| 【発明の名称】 |
磁気共鳴測定方法および磁気共鳴装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】尾藤 良孝
【氏名】平田 智嗣
【氏名】小野寺 由香里
【氏名】清水 博道
【氏名】恵飛須 俊彦
【氏名】竹上 徹郎
【氏名】成瀬 昭二
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| 【要約】 |
【課題】スペクトロスコピックイメージングおよびスペクトロスコピーに関し、スピン−スピン結合を有する分子種とそれ以外の分子種を高速高精度に分離可能な測定方法および装置を提供する。
【解決手段】対象分子種のスピン結合定数をJとする時、TE≠n/J、かつn/Jがデータ取得時間中に含まれるように計測パラメータを設定し、計測実行およびデータ再構成後、対象分子種のスペクトルを含む領域のデータを時間領域に逆変換し、時刻n/Jでの値を計算する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】磁気共鳴装置を用いた測定方法において、測定方法が(1)対象分子種のスピン結合定数をJとすると、エコータイムTEは任意の自然数nに対してn/Jと等しくなく、かつデータ取得時間中に少なくとも一つのn/Jが含まれるように計測パラメータを設定する第1のステップ、(2)前記計測パラメータを用いてスペクトロスコピーまたはスペクトロスコピックイメージングの計測およびデータ再構成を行う第2のステップ、(3)前記計測結果および再構成されたデータから対象分子種のスペクトルを含む領域のデータを、フーリエ逆変換により時間領域のデータに逆変換する第3のステップ、(4)前記時間領域のデータに逆変換されたデータの時刻n/Jでの値を求め、対象分子種の信号強度を計算する第4のステップ、からなることを特徴とする磁気共鳴測定方法。 【請求項2】(1)前記第2のステップの計測結果および再構成されたデータを基礎に、対象分子種以外のスペクトルから静磁場不均一による信号減衰時間を計算する第5のステップ、(2)前記計算された信号減衰時間から対象分子種の時刻n/Jでの信号減衰率を計算する第6のステップ、を備え、(3)前記第4のステップに代えて、前記第6のステップで求められた信号減衰率の逆数を、前記第3のステップで求められた時間領域のデータに逆変換されたデータの時刻n/Jにおける値に乗算して対象分子種の信号強度を計算する第7のステップ、からなる請求項1記載の磁気共鳴測定方法。 【請求項3】(1)前記第2のステップの計測結果および再構成されたデータを基礎に、対象分子種以外のスペクトルから静磁場不均一による信号減衰時間を計算する第5のステップ、(2)前記計算された信号減衰時間から対象分子種が最大値を取る時刻を計算する第8のステップ、を備え、(3)前記第4のステップに代えて、前記第8のステップで求められた最大値を取る時刻での、前記第3のステップで求められた時間領域のデータに逆変換されたデータの値を求め、対象分子種の信号強度を計算する第9のステップ、からなる請求項1記載の磁気共鳴測定方法。 【請求項4】磁気共鳴装置を用いた測定方法において、測定方法が(1)対象分子種のスピン結合定数をJとすると、エコータイムTEは任意の自然数nに対してn/Jと等しくなく、かつデータ取得時間中に少なくとも一つのn/Jが含まれるように計測パラメータを設定する第1のステップ、(2)前記計測パラメータを用いてスペクトロスコピーまたはスペクトロスコピックイメージングの計測およびデータ再構成を行う第2のステップ、(3)前記計測結果および再構成されたデータから対象分子種のスペクトルを含む領域のデータを、フーリエ逆変換により時間領域のデータに逆変換する第3のステップ、(4)前記第1のステップで設定された計測パラメータを用いて水抑圧無しでスペクトロスコピーまたはスペクトロスコピックイメージングの計測およびデータ再構成を行う第4のステップ、(5)水分子のスペクトルから静磁場不均一による信号減衰時間を計算する第5のステップ、(6)前記計算された信号減衰時間から対象分子種の時刻n/Jでの信号減衰率を計算する第6のステップ、(7)前記第6のステップで求められた信号減衰率の逆数を、前記第3のステップで求められた時間領域のデータに逆変換されたデータの時刻n/Jにおける値に乗算して対象分子種の信号強度を計算する第7のステップ、からなることを特徴とする磁気共鳴測定方法。 【請求項5】磁気共鳴装置を用いた測定方法において、測定方法が(1)対象分子種のスピン結合定数をJとすると、エコータイムTEはある自然数nに対して(n/J)+(1/2J)と等しく、かつデータ取得時間中に少なくとも一つのn/Jが含まれるように計測パラメータを設定する第1のステップ、(2)前記計測パラメータを用いてスペクトロスコピーまたはスペクトロスコピックイメージングの計測およびデータ再構成を行う第2のステップ、(3)前記計測結果および再構成されたデータから対象分子種のスペクトルを含む領域のデータを、フーリエ逆変換により時間領域のデータに逆変換する第3のステップ、(4)前記時間領域のデータに逆変換されたデータの時刻n/Jでの値を求め、対象分子種の信号強度を計算する第4のステップ、(5)前記時間領域のデータに逆変換されたデータの時刻TEでの値を求め、対象分子種以外の信号強度を計算する第5のステップ、からなることを特徴とする磁気共鳴測定方法。 