トップ :: A 生活必需品 :: A61 医学または獣医学;衛生学




【発明の名称】 円錐状放射線ビ―ムを使用するコンピュ―タ断層撮影方法
【発明者】 【氏名】ミヒャエル グラス

【氏名】ローラント プロクザ

【要約】 【課題】円形の相対運動だけでなく螺旋状の相対運動を含むコンピュータ断層撮影方法に対しても使用されうるようは吸収分布が再構成されるゾーンを拡大することを目的とする。

【解決手段】本発明は検査ゾーンが円錐状放射線ビームによって走査されるコンピュータ断層撮影方法に関する。再構成体積は、第1のサブボリュームの中のボクセルの吸収を第1の再構成アルゴリズムによって再構成し、第2のサブボリュームの中のボクセルの吸収を第2の再構成アルゴリズムによって再構成することによって拡大されえ、サブボリュームへのボクセルの割り当ては、これらのサブボリュームのために使用される再構成アルゴリズムの副次条件が満たされるよう実行される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 検査ゾーン又はその中にある対象を横切る円錐状放射線ビームを発生する段階と、該放射線ビームと該検査ゾーン又はその中にある対象との間の回転軸の回りの回転を含む相対運動を発生する段階と、該相対運動に亘って、検査ゾーンの他の側の放射線ビームの中の強度に依存する測定データを捕捉する段階と、検出器ユニットによって捕捉された測定データから検査ゾーンの中の吸収の空間分布を再構成する段階とを含むコンピュータ断層撮影方法であって、吸収の空間分布の再構成のために、(a)該放射線ビームによって横切られる全体の体積の中で少なくとも1つの第1のサブボリューム及び少なくとも1つの第2のサブボリュームを画成する段階と、(b)第1の再構成アルゴリズムによって第1のサブボリュームの中の吸収の空間分布を再構成する段階と、(c)第1の再構成アルゴリズムから逸脱する第2の再構成アルゴリズムによって第2のサブボリュームの中の吸収の空間分布を再構成する段階とを含むことを特徴とするコンピュータ断層撮影方法。
【請求項2】 上記相対運動は回転軸の回りに円形を形成し、(a)360°の照射角度範囲のボクセルを第1のサブボリュームに割り当てる段階と、(b)少なくとも180°であるが360°よりも少ない照射角度範囲のボクセルを第2のサブボリュームに割り当てる段階と、(c)第1のサブボリュームの中のボクセルの吸収を360°の再構成角度で再構成する段階と、(d)第2のサブボリュームの中のボクセルの吸収を180°の再構成角度範囲に従って再構成する段階とを含むことを特徴とする、請求項1記載のコンピュータ断層撮影方法。
【請求項3】 (a)第2のサブボリュームの中の各ボクセルに対して再構成角度範囲の180°ずれた縁の光線を画成する段階と、(b)このように画成された再構成角度範囲の外側の当該のボクセルを通って延びる光線による寄与を無視する段階とを含むことを特徴とする、請求項2記載のコンピュータ断層撮影方法。
【請求項4】 (a)全体の重みが単一の光線の重みに等しいよう180°ずれた方向で第2のサブボリュームの中のボクセルを通って延びる光線対による寄与を重み付けする段階と、(b)当該のボクセルを通って延びる光線による全てのできれば重み付けされた寄与を加算する段階と、(c)第2のサブボリュームの中の全てのボクセルのために上記段階(a)及び(b)を繰り返すことを特徴とする、請求項2記載のコンピュータ断層撮影方法。
【請求項5】 上記検査ゾーンは回転軸の方向にずらされた2つの円に沿って走査され、(a)回転軸に対して直角に交差する平坦な中間ゾーンの外側に配置され360°の照射角度範囲を有するボクセルを第1のサブボリュームに割り当てる段階と、(b)中間ゾーンの外側に配置され少なくとも180°であるが360°よりも少ない照射角度範囲を有するボクセルを第2のサブボリュームに割り当てる段階と、(c)中間ゾーンの中のボクセルを第3のサブボリュームに割り当てる段階と、(d)第3のサブボリュームの中のボクセルをART方法によって再構成する段階とを含むことを特徴とする、請求項1記載のコンピュータ断層撮影方法。
