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【発明の名称】 X線CT装置
【発明者】 【氏名】本多 豊正

【要約】 【課題】本発明は、冷却ユニット内の冷却液循環用ポンプのポンプ軸が高速で連続回転する回転部の回転軸と平行になるように冷却ユニットを配置して冷却液循環用ポンプのポンプ軸に加わる負荷を軽減することにより、冷却ユニットの動作寿命を長くし、その故障の発生を極力少なくできるX線CT装置を提供する。

【解決手段】回転部が撮影口5に挿入される被検体の体軸とほぼ一致する回転軸21を中心にして被検体の周りを高速で回転すると、冷却ユニット44内の冷却液循環用ポンプ44aに回転部の回転による遠心力が作用して大きな負荷がかかるので、この負荷を軽減するために、回転部の回転軸21とポンプ軸44hが平行になるように冷却液循環用ポンプ44aを配置して冷却ユニット44を回転ベース48の内周側に取り付ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 X線を発生するX線発生手段と、冷却液循環用ポンプを有し、前記X線発生手段を冷却する冷却手段と、前記X線発生手段および前記冷却手段が少なくとも取り付けられ、高速で回転する回転手段とを備え、前記冷却手段は、前記冷却液循環用ポンプのポンプ軸が前記回転手段の回転軸と平行になるように配置されることを特徴とするX線CT装置。
【請求項2】 前記回転手段は1秒/回転を越える回転速度で回転することを特徴とする請求項1に記載のX線CT装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、連続して高速回転が可能な回転部が設けられている架台を有するX線CT装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のX線CT(Computed Tomography)装置においては、X線を発生するX線管ユニットやこのX線管ユニットを冷却する冷却ユニットなどが架台に設けられている回転部に取り付けられている。なお、このような回転部を備えておらず、連続回転が可能でないX線CT装置や連続回転が可能であっても回転部の回転速度が1秒/回転よりも遅いX線CT装置などが用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した回転部を1秒/回転よりも遅い回転速度で連続して回転可能なX線CT装置においては、この回転部の回転により生じる遠心力によって冷却ユニット内に設けられている冷却液循環用ポンプに影響が生じることはなかった。従って、回転部に取り付けられる冷却ユニットの配置については考慮されることがなく、例えば、冷却ユニットの小型化を図るために、冷却液循環用ポンプのポンプ軸の方向が回転部の回転軸の方向と直交する場合があった。
【0004】しかし、最近、架台に設けられている回転部を1回転が1秒をきるような高速で回転可能なX線CT装置が開発されてきている。そのため、回転部の回転により生じる遠心力によって例えば冷却液循環用ポンプのポンプ軸の方向が回転部の回転軸の方向と直交している場合には、冷却ユニット内の冷却液循環用ポンプのポンプ軸に大きな負荷が加わるので、このポンプ軸を支えるベアリングに損傷が生じやすくなる。具体的には、回転部の回転速度が2倍になれば、それにより生じる遠心力は4倍となるので、例えば、回転部が0.5秒で1回転するとすれば、13Gの負荷が加わることになる。そのため、冷却液循環用ポンプの動作寿命が短くなり、冷却液循環用ポンプの故障が多発する可能性がある。これは、冷却ユニット全体の動作寿命や故障の発生に大きな影響を与えることになる。
【0005】一般的に、X線管ユニットの動作寿命は冷却ユニットの動作寿命と比較して短いが、従来のX線CT装置ではX線管ユニットと冷却ユニットは一体化して構成されていたため、X線管ユニットと冷却ユニットを同時に交換せざるをえなかった。しかし、最近のX線CT装置においては、X線管ユニットと冷却ユニットはそれぞれ個別に交換可能に構成されているので、動作寿命の短いX線管ユニットのみを交換して冷却ユニットはそのまま使用することができれば、装置全体のコストを低減することが可能となる。そのためには、例えば、冷却ユニット内の冷却液循環用ポンプの動作寿命を長くし、その故障の発生を極力少なくする必要がある。
【0006】本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、X線管ユニットを冷却する冷却ユニット内の冷却液循環用ポンプのポンプ軸が高速で連続して回転する回転部の回転軸と平行になるように冷却ユニットを配置して冷却液循環用ポンプのポンプ軸に加わる負荷を軽減することにより、冷却ユニットの動作寿命を長くし、その故障の発生を極力少なくすることが可能なX線CT装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明のX線CT装置は、X線を発生するX線発生手段と、冷却液循環用ポンプを有し、前記X線発生手段を冷却する冷却手段と、前記X線発生手段および前記冷却手段が少なくとも取り付けられ、高速で回転する回転手段とを備え、前記冷却手段は、前記冷却液循環用ポンプのポンプ軸が前記回転部の回転軸と平行になるように配置されることを特徴とする。