【請求項6】磁気共鳴装置を用いた測定方法において、測定方法が(1)対象分子種のスピン結合定数をJとすると、エコータイムTEは任意の自然数nに対してn/Jと等しくなく、かつデータ取得時間中に二つ以上のn/Jが含まれるように計測パラメータを設定する第1のステップ、(2)前記計測パラメータを用いてスペクトロスコピーまたはスペクトロスコピックイメージングの計測およびデータ再構成を行う第2のステップ、(3)対象分子種のスペクトルを含む領域のデータを、フーリエ逆変換により時間領域のデータに逆変換する第3のステップ、(4)前記第2のステップの計測結果および再構成されたデータを基礎に、対象分子種以外のスペクトルから静磁場不均一による信号減衰時間を計算する第4のステップ、(5)前記計算された信号減衰時間から対象分子種の時刻n/Jでの信号減衰率を計算する第5のステップ、(6)前記第3のステップの時間領域のデータに逆変換されたデータの時刻n/Jでの値を求め、前記第5のステップの信号減衰率の逆数を乗算して対象分子種の信号強度を計算する第6のステップ、(7)前記二つ以上の時刻n/Jのそれぞれで計算された信号強度から、対象分子種のT2を計算する第7のステップ、からなることを特徴とする磁気共鳴測定方法。 【請求項7】磁気共鳴装置を用いた測定方法において、測定方法が(1)対象分子種のスピン結合定数をJとすると、エコータイムTEは任意の自然数nに対してn/Jと等しくなく、かつデータ取得時間中に少なくとも一つのn/Jが含まれるように計測パラメータを設定する第1のステップ、(2)前記計測パラメータを用いてスペクトロスコピーまたはスペクトロスコピックイメージングの計測を行う第2のステップ、(3)計測データの時刻n/Jでの値を求め、対象分子種の信号強度を計算する第3のステップ、からなることを特徴とする磁気共鳴測定方法。 【請求項8】対象分子種が乳酸であり、1/Jが136ミリ秒に設定された請求項1、2、3、4、5、6、および7のいずれかに記載の磁気共鳴測定方法。 【請求項9】1/J=136ミリ秒とする請求項1、2、3、4、5、6、および7のいずれかに記載の磁気共鳴測定方法。 【請求項10】第5のステップにおいて信号強度を計算される対象分子種以外の分子種は脂肪である請求項5記載の磁気共鳴測定方法。 【請求項11】測定対象に対して静磁場H0を作用させるための磁石、測定対象に対して高周波磁場を作用させるためのコイルおよび測定対象から生じる磁気共鳴信号の検出のためのコイル、測定対象に対して傾斜磁場を作用させるための傾斜磁場コイル前記各傾斜磁場コイルに電流を供給するためのコイル駆動装置、各磁場の発生タイミングおよび強度の制御と測定されたデータの演算を行うための計算機、各磁場の発生タイミングあるいはデータ取得のタイミング等のパラメータを計算機へ入力するためのインターフェイスおよび演算結果を表示するためのディスプレイ、計算機への入力機器を備えた磁気共鳴測定装置であって、前記インターフェイスが対象分子種のスピン結合定数をJとすると、エコータイムTEは任意の自然数nに対してn/Jと等しくなく、かつデータ取得時間中に少なくとも一つのn/Jが含まれるように計測パラメータを設定するための入力表示窓を有することを特徴とする磁気共鳴測定装置。 【請求項12】計測パラメータを設定する入力表示窓が対象分子種のスペクトルを含む領域を設定する手段および対象分子種以外のスペクトルを設定する手段を備える請求項11記載の磁気共鳴装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は磁気共鳴測定方法および磁気共鳴装置、特にスペクトロスコピーまたはスペクトロスコピックイメージングに関する。 【0002】 【従来の技術】磁気共鳴装置は、静磁場中に置かれた測定対象に特定周波数の高周波磁場を照射して磁気共鳴現象を誘起し、測定対象の物理的化学的情報を取得する装置である。現在、広く普及している磁気共鳴イメージング(MRI: Magnetic ResonanceImaging)は、主として水分子中の水素原子核の磁気共鳴現象を用い、生体組織によって異なる水素原子核密度や緩和時間の差などを画像化する方法である。これにより、組織の差異を画像化でき、疾病の診断に高い効果を挙げている。これに対し、スペクトロスコピーやスペクトロスコピックイメージングは、分子の化学結合の違いによる磁気共鳴周波数の差異(ケミカルシフト)を元に分子毎に磁気共鳴信号を分離し、分子種毎の濃度や緩和時間などを計測する方法である。スペクトロスコピーは、ある選択された空間領域の分子種を観測する方法、スペクトロスコピックイメージングは、分子種毎に画像化する方法である。対象とする原子核としては1H(プロトン)、31P、13C、17Fなどがある。スペクトロスコピーおよびスペクトロスコピックイメージングによって代謝物質の濃度分布が得られるため、磁気共鳴イメージングよりも早期に、かつ詳細な診断が可能になると期待されている。 【0003】磁気共鳴信号を分子種毎に分離する際に問題になるのは、ケミカルシフトが近い、もしくは重畳している分子種の信号を分離する場合である。特に、プロトンスペクトロスコピックイメージングまたはスペクトロスコピーの場合、乳酸と脂肪の信号分離が問題となっている。