【請求項6】 螺旋の形状の相対運動は、回転軸の回りの回転と回転軸に平行な方向の変位とを含み、検査ゾーンの中のボクセルに対してちょうど(2N+1)πの照射角度範囲が存在し、(a)放射線ビームによって網羅され、螺旋相対運動の開始及び終端において円錐状放射線ビームの外側に配置されるボクセルを第1のサブボリュームに割り当てる段階と、(b)螺旋相対運動の開始及び終端において円錐状放射線ビームの内側に配置されるボクセルを第2のサブボリュームに割り当てる段階と、(c)2つのサブボリュームの中の吸収分布を異なる再構成アルゴリズムによって再構成する段階とを含むことを特徴とする、請求項1記載のコンピュータ断層撮影方法。
【請求項7】 検査ゾーン又はその中にある対象を横切る円錐状放射線ビームを発するための放射線源と、放射線源に接続され、検査ゾーンの他の側への放射線ビームの中の強度に依存する測定データの捕捉のために使用される2次元検出器ユニットと、一方の側の放射線源及び検出器と他方の側の検査ゾーン又は対象との間の回転軸の回りの回転を含む相対運動を実現する駆動装置と、検出器ユニットによって捕捉される測定データからの検査ゾーンの中の吸収の空間分布の再構成のための再構成ユニットとを含む、請求項1記載の方法を実施するためのコンピュータ断層撮影装置であって、吸収の空間分布の再構成のために、(a)該放射線ビームによって横切られる全体の体積の中で少なくとも1つの第1のサブボリューム及び少なくとも1つの第2のサブボリュームを画成する段階と、(b)第1の再構成アルゴリズムによって第1のサブボリュームの中の吸収の空間分布を再構成する段階と、(c)第1の再構成アルゴリズムから逸脱する第2の再構成アルゴリズムによって第2のサブボリュームの中の吸収の空間分布を再構成する段階とを実行することを特徴とするコンピュータ断層撮影装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、検査ゾーン又はその中にある対象を横切る円錐状放射線ビームを発生する段階と、上記放射線ビームと上記検査ゾーン又はその中にある対象との間の回転軸の回りの回転を含む相対運動を発生する段階と、上記相対運動に亘って、検査ゾーンの他の側の放射線ビームの中の強度に依存する測定データを捕捉する段階と、検出器ユニットによって捕捉された測定データから検査ゾーンの中の吸収の空間分布を再構成する段階とを含むコンピュータ断層撮影方法に関する。
【0002】本発明はまた上述の方法を実施するコンピュータ断層撮影装置に関する。
【0003】
【従来の技術】「円錐状」ビームは、2つの相互に垂直な方向に有限の寸法を有し、検査ゾーンの中で減衰されたビームの強度のこれらの2つの方向での空間的に分解された測定に適した検出器ユニットによって検出されるビームであると理解される。この種類の方法は、1984年Journal of Optical Soc. Am. A,第1巻第6号第612乃至619頁のL.A.Feldkamp(フェルドカンプ)外による刊行物「Practical Cone Beam Algorithms」より既知である。
【0004】円錐状放射線ビームを用いるCT(コンピュータ断層撮影)方法の基本的な欠点は、検査ゾーンの中の幾つかのボクセル(体積素子)は放射線源と検査ゾーンとの間の相対運動の間、時間的にのみ放射線に曝され、これらのボクセルの中の吸収は検出器ユニットによって捕捉される測定データから再構成されえないことである。従って、検査ゾーンのうち空間的な吸収分布が再構成される部分は放射線に曝される部分よりも常に小さい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】既知の方法は相対運動全体に亘って放射線に曝され、円盤状の形状である回転対称なゾーンの中の吸収を再構成するための再構成アルゴリズムを使用し、再構成は実際上はこのゾーンの中の平面スライスに制限される。既知の方法は円形の相対運動に基づく。
【0006】しかしながら、CT方法には螺旋状の相対運動を含むものもある。かかる方法の場合、吸収は相対運動の開始又は終了において放射線ビームの中に存在するボクセルの中では再構成されない。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は吸収分布が再構成されるゾーンを拡大することを目的とする。この目的は、本発明によれば、吸収の空間分布の再構成のために、(a)上記放射線ビームによって横切られる全体の体積の中で少なくとも1つの第1のサブボリューム及び少なくとも1つの第2のサブボリュームを画成する段階と、(b)第1の再構成アルゴリズムによって第1のサブボリュームの中の吸収の空間分布を再構成する段階と、(c)第1の再構成アルゴリズムから逸脱する第2の再構成アルゴリズムによって第2のサブボリュームの中の吸収の空間分布を再構成する段階とを含む方法によって達成される。
