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【発明の名称】 電気手術装置の凝固切開装置
【発明者】 【氏名】窪田 哲丸

【要約】 【課題】生体組織の凝固、切開を安全で、且つ確実に行うこともできる電気手術装置の凝固切開装置を提供すること。

【解決手段】一対の電極3、4が生体組織2と接触して、バイポーラ電源9から監視部8を介して高周波電力が供給され、生体組織2の状況の変化が監視部8内で検知される。そして、上記生体組織2の変化状況により十分な凝固が得られたことが検知されると、バイポーラ電源9の出力が停止される。監視部8によってバイポーラ電源9の出力が停止された後、該監視部8からの信号に従って駆動部7により切開メス5が駆動されて切開が行われる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 生体組織と接触して処置を施す処置具に高周波電源装置から高周波電力を供給して、上記生体組織の凝固若しくは切開を行う電気手術装置に於いて、上記処置具に接触する生体組織の状況の変化を検知する検知手段と、この検知手段で上記生体組織の十分な凝固が得られたことを検知すると、上記高周波電源装置の出力を停止させる監視手段と、この監視手段によって上記高周波電源装置の出力が停止された後、上記監視手段からの信号に従って上記処置具を駆動して切開を行わせる駆動手段とを具備することを特徴とする電気手術装置の凝固切開装置。
【請求項2】 上記処置具は、上記生体組織を挟持して該生体組織に高周波電流を流す一対の電極を少なくとも有することを特徴とする請求項1に記載の電気手術装置の凝固切開装置。
【請求項3】 上記処置具は、上記駆動手段の出力に従って上記生体組織を切開する切開手段を有することを特徴とする請求項2に記載の電気手術装置の凝固切開装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は電気手術装置に関し、より詳細には、高周波電力を用いて生体組織の凝固、切開等の処置を行う電気手術装置の凝固切開装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電気手術装置は、生体組織に高周波電流を流して生体組織の切除、凝固等の処置を行うもので、一般外科手術等に用いられている。また、内視鏡下手術で生体組織を凝固、切開する電気手術装置、特にバイポーラ型の電気手術装置としては、例えば、米国特許第5,445,638号に記載のバイポーラ凝固切開鉗子が知られている。
【0003】この米国特許第5,445,638号に記載のバイポーラ凝固切開鉗子は、2つの可動ジョーをバイポーラ電極として構成し、これら2つの可動ジョーの間に生体組織を挟持し、該組織を凝固した後に操作ハンドルの操作によって切開メスを可動ジョー内に突出させて凝固組織を切開するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そして、この装置では、生体組織をバイポーラ電極で十分に凝固していないと、切開メスによる切開時に出血する危険性を含んでいる。そのため、組織の凝固具合は、操作者の目視、且つ操作者の経験的な判断によって行われるものである。加えて、操作者の手操作で作業が行われるため、十分な凝固が得られない状態で誤って切開メスを操作してしまうといった誤操作の可能性があった。
【0005】また、特開平8−308851号公報や本件出願人による先の出願である特願平9−183748号には、高周波焼灼電源装置からの出力値や生体組織の変化を検出し、この値によって出力を制御する電気手術装置が記載されている。
【0006】上記米国特許第5,445,638号、特開平8−308851号公報や特願平9−183748号では、ハンドルを操作してバイポーラ電極で生体組織を挟持して焼灼した後、別のレバーを操作して切開メスを前後させ、焼灼組織を切離している。しかしながら、こうした装置では、生体組織の挟持したり離す操作と、切開メスの操作を別々に行わなければならない。したがって、操作が煩雑になり、加えて、操作のために画面を目視せずに作業の手元を見なければならないので、操作性や安全性の点で課題を有している。