乳酸は嫌気性代謝産物として脳虚血や悪性腫瘍などで増加することが知られ、この信号強度や濃度分布を測定することは診断上重要な意味を持つ。しかし、乳酸のメチル基のケミカルシフトは1.3ppm、脂肪のケミカルシフトは0.9−2.0ppmと重畳しているため、脂肪信号が乳酸信号に混入して乳酸の測定精度を低下させていた。 【0004】この問題を解決するために、従来、次の技術が提案されてきた。 【0005】(1)乳酸と脂肪の縦緩和時間T1、横緩和時間T2の差を利用する方法:これは、乳酸の場合:T1=1500ms、T2=1200ms、脂肪の場合:T1=300ms、T2=85msとT1、T2に大きな違いがあることを利用して、脂肪信号が減少するように、エコータイムTEや繰り返し時間TRを設定する方法である。例えば、TEを長く設定することで脂肪の信号を減少させることが可能となる。また、インバージョンリカバリー(IR:Inversion Recovery)法を用い、T1の違いを利用して、脂肪信号のみを消失させる方法も提案されている。T1、T2の強調方法やIR法については、例えばNMR医学、日本磁気共鳴医学会編、丸善、1991年発行の第2章が参考となる。 【0006】(2)アウター・ボリューム・サプレッション(OVS:Outer Volume Suppression):これは予め関心領域外の核磁化を励起、抑圧する方法である。この方法により、皮下脂肪からの信号を抑圧することが可能となる。この方法については、例えばマグネティック・レゾナンス・イン・メディスン(Magnetic Resonance in Medicine)誌、10巻、315頁、1992年発行が参考になる。 【0007】(3)乳酸のスピン−スピン結合を利用する方法:これは乳酸のメチル基CH3(ケミカルシフト1.3ppm)とCH(ケミカルシフト4.2ppm)とがスピン結合定数J=1/136msでスピン−スピン結合していることを利用して、乳酸信号と脂肪信号とを分離する方法である。この手法においても、以下の代表的なやり方が知られている。 (i)CH3スピン結合定数Jの核の磁気共鳴信号のみを発生させるように高周波磁場パルスを印加する方法(Magnetic Resonance in Medicine誌、8巻、355頁、1988年発行)。 (ii)CHを励起した場合としない場合のCH3の磁気共鳴信号の差異を計測する方法(同誌、30巻、124頁、1993年発行)。 (iii)TE=n/J(n:自然数)の複数のデータを計測してスピン結合定数Jの信号を抽出する方法(同誌、33巻、101頁、1995年発行)。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】上記従来技術では、次のような問題点があった。 (1)縦緩和時間T1、横緩和時間T2の差を利用する方法では、脂肪信号を十分に減少させるにはエコータイムTEを長く取る必要があり、乳酸の信号も劣化してしまう場合がある。特に細胞死によって脳内に脂肪が生じた場合のT2は前述したものよりもかなり長くなる場合があり、この方法では十分に信号を減衰できないことがある。 (2)OVSでは皮下脂肪の領域を予め抑圧するが、領域選択の不完全性から、抑圧領域を関心領域に近づけすぎると、関心領域の信号まで低下してしまう。特に脳の灰白質を測定する際には皮下脂肪の信号を完全に抑圧することは難しくなる。 (3)乳酸のスピン−スピン結合を利用する方法は、基本的には、正確に乳酸信号のみを計測することが可能である。しかし、スピン結合定数Jの磁気共鳴信号のみを発生させる方法(i)では、他の代謝物質のスペクトルを同時に計測することがむずかしいという問題がある。CHを励起した場合と励起しない場合とでCH3の磁気共鳴信号の差異を計測する方法(ii)では、少なくとも2回の計測が必要になり、計測時間の延長という問題がある。また、シーケンスによっては他の分子種のスペクトルが劣化するという問題点がある。複数のTE=n/Jのデータを計測する方法(iii)では、計測時間の延長と、CH3のT2を仮定した補正計算によって誤差が生じやすいという問題があった。計測時間の延長に対しては、マルチパルスを利用して1回の計測で複数のTE=n/Jのデータを計測する方法が提案されているが、この場合にもT2補正によって誤差が生じやすいという問題は残っている。 【0009】本発明の目的は、脂肪信号の混入を抑制し、乳酸信号を高速高精度に測定可能な磁気共鳴測定方法および磁気共鳴装置を提供することにある。さらに一般にスピン−スピン結合を有する対象分子種の信号を、他の分子種の信号から高速高精度に分離して測定可能な磁気共鳴測定方法および磁気共鳴装置を提供することにある。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明では、脂肪がブロードなスペクトルを持っていることに着目し、乳酸のスピン−スピン結合によるデータを脂肪信号と分離する。本発明では、乳酸のスピン結合定数をJとするときに、1/Jの整数倍にならないようにエコータイムTEを設定し、かつ、データ取得時間内に少なくとも一つの時刻n/J(nは自然数)が含まれるように計測パラメータを設定する。 【0011】この設定された計測パラメータを用いて、スペクトロスコピックイメージングまたはスペクトロスコピーの計測およびデータ再構成を行う。乳酸のスペクトルを含むケミカルシフト領域のデータをフーリエ逆変換して時間領域のデータに逆変換する。