【0008】本発明は、既知の方法が再構成のために1つの再構成アルゴリズムのみを常に使用するという考察に基づく。各ボクセルについて、吸収は同じ種類の同じ数の計算ステップによって再構成される。各再構成アルゴリズムは、全体の体積の一部(第1のサブボリューム)の中でのみ満たされる所与の副次条件(例えば、再構成されるべき体積の中の全てのボクセルが相対運動全体の間に放射線に曝されているという条件)を条件とする。これらの副次条件は再構成のために十分であるが、必要ではない。即ち、この副次条件を満たさないが、信号対雑音比があまり良くなくなったとしても異なる再構成アルゴリズムを用いて、再構成のためにやはり適切なあまり厳しくない副次条件を満たす追加的なボクセルがある。これらのボクセルは全体の体積の他の部分(第2のサブボリューム)の中に配置される。
【0009】再構成ゾーンはこのようにして、第1のサブボリュームの中の第1の再構成アルゴリズム及び(第1のサブボリュームではない)第2のサブボリュームの中の第2の再構成アルゴリズムを含む混成再構成方法を用いて拡大されうる。第2の再構成アルゴリズムは第1のアルゴリズムと同じ種類の計算ステップを含みうるが、それらの数は異なる。「異なる再構成アルゴリズム」という用語はこの意味で広義に理解されるべきである。
【0010】請求項2は円形の軌道(即ち一方の側の放射線源及び検出器ユニットと他方の側の検査ゾーンとの間の相対運動が円形である軌道)の場合に使用される変形例を示す。2つのサブボリュームの割当ての規準は、照射角度範囲(放射線源から回転軸に垂直な、又は放射線源の回転面の中の放射線源からボクセルへのベクトルの成分によって網羅される平面上のボクセルへの光線の(平行な)投影によって当該の平面によって網羅される角度範囲)によって与えられる。360°の照射角度範囲を有するボクセル(相対運動全体に亘って放射線に曝されるボクセル)は第1のサブボリュームに割り当てられ、少なくとも180°(しかし360°以下)の照射角度範囲を有するボクセルは両側で第1のサブボリュームを境界とし、回転軸に垂直に延びる側面を有する第2のサブボリュームに割り当てられる。
【0011】第1のサブボリュームの中のボクセルの吸収の再構成は、360°の再構成角度範囲(再構成角度範囲は、放射線源から回転軸に垂直な平面上のボクセルまでの、再構成のために使用される光線の(平行な)投影によって網羅される角度範囲を意味すると理解されるべきである)を使用する第1の再構成アルゴリズムによって実行される。例えば、再構成アルゴリズムとして、上述の文献に記載されるアルゴリズムが使用されうる。第2のサブボリュームのために、180°の再構成角度範囲で充分な再構成アルゴリズムが使用されうる。既知であるように、平面状の扇形放射線ビームを含むCT方法も180°だけの再構成角度範囲で操作する再構成アルゴリズムを使用する。
【0012】請求項3及び4は、これらのボクセルの中の吸収の再構成のための2つの代替案を記載する。請求項3によれば、測定データは正確に180°の照射角度範囲からのみ考慮に入れられる。請求項4によれば、当該のボクセルを通る光線について決定された全ての測定データが考慮されるが、180°ずれた方向からのボクセルを通過する投影の光線による寄与は全体の重みが単一の光線(即ちその反対方向に光線が生じない一方向の光線)の重みと等しいよう重み付けされる。この場合、再構成は、180°の再構成角度範囲の再構成と同等であるが、より良い信号対雑音比が獲得される。
【0013】円形の軌道によって再構成されうる検査ゾーンの部分が充分でないとき、検査ゾーンは2つの隣接して配置される円形走査路に沿って走査されうる。請求項5はかかる場合に適した本発明による方法の変形を記載する。第3のサブボリュームを構成する(円盤状の)中間ゾーンは、相対運動がそれらに沿って行われる2つの円に対して対称に存在する。第1及び第2のサブボリュームの中のボクセルの吸収が請求項2に記載されるように再構成されるのに対して、第3のサブボリュームは例えばART(ART=代数再構成技術)方法によって再構成されうる。
