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【発明の名称】 装着体
【発明者】 【氏名】松岡 史朗

【氏名】野田 雄一郎

【氏名】野田 憲正

【氏名】勝木 幸治

【氏名】浜本 勝美

【要約】 【課題】体液測定のために患者に求められる動作をより簡単なものとして使い勝手をさらに高めることができるとともに、採血時の痛みや恐怖感を極力解消し、かつ、必要量の体液検体を無駄なく正確に労力をかけずに採取することができ、体液を測定することができる体液採取具一体型体液測定装置に着脱可能な装着体を提供する。

【解決手段】少なくとも減圧吸引機構と体液測定のための電子回路を有した装置24に着脱可能な装着体30で、装着体30は試験片として例えばバイオセンサ36を用い、該バイオセンサ36のベース板36Aを中空針31の皮膚と接する側と反対側の開口部に接する形で、中空針31の方向に対して垂直に設置されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも減圧吸引機構と体液測定のための電子回路を有した装置に着脱可能な装着体であって、前記装着体が中空針と体液測定用試験片を備えたことを特徴とする装着体。
【請求項2】 体液測定用試験片の体液吸引部が中空針の延長上に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の装着体。
【請求項3】 体液測定用試験片がバイオセンサである請求項1に記載の装着体。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、体液に含まれる被検物質を測定することができ、なおかつ、皮膚からの体液採集と測定とを一連の操作によって行うことができるように構成された、体液採取具一体型の体液測定装置に関するもので、とくに該体液採取具一体型の体液測定装置に装着して使用する装着体に関する。
【0002】
【発明の背景】体液を採取してその体液を測定する一例として、血中グルコース濃度(以下、「血糖値」という。)の測定が挙げられる。血糖値の測定は主に糖尿病の検査、治療において行われている。糖尿病の治療には患者の血糖値を正常範囲に保つことが必要であり、患者自らによる血糖値管理が重要な治療法である。とくに、患者自身によるインスリン注射によって血糖値を正常範囲に維持する場合には、患者自身による適宜の血糖値測定が欠かせない。
【0003】この血糖値測定を行う場合、まず採血を行わなければならないが、その際主にランセットという器具を用いて採血が行われる。その操作はランセット先端部を皮膚に当てて、バネのような弾性要素を有した穿刺針駆動装置を作動させることにより、穿刺針をランセット先端部より突出させて皮膚を穿刺する。穿刺した皮膚孔より揉みだしなどにより採血が行われる。この採血は主に感覚の敏感な指先で行われるため、また、バネのような弾性要素を用いた穿刺針駆動装置を用いることにより、穿刺針が皮膚を穿刺する際の皮膚への衝撃が大きく、痛みと恐怖感を伴い、患者にとって大きな負担となっている。
【0004】これを改善する手段として指先以外でも採血を可能とするため減圧吸引機構を内蔵したランセットが商品名マイクロレットチョイス(バイエル三共社製)で市販されている。このランセットを用いることにより指先ほど感覚が敏感でない腹壁や前腕、上腕部での採血が可能となり、痛みが低減されるが、バネのような弾性要素を用いた穿刺針駆動装置を用いることにより、穿刺針が皮膚を穿刺する際の皮膚への衝撃があり、痛みや恐怖感は残る。
【0005】これらの穿刺採血方法に対して、特開平7−255706には減圧手段、穿刺手段を有する気密吸引室及び前記穿刺手段の穿刺を間接的に解除駆動させる為の穿刺解除手段より成る簡易採血装置が開示されている。この採血装置は減圧吸引により皮膚を盛り上がらせ、所定位置に設定された穿刺手段と皮膚を接触させ、その後穿刺手段を解除することにより採血を無痛で行える。これよりも単純な機構で採血できる採血器が特開平8−187237に開示されている。
【0006】上述のように採血され、出液させた血液を採取し、血糖値の測定が行われるが、その一例として特公平8−20412号広報に示されているような血糖値測定装置に装着して使用される酵素電極に血液を触れさせると、その血液の一部が毛管現象により反応部に引き込まれ酵素反応および電気化学反応を介して陽極電流が生じる。この陽極電流が装置本体内で血糖値に換算され、表示される。
【0007】しかしながら、上記した従来一般的な血糖値測定方法においては、検体である血液を採取するための採血手段と測定装置とが別体であるが故に、両者を携行せねばならない不便さとあいまって、採血動作と傷から出液した血液を試験片に触れさせるという動作との二つの動作をする必要があり、使い勝手においていまだ改善の余地がある。とりわけ、試験片に血液を触れさせる動作については、必要量の血液を試験片の定められた部位に触れさせる必要があり、不慣れな患者、あるいは視力が低下した患者にとってこのような動作を行う場合、あるいは本人が直接視認できない耳たぶから採血する場合には、上記したような傷から出液させた血液を迅速適正に試験片に触れさせることはきわめて困難である。また、必要な血液量を適切に目分量で量ることは難しく、測定をうまく行うために必要量以上の血液を出液させておいてから試験片に触れさせるため、余分な労力と血液が無駄となることが多い。
