陰影をX線像と呼び、あたかも物理学的な像(実像又は虚像)であるかのように混同されてきた。
【0003】また断層像を映し出す撮影装置も存在するが(tomography)、これも断層面における実像又は虚像を直接に撮影するわけではなく、その面で投影される陰影を時間をかけて複合的に映像化して描出しているにすぎず、著しく不鮮明であり、X線照射時間も極端に長くなる。一方ではcomputed tomography (CT) が開発されたが、これはX線をある方向に平面的に照射し、この照射面をマトリクス化して、各ピクセルのX線強度を計算し、合成像として再構成する方法によっており、決して像を結ぶものではない。従ってCTにおいては、膨大なマトリクスにおけるレントゲン強度を計算により求めており、あくまでその像は陰影からの計算像に過ぎず、さらに膨大なマトリクスを計算により求めるため、非常に大きなメモリと長い計算時間を要する。
【0004】一方過去約10年間にX線を反射、屈折させる素材が開発されてきており、最近では多層膜作成技術の向上から、カーボン、タングステン、ニッケル、チタニウム、イリジウム、白金などの金属元素の原子を単一周期長に配置した薄膜を積層させた多層膜X線反射鏡、さらには積層するそれぞれの膜における各元素の原子間の周期長を表面から基底面に向けて変化させていくX線スーパーミラーの開発も進んでいる。その一例が、例えば「応用物理」1997年第66巻PP13359−1360の「X線スーパーミラー」(著者:山下広順、国枝秀世、田原譲)に示されている。これに伴いX線を用いて像を結ばせる装置として、X線顕微鏡やX線望遠鏡が開発されてきている。しかしX線顕微鏡はより微細な構造を拡大して見るための装置(基本的に利用している波長より細かなものを像として結ぶことができないため、電子顕微鏡に用いる電磁波より波長の短いX線を用いることで、より小さいものの像を見ることができる)であり、またX線望遠鏡は宇宙の背景放射などの微弱なX線の線源を映像化するための装置であり、X線レンズを用いて像を結ばせ、そこから断層像を抽出して描画しようという本発明とは、発想が基本的に異なる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の画像診断用X線装置の第一の問題点は、撮影される画像が断層像でなく複合陰影であることである。またトモグラフィー (tomography) のように撮像角度を連続的に変えて断層像を撮影する場合では、長時間の撮影を行うため、わずかな呼吸などによる位置のずれが大きなぶれにつながり、また移動している間もフィルムは感光し続けるため、画像が著しく不鮮明になる。さらにCTの場合では、異なる角度からのX線照射により得られた(陰)影からの計算に基づいてある断面の像を描出しようとするために、周辺の影響を受けやすい。これらのため第二の問題点である画像の不正確さ、第三の課題である画像の分解能の低さ、第四の課題である描出に要する時間が長いこと、第五の課題である再構築断面の角度の制限が生じる。さらに単一の波長条件による照射のみを行い、画像処理を行わないために第六の課題である単色(グレースケール)での画像しか提供できないことになる【0006】したがって、本発明は被写体の任意の深さにおける面の像を得ることのできるX線撮像装置及びX線撮像方法並びにX線撮像方法を実現するプログラムの記録された記録媒体を提供することを主たる目的とし、さらに上記第1〜第6の課題を解決するX線撮像装置及びX線撮像方法並びにX線撮像方法を実現するプログラムの記録された記録媒体及び伝送される伝送媒体を提供することをも目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記主たる目的を達成するため、本発明では被写体に対しX線を照射し、被写体を透過したX線を集光して、集光されたX線を検出し、被写体の任意の深さにおける面の像を得るようにしている。
【0008】すなわち本発明によれば、被写体に対しX線を照射するX線照射手段と、前記被写体を透過した前記X線を集光するX線集光手段と、前記X線集光手段にて集光された前記X線を検出し、前記被写体内の面の像を得るX線撮像手段と、前記X線撮像手段にて得られた前記X線による映像を処理する映像処理手段とを、有するX線撮像装置が提供される。