【0007】この発明は上記実状に鑑みてなされたものであり、生体組織の凝固、切開を安全で、且つ確実に行うこともできる電気手術装置の凝固切開装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわちこの発明は、生体組織と接触して処置を施す処置具に高周波電源装置から高周波電力を供給して、上記生体組織の凝固若しくは切開を行う電気手術装置に於いて、上記処置具に接触する生体組織の状況の変化を検知する検知手段と、この検知手段で上記生体組織の十分な凝固が得られたことを検知すると、上記高周波電源装置の出力を停止させる監視手段と、この監視手段によって上記高周波電源装置の出力が停止された後、上記監視手段からの信号に従って上記処置具を駆動して切開を行わせる駆動手段とを具備することを特徴とする。
【0009】この発明は、生体組織と接触して処置を施す処置具に高周波電源装置から高周波電力を供給して、上記生体組織の凝固若しくは切開を行う電気手術装置にあって、上記処置具に接触する生体組織の状況の変化が検知手段で検知される。そして、この検知手段で上記生体組織の十分な凝固が得られたことが検知されると、監視手段によって上記高周波電源装置の出力が停止される。上記監視手段によって上記高周波電源装置の出力が停止された後、上記監視手段からの信号に従って駆動手段により上記処置具が駆動されて切開が行われる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照してこの発明の実施の形態を説明する。図1は、この発明の第1の実施の形態に係る電気手術装置の凝固切開装置の概略構成を示した図である。
【0011】図1に於いて、この電気手術装置の凝固切開装置1は、先端部に生体組織2を挟持する一対の可動ジョーを形成する電極3、4を有している。これら電極3、4は、図示されない手元側の操作ハンドルにより開閉操作されるものである。上記電極3、4は突没自在に操作可能なもので、該電極3、4の間を進退する切開メス5と共に挿入部6の先端に設けられている。
【0012】上記切開メス5は、挿入部6を経て該切開メス5を進退駆動するための駆動部7と電気的に接続されている。また、上記電極3、4は、挿入部6を経て、監視部8を介して高周波電力を発生するバイポーラ電源9に電気的に接続されている。更に、駆動部7と監視部8とは、電気的或いは機械的に接続されている。
【0013】このような構成に於いて、図示されないハンドルの操作により、電極3、4で生体組織2が挟持される。上記電極3、4には、バイポーラ電源9から監視部8、挿入部6を介して高周波電流が供給される。これにより、電極3と電極4の間に挟持された生体組織2に集中的に高周波電流が流れて、焼灼、凝固が行われる。
【0014】このとき、監視部8に於いて、上述した高周波焼灼の状況、すなわち生体組織2の状況の変化が検知されて監視される。監視部8による生体組織2の状況の変化は、例えば上述した特開平8−308851号公報に記載されるように、電極3、4に流れる電気エネルギ―の状態変化が検出されて、その検出データに基いて生体組織の生体情報を得るようにしても良い。また、上述した特願平9−183748号のように、バイポーラ電源9からの出力値を検出するようにして、生体組織の状況変化を検知する等の方法を用いても良い。
【0015】このようにして、監視部8にて生体組織2の状況変化により、十分な凝固が得られたことが検知されると、バイポーラ電源9の出力が停止されて、生体組織2の凝固が停止される。それと共に、監視部8から駆動部7に信号及び情報が伝達されて、駆動部7によって切開メス5が駆動される。これにより、凝固終了後に切開動作が開始される。
【0016】以上、第1の実施の形態によれば、操作者の目視等によらず、監視部8によって凝固の終了を検知して切開メス5による切開を行うことができる。図2は、この発明の第2の実施の形態に係る電気手術装置の凝固切開装置の概略構成を示した図である。尚、以下に述べる実施の形態に於いて、上述した第1の実施の形態と同じ部分には同一の参照番号を付して説明は省略する。
【0017】図2に於いて、この電気手術装置の凝固切開装置11の先端部には、生体組織2を挟持するための、挿入部6に固定された固定電極12と挿入部6より進退自在な駆動電極13とが設けられている。そして、挿入部6以降の凝固切開装置11の構成は、駆動部7、監視部8及びバイポーラ電源9を有して成り、上述した第1の実施の形態と同様であるので説明は省略する。
