| 【発明の名称】 |
バイオセンサ―、イオン浸透サンプリングシステムおよびその使用方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】リン キム
【氏名】ノーマン エイ. パリス
【氏名】ラッセル オー. ポッツ
【氏名】ジャネット エイ. タマダ
【氏名】マイケル ジェイ. ティアニー
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| 【要約】 |
【課題】生物学的系に存在する少量の標的分析物の濃度を非侵襲的に正確かつ低コストで測定するデバイスおよび測定方法を提供する。
【解決手段】本発明は、生物学的系に存在する分析物の濃度をモニターするためのサンプリングシステムに関し、このシステムは、(a)イオン伝導性媒体、および上記分析物と反応して過酸化水素を生成し得る酵素を含有するリザーバ;(b)上記生物学的系から上記リザーバ中に上記分析物を抽出して、上記リザーバ中に、上記酵素と反応して過酸化水素を生成する、ミリモル未満の濃度の上記分析物を得るためのサンプリング手段、ここで、上記サンプリング手段は、上記リザーバと動作可能に接触する;および(c)上記リザーバと動作可能に接触するセンサー素子を備える。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 生物学的系に存在する分析物の濃度をモニターするためのサンプリングシステムであって、(a)イオン伝導性媒体、および該分析物と反応して過酸化水素を生成し得る酵素を含有するリザーバ; (b)該生物学的系から該リザーバ中に該分析物を抽出して、該リザーバ中に、該酵素と反応して過酸化水素を生成する、ミリモル未満の濃度の該分析物を得るためのサンプリング手段、ここで、該サンプリング手段は、該リザーバと動作可能に接触する;および(c)該リザーバと動作可能に接触するセンサー素子、ここで、該センサー素子は、該リザーバにおいて生成された過酸化水素と電気化学的に反応して検出可能な信号を提供し、そして該センサー素子は、約0.1cm2〜約3cm2の範囲である幾何学的表面積、0.6Vにて緩衝溶液中で測定した場合に、約2nA〜約60nA以下の範囲であるバックグランド電流、および0.6Vにて緩衝溶液中で測定した場合に、1μMの過酸化水素あたり約6nA〜約180nAの範囲である感度を有する電極を含む;を備える、サンプリングシステム。 【請求項2】 前記センサー素子が白金群金属含有電極を備える、請求項1に記載のサンプリングシステム。 【請求項3】 前記白金群金属が白金である、請求項2に記載のサンプリングシステム。 【請求項4】 前記電極が、ポリマーマトリクス中に分散された約3重量%〜約7重量%の白金を含む、請求項3に記載のサンプリングシステム。 【請求項5】 前記サンプリング手段が、逆イオン浸透を使用して前記生物学的系から前記分析物を抽出する、請求項1に記載のサンプリングシステム。 【請求項6】 前記センサー素子が、検出電極、対電極、および参照電極を備える、請求項1に記載のサンプリングシステム。 【請求項7】 前記サンプリング手段が、約0.3cm2〜約1.0cm2の範囲である幾何学的表面積を有し、そして1cm2の電極表面積あたり約0.01mA〜約1.0mAの範囲で、反復されるサイクルの電流が通過し得るイオン浸透電極を備える、請求項1に記載のサンプリングシステム。 【請求項8】 前記イオン浸透電極が、対電極としても作用し得る2モード電極であり、そして前記センサー素子が検出電極および参照電極を備える、請求項7に記載のサンプリングシステム。 【請求項9】 前記サンプリング手段が、ソノフォレシスを使用して前記生物学的系から前記分析物を抽出する、請求項1に記載のサンプリングシステム。 【請求項10】 前記分析物がグルコースであり、そして前記酵素がグルコースオキシダーゼである、請求項1に記載のサンプリングシステム。 【請求項11】 前記イオン伝導性媒体がヒドロゲルを含む、請求項1に記載のサンプリングシステム。 【請求項12】 前記電極が約1cm2の幾何学的面積、約20nAのバックグランド電流、および1μMの過酸化水素あたり約60nAの感度を有する、請求項1に記載のサンプリングシステム。 【請求項13】 前記電極が、剛性基板または可橈性基板にプリントされている、請求項1に記載のサンプリングシステム。 【請求項14】 前記電極が、実施例2に記載の方法によって測定される場合、約25%以下の範囲の受動的な過酸化水素涸渇を示す、請求項1に記載のサンプリングシステム。 【請求項15】 生物学的系に存在する分析物の濃度をモニターするためのサンプリングシステムであって、(a)第1および第2のリザーバ、ここで、各リザーバはイオン伝導性媒体を含有し、そして少なくとも一方のリザーバは、さらに、該分析物と反応して過酸化水素を生成し得る酵素を含有する; (b)該生物学的系から該リザーバへ該分析物を抽出して、該リザーバ中に、該酵素と反応して過酸化水素を生成する、ミリモル未満の濃度の該分析物を得るための逆イオン浸透サンプリング手段、ここで、該サンプリング手段は、該リザーバと動作可能に接触し、そして該第1および第2のリザーバと接触する第1および第2のイオン浸透電極を備え、ここで、各イオン浸透電極は、約0.3cm2〜約1.0cm2の範囲である幾何学的面積を有し、そして1cm2の電極面積あたり約0.01mA〜約1.0mAの範囲で、反復されるサイクルの電流が通過し得る;および(c)該第1および第2のリザーバと動作可能に接触する第1および第2のセンサー素子、ここで、該センサー素子は、該リザーバにおいて生成された過酸化水素と電気化学的に反応して検出可能な信号を提供する;を備える、サンプリングシステム。 【請求項16】 前記イオン浸透電極が、24時間の期間に、少なくとも48のアノード/カソードサイクルを提供する、請求項15に記載のサンプリングシステム。 【請求項17】 前記イオン浸透電極が、ポリマー結合剤中に分散された銀/塩化銀(Ag/AgCl)を含む、請求項15に記載のサンプリングシステム。 【請求項18】 前記イオン浸透電極が、それぞれ、約0.85cm2の幾何学的面積を有し、そして約0.35mA/cm2の電流密度にてアノード方向およびカソード方向の両方に約270mCで再現可能な総電荷通過を提供する、請求項17に記載のサンプリングシステム。 【請求項19】 前記イオン伝導性媒体がヒドロゲルを含む、請求項15に記載のサンプリングシステム。 【請求項20】 前記イオン浸透電極が、低温スクリーン印刷を使用して、剛性基板または可橈性基板にプリントされている、請求項15に記載のサンプリングシステム。 【請求項21】 各センサー素子が、検出電極、対電極、および参照電極を備える、請求項15に記載のサンプリングシステム。 【請求項22】 各イオン浸透電極が、対電極としても作用し得る2モード電極であり、そして各センサー素子が検出電極および参照電極を備える、請求項15に記載のサンプリングシステム。 【請求項23】 前記分析物がグルコースであり、前記酵素がグルコースオキシダーゼである、請求項15に記載のサンプリングシステム。 【請求項24】 生物学的系に存在する分析物の濃度をモニターする方法であって、(a)該生物学的系からリザーバ中に該分析物を抽出して、該リザーバにミリモル未満の濃度の該分析物を得る工程; (b)工程(a)において抽出された該分析物を、該分析物と反応して過酸化水素を生成する酵素と接触させる工程; (c)工程(b)において生成された過酸化水素を、該過酸化水素と電気化学的に反応して検出可能な信号を生じるセンサー素子を用いて検出する工程、ここで、該センサー素子は、約0.1cm2〜約3cm2の範囲である幾何学的表面積、0.6Vにて緩衝溶液中で測定した場合に、約2nA〜約60nA以下の範囲であるバックグランド電流、および0.6Vにて緩衝溶液中で測定した場合に、1μMの過酸化水素あたり約6nA〜約180nAの範囲である感度を有する電極を備える; (d)工程(c)において生じた信号を測定する工程; (e)工程(d)において得られた測定値を、該生物学的系における該分析物の濃度と相関付ける工程;および(f)工程(a)〜(d)を継続的に、そして工程(e)を周期的に実施して、該生物学的系における該分析物の濃度をモニターする工程、を包含する、方法。 【請求項25】 少なくとも約12時間にわたって、工程(a)〜(d)が継続的に実施され、そして工程(e)が周期的に実施される、請求項24に記載の方法。 【請求項26】 前記生物学的系が哺乳動物被験体である、請求項24に記載の方法。 【請求項27】 前記分析物が経皮的に抽出される、請求項26に記載の方法。 【請求項28】 前記分析物が逆イオン浸透を使用して抽出される、請求項27に記載の方法。 【請求項29】 前記分析物が、第1および第2のイオン浸透電極を備える逆イオン浸透サンプリングシステムを使用して抽出され、該第1および第2のイオン浸透電極は、それぞれ、約0.3cm2〜約1.0cm2の範囲である幾何学的面積を有し、そして1cm2の電極面積あたり約0.01mA〜約1.0mAの範囲で、反復されるサイクルの電流が通過し得る、請求項28に記載の方法。 【請求項30】 少なくとも24時間にわたって、工程(a)〜(d)が継続的に実施され、そして工程(e)が周期的に実施される、請求項24に記載の方法。 【請求項31】 前記分析物がソノフォレシスを使用して抽出される、請求項27に記載の方法。 【請求項32】 前記分析物が、約0.1ミリモル〜約200ミリモルの範囲である濃度で、前記生物学的系に存在する、請求項24に記載の方法。 【請求項33】 前記分析物がグルコースであり、そして前記酵素がグルコースオキシダーゼである、請求項24に記載の方法。 【請求項34】 前記センサー素子電極が、実施例2に記載の方法によって測定される場合、約25%以下の範囲の減少した受動的な過酸化水素涸渇を示す、請求項24に記載の方法。 【請求項35】 前記センサー素子が、検出電極、対電極、および参照電極を備える、請求項29に記載の方法。 【請求項36】 前記イオン浸透電極が、対電極としても作用し得る2モード電極であり、そして前記センサー素子が検出電極および参照電極を備える、請求項29に記載の方法。 【請求項37】 生物学的系に存在する分析物の濃度をモニターする方法であって、(a)サンプリングシステムを該生物学的系と接触させる工程であって、該サンプリングシステムが、(i)第1および第2のリザーバ、ここで、各リザーバはイオン伝導性媒体を含有し、そして少なくとも該第1のリザーバは、さらに、該分析物と反応して過酸化水素を生成し得る酵素を含有する; (ii)該生物学的系から該第1のリザーバへ該分析物を抽出して、該リザーバ中に、該酵素と反応して過酸化水素を生成する、ミリモル未満の濃度の該分析物を得るための逆イオン浸透サンプリング手段、ここで、該サンプリング手段は、該第1および第2のリザーバと動作可能に接触する第1および第2のイオン浸透電極を備え、そして各イオン浸透電極は、約0.3cm2〜約1.0cm2の範囲である幾何学的面積を有し、そして1cm2の電極面積あたり約0.01mA〜約1.0mAの範囲で、反復されるサイクルの電流が通過し得る;および(iii)該第1および第2のリザーバと動作可能に接触する第1および第2のセンサー素子、ここで、各センサー素子は、該リザーバにおいて生成された過酸化水素と電気化学的に反応して検出可能な信号を提供し得る:を備える、工程; (b)該第1のリザーバ中でミリモル未満の濃度の該分析物を得るために、該生物学的系から該第1のリザーバ中に該分析物を抽出する工程、ここで、該抽出する工程は、該逆イオン浸透システムを使用して実施される; (c)工程(b)において抽出された該分析物を、該分析物と反応して過酸化水素を生成する酵素と接触させる工程; (d)工程(c)において生成された過酸化水素を、該過酸化水素と電気化学的に反応して検出可能な信号を生じる該第1のセンサー素子を用いて検出する工程; (e)工程(d)において生じた信号を測定する工程; (f)工程(e)において得られた測定値を、該生物学的系における該分析物の濃度と相関付ける工程;および(g)工程(b)〜(e)を継続的に、そして工程(f)を周期的に実施して、該生物学的系における該分析物の濃度をモニターする工程;を包含する、方法。 【請求項38】 少なくとも約12時間にわたって、工程(b)〜(e)が継続的に実施され、そして工程(f)が周期的に実施される、請求項37に記載の方法。 【請求項39】 少なくとも約24時間にわたって、工程(b)〜(e)が継続的に実施され、そして工程(f)が周期的に実施される、請求項37に記載の方法。 