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【発明の名称】 超音波プローブおよび超音波診断装置
【発明者】 【氏名】早川 健一

【要約】 【課題】本発明は、超音波プローブおよび超音波診断装置に関し、超音波探触子の、生体に対する相対移動を正確に検出する。

【解決手段】生体との接触面27に向けて超音波トランスデューサ24から斜めに超音波を送受信し、得られた受信信号のドプラ偏移を検出して、超音波探触子の、生体に対する移動速度あるいは移動量を求める。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 超音波の送受信を担う超音波トランスデューサが装備された超音波探触子を備え、該超音波探触子が生体に接触した状態に置かれ該生体内に超音波を送波し該生体内で反射して戻ってきた超音波を受信して受信信号を得る、該受信信号に基づく画像を生成する超音波診断装置本体部に接続される超音波プローブにおいて、前記超音波探触子が、超音波による生体内の断層像を得るための、配列された複数の第1の超音波トランスデューサからなる第1の超音波トランスデューサアレイと、生体に接触する接触面との間に間隔を置いた内部に配置された、該接触面に対し超音波を斜めに送受信する1つ以上の第2の超音波トランスデューサとを備えたことを特徴とする超音波プローブ。
【請求項2】 前記超音波探触子が、前記第2の超音波トランスデューサと前記接触面との間に介在する、超音波の伝播を担う超音波伝播媒体を備えたものであることを特徴とする請求項1記載の超音波プローブ。
【請求項3】 前記1つ以上の第2の超音波トランスデューサが、前記接触面との間に間隔を置いた内部において該接触面に対し斜めに配置された超音波トランスデューサからなることを特徴とする請求項1記載の超音波プローブ。
【請求項4】 前記1つ以上の第2の超音波トランスデューサが、前記接触面との間に間隔を置いた内部に位置し、前記複数の第1の超音波トランスデューサの配列方向とは異なる方向に配列された複数の超音波トランスデューサからなる第2の超音波トランスデューサアレイであることを特徴とする請求項1記載の超音波プローブ。
【請求項5】 前記超音波探触子が、前記1つ以上の第2の超音波トランスデューサを、相互に離れた位置に複数備えたものであることを特徴とする請求項1記載の超音波プローブ。
【請求項6】 前記超音波探触子が、生体の体腔内に挿入される円柱形状を有し、前記第1の超音波トランスデューサアレイを構成する複数の第1の超音波トランスデューサが、該円柱形状の超音波探触子を周回する方向に配列されたものであって、前記1つ以上の第2の超音波トランスデューサが、前記接触面に対し、該超音波探触子の円柱形状の長手方向に対し斜めに超音波を送受信するものであることを特徴とする請求項1記載の超音波プローブ。
【請求項7】 前記1つ以上の第2の超音波トランスデューサが、前記超音波探触子の円柱形状の長手方向に配列された複数の第2の超音波トランスデューサからなる、該超音波探触子の生体に対する相対的な移動速度あるいは移動量算出用と、該超音波探触子の円柱形状の長手方向に広がる断層像生成用とを兼ねた第2の超音波トランスデューサアレイであることを特徴とする請求項6記載の超音波プローブ。
【請求項8】 超音波の送受信を担う超音波トランスデューサが装備された超音波探触子を備え、該超音波探触子が生体に接触した状態に置かれ該生体内に超音波を送波し該生体内で反射して戻ってきた超音波を受信する超音波プローブが接続され、該超音波プローブを用いて超音波の送受信を繰り返す間に得られた受信信号に基づいて生体内の断層像を生成する超音波診断装置において、前記超音波プローブに備えられた超音波探触子が、超音波による生体内の断層像を得るための、配列された複数の第1の超音波トランスデューサからなる第1の超音波トランスデューサアレイ、および、生体に接触する接触面との間に間隔を置いた内部に配置された、該接触面に対し超音波を斜めに送受信する1つ以上の第2の超音波トランスデューサを備えたものであって、前記第1の超音波トランスデューサアレイに超音波を送受信させて第1の受信信号を得、さらに前記第2の超音波トランスデューサに超音波を送受信させて第2の受信信号を得る送受信手段と、前記送受信手段で得られた第1の受信信号に基づいて断層像を生成する断層像生成手段と、前記断層像生成手段で生成された断層像を表示する表示手段と、前記送受信手段で得られた第2の受信信号に基づいて、前記第2の超音波トランスデューサで送受信された超音波のドプラ偏移を検出するドプラ偏移検出手段と、前記ドプラ偏移検出手段で検出された、第2の受信信号のドプラ偏移に基づいて、前記超音波探触子の、生体に対する相対的な移動速度あるいは移動量を求める移動算出手段とを備えたことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項9】 前記超音波探触子が、前記第2の超音波トランスデューサと前記接触面との間に介在する、超音波の伝播を担う超音波伝播媒体を備えたものであることを特徴とする請求項8記載の超音波診断装置。
【請求項10】 前記1つ以上の第2の超音波トランスデューサが、前記接触面との間に間隔を置いた内部において該接触面に対し斜めに配置された超音波トランスデューサからなることを特徴とする請求項8記載の超音波診断装置。
【請求項11】 前記1つ以上の第2の超音波トランスデューサが、前記接触面との間に間隔を置いた内部に位置し、前記複数の第1の超音波トランスデューサの配列方向とは異なる方向に配列された複数の超音波トランスデューサからなる第2の超音波トランスデューサアレイであることを特徴とする請求項8記載の超音波診断装置。
【請求項12】 前記超音波探触子が、前記1つ以上の第2の超音波トランスデューサを、相互に離れた複数の位置に備えたものであって、前記移動算出手段が、前記超音波探触子の、前記1つ以上の第2の超音波トランスデューサが備えられた各位置に関し、生体に対する相対的な移動速度あるいは移動量を求めるものであることを特徴とする請求項8記載の超音波診断装置。
【請求項13】 前記超音波探触子が、生体の体腔内に挿入される円柱形状を有し、前記第1の超音波トランスデューサアレイを構成する複数の第1の超音波トランスデューサが、該円柱形状の超音波探触子を周回する方向に配列されたものであって、前記1つ以上の第2の超音波探触子が、前記接触面に対し、該超音波探触子の円柱形状の長手方向に対し斜めに超音波を送受信するものであることを特徴とする請求項8記載の超音波診断装置。
【請求項14】 前記1つ以上の第2の超音波トランスデューサが、前記超音波探触子の円柱形状の長手方向に配列された複数の第2の超音波トランスデューサからなる、該超音波探触子の、生体に対する相対的な移動速度あるいは移動量算出用と、該超音波探触子の円柱形状の長手方向に広がる断層像生成用とを兼ねた第2の超音波トランスデューサアレイであって、前記断層像生成手段が、前記第1の超音波トランスデューサアレイを用いた超音波送受信により得られる第1の受信信号に基づく第1の断層像と、前記第2の超音波トランスデューサを用いた超音波送受信により得られる第2の受信信号に基づく第2の断層像との双方の断層像の生成を担うものであることを特徴とする請求項8記載の超音波診断装置。
【請求項15】 前記移動算出手段が、前記超音波探触子の円柱形状の長手方向の、生体に対する相対的な移動量を求めるものであって、前記断層像生成手段が、前記第1の超音波トランスデューサアレイを用いた超音波送受信により得られた第1の受信信号に基づく断層像を、前記移動算出手段で求められた移動量に応じて生成するものであることを特徴とする請求項13記載の超音波診断装置。
【請求項16】 前記移動算出手段が、前記超音波探触子の円柱形状の長手方向の、生体に対する相対的な移動量を求めるものであって、前記表示手段が、前記第1の断層像と前記第2の断層像を、前記移動算出手段により求められた移動量に応じて切り替えて表示するものであることを特徴とする請求項14記載の超音波診断装置【請求項17】 前記移動算出手段が、前記超音波探触子の、生体に対する相対的な移動量を求めるものであって、前記表示手段が、前記移動算出手段により求められた移動量に応じて、生体に対する相対的な、断層像あるいは超音波探触子の位置を表示するものであることを特徴とする請求項8記載の超音波診断装置。
【請求項18】 前記移動算出手段が、前記超音波探触子の、生体に対する相対的な移動速度を求めるものであって、前記表示手段が、前記移動算出手段により求められた移動速度を表示するものであることを特徴とする請求項8記載の超音波診断装置。
【請求項19】 前記移動算出手段が、前記超音波探触子の、生体に対する相対的な移動量を求めるものであり、前記断層像生成手段が、前記移動算出手段により求められた移動量に関し所定間隔で前記第1の受信信号に基づく断層像を生成するものであって、前記表示手段が、前記所定間隔で断層像を生成することのできる、前記超音波探触子の、生体に対する相対的な移動速度の上限を表示するものであることを特徴とする請求項8記載の超音波診断装置。
【請求項20】 前記移動算出手段が、前記超音波探触子の、生体に対する相対的な移動量を求めるものであり、前記断層像生成手段が、前記第1の受信信号に基づく断層像の生成を繰り返し、前記移動算出手段により求められた移動量に基づいて、繰り返し生成された断層像どうしの相対的な位置関係を求めることにより、三次元的な断層像を求めるものであることを特徴とする請求項8記載の超音波診断装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超音波の送受信を担う超音波トランスデューサが装備された超音波探触子を備えた超音波プローブ、および、その超音波プローブが接続され、その超音波プローブを用いて超音波の送受信を繰り返す間に得られた受信信号に基づいて生体内の断層像を生成する超音波診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、上記の超音波プローブおよび超音波診断装置が、生体、特に人体の内部の疾患の診断に役立てられている。このような超音波診断装置において、超音波断層像の生体に対する空間的な位置関係を把握するために、超音波探触子の、生体に対する相対移動量を求めることが要請される場合がある。特に前立腺体積測定や胎児の形態診断等、生体内の三次元的構造を把握する必要がある場合に、この相対移動量の測定が求められる。以下前立腺体積測定を例に挙げて説明する。図29は、前立腺診察用の超音波プローブに備えられた従来の超音波探触子の模式図、図30は、図29に示す超音波探触子の、その超音波探触子に装備された超音波トランスデューサアレイの部分を輪切りにして示した模式図である。ここに示す超音波探触子21は、前立腺の観察にあたり、人体1の肛門1aから直腸1b内に挿入されるものであり、円柱形状を有し、その超音波探触子21の先端側には、その円柱形状の超音波探触子21を周回する方向に複数の超音波トランスデューサ22,22,……が配列され、これら複数の超音波トランスデューサ22,22,……により1つの超音波トランスデューサアレイ221が構成されている。