【0009】また本発明によれば、被写体に対しX線を照射するX線照射ステップと、前記被写体を透過した前記X線を集光するX線集光ステップと、前記X線集光ステップにて集光された前記X線を検出し、前記被写体の任意の深さにおける面の像を得るX線撮像ステップと、前記X線撮像ステップにて検出された前記X線による映像を処理する映像処理ステップとを、有するX線撮像方法が提供される。
【0010】なお、前記映像処理手段が、X線で得られた被写体の実像又は虚像から、前記被写体の所定位置における断層面のデジタル信号を抽出する手段と、前記デジタル信号から任意の拡大率で平面画像として描画する描画手段とから構成されるX線画像描画装置を更に有することは、本発明の好ましい態様の1つである。また、前記映像処理手段が、X線による像から得られた断層平面のデジタル信号を再構築し、特定の範囲のレントゲン透過率を持った部分を抽出して任意の拡大率で描画させる装置を有することは、本発明の好ましい態様の1つである。
【0011】また、前記映像処理手段が、X線による像から得られた断層画像を重畳して再構築し、立体画像を描出する装置を有することは、本発明の好ましい態様の1つである。また、前記映像処理手段が、X線による像から得られた断層画像を再構築し、任意の平面での断層画像を作成し、描出する装置を有することは、本発明の好ましい態様の1つである。また、前記映像処理手段が、複数の波長のX線で得られた像の信号強度に色調を割り当ててカラー化し、編集加工する装置を有することは、本発明の好ましい態様の1つである。
【0012】さらに本発明によれば被写体に対しX線を照射するX線照射ステップと、前記被写体を透過した前記X線を集光するX線集光ステップと、前記X線集光ステップにて集光された前記X線を検出し、前記被写体の任意の深さにおける面の像を得るX線撮像ステップと、前記X線撮像ステップにて検出された前記X線による映像を処理する映像処理ステップとを、有するX線撮像方法における前記映像処理ステップを実現するプログラムであって、X線で得られた被写体の実像又は虚像から、前記被写体の所定位置における断層面のデジタル信号を抽出するステップと、前記デジタル信号から任意の拡大率で平面画像として描画する描画ステップとを有するX線撮像方法を実現するプログラムの記録された記録媒体及び伝送される伝送媒体が提供される。
【0013】また、本発明によれば被写体に対しX線を照射するX線照射ステップと、前記被写体を透過した前記X線を集光するX線集光ステップと、前記X線集光ステップにて集光された前記X線を検出し、前記被写体の任意の深さにおける面の像を得るX線撮像ステップと、前記X線撮像ステップにて検出された前記X線による映像を処理する映像処理ステップとを、有するX線撮像方法における前記映像処理ステップを実現するプログラムであって、X線による像から得られた断層平面のデジタル信号を再構築し、特定の範囲のレントゲン透過率を持った部分を抽出して任意の拡大率で描画させるステップを有するX線撮像方法を実現するプログラムの記録された記録媒体及び伝送される伝送媒体が提供される。
【0014】また、本発明によれば被写体に対しX線を照射するX線照射ステップと、前記被写体を透過した前記X線を集光するX線集光ステップと、前記X線集光ステップにて集光された前記X線を検出し、前記被写体の任意の深さにおける面の像を得るX線撮像ステップと、前記X線撮像ステップにて検出された前記X線による映像を処理する映像処理ステップとを、有するX線撮像方法における前記映像処理ステップを実現するプログラムであって、X線による像から得られた断層画像を重畳して再構築し、立体画像を描出するステップを有するX線撮像方法を実現するプログラムの記録された記録媒体及び伝送される伝送媒体が提供される。