【請求項40】 前記イオン浸透電極が、24時間の期間に、少なくとも48のアノード/カソードサイクルを提供する、請求項39に記載の方法。 【請求項41】 前記生物学的系が哺乳動物被験体である、請求項37に記載の方法。 【請求項42】 前記分析物が、約0.1ミリモル〜約200ミリモルの範囲である濃度で、前記生物学的系に存在する、請求項37に記載の方法。 【請求項43】 前記分析物がグルコースであり、そして前記酵素がグルコースオキシダーゼである、請求項37に記載の方法。 【請求項44】 前記センサー素子が、検出電極、対電極、および参照電極を備える、請求項37に記載の方法。 【請求項45】 前記各イオン浸透電極が、対電極としても作用し得る2モード電極であり、そして前記センサー素子が検出電極および参照電極を備える、請求項37に記載の方法。 【請求項46】 前記生物学的系が皮膚を含み、そして該生物学的系からリザーバへ分析物を抽出する前記工程が、微小針で該皮膚を刺穿することによって皮膚の透過性を亢進させることをさらに含む、請求項24に記載の方法。 【請求項47】 前記生物学的系が皮膚を含み、そして該生物学的系からリザーバへ分析物を抽出する前記工程が、微小針で該皮膚を刺穿することによって皮膚の透過性を亢進させることをさらに含む、請求項37に記載の方法。 【請求項48】 生物学的系に存在する分析物の濃度をモニターする方法であって、(a)サンプリングシステムを該生物学的系と接触させる工程であって、該サンプリングシステムが、(i)第1および第2のリザーバ、ここで、各リザーバは、イオン伝導性媒体、および該分析物と反応して過酸化水素を生成し得る酵素を含有する; (ii)該生物学的系から該両リザーバへ該分析物を抽出して、該両リザーバ中に、該酵素と反応して過酸化水素を生成する、ミリモル未満の濃度の該分析物を得るための逆イオン浸透サンプリング手段、ここで、該サンプリング手段は、該第1および第2のリザーバと動作可能に接触する第1および第2のイオン浸透電極を備え、そして各イオン浸透電極は、約0.3cm2〜約1.0cm2の範囲である幾何学的面積を有し、そして1cm2の電極面積あたり約0.01mA〜約1.0mAの範囲で、反復されるサイクルの電流が通過し得る;および(iii)該第1および第2のリザーバと動作可能に接触する第1および第2のセンサー素子、ここで、各センサー素子は、該リザーバにおいて生成された過酸化水素と電気化学的に反応して検出可能な信号を提供し得る;を備える、工程; (b)該第1のリザーバ中にミリモル未満の濃度の該分析物を得るために、該生物学的系から該第1のリザーバ中に該分析物を抽出する工程、ここで、該抽出する工程は、該逆イオン浸透システムを使用して実施される; (c)工程(b)において抽出された該分析物を、該分析物と反応して過酸化水素を生成する酵素と接触させる工程; (d)工程(c)において生成された過酸化水素を、該過酸化水素と電気化学的に反応して検出可能な信号を生じる該第1のセンサー素子を用いて検出する工程; (e)工程(d)において生じた信号を測定する工程; (f)工程(e)において得られた測定値を、該生物学的系における該分析物の濃度と相関付ける工程; (g)該第2のリザーバ中にミリモル未満の濃度の該分析物を得るために、該生物学的系から該第2のリザーバ中に該分析物を抽出する工程、ここで、該抽出する工程は、該逆イオン浸透システムを使用して実施される; (h)工程(g)において抽出された該分析物を、該分析物と反応して過酸化水素を生成する酵素と接触させる工程; (i)工程(h)において生成された過酸化水素を、該過酸化水素と電気化学的に反応して検出可能な信号を生じる該第2のセンサー素子を用いて検出する工程; (j)工程(i)において生じた信号を測定する工程; (k)工程(j)において得られた測定値を、該生物学的系における該分析物の濃度と相関付ける工程;および(l)(i)工程(b)〜(e)を、(ii)工程(g)〜(j)と交互に継続的に実施し、そして工程(f)および(k)を周期的に実施して、該生物学的系における該分析物の濃度をモニターする工程;を包含する、方法。 【請求項49】 前記生物学的系が哺乳動物被験体である、請求項48に記載の方法。 【請求項50】 前記分析物が、約0.1ミリモル〜約200ミリモルの範囲である濃度で、前記生物学的系に存在する、請求項48に記載の方法。 【請求項51】 前記分析物がグルコースであり、そして前記酵素がグルコースオキシダーゼである、請求項48に記載の方法。 【請求項52】 前記各センサー素子が、検出電極、対電極、および参照電極を備える、請求項48に記載の方法。 【請求項53】 前記各イオン浸透電極が、対電極としても作用し得る2モード電極であり、そして前記各センサー素子が検出電極および参照電極を備える、請求項48に記載の方法。 【請求項54】 前記生物学的系が皮膚を含み、そして該生物学的系からリザーバへ分析物を抽出する前記工程が、微小針で皮膚を刺穿することによって皮膚の透過性を亢進させることをさらに含む、請求項48に記載の方法。 【請求項55】 前記生物学系が皮膚表面を有し、そして該生物学的系からリザーバへ分析物を抽出する前記工程が、微小針で刺穿することによって皮膚の透過性を亢進させることをさらに包含する、請求項1に記載のサンプリングシステム。 【請求項56】 前記生物学的系が皮膚表面を有し、そして該生物学的系からリザーバへ分析物を抽出する前記工程が、微小針で刺穿することによって皮膚の透過性を亢進させることをさらに包含する、請求項15に記載のサンプリングシステム。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、一般に、水性生物学的系に存在する標的化学分析物の濃度をモニターする際の使用のためのバイオセンサーに関する。より詳細には、本発明は、経皮的に抽出されたサンプルにおける1つ以上の分析物の濃度を測定するためのバイオセンサーに関する。本発明はまた、長期間の操作にわたって、生物学的系から1つ以上の分析物の連続的な経皮的抽出のための電極システムに関する。本発明の1つの重要な適用は、非侵襲性または最小に侵襲性であるサンプリング技術を用いた血液グルコースをモニターするためのサンプリングシステムを含む。 【0002】 【従来の技術】多数の診断試験が、血液または他の体液に存在する物質の量または存在を評価するために、ヒトにおいて日常的に実施されている。これらの診断試験は、代表的には、シリンジを用いるかまたは皮膚を穿刺するかのいずれかにより被験体から取り出された生理学的液体に依存する。1つの特定の診断試験は、糖尿病患者による血液グルコースレベルの自己モニタリングを含む。 【0003】糖尿病は、主要な健康問題であり、そして症状のより重篤な型である、I型(インスリン依存型)糖尿病の処置には、1日あたり1回以上のインスリン注射を必要とする。インスリンは、血液におけるグルコースすなわち糖の利用を制御し、そして矯正されないままの場合、ケトン症へと導かれ得る高血糖を予防する。他方、不適切なインスリン療法の投与は、低血糖症の発症をもたらし得、これは、昏睡または死の原因となり得る。糖尿病における高血糖症は、いくつかの糖尿病の長期的影響(例えば、心疾患、動脈硬化、失明、心不全、高血圧、および腎疾患)と相関付けられている。 【0004】I型糖尿病の合併症を回避するか、または少なくとも最低限にする手段として血液グルコースの頻繁なモニタリングの評価は十分に確立している。II型(非インスリン依存性)糖尿病を患った患者もまた、食事療法および運動により患者の状態の制御における血液グルコースモニタリングからの利益を受ける。 【0005】従来の血液グルコースモニタリング法は、各試験毎に一般に血液サンプルの採取(例えば、指穿刺による)および電気化学的法または比色法によりグルコース濃度を読みとる装置を使用してグルコースレベルの決定を必要とする。I型糖尿病は、厳密な糖血症の制御を維持するために、毎日何回か指穿刺血液グルコース測定を得なければならない。しかし、厳密な制御が長期の糖尿病合併症を劇的に低減する強い証拠にも拘わらず、この血液サンプリングに伴う疼痛および不便さは、低血糖の恐れとともに、患者がなかなか遵守しないということをもたらし得る。実際、これらの考慮は、しばしば、糖尿病患者によるモニタリングプロセスの中止を導き得る。 【0006】最近、採血なしに血液分析物の濃度を決定する種々の方法が開発されている。例えば、米国特許第5,267,152号、Yangらは、近赤外線照射乱反射レーザー分光法を用いて血液グルコース濃度を測定する非侵襲性の技術を記載する。同様の近赤外線分光法デバイスはまた、米国特許第5,086,229号(Rosenthalら)、および米国特許第4,975,581号(Robinsonら)にも記載されている。 【0007】米国特許第5,139,023号(Stanley)は、間質液と受容媒体との間に樹立された濃度勾配に従うグルコースの経皮的移動を容易にするための透過性促進剤(例えば、胆汁酸塩)に依存する経皮血液グルコースモニタリング装置を記載する。米国特許第5,036,861号(Sembrowich)は、皮膚パッチを通じて汗を回収する受容的グルコースモニターを記載する。ここで、コリン作動性薬剤を使用して、エクリン汗腺からの汗分泌を刺激させる。同様の汗回収デバイスは、米国特許第5,076,273号(Schoendorfer)および米国特許第5,140,985号(Schroeder)に記載されている。 【0008】さらに、米国特許第5,279,543号(Glikfeld)は、皮膚表面上の容器へ皮膚を通して物質を非侵襲的にサンプリングするためのイオン浸透(iontophoresis)の使用を記載する。Glikfeldは、このサンプリング手順が、血液グルコースをモニターするためにグルコース特異的バイオセンサーまたはグルコース特異的電極と組み合わされ得ることを示唆する。最後に、国際公開番号WO 96/00110(Tamada)は、標的物質の経皮モニタリングのためのイオン浸透装置を記載する。ここでは、イオン浸透電極を使用して、分析物を回収リザーバへと移動させ、そしてバイオセンサーを使用してリザーバ内に存在する標的分析物を検出する。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】しかし、当該分野において、連続的および/または自動化モニタリングが特に所望される、野外または家庭での試験適用において、低コストで正確な分析物濃度の決定を提供するサンプリングデバイスおよびサンプリング法に対する必要性がのこったままである。 【0010】従って、本発明は、経皮的に抽出された分析物の濃度を検出および/または測定するために有効なサンプリングシステムを提供する。本発明は、水性生物学的系において存在する標的分析物の濃度を決定するための高感度のバイオセンサーと組み合わせされた自動化サンプリングシステムを提供することにより、先行技術の非侵襲的モニタリング技術およびデバイスに勝る改良を呈示する。 【0011】 【課題を解決するための手段】本発明は、生物学的系に存在する分析物の濃度をモニターするためのサンプリングシステムに関する。このシステムは、(a)イオン伝導性媒体、および上記分析物と反応して過酸化水素を生成し得る酵素を含有するリザーバ;(b)上記生物学的系から上記リザーバ中に上記分析物を抽出して、上記リザーバ中に、上記酵素と反応して過酸化水素を生成する、ミリモル未満の濃度の上記分析物を得るためのサンプリング手段、ここで、上記サンプリング手段は、上記リザーバと動作可能に接触する;および(c)上記リザーバと動作可能に接触するセンサー素子を備え、ここで、上記センサー素子は、上記リザーバにおいて生成された過酸化水素と電気化学的に反応して検出可能な信号を提供し、そして上記センサー素子は、約0.1cm2〜約3cm2の範囲である幾何学的表面積、0.6Vにて緩衝溶液中で測定した場合に、約2nA〜約60nA以下の範囲であるバックグランド電流、および0.6Vにて緩衝溶液中で測定した場合に、1μMの過酸化水素あたり約6nA〜約180nAの範囲である感度を有する電極を含む;を備える。 【0012】好適には、上記センサー素子は白金群金属含有電極を備え得る。好適には、上記白金群金属は白金である。好適には、上記電極は、ポリマーマトリクス中に分散された約3重量%〜約7重量%の白金を含み得る。 【0013】好適には、上記サンプリング手段は、逆イオン浸透を使用して上記生物学的系から上記分析物を抽出し得る。 【0014】好適には、上記センサー素子は、検出電極、対電極、および参照電極を備え得る。 【0015】好適には、上記サンプリング手段は、約0.3cm2〜約1.0cm2の範囲である幾何学的表面積を有し、そして1cm2の電極表面積あたり約0.01mA〜約1.0mAの範囲で、反復されるサイクルの電流が通過し得るイオン浸透電極を備え得る。 