【0003】この超音波トランスデューサアレイ221を構成する複数の超音波トランスデューサ22,22,……のそれぞれには、配線23が接続されている。この配線23は、超音波診断装置本体部(図示せず)との間で接続され、超音波診断装置本体部で生成された、超音波パルス送波のための電圧パルスを各超音波トランスデューサ22,22,……に伝達し、さらに、各超音波トランスデューサ22,22,……で反射超音波をピックアップすることにより得られた受信信号を超音波診断装置本体部に伝達する役割りを担っている。また、この超音波探触子21の根元側は、モータ28と連結されており、モータ28が、矢印A方向,A’方向に回転すると、超音波探触子21は、それぞれB方向に挿入され、あるいはB’方向に抜かれる方向に移動する。ここで、超音波探触子21を図Aに示すように直腸1b内に挿入し、超音波トランスデューサアレイ221から、直腸壁1cを介して前立腺1dに向かって超音波ビームを送波し、人体内で反射して戻ってきた超音波をその超音波トランスデューサアレイ221で受信して受信信号を得る。ここで、超音波トランスデューサアレイ221を用いて超音波を送受信するにあたっては、図30に示すように、一回には、その超音波トランスデューサアレイ221を構成する複数の超音波トランスデューサ22,22,……のうちの一部の複数の超音波トランスデューサを用いて超音波を送受信し、それを順序に異なる複数の超音波トランスデューサの組について行なうことにより、その円柱形状の超音波探触子21を輪切りにする方向の断層面3内の様々な方向に関する超音波受信信号が得られる。図示しない超音波探触子本体部では、それらの受信信号に基づいてその断層面3内の超音波断層像を生成する。
【0004】以上の超音波断層像を得る過程を、超音波探触子21の、直腸内への挿入量を順次変更しながら行ない、前立腺1dの、互いに平行な複数の断層像を得ることにより、全体として前立腺1dの三次元形状を求め、その三次元形状の所定箇所の寸法を測定し、その寸法を実験式にあてはめて前立腺の体積を算出する。ここで、超音波探触子21を直腸1b内に挿入するにあたっては、その超音波探触子21を椅子に設置し、その椅子に患者を座らせてその患者の直腸内にその超音波探触子21を挿入し、モータ28を回転させることにより、一定量ずつその挿入量を変えながら断層像を取得するという方法がとられている。この図29,図30には、円柱形状の超音波探触子21を周回する一次元的な方向に配列された複数の超音波トランスデューサ22,22,……からなる超音波トランスデューサアレイ221が示されているが、超音波トランスデューサを二次元的にマトリックス状に配置し、そのように二次元的に配置された超音波トランスデューサを順次選択的に駆動することにより、図29に示す直腸1bに垂直な方向の断層面3の断層像を得る過程をその直腸の長手方向に走査しながら順次行ない、超音波探触子21を動かさずに三次元的な断層像を得ることも知られている。超音波トランスデューサが二次元的に配列された超音波探触子を用いる手法は、前立腺の診断だけでなく、超音波探触子の形状は異なるが、妊婦の腹部に超音波探触子をあてがい、経腹壁的に胎児の形態診断を行なう場合にも用いられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】図29,図30を参照して説明した従来技術の場合、患者を椅子に座らせて動かないように命じても直腸1bへの超音波探触子21の挿入に伴って動いてしまうことがしばしばであり、患者が動いてしまうとモータ28の回転量を制御しても超音波探触子21の直腸1b内への挿入量が一定とはならず、超音波探触子21の、人体に対する相対移動量を正確に制御することは困難である。また、超音波トランスデューサを二次元的に配置した超音波探触子の場合、その二次元配列された超音波トランスデューサそれぞれに備えられた電極への配線が複雑となり、また超音波トランスデューサの数が極めて多数になるため、それに合わせて、超音波診断装置本体側の、各超音波トランスデューサに超音波送波のための高電圧がパルスを与えたりその超音波トランスデューサで得られた受信信号を受け取るためのチャンネルの数が極めて多数となり、多大なコストがかかるという問題がある。また、超音波探触子の寸法がどうしても大きくなりがちであり、操作性を損ねるという問題もある。本発明は、上記事情に鑑み、超音波探触子の、生体に対する相対移動を正確に検出する機能を備えた、超音波プローブおよび超音波プローブを用いる超音波診断装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発明の超音波プローブは、超音波の送受信を担う超音波トランスデューサが装備された超音波探触子を備え、その超音波探触子が生体に接触した状態に置かれ、生体内に超音波を送波し該生体内で反射して戻ってきた超音波を受信して受信信号を得る、その受信信号に基づく画像を生成する超音波診断装置本体部に接続される超音波プローブにおいて、上記超音波探触子が、超音波による生体内の断層像を得るための、配列された複数の第1の超音波トランスデューサからなる第1の超音波トランスデューサアレイと、生体に接触する接触面との間に間隔を置いた内部に配置された、その接触面に対し超音波を斜めに送受信する1つ以上の第2の超音波トランスデューサとを備えたものであることを特徴とする。また、上記目的を達成する本発明の超音波診断装置は、超音波の送受信を担う超音波トランスデューサが装備された超音波探触子を備え、その超音波探触子が生体に接触した状態に置かれ、生体内に超音波を送波しその生体内で反射して戻ってきた超音波を受信する超音波プローブが接続され、その超音波プローブを用いて超音波の送受信を繰り返す間に得られた受信信号に基づいて生体内の断層像を生成する超音波診断装置において、【0007】上記超音波プローブに備えられた超音波探触子が、超音波による生体内の断層像を得るための、配列された複数の第1の超音波トランスデューサからなる第1の超音波トランスデューサアレイ、および、生体に接触する接触面との間に間隔を置いた内部に配置された、その接触面に対し超音波を斜めに送受信する1つ以上の第2の超音波トランスデューサを備えたものであって、上記第1の超音波トランスデューサアレイに超音波を送受信させて第1の受信信号を得、さらに上記第2の超音波トランスデューサに超音波を送受信させて第2の受信信号を得る送受信手段と、送受信手段で得られた第1の受信信号に基づいて断層像を生成する断層像生成手段と、断層像生成手段で生成された断層像を表示する表示手段と、送受信手段で得られた第2の受信信号に基づいて、前記第2の超音波トランスデューサで送受信された超音波のドプラ偏移を変位を検出するドプラ偏移検出手段と、ドプラ偏移検出手段で検出された、第2の受信信号のドプラ偏移に基づいて、超音波探触子の、生体に対する相対的な移動速度あるいは移動量を求める移動算出手段とを備えたことを特徴とする。本発明の超音波プローブは、生体に接触する接触面との間に間隔を置いた内部に、超音波を斜めに送受信する第2の超音波トランスデューサを備えた超音波探触子を備えたものであり、その超音波探触子が移動すると、第2の超音波トランスデューサで送信された超音波に対しその接触面で反射した超音波はドプラ偏移を受け、周波数や位相が変化する。
【0008】そこで、本発明の超音波診断装置では、ドプラ偏移検出手段により反射超音波のドプラ偏移が検出され、移動算出手段により、その検出したドプラ偏移に基づいて、超音波探触子の、生体に対する相対移動(相対的な移動速度あるいは相対的な移動量)が求められる。このように、本発明によれば、生体との直接の相互作用により生じるドプラ偏移に基づいているため、超音波探触子の移動時に生体が移動しても、相対的な移動が正確に求められる。また、本発明によれば、複数の超音波トランスデューサが二次元的に配置された超音波探触子を採用した場合と比べ、コストの大幅な低減化が図られ、操作性も向上する。ここで、本発明の超音波プローブおよび本発明の超音波診断装置において、超音波探触子が、上記第2の超音波トランスデューサと上記接触面との間に介在する、超音波の伝播を担う超音波伝播媒体を備えたものであることが好ましい。このような超音波伝播媒体を備えることにより、超音波の伝播が効率化される。また、本発明の超音波プローブおよび本発明の超音波診断装置において、上記1つ以上の第2の超音波トランスデューサが、上記接触面との間に間隔を置いた内部において該接触面に対し斜めに配置された超音波トランスデューサからなるものであってもよい。
【0009】このような超音波トランスデューサを装備すると、直接に斜めに超音波を送受信することができる。あるいは、本発明の超音波プローブおよび本発明の超音波診断装置において、上記1つ以上の第2の超音波トランスデューサが、上記接触面との間に間隔を置いた内部に位置し、上記複数の第1の超音波トランスデューサの配列方向とは異なる方向に配列された複数の超音波トランスデューサからなる第2の超音波トランスデューサアレイであってもよい。配列された複数の超音波トランスデューサに、位相が調整された電圧パルスを印加すると、超音波を斜めに送信することができることが知られており、本発明は、上記の第2の超音波トランスデューサアレイを備え、上記のような手法を用いて超音波を斜めに送波するものであってもよい。また、この第2の超音波トランスデューサアレイを備えた場合、その第2の超音波トランスデューサアレイにより生体内の断層像を生成することも可能となる。また、本発明の超音波プローブにおいて、上記超音波探触子は、上記1つ以上の第2の超音波トランスデューサを、相互に離れた複数の位置に備えたものであってもよく、このような超音波プローブを採用した本発明の超音波診断装置は、上記移動算出手段が、超音波探触子の、上記1つ以上の第2の超音波トランスデューサが備えられた各位置に関し、生体に対する相対的な移動速度あるいは移動量を求めるものであることが好ましい。