【0015】また、本発明によれば被写体に対しX線を照射するX線照射ステップと、前記被写体を透過した前記X線を集光するX線集光ステップと、前記X線集光ステップにて集光された前記X線を検出し、前記被写体の任意の深さにおける面の像を得るX線撮像ステップと、前記X線撮像ステップにて検出された前記X線による映像を処理する映像処理ステップとを、有するX線撮像方法における前記映像処理ステップを実現するプログラムであって、X線による像から得られた断層画像を再構築し、任意の平面での断層画像を作成し、描出するステップを有するX線撮像方法を実現するプログラムの記録された記録媒体及び伝送される伝送媒体が提供される。
【0016】また、本発明によれば被写体に対しX線を照射するX線照射ステップと、前記被写体を透過した前記X線を集光するX線集光ステップと、前記X線集光ステップにて集光された前記X線を検出し、前記被写体の任意の深さにおける面の像を得るX線撮像ステップと、前記X線撮像ステップにて検出された前記X線による映像を処理する映像処理ステップとを、有するX線撮像方法における前記映像処理ステップを実現するプログラムであって、複数の波長のX線で得られた像の信号強度に色調を割り当ててカラー化し、編集加工するステップを有するX線撮像方法を実現するプログラムの記録された記録媒体及び伝送される伝送媒体が提供される。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態について説明する。図1は本発明に係るX線撮像装置の好ましい第1の実施の形態を模式的に示す模式図である。図1の装置は被写体10にX線を照射するレントゲン照射部14と、被写体10を透過したX線を集光し撮像を行う受光系24を有する。レントゲン照射部14は、X線出力部16と、X線出力部16から発射されたX線を集光するレンズ18と、レンズ18にて集光されたX線を反射する反射鏡20と、反射する反射鏡20からのX線をさらに反射して被写体10に照射する反射鏡22を有している。
【0018】受光系24は、被写体10を透過したX線を集光する反射鏡26と、反射鏡26の焦点位置に配された反射鏡28と、集光され、反射鏡28で反射されたX線を更に集光して結像させるレンズ30と、レンズ30の焦点位置に配される受光素子32を有している。受光素子32としてはX線用CCDを用いることができる。受光素子32の出力信号はA/Dコンバータ34を介して画像処理手段としてのコンピュータ36に入力される。上記レンズ18、30は、図1ではその機能を示すため一般光学系で用いられる凸レンズとして表示されているが、実際は、結晶分子の配列されたX線フレネルレンズを用いる。
【0019】図1の装置は次のように動作する。X線出力部16から発射されたX線を、レンズ18と反射鏡22の組み合わせにより人体撮影に適当な面積の中での平行X線あるいは放射状X線とし、被写体を通過させた後に反射鏡26とレンズ30の組み合わせにより受光素子(検知装置検知面)32に結像させる。このとき反射鏡26と被写体10の距離及びレンズ30の焦点距離の組み合わせにより、被写体10の任意の深さにおける面の実像を任意の拡大率で結像することができる。
【0020】すなわち、反射鏡26と被写体10の間の距離を変化させるためには、被写体10を固定して、反射鏡26を光軸方向に移動させる距離調整手段38を設けることができる。この場合、反射鏡26と反射鏡28との間の距離は一定とされる。なお、反射鏡26を移動させる代わりに、被写体10を光軸方向に移動させる手段として、例えば被写体10を載置する図示省略のベッドを移動させる手段を設けることも可能であるし、さらに上記2つの距離調整手段を組み合わせることもできる。
【0021】また、被写体10や反射鏡26を移動させる代わりに、反射鏡26の焦点位置に配された反射鏡28とレンズ30との間の距離を変化させる図示省略の距離調整手段を設けるようにしてもよい。この場合、レンズ30と受光素子32との間の距離は一定とされる。
【0022】また結像された被写体10内部の実像のレントゲン強度を白黒コントラストに変えて可視光の色調を割り当てることで、生体に近いカラー画像を提供できる。さらに複数の面を張り合わせ合成再構築することで被写体の内部を立体的に表示することができる。またA/Dコンバータ34を通して画像をデジタル化し、コンピュータ36で重畳した上で再構築することにより立体画像とその任意の角度の面での画像を提供できる。