【0018】このような構成に於いては、先ず、固定電極12と駆動電極13の間に挟持された生体組織2に集中的に高周波電流が流れて、焼灼、凝固が行われる。そして、監視部8にて生体組織2の状況変化により、十分な凝固が得られたことが検知されると、バイポーラ電源9の出力が停止されて、生体組織2の凝固が停止される。それと共に、監視部8から駆動部7に信号及び情報が伝達されて、駆動部7によって駆動電極13がその進退方向(図2に於いて左右方向)に移動される。これにより、生体組織2への押圧力が変化され、生体組織2が切開される。
【0019】このように、第2の実施の形態によれば、操作者の目視等によらず、監視部8によって凝固の終了を検知して切開メスを用いずに切開を行うことができる。図3は、この発明の第3の実施の形態に係る電気手術装置の凝固切開装置の概略構成を示した図である。
【0020】図3に於いて、この電気手術装置の凝固切開装置15の先端部には、生体組織2を挟持するための、電極16及び17が開閉自在に挿入部6に設けられている。そして、挿入部6以降の凝固切開装置15の構成は、駆動部7、監視部8及びバイポーラ電源9を有して成り、上述した第1及び第2の実施の形態と同様であるので説明は省略する。
【0021】この第3の実施の形態に於いては、上述した第2の実施の形態と同様に、切開メスを用いずに電極16及び17によって、先ず、挟持された生体組織2に対して焼灼、凝固が行われる。ここで、監視部8にて生体組織2の状況変化により、十分な凝固が得られたことが検知されると、バイポーラ電源9の出力が停止されて、生体組織2の凝固が停止される。そして、監視部8から駆動部7に信号及び情報が伝達されて、駆動部7によって電極16及び17の生体組織2への押圧力が変化されて、生体組織2が切開される。
【0022】このように、第3の実施の形態によれば、操作者の目視等によらず、監視部8によって凝固の終了を検知すると共に、電極16及び17によって凝固、切開を行うことができる。
【0023】次に、この発明の第4の実施の形態として、電気手術装置の凝固切開装置に送水チャンネルを設けた例について説明する。上述した第1乃至第3の実施の形態に於いては、電気手術装置の凝固切開装置には、凝固、切開終了後の生体組織に対して特に洗浄作用を行っていない。以下に述べる実施の形態では、生体組織の凝固、切開等の作業終了後に洗浄を行うようにした例について説明する。
【0024】図4(a)及び(b)は、この発明の第4の実施の形態に係る電気手術装置の凝固切開装置の概略構成を示した図である。図4(a)に於いて、この電気手術装置の凝固切開装置20には、ハンドル21に後述する送水チャンネル26より送水を行うための送水口金22が設けられている。上記ハンドル21には、本体部23を介して挿入部24が取付けられており、この挿入部24の先端部に、図4(b)に示されるような断面が環状の固定電極25が設けられている。そして、挿入部24の内壁には、送水チャンネル26が設けられており、送水時には固定電極25の中心部を通って流出されるようになっている。
【0025】また、凝固切開装置20は、コードを介して駆動部7、監視部8及び電源9′に接続されており、その構成は、上述した第1乃至第3の実施の形態と同様であるので説明は省略する。
【0026】このような構成に於いて、例えば止血用の固定電極25により、図示されない生体組織の止血作業が行われる。そして、監視部8にて生体組織の状況変化により、該止血作業が終了したことが検知されると、電源9′の出力が停止される。それと共に、送水口金22から本体部23を介して送水チャンネル26より生体組織に対して送水が開始される。
【0027】これにより、病変部の洗浄、出血部位の血液の洗浄を行うことができるので、出血点の確認が容易になる。図5(a)及び(b)は、この発明の第5の実施の形態に係る電気手術装置の凝固切開装置の概略構成を示した図である。
【0028】図5(a)及び(b)に示される電気手術装置の凝固切開装置に於いて、挿入部24の先端部に、断面が環状の固定部28が設けられている。そして、この固定部28の一部に、へら形状の電極28aが、切開用の電極として突出形成されている。また、挿入部24の内壁には、送水チャンネル26が設けられている。