【0010】超音波探触子に上記第2の超音波トランスデューサを複数の位置に備えると、各ペアにおける相対移動を検出することができ、したがって超音波探触子の平行移動のみでなく回転も知ることができる。また、上記本発明の超音波プローブおよび本発明の超音波診断装置において、超音波探触子は、生体の体腔内に挿入される円柱形状を有し、上記第1の超音波トランスデューサアレイを構成する複数の第1の超音波トランスデューサが、その円柱形状の超音波探触子を周回する方向に配列されたものであって、上記1つ以上の第2の超音波トランスデューサが、上記接触面に対し、超音波探触子の円柱形状の長手方向に対し斜めに超音波を送受信するものとすることができる。この超音波探触子は、例えば直腸内に挿入されて前立腺を観察する超音波探触子等、体腔内に挿入される超音波探触子として好適であり、生体に対する超音波探触子の相対的な挿入速度あるいは挿入量を正確に求めることができる。また、この場合に、上記1つ以上の第2の超音波トランスデューサは、超音波探触子の円柱形状の長手方向に配列された複数の第2の超音波トランスデューサからなる、その超音波探触子の生体に対する相対的な移動速度あるいは移動量算出用と、その超音波探触子の円柱形状の長手方向に広がる断層像生成用とを兼ねた第2の超音波トランスデューサアレイであってもよい。このような第2の超音波トランスデューサアレイを備えた超音波探触子を持つ超音波プローブが接続される本発明の超音波診断装置は、上記断層像生成手段が、上記第1の超音波トランスデューサアレイを用いた超音波送受信により得られる第1の受信信号に基づく第1の断層像と、上記第2の超音波トランスデューサを用いた超音波送受信により得られる第2の受信信号に基づく第2の断層像との双方の断層像の生成を担うものであることが好ましい。
【0011】上記のような第2の超音波トランスデューサアレイを備えると、超音波探触子が体腔内に挿入されたとき、その挿入速度あるいは挿入量を正確に求めることができるとともに、第1の超音波トランスデューサアレイによる、体腔を横割りにする断層面内の断層像と体腔を縦割りにする断層像面内の断層像との双方の断層像を得ることができる。また、上記の、体腔内に挿入される円柱形状の超音波探触子を備えた超音波プローブが接続される超音波診断装置の場合、上記移動算出手段が、超音波探触子の円柱形状の長手方向の、生体に対する相対的な移動量を求めるものであって、上記断層像生成手段が、第1の超音波トランスデューサアレイを用いた超音波送受信により得られた第1の受信信号に基づく断層像を、移動算出手段で求められた移動量に応じて生成するものであることが好ましい。移動検出手段により求められた移動量に応じて、すなわち、例えば5mm間隔等あらかじめ定められた間隔で、あるいはテーブル等にあらかじめ登録された移動量に達する毎に断層像を生成することにより、移動量の正確な検出と相まって正確な三次元断層像を得ることができる。また、超音波探触子が、円柱形状であってその円柱を周回する方向に第1の超音波トランスデューサが配列されてなる第1の超音波トランスデューサアレイと、その超音波探触子の長手方向に配列された複数の第2の超音波トランスデューサからなる第2の超音波トランスデューサアレイを備えたものである場合に、本発明の超音波診断装置は、上記移動算出手段が、超音波探触子の円柱形状の長手方向の、生体に対する相対的な移動量を求めるものであって、上記表示手段が、上記第1の超音波トランスデューサアレイを用いた超音波送受信により得られる第1の受信信号に基づく第1の断層像と上記第2の超音波トランスデューサアレイを用いた超音波送受信により得られる第2の受信信号に基づく第2の断層像を、移動算出手段により求められた移動量に応じて切り替えて表示するものであることが好ましい。
【0012】移動量に応じて切り替えることにより、手動で切り替える手間が省け、操作性が向上する。また、本発明の超音波診断装置において、移動算出手段が、超音波探触子の、生体に対する相対的な移動量を求めるものであって、表示手段が、移動算出手段により求められた移動量に応じて、生体に対する相対的な、断層像あるいは超音波探触子の位置を表示するものであることが好ましい。断層像あるいは超音波探触子を表示することにより、現在観察している断層像の生体に対する位置を把握することができ、さらに、例えばその超音波探触子が生体の体腔内に挿入されるタイプのものである場合に、現在の挿入深さを知り、誤って挿入し過ぎる等の事故の防止にも役立つ。また、本発明の超音波診断装置において、移動算出手段が、超音波探触子の、生体に対する相対的な移動速度を求めるものであって、表示手段が、移動算出手段により求められた移動速度を表示するものであってもよい。例えば、ある一定の移動量ごとに断層像を生成し三次元的な断層像を得ようとしている場合に、移動速度が速すぎると予定された一定の移動量ごとの断層像の生成が不可能となる。そこで、例えばこのような場合に、超音波探触子の移動速度を求めて表示することにより、速く動かし過ぎるといった失敗を防止することができる。
【0013】さらに、上記本発明の超音波診断装置において、移動算出手段が、超音波探触子の、生体に対する相対的な移動量を求めるものであり、断層像生成手段が、移動算出手段により求められた移動量に関し所定間隔で上記第1の受信信号に基づく断層像を生成するものであって、表示手段が、上記所定間隔で断層像を生成することのできる、超音波探触子の、生体に対する相対的な移動速度の上限を表示するものであることも好ましい形態である。移動速度の上限を表示することによっても、超音波探触子を速く動かしすぎることによる失敗の未然防止に役立つ。さらに、上記本発明の超音波診断装置において、移動算出手段が、超音波探触子の、生体に対する相対的な移動量を求めるものであり、断層像生成手段が、上記第1の受信信号に基づく断層像の生成を繰り返し、移動算出手段により求められた移動量に基づいて、繰り返し生成された断層像どうしの相対的な位置関係を求めることにより、三次元的な断層像を求めるものであってもよい。前述の説明では、移動量算出手段で求められた移動量は、例えばある一定移動量ごとに断層像を生成するというように断層像を生成するタイミングを定めるものであるという旨の説明であったが、断層像は、例えば一定時間間隔で順次生成し、各断層像が生成されたタイミングにおける、移動算出手段で算出された移動量を記録しておき、それらの断層像を合成して三次元断層像を求めるときに、その記録しておいた移動量に基づいて繰返し生成され断層像どうしの相対的な位置関係を求めてもよい。
【0014】このように構成すると、超音波探触子を、移動速度をあまり気にすることなく動かしても何回か往復しているうちに三次元断層像構築のための断層像を得ることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態の説明に先立って、先ず、本発明において特徴的な、生体との接触面に対し斜めに超音波を送受信する構成における、生体に対する相対的な移動速度あるいは移動量を求める原理について説明する。
【0016】図1は、超音波探触子の、生体との接触部分を示す模式図である。超音波探触子の、生体に対する接触面27は、その生体の体表1eあるいはその生体の体腔内壁1cと接触しており、その接触面27との間に間隔を置いた内部に、超音波トランスデューサ24(本発明にいう第2の超音波トランスデューサ)が、接触面27に対し斜め(角度θ)に配置されている。またその接触面27と超音波トランスデューサ24との間には、例えば水やゾル状あるいはゲル状の超音波伝播媒体26が充填されている。接触面27との境界はゴム等のカバー28で覆われている。ここで、超音波トランスデューサ24により接触面27に向けて斜めに(角度θで)超音波を送波し、その接触面27で反射して戻ってきた超音波を受信して受信信号(本発明にいう第2の受信信号)を得るものとする。また、超音波探触子は、生体に対し相対的に図示のx−x’方向に移動するものとする。このとき、超音波トランスデューサ24から送波された超音波は、接触面27において、超音波探触子と生体との相対移動によりドプラ偏移を受ける。
【0017】図2は、ドプラ偏移による周波数変化を示す模式図である。超音波トランスデューサ24から送波される超音波の中心周波数をf0 としたとき、超音波探触子が生体に対し相対的に図1に示す矢印x方向に移動すると、接触面27で反射して超音波トランスデューサ24に戻った超音波の中心周波数は、周波数f0 よりも高周波寄りの周波数fH に偏移し、超音波探触子が生体に対し相対的に図1に示す矢印x’方向に移動すると、接触面27で反射して超音波トランスデューサ24に戻った超音波の中心周波数は、周波数f0 よりも低周波数寄りの周波数fL に偏移する。ここで、超音波トランスデューサ24から送波された超音波の中心周波数をf0 、接触面27で反射して超音波トランスデューサ24に戻ってきた超音波の中心周波数をf、超音波探触子の、生体に対する相対的な移動速度(移動方向を含む)をv、接触面27への超音波の入射角をθ(図1参照)、超音波伝播媒体26内での超音波の伝播速度をcとすると、【0018】
【数1】

【0019】が成立する。ここで超音波探触子の移動速度vは、超音波伝播速度cと比べ十分に小さい(v<<c)ので、(1)式は、【0020】
【数2】

【0021】に近似できる。また、移動量(移動距離)Lは、移動速度vの積分、すなわち、L=∫v・dt ……(3)
により求められる。ここで、(2)式中、超音波トランスデューサ24から送波される超音波の中心周波数fO 、接触面27への入射角θ、および超音波伝播速度cは既知であり、したがって超音波トランスデューサ24で反射超音波を受信して得た受信信号に基づいて、例えばフーリエ変換により、その反射超音波の中心周波数fを求め、その求めた中心周波数fを(2)式に代入することにより、超音波振動子の、生体に対する相対的な移動速度vが求められ、(3)式に示すように、その移動速度vの積分(積算)により移動量(移動距離)Lが求められる。後述する実施形態では、フーリエ変換および移動算出は、パルス/連続波ドプラ解析部401(図4参照)で実行される。
【0022】図3は、反射超音波の位相関係を示した図である。図1に示す超音波トランスデューサ24から接触面27に向けて超音波が複数回(ここでは2回とする)送波され、接触面27で反射して戻ってきた超音波をその超音波トランスデューサ24で受信して得た複数(ここでは2つ)受信信号の波形が、それぞれ図3(A),図3(B)であるとする。ここでは、定量的な説明は省略するが、それら2つの信号波形間の位相ψは、超音波探触子が生体に対し、図1に示すx方向に移動するかx’方向に移動するかに応じて反転し、その移動速度が速いほど位相ψが大きくずれる。したがってその位相を検出することによっても、超音波探触子の移動速度v(移動方向を含む)を求めることができる。この位相の検出、およびその検出された位相に基づく移動算出は、後述する実施形態では、カラードプラ解析部402で実行される。以上で、本発明の特徴部分の原理的な説明を終了し、以下、本発明の実施形態について説明する。以下では、先ず、超音波診断装置の概要について説明し、次いで本発明の実施形態の特徴的な部分について説明する。