逆変換されたデータの時刻n/Jでの値を求め、乳酸の信号強度を計算する。このとき、脂肪信号はブロードなスペクトルを有しているために、TE付近でのみ高信号となるエコーを発生する。このため、TEとn/Jとの時間差が十分大きければ、時刻n/Jでは脂肪信号は実質的に消失し、乳酸の信号のみが得られる。 【0012】なお、上記説明では簡単のために、乳酸と脂肪の分離について説明したが、本発明は、対象分子種がスピン−スピン結合を有し、そのスペクトルに重畳したブロードなスペクトルを持つ分子種の信号から対象分子種の信号を分離計測する場合に適用可能である。 【0013】 【発明の実施の形態】図12に本発明にかかる磁気共鳴装置の概略構成図を示す。図12において、41は静磁場H0を発生する磁石、42は測定対象、43は高周波磁場の発生と測定対象42から生じる磁気共鳴信号の検出のためのコイル、44、45、46はそれぞれx方向、y方向およびz方向の傾斜磁場を発生させるための傾斜磁場コイルである。47は上記各傾斜磁場発生コイル44、45、46に電流を供給するためのコイル駆動装置である。48は各磁場の発生タイミングおよび強度の制御と測定されたデータの演算を行うための計算機、49は、各磁場の発生タイミングあるいはデータ取得のタイミング等のパラメータを計算機48へ入力するためのインターフェイスおよび演算結果を表示するためのディスプレイ、50はキーボードなどの入力機器である。 【0014】測定対象42の核スピンを励起する高周波磁場H1は、シンセサイザ51により発生させた高周波を変調装置52で波形整形および電力増幅し、コイル43に電流を供給することにより発生させる。コイル駆動装置47から電流を供給された傾斜磁場発生コイル44、45、46は傾斜磁場を発生し、測定対象42からの磁気共鳴信号を変調する。該変調信号はコイル43により受信され、増幅器53で増幅、検波装置54で検波された後、計算機48に入力される。計算機48は演算後、演算結果をディスプレイ49に表示する。 【0015】本発明では、後述する実施例で説明する測定方法を実現するために、測定方法を記述したプログラムを計算機48に格納するとともに、計算機48、ディスプレイ49、および入力機器50が、必要とする計測パラメータおよびデータ処理の設定パラメータを設定することが必要である。 【0016】図13(a)に、このための計測パラメータの設定画面を、図13(b)に、データ処理の設定パラメータを表示する画面および処理結果を表示する画面の例をそれぞれ示す。 【0017】計測パラメータの設定画面には、計測用のパラメータを入力するための入力窓として、TR(繰り返し時間)、TE(エコータイム)、FOV(表示画面の大きさ)、SpectralCenter(取得すべきケミカルシフトの中心値)、Spectral BW(取得すべきケミカルシフトのバンド幅の値)、Spectral Resolution(データ取得時間)が備えられ、図に示すようなデータが操作者によって入力される。さらに、本発明の実行の要否を選択するための表示Lac|Lipとこれに対応するトグルボタンが設けられる。トグルボタンがonを選択されたとき実行、offが選択されたとき非実行である。この実施例では、トグルボタンは画面上の該当位置をクリックする度にon、offが交互に現れる。 【0018】onを選択した場合、本発明の各種の実施例を実行するために必要なデータを入力するための入力窓が表示される。この実施例では、Region, T2* CorrectおよびWater Sup.がこれに該当する。ここでRegionはLactateのケミカルシフトを設定するためのものでautoまたはmanualが選択できる。autoが選択された場合、装置の磁場強度から計算機によって計算された乳酸のケミカルシフトが用いられ、manualが選択された場合には数値入力が可能な窓が表示される。T2*Correctは静磁場不均一の補正方法を選択するためのものである。off、other、またはwaterが選択できる。offが選択された場合、補正処理を行わない。otherが選択された場合、他分子種のケミカルシフトを設定する窓が表示され、これを用いて第2の実施例が実行される。waterが選択された場合、後述する第4の実施例の水抑圧無しの計測が追加された計測が実行される。なお、エコータイムTEが乳酸の1/J倍に等しい場合にはその旨注意する画面を表示し、TEの再設定を促す。 【0019】図13(b)で上段はスペクトロスコピックイメージを表している。左の画像中で点線の領域のスペクトルが右のグラフに表され、右のグラフ中で点線の領域の積分値が左の濃淡画像で表される。下段の左の画像は本発明の処理を施して得られた乳酸の画像である。下段の右のグラフは下左の画像中の点線の領域の乳酸と脂質のスペクトルを時間領域に戻したデータである。点線が左の画像を作成した時刻を示している。これら画像及びグラフ中の点線で示した領域はマウス等により変更可能で、それに対応して画像及びグラフも書き換えられる。下段の乳酸画像の初期画面としては、計測パラメータ設定時に選択した条件で処理を行った結果を示している。ただし、中央部に配置されたボタンを操作することにより処理方法を変更することが可能である。Lacは乳酸のケミカルシフトを設定するためのボタンで、autoまたはmanualが選択できる。