【0014】請求項6は検査空間と放射線源又は検出器ユニットとの間の螺旋状の相対運動のための変形例に関する。ドイツ国特許出願19825296.4号は、検査ゾーンの中の(一部の)ボクセルについて正確に(2n+1)π、但しnは整数、の照射角度範囲が得られるこの種類の方法を開示する。これらのボクセルの中の吸収は既知の方法によって再構成されうる。螺旋状相対運動の開始又は終端において放射線ビームの中に配置されるボクセルの吸収は、これらのボクセルについての照射角度範囲が(2n+1)πよりも小さいため、引用文献の中に開示される再構成方法によって再構成されえない。従って、引用文献の中に開示される再構成方法のための副次条件は満たされない。しかしながら、π以上の照射角度範囲の中にボクセルがある。これらのボクセルは第2のサブボリュームに割り当てられ、毎回正確に180°の照射角度範囲に対する測定データのみが考慮されるとすると、それらの吸収はPCT/SE98/000029によって既知の方法によって再構成されうる。
【0015】請求項7は本発明による方法を実施するコンピュータ断層撮影装置を記載する。
【0016】
【発明の実施の形態】以下本発明を図面を参照して詳述する。図1に示されるコンピュータ断層撮影装置は、図1に示される座標系のz方向に平行に延びる回転軸14の回りに回転可能なガントリー1を含む。このため、モータ2はガントリーを望ましくは一定の、しかし調整可能な角速度で駆動する。放射線源S、例えばX線管は、ガントリー上に接続される。源は、放射線源によって生成される放射線から円錐状放射線ビーム4、即ちz方向及びそれに垂直な方向(x,y平面上)にゼロ以外の有限の寸法を有する放射線ビーム、を形成するコリメータ装置3を設けられている。
【0017】放射線ビーム4は患者台の上に載せられた患者(両方とも図示せず)が中に配置されうる検査ゾーン13を横切る。検査ゾーン13は円柱の形状とされ、以下対象円柱13と称される。X線ビーム4は対象円柱13を横切った後にガントリー1上に接続された2次元検出器ユニット16上に入射し、この検出器ユニット16は各検出器の行が複数の検出器要素を含む多数の検出器の行を含む。各検出器要素は、各放射線源位置において放射線ビーム4からの光線についての測定値を与える。検出器ユニット16は回転軸14の回りの円の円弧上に配置されうるが、放射線源Sの回りの円弧の上に配置されてもよく、しかしながら平面でもありうる。
【0018】このとき放射線ビーム4の開口角αmax (開口角は、ビーム4のx,y平面上の縁に配置される光線が放射線源Sと回転軸14とによって画成される平面に対して成す角度として定義される)は、対象円柱13の直径を決定し、測定値の捕捉中、検査されるべき対象はその対象円柱の中に配置される。検査ゾーン13、又は対象又は患者台は、モータ5によって回転軸14、即ちz軸、の方向に平行に変位されうる。かかるz方向の輸送速度は一定であり、望ましくは調整可能である。
【0019】検出器ユニットによって捕捉される測定データは画像処理コンピュータ10へ与えられ、画像処理コンピュータ10は、この測定データから検査ゾーン13の一部の中の吸収分布を再構成し、これを例えばモニタ11上に表示させる。2つのモータ2及び5、画像処理コンピュータ10、放射線源S、及び検出器ユニットから画像処理コンピュータ10への測定データの転送は、適当な制御ユニット7によって制御される。
【0020】z方向の輸送のためのモータ5が静止しており、モータ2がガントリーを回転させるとき、放射線源S及び検出器ユニットの円形の走査運動が生ずる。しかしながら制御ユニット7はまた、検査ゾーン13の変位速度のガントリーの角速度に対する比率が一定であるよう、モータ2及び5を同時に作動させうる。図2の(A)は、回転軸14に対して第1の位置にある、点によって示される放射線源S、線によって示される検出器ユニット16、及び放射線ビーム4と、それに対して180°ずれた位置にある、放射線源S’,検出器ユニット16’及び放射線ビーム4’を示す。明瞭性のため、回転軸に平行な方向の寸法は垂直な方向の寸法よりも拡大して示される。