【0016】好適には、上記イオン浸透電極は、対電極としても作用し得る2モード電極であり得、そして上記センサー素子は検出電極および参照電極を備え得る。 【0017】好適には、上記サンプリング手段は、ソノフォレシスを使用して上記生物学的系から上記分析物を抽出し得る。 【0018】1つの実施形態では、上記分析物はグルコースであり、そして上記酵素はグルコースオキシダーゼであり得る。 【0019】好適には、上記イオン伝導性媒体はヒドロゲルを含み得る好適には、上記電極は約1cm2の幾何学的面積、約20nAのバックグランド電流、および1μMの過酸化水素あたり約60nAの感度を有し得る。 【0020】好適には、上記電極は、剛性基板または可橈性基板にプリントされ得る。 【0021】好適には、上記電極は、実施例2に記載の方法によって測定される場合、約25%以下の範囲の受動的な過酸化水素涸渇を示し得る。 【0022】本発明は、1つの局面で、生物学的系に存在する分析物の濃度をモニターするためのサンプリングシステムに関し、このシステムは、(a)第1および第2のリザーバ、ここで、各リザーバはイオン伝導性媒体を含有し、そして少なくとも一方のリザーバは、さらに、上記分析物と反応して過酸化水素を生成し得る酵素を含有する;(b)上記生物学的系から上記リザーバへ上記分析物を抽出して、上記リザーバ中に、上記酵素と反応して過酸化水素を生成する、ミリモル未満の濃度の上記分析物を得るための逆イオン浸透サンプリング手段、ここで、上記サンプリング手段は、上記リザーバと動作可能に接触し、そして上記第1および第2のリザーバと接触する第1および第2のイオン浸透電極を備え、ここで、各イオン浸透電極は、約0.3cm2〜約1.0cm2の範囲である幾何学的面積を有し、そして1cm2の電極面積あたり約0.01mA〜約1.0mAの範囲で、反復されるサイクルの電流が通過し得る;および(c)上記第1および第2のリザーバと動作可能に接触する第1および第2のセンサー素子、ここで、上記センサー素子は、上記リザーバにおいて生成された過酸化水素と電気化学的に反応して検出可能な信号を提供する;を備える。 【0023】好適には、上記イオン浸透電極は、24時間の期間に、少なくとも48のアノード/カソードサイクルを提供し得る。 【0024】好適には、上記イオン浸透電極は、ポリマー結合剤中に分散された銀/塩化銀(Ag/AgCl)を含み得る。 【0025】好適には、上記イオン浸透電極は、それぞれ、約0.85cm2の幾何学的面積を有し、そして約0.35mA/cm2の電流密度にてアノード方向およびカソード方向の両方に約270mCで再現可能な総電荷通過を提供し得る。 【0026】好適には、上記イオン伝導性媒体はヒドロゲルを含み得る。 【0027】好適には、上記イオン浸透電極は、低温スクリーン印刷を使用して、剛性基板または可橈性基板にプリントされ得る。 【0028】好適には、各センサー素子は、検出電極、対電極、および参照電極を備え得る。 【0029】好適には、各イオン浸透電極は、対電極としても作用し得る2モード電極であり得、そして各センサー素子が検出電極および参照電極を備え得る。 【0030】1つの実施形態では、上記分析物はグルコースであり得、上記酵素はグルコースオキシダーゼであり得る。 【0031】本発明は、1つの局面で、生物学的系に存在する分析物の濃度をモニターする方法に関し、この方法は、(a)上記生物学的系からリザーバ中に上記分析物を抽出して、上記リザーバにミリモル未満の濃度の上記分析物を得る工程;(b)工程(a)において抽出された上記分析物を、上記分析物と反応して過酸化水素を生成する酵素と接触させる工程;(c)工程(b)において生成された過酸化水素を、上記過酸化水素と電気化学的に反応して検出可能な信号を生じるセンサー素子を用いて検出する工程、ここで、上記センサー素子は、約0.1cm2〜約3cm2の範囲である幾何学的表面積、0.6Vにて緩衝溶液中で測定した場合に、約2nA〜約60nA以下の範囲であるバックグランド電流、および0.6Vにて緩衝溶液中で測定した場合に、1μMの過酸化水素あたり約6nA〜約180nAの範囲である感度を有する電極を備える;(d)工程(c)において生じた信号を測定する工程;(e)工程(d)において得られた測定値を、上記生物学的系における上記分析物の濃度と相関付ける工程;および(f)工程(a)〜(d)を継続的に、そして工程(e)を周期的に実施して、上記生物学的系における上記分析物の濃度をモニターする工程を包含する。 【0032】好適には、少なくとも約12時間にわたって、上記工程(a)〜(d)が継続的に実施され、そして上記工程(e)が周期的に実施され得る。 【0033】好適には、上記生物学的系は哺乳動物被験体であり得る。好適には、上記分析物は経皮的に抽出され得る。 【0034】好適には、上記分析物は逆イオン浸透を使用して抽出され得る。 【0035】好適には、上記分析物は、第1および第2のイオン浸透電極を備える逆イオン浸透サンプリングシステムを使用して抽出され、上記第1および第2のイオン浸透電極は、それぞれ、約0.3cm2〜約1.0cm2の範囲である幾何学的面積を有し、そして1cm2の電極面積あたり約0.01mA〜約1.0mAの範囲で、反復されるサイクルの電流が通過し得る。 【0036】好適には、少なくとも24時間にわたって、上記工程(a)〜(d)が継続的に実施され、そして上記工程(e)が周期的に実施され得る。 【0037】好適には、上記分析物はソノフォレシスを使用して抽出され得る。 【0038】1つの実施形態では、上記分析物は、約0.1ミリモル〜約200ミリモルの範囲である濃度で、上記生物学的系に存在し得る。 【0039】1つの実施形態では、上記分析物はグルコースであり得、そして上記酵素はグルコースオキシダーゼであり得る。 【0040】好適には、上記センサー素子電極は、実施例2に記載の方法によって測定される場合、約25%以下の範囲の減少した受動的な過酸化水素涸渇を示し得る。 【0041】好適には、上記センサー素子は、検出電極、対電極、および参照電極を備え得る。 【0042】好適には、上記イオン浸透電極は、対電極としても作用し得る2モード電極であり、そして上記センサー素子が検出電極および参照電極を備え得る。 【0043】1つの局面で、本発明は、生物学的系に存在する分析物の濃度をモニターする方法に関し、この方法は、(a)サンプリングシステムを上記生物学的系と接触させる工程であって、上記サンプリングシステムが、(i)第1および第2のリザーバ、ここで、各リザーバはイオン伝導性媒体を含有し、そして少なくとも上記第1のリザーバは、さらに、上記分析物と反応して過酸化水素を生成し得る酵素を含有する;(ii)上記生物学的系から上記第1のリザーバへ上記分析物を抽出して、上記リザーバ中に、上記酵素と反応して過酸化水素を生成する、ミリモル未満の濃度の上記分析物を得るための逆イオン浸透サンプリング手段、ここで、上記サンプリング手段は、上記第1および第2のリザーバと動作可能に接触する第1および第2のイオン浸透電極を備え、そして各イオン浸透電極は、約0.3cm2〜約1.0cm2の範囲である幾何学的面積を有し、そして1cm2の電極面積あたり約0.01mA〜約1.0mAの範囲で、反復されるサイクルの電流が通過し得る;および(iii)上記第1および第2のリザーバと動作可能に接触する第1および第2のセンサー素子、ここで、各センサー素子は、上記リザーバにおいて生成された過酸化水素と電気化学的に反応して検出可能な信号を提供し得る:を備える、工程;(b)上記第1のリザーバ中でミリモル未満の濃度の上記分析物を得るために、上記生物学的系から上記第1のリザーバ中に上記分析物を抽出する工程、ここで、上記抽出する工程は、上記逆イオン浸透システムを使用して実施される;(c)工程(b)において抽出された上記分析物を、上記分析物と反応して過酸化水素を生成する酵素と接触させる工程;(d)工程(c)において生成された過酸化水素を、上記過酸化水素と電気化学的に反応して検出可能な信号を生じる上記第1のセンサー素子を用いて検出する工程;(e)工程(d)において生じた信号を測定する工程;(f)工程(e)において得られた測定値を、上記生物学的系における上記分析物の濃度と相関付ける工程;および(g)工程(b)〜(e)を継続的に、そして工程(f)を周期的に実施して、上記生物学的系における上記分析物の濃度をモニターする工程を包含する。 【0044】好適には、少なくとも約12時間にわたって、上記工程(b)〜(e)が継続的に実施され得、そして上記工程(f)が周期的に実施され得る。 【0045】より好適には、少なくとも約24時間にわたって、上記工程(b)〜(e)が継続的に実施され、そして工程(f)が周期的に実施され得る。 【0046】好適には、上記イオン浸透電極は、24時間の期間に、少なくとも48のアノード/カソードサイクルを提供し得る。 【0047】1つの実施形態では、上記生物学的系は哺乳動物被験体であり得る。 【0048】1つの実施形態では、上記分析物は、約0.1ミリモル〜約200ミリモルの範囲である濃度で、上記生物学的系に存在し得る。 【0049】1つの実施形態では、上記分析物はグルコースであり得、そして上記酵素はグルコースオキシダーゼであり得る。 【0050】好適には、上記センサー素子は、検出電極、対電極、および参照電極を備え得る。 【0051】好適には、上記各イオン浸透電極は、対電極としても作用し得る2モード電極であり得、そして上記センサー素子は検出電極および参照電極を備え得る。 【0052】1つの実施形態では、上記生物学的系は皮膚を含み得、そして上記生物学的系からリザーバへ分析物を抽出する上記工程は、微小針で上記皮膚を刺穿することによって皮膚の透過性を亢進させることをさらに含み得る。 【0053】好適には、上記生物学的系は皮膚を含み得、そして上記生物学的系からリザーバへ分析物を抽出する上記工程が、微小針で上記皮膚を刺穿することによって皮膚の透過性を亢進させることをさらに含み得る。 【0054】本発明は、1つの局面で、生物学的系に存在する分析物の濃度をモニターする方法に関し、この方法は、(a)サンプリングシステムを上記生物学的系と接触させる工程であって、上記サンプリングシステムが、(i)第1および第2のリザーバ、ここで、各リザーバは、イオン伝導性媒体、および上記分析物と反応して過酸化水素を生成し得る酵素を含有する;(ii)上記生物学的系から上記両リザーバへ上記分析物を抽出して、上記両リザーバ中に、上記酵素と反応して過酸化水素を生成する、ミリモル未満の濃度の上記分析物を得るための逆イオン浸透サンプリング手段、ここで、上記サンプリング手段は、上記第1および第2のリザーバと動作可能に接触する第1および第2のイオン浸透電極を備え、そして各イオン浸透電極は、約0.3cm2〜約1.0cm2の範囲である幾何学的面積を有し、そして1cm2の電極面積あたり約0.01mA〜約1.0mAの範囲で、反復されるサイクルの電流が通過し得る;および(iii)上記第1および第2のリザーバと動作可能に接触する第1および第2のセンサー素子、ここで、各センサー素子は、上記リザーバにおいて生成された過酸化水素と電気化学的に反応して検出可能な信号を提供し得る;を備える、工程;(b)上記第1のリザーバ中にミリモル未満の濃度の上記分析物を得るために、上記生物学的系から上記第1のリザーバ中に上記分析物を抽出する工程、ここで、上記抽出する工程は、上記逆イオン浸透システムを使用して実施される;(c)工程(b)において抽出された上記分析物を、上記分析物と反応して過酸化水素を生成する酵素と接触させる工程;(d)工程(c)において生成された過酸化水素を、上記過酸化水素と電気化学的に反応して検出可能な信号を生じる上記第1のセンサー素子を用いて検出する工程;(e)工程(d)において生じた信号を測定する工程;(f)工程(e)において得られた測定値を、上記生物学的系における上記分析物の濃度と相関付ける工程;(g)上記第2のリザーバ中にミリモル未満の濃度の上記分析物を得るために、上記生物学的系から上記第2のリザーバ中に上記分析物を抽出する工程、ここで、上記抽出する工程は、上記逆イオン浸透システムを使用して実施される;(h)工程(g)において抽出された上記分析物を、上記分析物と反応して過酸化水素を生成する酵素と接触させる工程;(i)工程(h)において生成された過酸化水素を、上記過酸化水素と電気化学的に反応して検出可能な信号を生じる上記第2のセンサー素子を用いて検出する工程;(j)工程(i)において生じた信号を測定する工程;(k)工程(j)において得られた測定値を、上記生物学的系における上記分析物の濃度と相関付ける工程;および(l)(i)工程(b)〜(e)を、(ii)工程(g)〜(j)と交互に継続的に実施し、そして工程(f)および(k)を周期的に実施して、上記生物学的系における上記分析物の濃度をモニターする工程;を包含する。 