autoが選択された場合には装置の静磁場強度から計算機によって計算された乳酸のケミカルシフトが用いられる。manualが選択された場合、上段の右のグラフ上でマウスにより乳酸のケミカルシフトを指定する。T2* Correctは静磁場不均一の補正方法を選択するためのボタンで、off、other、またはwaterが選択できる。offを選択した場合は補正無しである。otherを選択した場合、上段の右のグラフ上でマウスにより補正に使用する分子種のケミカルシフトを指定し、補正処理を行う。waterは水抑圧無しで取得したデータを用いて補正処理を行う。ただし、計測パラメータの設定画面中のT2* correctでwaterを選択しなかった場合には、ここでwaterを選択することはできない。これらパラメータを設定した後、procボタンを押すことで処理を実行し、下段の画面に表示する。 【0020】なお、本画面およびその動作は一例を示したもので、他の画面および動作を用いてもよいことは言うまでもない。また、このようなインタフェイスの構成の仕方およびこれを利用するためのソフトウエアについての説明は省略するが、計算機のソフトウエアについての通常の知識を有する者なら、上述の説明で、これを構成することに特別の工夫努力が必要になるものではない。 【0021】以下、本発明の実施例について説明する。 【0022】第1の実施例図1は第1の実施例の測定方法を概略的に記述したアルゴリズムである。まず、ステップ1において、任意の自然数nおよび対象分子種のスピン結合定数Jに対して、エコータイムTEがn/Jと等しくならないようにTEを設定し、かつ、ある自然数nに対して少なくとも一つの時刻n/Jを含むようにデータ取得時間を設定する。ここで、対象分子種として乳酸としたときは、1/J=136msとすれば、プロトンスペクトロスコピックイメージングまたはスペクトロスコピーにおける乳酸と脂肪信号の分離に使用できる。なお、TEとn/Jとの時間差は脂肪信号がある程度減衰するように設定するが、設定方法の詳細については後述する。 【0023】次に、ステップ2において、スペクトロスコピックイメージングまたはスペクトロスコピーの計測およびデータ再構成を行う。図2にスペクトロスコピックイメージングのシーケンス概略図の一例を示す。z方向のスライス傾斜磁場Gzとしてパルス23の印加とともに周波数f0の励起高周波磁場パルス21を印加し、z方向の所定のスライス内に核磁気共鳴現象を誘起させる。励起高周波磁場パルスとしては典型的にはπ/2パルスが用いられる。次にz方向のスライス傾斜磁場Gzとしてパルス24の印加とともに周波数f0の反転高周波磁場パルス22を印加することでz方向の所定のスライス内の磁化を反転する。反転高周波磁場パルスとしては典型的にはπパルスが用いられる。なお、励起高周波磁場パルスおよび反転高周波磁場パルスの帯域は対象分子種にJカップリングを起こさせるように設定する。例えば、乳酸と脂肪の分離の場合、乳酸のCH3のケミカルシフト1.3ppmとCHのケミカルシフト4.2ppmを励起できる帯域に設定する。選択されたスライスから発生したエコーは、x方向およびy方向の位相エンコード傾斜磁場GxおよびGyとしてパルス25、26を印加して変調した後、A/Dサンプリングによってデータ取得時間27に示す期間にデータが取得される。この一連の計測を、位相エンコード傾斜磁場の強度を変化させながら繰り返し、x、y、ケミカルシフトの情報を含んだデータを取得する。なお、図2のシーケンスでは説明の簡略化のために水信号や脂肪信号を抑圧するためのプリパレーションパルスを省略した。プリパレーションパルスとして、例えば、水信号を抑圧するために水のケミカルシフトに合わせた狭帯域の高周波磁場を印加するCHESS(Chemical shift Selective Suppression)法、皮下脂肪信号を抑圧するために脂肪領域にあたるスライスを選択的に励起するOVS法などを用いても良い。なお、 CHESS法については特開昭60−168041に詳述されている。 【0024】データ再構成は、次の手順で行われる。取得されたデータを、時間方向、および位相エンコード傾斜磁場を印加したx方向、y方向に三次元フーリエ変換し、ケミカルシフト、x方向、y方向の情報からなるケミカルシフトイメージを得る。なお、データ再構成ではフィルタ処理、位相補正処理などにより画質向上を施こすことができる場合がある。 【0025】なお、本実施例にかかるスペクトロスコピックイメージングのシーケンスは、この方法に限らない。例えば、振動傾斜磁場を用いた高速スペクトロスコピックイメージング(特開昭61−13143)なども使用可能である。また、x方向、y方向、z方向を入れ替えて撮影断面を変更したり、z方向に位相エンコード傾斜磁場を印加して三次元の空間情報を得るように変更することも可能である。また、スペクトロスコピックイメージングではなく、スペクトロスコピーを行うことも可能である。スペクトロスコピーのシーケンスでは、位相エンコードなどの画像化のための傾斜磁場の代わりに、ある一つの空間領域もしくは数個からなる空間領域を選択的に励起するパルスを印加してエコーを発生させる。データ再構成では、得られたエコーを1次元フーリエ変換してケミカルシフト情報を持つスペクトルに変換する。 【0026】次に、ステップ3において、対象分子種のスペクトルを含む領域のデータをフーリエ逆変換により時間領域のデータに逆変換する。