【0021】放射線ビーム4及び4’、並びに全ての他の放射線源位置で発せられる放射線ビームによって網羅される検査ゾーン13の略円盤状のサブボリュームV1 の中に配置される全てのボクセルの中の吸収は、上述のフェルドカンプ再構成アルゴリズム又は円形軌道のための他の再構成アルゴリズムによって再構成されうる。しかしながら、このサブボリュームの普通でない形状のため、再構成は図2の(A)では参照番号V0 で示される点で示される平面ゾーンに制限される。ゾーンV0 は放射線によって横切られる検査ゾーンの部分と比較して小さいことがわかる。
【0022】図2の(A)はまた回転軸に垂直に延び、サブボリュームV1 のピークと交差する2つの側面を示す。側面のうちの1つの上にあると共に検査ゾーン13の縁にあるボクセルは参照番号P2 によって示される。図2の(B)は(図2の(A)に対して90°回転されており)回転軸14の回りに放射線源が回転する円形路及び側面上のボクセルP2 を示す図である。円形路はより細く示される部分及びより太く示される部分を含む。円形路の細い部分は、放射線ビームの開口が回転軸の方向に充分に大きくないためよりからボクセルP2 がその部分から放射線を受けない部分を示す。円形路の太い部分はボクセルP2 がその部分から放射線を受ける部分を示す。2つの円弧の間の遷移は放射線源位置S1 及びS2 によって示される。太い円弧は放射線源からボクセルP2 への光線が回転軸14をちょうど通過する角度位置φS に対して対称に延びることが分かる。
【0023】図2の(B)はまた、照射角度範囲Δφ(放射線源からx−y平面上のボクセルP2 への光線の平行な投影によって網羅される角度範囲)が丁度180°に対応するとしても、放射線源が位置S1 から位置S2 まで180°よりも大きい角度Δβに亘って回転せねばならないことを示す。このΔβとΔφとの間の差は、回転軸14により近く配置されるボクセルではより小さい。検査ゾーンの外側縁に配置されていない側面上の(V1 の外側の)全ての他のボクセルは、180°よりも大きいが360°よりも小さい照射角度範囲Δφを有することが示されうる。
【0024】照射角度範囲は、側面とV1 の外側の側面との間にあるボクセルでは、やはり180°よりも大きく360°よりも小さい。少なくとも180°の照射角度範囲のボクセルの吸収が再構成されうるため(平坦な扇形放射線ビームを含むCT方法の場合、180°のみの再構成角度範囲で動作する再構成アルゴリズムを使用することも可能である)、検査ゾーンのこの部分(サイドを含む)は第2のサブボリュームV2 として画成される。
【0025】図2の(C)は、図2の(A)及び(B)に対して90°回転されており、放射線源位置S1 及びS2 を示す図である。この図は放射線源位置S1 及びS2 からの2つの光線と、これらのボクセルの間の接続線とを示す図である。円錐状放射線ビームの開口角に対応する角度は2つの接続線とボクセルとの間に存在する。2つの光線がx,y平面上に投影されて示される図2の(B)では、これはそれらが丁度180°ずれているかのような効果を有する。
【0026】図3は、吸収分布が検査ゾーンのかなり大きな部分において再構成されうる再構成方法の実施を示す図である。ブロック101における初期化の後、ガントリーは一定の角速度で回転する。ステップ102において、X線はスイッチオンされ、そして検出器ユニット16によって捕捉された測定データは画像処理コンピュータのメモリの中に記憶される。
【0027】処理ステップ103の間、各測定値は光線によって成される角度の余弦に比例する係数によって重み付け(乗算)され、それにより当該の測定値は中央光線に対して関連づけられる(中央光線は放射線源Sから発せられ、回転軸14に直角に交差し、検出器ユニット16の中央に入射する光線である)。ステップ104において、検出器の行(x,y平面上に配置される)によって供給されステップ103に従って重み付けされた測定値は、高域通過フィルタリング演算を受ける。検出器ユニット16が平面ユニットである場合、係るフィルタリングは傾斜状であり、即ち空間周波数の関数として線形に増加する伝達係数を有する。検出器ユニットが、放射線源Sの回りに又は回転軸14の回りに曲げられるよう形成されるとき、係るフィルタリングは変更されねばならないことが知られている。