【0008】上記請求項1に記載の発明のX線CT装置において、請求項2に記載の発明は、前記回転手段は1秒/回転を越える回転速度で回転することを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0010】図1は本発明の実施の形態のX線CT装置の外観構成を示す図、図2は本発明の実施の形態のX線CT装置の構成を示すブロック図、および図3は本発明の実施の形態のX線CT装置の架台に設けられる回転部の構成を示す図である。図1および図2において、本発明の実施の形態のX線CT(Computed Tomography)装置1は、患者などの被検体(図示しない)を載せるための寝台10と、被検体を挿入してX線を曝射するための撮影口5を有し、架台カバー21で覆われている架台20と、X線CT装置1全体の動作を制御する制御装置30とを備えている。
【0011】被検体のX線CT画像を取得する場合には、駆動ユニット11により寝台10を架台20に接近させ、寝台10に載せられている被検体を架台20の撮影口5に挿入する。
【0012】制御装置30は、X線CT画像を取得するために必要な種々のコマンドを入力するための入力ユニット31と、X線CT画像の取得に必要な情報や取得したX線CT画像などを表示する表示ユニット32と、X線CT画像の取得に必要な情報や取得したX線CT画像などを記憶する記憶ユニット33と、X線CT装置1の各ユニットの動作を制御するシステム制御ユニット34とを備えている。
【0013】図3に示すように、架台20内には回転部40が設けられ、図示しないスタンドに支持されている。回転部40は、X線を発生するX線管ユニット41と、X線管ユニット41から曝射され被検体を透過したX線を検出するために、被検体を挟んでX線管ユニット41と対向して配置されるX線検出ユニット42と、X線検出ユニット42によって検出された信号を増幅する信号増幅ユニット43と、X線管ユニット41に隣接して設けられ、X線管ユニット41を冷却する冷却ユニット44と、X線管ユニット41に管電圧(管電流)を供給するための電源ユニット45、46と、電源ユニット45、46を制御する電源制御ユニット47と、X線管ユニット41、X線検出ユニット42、信号増幅ユニット43、冷却ユニット44、電源ユニット45、46、電源制御ユニット47が図示しない固定ボルトなどを用いて取り付けられ、撮影口5に挿入された被検体の周りを回転するドラム状の回転ベース48と、各ユニットで発生した熱を外部に放出するための放熱口49とを備えている。
【0014】図3からわかるように、X線管ユニット41、X線検出ユニット42、信号増幅ユニット43、冷却ユニット44、電源ユニット45、46、および電源制御ユニット47はドラム状の回転ベース48の内周側の面に配置される。
【0015】回転ベース48は回転制御ユニット50の制御による駆動モータ51の駆動により回転する。従って、回転部40が被検体の周りを高速で連続して回転する。なお、回転部40の回転速度は、1秒/回転以上、特に2秒/回転以上である。すなわち、被検体のX線CT画像を得るために回転部40が被検体の周りを1回転するのに必要な時間は1秒以下、特に0.5秒以下となる。
【0016】被検体のX線CT画像を取得する場合には、回転部40が被検体の周囲を1回転する間に、電源制御ユニット43の制御によって電源ユニット45、46からX線管ユニット41に所定の管電圧(管電流)が供給されることによってX線管ユニット41からX線が被検体に曝射され、被検体を透過したX線がX線検出ユニット42によって検出される。X線検出ユニット41によって検出されたX線に関する検出信号は信号増幅ユニット47で増幅され、システム制御ユニット34に供給される。システム制御ユニット34では、この検出信号を基にして所定の画像再構成処理などを行ってX線CT画像を取得し、取得したX線CT画像を表示ユニット32に表示させ、記憶ユニット33に記憶させる。
【0017】次に、本発明の実施の形態のX線CT装置の架台内に設けられている回転部の回転ベースに取り付けられる冷却ユニットについて説明する。
【0018】図4は本発明の実施の形態のX線CT装置の架台の一部を切り欠いて示す図であり、回転部の回転ベースに取り付けられている冷却ユニットを架台の撮影口から見た図である。また、図5は本発明の実施の形態のX線CT装置の架台内に設けられる回転部とこの回転部に取り付けられる冷却ユニットの位置関係を説明するための断面図である。
【0019】図4および図5に示すように、回転部40のドラム状の回転ベース48には、その内周側の中央部分に内周に沿ってリング状に形成され、冷却ユニット44を挿入して保持するための保持フレーム部分を有する保持部材48aが設けられている。従って、冷却ユニット44はこの保持フレーム部分に挿入されて保持部材48aによって保持され、さらに固定ボルトなどによって回転ベース48の内周側に取り付けられることになる。