【0023】図4は、本発明の超音波診断装置の一実施形態を示すブロック図である。以下、各部の作用ないし機能の説明はあとにまわし、先ずは、この超音波診断装置の構成について説明する。この超音波診断装置の本体部10は、大別して、制御部100、信号処理部200、ディジタルスキャンコンバータ部300、ドプラ処理部400、表示制御部500、生体信号アンプ部600から構成されている。制御部100は、CPU部101とメモリ部102と、ビームスキャン制御部103からなり、CPU部101には、操作パネル701、一体的に構成されたタッチパネル702とEL表示器703、およびフロッピィディスク装置704が接続されている。また、信号処理部200は、送受信部201、受信ディレイ制御部202、ビームフォーマ部203、コントロールインターフェイス部204、演算部205、およびドプラシグナル処理部206から構成されており、コントロールインターフェイス部204と、送受信部201、受信ディレイ制御部202、およびドプラシグナル処理部206は、制御ライン207で結ばれている。また、コントロールインターフェイス部204と演算部205は制御ライン208で結ばれており、さらに、受信ディレイ制御部202とビームフォーマ部203は制御ライン209で結ばれている。信号処理部200を構成する送受信部201には、超音波プローブ20が、着脱自在に、ここでは最大4本まで接続される。
【0024】この超音波プローブ20には、生体表面にあてがわれ、あるいは生体の体腔内に挿入される超音波探触子21が備えられている。この超音波探触子21はその目的に応じ、生体の体表にあてがわれる形態のものや生体の体腔内に挿入される形態のものなど様々な形態のものが存在する。この図1には一例として、生体1の体表にあてがわれる形態の超音波探触子21が示されている。超音波探触子21の、生体1への接触面に面して、複数の第1の超音波トランスデューサが配列された超音波トランスデューサアレイ221(本発明にいう第1の超音波トランスデューサアレイに相当する)と、第2の超音波トランスデューサ24が装備されている。この第2の超音波トランスデューサ24は、生体に接触する接触面との間に間隔を置いた超音波探触子の内部に配置されており、その接触面との間には、超音波の伝播を担う超音波伝播媒体が配備されている。詳細は後述する。ディジタルスキャンコンバータ部300には、白黒用スキャンコンバータ301、カラー用スキャンコンバータ302、およびスクロール用スキャンコンバータ303が備えられている。また、ドプラ処理部400には、パルス/連続波ドプラ解析部401とカラードプラ解析部402が備えられている。また、表示制御部500は、画像メモリ5001を備えており、この表示制御部500には、プリンタ705、VTR(ビデオテープレコーダ)706、観察用テレビモニタ707、およびスピーカ708が接続されている。また、生体信号アンプ部600は、ここでは1つのブロックで示されており、この生体信号アンプ部600には、ECG電極ユニット709、心音マイク710、および脈波用トランスデューサ711が接続されている。
【0025】さらに、この超音波診断装置には、電源部800が備えられている。この電源部800は、商用電源に接続され、この超音波診断装置各部に必要な電力を供給する。また、本体部10は、CPUバス901を有しており、このCPUバス901は、制御部100を構成するCPU部101、メモリ部102、およびビームスキャン制御部103と、信号処理部200を構成するコントロールインターフェイス部204と、ディジタルスキャンコンバータ部300を構成する白黒用スキャンコンバータ301、カラー用スキャンコンバータ302、およびスクロール用スキャンコンバータ303と、ドプラ処理部400を構成するパルス/連続波ドプラ解析部401およびカラードプラ解析部402と、さらに画像表示部500とを接続している。また、この本体部10は、エコーバス902を有しており、このエコーバス902は、信号処理部200を構成する演算部205で生成される画像データを、ディジタルスキャンコンバータ部300に供給する。また、ドプラ処理部400を構成するパルス/連続波ドプラ解析部401およびカラードプラ解析部402で生成されたデータも、エコーバス902を経由してディジタルスキャンコンバータ部300に供給される。さらに、この本体部10は、ビデオバス903を有しており、このビデオバス903は、ディジタルスキャンコンバータ部300を構成する白黒用スキャンコンバータ301、カラー用スキャンコンバータ302、およびスクロール用スキャンコンバータ303のいずれかで生成された画像データを表示制御部500に伝達する。
【0026】操作パネル701は、多数のキーを備えたキーボード等からなり、この操作パネル701を操作するとその操作情報がCPU部101で検知され、その操作情報に応じた指令が、その指令に応じて、ビームスキャン制御部103、コントロールインターフェイス部204、ディジタルスキャンコンバータ部300、ドプラ処理部400、あるいは表示制御部500に伝達される。EL表示部703は、EL(Electro Luminescence)表示画面を有し、また、CPU部101は、そのEL表示部703のEL表示画面に表示するEL用線画を作成するEL用線画作成部を兼ねており、そのCPU部101で生成されたEL用線画がEL表示部703のEL表示画面上に表示される。そのEL表示部703のEL表示画面上にはタッチパネル702が備えられており、そのタッチパネル702に指で触れるとそのタッチパネル702上の指で触れた位置をあらわす位置情報がCPU部101に伝達される。このタッチパネル702およびEL表示器703は、例えば、操作パネル701の操作により、この超音波診断装置に、ある1つのモードに関するパラメータを設定する旨指示すると、CPU101により、その1つのモード用に設定すべき多数のパラメータ一覧がEL表示部703に表示され、タッチパネル702を指で触れて所望のパラメータを設定するなど、この超音波診断装置への各種の指示を入力し易いように構成されたものである。
【0027】フロッピィディスク装置704は、図示しないフロッピィディスクが装脱自在に装填され、その装填されたフロッピィディスクをアクセスする装置であって、CPU部101により、オペレータが操作パネル701やタッチパネル702の操作により行なった指示がそのフロッピィディスク装置704に装填されたフロッピィディスクに書き込まれ、この超音波診断装置への電源投入時、あるいは操作パネル701の操作により初期状態へのリセットが指示された時に、そのフロッピィディスク装置704に装填されたフロッピィディスクからそこに書き込まれている各種の指示情報がCPU部101に入力され、CPU部101は、その指示情報に応じて各部を初期状態に設定する。これは、この超音波診断装置を稼働させるにあたって必要となる、操作パネル701やタッチパネル702から設定すべきパラメータ等が多数存在し、例えば電源投入のたびにそれら多数のパラメータ等を設定し直すのは極めて大変であり、このためフロッピィディスクに初期状態のパラメータ等を書き込んでおいて、電源投入時や初期状態へのリセットが指示された時には、そのフロッピィディスクに書き込まれているパラメータ等を読み込んでそれらのパラメータ等に応じて各部を設定することにより、パラメータ等の設定効率化を図るというものである。
【0028】制御部100を構成するCPU部101は、上述のように、主としてマン・マシンインターフェイスの役割りを担っているのに対し、同じく制御部100を構成するビームスキャン制御部103は、主として、この超音波診断装置による超音波の送受信のタイミング等、リアルタイム性が要求される制御を担当している。この超音波診断装置で超音波の送受信を行なう時には、信号処理部200を構成する各部を制御するためのデータがビームスキャン制御部103からCPUバス901を経由して信号処理部200のコントロールインターフェイス部204に伝達され、このコントロールインターフェイス部204は、制御ライン207を経由して、送受信部201、受信ディレイ制御部202、およびドプラシグナル処理部206を制御し、また、このコントロールインターフェイス部204は、制御ライン208を介して演算部205を制御し、さらに受信ディレイ制御部202は、コントロールインターフェイス部204の制御を受けて、制御ライン209を介してビームフォーマ部203を制御する。信号処理部200の各部の制御についての詳細は後述する。制御部100を構成するメモリ部102は、各種のプログラムや各種の制御データの格納領域であり、必要に応じてCPU部101やビームスキャン制御部103により参照される。
【0029】送受信部201には、超音波探触子21を備えた超音波プローブ20が接続されている。この超音波プローブに備えられる超音波探触子21には、例えばリニア走査型超音波探触子、コンベックス走査型超音波探触子、セクタ走査型超音波探触子、また特殊な超音波探触子としては、体腔内に挿入されるタイプの超音波探触子、さらには、これら各種の超音波探触子について、使用される超音波の周波数の相違による種別等、多種類の超音波探触子が存在する。超音波プローブを本体部10に装着するにはコネクタ(図示せず)が用いられるが、本体部10側には超音波プローブを接続するためのコネクタが取り付けられており、前述したように、多種類の超音波探触子それぞれを備えた多種類の超音波プローブのうち最大4本まで同時装着が可能である。超音波プローブを本体部10に装着すると、どの種類の超音波探触子を備えた超音波プローブが装着されたかをあらわす情報が本体部10で認識できるように構成されており、その情報は、制御ライン207、コントロールインターフェイス部204、およびCPUバス901を経由してCPU部101に伝えられる。一方、操作パネル701からは、この超音波診断装置を使用するにあたり、今回、本体部10側のコネクタに接続された超音波プローブのうちどの超音波プローブを使用するか指示が入力される。その指示は、CPUバス901を経由してビームスキャン制御部103に伝えられ、そのビームスキャン制御部103から、使用する超音波プローブに応じたデータが、CPUバス901、コントロールインターフェイス部204、制御ライン207を経由して送受信部201に伝達され、送受信部201は、上記のようにして指示された超音波プローブ20に対し、以下に説明するように高電圧パルスを送信してその超音波プローブに備えられた超音波探触子で超音波を送信し、その超音波探触子で受信された信号をその超音波プローブから受け取る。ここでは、図4に1つだけ示す超音波プローブ20が超音波送受信のために選択されたものとする。