【0055】1つの実施形態で、上記生物学的系は哺乳動物被験体であり得、上記分析物は、約0.1ミリモル〜約200ミリモルの範囲である濃度で上記生物学的系に存在し得る。 【0056】1つの実施形態において、上記分析物はグルコースであり得、そして上記酵素はグルコースオキシダーゼであり得る。 【0057】好適には、上記各センサー素子は、検出電極、対電極、および参照電極を備え得る。 【0058】好適には、上記各イオン浸透電極は、対電極としても作用し得る2モード電極であり得、そして上記各センサー素子は検出電極および参照電極を備え得る。 【0059】好適には、上記生物学的系は皮膚を含み得、そして上記生物学的系からリザーバへ分析物を抽出する上記工程は、微小針で皮膚を刺穿することによって皮膚の透過性を亢進させることをさらに含み得る。 【0060】好適には、上記生物学系は皮膚表面を有し得、そして上記生物学的系からリザーバへ分析物を抽出する上記工程は、微小針で刺穿することによって皮膚の透過性を亢進させることをさらに包含し得る。 【0061】好適には、上記生物学的系は皮膚表面を有し得、そして上記生物学的系からリザーバへ分析物を抽出する上記工程は、微小針で刺穿することによって皮膚の透過性を亢進させることをさらに包含し得る。 【0062】本発明のサンプリングシステムは、少量の標的分析物を経皮方法により抽出し、次いで、標的分析物の濃度を検出し、および/または定量する。サンプリングは、連続的な様式で実施され、生物学的系から抽出される標的分析物がミリモル濃度未満(sub-mM)の濃度で得られる場合でさえも定量の実施を可能にする。 【0063】従って、本発明により提供される利点は、何重にもわたる。例えば、サンプリングシステムの非侵襲的な特性は、患者の受諾の可能性を有意に増大させる。血液グルコースモニタリングの特定の状況において、より良好な血液グルコース制御は、毎日の頻繁な血液グルコース測定を行うこと、およびその情報を使用してインスリン投与の量および頻度を決定するにより達成され得る。本発明の非侵襲的サンプリングシステムの使用は、このような頻繁な測定が行われる可能性を増大させる。さらに、本発明のサンプリングシステムにより提供される自動化サンプリングは、特に長期にわたって(例えば、24時間以上)行われる場合、先行のデバイスを使用しても以前には検出可能ではなかった濃度のぶれをモニターするために使用され得る。再び、血液グルコースモニタリングの状況において、今や、1日あたり4〜7回のグルコース測定では多くの糖尿病患者における日中のグルコースレベル偏差を反映するのには不充分であり得ると考えられている。本発明のサンプリングシステムを用いて、例えば1時間に1回の頻度で血液グルコースを自動的に測定することにより、特に被験体が眠っている場合の以前には認識されなかったグルコースのぶれのモニタリングが可能になる。従って、本発明は、家庭、野外、および/または医療の環境において多大な臨床的利益になる情報へのアクセスを提供する。 【0064】従って、本発明の一般的な目的は、生物学的液体に存在する分析物の連続的な経皮抽出のための自動化システムを提供することである。1つの特定の実施形態において、経皮抽出は、被験体の皮膚を横切って分析物を抽出するための逆相イオン浸透または電気浸透を使用して実施する。この実施形態において、1つ以上の回収リザーバが被験体の皮膚と接触する。リザーバは、代表的には、伝導性媒体を含む。そしてリザーバ部位と被験体の皮膚の別の部位との間の電位または電流を提供するサンプリング手段と接触する。バイオセンサーはまた、1つ以上のリザーバと接触し、そしてリザーバ内に存在する標的分析物の濃度を検出しおよび/または定量する手段を提供する。 【0065】好ましい実施形態において、分析物のイオン浸透抽出のための自動化システムが提供され、ここでイオン浸透条件下で連続的に循環し得るイオン浸透電極を使用して約1〜24時間、またはそれを超える期間にわたって連続的に分析物を経皮的に抽出する。従って、ほとんどのイオン浸透適用とは異なり、本発明のイオン浸透電極は、所望されない副反応(特に、加水分解)に同時に加わることなく両方向に電流を通過させ得る。さらに、電極は、多量の電荷を通過させる能力を有さなければならず、この能力は電極が長期の操作のために再現性良く電流を通過させるために容易に可逆性である。 【0066】別の実施形態において、生物学的液体に存在する分析物の連続的経皮抽出のための自動システムが提供され、ここで、経皮抽出は、被験体の皮膚を横切って分析物を抽出するソノフォレシス(sonophoresis)を使用して実施する。この実施形態において、回収リザーバは、被験体の皮膚と接触する。リザーバは、伝導性媒体を含み、そして皮膚表面下の分析物の非侵襲性サンプリングが実施され得るために皮膚表面に接触する超音波適用のためのサンプリング手段と接触する。バイオセンサーはまた、リザーバと接触し、これにより、リザーバに抽出された標的分析物の濃度を検出し、および/または定量するための手段を提供する。 【0067】本発明のイオン浸透サンプリングシステムおよびソノフォレシスサンプリングシステムの各々において、回収リザーバは、液体または液体を含む媒体を含み、これは、イオン的に伝導性であり、そして各々のサンプリング手段と皮膚表面との間の電位もしくは電流、または超音波を効率的に伝送する。好ましい実施形態において、液体含有媒体は、イオン的に伝導性のヒドロゲルまたはイオン的に伝導性の媒体に浸した灯心材料である。 【0068】本明細書を読む際に当業者により理解されるように、本発明の自動サンプリングシステムを用いてサンプリングされ得る多数の分析物が存在する。本明細書中に記載される可逆的イオン浸透/電気浸透技術に依存するシステムにおいて、荷電された(例えば、負または正のイオン荷電を有する)物質は、最も高い濃度で抽出されるが、荷電されていない物質は、なお定量可能な濃度であるとはいえ、より低い濃度で抽出される。1つの特定の非荷電の本明細書中で目的の分析物はグルコースである。他の目的の分析物は、アミノ酸、疾患症状または状態の指標となる酵素基質または生成物、治療薬剤、濫用薬物、および電解質を含むが、これらに限定されない。 【0069】本発明のサンプリングシステムにより抽出される標的分析物を検出および/または定量するために使用されるバイオセンサーは、従来の電気化学的検出により測定される濃度(一般にmM範囲)よりは充分下の抽出される濃度(例えば、mM未満)を用いて信頼性良くかつ再現性良く実施することを必要とする。本明細書中において、mM未満とは、1mM未満である濃度をいう。1つの特定の実施形態において、バイオセンサーは、白金族金属(例えば、Pt、Pd、Ru、およびRh)を含む電極を含む。このバイオセンサー電極を使用して、目的の分析物と特異的に反応して過酸化水素を提供する酵素オキシダーゼにより生成される過酸化水素を検出する。自動サンプリングシステムを使用して、操作の長期にわたり連続的または周期的なサンプリングを提供するので、このバイオセンサー電極は、低いバックグラウンド電流を有さなければならず、そして少なくとも操作の約1〜24時間は安定でなければならない。このバイオセンサー電極は、さらに、過酸化水素シグナルに対して高い感度を有さなければならず、ここで好ましい感度(nA/μM):バックグラウンド電流(nA)比は、約3以上のオーダーである。最後に、このバイオセンサー電極は、白金族金属成分による低減された触媒過酸化物分解を示さなければならない。 【0070】従って、本発明の主要な目的は、生物学的系に存在する分析物の濃度をモニターするためのサンプリングシステムを提供することである。このサンプリングシステムは以下を備える:(a)イオン伝導性媒体、および分析物と反応して過酸化水素を生成し得る酵素を含有するリザーバ; (b)上記リザーバと動作可能に接触するサンプリング手段、ここで、このサンプリング手段は、生物学的系からリザーバ中に分析物を抽出して、リザーバ中に、上記酵素と反応して過酸化水素を生成する、ミリモル未満(sub−mM)の濃度の分析物を得るために使用される;および(c)上記リザーバと動作可能に接触するセンサー素子、ここで、このセンサー素子は、上記リザーバにおいて生成された過酸化水素と電気化学的に反応して検出可能な信号を提供する。このセンサー素子は、本発明のサンプリングシステムにおいて効果的であるように、適切な幾何学的表面積およびバックグランドノイズを備える電極を含む。 【0071】以下を備える、生物学的系に存在する分析物の濃度をモニターするためのサンプリングシステムを提供することもまた、本発明の主要な目的である:(a)イオン伝導性媒体、および分析物と反応して過酸化水素を生成し得る酵素を含有するリザーバ; (b)上記リザーバと動作可能に接触する逆イオン浸透サンプリング手段、ここで、この逆イオン浸透サンプリング手段は、生物学的系からリザーバ中に分析物を抽出して、リザーバ中に、上記酵素と反応して過酸化水素を生成する、ミリモル未満(sub−mM)の濃度の分析物を得るために使用される;および(c)上記リザーバと動作可能に接触するセンサー素子、ここで、このセンサー素子は、上記リザーバにおいて生成された過酸化水素と電気化学的に反応して検出可能な信号を提供する。逆イオン浸透サンプリング手段は、本発明のサンプリングシステムにおいて動作可能であるように、適切な幾何学的面積および通電能力を有する、第1および第2のイオン浸透電極を備える。 【0072】生物学的系に存在する分析物の濃度をモニターするための方法を提供することが、本発明のなおさらなる目的である。この方法は以下の工程を包含する:(a)生物学的系から収集リザーバ中に分析物を抽出して、リザーバにミリモル未満(sub−mM)の濃度の分析物を提供する工程; (b)工程(a)において抽出された分析物を、分析物と反応して過酸化水素を生成する酵素と接触させる工程; (c)工程(b)において生成された過酸化水素を、センサー素子を用いて検出する工程、ここで、このセンサー素子は、過酸化水素と電気化学的に反応して検出可能な信号を生じる; (d)工程(c)において生じた信号を測定する工程; (e)工程(d)において得られた測定値を、生物学的系における分析物の濃度と相関付ける工程;および(f)操作の延長された期間にわたって、工程(a)〜(d)を継続的または周期的に実施する工程。上記センサー素子は、本発明の方法において動作可能であるように、適切な幾何学的表面積およびバックグランドノイズを備える電極を備える。必要に応じて、この方法は、生物学的系から分析物を経皮的に抽出するために、逆イオン浸透システムを使用して実行され得る。ここで、イオン浸透電極は、本発明の方法において動作可能であるように、適切な幾何学的面積および通電能力を有する電極を有する。 【0073】上記実施形態のさらなる局面において、センサー素子はまた、参照電極および対電極を含み得る。さらに、センサー素子の対電極およびサンプリングシステムのイオン浸透電極は、単一の2モード電極として組み合わされ得る。ここで、その単一電極は、両方の機能のために同時には使用されない。すなわち、対機能およびイオン浸透機能は、異なる時間に別々に実施される。 【0074】本発明のさらなる目的、利点、および新規な特徴は、一部は、以下の説明に記載され、そして一部は、以下の説明を精査することにより当業者に明らかであるか、または本発明の実施により知得され得る。 【0075】 【発明の実施の形態】本発明を詳細に記載する前に、本発明が特定の組成物または生物学的系に限定されず、改変され得ることが理解されるべきである。本明細書中で使用される用語法は、特定の実施形態を記載する目的のためだけであり、そして限定の意図はないことが理解されるべきである。 【0076】本明細書および添付の請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、その内容が明確に他を示さない限り、複数の指示物を含むことに注意すべきである。従って、例えば、「結合剤(a binder)」に対する言及は、2またはそれ以上のこのような結合剤の混合物を含み、「分析物(an analyte)」への言及は、複数の分析物の混合物を含む、など。 【0077】他に定義しない限り、本明細書中で使用されるすべての技術的および科学的用語は、本発明に関連する技術分野の当業者によって通常理解されると同様な意味を有する。本明細書に記載されるものと同様なまたは等価な任意の方法および材料が、本発明の試験のための実施に使用され得るが、好ましい材料および方法は、本明細書に記載される。 