【0023】本発明では、従来の医療用のX線(レントゲン)装置における根本的な問題である陰影を情報源として用いる代わりに、光学的にX線を反射あるいは屈折させて、X線による光学的な像(実像あるいは虚像)を結像させ、この像を情報源として用いて断層面、すなわち被写体の任意の深さにおける像を投影するようにしている。この断層面の投影の原理を図1と共に簡略的に説明すると、次のようになる。まず、被写体10の前面をレントゲン12の光軸12Aに直角に置き、レントゲン照射部14に対して正面を向くような場合を例にとり説明する。図2、図3は図1における被写体10近傍の光学系における光線の状態を示す図である。
【0024】図1の例では、レントゲンを受ける側、すなわち受光系24は、図1及び図2に示される大型凹面反射鏡26を有している。図2に示すように、この受光系24の焦点距離をfg、被写体10の任意の断面10C(上向き矢印:↑)と反射鏡26までの距離をa、被写体10と反射鏡26までの距離をa’、反射鏡26と被写体10の投影された任意の断面10Cの実像又は虚像40(下向き矢印:↓)までの距離をbとし、実像又は虚像40の位置に反射鏡28が配置される。なお、この位置に反射鏡28に代えてデータ読み出し用の受光素子32としてのX線用CCDカメラを配置してもよい。CCDカメラ32の代わりに蛍光板を用いることもできる。実際のX線発生装置は、従来用いられているものを用いることができる。またX線反射鏡は、前述の山下らによって開発されてきた多層膜を用いたX線スーパーミラーなどを用いることができる。この場合、口径300〜500mm、かつF値4〜6(焦点距離600〜2,000mm程度)のものを使用することができる。また受光素子32には Med Optics社製のX線用CCDなどを用いることができる。
【0025】この場合、X線においても一般光学原理が成り立つため、これらの間には1/a+1/b=1/fg …(1)の関係が成り立つ。ここでレンズと被写体の位置関係、レンズとデータ読み出し装置との位置関係は物理的に移動させることが可能である。したがって断層面とレンズとの距離aは、ある焦点距離fgを持つレンズ又は反射鏡と、被写体との距離a’及び受像部との距離bの位置関係を連続的又は断続的に変化させることにより比較的自由に変化させることができる(この原理的関係は虚像を結ばせるような場合でも図3のa、a’、b、fgの間で成立する)。すなわち任意の断層平面における所定の焦点深度を持った像を得ることができる。
【0026】この像を前述のように直接的にX線用CCDを用いて、あるいは蛍光板を介して間接的に可視光用CCDを用いて測定し、アナログ-デジタルコンバータを介してデジタル情報として抽出することで、被写体のX線光軸に直角な図4のような平面座標におけるx軸及びy軸で表示しうる、ある断面における、ある範囲の像のX線強度を、ある点密度(CCDの能力に依存する)をもって、計算に頼らず得ることができる。現在実用化されているCCDの精度は400画素/mm2以上であり、現在用いられているCTやMRIと同等以上の解像度で画像情報を直接得ることができることになる。
【0027】ここで、ある平面での断層画像を描画させる手法について図5のフローチャートと共に説明する。上記の構成で、像から得られる情報を図4に示すようにマトリクス化し、それぞれを座標上の点D(x, y)に見立てて、各点のX線強度としてコンピュータに取り込み、平面画像出力するが、実際の処理ステップは、図5に示すように、まずm×nの(m、nは使用するCCDの能力により決定される画素数)二次元配列領域D(xm,yn)を確保し(ステップS1)、次いでこれを初期化する(ステップS2)。次にカウンタi,jを用いてi, jが各々0からm、0からnに達するまでD(xi,yj)を読み込み(ステップS3〜S9)、次にこれを画像データD’(xi,yj)に変換し(ステップS10)、最後にCRTモニタ上あるいはフィルムプリンタなどの出力装置に出力する(ステップS11)。これにより、ある平面での断層画像を描画させることができる。