【0030】図4に示す超音波プローブ20はいわゆるセクタ走査型の超音波探触子を備えた超音波プローブであり、その超音波探触子21には、前述したように、配列された複数の第1の超音波トランスデューサからなる超音波トランスデューサアレイ221、および第2の超音波トランスデューサ24が備えられており、超音波の送受信にあたっては、生体1の体表に、それら超音波トランスデューサアレイ221および第2の超音波トランスデューサ24が装備された側の面(接触面)があてがわれる。尚、生体の体腔内に挿入される形態の超音波探触子の場合、その体腔内壁が、ここで説明している体表に相当する。以下では、先ず、超音波トランスデューサアレイ221を用いた超音波の送受信に関する説明を行ない、その後第2の超音波トランスデューサ24を用いた超音波の送受信に関する説明を行なう。上記の接触面が生体1の体表にあてがわれた状態で、送受信部201から超音波トランスデューサアレイ221を構成する複数の超音波トランスデューサそれぞれに向けて超音波送信用の各高電圧パルスが印加される。複数の超音波トランスデューサそれぞれに印加される各高電圧パルスは、コントロールインターフェイス部204の制御により相対的な時間差が調整されており、それら相対的な時間差がどのように調整されるかに応じて、それら複数の超音波トランスデューサから、生体1の内部に延びる複数の走査線2のうちのいずれか一本の走査線に沿って、生体内部の所定深さ位置に焦点が結ばれた超音波パルスビームが送信される。
【0031】この送信される超音波パルスビームの属性、すなわち、その超音波パルスビームの方向、焦点の深さ位置、中心周波数等は、ビームスキャン制御部103からCPUバス901を経由してコントロールインターフェイス部204に伝えられた制御データにより定まる。この超音波パルスビームは生体1の内部を進む間にその1本の走査線上の各点で反射して超音波探触子21に戻り、その反射超音波が超音波トランスデューサアレイ221を構成する複数の超音波トランスデューサで受信される。この受信により得られた複数の受信信号は、送受信部201に入力されて送受信部201に備えられた複数のプリアンプ(図示せず)でそれぞれ増幅された後ビームフォーマ部203に入力される。このビームフォーマ部203には、多数の中間タップを備えたアナログ遅延線(後述する)が備えられており、受信ディレイ制御部202の制御により、送受信部201から送られてきた複数の受信信号がアナログ遅延線のどの中間タップから入力されるかが切り換えられ、これにより、それら複数の受信信号が相対的に遅延されるとともに互いに電流加算される。ここで、それら複数の受信信号に関する相対的な遅延パターンを制御することにより、生体1の内部に延びる所定の走査線に沿う方向の反射超音波が強調され、かつ生体1の内部の所定深さ位置に焦点が結ばれた、いわゆる受信超音波ビームが形成される。ここで、超音波は、生体1内部を、信号処理の速度と比べてゆっくりと進むため、1本の走査線に沿う反射超音波を受信している途中で生体内のより深い位置に焦点を順次移動させる、いわゆるダイナミックフォーカスを実現することもでき、この場合、超音波パルスビーム1回の送信に対応する1回の受信の間であっても、その途中で時間的に順次に、受信ディレイ制御部202により、各超音波トランスデューサで得られた各受信信号が入力される、アナログ遅延線の各タップが切り換えられる。
【0032】この受信超音波ビームの属性、すなわち受信超音波ビームの方向、焦点位置等についても、ビームスキャン制御部103からCPUバス901を経由してコントロールインターフェイス部204に伝えられ、さらに制御ライン207を経由して受信ディレイ制御部202に伝えられてきた制御データにより定められ、受信ディレイ制御部202はそのようにして伝えられてきた制御データに基づいて、ビームフォーマ部203を制御する。尚、上記説明では、超音波トランスデューサには高電圧パルスを与え、超音波パルスビームを送信する旨説明したが、この場合、前述したように超音波は信号処理速度と比べるとゆっくりと生体内を進むため、超音波トランスデューサに高電圧パルスを印加した時点を起点とし、超音波トランスデューサで反射超音波を受信する時点までの時間により、その時点で得られた信号が生体内のどの深さ位置で反射した反射超音波に対応する信号であるかを知ることができる。すなわち、送信される超音波がパルス状のものであることにより、生体の深さ方向に分解能を持つことになる。通常は、このように、超音波トランスデューサには高電圧パルスが印加されるが、特殊な場合には、生体内の深さ方向に分解能を持たないことを許容し、超音波トランスデューサに連続的に繰り返す高電圧パルス列信号を印加して生体内に連続波としての超音波ビームを送信することもある。ただし、以下においても、ドプラ処理部400を構成するパルス/連続波ドプラ解析部401の説明の際に連続波に言及する場合を除き、パルス状の超音波ビームを送信するものとして説明する。
【0033】送受信部201およびビームフォーマ部203は、上記のようにして、生体1内部の複数の走査線2のそれぞれに沿って順次に超音波パルスビームの送信と受信とを繰り返し、これにより生成される、各走査線に沿う受信超音波ビームをあらわす信号が、演算部205に順次入力される。この演算部205では、入力された受信信号が対数圧縮され、検波され、さらに、操作パネル701を操作することにより指定された、生体1内部のどの深さ領域までの画像を表示するかという指定(つまり生体内部の浅い領域のみの画像を表示すればよいのか、あるいはどの程度深い領域までの画像を表示する必要があるかという指定)に応じたフィルタリング処理等が施され、さらにA/D変換によりディジタルの走査線データに変換される。この演算部205で得られた走査線データは、エコーバス902を経由して、ディジタルスキャンコンバータ部300を構成する白黒用スキャンコンバータ301に入力される。この白黒用スキャンコンバータ301では、表示用の各画素に対応したデータを生成するための補間演算処理が施されて表示用の画像データに変換され、その表示用の画像データがビデオバス903を経由して表示制御部500に入力される。この表示制御部500は、複数の走査線2で規定される生体断層面内の超音波反射強度分布によるBモード像を観察用テレビモニタ707に表示する。その際、必要に応じて、操作パネル701から入力された患者名や撮影年月日、撮影条件等も、そのBモード像に重畳されて表示される。このBモード像として、生体1内部が動いている様子をあらわす動画像を表示することもでき、あるいは、ある時点における静止画像を表示することもでき、さらには、生体信号アンプ部600からの同期信号に基づいて、人体の心臓の動きに同期した、その心臓の動きの、ある位相における画像を表示することもできる。また表示制御部500には、前述したように画像メモリ5001が備えられており、生成された画像データをその画像メモリ5001に蓄積しておき、画像取得のための操作が終了した後で、その画像メモリ5001から画像データを読み出して、観察用テレビモニタに画像を表示することもできる。
【0034】生体信号アンプ部600には、生体1の心電波形を得るためのECG電極ユニット709、心音をピックアップする心音マイク710、人体の脈をとらえる脈波用トランスデューサ711が接続されており、生体信号アンプ部600では、これらのうちのいずれか1つもしくは複数のセンサに基づいて同期信号が生成され、表示制御部500に送られる。また表示制御部500には、観察用テレビモニタ707のほか、プリンタ705、VTR(ビデオテープレコーダ)706が接続されており、表示制御部500は、オペレータからの指示に応じて、観察用テレビモニタ707に表示された画像をプリンタ705ないしはVTR706に出力する。再度、信号処理部200の説明から始める。生体内部に延びるある一本の走査線上の超音波反射情報の時間変化を知ろうとするときは、オペレータからの指示に応じて、その関心のある一本の走査線に沿って超音波が繰り返し送受信され、その1本の走査線に沿う生体の受信超音波ビームをあらわすデータがエコーバス902を経由してスクロール用スキャンコンバータ303に入力される。このスクロール用スキャンコンバータ303は、縦方向にその1本の走査線に沿う生体の深さ方向の超音波反射強度分布、横軸が時間軸からなり時間軸方向にスクロールする画像(Mモード像)をあらわす画像データが生成され、ビデオバス903を経由して表示制御部500に入力され、観察用テレビモニタ707に、その画像データに基づく画像が表示される。
【0035】尚、表示制御部500は、白黒用スキャンコンバータ301から送られてきたBモード像とスクロール用スキャンコンバータ303から送られてきたMモード像とを横に並べる機能や、Bモード像に、後述するカラーモード像を重畳する機能も有しており、観察用テレビモニタ707には、オペレータからの指示に応じて、複数の画像が並べて表示され、あるいは複数の画像が重畳して表示される。もう一度、信号処理部200の説明に戻る。信号処理部200を構成するドプラシグナル処理部206は、基本的には、生体1内部の空間的な血流分布や、ある一点、ないしある1本の走査線上の血流速度を求めるための構成要素であり、このドプラシグナル処理部206では、ビームフォーマ部203で生成された受信超音波ビームをあらわす受信信号に、いわゆる直交検波が施され、さらにA/D変換によりディジタルデータに変換される。ドプラシグナル処理部206から出力された直交検波後のデータは、ドプラ処理部400に入力される。ドプラ処理部400には、パルス/連続波ドプラ解析部401とカラードプラ解析部402とが備えられている。ここでは、ドプラシグナル処理部206から出力されたデータは、カラードプラ解析部402に入力されるものとする。カラードプラ解析部402では、各走査線それぞれに沿って例えば8回ずつ超音波送受信を行なったときのデータに基づく自己相関演算により、オペレータにより指定された、Bモード画像上の関心領域(ROI)内の血流の空間的な分布をあらわすデータが求められる。ROI内の血流分布をあらわすデータは、エコーバス902を経由してカラー用スキャンコンバータ302に入力される。このカラー用スキャンコンバータ302では、そのROI内の血流分布をあらわすデータが表示に適した画像データに変換され、その画像データは、ビデオバス903を経由して表示制御部500に入力される。表示制御部500では、白黒用スキャンコンバータ301から送られてきたBモード像上のROIに、例えば超音波プローブ20に近づく方向の血流を赤、遠ざかる方向の血流を青、それらの輝度で血流速度をあらわしたカラーモード像を重畳して、観察用テレビモニタ707に表示する。これにより、そのROI内の血流分布の概要を把握することができる。