【0078】本発明を説明および請求の範囲に記載するにおいて、以下の用語法が、下記に示す定義に従って使用される。 【0079】用語「分析物」および「標的分析物」は、本明細書中で、化学的、物理的、酵素的または光学的分析において検出および/または測定されるべき特定の物質または成分である、目的の任意の生理学的分析物を示すために使用される。検出可能な信号(例えば、化学的信号または電気化学的信号)は、このような分析物から、直接的または間接的のいずれかで得られ得る。さらに、用語「分析物」および「物質」は、本明細書中で互換可能に使用され、そして同じ意味を有することを意図され、従って任意の目的の物質を包含する。好ましい実施形態において、目的の生理学的分析物は、例えば、グルコース、または生理学的作用を有する化学物質(例えば、薬物または薬理学的因子)である。 【0080】「サンプリングデバイス」または「サンプリングシステム」とは、目的の分析物の濃度を決定する目的のために、生物学的系からサンプルを得るための任意のデバイスをいう。本明細書中で使用する場合、用語「サンプリング」は、一般的には膜(例えば、皮膚または粘膜)を横切る、生物学的系からの物質の侵襲性、最小限に侵襲性、または非侵襲性の抽出を意味する。膜は天然または人工的であり得、植物性または動物性であり得る(例えば、天然または人工の皮膚、血管組織、腸組織など)。代表的には、サンプリング手段は、「リザーバ」と動作可能に接触する。ここで、このサンプリング手段は、生物学的系からリザーバ中に分析物を抽出して、リザーバ中の分析物を得るために使用される。「生物学的系」は、生存している系および人工的に維持される系の両方を含む。最小限に侵襲性のサンプリング技術および非侵襲性のサンプリング技術の例には、イオン浸透、ソノフォレシス(sonophoresis)、吸引、エレクトロポレーション、サーマルポレーション(thermal poration)、受動拡散、微細(microfine)(小型;miniature)ランスまたはカニューレ、皮下移植または挿入、およびレーザデバイスが含まれる。ソノフォレシスは、皮膚の透過性を増大させるために超音波を使用する(例えば、Menonら、(1994)Skin Pharmacology 7:130-139を参照)。適切なソノフォレシスサンプリングシステムは、国際公開第WO 91/12772号(1991年9月5日公開)に記載されている。受動拡散サンプリングデバイスは、例えば、国際公開第WO 97/38126号(1997年10月16日公開)、第WO 97/42888号、第WO 97/42886号、第WO 97/42885号、および第WO 97/42882号(すべて1997年11月20日公開)、ならびに第WO 97/43962号(1997年11月27日公開)に記載されている。レーザデバイスは、患者の皮膚の上層を通って穴を焼き開けるために、小さなレーザビームを使用する(例えば、Jacquesら、(1978)J. Invest. Dermatology 88:88-93を参照)。侵襲性サンプリング技術の例には、伝統的な針およびシリンジまたは減圧サンプル管デバイスが含まれる。 【0081】「モニタリングシステム」とは、本明細書中で使用される場合、生物学的系に存在する生理学的分析物を継続的または連続的に測定するに有用なシステムをいう。このようなシステムは、代表的には、サンプリング手段、検出手段、ならびにサンプリング手段および検出手段と動作可能に連絡したマイクロプロセッサ手段を備える。 【0082】用語「人工的」とは、本明細書中で使用される場合、インビボまたはインビトロで増殖または培養され、そして生物の組織として機能するが、以前から存在する供給源または宿主に現実に由来もせず、これらから現実に摘出したものでもない、単一層の厚さ以上の細胞の凝集物をいう。 【0083】用語「被験体」は、特に、哺乳綱のメンバー、例えば(限定ではない)、ヒトおよび非ヒト霊長類(例えば、チンパンジーおよび他の類人猿ならびにモンキー種);家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、およびウマ);家庭内哺乳動物(例えば、イヌおよびネコ);研究室動物(マウス、ラット、およびモルモットのような齧歯類を含む)などを含む任意の温血動物を包含する。この用語は、特定の年齢も性別も表さない。従って、成体および新生被験体ならびに胎児が、雄性または雌性にかかわらずカバーされるよう意図される。 【0084】本明細書中で使用される場合、用語「継続的測定」は、特定の生物学的系から得られる一連の2以上の測定を意図する。この測定は、その一連の測定が得られる時間にわたって、生物学的系と動作可能に接触して維持される単一デバイスを使用して得られる。従って、この用語は、連続的測定を含む。 【0085】用語「経皮」は、本明細書中で使用される場合、経皮技術および経粘膜技術の両方(すなわち、皮膚または粘膜組織を横切る標的分析物の抽出)を含む。「経皮」に関して本明細書に記載される本発明の局面は、特に他に特定されなければ、経皮技術および経粘膜技術の両方に適用することを意味する。 【0086】用語「経皮抽出」または「経皮的に抽出された」は、非侵襲性、または少なくとも最小限の侵襲性である任意のサンプリング法を意図する。このサンプリング法は、組織表面下から皮膚または粘膜組織を横切って分析物を抽出し、そして/または輸送することを利用する。従って、この用語は、イオン浸透(逆イオン浸透)、電気浸透、ソノフォレシス、マイクロダイアリシス、吸引、および受動拡散を使用する分析物の抽出を包含する。これらの方法は、もちろん、皮膚貫通亢進剤または皮膚透過性亢進技術(例えば、テープストリッピングまたは微小針での刺穿)の適用と組み合わされ得る。用語「経皮的に抽出された」はまた、サーマルポレーション、エレクトロポレーション、微細ランス、微細カニューレ、皮下移植または挿入などを用いる抽出技術を包含する。 【0087】用語「イオン浸透」は、組織への電気エネルギーの適用によってその組織を横切って物質を輸送するための方法を意図する。従来のイオン浸透では、リザーバは、組織表面で、輸送されるべき物質の容器として働くよう提供される。イオン浸透は、例えば、固定したアノードおよびカソードの「イオン浸透電極」間に直流(DC)を使用するか、アノードおよびカソードのイオン浸透電極間に直流を交互させるか、またはより複雑な波形を使用する(例えば、イオン浸透電極間に交互の極性(AP)で電流を印加する(この結果、各電極は交互にアノードまたはカソードになる))かして電位を設定することによって、当業者に公知の標準的な方法を使用して実施され得る。 【0088】用語「逆イオン浸透」とは、印加された電位または電流によって、生物学的流体からの膜を横切る物質の移動をいう。逆イオン浸透では、リザーバは組織表面で、抽出された物質を受容するために提供される。 【0089】「電気浸透」とは、電場誘導性の対流により膜を通る物質の移動をいう。これらの用語イオン浸透、逆イオン浸透、および電気浸透は、本明細書中では、イオン伝導性媒体を通して膜(例えば、上皮膜)へ電位を印加する際の、イオン電荷を有するかまたは有さない任意の物質のその膜を横切る移動をいうために、互換可能に使用される。 【0090】用語「検出デバイス」、「検出手段」または「バイオセンサーデバイス」は、目的の分析物またはその誘導体の濃度を測定するために使用され得る任意のデバイスを包含する。血液分析物を検出するための好ましい検出デバイスは、一般に、電気化学デバイスおよび化学デバイスを含む。電気化学的デバイスの例には、Clark電極システム(例えば、Updikeら(1967)Nature 214:986-988を参照)および電流滴定(Amperometric)、電量分析(Coulometric)または電位差滴定(Potentiometric)電気化学デバイスが含まれる。化学デバイスの例には、Lifescan(登録商標)グルコースモニター(Johnson and Johnson、New Brunswick、NJ)に使用されるような従来の酵素ベース反応が含まれる(例えば、Phillipsらへの米国特許第4,935,346号を参照)。 【0091】「バイオセンサー」または「バイオセンサーデバイス」は、「バイオセンサー電極」または「検出電極」または「作用電極」を含むがこれらに限定されない「センサー素子」を含むがこれに限定されず、所定の時点でのまたは所定の時間にわたる電気信号の量を決定するためにモニターされる電極をいう。この信号は、次いで、化学的化合物の濃度と相関付けられる。検出電極は、分析物またはその誘導体を電気信号に変換する反応性表面を備える。この反応性表面は、任意の導電性物質、例えば(これらに限定しない)、白金群金属(白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、オスミウム、およびイリジウムを含む)、ニッケル、銅、銀、および炭素、ならびにこれらの酸化物、二酸化物、組合せ、または合金から構成され得る。電流滴定バイオセンサーの構築に適切ないくつかの触媒物質、膜、および製造技術が、Newman,J.D.ら(Analytical Chemistry 67(24)、4594-4599、1995)によって記載された。 【0092】「センサー素子」は、バイオセンサー電極に加えて、複数の構成要素を備え得る。例えば、センサー素子は、「参照電極」および「対電極」を備え得る。用語「参照電極」は、本明細書中で、参照電位を提供する電極を意味するために使用される。例えば、電位は、参照電極と作用電極との間で設定される得る。用語「対電極」は、本明細書中で、電気化学回路を完結するための電流源または電流シンクとして作用する、電気化学回路中の電極を意味するために使用される。参照電極が回路に含まれ、そしてその電極が対電極の機能を果たし得る場合、対電極を用いることは必須ではないが、別個の対電極および参照電極を有することが好ましい。なぜなら、参照電極によって提供される参照電位は、参照電極が平衡である場合、最も安定であるからである。参照電極がさらに対電極として作用する必要がある場合、参照電極を通じて電流が流れると、この平衡が乱れ得る。その結果、対電極および参照電極として機能する別個の電極が最も好ましい。 【0093】1つの実施形態において、「センサー素子」の「対電極」は、「2モード電極」を備える。用語「2モード電極」は、本明細書中で使用される場合、代表的には、例えば、(「センサー素子」の)対電極および(「サンプリング手段」の)微小電位泳動電極の両方として、同時にではなく、機能し得る電極をいう。 【0094】用語「反応性表面」および「反応面」は、本明細書中で、以下の検出電極の表面を意味するために、互換可能に使用される。この表面は、(1)分析物を含むか、またはそれを通じて分析物もしくはその誘導体がその供給源から流れる電解質含有物質(例えば、ゲル)の表面と接触し;(2)触媒物質(例えば、炭素、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、またはニッケルおよび/またはそれらの酸化物、二酸化物および組合せもしくは合金)または電気化学反応の部位を提供する物質から構成され;(3)化学信号(例えば、過酸化水素)を電気信号(例えば、電流)に変換し;そして(4)反応性物質から構成される場合、電解質中に存在する分析物の量と相関可能である、検出可能で、再現可能に測定可能な電気信号を発生させるに十分な速度で、電気化学反応を駆動するに十分である電極表面積を規定する。 【0095】用語「収集リザーバ」は、生物学的系から抽出されたサンプルを含むための任意の含有手段を記載するために使用される。このリザーバは、イオン伝導性である物質(例えば、その中にイオンを有する水)を含み得る。ここで、適所に水を保持するために、別の物質(例えば、スポンジ様物質または親水性ポリマー)が使用される。このような収集リザーバは、ヒドロゲルの形態(例えば、ディスクまたはパッドの形状)であり得る。他の適切な収集リザーバは、チューブ、バイアル、毛細管収集デバイス、カニューレ、および小型化エッチング、削摩、または成形された流路を含むが、これらに限定されない。 【0096】「イオン伝導性物質」とは、イオン伝導性を提供する任意の物質をいい、そしてこれを通じて電気化学的に活性な種が拡散し得る。イオン伝導性物質は、電解質を含む、例えば、固体、液体、または半固体(例えば、ゲルの形態)の物質であり得る。これは、主として、水およびイオン(例えば、塩化ナトリウム)から構成され得、そして、一般に、50重量%以上の水を含む。