【0028】全ての測定データがステップ103及び104に従ってこのように処理された後、選択可能ゾーン(視野又はFOV)の中のボクセルPx,Py,Pzが選択される(ステップ105)。フローチャートはステップ106において、このボクセルに対する照射角度範囲Δφが360°よりも小さいか否かに依存して分岐する。コンピュータ断層撮影装置の所定の幾何形状に対して、ルックアップテーブルは、ガントリーに接続される座標系の中の各ボクセルに対して、条件Δφ=360°が満たされるか否かを判定しうる。
【0029】条件が満たされれば、即ち当該のボクセルが回転に亘って放射線ビームの中に存在していれば、フィルタリングされたデータはステップ107において逆投影され、すると測定データの捕捉中に当該のボクセルを通過した全ての光線がこのボクセルに関して考慮される。各測定値は次に、このボクセルと測定値が捕捉された当該の放射線源位置との間の距離に依存するいわゆる「倍率係数」によって乗算される。
【0030】1つの光線が放射線源位置において当該のボクセルの中を正確に通過しなければ、複数の光線の測定値の補間によってこの放射線源位置のための光線(又はフィルタリングされた測定値)が見出されうる。当該のボクセルに対する寄与がこのように全ての放射線源位置について累積された後、ステップ108において再構成されるべき領域FOVの中の全てのボクセルが横切られたかどうかについて検査される。そうでなければ、フローチャートはステップ105へ進む。
【0031】ステップ103乃至107は本質的にフェルドカンプによって示される再構成アルゴリズムに対応する。しかしながら、このアルゴリズムは、全ての放射線源位置の放射線に曝された、又は回転軸14に対して回転対称に配置される円盤状ゾーンV1 の中にあるボクセルのための吸収を再構成するためだけに適している。本発明による混成再構成方法は、より大きなゾーンの中の吸収分布の再構成を可能とする。
【0032】ボクセルPx,Py,PzがサブボリュームV1 の中に存在しないこと、即ち全ての放射線源位置で放射線に当たっていないことが確かであるとき、ステップ109において、少なくとも180°の照射角度範囲Δφが選択されたボクセルに対して存在するかどうか(これはルックアップテーブルの中に含まれうる)が検査される。そうでない場合、当該のボクセルの中の吸収は正確に再構成されえず、プログラムは検査ステップ108へ進む。しかしながら、照射範囲Δφが少なくとも180°になれば、このボクセルの中の吸収は以下詳述される再構成アルゴリズムによっても再構成される。
【0033】ステップ110においてまず、照射角度範囲Δφが画成され、この範囲はボクセルの中の吸収の再構成のために使用される。選択されたボクセルPx,Py,Pzは、例えばボクセルP2 のように、サブボリュームV2 の外側の側面上であると共に検査ゾーン13の縁に配置される。この場合、条件Δφ=180°を正確に満たすため、再構成のために照射源位置S1 の間の照射角度範囲Δφ全体を考慮せねばならない。
【0034】ステップ111において、このボクセルを通る照射角度範囲Δφの中の全ての光線の測定値は重み係数w0 によって重み付けされる。この重み係数wの照射角度φに対する依存度を図示する図5の(A)に従えば、w0 はφから独立である。φ1 及びφ2 は(x,y平面上の投影の中で)照射源位置S1 及びS2 に対応する照射角度である。重み係数w0 は値1/Nに比例し、NはS1 とS2 との間の円弧上の放射線源位置の数(従って当該のボクセルを通過する光線の数)である。結果として、更なるステップは、値N又はS1 からS2 までの円弧上で放射線源によって完成された角度Δβとは独立に実行される。上述されたように角度Δβ及び数Nは当該のボクセルと回転軸14との間の距離に依存する。
【0035】逆投影はステップ112において行われる。180°の照射角度範囲に亘って分布された光線の測定値は次にこの光線に関連する放射線源位置とボクセルとの間の距離に依存する倍率係数によって乗算される。照射角度φから独立の重み付け及び照射角度φに依存する倍率係数による乗算は、単一のステップでも実行されうる。