【0036】ここで、オペレータにより、そのROI内のある1点もしくはある1本の走査線上の血流を詳細に観察する旨の要求が入力されると、今度は送受信部201により、その関心のある一点を通る一本の走査線、もしくはその関心のある1本の走査線に沿う方向に多数回超音波の送受信が繰り返され、それにより得られた信号に基づいてドプラシグナル処理部206で生成されたデータが、ドプラ処理部400を構成するパルス/連続波ドプラ解析部401に入力される。生体内のある一点の血流に関心があるときは、生体内にはパルス状の超音波ビームが送信され、ある1本の走査線上の広い範囲内で空間的に平均化された血流情報となることを許容しより速い流速範囲の血流情報を得たいときは、生体内には連続波としての超音波ビームが送信される。パルス/連続波ドプラ解析部401では、ある1点もしくはある1本の走査線について多数回超音波送受信を行なうことにより得られたデータに基づくFFT(Fast Fourier Transform)演算により、その一点の血流情報、あるいはその一本の走査線上で空間的に平均化された血流情報が得られる。このパルス/連続波ドプラ解析部401で得られた血流情報をあらわすデータは、エコーバス902を経由して、スクロール用スキャンコンバータ303に入力され、スクロール用スキャンコンバータ303では、縦軸が血流速度、横軸が時間軸からなり時間軸方向にスクロールする画像をあらわす画像データが生成される。この画像データは、ビデオバス903を経由して表示制御部500に入力され、観察用テレビモニタ707上に、例えば白黒用スキャンコンバータ301から送られてきたBモード像と並べられて表示される。
【0037】図5は、複数の超音波トランスデューサに印加される高電圧パルスの遅延パターンを示した概念図である。配列された複数の超音波トランスデューサ22のうち、配列の両端(A),(B)に位置する超音波トランスデューサに高電圧パルスPv を印加するとともに、配列の中央(O)よりに位置する超音波トランスデューサに、時間的に遅れた高電圧パルスPv を印加する。このように、遅延パターンを持った高電圧パルスを複数の超音波トランスデューサ22に印加することにより、生体内の所定の方向に延び、かつある深さ位置に焦点が形成された送信超音波パルスビームが形成される。
【0038】図6は、ビームフォーマ部における、受信超音波ビームの形成の仕方を示す原理説明図である。ここでは、説明の簡単のため、複数のタップを備えた遅延線1001a,…,1001m,…,1001nと、制御信号に応じて受信信号の遅延線への入力ルートを切り換える選択スイッチ1002a,…,1002m,…,1002nとのペアが各超音波トランスデューサ22aに対応して備えられているものとする。各選択スイッチ1002a,…,1002m,…,1002nそれぞれには対応する超音波トランスデューサで得られた各1つの受信信号が入力され、各選択スイッチ1002a,…,1002m,…,1002nでは、その入力された受信信号が、遅延線の複数のタップのうちの、制御信号に応じたタップから遅延線に入力される。各遅延線は2001a,…,2001m,…,2001nは受信信号が入力されたタップに応じた遅延時間だけその入力された受信信号を遅延して加算器1003に入力する。加算器1003は、その加算器1003に同時に入力された受信信号どうしを加算して、受信超音波ビームをあらわす受信信号を出力する。なお、この図6では、解りやすさのため、受信信号の数と同数の、遅延線1001a,…,1001m,…,1001nと選択スイッチ1002a,…,1002m,…,1002nとのペアを備えるとともに、各遅延線1001a,…,1001m,…,1001nから出力された受信信号を互いに加算する加算器103を備えた構成について説明したが、実際には、多数のタップを備えた一本の遅延線に、複数の超音波トランスデューサで得られた複数の受信信号が、入力されるタップがそれぞれ制御されながら入力され、それら複数の受信信号がそれぞれ入力された各タップに応じた時間だけ遅延されると共にその遅延線内で互いに電流的に加算され、その一本の遅延線から、制御された遅延パターンに従って遅延を受けかつ互いに加算された受信信号が、直接に出力される。
【0039】図7は、遅延パターンと、走査線の方向と、焦点位置との関係を示した説明図である。A−B間に複数の超音波トランスデューサが配列されているものとし、A−B間の中点をOとする。このとき、各超音波トランスデューサに印加される高電圧パルスに、図7(A)に示すようにB側に位置する超音波トランスデューサに対し長めの遅延時間を与えて各超音波トランスデューサに印加すると、中点OからB側に傾いた方向に延びる走査線に沿う送信超音波ビームが形成され、図7(B)に示すように、左右対称の遅延パターンを与えると中点Oから超音波トランスデューサの配列方向に対し垂直に延びる走査線に沿う送信超音波ビームが形成され、図7(C)に示すように、A側に位置する超音波トランスデューサに対し長めの遅延時間を与えた高電圧パルスを印加すると、A側に傾いた送信超音波ビームが得られる。また、同一の走査線に沿う送信超音波ビームであっても、高電圧パルスの遅延パターンに応じて焦点位置を定めることができる。具体的には、図7(A)〜(C)に破線で示すように焦点を中心としてA−B間を結ぶ線分に接する円弧を描いて考える。各超音波トランスデューサから送信された超音波パルスがその円弧上に同時に到達すると、それらの超音波パルスは焦点に集まるように進む。したがって、例えば図7(B)のように焦点を形成する場合は、A点およびB点に位置する超音波トランスデューサに同時に高電圧パルスが印加され、その高電圧パルスの印加によってA点およびB点に位置する超音波トランスデューサから発せられた超音波パルスがその円弧上に達したタイミングで、O点に位置する超音波トランスデューサに高電圧パルスが印加され、そのO点に位置する超音波トランスデューサから超音波パルスが送信される。こうすることにより、図7(B)に示す走査線に沿うとともに図7(B)に示す焦点位置で最も細いビーム径を有する送信超音波パルスビームが形成される。
【0040】ここで、A−B間に配列された、超音波送信に用いられている複数の超音波トランスデューサは、例えば超音波探触子21(図4参照)に装備された超音波トランスデューサアレイ221を構成する複数の超音波トランスデューサの一部であって、送信超音波パルスビームの形成に用いる複数の超音波トランスデューサからなる送信開口を、配列された超音波トランスデューサの配列方向に移動することにより、走査線を、その配列方向に平行移動させることができる。このようにして、超音波探触子21に配列された超音波トランスデューサアレイ221上の任意の点を始点として生体内の任意の方向に延びる走査線に沿うとともに、その走査線上の任意の点に焦点を持つ送信超音波ビームを得ることができる。受信超音波ビームの形成についても上記の送信超音波ビームの場合と同様である。すなわち、生体内で反射し各超音波トランスデューサに戻ってきた超音波を各超音波トランスデューサで受信することにより得られた各受信信号を、図7(A)に示すように、B側の超音波トランスデューサで得られた受信信号に対し長めの遅延時間を与えた上で互いに加算すると、中点Oを始点としB側に傾いた走査線に沿う受信超音波ビームが形成され、図7(B)に示すように左右対称の遅延時間を与えた上で互いに加算すると、中点Oを始点として超音波トランスデューサの配列方向に対し垂直に延びる走査線に沿う受信超音波ビームが形成され、図7(C)に示すようにA側の超音波トランスデューサで得られた受信信号に対し長めの遅延時間を与えた上で互いに加算すると、点Oを始点としA側に傾いた走査線に沿う受信超音波ビームが得られる。また、同一の走査線に沿う受信超音波ビームであっても、遅延パターンに応じて焦点位置を定めることができる。具体的には、焦点で反射してそれぞれ各点A,O,Bに向かう超音波は、焦点と各点A,O,Bとを結ぶ各線分と、円弧との交点に同時に到達することになり、焦点で反射した超音波を各超音波トランスデューサで受信する時刻に差異が生じることになる。そこで焦点で反射した超音波が先に到達した超音波トランスデューサで得られた受信信号を、反射超音波が後から到達する超音波トランスデューサにその反射超音波が到達する迄の間遅延させた上で互いに加算すると、焦点を通る走査線に沿う方向に延び、かつその焦点で最も細く絞られた受信超音波ビームが形成されることになる。
【0041】ここで、送信の場合と同様、A−B間に配列された、反射超音波の受信に用いられている複数の超音波トランスデューサは、例えば超音波探触子21(図4参照)に装備された超音波トランスデューサアレイ221を構成する複数の超音波トランスデューサの一部であって、反射超音波の受信に用いる複数の超音波トランスデューサからなる受信開口を、配列された超音波トランスデューサの配列方向に移動することにより、走査線を、その配列方向に平行移動させることができる。このようにして、送信および受信の双方について、超音波探触子21に装備された超音波トランスデューサアレイ221上の任意の点を始点として生体内の任意の方向に延びる走査線に沿うとともにその走査線上の任意の点に焦点を持つ超音波ビームを得ることができる。以上で、図4に示す超音波探触子21に装備された、超音波トランスデューサアレイ221と第2の超音波トランスデューサ24とのうち、超音波トランスデューサアレイ221を用いた超音波送受信に関する説明を終了し、次に第2の超音波トランスデューサ24を用いた超音波送受信に関し説明する。図4に示す超音波探触子21に装備された第2の超音波トランスデューサ24および周辺の部分は、前述した図1に示す構造を有するものであり、その第2の超音波トランスデューサ24にも送受信部201から高電圧パルスが印加される。すると、その第2の超音波トランスデューサ24から超音波パルスが送波され、生体との接触面27で反射して戻ってきた超音波がその第2の超音波トランスデューサ24で受信される。この第2の超音波トランスデューサ24での超音波の受信により得られた受信信号(ここではこれを第2の受信信号と称する)は、前述した、超音波トランスデューサアレイ221での超音波受信により得られた受信信号(ここでこれを第1の受信信号と称する)と同様に、送受信部201に備えられたプリアンプ(図示せず)で増幅された後、ビームフォーマ203、およびドプラシグナル処理部206を経由してパルス/連続波ドプラ解析部401に入力される。ただし、ここでは第2の受信信号は図1に示す唯一の第2の超音波トランスデューサ24で得られた受信信号であるため、ビームフォーマ部203では遅延加算は行なわれず、そのビームフォーマ部203は単に通過するだけである。