例えば、乳酸の場合、メチル基のケミカルシフト1.3ppmを中心にピークが含まれるケミカルシフト幅で切り出し、切り出したデータをフーリエ逆変換して、時間領域のデータに逆変換する。この時、切り出すケミカルシフト幅の設定方法として、(1)乳酸のピークから算出する(例えば、半値幅の2倍などの幅に設定する)。 (2)切り出しの影響で時間領域のデータに生じるトランケーションアーティファクトが時刻n/Jで零に近づくようにケミカルシフト幅を設定する。等の方法を用いることが可能である。 【0027】また、切り出した端点をスムージングするなどして切り出しによるトランケーションアーティファクトを低減することも可能である。また、ステップ2のデータ再構成において、フィルタ処理が時間領域に施されている場合、その補正を行っても良い。例えば、計測されたエコーにローパスフィルタが施された後、フーリエ変換が行われている場合、本ステップにより時間領域のデータに逆変換されたデータには、フィルタの影響により、ローパスフィルタが施されたものが得られる。これを補正することで、本来の時間領域のデータを計算しても良い。なお、本説明では時間領域のデータをスペクトルにする場合をフーリエ変換、逆をフーリエ逆変換と記述したが、実際の操作は逆にしても良い。 【0028】最後に、ステップ4において、ステップ3で時間領域のデータに逆変換されたデータの時刻n/Jでの値を求め、対象分子種の信号強度を計算する。この時、実質的に、対象分子種の信号のみが得られる理由を説明する。 【0029】図3に高周波磁場パルスを印加した場合の乳酸のメチル基の磁化の振る舞いを示す。(a)に示すように、周波数f0の励起高周波磁場パルス21が印加された時点を時刻0とし、高周波磁場パルス22が印加された時点をTE/2とする。高周波磁場パルスが印加された結果、(b)に示すように、乳酸のメチル基の核磁化は角速度ω+πJの核磁化Aと角速度ω−πJの核磁化Bとに分裂する。このために、二つの核磁化の和である乳酸のメチル基の信号強度は(c)に示すように、周期2/J秒のコサイン波形となる。このコサイン波形はTEによらず、励起高周波磁場パルスの印加時間だけで決定される。 【0030】図4は、時間と乳酸の信号強度31、脂肪の信号強度32との関係を示したものである。乳酸の信号は静磁場不均一によってTEから離れるほど減衰するために、図3で説明したコサイン波形が歪んだ形状をしている。これに対し、脂肪のスペクトルは主として0.9−1.4ppmに広がるブロードなピークを持っているために、TE付近でのみ高信号となるエコーを形成する。このため、脂肪信号32が十分減衰する程度の時間差がTEとn/Jの間にあれば、時刻n/Jでは、実質的に、乳酸の信号31のみが得られる。なお、この時間差は脂肪のスペクトルの広がりに対応しており、必要な時間差の概略値は4(log2)/(π×(脂肪スペクトルの半値幅[Hz]))、(但し、logは自然対数)で計算可能である。上式によると、静磁場強度4.7Tの場合には約20ms、1.5Tの場合には約50msの時間差が必要となる。 【0031】本実施例による計測結果の例を図5に示す。これは、静磁場強度4.7TのMRI装置を用いてラット頭部の脳虚血時に生じた乳酸と、頭頂部にある皮下脂肪の信号を測定したものである。ステップ1で説明したように、TE=180msに設定し、かつ1/J=136msが含まれるようにデータ取得時間を中心時刻180ms、取得時間110msに設定した。(a)はステップ2で説明したように、スペクトロスコピックイメージングを実行して得られたスペクトルである。グラフ33は脳虚血部位から得られたスペクトル、グラフ34は皮下脂肪領域から得られたスペクトルである。グラフ33において点線で囲まれた領域内で下向きのピークを呈しているのが乳酸のピークである。(b)は、ステップ3で説明したように、(a)でのグラフの点線で囲まれた領域のデータを切り出してフーリエ逆変換して時間領域のデータに逆変換し、絶対値を計算した結果である。グラフ35、グラフ36は、それぞれ脳虚血部位から得られたスペクトル33、皮下脂肪領域から得られたスペクトル34に対して、本実施例のアルゴリズムを適用した結果得られた時間領域のデータである。グラフ35は乳酸の信号、グラフ36は脂肪の信号を表していると考えられる。このグラフから、ステップ4で説明したように時刻1/Jでは、脂肪信号が十分に減衰し、乳酸の信号強度のみを計算可能なことが判る。この結果、本実施例により、計測時間を延長することなく、実質的に、対象分子種のみの分布や信号強度を測定可能なことが判る。さらに他の代謝物質のスペクトルの測定も同時に可能なことが判る。 【0032】第2の実施例第1の実施例では、時刻n/Jでのデータの値を求め、対象分子種の信号強度としていた。しかし、この方法では、静磁場不均一が大きい場合に信号減衰が大きく、計算誤差が大きくなるという問題点がある。例えば、図4の乳酸の信号強度のグラフ31では、理想的なコサイン波形が静磁場不均一の影響で歪み、その結果、乳酸の信号強度が最大値を取る時刻もn/JからTEに近づいていることが判る。本実施例は、静磁場不均一による減衰を補正するものである。図6に測定方法を概略的に記述したアルゴリズムを示す。第1の実施例との差異は、ステップ5、6、7にある。ステップ1、2、3は第1の実施例と同様に行う。 