【0008】本願発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、測定のために患者に求められる動作をより簡単なものとして使い勝手をさらに高めることができるとともに、採血時の痛みや恐怖感を極力解消し、かつ、必要量の体液検体を無駄なく正確に労力をかけずに採取することができ、体液を測定することができる体液採取具一体型体液測定装置に着脱可能な装着体を提供することをその課題としている。
【0009】
【発明の開示】上記の課題を解決するため、本願発明では、次の技術的手段を講じている。
【0010】本願発明によって提供される装着体は、少なくとも減圧吸引機構と体液測定のための電子回路を有した装置に着脱可能な装着体であって、中空針と体液測定用試験片を備えたことを特徴としている。好ましい実施の形態においては前記装着体において体液測定用試験片の体液吸引部が中空針の延長上に配置されている。
【0011】装着体に用いる中空針としては外径約0.3mm、内径約0.18mm(ゲージ番号30)や外径約0.26mm、内径約0.13mm(ゲージ番号31)が示されるが、これらに限定されることはなく各種外径、内径のものであってよい。また、中空針の材料としては、特に限定されるものではないが、ステンレス鋼、クロム鋼等の金属や、ナイロン、ポリカーボネート、ポリエステル、PPO等の硬質プラスチック等が好適に使用される。装着体の素材としてはプラスチック材料でできているのが好ましく、医療用具の滅菌のために行われているγ線滅菌やエチレンオキサイドガス滅菌に耐えうる素材であれば特に限定されない。装着体の中空針を固定し、試験片を支持する部分が設けられるが、中空針の部分しか通気孔がなくても、それ以外に上記支持する部分に各種形状の通気孔を設けてもよい。
【0012】上記装着体における体液測定用試験片は比色定量用試験片であっても、バイオセンサであっても良く、その配置の仕方は体液測定用試験片の体液吸引部が中空針の延長上に配置されていればよく、試験片は中空針の方向に対して垂直であっても水平であっても、0゜から90゜のある一定の角度をなしていても良く、特に限定されない。また、体液吸引部は空間であっても、体液中成分との反応試薬であってもよい。
【0013】また上記文章中、装置に着脱可能とは装着体を少なくとも減圧吸引機構と体液測定のための電子回路有した体液測定装置に装着して減圧吸引を行う際、装着体と装置の接合部が減圧吸引が行える程度の気密性を有していればよく、形状的に制限されない。そして、装着体を装着する少なくとも減圧吸引機構と体液測定のための電子回路を有した装置において、減圧吸引機構は生体皮膚表面を吸引するための機構であり、機械的または化学的に減圧機能を手動又は自動的に行うもの等が例示されるが特に限定されるものではない。なお、装置には少なくとも減圧吸引機構と体液測定のための電子回路を有したとしたが、これ以外に測定結果等を印刷するプリンタ部や測定結果を保存するためのメモリー部、音楽を流すための機構、データを外部に出力するための機構等を有していてもよい。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本願発明の好ましい実施の形態の一例を図面を参照しつつ、説明する。
【0015】図1は、本願発明の装着体の垂直断面図である。装着体30は試験片として例えばバイオセンサ36を用い、該バイオセンサ36のベース板36Aを中空針31の延長線上で皮膚と接する側と反対側の開口部に接する形で、中空針31の方向に対して垂直に設置されている。
【0016】図2は本願発明の装着体の上から見た図である。バイオセンサ36の貫通孔362bは中空針の開口部と重なるように設置されており、また貫通孔362bはバイオセンサ36の体液通路36bにつながるようになっている。また、電極の端子部36f、36hは体液採取具一体化体液測定装置10と電気的接点となっており、通気孔39が開けられている。
【0017】図3は図1、図2の装着体に示されているバイオセンサの分解斜視図である。より具体的には、このバイオセンサ36は、上面に作用極36cおよび対極36dが膜形成された絶縁ベース板36Aと、作用極36cおよび対極36dの一部を露出させる溝を形成するように絶縁ベース板36A上に積層された板状スペーサ36B,36Bと、この板状スペーサ36B,36Bにさらに積層された板状カバー36Cとを備えている。以下、この板状バイオセンサ36の作製工程を説明する。