【0042】図8は、パルス/連続波ドプラ解析部401の内部構成を示すブロック図である。ここには、本発明にいうドプラ偏移検出手段の一例に相当するフーリエ解析部4011、および本発明にいう移動算出手段の一例に相当する移動算出部4012が備えられている。フーリエ解析部4011は、前述した第1の受信信号の場合と共通に使用される、FFT(Fast Fourier Transform)を行なうブロックである。第1の受信信号の場合、パルス/連続波ドプラ解析部401でFFT演算により血流情報が抽出され、エコーバス902を経由してディジタルスキャンコンバータ部へ送られる旨説明したが、このFFT演算による血流情報の抽出は、図8に示すブロック図中のフーリエ解析部4011が担当している。第2の受信信号の場合は、このフーリエ解析部4011では、第2の受信信号の中心周波数f(前述の(2)式参照)が求められる。尚、フーリエ解析部4011では、第1の受信信号の場合も第2の受信信号の場合もFFT演算を行なう点に関しては共通であるが、第1の受信信号に基づく血流情報の抽出の場合と第2の受信信号の中心周波数の検出の場合とでは、それぞれの処理に適合するように、FFT演算に先立つフィルタリング処理等の前処理等に関し相違がある。詳細は省略する。
【0043】フーリエ解析部4011で得られた第2の受信信号の中心周波数fをあらわすデータは、移動算出部4012に入力される。移動算出部4012では、フーリエ解析部4011で得られた第2の受信信号の中心周波数fと、既知の量である、第2の超音波トランスデューサ24(図1参照)から送波された超音波の中心周波数f0 、生体との接触面27に対する角度θ、および超音波伝播媒体26の超音波伝播速度cを用いて、前述した(2)式に基づく演算を行ない、超音波探触子21の、生体1に対する相対的な移動速度vが求められ、さらに(3)式に基づく演算により、超音波探触子21の、生体1に対する相対的な移動量(移動距離)Lが求められる。この移動演算部4012で求められた移動速度vおよび移動量Lをあらわすデータは、CPUバス901を経由してCPU部101に伝えられる。図9は、カラードプラ解析部402の内部構成を示すブロック図である。この図9に示す構成要素中の移動算出部4022は、図8に示す移動算出部4021に代えて備えることができる。すなわち、図8に示す移動算出部4021と図9に示す移動算出部4022は、いずれか一方が備えられていればよい。この図9には、本発明にいうドプラ偏移検出手段の一例に相当する自己相関演算部4021と、本発明にいう移動算出手段の一例に相当する移動算出部4022が備えられている。自己相関演算部4021は、前述した第1の受信信号の場合と共通に使用される、自己相関演算を行なうブロックである。第1の受信信号の場合、このカラードプラ解析部402では、各走査線それぞれに沿って例えば8回ずつ超音波送受信を行なったときのデータに基づく自己相関演算によりROI内の血流分布をあらわすデータを求め、エコーバス902を経由したディジタルスキャンコンバータ部300に入力される旨説明したが、その自己相関演算による血流情報の抽出は、図9に示すブロック図中の自己相関演算部4021が担当している。自己相関は、基本的には、2つの波形(図3(A)に示す波形と図3(B)に示す波形)相対的なずれ量を求める演算であり、2つの波形の間の位相ψを求めることに相当する。
【0044】第2の受信信号の場合は、この自己相関演算部4021で、第2の受信信号の位相ψが求められる。尚、図8に示すフーリエ解析部4011の場合と同様、この自己相関演算部4021においても、第1の受信信号に基づく血流情報の抽出の場合と第2の受信信号に基づく位相検出の場合とでは、それぞれの処理に適合するように、自己相関演算に先立つフィルタリング処理等の前処理等が異なっている。詳細は省略する。自己相関演算部4021で得られた第2の受信信号の位相ψをあらわすデータは、移動算出部4022に入力される。この移動算出部4022では、位相ψに基づいて、超音波探触子21の、生体1に対する相対的な移動速度vが求められ、さらに、その超音波探触子21の、生体1に対する移動量(移動距離)Lが求められる。求められた移動速度vおよび移動量Lをあらわすデータは、CPUバス901を経由してCPU部101に伝えられる。
【0045】図10は、本発明の超音波プローブに備えられた超音波探触子の一実施形態を示す図である。図28,図29を参照して説明した従来技術との相違点について説明する。図10に示す超音波探触子201には、図1に示す構造の、第2の超音波トランスデューサ24および超音波伝播媒体26が備えられている。この超音波トランスデューサ24は信号線25により超音波診断装置本体部と接続されている。この超音波探触子21は、図28,図29に示す従来技術の説明において述べたように、人体1の肛門1aから直腸1b内に挿入されて前立腺の診断に用いられる超音波探触子である。図28,図29による従来技術の場合、超音波探触子21を直腸1b内に制御された挿入量だけ挿入するためにモータが備えられていたが、この図10に示す超音波探触子20の場合、第2の超音波トランスデューサ24に超音波探触子21の場合、第2の超音波トランスデューサ24による超音波送受信により得られた第2の受信信号に基づいて超音波探触子21の移動量を知ることができるため、モータ等挿入量を制御する手段は不要である。s図11は、図4に示すメモリ部102に格納されたテーブルの一例を示す図、図12は、一連の断層像を示す図である。
【0046】図11に示すテーブルは、図10に示す超音波探触子21を用い、そのテーブルに記録された挿入量(移動量)ごとに断層像を生成することを指示するテーブルである。このテーブルは、オペレータによる操作パネル701の操作により、あらかじめ作成される。図10に示す超音波探触子21の、直腸1b内への挿入開始のタイミングで移動量(挿入量)をゼロにセットすると、その後、第2の超音波トランスデューサ24による超音波送受信により挿入量(移動量)がモニタされ、その挿入量(移動量)がそのテーブルに記録された挿入量(移動量)に達するごとにトランスデューサアレイ221による超音波送受信が行なわれ、断層像が生成される。この制御は、ビームスキャン制御部103がメモリ部102に格納された、図11に示すテーブルを参照し、さらにCPU部101に伝えられてきた挿入量(移動量)をあらわすデータを参照して、各部を制御することにより行なわれる。このようにして順次に生成された断層像は、観察用テレビモニタ707の表示画面7071上に、生成された各時点で表示されるとともに、表示制御部500内の画像メモリ5001に一旦格納され、断層像取得のための操作(超音波探触子21を直腸内に挿入する操作等)が終了した後でも、観察用テレビモニタ707の表示画面7071上にそれらの断層像が表示される。このように、テーブルに記録された挿入量(移動量)ごとに断層像を生成するように構成すると、オペレータがいちいち断層像生成の指示を入力する手間が省かれ、操作性が向上する。
【0047】図13は、超音波探触子の別の実施形態を示す図、図14は、図13に示す円A内の拡大図である。図13に示す超音波探触子21には、その超音波探触子を周回する方向に配列された複数の第1の超音波トランスデューサ22,22,……からなる第1の超音波トランスデューサアレイ221に加え、その超音波探触子21の長手方向に配列された複数の第2の超音波トランスデューサ24,24,……からなる第2の超音波トランスデューサアレイ241が備えられている。この超音波探触子21はその外周にゴム製のカバー29が配備されており、そのカバー29の内部には、水などの超音波伝播媒体26が充填され、第2の超音波トランスデューサアレイ24と生体1との接触面27(ここでは直腸1bの内壁1cとの接触面)との間に間隙が空けられている。尚、この図13に示す実施形態の場合、第1の超音波トランスデューサアレイ221も接触面27との間に間隙が空けられているが、この間隙は、第1の超音波トランスデューサアレイ221との関係では本質的なものではない。
【0048】第2の超音波トランスデューサアレイ24では、図7を参照して説明した手法により、図14に示すように、接触面27に対し斜めに(角度θで)超音波が送受信され、超音波診断装置本体部側では、この斜めの超音波送受信により得られた、接触面27で反射された超音波による第2の受信信号に基づいて、超音波探触子21の、生体1に対する相対的な移動速度および移動量が求められる。尚、この場合、第2の超音波トランスデューサアレイ241を構成する複数の第2の超音波トランスデューサ24,24,……を用いるため、複数の第2の受信信号が得られ、したがってこれら複数の第2の受信信号は、図4に示すビームフォーマ部203で遅延加算が行なわれ、受信角度θの1つの第2の受信信号に統合される。また、図13に示す第2の超音波トランスデューサアレイ241は、超音波探触子21の長手方向に広がる断層像(縦断層像と称する)を取得するための超音波送受信も担っており、この超音波探触子21を用いると、第1の超音波トランスデューサアレイ221を用いた超音波送受信により得られる断層像(横断層像と称する)のほか、第2の超音波トランスデューサアレイ241を用いた超音波送受信により縦断層像を得ることができる。
【0049】図15は、図13に示す超音波探触子を備えた超音波プローブに適合した、超音波診断装置本体部の送受信部の構成を示すブロック図である。図15に示す送受信部201における送信信号生成部2011は、制御ライン207を経由して入力される制御データに応じて、図13に示す第1の超音波トランスデューサアレイ221を構成する複数の第1の超音波トランスデューサ22,22,……、あるいは第2の超音波トランスデューサアレイ241を構成する複数の第2の超音波トランスデューサ24,24,……を駆動して、所定の走査線方向に送信される超音波ビームであって、さらに所定の深さ位置に焦点をもった超音波ビームを生成するための、相互の位相が制御された信号Pv (図5参照)を生成する。これらの信号は、超音波トランスデューサ駆動部2012により高電圧パルスに変換され、切替回路2013を経由して超音波探触子側に伝送される。この切替回路2013は、図13に示す第1の超音波トランスデューサアレイ221と第2の超音波トランスデューサアレイ241のいずれを送受信部201に接続するかを切り替える回路であり、制御ライン207(図4参照)を経由して入力される制御データに応じてその切替えが行なわれる。超音波探触子側で得られた受信信号は、切替回路2013を経由し、さらにプリアンプ2014を経由してビームフォーマ部203に伝達される。尚、ここでは信号線やプリアンプ2014等は、図示の繁雑さを避けるため信号1つ分のみ示されているが、それらは、同時に駆動され、あるいは超音波を同時に受信する超音波トランスデューサの数と同じ数だけ備えられている。