【0028】この場合、原理的には一般光学の原理が成立するため、図3において拡大率をRとすると、R=|b/a|で示される。いまfgは光学的に組み合わせた、レンズと反射鏡を用いて作製でき、レンズと反射鏡との距離及びレンズの焦点距離を変えることにより、ある範囲内で可変である。またここでも(1)式の関係が成り立つことから、R=|(b-fg)/fg|であり、したがってa、b及びfgを変化させることにより拡大率を任意に変えることができる。またこれに加えて受像装置として用いるCCDの単位面積当たりの画素数を増やすことで、分解能が高まることから、実質的により拡大率を上げることができる。
【0029】また抽出された像のデジタルデータから、ある特定の(範囲(S1〜S2など)の)X線強度を有する座標をコンピュータに抽出させ、その部分のみを描画させることにより、血管、実質臓器などX線透過率が一定の範囲にある部分の像を選択的に描出することができる。実際のステップでは、図6のフローチャートに示すように、まずm×nの二次元配列領域D(xm,yn)を確保する(ステップS12、S13)。この場合m, nは描出しようとする画像の範囲(画素数)により決定されるため、あらかじめ入力しておく。次いでD(xm,yn)を初期化する(ステップS14)。次に求める画像のX線強度の範囲であるS1とS2を入力する。続いてカウンタi,jを用いてi, jが各々0からm、0からnに達するまでD(xi,yj)を読み込み(ステップS15、S16、S18、S22、S24)、次いでX線強度がS1〜S2の範囲にない場合には、この座標には0を入力する(ステップS19、S20)。これによりX線強度がS1〜S2の部分のみを抽出できる。次にD(xm,yn)を画像データD’(xi,yj)に変換し(ステップS25)、最後にCRTモニタ上あるいはフィルムプリンタなどの出力装置に出力する(ステップS26)。
【0030】さらにX,Y平面に平行な断層面を、ある短い間隔(1mm あるいはそれ以下)でX,Y平面に垂直な軸であるZ軸に沿ってX線検知器を、像に対して相対的にずらせながらデータを抽出してゆき、前項の座標のような平面のデータを連続的あるいは断続的に測定し、コンピュータ36上で重畳してゆくことにより、図7のようなx、y、z軸に相当する3次元座標で表示しうるある立体空間について、各点におけるX線強度をある点密度をもって、計算に頼らず直接測定できる。この場合の点密度はCCDの精度及び断層面の間隔に依存する。断層面の間隔の移動を考慮すると、1平面の厚さを1mm以下にすることが可能と考えられ、既存のCTあるいはMRI診断装置と同等以上の解像度を持たせることが十分可能である。
【0031】図8のフローチャートに従って説明すると、まずm×n×o(m、nは使用するCCDの能力により決定される画素数、oはZ軸方向への検知器の像に対しての相対的な移動距離により決定される数値)の3次元配列領域D(xm, yn, zo)を確保し(ステップS37)、次いでこれを初期化する(ステップS38)。次にカウンタi,j, kを用いてi, j, kが各々0からm、0からn、0からoに達するまでD(xi, yj, zk)を読み込み(ステップS39〜S48)、次にこれを画像データD’(xm, yn, zo)に変換し(ステップS49)、最後にCRTモニタ上あるいはフィルムプリンタなどの出力装置に出力する(ステップS50)。
【0032】またこの場合も図6の場合と同様の手法を用い、ある特定のX線強度(の範囲)の点(座標)のみを選択的して立体画像として描出させることが可能である。この場合のステップでは、まずm×n×o(m、nは使用するCCDの能力により決定される画素数、oはZ軸方向への検知器の像に対しての相対的な移動距離により決定される数値)の3次元配列領域D(xm, yn, zo)を確保し(ステップS51)、次いでこれを初期化する(ステップS52)。次いで求めるX線強度(の範囲:S1〜S2)を入力する(ステップS53)。次にカウンタ整数i, j, kを用いてi, j,kが各々0からm、0からn、0からoに達するまでD(xi, yj, zk)を読み込み(ステップS54〜S57、S60〜S65)、次いで読み込んだD(xi, yj, zk)が求める(範囲である)S1〜S2にない場合にはD(xi, yj, zk)に0(又は任意のX線強度)を代入する(ステップS58、S59)。次に読み込みが終了したところでD(xi, yj, zk)を画像データD’(xm, yn, zo)に変換し(ステップS66)、最後にCRTモニタ上あるいはフィルムプリンタなどの出力装置に出力する(ステップS67)。