この物質は、ゲル、スポンジもしくはパッド(例えば、電解質溶液が浸漬された)の形態であり得るか、あるいは電解質を含み得、そしてそれを通じての電気化学的に活性な種(特に、目的の分析物)の通過を可能にする他の任意の物質であり得る。 【0097】用語「生理学的効果」は、意図された治療目的を達成する、被験体において生じる効果を包含する。好ましい実施形態において、生理学的効果は、処置されるべき被験体の症状が、予防されるかまたは軽減されることを意味する。例えば、生理学的効果は、患者において生存の延長を生じるものである。 【0098】本明細書で使用される場合、用語「プリントされた」とは、基板(すなわち、基礎支持体)の一方の表面へ電極調合物を実質的に均一に積層させることを意味する。基板上に物質の実質的に均一な積層を達成するために、種々の技術(例えば、グラビア印刷、押出しコーティング、スクリーンコーティング、噴霧、塗装など)が使用され得ることは、当業者によって理解される。 (一般的方法)少量の分析物を経皮的方法を介してサンプリングするための方法および装置が提供される。本方法および装置は、生物学的系に存在する標的分析物の濃度を検出および/または定量するために使用される。このサンプリングは、継続的な様式で実行され、そして定量化は、標的分析物がミリモル未満の濃度で抽出されるサンプルである場合でさえ可能である。本方法および装置は、任意の化学分析物および/または物質のサンプリングに対して広範に適用可能であるが、本発明は、グルコースまたはグルコース代謝物の経皮サンプリングおよび定量化または定性化における使用のために特に例示される。 【0099】従って、本発明の方法の1つの局面において、自動サンプリングシステムは、生物学的系のグルコースレベルをモニターするために使用される。本方法は、系(この場合において、動物被験体)からグルコースを経皮抽出するサンプリングシステム(デバイス)を用いて実施され得る。経皮抽出は、収集部位で組織表面に電流または超音波照射を適用することによって実施される。電流または超音波照射は、少量のグルコースを、被験体から収集リザーバ中に抽出するために使用される。収集リザーバは、被験体中のグルコース濃度の測定を提供するバイオセンサーと接触している。 【0100】本発明の実施において、収集リザーバは、組織表面(例えば、患者の皮膚の角質層)と接触させられる。次いで、電気力または超音波力は、グルコースを、組織から収集リザーバ中に抽出するために組織表面に適用される。抽出は、約1〜約24時間またはそれ以上の期間にわたって継続的に実施される。収集リザーバは、その中のグルコース濃度を測定するために、少なくとも定期的に分析される。測定された値は、被験体の血中グルコースレベルと相関する。 【0101】より詳細には、1つ以上の収集リザーバは、被験体の組織表面に接触して配置される。収集リザーバはまた、グルコースを、組織から収集リザーバ中に抽出するに十分な、電流を発生する電極(逆イオン浸透抽出のため)またはトランスデューサのような超音波照射の供給源(ソノフォレシス抽出のため)と接触させられる。 【0102】収集リザーバは、イオン伝導性液体または液体含有媒体を含む。伝導性媒体は、好ましくは、高イオン伝導性を生じるに十分な量でイオン性物質を含み得るヒドロゲルである。ヒドロゲルは固体物質(溶質)から形成される。溶質は、水と合わされる場合に、その溶質によって形成される相互接続されたセルおよび/または網目状構造を含む、水を保持する構造の形成によってゲルを形成する。。溶質は、皮膚、靭帯、腱などを煮沸することによるコラーゲンの加水分解によって得られるタンパク質の混合物を含む天然のゼラチンの溶質のような、天然に存在する物質であり得る。しかし、溶質またはゲル形成物質は、より好ましくは、ポリマー物質(ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミドメチルプロパンスルホネート、およびそれらのコポリマー、ならびにポリビニルビロリドンを含むが、それらに限定されない)である。このポリマー物質は、湿潤剤もまた添加される場合、0.5重量%以上で40重量%未満、好ましくは8〜12重量%、湿潤剤が添加されない場合、好ましくは約15〜20重量%の範囲の量で存在する。さらなる物質が、ヒドロゲルに添加され得、これには、電解質(例えば、塩)、緩衝液、粘着付与剤、湿潤剤、殺虫剤、保存剤、および酵素安定剤が含まれるが、これらに限定されない。適切なヒドロゲル処方物は、国際公開第WO 97/02811号(1997年1月30日公開)および同第WO 96/00110号(1996年1月4日公開)に記載される。 【0103】本発明のサンプリングシステムは、非常に低い(電気化学的)バックグランドノイズレベルにて作動されなければならないため、収集リザーバは、有意に電気化学的に感受性の成分および/または混入物を含まない、イオン伝導性媒体を含まなければならない。従って、本明細書中の上記の好ましいヒドロゲル組成物は、最終的な組成物に、有意な量の電気化学的混入物を添加しない物質および試薬の賢明な選択を用いて処方される。 【0104】分析物の検出を容易にするために、酵素は、1以上の収集リザーバ内に配置される。酵素は、抽出される分析物(この場合、グルコース)との反応を、この反応の生成物が検出され得る(例えば、検出可能であり、反応する分析物の量に比例する電流の発生から電気化学的に検出され得る)程度まで触媒し得る。適切な酵素は、グルコースを、グルコン酸および過酸化水素に酸化するグルコースオキシダーゼである。適切なバイオセンサー電極でのその後の過酸化水素の検出は、1過酸化水素分子あたり2電子を生じ、これらの電子は電流を生じ、この電流が検出され得、そしてデバイスに入るグルコースの量に関連付けられ得る(図1を参照のこと)。グルコースオキシダーゼ(GOx)は、商業的に容易に入手可能であり、そして周知の触媒特徴を有する。しかし、他の酵素も、目的の分析物または物質との反応を特異的に触媒し、そのように反応した分析物の量に比例して検出可能な生成物を生じる限り、また使用され得る。 【0105】類似の様式において、多くの他の分析物特異的酵素系が本発明において使用され得、その酵素系は、ほぼ同じ一般的な技術で動作する。例えば、過酸化水素を検出するバイオセンサー電極は、アルコールオキシダーゼ酵素系を用いてエタノールを、または同様に尿酸オキシダーゼ系を用いて尿酸を、コレステロールオキシダーゼ系を用いてコレステロールを、そしてキサンチンオキシダーゼ系を用いてテオフィリンを検出するために使用され得る。 【0106】バイオセンサー電極は、名目上の濃度レベルで存在する場合でさえ、1つ以上の収集リザーバ中に抽出されるグルコース分析物を検出し得なければならない。この点において、グルコースを過酸化水素に特異的に変換するためにグルコースオキシダーゼを利用し、次いで適切な電極を用いて検出する従来の電気化学検出システムは、少なくともmM濃度でサンプル中に存在する分析物を検出し得るのみである。対照的に、本発明は、被験体由来の少量の分析物のサンプリングおよび検出を可能にし、ここで分析物は、従来のシステムで現在検出可能な濃度より2〜4桁低い濃度にて検出される。 【0107】従って、本発明のバイオセンサー電極は、そのような従来の電極と比較して、実質的に減少したバックグランド電流を示さなければならない。1つの特に好ましい実施形態において、ポリマーマトリクス内に分散された白金(Pt)およびグラファイトを含む電極が提供される。電極は以下の特徴を示し、その各々がバイオセンサーの効果的な動作に必須である:Pt酸化状態の変化に起因する電極におけるバックグランド電流、および電極処方物中の電気化学的に感受性の混入物が、実質的に低減され;そして電極中のPtによる触媒活性(例えば、非電気化学的な過酸化水素の分解)が、低減されている。 【0108】Pt含有電極は、約0.1〜3cm2、好適には約0.5〜2cm2、より好適には約1cm2の幾何学的表面積を提供するような形状である。この具体的な形状は、本発明のサンプリングシステムで使用される収集リザーバの収集領域に比例して拡大または縮小される。収集領域全体に、抽出された分析物および/またはその反応生成物が存在する。電極は、これまで従来のPt含有電極で利用不可能であったこの幾何学的表面積について、高い信号対ノイズ比(S/N比)を提供するように特別に調製される。例えば、本発明に従って構築された約1cm2の幾何学的面積を有するPt含有電極は、好適には、(0.6Vにて緩衝溶液中で測定した場合)約20nA以下のオーダーのバックグランド電流を有し、且つ高い感度(例えば、0.6Vにて緩衝溶液中で少なくとも約60nA/μMH2O2)を有する。同様に、約0.1cm2の幾何学的面積を有する電極は、好適には、約2nA以下のバックグランド電流および少なくとも約6nA/μMH2O2の感度(0.6Vの緩衝溶液中で測定した場合)を有し、そして約3cm2の幾何学的面積を有する電極は、好適には、約60nA以下のバックグランド電流および少なくとも約180nA/μMH2O2の感度(0.6Vの緩衝溶液中で測定した場合)を有する。これらの特徴は、高いS/N比、例えば約3以上のS/N比を提供する。電極組成物は、確実に電気化学的混入物および/または他の残留混入物を最終組成物から排除し、得られる電極に固有のバックグランドノイズを顕著に低減するように、分析用または電子部品用試薬ならびに溶媒を用いて調製される。特に、電極の調製に使用される試薬および溶媒は、電気化学的に活性な混入物(例えば、抗酸化剤)を実質的に含まないよう選択され、そして特に溶媒は洗浄時間および硬化時間を減少させるために、高い揮発性のものが選択される。 【0109】電極組成物を調製するために使用されるPt粉もまた実質的に不純物を含まず、Pt/グラファイト粉は、例えば、Ptおよびグラファイトの同時ミルまたは連続ミルを用いてポリマーマトリクス内に均一に分布される。あるいは、ポリマーマトリクスへの組込み前に、Ptをグラファイト粉にスパッタするか、コロイド状Ptをグラファイト粉上に析出させるか(1990年1月31日公開の英国特許出願第 GB 2,221,300号、およびその明細書中に引用された参考文献を参照)、またはPtをグラファイト粉に吸着させるかして、導電性グラファイトに接触するPtの均一分布を提供する。電極のS/N比を向上させるために、電極内のPt含有量は従来のPt電極またはPtベース電極と比べて低い。好適な実施形態において、総Pt含有量は重量比で約3〜7%である。Ptの総量の減少により電極の感度が低減し得るが、本発明者らは、バックグランドノイズの大幅な低減が達成され、信号対ノイズ特性が正味向上することを見出した。 【0110】Pt/グラファイトマトリクスは、良好な接着性および適切なコーティングの完全性(integrity)をについて選択された電気化学的に不活性なポリマーまたは樹脂結合剤のような適切な結合剤によって支持される。結合剤はまた、高純度について、および電気化学的バックグランドを有する構成要素が存在しないことについて選択される。この様態で、結合剤により電気化学的に感受性の混入物は電極組成物内へ導入されない。このような適切な結合剤が多数、当該分野において公知であり、商業的に入手可能であり、これには、ビニルポリマー、アクリルポリマー、エポキシポリマー、フェノキシポリマーおよびポリエステルポリマーが含まれるがこれらに限定されない。但し、電極の調製のために選択される結合剤は電気的に活性な不純物をほとんど含まないように提供される。 【0111】上記の調製されたPt/グラファイトバイオセンサー電極は、従来のPtベース電極システムと比べて減少した触媒活性(例えば、受動的または非電気化学的過酸化水素分解)を示し、これにより信号対ノイズ特性が実質的に向上する。好適なPt/グラファイト電極組成物において、バイオセンサーは、下記の実施例2のアッセイで測定して、約10〜25%の受動的過酸化水素分解、好適には約20%未満の受動的分解を示す。 【0112】処方後、電極組成物を、適切な絶縁特性および/または誘電特性を有する任意の剛性または可撓性物質であり得る適切な非導電性表面に固定する。電極組成物は、任意の適切なパターンまたは幾何学形状で表面に固定され得、スパッタリング、エバポレーション、蒸着などのような様々な薄膜技術を用いて、または、膜積層、電気めっき等のような様々な厚膜技術を用いて与えられ得る。あるいは、組成物は、スクリーン印刷、パッド印刷、インクジェット法、転写ロール印刷、または同様の技術を用いて与えられ得る。好ましくは、電極は、低温スクリーン印刷を用いてポリマー基板に与えられる。約100〜400メッシュの範囲の適切なメッシュを用いてスクリーニングを行い得る。 【0113】グルコースが収集リザーバ中に経皮的に抽出されると、分析物はリザーバ内のグルコースオキシダーゼと反応して過酸化水素を生成する。