【0050】図16は、図13に示す超音波探触子を用いて生成される断層像をあらわした図であり、図16(A)は縦断層像、図16(B)は横断層像である。図15に示す切替回路2013は、通常は、図13に示す超音波探触子21に装備された第2の超音波トランスデューサ241側に切り替えられており、超音波診断装置本体部では、その第2の超音波トランスデューサアレイ241を用いた超音波送受信により、超音波探触子21の挿入量(移動量)のモニタと、図16(A)に示す縦断層像の取得が行なわれ、その縦断層像が観察用テレビモニタ707の表示画面7071上に表示される。この切替回路2013は、超音波探触子21の挿入量(移動量)が、例えば5mmごと等、ある一定間隔の挿入量(移動量)に達する毎に第1の超音波トランスデューサアレイ221側に切り替わり、第1の超音波トランスデューサアレイ22を用いた超音波送受信により得られた受信信号に基づいて、図16(B)に示すような横断層像が生成される。この生成された横断層像は、その都度、リアルタイムでの画像確認に供するために短時間だけ、縦断層像に代わり観察用テレビモニタ707の表示画面7071に表示されるとともに、後の表示のために画像メモリ5001(図4参照)に格納される。
【0051】画像メモリ5001に格納された横断層像は、断層像取得の操作が終了した後画像の詳細観察のために読み出され、表示画面7071上に再度表示される。尚、ここでは、縦断層像と横断層像を自動的に切り替える旨説明したが、オペレータによる操作パネル701の操作により、自在に切り替えたり、いずれかに固定しておくこともできる。図17は、超音波探触子のさらに異なる実施形態を示す斜視図、図18は、図17のX−Xに沿う模式断面図である。この図17に示す超音波探触子21は、超音波ゼリー等が体表に塗られその超音波ゼリー等の媒体を介して腹壁等の体表に接触させて、人体内部の断層像を得るためのものである。この超音波探触子21には、断層像を得るための超音波トランスデューサアレイ221の両側に、図1を参照して説明した構造、すなわち、図18にその一方を示すように、体表への接触面に対し間隙を置いて斜めに配置された第2の超音波トランスデューサ24と、超音波伝播媒体26と、その超音波伝播媒体26を閉じ込めておくためのカバー28からなる構造を有している。この場合、図8あるいは図9に示す移動算出部4012,4022では、2つの第2の超音波トランスデューサ24それぞれの超音波送受信により得られた2つの第2の受信信号それぞれに基づく各移動速度および各移動量が求められる。これら2つの第2の超音波トランスデューサ24における超音波の送受信は、同時であって、2つの第2の受信信号それぞれを処理する回路を独立に持っていてもよく、あるいは、図15を参照して説明したように切替回路を備えて、交互に行なってもよい。
【0052】図19は、図17に示す超音波探触子を体表にあてがって断層像を取得したときの、その断層像に対応づけてメモリ部102に格納されるデータを示す図、図20は、図17に示す超音波探触子の体表上での軌跡を示す模式図である。ここでは、図17に超音波探触子を用いて、一定時間間隔ごとに断層像が生成され、画像メモリ5001(図4参照)に格納される。また各断層像の生成とともに、各断層像生成の時点における、2つの第2の超音波トランスデューサ24それぞれにより得られた第2の受信信号それぞれに基づく移動量が求められ、画像データを特定する画像No.と対応づけられて、メモリ部102に、図19に示すようなテーブルが作成される。このテーブルに格納されたデータは、図20に示すように、各断層像生成タイミングにおける、体表上での図17に示す超音波探触子の位置および姿勢をあらわしている。このように、図19に示すテーブルを作成することにより、超音波探触子の軌跡を知ることができる。このテーブルのデータは、後述するようにして、例えば超音波探触子の位置をあらわすマークとして表示画面上に表示される。
【0053】図21は、図4に示す表示制御部500の内部構成図である。ここには、表示画面上に、断層像とともに線画を表示する構成が示されている。ディジタルスキャンコンバータ部300(図4参照)から送られてきた画像データは、画像メモリ5001に一旦格納された後読み出されて画像合成部5003に入力される。また、線画描画部5002では、CPUバス901を経由して送られてくる線画描画用データに基づいて後述するような線画が描画され、画像合成部5003に送られる。画像合成部5003では、画像メモリ5001からの画像データと線画描画部5002からの線画が1つの画像に合成され、観察用テレビモニタ707にはその合成された画像が表示される。以下、各種の線画の例について説明する。尚、断層像自体については図12および図16に示されており、ここでは断層像自体についての図示は省略する。
【0054】図22,図23は、図13に示す超音波探触子を用いて、その超音波探触子を直腸内に挿入しながら断層像を得るときの、その断層像と対応づけられた線画を示す図であり、図22は、直腸内の深さと断層像の位置との対応を示す図、図23は、直腸内の深さと、その直腸内に挿入された超音波探触子の位置との対応を示す図である。図22の横軸の数字は直腸内の深さ位置を示しており、図22の深さ位置‘6’において縦に延びる直線は、現在取得されており、あるいは現在表示されている断層像の断層面位置を示している。このような表示を行なうと、オペレータは、現在の断層面位置を把握することができる。図22の横軸‘0’の位置は、例えばオペレータが超音波探触子を直腸内に挿入開始したときにオペレータが指定してもよく、あるいは第2の超音波トランスデューサ24での直腸内壁からの反射超音波を検出できた初期のタイミングを捉えて横軸‘0’の位置を自動的に決めてもよい。
【0055】図23も、横軸は図22と同様、直腸内の深さ位置を示しており、超音波探触子をあらわす図形が現在の直腸内への挿入量に対応した位置に示されている。このような、超音波探触子の図形を表示すると、現在の挿入量が直感的に把握され、オペレータが誤って挿入し過ぎる等の事故の防止に役立つ。
【0056】図24は、図17に示す超音波探触子を用いて、その超音波探触子を体表にあてがいながら断層像を得たときの、人体に対する超音波探触子の位置を示す図、図25、図26は、表示画面上に表示される線画の各例を示す図である。図25、図26の縦軸は、人体の腹部の縦方向の位置を示している。ここで、図25(A)の横に延びる直線は、超音波探触子21が図24(A)の位置にあるときの断層像の位置を示しており、図25(B)の矩形は、超音波探触子21が図24(B)のように人体1に対し斜めにあてがわれているときの断層像が含まれる領域を表わしている。また、図26(A),(B)の矩形は、超音波探触子21がそれぞれ図24(A),(B)のようにあてがわれているときの、超音波探触子の位置を示している。このように、断層像の位置や超音波探触子の位置を表示することによって、断層像の取得にあたっては、表示画面を見ているだけで断層像や超音波探触子の位置を確認することができるため、人体に対する超音波探触子の位置を直接に確認する頻度を減らすことができ、断層像取得の後で断層像を表示する場合には、その表示された断層像が人体のどの位置の断層像であるかを容易に把握することができる。
【0057】図27は、超音波探触子を移動させながら断層像を得ている際に表示される線画のもう1つの例を示す図である。横軸は超音波探触子の移動速度を表わしており、ハッチングが付された棒グラフは現在の超音波探触子の移動速度、60mm/secの位置に描かれた縦棒は、60mm/secが移動速度の上限であることを意味している。生体内を超音波が伝播する速度c≒1500mm/secの物理的制約から、1つの断層像を生成するには、様々な条件で変動するものの、およそ1/30sec程度の時間を必要とする。そのため、超音波探触子の移動速度が速すぎると、5mm間隔あるいは2mm間隔といった所定の間隔で断層像を得ようとしても、その間隔では断層像を得ることが不可能となってしまう。そこで、操作パネル701から必要な断層像の生成間隔が入力された場合に、この図27に示すように、超音波探触子の移動速度の上限を計算して断層像とともに表示する。さらに、ここでは、超音波探触子の移動速度(図27のハッチングの部分)も表示し、移動速度の上限を超えないようにオペレータに対して注意を促す。このような表示を行ないながら、超音波探触子の移動量を求め、所定の移動間隔で断層像を得る。このような表示を行なうことで超音波探触子を速く動かしすぎることによる断層像の取得の失敗を未然に防止することができる。ちなみに、1つの断層像を得るに1/30secを必要とし、2mm間隔の断層像を得るためには、図27に示すように60mm/secが超音波探触子の移動速度の上限となる。尚、図27では、超音波探触子の移動速度とその移動速度の上限との双方が表示されているが、移動速度のみを表示してもよく、その移動速度の上限のみを表示してもよい。
【0058】図28は、超音波探触子を移動させて、三次元的な断層像を得ている様子を表わす模式図である。この図28には、解り易さのため、画像メモリ5001を立体的に表現し、断層像の各画素のデータを格納する、画像メモリ5001の各メモリ領域5001aを、その三次元断層像の各画素に対応する生体内の各分割領域にそのまま重畳させた状態の概念図が示されている。ここでは、超音波探触子21がx−x’方向に移動しながら断層像が生成され、画像メモリ5001に格納される。ここで、超音波探触子21が一定距離移動するごとに断層像を生成する場合は、その生成された断層像に対応する断面に並ぶメモリ領域群にその断層像のデータを格納していくことで三次元断層像が生成される。一方、超音波探触子を移動させながら、一定時間間隔で断層像を生成する場合は、生成した断層像のデータを、その断層像を得たときの超音波探触子の移動量に応じた断面に格納する。超音波探触子を速く動かしすぎるとメモリ領域には順番には格納されないことになるが、超音波探触子21をx−x’方向に何回か往復させるうちに全てのメモリ領域を埋めることができる。このようにして生成された三次元断層像は、その三次元断層像を構成する複数の二次元断層像を順次に表示し、あるいはそれら複数の二次元断層像のうちの特定の二次元断層像を表示するために用いてもよいが、その三次元断層像のまま、すなわち任意の方向から見た斜視図として、表示してもよい。
【0059】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、超音波探触子の、生体に対する相対移動を正確に検出することができる。
【出願人】 【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
【出願日】 平成10年6月17日(1998.6.17)
【代理人】 【識別番号】100094330
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 正紀
【公開番号】 特開2000−5178(P2000−5178A)
【公開日】 平成12年1月11日(2000.1.11)
【出願番号】 特願平10−185757