【0018】図3に示すように、たとえば0.2mmの厚みをもつ樹脂製絶縁シートからなる平面視長矩形状のベース板36Aが準備される。このベース板36Aには、あらかじめたとえば1.5mm径の貫通穴361aが形成されている。このベース板36Aの上面には、グラファイトインクを用いたスクリーン印刷の手法により、作用極36cと対極36dとが膜状に形成される。作用極36cは、端子部となるべき端部領域36f(作用極36cに斜線のみを施した領域)から細状の突出部36gが延出形成された平面形態をもち、一方、対極36dは、端子部となるべき端部領域36h(対極36dに斜線のみを施した領域)から上記作用極36c側の突出部36gを両側から挟むように二股状に延びる突出部36i,36iをもつ平面形態をもっている。貫通穴361aは、対極36dの一方の突出部36iと近接して位置している。なお、上記作用極36cおよび対極36dは、金や白金などの貴金属を蒸着するとともにエッチング処理して所定のパターンを作ることによって形成することもできる。
【0019】次に、作用極36cおよび対極36dの各突出部36g,36i,36iが縦方向に並ぶ帯状領域と、作用極36cおよび対極36dの各端部領域36f,36hを残してレジスト層36j(実線と一点鎖線で斜線を施した領域)を印刷形成する。
【0020】続いて、上記レジスト層36jに重ねるようにして、レジスト層36jと同等の平面形状を有するスペーサ板36B,36Bを配置する。このスペーサ板36Bとしては、たとえば厚み0.2mmの樹脂製の板が採用され、表裏面に粘着剤層を設けた両面テープ態様のものが使用される。これにより、スペーサ板36B,36Bで挟まれる凹溝が形成され、 かつこの凹溝の底部の帯状の領域に上記作用極36cと対極36dの各突出部36g,36i,36iが並んで露出する格好となる。なお、上記凹溝の幅は、たとえば1.5mm、長さはたとえば3mmに設定される。
【0021】次に、上記凹溝の底部の帯状の領域に、反応試薬層を形成する。体液中グルコース濃度値用のセンサとして構成する場合、この反応試薬は、酸化酵素であるグルコースオキシターゼおよびメディエータとしてのフェリシアン化カリウムを含むものが採用される。反応試薬層はたとえば分注法により形成される。
【0022】次に、図3に示したように各スペーサ板36B,36Bに重ねるようにして、上記ベース板36Aの貫通孔361aと対応する貫通孔362bを有する平面視矩形状のカバー板36Cを重ね合わせてこのバイオセンサ36が完成する。上記ベース板36Aとスペーサ板36B,36Bとで形成された凹溝をカバー板36Cで塞ぐことによって縦方向に延びる断面横長矩形状の体液通路36bが形成され、かつ、この体液通路36bの内面に、作用極36cおよび対極36dに接触する試薬層(反応部)が形成され、かつ、この体液通路36bはこの板状バイオセンサ36の貫通穴に連通させられることとなる。また、体液通路36bにおける上記貫通穴の位置と反対側は、開放させられており、貫通穴を介してこの体液通路36bないし反応部に毛管現象によって体液が導入されるのを促す。この体液通路36bの容積は、前述した凹溝の幅、長さ、およびスペーサ板36B,36Bの厚み寸法から、1.5mm×3mm×0.2mm=0.9μlとなるが、試薬層の固形分体積約0.2μlを差し引くと、この体液通路36bの実質容積は約0.7 μlというきわめて小さなものとなる。
【0023】図4は本願発明の装着体30を装着した体液測定装置10の全体外観図である。体液測定装置10は、その上面にスイッチボタン類、表示部20などが配置されている。また、この体液測定装置内部には減圧吸引機構およびマイクロコンピューター等の回路が内蔵されている。図4において符合21は使用者が手動によって上記減圧吸引機構を駆動させるための押圧部を示している。
【0024】次に、体液採取測定の一連の動作を図4,図5を参照しつつ説明する。
【0025】まず装着体30は使い捨て消耗品として提供され、体液測定装置10の使用にあたって使用者はこの装着体30を体液測定装置10の前部筒状部24に装着する(図4参照)。上記実施形態において装着体30はキャップ状をしているので、このような装着作業は容易に行える。装着体30が装着されると、図5aに表れているように体液測定装置10のコネクタピン25a、25aの先端が装着体30のバイオセンサ36のベース板36A両端上面に配置された電極部36f、36hに自動的に接触する。体液測定装置10に装着された装着体の開口面を被験者の適当な部位、例えば前腕部の皮膚37に押し当てられる(図5aの状態)。
【0026】次に図5aの状態で体液測定装置の押圧部21を押下する。そうすると減圧吸引機構が駆動され、装着体内が減圧され、皮膚37が盛り上げられる(図5bの状態)。
【0027】さらに時間が経つと、さらに皮膚37が盛り上げられ、皮膚37は中空針と接触し、受動的に穿刺される。そして、中空針を通して皮膚37の内部に減圧吸引力が働き、体液が吸引される(図5cの状態)。
【0028】さらに吸引されると体液はバイオセサの貫通孔に達する。達した体液は毛細管現象により体液通路36bに吸引され、体液通路を充満させる。なお、前述したように、バイオセンサ36内の体液通路36bの実質容積はきわめて小さいため、少量の体液で体液通路を充満させることが可能である。その後、バイオセンサ36内の体液通路36b内において、反応試薬が体液によって溶解されると、以下の数1に示される酵素反応が開始される結果、反応部に共存させているフェリシアン化カリウムが還元され、還元型の電子伝達体であるフェロシアン化カリウムが蓄積される。
【0029】
【数1】