【0029】その他の構成は、上述した第4の実施の形態と同様であるので説明は省略する。このような構成に於いて、切開用の電極28aにより、図示されない生体組織の切開作業が行われる。そして、監視部8にて該切開作業が終了したことが検知されると、電源9′の出力が停止される。それと共に、送水口金22から本体部23を介して送水チャンネル26より生体組織に対して送水が開始される。
【0030】これにより、病変部の洗浄、出血部位の血液の洗浄を行うことができるので、出血点の確認が容易になる。更に、図6(a)及び(b)は、この発明の第6の実施の形態に係る電気手術装置の凝固切開装置の概略構成を示した図である。
【0031】図6(a)及び(b)に示される電気手術装置の凝固切開装置に於いて、挿入部24の先端部に、断面が環状の固定部30が設けられている。そして、この固定部30の複数箇所、例えば4箇所に、へら形状の電極30a、30b、30c、30dが、切開用の電極として突出形成されている。また、挿入部24の内壁には、送水チャンネル26が設けられている。
【0032】その他の構成は、上述した第4の実施の形態と同様であるので説明は省略する。このような構成に於いて、切開用の電極30a〜30dにより、図示されない生体組織の切開作業が行われる。そして、監視部8にて該切開作業が終了したことが検知されると、電源9′の出力が停止される。それと共に、送水口金22から本体部23を介して送水チャンネル26より生体組織に対して送水が開始される。
【0033】これにより、病変部の洗浄、出血部位の血液の洗浄を行うことができるので、出血点の確認が容易になる。また、上述した第4乃至第6の実施の形態によれば、電極での焼灼部位、出血点の確認が確実にでき、効率的で確実な治療効果を得ることができる。
【0034】更に、第4乃至第6の実施の形態では環状の電極または固定部の中央に送水チャンネルを設けて流水を行うようにしているが、これに限られずに、例えば電極の外側面上に送水チャンネルを設けるようにしても良い。
【0035】尚、この発明の上記実施の形態によれば、以下の如き構成を得ることができる。
(1) 生体組織と接触して処置を施す処置具に高周波電源装置から高周波電力を供給して、上記生体組織の凝固若しくは切開を行う電気手術装置に於いて、上記処置具に接触する生体組織の状況の変化に基いて、上記生体組織が十分な凝固を得ると上記高周波電源装置の出力を停止させる監視手段と、この監視手段によって上記高周波電源装置の出力が停止された後、上記監視手段からの信号に従って上記処置具を駆動して切開を行わせる駆動手段とを具備することを特徴とする電気手術装置の凝固切開装置。
【0036】(2) 上記監視手段は、上記処置具に接触する生体組織の状況の変化を検知する検知手段を有し、上記監視手段は該検知手段で上記生体組織の十分な凝固が得られたことが検知されると、上記高周波電源装置の出力を停止させることを特徴とする上記(1)に記載の電気手術装置の凝固切開装置。
【0037】(3) 上記処置具は、上記生体組織を挟持して該生体組織に高周波電流を流す一対の電極を少なくとも有することを特徴とする上記(3)に記載の電気手術装置の凝固切開装置。
【0038】(4) 上記処置具は、上記駆動手段の出力に従って上記生体組織を切開する切開手段を有することを特徴とする上記(3)に記載の電気手術装置の凝固切開装置。
【0039】(5) 上記切開手段は、電気メスで構成されることを特徴とする上記(4)に記載の電気手術装置の凝固切開装置。
(6) 上記切開手段は、上記生体組織への押圧力を変化させることにより該生体組織を切開する上記一対の電極で構成されることを特徴とする上記(4)に記載の電気手術装置の凝固切開装置。
【0040】
【発明の効果】以上のようにこの発明によれば、生体組織の凝固、切開を安全で、且つ確実に行うこともできる電気手術装置の凝固切開装置を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス光学工業株式会社
【出願日】 平成10年9月9日(1998.9.9)
【代理人】 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外4名)
【公開番号】 特開2000−83962(P2000−83962A)
【公開日】 平成12年3月28日(2000.3.28)
【出願番号】 特願平10−255553