【0020】ここで、冷却ユニット44の内部の構成について説明する。
【0021】図6は本発明の実施の形態のX線CT装置の架台内に設けられる回転部に取り付けられる冷却ユニットの構成を示す図である。なお、図6(a)はこの冷却ユニットの構成を示す平面図であり、図6(b)はこの冷却ユニットの構成を示す側面図である。
【0022】図6において、回転ベース48の内周側に取り付けられる冷却ユニット44は、X線管ユニット41を冷却するための冷却液を循環させる冷却液循環用ポンプ44aと、X線管ユニット41で発生した熱を得た冷却液に対して熱交換を行うラジエータ44dと、ラジエータ44dを流れる冷却液を強制的に冷却する冷却用ファン44e、44fと、X線管ユニット41と冷却ユニット44の間で冷却液を循環させるためにX線管ユニット41と冷却ユニット44を連結する連結部(図示しない)を有する冷却液循環用ホース44b、44cとを備えている。
【0023】冷却液循環用ポンプ44aは、回転羽根44gと、回転羽根44gを回転させるための回転軸となるポンプ軸44hと、ポンプ軸44hを支えるためのベアリング44iとを有し、ポンプ軸44hの回転により回転羽根44gを回転させて冷却液をX線管ユニット41に送出する。
【0024】被検体のX線CT画像を取得するためのX線の曝射時にX線管ユニット41で発生した熱を得た冷却液は冷却液循環用ホース44bを介して冷却ユニット44に流入する。冷却ユニット44に流入した冷却液はラジエータ44dによって熱交換され、さらに冷却用ファン44e、44fによって強制的に冷却される。強制的に冷却された冷却液は冷却液循環用ポンプ44aによって冷却液循環用ホース44cを介してX線管ユニット41に送出される。以上の動作を繰り返して冷却液を循環させ、冷却ユニット44によってX線管ユニット41の冷却を行っている。
【0025】なお、上述したように、冷却液の循環は、X線管ユニット41から流入した冷却液に対してラジエータ44dによって熱交換を行い、冷却用ファン44e、44fによって強制的に冷却液を冷却した後にこの冷却液を冷却液循環用ポンプ44aによってX線管ユニット41に送出することによって行っている。しかし、本発明では、X線管ユニット41から流入した冷却液を冷却液循環用ポンプ44aを介してラジエータ44dおよび冷却用ファン44e、44fによって冷却してX線管ユニット41に送出するように構成された冷却ユニットを用いることも可能である。
【0026】また、上述したように、X線管ユニット41は冷却ユニット44との間で冷却液を循環させるために冷却液循環用ホース44b、44cを介して連結されているが、X線管ユニット41を冷却液循環用ホース44b、44cの連結部から取り外すことが可能である。これにより、冷却ユニット44の動作寿命と比較して動作寿命の短いX線管ユニット41のみをユニット交換することができる。
【0027】ところで、被検体のX線CT画像を得るために、回転部40を撮影口5に挿入される被検体の体軸とほぼ一致する回転軸21を中心にして被検体の周りを高速で回転させた場合、冷却ユニット44内の冷却液循環用ポンプ44aに回転部40の回転による遠心力が作用して大きな負荷がかかる。この負荷が大きくなると、冷却液循環用ポンプ44aのポンプ軸44hが破損する場合がある。従って、図5に示すように、回転部40の回転軸21とポンプ軸44hが平行になるように冷却液循環用ポンプ44aを配置して冷却ユニット44を回転ベース48の内周側に取り付ける。すなわち、冷却ユニット44内に設けられている冷却液循環用ポンプ44aのポンプ軸44hの方向を回転部40の回転軸21の方向と一致させるようにする。これにより、冷却液循環用ポンプ44aのポンプ軸44hにかかる負荷が軽減するので、ポンプ軸44hが破損することを防止することが可能となる。
【0028】
【発明の効果】以上、本発明によれば、X線管ユニットを冷却する冷却ユニット内の冷却液循環用ポンプのポンプ軸が高速で回転する回転部の回転軸と平行になるように冷却ユニットを配置することにより、回転部の回転による遠心力によって冷却液循環用ポンプのポンプ軸に加わる負荷を軽減している。従って、冷却液循環用ポンプの動作寿命を長くし、その故障の発生を極力少なくすることができる。これにより、冷却ユニット全体の動作寿命を長くし、その故障の発生を極力少なくすることが可能なX線CT装置を提供することができる。
【0029】また、X線管ユニットと冷却ユニットとが個別に交換可能に構成されているX線CT装置では、そのメンテナンスが容易となり、装置全体のメンテナンスコストを下げることができる。
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【出願日】 平成10年10月16日(1998.10.16)
【代理人】 【識別番号】100081411
【弁理士】
【氏名又は名称】三澤 正義
【公開番号】 特開2000−116639(P2000−116639A)
【公開日】 平成12年4月25日(2000.4.25)
【出願番号】 特願平10−295856