過酸化水素の存在によって、リザーバ中の過酸化水素の量に比例する電流がバイオセンサー電極に発生する。この電流は、関連するシステムコントローラによって(例えば、統計学的な方法を用いたアルゴリズムを利用して)検出および解析可能な信号を提供し、表示用のグルコース濃度値を提供する。 【0114】本発明の実施形態の1つにおいて、サンプリングシステムは、例えばGOx酵素を有する活性収集リザーバと、(GOx酵素を有さない)ブランク収集リザーバとを含む2つの収集リザーバ、または、代替として、2つの活性収集リザーバ(すなわちGOx酵素を含有する2つのリザーバ)を有し得る。活性収集リザーバとブランク収集リザーバとを用いる場合、活性リザーバから得た信号からブランクリザーバの信号を減算することによって信号を調整し得る。2つの活性収集リザーバを用いる場合、信号を合計して平均するか、あるいは、2つの信号の合計を用い得る。次いで、この信号(例えば、検出された電流)を、単独で、または他のファクタ(例えば、較正点のグルコース濃度、皮膚温度、導電性、電圧、システム較正時からの経過時間など)と組み合わせて用いてグルコース値を提供する。 【0115】特定の実施形態においては、検出された電流を、(代表的には、マイクロプロセッサににより統計アルゴリズムを用いて)被験体の血中グルコース濃度と相関させ、その結果、システムコントローラが、サンプリングシステムによって測定された、被験体の実際の血中グルコース濃度を表示し得る。例えば、標準的なグルコース負荷試験の間に被験体の血液をサンプリングし、そして標準的な血中グルコースモニターおよび本発明のサンプリングシステムの両方を用いて血中グルコースを分析することによって、システムを被験体の実際の血中グルコース濃度に合わせて較正し得る。さらに、またはあるいは、ある較正時点においてサンプリングシステムから得た信号を、直接的な血液検査(例えば、グルコース濃度は、HemoCue(登録商標)クリニカルアナライザー(HemoCue AB, Sweden)を用いて測定され得る)によって測定した同時点の血中グルコース濃度と相関させて、同時点においてサンプリングシステムを較正することが可能である。このようにして、サンプリングシステムによって得た測定値を、公知の統計学的技術を用いて実際の値と相関させ得る。このような統計学的技術を、アルゴリズムとして調製し、サンプリングシステムに付属したマイクロプロセッサに組み込み得る。 【0116】さらに、サンプリングシステムを、指定された時間に信号測定(または他の機能)の実行を開始するように予めプログラムすることができる。この特徴の適用の1つは、サンプリングシステムを被験体と接触させ、夜間に一連の実行を開始するようにサンプリングシステムをプログラムすることである。これにより、サンプリングシステムを起床後直ぐに較正に用いることが可能になる。この特徴の利点の1つは、較正を行う前に、サンプリングシステムの暖機を待つ必要が一切なくなることである。 【0117】好ましい実施形態の1つにおいて、自動サンプリングシステムは、逆イオン浸透を用いて、1〜24時間またはそれ以上の時間にわたり継続的にサンプルを経皮的に抽出する。より具体的には、収集リザーバは、イオン伝導性媒体、好ましくは、上記のヒドロゲル媒体を含む。第1のイオン浸透電極は、(標的組織表面に接触している)収集リザーバに接触し、第2のイオン浸透電極は、組織表面に接触している第2の収集リザーバか、あるいは、組織に接触している他の何らかのイオン伝導性媒体に接触している。電源は2つの電極間に電位を提供して、当該分野において公知の方法で逆イオン浸透を行う。上記のように、リザーバ内の標的分析物(グルコース)の存在(および、可能であればそのレベル)を検出するために選択されたバイオセンサーもまたリザーバに接触している。 【0118】実用においては、電位(直流またはより複雑な波形のいずれか)は、電流が、第1の電極から第1の導電媒体を通って皮膚に流れ、そして皮膚から第2の導電媒体を通って第2の電極に戻るように、2つのイオン浸透電極間に印加される。この電流の流れにより、逆イオン浸透または電気浸透のプロセスを通して、物質が皮膚を通って1つ以上の収集リザーバに抽出される。電位は、1996年1月4日に公開された国際公開第WO96/00110号に記載されているように印加され得る。 【0119】一例としては、グルコースを抽出するためには、皮膚または組織に印加される電流密度は、好ましくは、約0.01〜約2mA/cm2の範囲である。好適な実施形態では、グルコースの抽出を容易にするために、電極に電気エネルギーが与えられ、電極の極性が、(15分間の抽出周期のために)7.5分毎にほぼ1回の割合で交互に切り替わり、これにより、各電極は交互にカソードまたはアノードとなる。極性の切り替えは手動または自動で行われ得る。 【0120】任意の適切なイオン浸透電極システムが用いられ得るが、銀/塩化銀(Ag/AgCl)電極システムを用いるのが好適である。イオン浸透電極は、2つの重要な性能パラメータを用いて調製される。すなわち、(1)電極は、長期間、好ましくは24時間までまたはそれ以上の期間にわたって継続動作が可能であること、および(2)極端に低いバックグランドノイズレベルを必要とする本システム内で動作するためには、電極は、電気化学的純度が高くなるように調製されることである。電極はまた、電極の寿命期間にわたって大量の電荷を通すことが可能でなければならない。 【0121】別の実施形態では、サンプリングデバイスは、交互の極性モードで動作し、第1および第2の2モード電極(図4、40および41)ならびに2つの収集リザーバ(図4、47および48)を必要とする。本発明では、各2モード電極(図3、30;図4、40および41)は、動作の位相に依存して2つの機能を提供する。すなわち、(1)分析物を、供給源から、水と電解質とを含む収集リザーバへ、そして電極サブアセンブリの領域へ電気的に吸引するために使用される電気浸透電極(またはイオン浸透電極);および(2)化合物がこの電極の面で触媒により変換されて電気信号を生じる第1の検出電極に対する対電極対電極として機能する。 【0122】参照電極(図4、44および45;図3、32)および検出電極(図4、42および43;図3、31)、ならびに2モード電極(図4、40および41;図3、30)は、検出の間、標準的なポテンシオスタット回路に接続される。一般に、システムの実用上の制約により、2モード電極は、対電極およびイオン浸透電極の両方として同時に作用しないことが必要とされる。 【0123】イオン浸透サンプリングシステムの一般的な動作は2つの期、すなわち(1)逆イオン浸透期、続いて(2)検出期のサイクル反復である。逆イオン浸透期の間、第1の2モード電極(図4、40)はイオン浸透カソードとして作用し、第2の2モード電極(図4、41)はイオン浸透アノードとして作用して、回路を完成させる。分析物はリザーバ、例えばヒドロゲル(図4、47および48)に収集される。逆イオン浸透期の終了時に、イオン浸透電流は切断される。検出期の間、グルコースの場合、電位が参照電極(図4、44)と検出電極(図4、42)との間に印加される。化学信号は第1の検出電極(図4、42)の触媒面で触媒反応して電流を生じ、一方、第1の2モード電極(図4、40)は対電極として作用して、電気回路を完成させる。 【0124】記載した電極は、特に、収集されたグルコースと、ヒドロゲルマトリクスに存在する酵素グルコースオキシダーゼとの反応を通して、被験体中のグルコースレベルをモニターするために、ヒドロゲル収集リザーバシステムと組み合わせて使用されるように適合されている。 【0125】好ましくは、2モード電極は、Ag/AgClを備える。この電極の表面で起こる電気化学的反応は、電流の容易な供給源またはシンクとして働く。この性質は、電極のイオン浸透機能のために特に重要である。この反応を欠くと、イオン浸透電流は、イオン浸透電極で水の加水分解を引き起こし、pH変化および可能の気泡形成を引き起こし得る。酸性pHまたは塩基性pHへのpH変化は、皮膚の刺激またはやけどを引き起こし得る。シンク電流源として容易に作用するためのAg/AgCl電極の能力はまた、その対電極機能のための利点でもある。3つの電極電気化学セルが適切に機能するために、対電極の電流生成能力は、検出電極における反応の速度を制限してはならない。大きな検出電極の場合には、比例してより大きな電流を供給するための対電極の能力が要求される。 【0126】本発明の設計は、以前に設計されたより大きな検出電極を提供する(例えば図3を参照)。結果として、2モード電極のサイズは、検出電極に関して対電極として作用する場合、対電極が、検出電極の触媒表面で触媒反応の速度を制限するようにならないように十分でなければならない。 【0127】対電極が検出電極で電流を制限しないことを確実にするために存在する2つの方法は:(1) 2モード電極を、検出電極よりかなり大きく作製するか、または(2) 容易な対反応を提供することである。 【0128】逆イオン浸透期の間に、電源は、第1の2モード電極に電流を提供し、リザーバ中への化学信号の抽出を促進する。検出期の間に、電源を用いて第1の検出電極に電圧を供給し、検出電極の触媒表面において、リザーバ中に保持された化学信号の、電気信号への変換を駆動する。電源はまた、例えば、過酸化水素が、分子状酸素、水素イオン、および電子に変換される電極において固定された電位を維持し、それは、検出期の間に、参照電極の電位と比較される。1つの検出電極が検出モードで動作している間、それは、対電極として作用する隣接2モード電極に電気的に接続され、対電極では、検出電極で生成された電子が消費される。 【0129】電極サブアセンブリは、各電極が、適切な検出電極および参照電極とともに、イオン浸透電極および対電極の両方として機能し、標準のポテンシオスタット回路を作成し得るように、2モード電極を電気的に接続することにより動作され得る。 【0130】ポテンシオスタットは、3つの電極の電気化学セルにおける電気化学的測定で用いられる電気回路である。参照電極と検出電極との間に電位が印加される。検出電極で生成した電流は、回路を通じて対電極に流れる(すなわち、参照電極には、その平衡電位を変える電流は流れない)。2つの独立のポテンシオスタット回路を用いて、2つのバイオセンサーを動作し得る。本発明の目的のために、検出電極サブアセンブリで測定された電流は、化学信号の量と相関している電流である。 【0131】延長された期間の間の継続的動作に関し、本明細書で提供されるAg/AgCl電極は、望まれない電気化学的副反応(これは、水の加水分解に起因するpH変化、ならびに水素および酸素の放出を生じる)なしで動作する可逆的共役を繰り返し形成し得る。従って、本発明のAg/AgCl電極は、電極面積1cm2あたり約0.01〜約1.0mAの範囲で繰り返されるサイクルの電流通過に耐えるように処方される。高い電気化学的純度に関して、Ag/AgCl成分は、適切なポリマー結合剤内に分散され、収集リザーバ内の成分、例えばヒドロゲル組成物により攻撃(例えば可塑化)を受けない電極組成物を提供する。この電極組成物はまた、分析グレードまたはまたはエレクトロニクスグレードの試薬および溶媒を用いて処方され、そしてポリマー結合剤組成物は、バイオセンサーに拡散しバックグラウンド電流を生成し得る電気化学的に活性な混入物のないように選択される。 【0132】Ag/AgClイオン浸透電極は、長期間にわたって、継続的にサイクルを可能にしなければならないため、電極において利用可能なAgおよびAgClの絶対量および全体的なAg/AgCl利用可能比は、大量の電荷を通過させるように調節され得る。本発明において限定されないが、Ag/AgCl比は、1に近くあり得る。0.1〜3cm2の幾何学面積を有するバイオセンサーを用いる好ましいシステム内で動作するためには、イオン浸透電極は、0.3〜1.0cm2、好ましくは約0.85cm2の適切な電極面積を提供するように構成される。これらの電極は、約0.01〜1.0mA/cm2電極面積の範囲の電流密度で再生可能な繰り返しサイクル電荷通過を提供する。より具体的には、上記の調製パラメータに従って構築され、0.85cm2の適切な電極面積を有する電極は、24時間の期間内で48サイクル、約0.3mAの電流(0.35mA/cm2の電流密度)で、270mCの総電荷の(アノード方向およびカソード方向の両方向での)再生可能な通過を可能にする。 【0133】一旦調製されると、Ag/AgCl電極組成物は、バイオセンサー電極組成物について上述したように、適切な剛性または可撓性の非導電性表面に固定される。均一な導電を提供するために、まず、銀(Ag)下地層が表面に与えられる。