【0033】ステップ5において、対象分子種以外のスペクトルを選択し、静磁場不均一による信号減衰時間を計算する。静磁場不均一による信号減衰時間は、例えば、次の方法で計算される。まず、選択したスペクトルをフーリエ逆変換して時間領域のデータに逆変換する。逆変換されたデータの信号減衰は、横緩和を表すT2を係数とする指数減衰と静磁場不均一による信号減衰を表すTEを中心として対称な信号減衰とに分けられる。このうち、後者の信号減衰時間をフィッティングにより計算する。なお、信号減衰時間の計算方法はこの方法に限らず、例えばスペクトルの線幅から静磁場不均一の影響を含んだ見かけ上の横緩和時間(T2*)を計算し、当該スペクトルのT2の影響を減算する方法を取っても良い。また、スペクトロスコピックイメージングの場合には、濃度の差のみを測定すれば良い場合があり、その場合にはT2*を信号減衰時間として計算しても良い。また、T2の長いスペクトルの場合にも、T2*を信号減衰時間としても補正が可能である。また選択するスペクトルとしては、例えば、図5の計測例で示されている2.0ppmにピークを持つN−アセチルアスパルテートなどを取れば良い。ステップ6において、ステップ5で計算された信号減衰時間から時刻n/Jでの対象分子種の減衰率を計算する。 【0034】ここで、スペクトロスコピックイメージングの場合、選択可能なスペクトルが全てのピクセルに存在しない場合がある。その場合には、存在しているピクセルでのみ信号減衰時間を計算し、それを補間または外挿することで全てのピクセル、もしくは対象分子種の信号強度を計算したい領域の減衰率を計算する。また選択するスペクトルは一つに限らず複数個選択することで信号減衰時間の計算精度を向上することも可能である。ステップ7において、ステップ3で逆変換されたデータの時刻n/Jでの値を求め、ステップ6で計算された減衰率の逆数を乗算する。これにより静磁場不均一の影響を除去した対象分子種の信号強度を計算可能となる。 【0035】なお、対象分子種のスペクトルから信号減衰時間を計算することも可能であるが、この場合、分離前のスペクトルを使用し、逐次的に信号強度と信号減衰時間とを計算しなければならないために、誤差が大きくなるという欠点がある。 【0036】第3の実施例第2の実施例により、静磁場不均一による信号減衰の補正は可能であるが、静磁場不均一が大きいときには時刻n/Jの信号のSN比が低下してしまう場合がある。例えば、図4に示した場合には、時刻n/Jでの乳酸の信号強度は静磁場不均一の無い場合の値(図4において、乳酸の信号が最大となる時刻の値)の約80%に減少していることが判る。本実施例は、SN比の減少を抑制するものである。図7に測定方法を概略的に記述したアルゴリズムを示す。第2の実施例との差異はステップ8、9にある。ステップ1、2、3、5は第2の実施例と同様である。 【0037】ステップ8において、ステップ5で計算された静磁場不均一による信号減衰時間から対象分子種のデータが最大値を取る時刻を計算する。この時刻は、コサイン波形と信号減衰時間による減衰波形を乗算した波形の最大値を取る時刻を計算すればよい。コサイン波形は計測パラメータの設定時に計算可能なため、ステップ5で得られた信号減衰時間を用いれば、最大値を取る時刻は数値計算により容易に求められる。ステップ9において、ステップ8で最大値を取ると計算された時刻での、ステップ3で逆変換されたデータの値を求め、対象分子種の信号強度を計算する。この信号強度の計算では、最大値をとる時刻での信号減衰時間による減衰率を求め、その逆数を乗算して静磁場不均一による信号減衰の補正を付加しても良い。 【0038】第4の実施例第2の実施例により、静磁場不均一による信号減衰の補正は可能であるが、対象分子種以外のスペクトルを選択することが難しいことがある。例えば、そのスペクトルが空間的に局在しているときや、経時変化などで信号量が減衰してしまう場合、または濃度が低く補正によって逆に誤差が増加してしまう場合がある。 【0039】本実施例は、水分子のスペクトロスコピックイメージングもしくはスペクトロスコピーの計測を付加し、この問題を解決するものである。図8に測定方法を概略的に記述したアルゴリズムを示す。第2の実施例との差異はステップ10、11にある。ステップ1、2、3、6、7は第2の実施例と同様である。 【0040】ステップ10において、代謝物質のスペクトルを得るために印加されているプリパルスの一つである水抑圧を省略し、スペクトロスコピックイメージングまたはスペクトロスコピーの計測、データ再構成を行う。ステップ11において、水分子のスペクトルから、第2の実施例のステップ5と同様に静磁場不均一による信号減衰時間を計算する。ただし、水分子の場合、他の代謝物質よりもT2が短いために、その影響を除去して静磁場不均一による信号減衰時間のみを抽出しなければならない場合がある。 【0041】なお、ステップ6、7を第3の実施例のステップ8、9で置き換えることで、SN比の劣化を抑制することが可能である。ステップ10において、振動傾斜磁場を用いた高速スペクトロスコピックイメージングを使用することで、計測時間の延長を抑制することが可能である。また、この場合に、ステップ2において使用するシーケンスも同じ高速スペクトロスコピックイメージングにすることで、渦電流による磁場不均一や画像歪みの影響を無視することが可能になる。