【0030】フェロシアン化カリウムの蓄積量は、基質濃度、すなわち体液中のグルコース濃度に比例する。一定時間蓄積された還元型の電子伝達体は、以下の数2に示される電気化学反応により、酸化される。
【0031】
【数2】

【0032】体液測定装置内の電子回路は、このとき測定される作用極電流から、グルコース濃度を演算・決定し、好ましくはたとえば本体表面に配置された表示部20表示する。
【0033】このように、上記体液測定装置10によれば、装着体30を体液測定装置10の所定部位に装着するという簡単な前準備をした後、装着体30の開口面を患者の前腕部等に押し当てた状態を保持しつつ、あたかも従来のランセットを扱うようにして減圧吸引操作をするだけで、それ以上の操作、あるいは動作を要することなく、血糖値等の体液測定を適正に行うことができる。また、減圧吸引力で皮膚を盛り上げ中空針で皮膚を受動的に穿刺することにより恐怖感や痛みが軽減され、なおかつ穿刺採血手段に中空針を用い、中空針の延長線上に体液測定用試験片を配置することにより微量の血液量で、無駄なく測定できる。
【0049】もちろん、この発明の範囲は上述した実施形態に限定されることはない。実施形態では、グルコース濃度値を測定するためのものとして説明されているが、測定対象はグルコース濃度値に限定されない。装着体の具体的形状および体液測定用試験片の種類および具体的構造は、種々変更可能である。本願発明の最も重要なポイントは、体液測定装置に装着して使用される装着体であって、前記装着体に中空針と体液測定用試験片とが一体的に組み込まれている点である。
【出願人】 【識別番号】000141897
【氏名又は名称】株式会社京都第一科学
【出願日】 平成10年10月15日(1998.10.15)
【代理人】
【公開番号】 特開2000−116629(P2000−116629A)
【公開日】 平成12年4月25日(2000.4.25)
【出願番号】 特願平10−314030