【0036】再構成されるべきボクセルが、例えば図2の(A)のボクセルP’2 のように、サブボリュームV2 の中(しかしサブボリュームV1 の外側)に配置されるとき、ボクセルが(例えばP2 のように)側面上と共に検査ゾーン13の縁に配置される場合と比較してわずかに状況が異なる。これは、ボクセルP’2 (図2の(A)参照)に対する状況を図2の(B)と同様に示す図4に基づいて示される。図4はまた、角度位置φS を示し、S1 及びS2 は角度位置φS に対して対称に配置され、ボクセルP’2 への光線が(より正確にはx,y平面上のそれらの投影が)丁度180°ずれた放射線源位置である。図4はこれらの放射線源位置の両側に、実線の領域にボクセルP’2 がそこから照射される更なる位置があることを示す。この場合、ステップ110及び111に対して以下の可能性がある。
【0037】(a)丁度180°に対応する範囲が全体の可能な照射角度範囲φi −φ0 、例えば対称位置φS に対して対称であり放射線源位置S1 及びS2 又は(図5の(A)参照)φ1 及びφ2 によって特徴付けられる範囲、から切截される。しかしながら切截される範囲は、φS に対称である必要はない。全ての測定値を同じように重みづける重み係数w00は、やはり1/Nに比例する。
【0038】(b)第2の可能性は、φ1 及びφ2 の範囲の外側の照射角度の光線も考慮に入れ、これらの光線とφ1 及びφ2 の間に配置される放射線方向の対応する部分とを、x,y平面上に反対の方向に延びる投影を有するP’2 を通る光線が例えば(180°ずらされた)相手方が存在しない照射角度φS によって特徴付けられる単一の光線と共に同じ重みが割り当てられるよう、重み付けすることである。外側の光線はこのように、中央における光線に割り当てられる重みよりも小さな重みで考慮に入れられるため、この再構成は180°(図5の(A))の再構成角度範囲による再構成と同等である。
【0039】混成再構成方法は、このようにFOVの中、及びサブボリュームV1 及びV2の中に配置される全てのボクセルに対して吸収が決定された後に終了する。フェルドカンプアルゴリズムを使用する代わりに、サブボリュームV1 の中のボクセルの吸収の再構成のために異なる再構成アルゴリズムが使用されうる。同様に、サブボリュームV2 の中の吸収分布は、360°よりも小さい照射角度範囲からの再構成を可能とする他の再構成アルゴリズムによって再構成されうる。
【0040】図2の(A)に示されるように、サブボリュームV1 +V2 によって画成され、再構成分布が再構成されうるスライスは、吸収分布がフェルドカンプアルゴリズムのみを使用して再構成されうるスライスV0 よりもかなり幅広い。検査ゾーン13よりも小さな直径のFOVが選択されると、スライスV1 +V2 は更に厚くなりうる。これは、照射角度範囲Δφ=180°の検査ゾーンの中の全ての点が回転軸14に対して回転対称な凸面F上に配置されることが示されうるためである。図2の(A)に点線で示されるかかる面Fは、円錐の頂点に接する。面の中の各スライスだけでなく、面Fによって囲まれる体積もまた、完全に再構成されうる。面FとサブボリュームV1 によって画成される円錐との間のボクセルはサブボリュームV2 に割り当てられ、円錐の内側のボクセルはサブボリュームV1 に割り当てられる。
【0041】しかしながら、それでもなお面Fによって画成される全体の体積が多くの適用に適していないことが生じうる。その場合、検査ゾーンは回転軸の方向に互いにずれた2つの円に沿って走査されうる。これは図6に示され、参照番号Sa 及びS’a は1つの円の上の2つの180°ずれた放射線源位置であり、参照番号Sb 及びS’b は他の円上の2つの180°ずれた放射線源位置である。明瞭性のため、検出器ユニットは図示しないが、結果としてのサブボリュームV1 及びV2 は図示される。サブボリュームV1 及びV2 のための再構成は再び図3を参照して説明されたように行われる。
【0042】円形路の半分のところには、両側を側面によって境界付けられた平坦なスライス状のサブボリュームV3 (図2の(A))が配置される。少なくともサブボリュームの中の検査ゾーンの外側縁に配置されるボクセルは180°以下の照射角度範囲を有する。サブボリュームV2 又はV1 の割り当ては再び照射角度範囲Δφに依存して行われる。しかしながら、サブボリュームV3 への割り当ては位置、即ちボクセルのz座標に依存して行われる。