【0033】さらに図7のような3次元座標の各点のX線強度が測定できるため、求める任意の平面上の3点{(x1, y1, z1)、(x2, y2, z2)、(x3, y3, z3)}を決定し、この平面上の点のX線強度を収集してコンピュータ上で再構築することにより、任意の角度の平面上の点(座標)のX線強度の情報のみを抽出することが可能である。図10のフローチャートにおける実際の処理では、まず3次元領域D1(xm, yn, zo)及び求める平面画像のデータを収納するための二次元領域D2(xm, yn,)(m, n, oは求める平面の大きさにより決定される)を確保し(ステップS68、S69)、それぞれを初期化する(ステップS70)。次に求める平面を規定する3点の座標(x1, y1, z1)、(x2, y2, z2)、(x3, y3, z3)を入力する(ステップS71)。次いで方程式z1 = ax1 + by1 + c, z2 = ax2 + by2 + c, z3 = ax3 + by3 + c からa, b, cを求め、関数z = f(x, y) = ax + by +cを求める(ステップS72)。次にカウンタ整数i, jを用いて図8のフローチャートで読み込んだD(xm, yn, zo)の中からD1(xi, yj, f(xm, yn))の部分を読み出してゆき、次いでその価をD2(xm,yn,)に代入する(ステップS73〜S80)。次にD2(xm,yn,)を画像データD2'(xm,yn)に変換し(ステップS81)、最後にCRTモニタ上あるいはフィルムプリンタなどの出力装置に出力する(ステップS82)。
【0034】診断領域で用いられるX線は特性X線で、波長は10nm〜1pm(124eV〜1240keV)の間にあり、波長が短いほど光子としてのエネルギーは高い。本発明においてもX線源としてはこの範囲のものを用いる。実際にはこの範囲内で、X線発生装置の管電圧を上げることにより、エネルギーを高める、すなわち波長を短くすることができる。一方、物体を透過する際のX線の減衰は、本装置で用いるような診断領域のX線のうち、比較的低エネルギーのX線においては光電効果によるところが大きい。光電効果による減衰は、透過する物質の原子量の3乗に比例し、X線の光子エネルギーの3乗に反比例する。しかしX線のうちでも比較的エネルギーが高い場合=波長が短い場合には、コンプトン散乱や電子対生成による減衰の影響が大きくなる。このためX線画像の生体組織の構成物質の原子量の差によるコントラストは、波長が短いほど、減る。すなわちX線の波長が短いほど、生体組織の構成物質の原子量の差による減衰の影響が減り、X線の吸収率が近づいてくる。したがって生体構成物質の違いによるX線の減衰の比率はX線の波長により異なる。
【0035】このことを利用して、複数の波長=エネルギーレベルのX線を用いて断層面のX線強度を測定し、それぞれの波長について、ある点(座標)のX線強度に対して、適当な波長の特定の可視光線(例えば3つの異なる波長のX線を用いて得られる、図4、図6のような座標上の各点の3つのレントゲン強度に対して、光の三原色である赤、緑、青など)に、それぞれ変換作業をコンピュータを用いて行い、カラー画像として描出させることができる。図11に示すフローチャートの実際の処理では、まず3種類の異なる波長(又はある波長領域の最強波長)λ12, λ3のX線を照射した際のデータを収納するための二次元領域Dλ1(xm, yn)、Dλ2(xm, yn)及びDλ3(xm, yn)(m, nは求める平面の大きさにより決定される画素数)を確保し(ステップS82)、次に青、緑、赤などの3種類の可視光線にデータを対応させるための二次元領域Dr(xm, yn)、Dg(xm, yn)及びDb(xm, yn)を確保し(ステップS83)、次いでそれぞれを初期化する(ステップS84)。次にカウンタ整数i, jを用いてDλ1(xi, yj)、Dλ2(xi, yj)及びDλ3(xi, yj)を順次読み込んでゆき(ステップS85〜S87、S89〜S92)、次いでその値をそれぞれDr(xi, yj)、Dg(xi, yj)及びDb(xi, yj)に変換する(ステップS88)。次にDr(xi, yj)、Dg(xi, yj)、Db(xi, yj)をそれぞれ画像データD’r(xi, yj)、D’g(xi, yj)、D’b(xi, yj)に変換し(ステップS93)、最後にCRTモニタ上あるいはフィルムプリンタなどの出力装置に出力する(ステップS94)。