次に、Ag/AgCl電極組成物は、スパッタリング、エバポレーション、蒸着などの様々な薄膜技術を用いて、または膜積層、電気めっきなどの様々な厚膜技術を用いて、任意の適切なパターンまたは形状で、Ag下地層上に与えられる。あるいは、Ag/AgCl組成物は、スクリーン印刷、パッド印刷、インクジェット法、転写ロール印刷、または同様の技術を用いて与えられ得る。好ましくは、Ag下地層およびAg/AgCl電極は、低温スクリーン印刷を用いて、ポリマー基板に与えられる。この低温スクリーン印刷は、約125〜160℃で行われ得、スクリーニングは、約100〜400メッシュの範囲の適切なメッシュを用いて行われ得る。 【0134】他の好ましい実施形態において、自動サンプリングシステムは、ソノフォレシスを用いて、1〜24時間またはそれ以上にわたって、継続的様式でサンプルを経皮的に抽出する。より詳細には、超音波放射源は、収集リザーバに結合され、標的組織表面に充分な摂動を与えて、組織表面を横切る分析物(グルコース)の通過を可能にするために使用される。超音波放射源は、約10MHzより高い、好ましくは約10〜50MHzの範囲、最も好ましくは約15〜25MHzの範囲の超音波周波数を提供する。これらの範囲は、好ましい実施形態を単に例示するものであって、場合によっては、より高いかまたはより低い周波数が用いられ得ることを強調しておく。 【0135】超音波は、パルス波または連続波であり得るが、低周波数が用いられる場合には、連続波が好ましい。非常に高い周波数では、発生した熱を発散させ得るように、一般にパルス波適用が好ましい。適用される超音波の好ましい強度は、約5.0W/cm2未満、より好ましくは、約0.01〜5.0W/cm2の範囲、最も好ましくは0.05〜3.0W/cm2の範囲である。 【0136】超音波を投与するためには、実質的に任意のタイプのデバイスが用いられる得る。但し、そのデバイスは、本発明によって要求される適切な周波数の超音波を生成することができなくてはならない。超音波デバイスは、通常、小型電池などの電源、トランスデューサ、およびシステムをサンプリングシステム収集リザーバに取り付ける手段を有する。適切なソノフォレシスサンプリングシステムは、1991年9月5日に公開された国際公開WO91/12772号に記載されている。 【0137】超音波は空中ではあまりよく伝達しないので、超音波アプリケータと組織表面との間で超音波を効率的かつ迅速に伝達させるために、収集リザーバには液体媒体が一般に必要である。 【0138】図2は、イオン浸透サンプリングシステムの好適な実施形態からの主な構成要素の分解図である。サンプリングシステムの構成要素は、2つのバイオセンサー/イオン浸透電極アセンブリ4および6を含む。これらは各々、それぞれ参照符号8および10で示す環状イオン浸透電極を有する。環状イオン浸透電極8および10は、バイオセンサー12および14を取り囲む。電極アセンブリ4および6はポリマー基板16にプリントされ、ポリマー基板16はセンサートレイ18内に維持される。収集リザーバアセンブリ20は、電極アセンブリ上に配置される。収集リザーバアセンブリは、ゲル保持器26によって保持される2つのヒドロゲル挿入物22および24を含む。 【0139】一実施形態において、電極アセンブリは、図3に示し且つ上述したように、2モード電極を含み得る。 【0140】図2の分解図に示す構成要素は、通常の腕時計のように身につけるように構成された自動サンプリングシステム内で用いることが意図されている。1996年1月4日に公開されたPCT国際公開WO 96/00110号に記載されているように、腕時計様ハウジング(図示せず)は、リード線を含む。リード線は、イオン浸透電極およびバイオセンサー電極と接続されてサイクルを制御し、イオン浸透電極に電源を与え、バイオセンサー電極表面で生成された電気化学信号を検出する。腕時計様ハウジングはさらに、適切な電子部品(例えば、マイクロプロセッサ、メモリ、ディスプレイ、および他の回路部品)並びに自動サンプリングシステムを動作させる電源を含み得る。 【0141】図2の実施形態に対する改変および付加は、当業者には明らかである。 【0142】本発明を好適な特定の実施形態によって述べてきたが、上記の記載および以下の実施例は、本発明を説明するためのものであって、本発明の範囲を限定するものではないことが理解される。本発明の範囲内の他の局面、利点および改変は、本発明が関連する分野の当業者には明らかである。 【0143】以下の実施例において、用いられる数(例えば、量、温度など)に関する正確さを確保する努力はなされているが、ある程度の実験誤差および偏差は考慮されるべきである。特筆しない限り、温度は摂氏であり、圧力は大気圧またはその近傍である。 【0144】 【実施例】(実施例1) バイオセンサーのバックグランドノイズおよび感度の評価グルコースモニタリングシステムにおけるバイオセンサー電極のバックグランド電流および過酸化水素に対する感度を決定するために、以下の手順が用いられ得る。 【0145】方法:バイオセンサーを固定容量のテストセル内に載置することにより、作用センサー電極の感度およびバックグランドを決定する。77mM NaClを含む、pH7.5、0.1Mリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)溶液でセルを満たす。緩衝溶液は、測定中、セル内で静止している。その後、バイオセンサーに0.6Vの通常の動作電位でバイアスをかけ、定常バックグランド電流を測定する。その後、過酸化水素の2μM溶液を、同一のPBS緩衝溶液で調製し、テストセルに添加する。バイオセンサーに再びバイアスをかけ、固定した時間点で電流を測定する。5μMおよび10μMの過酸化水素溶液に対して、測定を反復する。 【0146】固定した時間点で、3つの過酸化水素濃度に対して得られた電流から、較正曲線が構成され得る。センサーにバイアスをかけた後、電流は経時的に減衰するため、過酸化水素に対するバイオセンサーの感度を特徴づけるためには、1つの標準時間点(例えば60秒)を選択するのが最良である。 【0147】過酸化水素溶液は、過酸化水素の分解を防止するために、テスト前2時間以内に生成され、使用するまで琥珀色の(または箔で覆われた)容器内に保存されるべきである。 【0148】PBS緩衝液(NaCl、NaH2PO4・H2OおよびNa2HPO4・7H2O)を生成するために、以下の成分が用いられ得る。このpH7.5緩衝液を生成する方法は、以下の通りである。 【0149】0.05M、pH7.5のリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)を2リットル生成する方法:2.20gのNaH2PO4・H2Oと22.5gのNa2HPO4・7H2Oと8.98gのNaClとを混合する。水を加えて2リットルにする。過酸化水素溶液は、冷蔵庫に保存されると安定である3%ストック溶液から生成され得る。 (実施例2) バイオセンサーにおける受動的な過酸化水素涸渇の評価以下の手順を用いて、本発明に基づいて構築されたバイオセンサー電極によって引き起こされる受動的(非電気化学的)過酸化水素涸渇の速度を決定し得る。 【0150】方法:以下の手順を、幾何学的表面積が約1cm2でありバイオセンサー総面積が約3cm2であるバイオセンサー電極を試験するために最適化する。しかし、当業者はこれらの方法を、より小さなまたはより大きな電極寸法に合わせて容易に調整することができる。 【0151】試験すべきバイオセンサーを、ある体積の試験溶液(約360μL)を電極に接触して含有する試験セルに入れる。バイオセンサー電極と接触する溶液層の厚さは、約50ミル(0.127cm)である。試験セルの本体は好ましくは、例えばポリテトラフルオロエチレン(例えば、TEFLON(登録商標))またはポリ(クロロトリフルオロエチレン)(例えば、Kel−F(登録商標))などの、実質的な量の過酸化水素の劣化を引き起こさない物質から形成される。試験溶液は、NaClを含有する0.1MPBS(pH7.5)中20μMの過酸化水素を含有する。試験溶液をセルに加え、バイオセンサーと15分間接触させる。試験溶液をセルから引き抜き、過酸化水素の残存濃度を測定し、バイオセンサーに接触させなかった標準溶液と比較する。次いで、試験溶液中に残存する過酸化水素の濃度を、当業者に公知のいくつかの方法を用いて、例えば、液体クロマトグラフィー、あるいはいくつかの市販の過酸化水素試験キット(例えば、PeroXOQuant(登録商標)、Pierce Chemical Co., Rockford, IL)により測定し得る。 【0152】上記の手順で試験した固体Ptバイオセンサー電極は概して、55〜75%の受動的(非電気化学的)過酸化水素劣化を示す。対して、本発明に基づいて構築されたPt含有電極は、好ましくは約10〜25%の過酸化水素劣化、より好ましくは約20%未満の受動的劣化を示す。 (実施例3) Ag/AgClスクリーン印刷電極のための試験プロトコール以下の手順を用いて、スクリーン印刷されたAg/AgCl電極における、所定の電流密度で電気化学的に利用可能なAgおよびAgClの量を測定し得る。 【0153】方法:適切な電解質中に浸漬されたAg/AgCl電極と対電極との間に、印加電圧の増加によりAgまたはAgClの涸渇が生じていることが示されるまで定電流を流すことによって、利用可能なAgおよびAgClの量を決定する。 【0154】利用可能なAgの試験:Ag/AgCl電極、および塩素化された銀箔からなるずっと大きな対電極を、ビーカー中に互いに対向するように置く。ビーカーに77mMのNaClを含有する0.1MのPBS緩衝液(pH7.5)を満たす。電極を適切な定電流電源に接続し、Ag/AgCl電極が対電極に対して正になるように電極にバイアスをかける。定電流が電極間に流れる。印加された電位をモニターし、印加電位が1.0Vに達するに必要な時間を計測する。(1.0Vで、望ましくない副反応が起こり始め得る。)流れる電荷の量は、電流×秒数に等しい。 【0155】利用可能なAgClの試験:Ag/AgCl電極、および塩素化された銀箔からなるずっと大きな対電極を、ビーカー中に互いに対向するように置く。ビーカーに77mMのNaClを含有する0.1MのPBS緩衝液(pH7.5)を満たす。電極を適切な定電流電源に接続し、Ag/AgCl電極が対電極に対して負になるように電極にバイアスをかける。定電流が電極間に流れる。印加された電位をモニターし、印加電位が−1.0Vに達するに必要な時間を計測する。(−1.0Vで、望ましくない副反応が起こり始め得る。)流れる電荷の量は、電流×秒数に等しい。 【0156】24時間にわたる継続的サンプリングを提供する、本発明に用いられる好ましいAg/AgClイオン浸透電極は、以下の仕様を有し得る:(1)電極面積が約0.85cm2 ;(2)電流が0.3mA(電流密度:0.35mA/cm2);(3)電極あたり利用可能なAgおよびAgCl要求が0.9mAにおいて0.5ミリクーロン/cm2;(4)電流の持続時間:1サイクルあたり7.5分;(5)総電荷通過135mC(アノード方向およびカソード方向の各々について。合計270mC);および(6)少なくとも48アノード/カソードサイクルが可能であることである。 【0157】 【発明の効果】生物学的系に存在する分析物の継続的な経皮抽出のための自動化システムが提供される。このシステムは、電気化学的バイオセンサー検出手段を使用して、分析物の検出のためおよび/または分析物の濃度の測定のために使用され得る。このシステムは、必要に応じて、分析物の継続的経皮抽出を実行するために逆イオン浸透を使用し、生物学的系に存在する少量の標的分析物の濃度を非侵襲的に正確かつ低コストで測定する。
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| 【出願人】 |
【識別番号】596067168 【氏名又は名称】シグナス, インコーポレイテッド
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| 【出願日】 |
平成11年3月12日(1999.3.12) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100078282 【弁理士】 【氏名又は名称】山本 秀策
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| 【公開番号】 |
特開2000−227(P2000−227A) |
| 【公開日】 |
平成12年1月7日(2000.1.7) |
| 【出願番号】 |
特願平11−67431 |
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