なお、SN比を向上するためにステップ2の計測で積算回数を増加させている場合、ステップ10において積算回数を減らして良いことはいうまでもない。これにより、計測時間の延長を抑制することが可能である。 【0042】第5の実施例第1の実施例では、対象分子種のみの濃度や分布を求めることは可能であったが、それに重畳した分子種の濃度や分布を求めることは難しかった。本実施例は、この問題を解決するものである。図9に測定方法を概略的に記述したアルゴリズムを示す。第1の実施例との差異はステップ12、13にある。ステップ2、3、4は第1の実施例と同様である。 【0043】ステップ12において、TE=(n/J)+(1/2J)となるようにTEを設定する。また、データ取得時間内に少なくとも一つのn/Jを含むように計測パラメータを設定する点はステップ1と同様である。ステップ13では、ステップ3で逆変換されたデータの時刻TEでの値を求め、対象分子種以外の信号強度を計算する。 【0044】本実施例のようにエコータイムTEを設定すると、図3に示す対象分子種(乳酸のメチル基)の信号強度は、ちょうど時刻TEで、コサイン波形の零点を通過する。このため、時刻TEでは対象分子種の信号は観測されない。この方法により、例えば乳酸の信号強度はステップ4により、脂肪の信号強度はステップ13により、それぞれ計算することが可能となる。 【0045】第6の実施例第1の実施例から第5の実施例は対象分子種の信号強度のみを高精度かつ高速に測定可能とすることを意図した実施例である。本実施例では、さらに同時に対象分子種のT2も測定するものである。図10に測定方法を概略的に記述したアルゴリズムを示す。第2の実施例との差異はステップ14、15にある。ステップ2、3、5、6、7は第2の実施例と同様である。 【0046】ステップ14において、任意の自然数nに対して、TEがn/Jと等しくないようにTEを設定し、データ取得時間内に二つ以上のn/Jが含まれるように計測パラメータを設定する。ステップ15において、二つ以上のn/Jでの対象分子種の信号強度の減衰率から対象分子種のT2を計算する。ステップ7において、二つ以上のn/Jのそれぞれの時刻で対象分子種の信号強度補正を行う。 【0047】なお、ステップ5は対象分子種以外のスペクトルを選択する場合であるが、これを第4の実施例で採用したステップ10、11に代えて誤差を減少させることも可能である。 【0048】第7の実施例本実施例は、対象分子種と重畳した分子種以外のスペクトルがない場合や、そのスペクトルを測定する必要がない場合、もしくはあったとしてもピークがブロードで対象分子種の計算に誤差を生じさせない場合などの特殊な場合に使用するものである。図11に測定方法を概略的に記述したアルゴリズムを示す。第1の実施例との差異はステップ17、18にある。 【0049】ステップ17において、スペクトロスコピックイメージングまたはスペクトロスコピーの計測を行うが、データ再構成を行わずに時間領域のデータにして保存しておく。ステップ18において、保存したデータの時刻n/Jでの値を求め、対象分子種の信号強度を計算する。なお、対象分子種と重畳した分子種以外に代謝物質がある場合には、プリパルスによって信号抑圧などを計測時に行う必要がある。 【0050】以上の実施例においては、主として乳酸と脂肪信号の分離について説明したが、一般に対象分子種がスピン−スピン結合を有している場合に、本発明は適用可能である。また、本発明の説明では、スピン−スピン結合が1H同核の場合について説明したが、異核のスピン−スピン結合の場合にも適用可能である。また、計測パラメータの設定条件の内、データ取得時間内に一つ以上のn/Jを含むという項目は、省略することも可能である。ただし、この場合には、スペクトルデータをフーリエ逆変換により時間領域のデータに逆変換する際に、データの外挿を行って時刻n/Jでの信号強度を計算するプログラムを付加しなければならない。 【0051】 【発明の効果】本発明によればスピン−スピン結合を有する対象分子種の信号を、他の分子種の信号から高速高精度に分離可能な磁気共鳴測定方法および磁気共鳴装置を提供することが可能である。特に、プロトンスペクトロスコピックイメージングまたはスペクトロスコピーにおいて、脂肪信号の混入を抑制し、乳酸信号を高速高精度に測定可能な磁気共鳴測定方法および磁気共鳴装置を提供することが可能である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005108 【氏名又は名称】株式会社日立製作所 【識別番号】000153498 【氏名又は名称】株式会社日立メディコ
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| 【出願日】 |
平成10年9月21日(1998.9.21) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100061893 【弁理士】 【氏名又は名称】高橋 明夫 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−93402(P2000−93402A) |
| 【公開日】 |
平成12年4月4日(2000.4.4) |
| 【出願番号】 |
特願平10−266479 |
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