【0036】図12は本発明のX線撮像装置の好ましい第2の実施の形態を示す模式図である。この第2の実施の形態は、図1に示した第1の実施の形態と、次の点でのみ異なる。すなわち、図12装置は被写体10にX線を照射するレントゲン照射部14が、X線出力部16のみを有し、被写体10を透過したX線を集光し撮像を行う受光系24が被写体10を透過したX線を集光する反射鏡26と、反射鏡26の焦点位置に配された受光素子32のみを有している。なお、図12の第2の実施の形態におけるレントゲン照射部14と図1の第1の実施の形態における受光系24とを組み合わせたり、逆に、図1の第1の実施の形態におけるレントゲン照射部14と図12の第2の実施の形態における受光系24とを組み合わせることもできる。
【0037】第2の実施の形態では、レントゲン照射部14と受光系24が第1の実施の形態と比較すると簡略化されているが、いずれも本発明の本質的機能を備えており、上記説明で示された動作により所望の画像を得ることができる。
【0038】上記各実施の形態は、X線撮像装置及びX線撮像方法について説明したがX線撮像方法を実現するプログラムの記録された記録媒体及び伝送される伝送媒体として本発明が実現されることはいうまでもない。この場合、記録媒体には、CD−ROM、FD、半導体メモリ、ハードディスクなどのあらゆる記録媒体が含まれ、また伝送媒体には、インターネットや放送に代表される有線及び無線による情報の提供の媒体としての公衆回線、専用回線、無線電波伝搬の空間などが含まれる。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、次のような効果がある。すなわち、レントゲンによるX線の発見以来、X線による画像診断のための装置が発展してきたが、その医療への応用の始まり以来、X線による複合的な影(陰影)がその画像の正体であった。長期間にわたりその陰影をX線による像と呼んできたため、その陰影を光学的な像(実像又は虚像)と錯覚することすらあり、像を結ばせるという発想は医学分野から失われていた。過去10年ほどの間に、X線による光学的な像を結ばせることが可能になってきたが、医学への応用は一部のX線顕微鏡に見られるのみである。本発明はこのX線による光学的な像を医学的画像診断のための撮像装置に応用した最初のものである。したがって医学分野における画像診断のための撮像装置として非常に大きな転換となり、画像診断の概念を大きく変えることになるであろう。
【0040】本発明により、生体の内部構造を従来の画像診断のための装置に比してはるかに迅速に、正確に、詳細に観察することが可能になる。また請求項2、3、4に記載した発明の原理を併用することにより、3次元の画像についても、より正確な像をより高分解能で随意の角度で断層にした上で、随意の拡大率で描出できる。また3次元画像でもある特定のX線強度(の範囲)の部分のみを選択的に描出することができる。さらに現在用いられている透視診断のための装置と本発明を併用することにより、生体画像をリアルタイムに、カラー画像で観察することも可能になる。さらに心電図との同期や、ドップラー法の併用、造影剤の使用により、より高度、複雑な画像を得ることができるため、応用範囲も非常に広いと考えられる。
【出願人】 【識別番号】398049209
【氏名又は名称】株式会社ウェルビーイング
【出願日】 平成11年8月6日(1999.8.6)
【代理人】 【識別番号】100093067
【弁理士】
【氏名又は名称】二瓶 正敬
【公開番号】 特開2000−135211(P2000−135211A)
【公開日】 平成12年5月16日(2000.5.16)
【出願番号】 特願平11−223186