【0043】サブボリュームV3 の中の吸収分布の再構成はART方法によって効果的に行われる。ART方法は、再構成されるべきボクセルにまず適当な吸収値が割り当てられ、その後、同じ光線上に配置されるボクセルの吸収値が累積され、当該の光線のために捕捉された測定値と比較される反復方法である。差は、この光線上に配置されるボクセル間に適当に分布される。吸収分布が再構成されるべき体積の全てのボクセルの中で補正されると、捕捉された測定データとの上述の比較が繰り返される。ART方法は、照射角度範囲Δφ<180°を有するボクセルの中でも吸収の近似法的な再構成を可能とする。
【0044】本発明は、円形相対運動が行われるCT方法だけでなく、z方向の変位によって検査ゾーンと放射線源又は検出器との間に螺旋状の相対運動が生ずるCT方法のためにも使用されうる。螺旋状走査運動の場合、原理的には、回転及び変位運動が放射線源S及び検出器ユニット16によって行われるか、検査ゾーン(又はその中に存在する対象)によって行われるかは重要ではなく、相対運動のみが重要である。従って、図7では、放射線源S(及びガントリー1を通じて放射線源Sに接続され図7に図示されない検出器ユニット16)は、螺旋路17に沿って上方に移動し、一方検査ゾーン13及びその中に存在する対象(図7に図示せず)は静止していると仮定される。
【0045】未発表のドイツ国特許出願第19825296.4号に記載される種類の方法によれば、検出器ユニットの寸法、放射線源4によって発せられる放射線ビーム、輸送速度及び回転速度は、検出器ユニットが螺旋17のターンH0 及びH3 と一致する光線を正確に検出するよう相互に適用される。2つの螺旋ターンH1 及びH2 もまたその間に存在するため、これらは2つの隣接する螺旋ターンの間の距離の3倍(一般的に(2N+1)倍)だけ相互に離間して配置される。
【0046】この場合、検査ゾーンの走査の開始の後に放射線ビームに入り、走査演算の終了の前にこのビームを出る全てのボクセルは、正確に3π(概して(2N+1)π)の角度で放射線源によって照射されており、従って非常に高い画質で簡単な再構成を可能とすることを示す。上述のことは、走査運動の開始において放射線ビーム4の中に既に存在するボクセル、及び、まだその中にあり走査運動の終了を待つボクセルに対して成り立たない。照射角度範囲は、これらのボクセルに対して小さいため、これらのボクセルは引用文献に記載される方法では再構成されえない。
【0047】しかしながら、混成再構成はまた、螺旋状相対運動の開始及び終端において放射線ビームの外側に配置されていた全てのボクセルを、引用された文献に開示される再構成アルゴリズムに従って再構成された吸収分布を有する第1のサブボリュームに割り当てることによって再び実行されうる。照射の開始においてビーム路の中に配置されるボクセルの一部、即ちターンH1 とH3 との間に放射線源によって投影されるボクセルは、180°よりも大きい角度範囲から照射される。すると再構成は、この部分の中のボクセルを第2のサブボリュームに割り当てること、及びその中の吸収分布をPCT/SE98/000029号に記載される方法によって再構成することによって再構成されえ、このとき正確に180°の角度範囲のための光線のみが再構成に使用されうる。
【0048】照射の開始において螺旋状ターンH0 及びH1 の間のゾーン上に投影されるボクセルは、2πよりも大きい(しかし3πより小さい)の範囲から照射される。これらのボクセルは、その中の各ボクセルに対して360°の走査角度範囲からの光線が使用されることで再構成される吸収分布を有する第3のサブボリュームに対して割り当てられ得る。
【出願人】 【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips Electronics N.V.
【住所又は居所原語表記】Groenewoudseweg 1,5621 BA Eindhoven, The Netherlands
【出願日】 平成11年9月22日(1999.9.22)
【代理人】 【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦 (外1名)
【公開番号】 特開2000−93422(P2000−93422A)
【公開日】 平成12年4月4日(2000.4.4)
【出願番号】 特願平11−268961